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バトル-71 [高校生バトル-08]

「親父、親父と麻衣が提案してくれた政治家向け試験だけど、市長選の告示に合わせて一つのパフォーマンスと言うかデモンストレーションを兼ねてやってみない?」
「私が試験を受ければ良いのか?」
「うん、市長選の立候補に合わせて連絡を取ってる議員さんの中には能力の高い人が居るでしょ、そんな人達にも試験を受けて貰って能力の高さを世間に知らしめて貰えば、彼らの次の選挙に繋がると思うんだ。
 その結果を参考に、政治家基礎検定一級とか勝手に資格制度を作り、立候補する時の肩書に加えて貰うってどうかな?」
「ふむ、公的な資格で無くても、試験問題や得点を…、実際の解答をネット上に公開する事だって可能だから、どんな問題でどれだけの得点を取れたのかを証明する事は可能だな。」
「でしょ、公的で無い所を全面公開で補おうと考えてね、ライブで試験風景を流せるし、高校生バトルのノウハウを活かせば色々出来るんだ。
 見てる人は試験問題に触れる事になるから、議員の寄付行為に関する知識とかを知る事にもなる。」
「私は見栄を張るつもりは無いから得点が低くても問題ないが、一緒に受けて貰う議員さん達はどうだろう?」
「政治家として最低限知ってなきゃ行けない法律関連の試験に躊躇する様な人は次の選挙で落選して貰って良いんじゃない。
 今の所、政治家としての基礎バトルは試験を受けて貰う全員必須、後は、得意分野に関する問題で良いと思っていて…、例えば弁護士資格を持つ先生なら法律関連の試験を受けて貰って、その実力が本物で有ると証明出来る機会にするとか、試験を受ける側にとっては自己PRの一環になる様にさ。
 親父の場合なら、ついでに高校生バトルの成績を、不正が無いと第三者に確認して貰って公表して行けば、外見だけの男では無いと証明されるね。」
「そう言うのも有りか…。」
「大学入試レベル、春子との数学バトルで勝ってただろ、数学の先生でもない五十近い普通の会社員が取れる点数じゃないのだから、尊敬されると思うんだ。
 政治家向け試験では、試験風景、試験問題、試験結果を全て公開、不正を疑われない体制を整えるから、それなりの費用は掛かるけど、国民に対して一つの提案をする訳で、絶対に注目させるからね。
 試験問題作成はまだ検討中だけど、政治家としての資質が分かる問題にしたいと考えてる。
 文章で答えて貰う問題は得点を付けずに、そのまま目立つ形で公開するのも有り、政治家の資質って難しいから、あくまでも人物評価の参考にと言う感じになるとしても意味は有ると思うんだ。」
「その試験をデモンストレーション的に行っても、法的な問題はないのか?」
「一応選挙管理委員会に話して有るのだけど、今までに無かった事だから時間が欲しいと言って来た、法学部の連中は問題ないと考えてるけどね。
 今までの選挙では見えなかった候補者の能力が、その一部だけでも試験を通して分かるのであれば、知名度だけで能力に疑問を感じるタレント候補の当選を抑制出来るかも知れないでしょ。」
「私と一緒に試験を受けて貰う議員さんたちも得意分野に関係する試験を受けて貰うのだな。」
「うん、俺達が取り組んでいる分野は広いから、問題に関しては多分大丈夫だと思う。」
「ただな…、高齢になって能力に衰えが有っても、それに勝るものも有だろ。
 そう言った事を高校生に伝えるのも大切だと思うんだ。
 高齢者に対する尊敬の念は忘れないで欲しいし…、大人だって得手不得手が有ると理解して貰いたいね。」
「うん、気を付けるよ、立候補者を貶める企画で無く立候補者の長所を知らしめる企画で無いとビジネスとして成り立たないしね。
 この企画を通して、苦手なことに気を使い過ぎるより得意な事を伸ばすと言った主張も強調して行こうかな、大学入試で上を目指すとバランスが重視されがちだけど、英語や数学が苦手でも国語の得意な議員は普通にいそうでしょ。」
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バトル-72 [高校生バトル-08]

「次郎、一つのパフォーマンスとして行う、政治家の試験、参加して下さる議員さんは有る程度集まりそうなのか?」
「兄さん、議員さん達は有権者にアピール出来る機会が欲しいだろ、今回はテスト企画という事で参加費を安くしたことも有り、予定していた定員には簡単に届いたよ。」
「無料じゃないのか?」
「それはマズイと思ってね、議員さん達にとってプラスになるであろう自己主張の場が無料だと問題になりかねないだろ。」
「あっ、俺もそう言う感覚を持たないとダメなんだな…、確かにそうだ、春子達が宣伝を考えてくれてるからそれなりに見て貰える、市長選のタイミングだから、地元の議員は一票お願いしますとは言えなくても、街宣カーで騒音をまき散らすより効果が見込めるのだろうな。」
「今回は、親父の選挙やその後の市政に協力してくれそうな人ばかりだからね。」
「それなら良好な関係を築いておきたいものだな、喜んで貰える様な試験には出来そうなのか?」
「多分大丈夫、メインとなる政治家としての基礎バトル以外は議員さん達が希望した分野だからね、ただ、自分のレベルを勘違いしていたら、悲しい結果になるかも、専門家が見て簡単過ぎる問題ばかりには出来ないだろ。」
