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F組三国志 8 清水ちさと ブログトップ

F組三国志 8-1 [F組三国志 8 清水ちさと]

「ちさと、午前の授業どうだった?」
「あっ、美香、まあまあってとこね、席が変わって新鮮だったから授業に集中できたかな。
それとね、ふふ、ちょっとした発見があった。」
「なに?」
「隣の星屋くんがさ。」
「あのオタクっぽくて頼りなさそうな人?」
「はは、それが結構頼れる人だったんだ。」
「そうなの?」
「うん、授業でちょっと分かんなかったとこ訊いたら、分かりやすく教えてくれたの。
テスト団体戦が始まってから、チームのメンバーに教えるようになって、自然と教えることも意識しながら学習するようになったんだって。」
「へ~、ということは結構頭いいんだ、彼。」
「と、思うな。」
「人は見かけによらないものなのか~。」

ほんとに見かけによらない、と言うよりきちんと接しないと彼の良さとか分かんないってことなんだろうな。
ふふ、ちさとは味方だよ、星屋くん。

「ねえ、ちさと、午後の数一ってさ教育実習の先生じゃなかった?」
「あっ、そうね、じゃあ、省吾さんの予習プリント…、じゃなかった、お父さまの予習プリント。」
「えっ? お父さま?」
「うん、省吾さんは私のお父さまってことになったのよ、美香。」
「どういうこと?」
「私が演劇部に入ったのは色々な役を演じてみたかったからなんだけどね、実際は道具作ったり、基礎練習だったりでさ、役を演じるなんて全然だめ、って話したことがあったの。
それを省吾さん、ちゃんと覚えていてくれて、昨日ね、文化祭のネタになるかどうかは微妙だけど、ちょっと遊んでみないかって。」
「お遊び?」
「うん、最初はそう思ってた。
でもね、今日気付いたんだけど、私のお父さまは色々企んでたの。
和彦さんとかがからんでくるんだけど…、あっ和彦さんって、星屋くんのことよ。
そのことに和彦さんも気付いて、すごく嬉しそうだった。」
「う~ん、よく分かんないわね。」
「ふふ、しばらくすれば分かると思うから、ちょっと待ってて。
で…、美香の役はね、十三歳のおてんば娘の友達…、はは、やっぱ近所の嫌なおばさんかな~。」
「なによ、それ!」
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F組三国志 8-2 [F組三国志 8 清水ちさと]

あっ、もうすぐ数一の授業が始まる時間ね。
おっと、そうそう、頭のスイッチを切り替えるんだった。

清水ちさとは数学の得意な女の子。
予習もきちんと済ませてる。
だから数学の授業は大好き…。

う~ん…、まだ役になりきれてないかな…。
ふふ、自己暗示、数学の得意な女の子になりきれたら、ほんとに数学が得意になるかもって。
省吾さんのアドバイスってなんか不思議。
演技の練習しながら学習への集中度を高めるなんて、考えもしなかったわ。

さ~、大好きな授業の始めは、やっぱ先生の自己紹介なんだろうな、教育実習だから。

「えっと、みなさんこんにちは。
教育実習でお世話になります、こ、小山勇です。
私はこの高校の卒業生で…。」

うわ~、先生、緊張してる~。
そりゃそうか、慣れてるわけじゃないし、この席の配置じゃプレッシャーも大きいわね。
公民の先生も、いつもと違って緊張してたみたいだったもんな。
私があそこに立つとしたら…、やっぱ何事にも動じないベテラン教師を演じるってことになるのかな。
これくらいの舞台がこなせなかったら、大舞台なんて無理でしょ…。
でも、舞台は観客との距離が離れているから…、どうなのかしら?
今日部活の先輩に訊いてみようかな。
おっと、数学、数学。
でも、このあたりは教科書と省吾さんのプリントで理解済みなのよね。
こんな時…、先生の話しは適当に聞き流して、練習問題を解いてみたり、先の内容の予習をしたりしても良いって省吾さんは言ってたけど…。
あれっ?
あの数式おかしくないかな?
おっ、みんなもざわついてる。

