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神沢祐樹-131 [高校生会議2-22]

「今年の祭りは激ヤバだったな。」
「ああ、LENTOのお二人に失礼が有っては行けないからと、酒を控える事になって盛り上がりに欠けるのかと思いきや、なぁ…。」
「俺は疲れたよ、とにかくガードしないと絶対ヤバかっただろ。」
「でも収録風景を交代で見られる様にとの、お前の配慮は良かったと思うぞ。」
「こんな田舎で芸能人を見られる機会は無いからな、しかし、あの美しさは…、オーラが半端なかったよな。」
「カップルで金魚すくいをしている光景はまるで映画のワンシーン、見てるだけでドキドキしてしまったよ。」
「テレビで見るのとは全然違った、生歌には鳥肌が立ったぜ。」
「祭りの役員が、なんかどさくさに紛れてお願いしたのを快く引き受けて下さったと聞いたが、めちゃくちゃ得した気分だな。」
「計画の段階でグッズ販売トレーラーショップに違和感を感じていたのに、お二人が帰られた後、真っ直ぐに向かう俺がいたよ。」
「はは、LENTOに乾杯だな。」
「おう、かんぱ~い!」
「お前ら、神沢社長が、ここで工場を整備して事業展開を考えてるって知ってたか?」
「マジで?」
「ああ、もう、建物は確保済らしい。」
「賃料や人件費が安いからだろうな。」
「いや、賃料はともかく、人件費を抑える気はないらしいぞ。」
「そうなのか…、俺は今の仕事やめようかと考えていたのだが。」
「右肩上がりの会社をか?」
「業績は上がっても、給料はあまり上がりそうにないんだ、パートさんの不満を聞くのに疲れてきたしな、それで、何を作る工場かは聞いたのか?」
「お菓子というぐらいしか聞いてない、それよりお前は、社長令嬢と結婚して次期社長を目指すのではなかったのか?」
「はは、冗談はよせ、あんな性格の悪い…、容姿が絵美お嬢さまレベルなら迷うかもしれないが、金の為でも心は売れないぞ。」
「なあ、俺は、祭りにお二人が来られると聞いてから少し調べてみたんだ。」
「おっ、さすが優等生だな。」
「はは、それは高校生時代の話だろ、まあ、神沢社長は現役の高校生な訳だが、彼は地方を変えるという岩崎の考え方を踏襲しようとしているみたいなんだ、このエリアで。」
「根拠は?」
「まず、今回の旅行、このエリアを紹介する形で写真集とかを出す、今日の撮影もその関係だろ、そこに工場の話、グッズの製造は委託しているから、今まで直営の工場は無かったんだ。」
「ここに出来る工場は直営なのか?」
「ご自身で、あちこち挨拶回りをされたそうだからな。」
「例え小規模でも働き口が増える事は町にとってプラスだな。」
「そして健吾が話した通り、給与面の待遇は良いと思う、彼が展開している、障害者に働く場を、という取り組みでも、ここのパートより給料が良いんだ。」
「工場のパートは最低賃金に近いからな、それでも他に無いから働いてくれているけど。」
「そこに、時給の良い職場が出来たらどうなる?」
「動くだろうな、おばちゃん連中は普通に神沢社長の工場で働きたいと思うだろう、いや俺だって、ワンマン親父の下で働き続けるより…。」
「年商十億の会社、社長に成るチャンスを捨てるのか?」
「だから、そんな気はないって…、なあ、真面目な話、転職は早い者勝ちだと思うか?」
「微妙だな、今は押しかけボランティア社員が正社員になるという段階だそうで、新規採用に関する情報は何も無かった。」
「あっ、お前も転職を考えていたのか?」
「まあな。」
「ダメもとでコンタクトを取ってみようかな、工場関連で新規採用が有っても不思議じゃないだろ。」
「だな、思い切るか。」
「お前ら酔った勢いで大丈夫か?」
「俺は勢いだけじゃないぞ、オフィス白川の事は色々調べたからな。」
「俺の直感は、ワンマン親父より高校生社長について行けと、さあ、乾杯だ。」
「俺達の前途を祝して、かんぱ~い。」
「かんぱ~い。」
「はは、社員募集が有るかどうかさえ分からないのに…。」
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神沢祐樹-132 [高校生会議2-22]

「社長、昨日はお疲れさまでした。」
「はは、お疲れと言うより楽しかったですよ、今朝はのんびりさせて貰いましたけど何か特別な事は有りましたか?」
「同行の社員達は予定通り仕事や観光に出かけて行きました、そうですね…、特別と言えば、まだ正式発表していない、ここの工場関連での社員採用に関する問い合わせが有りました。