「問題は不正を疑われないかと言うことだな。」
「とことん不正がないと証明するなら、その場で一般から問題を出して貰い、その場で解くと言う方法も有るけど、そこまでしないとダメかな。」
「う~ん、公開の場で質問に答えて行く形か…、それだと誰に質問して貰うかが問題にならないか。」
「そっか、とことん不正が無いと証明するのは、思ってたより難しいね。
 一番良いのは対立候補に問題を出して貰う事かな。」
「今回はダメもとで頼んでみるのも有りだが、先々立候補者を対象とした試験を展開して行くとなると無意味だな、ここは不正を疑う人の意見を聞くのが一番早く無いか?」
「そうだね、そろそろ政治家試験イベントの予告を始めて良い時期だから、不正防止策コンテストを合わせて進めようか。」
「ああ、予告では試験を受ける人達の名を伏せ、あくまで選挙制度改革の案としてのデモンストレーションという事で良いだろう、まあ、親父の立候補に合わせての開催だから批判は出るだろうが演説の代わりに試験を受けるだけのこと、法的な問題はないのだから胸を張って実行しよう。」
「それでさ、自分の能力を認めて貰う為の試験って、俺達が考えてる政治家対象だけでなく、他に需要は無いかな?」
「どんな人達を意識してる?」
「フリーランスで、実力は有ってもそれをアピールする機会の少ない人とか。」
「それなら…、アピールしたい人を受け付け審査を通ったらPRを引き受けるとか…。
 それより、企業が人事を考える時の参考になるテスト、勿論、テストだけで人物の総合力を計る事は出来ないが、判断力決断力が衰え始めてるとかは結果に表れるだろ、そう言うのはどうだ?
 なんなら、企業から入社試験問題の作成を請け負ったり社員教育プログラム作成の手助けをしたりと考えても良い、高校生バトルで培って来た知識や技術が活かせるからな。」
「そうだね、フリーランスを対象とするより売り上げに繋がり易いか。」
「まあ、色んな展開を考えてみよう、学生社員の希望者が増えているのだから仕事を増やして行く必要は有るのだろ。」
「うん、うちは在宅で出来る業務が多いから身体的なハンディを持つ人も受け入れ易いでしょ。
 そう言う人達を今以上に高給で雇えるシステムを強化して行きたいとも考えていてさ。」
「現状で給与面の不満が出てるのか?」
「いや、出る前に先手を打ちたいと思ってね。」
「う~ん、給与水準って難しいな、必要としている額はそれぞれの環境によって違う訳で、仕事に見合った額でも足りない人が居れば、余裕の有る人も、一度調査して生活が苦しいと言う人には違った形の支援を考えると言うのはどうだ?」
「確かに給料を一律に上げるよりは効果的かもね、取締役会の議題にしようか?」
「ああ、業務拡張については佐伯さんと相談しておくよ、システム面の業務は優秀な学生社員が増え、新人に対する指導体制も整って来た、強気で構わないと思うぞ。」
「うん、三郎達のYouTubeは過去のものも閲覧数が伸びているから予算には余裕が有るんだ。
 最近英語チャンネルを知ったと言う人達でも、普通にアップされてる全部を見ようとしてくれてるみたいでね。」
「そう言う人が少なからずいる訳か。」
「気に入ったのを何度も見てくれる人もいるからね、春子中心に凄い財産を作ってくれたよ。」
「そうだな、俺の周りで日本語チャンネルを見てない人はいない。
 春子は、お父さんが立候補しました、って動画の構想を練ってると言ってたから、選挙は問題ないか。」
「見てない人にも口コミで伝わるからね、親父が落選するとは思えないよ。」
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バトル-73 [高校生バトル-08]

「なあ春子、養子の話だが、両親を事故で無くした姉弟の話が来たよ。」
「それだけで涙が出そうね、私はどんな子でも受け入れる覚悟を決めてるから大丈夫よ、幾つぐらいの子達なの?」
「小学五年生と二年生、面倒を見られる親族が…、組関係者の叔父は居るのだが高い塀に囲まれた別荘で暮らしているそうでな、そこから帰って来ても子ども達をまともに養育出来る人物では無さそうなんだ。」
「組関係者との接点が出来ると言うリスクが有るのね、お父さんはどう考えてるの?」
「当初は違った形の困難さをイメージしていたから微妙な気持ちは有る、親も組関係の人物でただの事故死なのか怪しいみたいだからな、それでも受け入れたいと考えている。
 彼らが家族の一員となるまでに時間が掛かろうが、トラブルに巻き込まれようがね。」
「お父さんにその覚悟が有るのなら問題無いわ、私達の集落は部外者立ち入り禁止でセキュリティーを強化してるから、市長になってもならなくても引越しを考えてみて、小学生にとっても暮らし易い集落をイメージしているからね。」
「それは構わないが、この家はどうする?」
「学生社員の合宿所にしても良いし…、ご先祖様に顔向け出来ない様にはしないわよ。」
「その方が良いのかもな、三郎も落ち着けるだろう。」
「その子達の受け入れ、タイミングとしては市長選の前か後かどうするの?」
「まずは彼らに会ってからだろ。」
「そうね…、始めはお父さん達と三郎と私ぐらいで会って…、ねえ、私達義兄弟姉妹がそれぞれ違ったアプローチをし、彼女達の反応を見るってどう?