「先生、その数式違ってませんか?」
「エックスが抜けてるのか、えっと…。」
「あっ、ご、ごめんごめん、君の言う通りエックスが抜けてたよ。」

うわ~、先生、ミスして、さらにガチガチじゃん。
手も震えてるし…。

「先生、俺代わりに書いたげるよ。」
「おっ、林、かっこいいぞ~。」
「はは、まかせとけ。」

はは、林くんたら、調子に乗って。

「さあ書けた、はい、この例題解ける人。」
「林~、先生の仕事取っちゃだめだぞ~。」
「ははは。」
「解けない人聞いた方が早いんじゃないか。」
「うん、そうかもな、まあ面倒だから俺が解いておくよ。」
「あっ、ずっる~い。」
「そんな簡単な問題解いたっていばれんぞ。」
「ははは。」
「さあ、解けた、ついでに解説もしようか?」
「必要な~し!」
「じゃあ、続けて、次の問題。」
「ちょっと待て、徹。」
「あっ、淳一、質問か?」
「な、わけないだろ。
昨日予習していてちょっと面白い問題見つけたんだ、次は俺にやらせろ。」
「え~。」
「林、替われ~。」
「替わってやれよ。」
「ち、仕方ないな、淳一、つまんない問題だったら許さないぞ。」
「はは、ちょっとひねりが入るから徹に解けるかな。」
「お~、バトルだ~。」
「林、解けなかったらチームの恥だぞ。」
「それより、みんながあっさり解いたら、チーム麻里子のポイントダウンだよな。」

はは、みんな小山先生そっちのけで勝手に盛り上がってる。
でも、ちゃんと数学やってんだし。
え~と、あっ、応用ってことか、これは…。

「あっ、解った。」
「えっ、まじ。」
「ちさと、早すぎ。」
「あっ、そうか、俺も解けたぞ、お~い林、まだ解んないの~?」
「え~、解んね~。」
「はは、じゃあ、清水さんに解いてもらって、解説は小山先生にお願いするかな。」

ふふ、黒川くんは小山先生に授業をお返しするつもりだったのね。
さ~て、たぶん間違ってないと思うぞ~。
なんたって私は数学得意なんだから。
はは、うそだけどね。

「先生、どうでしょう?」
「うん、いいよ、林徹くん、黒川淳一くん、そして清水ちさとさんありがとう。
じゃあこの問題のポイントを確認してみようか。」
小山先生も少し落ち着いたみたい。
はは、先生の話しは適当に聞き流そうかと思ってたけど、暖かく見守ってあげなきゃだめよね。

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F組三国志 8-3 [F組三国志 8 清水ちさと]

さ、授業も終わったし、今日は…、あらっ?

「小山先生、どうかされました?」
「ああ、確か清水さんだったね。」
「はい。」
「今日の授業は大失敗だったからみんなに謝らなきゃ、と思ってね。」
「そうなんですか…、え~っと、じゃあ。
お~い、みんな、小山先生よ~!」
「声、でかいね。」
「ふふ、演劇部で鍛えてますから。」