その一人は、社長が対談された金田社長の会社の方で、今は竹中が対応しております。」
「早かったですね。」
「はい、早い者勝ちになる可能性に気付かれたからではないでしょうか。」
「うちで働きたいという人を全員受け入れられる会社にしたいとは思いますが、難しいですものね。」
「でも、私達、押しかけ社員二千人は何とかなりました、このまま拡大して頂きたいと思います。」
「皆さんのお力ですね。」
「トップに祐樹社長がおられるからです、組織を強固なものにするのは魅力的なトップリーダーですよ。
あっ、竹中さん…。」

「社長、昨日のお祭り会場に見えた方が、新工場の話を聞きつけられたそうで、社員採用に関する問い合わせが有りました。
二名ですが、採用前提で面接をしても宜しいでしょうか?」
「採用計画を前倒しするという事ですね、もしかすると求人関連の費用がかなり節約出来るのでは有りませんか?」
「はい、地元の方を採用出来れば、後は口コミだけで予定人数までスケジュールに合わせて雇用、研修と進める事が出来そうな気がしています、前倒し分の給料は、予定していた求人コストから回せば足りるでしょう。」
「では、面接をお願いします…。
そうですね、折角ですから、夕食にお招きして地元のお話しを聴かせて頂くというのはどうですか?」
「良いですね、今日はお休みだそうですので、話を進めておきます。
人物調査も佐藤と二人で他の作業の合間に出来そうです。
早ければ九月一日付けでの採用、履歴書を見る限りでは問題ないと思っています。」
「竹中さん達は来週のイベント前までここに滞在ですよね、彼等との流れから地元の方との飲み会が出来るのでは有りませんか、費用は自分が出しますので積極的にお願いします。」
「はは、うちの社長の奢りだぜっ、てやっても宜しいのですか?」
「う~ん、五十万では少ないかな…、この地に協力者を増やすという費用対効果を考えた上でなら百万まで使える様にしておきます、それ以上必要になる場合は連絡して下さい。」
「分かりました、後にそれ以上の価値を生みだすであろうという時には使わさせて頂きます。
でも、社長を…、そうですね、社長とあのワンマン社長との違いを見せつけるのに、そこまでの金額は必要無いですよ。」
「まあ美味しい物でも食べて下さい、健康には気を付けて。」
「はは、佐藤は太り気味ですから自重させます、ただ、彼は工場近くの国道沿いに社員食堂代わりにもなる飲食店を開業するプランを練り始めていまして、この地の美味しい物を研究するとか言いながら食べ歩きの計画を立てているのですよ。」
「はは、楽しみですね、でも、それこそ地元の方に教えて頂いたら良いのでは有りませんか。」
「あっ、その通りです、この地での展開をもう一度相談し直しておきます。」
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神沢祐樹-133 [高校生会議2-22]

「神沢社長、今日は有難う御座います、突然のお願いに対して面接をして下さっただけでなく食事の席に同席させて頂けるとは思ってもいませんでした。」
「いえ、楽になさって下さい、私共が一つの拠点として選んだこの土地の事を教えて頂けたらと思っての事なのです、大門さんは金田社長の会社に勤めておられるとお聞きしましたので、会社の話も問題のない範囲で教えて頂けたら嬉しいです。」
「あっ、はい、金田社長が典型的なワンマン社長だとはお分かり頂けたでしょうか?」
「まあ…、パワー溢れる社長が会社を引っ張って来たのですね。」
「いえ、実際は社長がいなくても、いえ、社長がいなかったらもっと伸びていると思います。
実力の有る幹部がその力を発揮出来ていなくて、自分も幹部候補では有るのですが、色々考えてしまっている時に、御社の工場が出来ると聞きまして。」
「それにしては決断が早かったですね、私共は動き始めたばかり、正式発表もまだなのですが。」
「はい、出来ればこの地で転職したいと考えていましたが、田舎町の事、簡単には行きそうなく。
オフィス白川の事は下平が調べていて…、そうですねタイミングを逃したら自分達にチャンスはないと。」
「そうでしたか、お二人は例えば工場長とか、この地に子会社を設立した場合の社長とかに興味は有りますか?」
「えっ、その様な事は考えていませんでした。」
「これまでの経歴を考えると、それぐらいのお力は有ると感じましたが。」
「有難う御座います、自分の力を発揮出来るポジションでしたら何でもさせて頂きます、大門も人に好かれ、部下に慕われるタイプです、新工場で働かせて頂けたらきっとお役に立てると思っています。」