 誰に懐くのか興味深いわ。」
「そうだな、心が荒んでいるかも知れないが…、小学五年生の女の子だと三郎に惚れてしまうのだろうか…。」
「会ってみて、私達の妹になることを受け入れてくれるかどうかを確認しながらになるのかな…。
 全くの他人が家族になるって…、兄弟の配偶者とは全く違うのよね…。
 この話し、兄さん達には?」
「まだこれからだ。」
「お父さんは市長選に向けて忙しいのに大丈夫なの?」
「忙しいと言っても、スタッフに任せてる事は多いからね、今までだって管理職の私が忙しそうだと感じたか?」
「そうね、ほとんど定時に帰って来て一緒に食事、私達の学習に付き合ってくれたり…、会社の人をうちに招いて…。」
「私の部署は余裕を持って回していたからな、余裕が有るから成果が上がる、成果が上がれば士気が上がる、効率ばかりを重視していると、かえってマイナスになるのだよ。」
「うん、私も、お父さんみたいに尊敬される人になりたいと思うわ。」
「もう充分尊敬されているのでは無いのか?」
「どうだか…、それで…、小二は兎も角、小五の女の子だとホントに難しそうよね、もう色々な事が見え来てる年頃で、う~ん、組関係の人達との接点はどうなのかしら?」
「その辺りは本人に聞いてみるしかないだろう、私達はひたすら聞き役となって…、問題は色々話してくれるかどうかだな。」
「うん…、お父さん、初対面の時は真子ちゃんにも会って貰おうか。」
「そうだな、女の子の事は春子が一番わかると思う、彼女達を迎え入れる中心になってくれるか?」
「勿論そのつもりよ、それなりの覚悟を決めた上で賛成したのだからね。」
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バトル-74 [高校生バトル-08]

「春子、妹と弟の候補に会って来てどうだった?」
「今日は数時間一緒に過ごしただけだから何ともね、ただ敬語の使える子で頭は悪く無さそう、可愛い子達だったわ。」
「両親は事故死だと聞いたが…。」
「児童養護施設に入ってる子でも、親と死別という例は少ないそうでね。
 一郎兄さん、子ども達の相手を三郎と真子ちゃんに任せてる間、私達は施設の職員と話したのだけどね、少し複雑な事情が有るのよ。」
「どんな?」
「母親は前の旦那さんと死別しての再婚、姉と弟は父親が違うの。
 弟は父親からも愛情たっぷりに育てられてたのだけど、姉は父から暴力を受けてたみたい、更に学校では親が組関係だと知られてしまって行きたくなかったのだけど、学校へ行かないと父親に叱られるので嫌々通ってたのだとか。
 だから母親を亡くしたのは辛いけど父親が亡くなったのは嬉しかったみたいなの。
 施設に入り、今は不登校状態だけど彼女なりに将来を考えているのか、学習には自主的に取り組んでいるから見どころの有る子だと思うわ。
 ただね、他の子とは馴染めてなくて問題行動を起こしてるそうなの。
 それでね、親戚が異常に少ないんだって、両親共に孤児…、実の父親も含めてね。」
「それで別荘へ行ってる人が一人だけ?」
「ええ、それも姉とは血縁関係の無い人でね、このまま施設で暮らしても…、ちょっと口を濁し気味に話して下さったのは、組関係との繋がりが有ると風俗関係へ一直線の子もいたとか、顔立ちの良い子だから…。」
「問題行動ってどんな感じなのか教えて貰った?」
「三郎と真子ちゃんに色々話してくれたの、三郎は私達に話しても構わないと言う彼女の了解を得た上で教えてくれたわ。」
「結構仲良くなれたと言うことかな?」
「みたいね、三郎達は聞かれた事は隠さず全部話したそうでね、キスはしたのか、とかエッチはしたのかと言った質問にまで真顔で答えていたら信用してくれたみたいだって。」
「隠し事をしないのが心を開かせる秘訣と言う訳か、三郎達は冗談っぽく尋ねても真面目に答えるからな。」
「一郎兄さんは見習うべきね、兄さんが嘘をつく時は、嘘ですって顔に書いてあるから、最近夫婦喧嘩はしてないの?」
「してないよ、妊娠が分かったから尚更ね、それで三郎が聞き出してくれた事は?」
「明日は義兄弟姉妹が集まるでしょ、その時、三郎に話して貰うわ、何度も同じ話をするのは大変でしょ。」
「そうだな、明日は大輔の親父さんも奥さんと来て下さるし、佐伯さん夫婦や芽衣ちゃん、亜依ちゃんも…、と言うことは養子の話は決まりそうなのか?」