「F組のみんな、今日は緊張しすぎてごめんな。」
「はは、仕方ないですよ先生、F組の鶴翼の陣はかなり攻撃的な陣形ですからね。」
「公民の先生もびびってたんですよ~。」
「実は昨日、教育実習の先生にはかなり酷かも、なんて話しをしてたんです。」
「あっ、黒川くんそれで…、有難うな。」
「へへ。」
「C組の授業は普通にやれたんで油断もしてた、でも、この席の配置…、そうか、鶴翼の陣なんだ。」
「どうでした? 鶴翼の陣。」
「C組とはみんなの雰囲気もずいぶん違っていて…、正直言ってプレッシャー強すぎだな。」
「でも、俺らのやる気の現れだから先生も許可してくれたんです。」
「すごいね、自分の高一の頃はC組みたいな普通のクラスだったから。」
「まあC組とは…、先生、小テストの平均点の差ご存知です?」
「うん、さっき聞いた、F組はダントツなんだね…、前もって聞いていればもう少し心の準備ができたのに。」
「はは、五月中頃までは、他のクラスと大差なかったんですけどね。」
「えっ、そうなの? じゃあ短期間で大きく差がついた理由は?」
「やっぱ赤澤夫妻のおかげでしょ。」
「えっ、赤澤夫妻?」
「あら、私たち婚約はしてるけど、結婚はまだよ。」
「あ~ん、お母さまったら、それじゃ娘の立場が~。」
「ちさとは美咲の隠し子だったの?」
「いつの間に?」
「おいおい、そんな話ししてたら小山先生わかんないだろ。」
「ぼくもわかんない。」
「岡崎は黙ってなって。」
「小山先生、私たちの数学の先生は、実質、赤澤さんなんです。」
「大久保先生には内緒ですけどね。」
「いや、もう大久保先生も気付いてるだろ。」
「大久保先生自信失ってないのかな~。」
「赤澤さんって?」
「彼です。」
「ども。」
「君がみんなに数学を教えたの?」
「そうですね…、直接教えることもあったけど…、ほんとの先生はクラスのみんななんです。
自分は、少々策略を練っただけで、後はみんなの実力ですよ。」
「お師匠さま、そこまでご謙遜なさらなくても、みなの実力を引き出したのはお師匠さまのお力ですから。」
「はは、嶋は星屋のまねか?」
「ははは。」
「赤澤くん、もっと話しを聞かせてくれないかな?」
「いいですけど、とりあえずみんなは部活とかあるんで、ここで区切りをつけていいですか?」
「あ、すまん。」
「じゃあ美咲。」
「うん。
みんな、明日も鶴翼の陣で行くわよ。」
「おう。」
「それから、一学期期末考査まで日があると思わないでね。
こっちのチーム戦、反対意見出なかったから、配ったプリント通りでいくわよ。」
「うお~、ガチンコ勝負、燃えるぜ。」
「個人賞もあるんだよな。」
「チーム対抗だけど、大きな目標はF組が一年のクラスでダントツ一位になることだからね。
みんなで結果を出して楽しい夏休みを向かえましょう。」
「美咲は省吾さんとの楽しい夏休みを思い描いていそうだ。」
「当たり前でしょ、もうワクワクよ、でもその前に、そのために。」
「あたしゃ彼氏いないけど、しゃ~ないから付き合うよ。」
「ははは。」

確かに期末考査で結果を出しておけば、っていうより、結果を出さないとね~、予備校とか進学塾の夏期講習には行かないって、親に言ったから。
クラス順位は、みんなもがんばりそうだから上げるの難しそうだけど…。
とにかく学年順位は絶対上げるぞ。
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F組三国志 8-4 [F組三国志 8 清水ちさと]