「祐樹さま、頼もしい方々ですね、私達の挑戦を手伝って頂きたいと思いませんか?」
「そうだね、決定を先延ばししても何のメリットもない、竹中さん如何ですか?」
「はい、問題有りません。」
「では、お二人さえよろしければ、我が社で働いて頂きたいのですが。」
「お願いします。」
「では、もう少しリラックスして下さい、ところで、何か楽しい話は有りませんか?」
「そうですね…、実は、この大門という男、金田社長の娘に狙われていましてね。」
「はは、それは興味深い、お~い千恵、面白そうな話が聴けそうだぞ~。」
「え~、なになに?」
「おい、下平、ここで話すのか?」
「良いじゃないか、次期社長候補だった事を隠す必要はないだろ。」
「大門さん、もう遅いですよ、諦めて話して下さい、あっ、ビールですか日本酒ですか、今のメンバーは独身者ばかりですから、参考にさせて下さいね。」
「社長令嬢って、私は絵美お嬢さましか知りません、どんな方のです。」
「ご本人は話しにくいでしょうから、下平さん、お願いします。」
「はは、大門諦めろ、ここは社内恋愛推奨なんだから、男らしくしておいた方が良いと思うぞ。」
「あ、ああ、何か気付いたら、綺麗な人ばかりだな…。」
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神沢祐樹-134 [高校生会議2-22]

「下平さんの話、面白かったね。
ねえ、祐樹くんは絵美と付き合い始めた頃、社長令嬢って意識してたの?」
「まあね、出会ってすぐに白川社長と話したし、絵美と付き合う事の意味を考えたよ、それなりの覚悟が必要だったからな。」
「でしょうね、金田社長の所とは規模が全然違うものね。
それにしても、下平さんがあれだけの話をされたという事は、大門さんから愚痴を聞かされていたのかしら。」
「だろうな。」
「でも、あそこまで性格に問題が有る人達って身近にいないでしょ、下平さんのお話しをそのまま信じて良いのかしら。」
「はは、お話しに出て来る悪役そのものだもんな、話が本当かどうかは従業員募集を始めればすぐ分かるだろう。
金田社長がどうしてそうなったのかは対談の時に分かった気がするが、娘さんに関しては今後の研究課題かな。」
「容姿が今一、頭が悪くて性格最低って、どうなのかしら。」
「お金に恵まれ過ぎてなかったら、性格だけはなんとかなったかも知れないな。」
「同じ社長令嬢でも、絵美の場合、容姿は最高、頭が良くて、性格は…、悪くないとは思うものね…。」
「えっ、私の性格は微妙なのですか?」
「ぜんぜん問題無いよ、絵美は今のままでいてくれな。」
「あ~ん、祐樹くんは絵美に甘すぎるわ、私だったらもっと尽くすのに。」
「はは、でもさ、下平さんは大門さんを高く評価しておられただろ、自己アピールではなく友人の評価を上げたいという心が伝わって来て、何か気持ち良かったな。」
「性格の良さか…、性格の良し悪しって先天的なものも少しは関係するだろうけど、ほとんどは後天的な家庭環境でしょ。」
「そうですね、ここで出会った人達は皆さん素敵な人ばかりでした、豊かな自然に囲まれていると、コンクリートばかりの東京とは違うみたいです。」
「う~ん、否定はしないけど、絵美、それだけでは無いと思うわ、にこにこしてる二人の前では皆、良い人になってしまうのよ。
絵美は東京にいた頃、あまり笑わなかったと聞いたけど。」
「そうですね…、柿川に越して来てから、周りの皆さんが優しくして下さって。」
「はは、祐樹くんがでしょ、それで癒された絵美が今は周りの人を笑顔で癒してるのよ。
性格が変わったんじゃないの?」
「そうでしょうか?」
「自分では気づきにくいだろうな、千恵もだけど、俺達、成長したと思うよ、入学した頃よりも。」
「う~ん、金田社長の娘さんも変われるのかしら。」
「どうだろうね、金田社長次第では今まで通りの生活を維持出来るだろうから変わる必要が無いかもしれない。」
「大門さんの話では、結婚出来なさそうでしょ。」
「分からないぞ、資産目当てという人が現れるかも知れないだろ。」
「それはそれで不幸になりそうな…。」
「千恵は良かったな、性格が悪くなくて。」
「それって容姿が今一って事?」
「そんな事無いさ、社員達に可愛がられているだろ。」
「でも、年上過ぎて…、私は目の前の仲良しカップルに刺激され過ぎてさ…。」
「移動後の明後日辺りから、社員の家族や現地の高校生会議メンバーとの交流も始まる、まあ、色々頑張ってくれよ。」
「そうね…、頑張って祐樹くんと比べない様に気を付けるわ。」