「ええ、下の子は私達に甘えていたしね。」
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バトル-75 [高校生バトル-08]

「…、と言うのが彼女たちのこれまでの人生、下の子は両親の死で心に傷を負ったものの愛情プラス時間で解決出来そうな気はしてるの、上の子については三郎から話して貰うわね。」
「うん、雅ちゃんは養子と言う事に対して戸惑っていたけど、僕たちと会って希望の光が見えたと話してくれたよ、第一印象が良かったとかでね。
 本人は学校に馴染めず施設では何時もイライラしてると話してたけど、今日はお兄さんお姉さんの前で猫を被ってるのって話してた。
 父親が家に居る時は学習に取り組むか本を読むしかする事が無かったそうで、賢い子だと感じたのだけど、本人はずる賢いと話してたよ。」
「なんだ、春子と同類なのか。」
「次郎兄さん、私はずるくないでしょ。」
「だよな、春子は少し腹黒いだけだ。」
「一郎兄さんも…。」
「春子姉さんは気配りの出来る素敵な姉さんだよ、雅ちゃんもきっと姉さんみたいな素敵な女性になると思う、僕らが暖かく見守って行けばね。」
「ふふ、三郎さんはこうやって女の子の気持ちを掴んで行くのね、罪な男だな。」
「麻衣は俺にも見習えと?」
「いえいえ、次郎は今のままで良いのよ、出来やしないでしょ。
 三郎さん、雅ちゃんは私達の妹になる事に対して前向きなのかしら?」
「はい、取り敢えず僕らは半径二メートル以内に入っても良いだけでなく、真子は抱きしめることを許して貰えました。」
「あっ、男連中が気を付けなければいけないパターンなのね、真子ちゃん。」
「ええ、周りに碌な男がいなかったそうで、でも三郎を見る目からは色々感じられました。」
「恋の相手が血の繋がらない兄と言うの事になりそうなのか?」
「どうでしょう、でも兄妹に許されるスキンシップはどこまでか、なんて話をしてましたよ。
 一応、私が許せる範囲までとしておきましたが。」
「妹に対して愛情を注いで上げたいだろうが、三郎は大変だな、もっと幼かったら気楽だったかも。」
「次郎兄さん、他人事みたいに言わないで下さいよ、相手は小学生、お母さんを亡くしたショックからはまだ立ち直れていないみたいでしたから。」
「そう感じたのか?」
「はい、笑ってる様で笑ってないと言うか…。」
「まあ、これだけ見守る大人がいるのだからな、私達は爺さん婆さんの役割を担えると思うよ、なあ、それで良いのだろ、春子。」
「はい、お義父さま、よろしくお願いします。」
「実の孫が出来ても区別しない様に気を付けるつもりだ。
 真子ちゃん、私達、義兄弟姉妹の話はしたのか?」
「ええ、やくざの義兄弟とは違うと言う話をしましたら桃園の誓いを知っていまして、小学校の図書室にも子ども向けの三国志があったそうです。
 語彙の豊富さから、それなりに読書をしていたのだろうと思います。
 因みに父親関係の人物、つまりは組関係の人だと思うのですが、両親の死後少し気に掛けてくれる人が居たそうです。
 その人の事は家の物を勝手に持ち出す様な人で、全く信用出来ないと話していましたのですが。」
「そんなことまで聞き出せたのか。」
「聞き出せたと言うより誰かに話したかったのでは無いでしょうか、施設の職員以外に。
 明後日の土曜日には遊びに来て貰う事になっています、お時間の有る方は…、そうですね、まずはファーストコンタクトを取りにいらして頂けたらと思います。」
「三郎、全員集合でも問題無さそうか?」
「むしろ問題が早く分かった方が後々楽になるでしょう、何せ猫を被ってると本人が話してたのですから。
 僕たちが…、単に甘やかすのは良く無いですが、快く受け入れる存在で有ると雅ちゃんが感じてくれたら、今後の関係を築いて行く一歩になるのではないでしょうか。」
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バトル-76 [高校生バトル-08]

「なあ、三郎、話を聞いてると結構しっかりした子みたいだが、YouTubeに出演とかはどうなんだ?」
「それは、本人次第です。