「お父さま。」
「うん? どうした、ちさと。」
「お父さまは、昨日あの後、小山先生とどんなお話しをされたのですか?」
「テスト団体戦のこととかね、でも先生忙しそうだったから、とりあえずは次の授業がF組のみんなにとって、より有益になるよう、授業内容のお願いをしておいたよ。」
「さすがお師匠さまです、学問所の見習い先生にもご指導なさるなんて。」
「和彦、指導なんて程度じゃないよ、簡単に説明させてもらっただけさ。
で、これが次回の授業に向けたプリント。」
「えっ、先回よりずいぶん多くないですか…、お父さま?」
「小山先生にもこれを渡すからね。
テスト範囲まで一気に済ませてもらおうと考えている。
密度が高くなるから、ついていけない人が出てくるかもしれないけど、そこは復習で補う。
予習に比重を置いていた部分を、復習に回すと考えてくれればいい。
とにかくテスト範囲まで早めに済ませて、後に余裕を作るという作戦さ。」
「ということは、予習は軽めでもいいってことですか?」
「うん、でも一度はこのプリントに目を通しておいて欲しいな。」
「じゃあ省吾、プリント配る時、みんなにもそのあたりを話した方がいいわね。」
「ああ、美咲、頼むよ。
そうだ、和彦、プリントの印刷とか、美咲の手伝い頼めないかな。
俺は、別で作っておきたいプリントがあってさ。」
「承知いたしました、お師匠さま。」
「お父さま、私もお手伝いしますわ。」
「おお、ちさと、ありがとうな。」
「いつも美咲さまにはご迷惑をおかけしてしまって。」
「あら、和彦さん、お父さまとお母さまは楽しんでやってるのよ、ね、お母さま。」
「ふふ、そうね、夫婦で一緒に働くって楽しいことなのよ、和彦。」
「でも、お師匠さまたちいつも忙しそうで。」
「美咲はね。
俺も色々頼んでるし、テストが終わったら少しゆっくりしてもらうつもりだよ。
まあ、俺はいつも適当にやってるから。」
「そういえば、お父さまって授業中はあまり目立たないですよね?」
「授業と違うところを学習してることが多いからね。」
「えっ?」
「数学の時間は数学やってるけど、高三の内容だったりするし。」
「でも…、お師匠さま、先生に注意されたりしないのは、こっそりやってるからですか?」
「ふふ、先生方も省吾が高一の内に高三までの範囲を終わらせるつもりだってご存知なのよ。」
「ほんとに!?」
「ああ、中二の終わり頃から高校の学習内容に入っていたからね。
時間の無駄を減らしたかったから、高木先生に相談したんだ。」
「そしたら高木先生が色々動いて下さったそうなの。
で、最近は、私が職員室へ行くと、なぜかすぐに省吾の話題で盛り上がるのよね~、先生方…。
大学はどこを目指してるとか、将来は理系か文系か、とか…、いつ結婚するのか、なんて…。」
「あら~、お母さまったら、職員室でものろけてくるんですか?」
「う~ん、私はそんなつもりじゃないんだけど~。」
「はは、でもね、まだ先生方にも話してない企みもあってね、微妙に進行中なんだけど。」
「えっ? お師匠さま、どんな企みなんです。」
「鶴翼の陣には秘密があってね、実は教室の後ろの方こそが重要なんだ。」
「えっ、後ろの方は寝てたい人のためとか…。」
「昨日誰が座ってた?」
「え~と、哲平さん、麻里子さん、うちのチームの正信くん、お父さまとお母さま、誰も授業中寝てたいお人じゃないわね。」
「もちろんさ、で、三人のリーダーと美咲は授業中に余裕があると感じたら、自分の苦手なとこの学習に取り組んでいたんだ。
前の席で先生と向き合う人たちががんばってくれてたから、ずいぶん自分の学習がはかどったみたい。」
「え~っと真面目に授業に取り組むための鶴翼の陣って思ってたけど…。」
「はは、これから、鶴翼の陣は変えていきたいっていうか変わっていくと思っている。
根本は、授業は何かってことだよ。」
「授業は教えてもらう場、ですよね。」
「まあそうなんだけど、自分から学習に取り組んだら、教えてもらう必要のないことだっていくらでもある。
自分で、教科書を読んで理解できることだって少なくないだろ。
教科書に書いてあること以上の、内容の濃い授業は大いに聞くべきなんだけどね…。
大きな声じゃあ言えないが、F組のメンバーが聞く価値のない部分が授業中に結構あるんじゃないのかな?」
「そう言われてみると…、がんばろうってモチベーションあげても、いまいち集中できなかった授業は…。」
「無駄でしょ、その時間を自分の苦手克服に当てた方が有効だし、哲平なんて部活でずいぶんな時間を費やしているから…、はっきり言って授業時間は貴重なんだ。
授業時間をより有効に生かすことを、F組のみんなが考え始めたら、鶴翼の陣はその形を変えるってことだな。」
「自分は、最前列で岡崎たちへ刺激を与えて、と考えていたのですけど。」
「その必要はもうないんじゃないかな、彼らも自覚し始めてるから。
それより、後ろへ下がって自分の時間を有効に使い、岡崎たちに教える時のことを考えてた方が効率的かもしれないよ。」
「はい、一度、麻里子さまとも相談してみます。」
「ふふ、姉御じゃなくて、麻里子さまなのね。」
「この世界にいる時は、ってことで、ちゃんと麻里子さまのお許しも得てあります。」
「ふふ。」
「でも、お師匠さま、自分が陣の後方へ下がると、ちさとお嬢さまのお世話ができなくなりますが。」
「ちさと、どうする?」
「私も…、教科によって動いてもいい訳だから、はは、和彦さんが近くにいなくても大丈夫よ。」
「はは、和彦はちょっと残念そうだな。」
「は、はい…、ちさとお嬢さまは、自分の大切な味方ですから…。」

あっ、それって…、私のこと大切に思ってくれてるってこと?
和彦さん、はっきり言ってくれた。
ほんとに積極的になろうとしてる現われなのかな…?
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F組三国志 8-5 [F組三国志 8 清水ちさと]