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神沢祐樹-135 [高校生会議2-22]

「祐樹社長、長めの滞在となりましたが、この地は如何でした?」
「そうですね、連泊しましたし、自分達の拠点に出来ると確信しましたので、すでに愛着を感じています、田中さんは楽しめましたか?」
「はい、ただの観光だけでは有りませんでしたので、会社の仲間達とも盛り上がったのですよ。」
「それは嬉しいです、皆さん普段はバラバラですから、話題に困らないかと少し心配していたのです。」
「ふふ、共通の話題が有りますからね。」
「仕事ですか、仕事を離れた趣味の話でも盛り上がって欲しいです。」
「仕事を離れても全員LENTOのファンなのですよ。
今も私の事を羨ましがりながらファンクラブのメンバー同士、バスの中で盛り上がっていると思います。
美しき王子さまが可憐なお姫さまと出会い恋に落ちる、リアルおとぎ話の世界を堪能させて頂いてますので。
お二人の素敵なエピソードは優香ちゃんや千恵ちゃん協力の元、多くのファンが知る所となりましたでしょ。」
「はは、絵美は少し天然な所が有って、そこがまた可愛いのです。
ところで、ここまでは彼氏彼女のいない独身社員中心に社内恋愛推奨の意味合いが有ったのですが、そちらの方は如何でしたか?」
「ええ、お二人を敬愛する者同士意気投合して何組か成立しそうです。
結婚したらこの地に越して来て、岩崎が柿川に拠点を築いた様に、なんて話している人もいますよ、工場の話やワンマン社長の話でも盛り上がっています。」
「話題は結構有ったのですね…。
ところで、この機会に少し伺って置きたいと思っていたのですが、田中さんはダブルワークの比率をこちら寄りに増やして下さっていますよね、向こうの職場的には大丈夫なのですか?」
「問題無いです、私達には岩崎標準の職場を拡大する、という目標が有ります、私の場合、今の状況なら年内にはダブルワークを終えオフィス白川のみにさせて頂けると思います。
向こうの職場も人気が有りますから枠を空けたいのですよ。」
「安心しました、何か有ったら何時でも応援に、でしたね、業務内容をある程度把握している人を増やしておくというメリットが有ると聞きましたが、企業グループ内で協力し合う、うちは資本こそ別ですがその一員、すごいシステムだと思います。
逆に言えば、うちは設立間もない会社なのに何重もの保険で守られている様なもので、少し申し訳ないのですが…。」
「そんな事…、我が社の年商がいったいどこまで伸びるのか現時点では予測不能、それが社会福祉にも目を向けた上での事なのですから。
皆さんが応援したいと思うのは社長のお力です、胸を張って下さい。
社長の魅力が私共を動かしたのは紛れもない事実ですし、LENTOファンは爆発的に増えているのですよ。」
「う~ん、正直言って中学生の頃描いていた社長像とはかなり違います。」
「並みの社長何て目指さないで下さいね、岩崎の社長達にも常識外の人は何人もいます、祐樹社長も別格ですよ。」
「社長としてあまり働いてない気がするのですが。」
「いえ、これ以上社長に雑事をさせたくないというのが社員の想いだとご理解下さい。
祐樹社長が気持ち良く絵美お嬢さまとの時を過ごされ、私共に笑顔と歌を下さる事は、僕にとって最大の喜びなのです。」
「僕だなんて…。」
「私はこうしてお話しさせて頂けるだけで幸せ、主君の為、王家の為にと働いた先人達の気持ちが良く分かります。」
「大袈裟ですね…、でも、そう思って下さるのなら嬉しいです、会社は利益追求の為に存在すると言う人がいますが、それだけではないです。
社員の幸せ、お客様の幸せを考えず、社会問題を引き起こしながら営利だけを求めて来た企業が、社会のバランスを崩し、老いた国にしてしまったと思います。
それに対抗して行くには笑顔で働く仲間が必要です、自分達の存在がその力となるのでしたら、LENTOとして社長として頑張って行きたいと思います。」
「その様な事をさらりと話して下さる社長ですから、一生ついて行きたいと思うのです、今の話は他の社員に伝えても構いませんよね。」
「はは、そこまで守秘義務を心配されなくて構いません、ただ千恵がだらしなく口を空けて居眠りしてるのは、昨夜遅くまで数学に取り組んでいた影響ですので内緒にしてあげて下さい。」
「はい、分かりました、それにしても絵美お嬢さまは、寝ててもお嬢様らしくて、崩れないのですね。」
「う~ん、特技なのかな。」
