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F組三国志 8-5 [F組三国志 8 清水ちさと]

ふ~、今日の数一は濃かったな~、は~疲れた~。
でも、何とかなりそうかな…。

あらっ、星屋くん、麻里子さんと…、はは、へい、がってんで、なんて言ってる。
真面目なのか、ふざけているのかよく分からない人だな~。
話しは済んだみたいね…。
ふふ、それじゃあ…。

「ねえねえ、星屋くん、姉御との世界に私が入っちゃ嫌かな?」
「えっ? そんなこと考えたことなかったけど。」
「ちさとお嬢さまはね、なかなか、おてんばぶりを発揮できてなくて、ちょっと欲求不満てとこなの。」
「ちさとお嬢さまもご両親の前では、はめをはずせないですからね。
でも…、ちさとさんは姉御とその子分の自分…、え~っと、どんな役柄で?」
「そうね、姉御の命を狙う刺客とかさ。」
「え~、ち、ちさとさんが…、そしたら、自分はどうしたらいいのか…、会話ができないし。」
「そうね、じゃあ、麻里子さまに、こっちでの役もって、お願いしてくれないかな、いまいちキャスト不足で、幅が広がらないからさ。」
「う~ん。」

うん、悩んでる悩んでる。
星屋くんは根が真面目だからかわいいのよね。

「清水さん。」
「あっ、林くん、なに?」
「期末考査に向けては、どう?」
「そうね、一通り真面目にやってるわよ。
まあ、教科によっての役作りが難しいっ、てとこだけどね。」
「えっ? どういうこと?」
「ふふ、昨日は、林くんの解けなかった問題、真っ先に解いたでしょ。」
「あれは、まじでくやしかった~、だってさ、数学はずっと俺が教えていたじゃん。」
「まあ、昨日は数学の得意な女の子を演じてたのよ。」
「え、演技ってこと?」
「そしたら、ほんと、たまたまだったんだけど解けちゃったのよ、あの問題。
でさ、今日はこれ。」
「あっ、メガネ。」
「どう? メガネをかけるとほんとに数学の得意な女の子って雰囲気にならない?
で、英語の時は帰国子女っぽくね…。」
「あ~、だめだ、これじゃチーム正信、また負けだ~。」
「何言ってるのよ、外見だけじゃないわよ、ほんとに良い役者はとことん役にこだわるものなの。
チーム正信の勝利に向けてしっかりやってるわよ。」
「ほんとに?」
「林くん、ちさとさんなら大丈夫だと思うよ、自分も聞かれたとこ少し教えたけど、質問はポイントをはずしていなかったからね。」
「えっ、星屋、ちさとさんって呼んでんだ。」
「も~、和彦さんはちゃんと、ちさとお嬢さまって呼んでくれなきゃ。」
「えっ? 和彦さん? お嬢さま?」
「はい、ちさとさまは、赤澤先生の娘ですから、お師匠さまの門下生である自分は、ちさとお嬢さまと呼ばさせていただいております…。」
「え~っと、よく分かんないけど…、演劇部の延長ってこと?」
「ふふ、そんなレベルじゃないけど…、まあ、林くんにはお父さまの深い思いは理解できないだろうから、今はそれでいいわよ。」
「う~ん、なんかなぁ~。」
「はは、林くんも、お父さまの門下生になる?」
「門下生? 門下生になったら?」
「私のことは、ちさとお嬢さまって呼んでね。」
「え~。」
「お師匠さまは立派なお方です、門下生になられて損はないと思います。」
「う~ん、考えておくよ。」

門下生か…、そうよね、もっと人数増やしておかないと、文化祭で劇とまではいかないよね…。
でも、ま、テストが終わってからかな。
ふふ、さりげなく林くんや星屋くんよりテストの順位が上だったら…、お嬢さまから女王さまに格上げとか。
その方がインパクト強そうだし。
領民をいたぶる嫌われ者の女王さま、そんな役もやってみたいわね。
でも、女王さまに虐げられ苦しめられている領民たちを救おうと立ち上がる、一人の名もなき少女とか…。
謎に包まれた魔法使いの老婆とか…。
ふふ、色々な役をやってみたいな。
でも、まずは文化祭で、お嬢さまか…。
おっと、その前にテストだから…。
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