ふ~、今日の数一は濃かったな~、は~疲れた~。
でも、何とかなりそうかな…。

あらっ、星屋くん、麻里子さんと…、はは、へい、がってんで、なんて言ってる。
真面目なのか、ふざけているのかよく分からない人だな~。
話しは済んだみたいね…。
ふふ、それじゃあ…。

「ねえねえ、星屋くん、姉御との世界に私が入っちゃ嫌かな?」
「えっ? そんなこと考えたことなかったけど。」
「ちさとお嬢さまはね、なかなか、おてんばぶりを発揮できてなくて、ちょっと欲求不満てとこなの。」
「ちさとお嬢さまもご両親の前では、はめをはずせないですからね。
でも…、ちさとさんは姉御とその子分の自分…、え~っと、どんな役柄で?」
「そうね、姉御の命を狙う刺客とかさ。」
「え~、ち、ちさとさんが…、そしたら、自分はどうしたらいいのか…、会話ができないし。」
「そうね、じゃあ、麻里子さまに、こっちでの役もって、お願いしてくれないかな、いまいちキャスト不足で、幅が広がらないからさ。」
「う~ん。」

うん、悩んでる悩んでる。
星屋くんは根が真面目だからかわいいのよね。

「清水さん。」
「あっ、林くん、なに?」
「期末考査に向けては、どう?」
「そうね、一通り真面目にやってるわよ。
まあ、教科によっての役作りが難しいっ、てとこだけどね。」
「えっ? どういうこと?」
「ふふ、昨日は、林くんの解けなかった問題、真っ先に解いたでしょ。」
「あれは、まじでくやしかった~、だってさ、数学はずっと俺が教えていたじゃん。」
「まあ、昨日は数学の得意な女の子を演じてたのよ。」
「え、演技ってこと?」
「そしたら、ほんと、たまたまだったんだけど解けちゃったのよ、あの問題。
でさ、今日はこれ。」
「あっ、メガネ。」
「どう? メガネをかけるとほんとに数学の得意な女の子って雰囲気にならない?
で、英語の時は帰国子女っぽくね…。」
「あ~、だめだ、これじゃチーム正信、また負けだ~。」
「何言ってるのよ、外見だけじゃないわよ、ほんとに良い役者はとことん役にこだわるものなの。
チーム正信の勝利に向けてしっかりやってるわよ。」
「ほんとに?」
「林くん、ちさとさんなら大丈夫だと思うよ、自分も聞かれたとこ少し教えたけど、質問はポイントをはずしていなかったからね。」
「えっ、星屋、ちさとさんって呼んでんだ。」
「も~、和彦さんはちゃんと、ちさとお嬢さまって呼んでくれなきゃ。」
「えっ? 和彦さん? お嬢さま?」
「はい、ちさとさまは、赤澤先生の娘ですから、お師匠さまの門下生である自分は、ちさとお嬢さまと呼ばさせていただいております…。」
「え~っと、よく分かんないけど…、演劇部の延長ってこと?」
「ふふ、そんなレベルじゃないけど…、まあ、林くんにはお父さまの深い思いは理解できないだろうから、今はそれでいいわよ。」
「う~ん、なんかなぁ~。」
「はは、林くんも、お父さまの門下生になる?」
「門下生? 門下生になったら?」
「私のことは、ちさとお嬢さまって呼んでね。」
「え~。」
「お師匠さまは立派なお方です、門下生になられて損はないと思います。」
「う~ん、考えておくよ。」

門下生か…、そうよね、もっと人数増やしておかないと、文化祭で劇とまではいかないよね…。
でも、ま、テストが終わってからかな。
ふふ、さりげなく林くんや星屋くんよりテストの順位が上だったら…、お嬢さまから女王さまに格上げとか。
その方がインパクト強そうだし。
領民をいたぶる嫌われ者の女王さま、そんな役もやってみたいわね。
でも、女王さまに虐げられ苦しめられている領民たちを救おうと立ち上がる、一人の名もなき少女とか…。
謎に包まれた魔法使いの老婆とか…。
ふふ、色々な役をやってみたいな。
でも、まずは文化祭で、お嬢さまか…。
おっと、その前にテストだから…。
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