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神沢祐樹-136 [高校生会議2-22]

「祐樹社長、後三十分程で今日の目的地に到着します。」
「思ったより早かったですね、現地の高校生会議イベントにも早めに行けますか?」
「はい、何か楽しみにしてらっしゃる事でも?」
「ええ、体育館でバスケ部に混ぜて貰う話を通して有ります、そろそろ体を動かしたいのですよ。」
「そうでしょうね、ここまで大人の相手ばかりで…、でも、イベントですから大勢の人に囲まれる事になりそうです、大丈夫ですか?」
「もう慣れましたし、グッズ販売トレーラーショップの売り上げに貢献したいですからね。」
「まさか、売り上げが予定に足りていないなんて事は有りませんよね…。」
「そんな状態ならのんびりしていません、強気で用意した分が売り切れる勢い、今も柿川から追加の商品を積んだトラックがこちらに向かっています、しっかり稼いで投資を前倒しして行きたいのですよ。
工場の操業が始まる前に、廃業を考えていた食堂を買い取ってリニューアルする話が出ましてね。」
「いつの間に…。」
「まだ決定では有りません、でも社員の皆さんが資金を必要とする提案をされた時に、太っ腹な感じで承認したいじゃないですか、その資金が借金でなく我々が稼いだお金なら安心ですよね。」
「はい。」
「企業を拡大して行く過程で、借金をしてでも投資して行く事は必要なのですが、今はまだ自己資金で回す時期だと思っています、急ぎ過ぎないという事で。
今回の旅行も借入金が有っての事では、皆さん落ち着かなかったでしょ。」
「ふふ、LENTOのCDやDVD、そしてグッズが売れ続けていると聞いてますから安心してますよ、インディーズが故にスピードが遅い分利益率が高く、レギュラー番組での宣伝効果で累計販売枚数がどこまで伸びるのか分からないのですよね。」
「ええ、メインターゲットを小学生と考えていましたが、中高生にも広がりつつ有る様で嬉しいです。
今日のイベントでは要望が有って、少し歌わさせて頂く事になっているのですよ。」
「そうでしたか、聴けなくて残念です。」
「田中さんの予定は?」
「一足先に、今回のメインイベントの準備に向かいます。
家族連れの社員にはゆっくりして欲しいですから。」
「有難う御座います、休む所は休んで下さいね。」
「それは、社長の方が心配ですよ、今日のイベントは軽めでしょうが、明日はロングインタビュー、かなり注目される番組で、LENTOの話より会社社長としての話がメインになると聞いています、旅のメインとなるホールイベントも近づいていますし。」
「そうですね、インタビュー番組は確かに緊張しそうですが、ここまでの総括をし我が社の目標を確認させて頂く良い機会だと思っています。
田中さんから色々なお話を聞かせて頂けましたから、自信を持って望めますよ。」
「ふふ、ほんとにそうなら嬉しいのですが、気を遣い過ぎないで下さいね。」
「気を遣っての社交辞令は苦手なんです、なんか嘘をついてるみたいじゃないですか、せめて大人になるまでは正直でいたいです。」
「社長ったら…、社長はすぐに人を褒めるじゃないですかぁ~、それが正直な気持ちだなんて…、今のセリフは世の男どもに聴かせてやりたいです、う~ん、絶対移動中の様子を聞かれますから、如何に祐樹社長が素敵な方なのか、今一度、話して聞かせますね。」
「えっ、そんなに特別な事でもないでしょ。」
「いいえ、特別なんです!」
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神沢祐樹-137 [高校生会議2-22]

「祐樹さま、今日のイベントは高校生中心でリラックス出来ましたね。」
「ああ、バスケで体を動かせたし、ミニコンサートも盛り上がって楽しかったな、どう、ここの人とは話せた?」
「ええ、皆さん少しぎこちなかったですが。」
「まあ、絵美みたいな美少女に慣れていないのだろう、何か、気になる話はなかった?」
「有りました、即答出来なかったのですが、高卒大卒の新規採用計画は無いのかと聞かれまして。」
「あっ、そう言われてみれば、工場関連で中途採用の計画は有るけどそれ以外は考えていなかったな。」
「ダブルワークの方々がまだ流動的ですものね、でも、今の勢いなら新卒者の雇用も視野に入れるべきかも知れません。」
「う~ん…、準備期間を考えると今年度は無理だろうから、来年度以降という事になるのかな。」
「ですね、今の時期だとすでに内定が決まっている人もいるのでしょうか…、ふふ、祐樹さま、売れ残りを採用と言うのは如何ですか?