 僕らがYouTubeで稼いでる話をしたら職員を脅してでもパソコンでしっかり見させて貰うと話していましたが。」
「ふふ、そう言うタイプが加わってくれたらミュージカルが一段と盛り上がるわね。」
「麻衣姉さん、出て貰うにしても市長選のことも有りますからタイミングを考える必要が有ります、ただ、共に番組を作って行くと言うのは互いの距離を縮める事に繋がるとは思っています。」
「市長選の話はしたのか?」
「はい、お父さんが市長になっても養子になった事を隠していても良いし、僕らの妹としてYouTubeデビューするのも有りだと話して有ります。」
「感触は?」
「お母さんが歌の上手な人だったそうで、歌のレッスンとかの話をしたら嬉しそうにしてました。」
「そんな調子なら…、真子ちゃんは問題は感じなかったのかな。」
「そうですね、養子の話が私達と会うまで思い描いてたのと随分違ってたそうで…、ホントはうんと嫌な所を見せつけて話をぶち壊してやろうと思ってたそうです、でも、普通の女の子が三郎の前でそんな態度を取れる訳は無くて、お利口さんにするからお兄ちゃんて呼んでも良い、って。
 ただ学校へは行きたくないと、少し申し訳なさそうに…。」
「学校なんてどうでも良いだろ。」
「ええ、行きたく無ければ行かなくて良いけど、まともな大人として胸を張って生きられる様、一緒に学習して行こうと話したら、安心したみたいです。」
「親の話は?」
「本人が口にしませんでしたの私達も聞きませんでした、家族になればそんな話を聞く機会は幾らでも有るでしょう。」
「父親の関係者とどれぐらいの交流が有ったのかが気になる所ですね。」
「まあ、私が市長になったら反社会的勢力と対峙する必要も出て来るだろう、彼らも利害関係を考えるだろうから一方的に無理難題を押し付けて来る事は無いと思ってるが。」
「念の為、お父さん達には私達の集落に引っ越して貰おうと考え、話しを進めてるのだけどどうかしら?」
「その方が良い、三郎達の出入りを見張ってる様な人も居るのだろ。」
「雅ちゃん達がうちに出入りし始めたら、直ぐに変な噂が広がりそうだな。」
「ひとまず私達の家に来て貰っても良いですよ、小六の娘と馴染めたらですが…。」
「佐伯さん、有難うございます。」
「暫くは義兄弟姉妹の家を体験して貰うのも有りだな、無理に学校へ通うより色々な大人と触れ合う事で何かを学べるかも知れない、私の隠し子だと疑われても構わないよ。」
「謎の少女か…、真子ちゃん、私達のちょっとしたお遊びに、雅ちゃんは付き合ってくれるかしら。」
「むしろ、私達との距離を縮めて行けるかも知れませんよ、大人に変身するメイクとか…、デビューは私の妹と言う設定でも構いません。
 私達が新しい妹達を迎えると言うイベントを楽しんでいると感じて貰える様に出来たら彼女達が馴染んでくれるのが早くなると思います。」
「真子ちゃん、三郎には女子大生に化けて大学に潜入と言う企画を却下されたけど、小五が女子大生に化けて大学に潜入と言うのも面白そうじゃない?」
「ふふ、雅ちゃんなら喜んでやってくれそうです。
 変身願望…、春子さんが職員から聞いた話と私が彼女から受けた印象は全く違うのですよ。
 三郎と出会い、彼女自身がすでに変わり始めてるのかも知れません。」
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バトル-77 [高校生バトル-08]

「あのね、三郎お兄さま。」
「はは、雅ちゃん、もっと気軽に呼んでくれて構わないよ。」
「ううん、私、嬉しくって…。」
「涙が出る程ってこと?」
「うん、YouTubeを見たら、お兄さまがとても人気者という事が分かって、当たり前ですよね、こうして話してても何か自然な優しさが…、施設の人達も厄介者の私に優しく接してくれはするのですよ、でも…、分かるじゃないですか、仕事として優しく振舞ってるのだって。」
「そんなに厄介者だったの?」
「施設では何時もイライラしてて、職員も子ども達もなんか嫌で。
 死んで欲しいと思ってた戸籍上の父親だった人から解放されるのが、大好きなお母さんとの別れと一緒…、何か良く分からない所に入れられたら、周りはなんかパッとしない子ばかりでさ。」
「そっか…。」
「ね、ねえ…、私の新しいお父さんはどうして養子を迎えようと思ったの?」