岩崎の理念、我が社の方針とも合うと思います、採用人数は皆さんと相談しなくてはなりませんが。」
「そうだな、他社の採用試験に落ちた人も普通の社会人として働いて欲しい。
採用試験に落ちまくった人が必ずしも能力的に劣るとは限らないし、とんでもない人を採用した場合は、今後の展開を考える参考にしよう。
うちは、多角経営をしなくては申し訳ない様な多種多彩な人材を抱えているのだから、適材適所で何とかなるだろう。」
「では、提案として文をまとめておきます、工場での新卒採用も考えて頂きますね。」
「ああ、工場を拡大し、いずれ金田社長の会社を吸収して行く事を考えたら、人手は必要になる。
それと障害者雇用も考えていかないとな。」
「はい、色々な形でグッズ製造をお願いしている方々がより安心して暮らせる様にしたいです。」
「次のCDが売れてくれれば余裕が出来るのだけど。」
「今度のイベントからプロモーション活動スタートですね、私も頑張ります。」
「気負い過ぎるなよ、君の疲れた顔は見たくないし、見せたくないんだ。」
「気を付けます、でも祐樹さまと一緒ですから作り笑いをする必要がないのです、中学の頃は撮影で上手に笑えない事が有ったのですが、今は、モデルの仕事も番組の為の撮影も、特別に飾る事無く自然に出来てる気がします。」
「それなら良いけど…、そうだな、俺も自然体を心掛けるよ。」
「ふふ、明日の収録は祐樹さまが普段話されている事を皆さんにお伝えするだけですものね。
私も、普段通り祐樹さまのお話しをさせて頂きたいのですが、止まらなくなるからNGだと言われてしまいました。」
「はは、もう皆さんご存知、俺も絵美の気持ちは分かってる、人に教える必要は無いよ。」
「はい…、でも本当に祐樹さまを好きだという気持ちは、色々な感情が入り混じって…、秘めてはおけない恋心なのです。
秘めていたら、祐樹さまの特別にはなれそうに有りませんでしたでしょ?」
「そうでもないが…、まあ話が早くて良かったかな、好きだよ、絵美。」
「ふふ。」
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神沢祐樹-138 [高校生会議2-22]

「本日はゲストに現在話題沸騰中、LENTOのお二人をお招きしました。
今は社員旅行の真っ最中という事ですが、絵美お嬢さま、旅は如何ですか?」
「はい、素晴らしい出会いが有り、楽しく充実したものとなっています。」
「会社創立から間もない時期に結構な規模の社員旅行だそうですね?」
「ええ、祐樹さまの呼びかけに応えて下さった社員の方々は、短期間で大きな成果を上げて下さいました、それに対する感謝の意味合いと、ふふ、社員旅行と言っても半分はお仕事なのですよ。」
「柿川フレンズの宣伝やグッズ販売なども並行して行っているとは聞いていますが、実際はどの様な事なのです?」
「今回旅行しているエリアは観光協会の方とも相談し、私共の活動とリンクさせて頂きます、柿川フレンズ、LENTOの写真集やDVDの舞台として注目して頂きたいと考えています。」
「これからは、柿川に拘らないという事ですか?」
「はい、柿川での成果が当初の予測を遥かに超えましたので、地方の活性化という目標を明確に示す、そうですね次のステップに移行し始めていると考えて下さい。」
「神沢社長、絵美お嬢さまのお話しは、会社が順調だという事ですね?」
「ええ、我が社の筆頭株主、絵美の父親でもある白川社長が用意して下さった資金を元に、ボランティア社員となって下さった方々が結果を出し、更に先の見通しが立っています。
普通では考えられないスピードは、世にインパクトを与えたいという社員達の想いが有ってのこと。
そのボランティア社員達には全員正社員となって頂きました、我が社では短時間労働の方が多いのですが。」
「岩崎のダブルワーク制度ですね、ダブルワークにつきましては当番組でも取り上げさせて頂いた事が有ります、あっ、お二人も高校生で有りながら会社経営と歌手活動、トリプルワークとも言えますね、大変では有りませんか?」
「会社は多くの社員に支えられています、歌手と言ってもライブ活動はあまり行っていませんし、レギュラー番組も普段の生活をそのまま撮影して頂いてますので時間を取られていないのです。」
「そうですか…、会社の成功はやはりLENTOの人気によると単純に考えてよろしいですか?」
「それは正確では有りません、そもそも、会社を立ち上げようという段階で、柿川フレンズの構想は有りましたがLENTOは存在すらしていませんでしたので。