「うちはとても幸せな家族なんだ、義兄弟姉妹も含めてね。
 だから、その幸せを少しだけでも人に分けて行きたいと考えて、そしたら雅ちゃん達を紹介されたのさ。」
「ふふ、私が悪い子だったから厄介払い出来る、ラッキーと思ったのかも、悪い子でいて良かったのかな。」
「う~ん、確かに春子姉さんは職員さんから如何に厄介な子なのかを色々聞かされたと言ってたけど…、今も猫を被ってるのかな?」
「どうかしら、少し浮かれていると言うか…。
 優しいお兄さんとお姉さん、新しいお父さんが出来ることになって、ふふ、ニヤニヤしそうになるのを押さえるのに苦労したのよ。」
「別にニヤニヤしてたって良いじゃないか。」
「それは駄目なの、ずっと不機嫌だった子が急に変わった思われたら嫌でしょ。」
「そう言うものなの?」
「うん、そう言うものなの。
 私にとっての新しい家族はみんなニコニコしていて…、私の前だからと言って特別では無かったのでしょ。」
「どうかな、雅ちゃんが可愛いから何時も以上だったかも知れないよ。」
「なんかな、戸籍上の父親だった人は何時も怖い顔をしてたし、今にして思えばお母さんもあまり笑ってなかった…、だから私も…。
 でね、お兄さまと初めて会った日にね、色々考えたんだ。」
「そりゃあ考えるだろうな、初めて会った人の家族になる話しだから。」
「ねえ、シンデレラってさ、いきなりお姫様になったでしょ、ちゃんと王子様の期待に応えらたのかしら、そう言う教育を受けて来た訳では無く、いきなりお姫様になって実は苦労したのかもって思わない?」
「はは、面白い視点だね、言われてみれば大変だったのかも。」
「やくざの娘が市長候補の娘になろうとしてるのよ。」
「市長に立候補すると言っても普通のお父さんだよ、僕らは紹介されたら心身にハンディを持つ子でも受け入れようと考えていたのだからね。」
「へ~、そうなんだ。」
「僕がぼんやり考えてたのは、雅ちゃんの環境が変わって、少しは幸せな気分になってくれるかなって事、周りにどんな人がいるかで、成長の仕方が変わると思わないか?」
「うん、私はもう変わり始めてるよ、どん底の気分から…、ふふ、みんなの弟が、私のお兄さまになるのですもの、妹として恥ずかしくない様にしないとね。」
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バトル-78 [高校生バトル-08]

「お父さま、雅ちゃん達の住んでたマンションを引き払う手筈は一通り整いました。」
「有難うね、友香さん、大変だったろ。」
「いえいえ、普通では体験出来ない事を経験出来て面白かったですよ。
 警察は部屋から覚醒剤とか麻薬を押収したそうです、恐らく組関係者にも場所を教えて無かったみたいで、雅ちゃんはお父さんの知り合いに持ち去られた物が有ると話してましたが、その人達も気付かない様な所に隠してあったそうです。」
「それを見つける警察もなかなかのものだね。」
「父親は事故死する前から薬物関係で捜査線上に浮かんでいたそうで徹底的に調べたそうです、事故死ではなく殺害された可能性も残っているとか…。」
「雅ちゃん達がそう言う世界との関係を完全に断ち切れれば良いのだがな。」
「ですね、ただ遺産相続の手続きは少々厄介みたいです、表向きの借入金は無いのですが、後から個人的な借金返済を要求される場合も有るとかで、その辺りも含め難しい話は弁護士の先生にお任せしました、実際の事例を教えて頂いたのですが私達の住む世界とは違う話で興味深かったですよ。」
「雅ちゃんにはどの程度話したの?」
「教えても問題が無いと大人達で相談した内容は全て弁護士の先生が話して下さいました。
 小五ですがしっかりした子です、施設の職員にとっては厄介な子だったみたいですが、厳し過ぎるぐらいに躾けられていたのでしょう、誰と話しても言葉遣いは悪く無かったです。」
「児童養護施設の職員も大変だろうね、精神的に最悪の子達を預かって…、頭の良い子ほど厄介なのかもな。」
「それは有るかも知れませんね、太一くんはまだ二年生なので…、でも、それまでの環境によっては精神的な障害を負ってる子もいるそうです。」
「ああ、雅ちゃんも夜中に嫌な夢でも見るのだろう、泣き叫ぶ事が有ってね。
 普段は明るく振舞っているが、心に傷を負ってる子なんだ。」