ただ、売り上げの伸びるスピードが当初の予定より格段に早まったのは皆さんがLENTOを支持して下さったお陰です、有難う御座います。」
「ここからは起業時のお話しを伺わせて下さい。
神沢社長が起業されるきっかけとして、絵美お嬢さまや白川社長との出会いは、あちこちで取り上げられていますが、その前の段階、起業に至る過程はどの様なものだったのでしょうか?」
「そうですね、会社というものについて考え始めたのは中学生になってからです。
柿川市民コーラスを通して社長、取締役と言った肩書をお持ちの方と知り合い、その結果として岩崎雄太社長の理念を知り、彼に傾倒する所となりました。
企業の役割という視点が他の企業、企業グループとは大きく異なり、皆さんもご存じだと思いますが社員の幸福を重視しておられて、私の父がその一員で有る事を誇らしく思っています。
そのお考えを更に進める事が出来ないかと中学生ながらに考えていたのが起業への始まりと言えます。
柿川では遥香さまが高校生で社長となられましたが、その後も高校生起業の道を先輩方が開いて下さっていましたので自分も挑戦したいと考えていました。
正直、高一の始めから実現出来るとは思っていませんでしたが、絵美や白川社長との出会いをきっかけに急速に進んだ訳です。」
「そこで多くの大人を動かせたポイントはどこに有ったと考えておられますか?」
「会社の在り方、その未来を提案させて頂けた事だと思います。
企業は基本的に利益を追求する存在ですが、力の有る企業の頑張りによって日本社会はアンバランスな状況になっています。
明日の日本を冷静に考える事の無い利己的な経営の結果ですね。
岩崎がそれに対抗して来た訳ですが、私は小さな会社なら岩崎雄太社長の理念を更に推し進めた形を実験的に試す事が出来るのではないかと考えました。」
「それが起業時の理念という事ですか。」
「はい、生産性を上げる事が苦手な人を、能力の高い人がカバーし、社会的弱者であっても社会の一員として胸を張って暮らせる、そんな社会を実現出来る企業の在り方を提案させて頂きました。」
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神沢祐樹-139 [高校生会議2-22]

「その、神沢社長の掲げた理想に、多くの方がボランティア社員という普通では考えられない形で応じられたということですね。」
「はい、岩崎高校生会議や遥香システム有っての事ですが、ボランティア社員は現在の総務部長が提案、そこから一気に盛り上がりまして、一部の総務系社員を除き、自分達の給料は自分達で稼ぎ出す、黒字にして堂々と給料を受け取る、社内組織も、まず基本形を作りそこから必要に応じて変化させて行くという事でどんどん話が進みました。
とにかく入社を希望して下さる方が多過ぎましたので、全員を受け入れるには他に方法が無かったのです。」
「社員の皆さんは、神沢社長のファン、今はLENTOのファンだそうですね。」
「はは、子どもの頃から目立ってまして…。」
「その起業時に社員の方々の心を掴んだポイントの一つが、ハンディをお持ちの方にお仕事を、という取り組みですね、現時点ではどうなっているのでしょうか?」
「スタートから間が有りませんが着実に進んでいます、協力して下さる方がすごく多いのですよ。」
「ボランティアの協力が多いという事でしょうか、でも、寄付では無く投資、という言葉を耳にしていますが。」
「今はボランティアの方々に支えられていますが、製造現場の環境改善を社員一同考えています、そして、小さな施設であっても自力での黒字化を目指す、その為の投資です、寄付や行政からの支援で支えられ続けると言うのではなくマネジメント体制を確立し、事業所としての収益をあげる、簡単な事では有りませんが担当社員はそのまま、子会社化もしくは吸収合併を考えています。」
「元は非営利、福祉系の施設をですか?」
「ええ、同じ作業をするにしても、多くの支援を受けて働いているのと、自力で利益を出しているのとでは、働く人の意識に大きな差が出来ると思いませんか。
私達は、商品にオリジナルグッズという付加価値を付けさせて頂く事で利益を確保し、製造に携わって下さっている方々の給料をまともな金額にしようと考えているのです。」
「企業にとっては重荷としか思えませんが。」
「はは、重荷ではなく実現可能な目標として、うちの社員は素敵な人ばかりなのですよ。
ただ単に利益を追求するのではないハードルの高い取り組みに、何の躊躇いもなくトライしてくれる最高の仲間が我が社の社員達なのです。」
「でも簡単な事では有りませんよね?」
「そうですか? 会社を黒字にし、それを維持出来るメンバーが集まりました。