「そうでしたか気付きませんでした…。」
「昼間は誰かが相手してるからな、三郎が帰って来ると一緒に居たそうにしてるが我儘を言わずに料理の手伝いや弟の面倒をみてるよ。」
「環境さえ良ければ、超良い子なのですね。」
「ただ、その裏には父親からの暴力を伴う躾が有ったみたいなんだ、絶対顔や体に傷を付けず痛い思いをさせると言うやり方でな。」
「流石に怪我をさせるのは良くないと考えていたのでしょうか。」
「いや、単に商品価値を落とさない為だと言われてたそうだ…、実の娘では無いとは言えな…。」
「商品ですか…。」
「太一くんが跡取り息子として可愛がられるのとは対照的な扱いを受けていた訳だ。
 まあ、始めは三郎に抱きしめて貰いたくて話を盛っていると言う可能性も考えたが、太一がお姉ちゃんはお父さんにいじめられてたと話してくれてな。」
「そうでしたか、やはり前の暮らしは忘れたいのですね。
 机とかずっと使ってた物をこっちに持って来て使っても良いし、気分を一新して今まで使って来たものはリサイクルに出し、新品を買い揃えても良いと話したら、我儘だと思いますが以前の物はお母さんとのアルバムだけで他は全部忘れたいと、真剣な表情でした。
 そのアルバムからは父親の写真を全て切り取って破棄し、お母さんとの写真だけに、そしてほとんど覚えていないと言う実の父親の写真を、お母さんに貰った一枚だけなのと言いながら貼り…、三郎にせがんでプリントして貰った私達との写真を…、もう…、愛おしいと言うか…。」
「私達は幸せ過ぎだな、もっと厄介な子を引受るつもりだったのに素敵な娘が増えてしまって、はは、歳のせいか涙もろくなってしまったよ。」
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バトル-79 [高校生バトル-08]

「三郎お兄さま、遺産相続の話しは微妙みたいです。」
「微妙?」
「今の所、遺産は部屋を引き払う費用を差し引いても、売れる物を売れば何百万円とかにはなるそうです、でも、どこから借金が出て来るのか分からないそうで、法的に根拠の有る借金が多かったら相続しない方が良いそうです。」
「雅ちゃん、理解出来てる?」
「出来てませ~ん。
 ただ、友香姉さまは一番良い形にしようって、私の将来を考え自由に使えるお金が有ると良いのだけど、もし無かったとしても、普通に進学し結婚するのに不自由をさせないから安心してって。」
「はは、友香姉さんは雅ちゃんが自分の夢を持った時、沢山のお金が必要になる事も想定してるんだよ。」
「でもね、あの人が稼いだお金って…、どんな悪さをして稼いだお金なのかなって思うと…、私もお兄さまみたいに自分の力でお金を稼ぎたいかな。」
「雅ちゃん、僕の場合、自分の力では無くてね、大勢の人に手助けして貰っての給料なんだよ。
 それと雅ちゃんはまだ小学生なのだから、今からお金のことを学習して行くべきでは有るけど、お金の心配をする必要は無いからね。」
「うん、全然心配してないわ、着てる物も心機一転一新したいって言ったらパンツまで全部新品を買ってくれて、却下されると思って言ったのにお兄さまが出して下さったのでしょ。」
「大した額ではないさ、雅ちゃんには気持ち良く僕らの妹になって欲しいからね。
 雅ちゃんが沢山の本を読んで来た子と言うのも嬉しくてね、心機一転だなんて言葉、小学生はあまり使わないだろ。」
「そう言われるとそうかも、でも、それが生意気だって言われた事が有ったかな。」
「全然生意気なんかじゃない、むしろ…、大人達が雅ちゃんの事を実際より大人だと勘違いしないかが少し心配、良い子で居るとか無理してないか?」
「無理なんてしてないわ。」
「雅ちゃんは大人達が考えてることって、それなりに分かるでしょ。
 もっと甘えて良いんだよ、勿論我儘が過ぎたら怒られるけど、そこのバランスを考えながらね。
 お父さんは甘えて欲しそうだな~。」
「でも…、まだ照れくさいと言うか…。」
「お父さんと呼ぶのに抵抗が有るの?」
「そうね、あの人をお父さんと呼ぶ事は必要がなくてあまり無かったけど…。
 お兄さま、パパって呼んだら駄目かしら、パパ、ママって。」
「うん、お父さん達がどんな顔をするのか見てみたい、ついでに少し甘えてみたら?