そこで得られた利益の一部を、社会の為に投資する、それだけの事です。
我が社は規模が小さいですが、もし、莫大な利益を上げておられる企業がその利益の一部を社会問題解決に充てていたら、日本はもっと良い国になっていたと思います。」
「大企業はそれなりに社会貢献を考えてると思いますが。」
「はは、真剣に考えていたら非正規雇用で人件費を抑える、なんて発想は出て来ないです。
人を大切にしていたら、貧富の差が広がらなかったでしょうし、それに伴う少子化問題もここまでは悪化しなかったと思いませんか?」
「神沢社長は企業の責任という考え方なのですね。」
「はい、現代社会に於いて巨大企業は小国家と言えるだけの存在です。
そのトップは選挙で選ばれた訳では無いのですが。」
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神沢祐樹-140 [高校生会議2-22]

「起業された段階で、企業の在り方を考えておられたという事でしょうか?」
「ええ、ひたすら営利を追求すると言う、企業の概念そのものを変えて行かないと日本は、いえ世界は良くなって行かないと考えています。」
「難しい話ですが。」
「そうですね、AIが普及し機械化が進んだとしたら社会はどうなると予測されているかご存知ですか?」
「雇用の場が減るとかですね。」
「人類の未来を考えず貧富の差を更に広げる、各企業はひたすら自社の利益を追い求め続けるのでしょうか?」
「確かに…、私も番組を通して企業の営利追及の現場を見させて頂きましたが…、弱者を排除して行くという感覚が有る事は否定出来ません。」
「少し視点を変えて、様々な経済活動が効率化され尽くしたら、人は何をすれば良いと思いますか?」
「う~ん、お金が有れば遊んで暮らすという事でしょうか。」
「お金の無い人は暮らして行けませんし、ただ遊んで暮らすというのも味気ないです。
自分達が柿川フレンズをイメージしたのは、趣味の活動を後押ししようと考えての事。
柿川市は残業の無い企業が多いので趣味の活動が盛んですが、生活を豊かにする趣味の世界はAIの普及や機械化とも折り合いが付けられると思うのです。」
「それが、芸能活動をビジネスにと考えられた背景なのですね、ビジネスモデルとしての柿川フレンズを少し教えて頂けますか?」
「はい、柿川は市の規模の割に音楽活動などが盛んです、ですが、それでも施設は限られています。
私達は、アマチュアでも比較的人気の高いバンドやコーラスグループ中心に声を掛け、柿川フレンズという集合体を作りました。
まとめた事により、ライブ日程の調整がスムーズになっただけで無く注目度が上がった訳です。
ライブを開いても五十人ほどの集客力しかなかったバンドが三グループ共同ライブを開くと五百席が埋まるとか、CDを出しても千枚売るのに苦労していたバンドが軽く二千枚完売出来る様になって来ました。」
「相乗効果という事ですね、もちろんLENTOの活躍が全体を引っ張ったとは思いますが、LENTO以外は大きな利益とまでは行きませんよね。」
「ええ、ですが秋から冬にかけては、飲食店のイベントで演奏を披露したり、結婚式で歌声を披露など、一つ一つは小さくても、柿川フレンズの様々な展開で柿川を生演奏で溢れる市にして行きます。
それと並行し、柿川フレンズ、LENTOのグッズとして様々なアイテムを紹介させて頂いているところを更に充実させて行きます。
便利なのに余り日の目を見ていなかった商品のデザインを特別仕様にし販売させて頂いたところ、まあ、グッズと言うより、新ブランドという感覚を持って頂く事に成功し大きな売り上げとなりつつ有りますので。」
「それが可能になったポイントは何でしょう?」
「優秀な社員の力です、僅かな時間で平凡な商品のデザインを変えヒット商品に作り替えてしまう人や、その企画をハイスピードでメーカーサイドと調整する社員がいます。
また、我が社の理念をアピールし企業イメージ、ブランドイメージを高める事を考える社員がいたりと、人の力ですね。
岩崎高校生会議のメンバーも協力して下さっていますし。」
「優秀な方々が神沢社長の元に集まったという事ですね。」
「いえ、自分の元にというよりは、実験的取り組みを成功させたいという人達が結集したという事です。」
「絵美お嬢さまは同意されていない様ですが。」
「はい、社員の皆さんは祐樹さまの事がとてもお好きなのです、社員達から愛される存在がトップにいる事の意味を考えて頂けたらと思います。」
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