 一応、僕らは役割分担を考えていてね、お父さんは雅ちゃんを見守る人、友香姉さんはお金の管理を雅ちゃんが自分で問題無く出来る様になるまで担当みたいな。」
「へ~、お兄さまは?」
「雅ちゃんが社会の一員として守るべき事を出来てなかったら叱るのが役目、今の所、叱る必要はなさそうだね。」
「うん、お兄さまとしては叱りたいの?」
「まさか、一番嫌な役回りだから押し付けられたのさ。」
「ふ~ん。」
「あっ、今、わざと叱られてみようと思ったでしょ。」
「へへ、お見通しか、さすが私のお兄さま、もう私が何を考えてるかまで分かってしまうのね。
 ふふ、ちゃんと叱られない様に気を付けますよ。
 春子姉さまの担当は?」
「雅ちゃんに刺激を与えると話してたなぁ~。」
「刺激?」
「ああ、まあ楽しみにしてなって、一度に家族が増えたから少しずつ馴染んでくれたら良いよ。
 そうだな、頼み事や相談事が出来た時、誰を頼るのが一番良いのか分かる様になって欲しいかも。」
「もう大丈夫よ、まず三郎兄さまを頼るけど、女の子の事情については真子姉さまか春子姉さまで良いのでしょ。」
「う~ん、悪くは無いが他の家族も頼られたがってるのだけどね。」
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バトル-80 [高校生バトル-08]

「ねえ、初めて家族全員と会った時、佐伯さんが来てたの覚えてる?」
「うん、会社の人で義兄弟姉妹でしょ…、私も義兄弟姉妹の一員になれるのかしら?
「ああ、真面目に学習に取り組んでいたらみんなが認めてくれると思うよ。
 その佐伯さんの娘さんが六年生なんだけど、僕らの学習会に参加してくれる事になってね、まだスケジュールは未定だけど。
 まあ、学習に来るのが目的だから無理に仲良くする必要はないからね。」
「でも…、どんな子なの?」
「数学が得意でね。」
「六年生でしょ、算数じゃなくて数学?」
「予習で先に進んでいるんだ、雅ちゃんは算数得意だよね。」
「普通に百点だったわ、小学校の算数って簡単なの…、そっか、先に進んでも良かったんだ。」
「僕と真子の出会いは中学生の頃の高校生バトルでね。」
「ふふ、中学生で高校生バトルなのね、でも高校生バトルってまだ良く分かってないかな。」
「僕らにとって学習はゲームなんだ。
 今も高校生バトルの名称で事業展開をしてるのだけど、中学の内容も少しずつ充実させていてね。
 佐伯さんの娘、詩織ちゃんにも確認作業とかで、うちの会社に貢献して貰おうと言う話しになってさ、今までも遊びに来てくれたり、みんなで遊びに行ったりしてたのだけどね、家は一郎兄さん達が住んでる集落だから近いんだ。」
「やはり三郎兄さまのファンなの?」
「はは、ファンかどうかは分からないが仲良しだよ。」
「頭は悪くないのよね。」
「その辺りは遺伝も関係してるのかな、佐伯さんは多くの学生から尊敬されてる人なんだ。」
「そっか、私もね、本当のお父さんは頭の良い人だったってお母さんに言われてたの。
 でも…、あのまま施設で暮らしてたら、学校の成績は悪く無くても、どうなってしまうのか分からなくて…。」
「環境の要因は人の成長に大きな影響を与えるって実感しているのかな?」
「うん、ここに来てまだ大して経っていないのに、顔つきが穏やかになったって言われてね。
 まあ、笑うと言う事を忘れかけてたから…、ここでは誰も学校へ行けとは言わないし。」
「当然さ、学校へ行かなくても雅ちゃんは学習にしっかり取り組めてる。
 同年代の子との付き合いは無くても、大人と接する中で多くの事を学んでいるだろ、弁護士の先生から教えて貰う機会なんて普通の小学生には無いからね。
 僕らは、ただ、雅ちゃんが素敵な大人に成長してくれる事だけを考えているのだけど、今の学校はその為に絶対行かなくてはならないと言う程のものではないと思ってるんだ。
 本を読めば理解出来る簡単な事を時間を掛けて説明されても無駄でしかないだろ。」
「ふふ、ホントに学校へ行かなくて良いのなら、もっと学習したいかも。」
「良し、じゃあ中学生向け新形式の数学バトルが有るんだ、一緒に取り組んでみるか?」
「うん!」
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