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近衛予備隊-291 [高校生バトル-72]

 学校に関係する法整備の検討は進んでいる。
 義務教育内容を私立学校でも必修とし全国で統一する方針に基づき、教科書の内容も再検討。
 法律上義務教育に関する内容は国定教科書に沿ってとなる。
 王国騎士団メンバーとの食事会、今日は国立学校で教職に就いている人達と。

「教科書の見直しには君たちの意見も反映されるのかな?」
「今まで議論を重ねて創り上げて来た教科書ですが、私立学校で使われることは想定していませんでしたのでその見直しが中心になります。
 私達現場の教師が口出しする必要は無いでしょう。」
「なるほど、担当者にお任せと言うことだね。
 私立学校は一年ごとに進級、国立学校は単位習得試験に合格したら教科毎に先へと進む、そのどちらでも問題なく使える様に検討しているが、教科書の使い勝手が悪くなる可能性はないのかな?」
「完成したものを使い問題が有ったら修正して行く、今の教科書はそうやって作られて来ましたので、これからも同様になると思います。
 用意された学習内容を何の疑問も抱かず教えて来た私立学校の代表者は、王国騎士団のリーダーに対して論理的に説明出来ないと聞いていますので心配していません。
 ただ、今まで義務教育の内容を中心に検討して来ましたので『集団とリーダー』など、選択教科の教科書は今も簡単なまま、履修する生徒の少ない教科は一人の教師が複数を同時に見なくてはならないことも有り、指導が充分とは言えません。」
「そうか、『農作業実習』とかなら現場の人に任せられるが、それが出来ない教科だね。」
「教材が充実すれば自習中心に出来、生徒同士で理解を深め合ってくれるとも思うのですが、近衛予備隊のメンバーとは違い意識も能力も低いですから…。」
「選択教科の為に教員を増員すべきなのかな?」
「そこは微妙なのです、増員された教員の資質が…」
「確かに誰でも良い訳ではないものな、スタート時はカリキュラムもいい加減で教師役を国軍の兵士に押し付けたりもしたが、君達が頑張ってくれたから、もうそんなレベルでは無い。
 近衛予備隊の様に、先輩が後輩の指導をすると言うのはどうだ?」
「その先輩を育て切れていないのです『教える』を選択してくれる子も少ないですし。」
「教員を目指す子が少ないのか?」
「自分達が将来就く職業としては、親の仕事をイメージしてる子が多いのです、彼らの親に教師はいません。」
「教師の資質を持った子は?」
「いるのですが、そんな彼らには技術者の道を歩んで欲しいとも…。」
「う~ん、どうなるか分からないが、近衛予備隊メンバーを、まずは君の学校に送り込んでみようか。
 小さい子達の指導をして貰いつつ、年長の子達と共に学ぶ時間は作れるだろ。」
「希望してくれる子が居れば良いのですが。」
「教育実習生とセットで送り込むよ、彼らにとっては日本からの教育実習生をフォローする実習としての派遣になるかな。」
「私の赴任先は王国から結構離れているので教育実習生が来ないのですが。」
「君が指導担当教官になってくれるのなら、すぐに希望者が出て来るさ、募集は原則指導教官の写真付きだからね。
 教育実習生には厳しく、予備隊メンバーには優しく頼むよ。」
「ジョン王子にお願いされたら断れません。」
「教育実習生の資質も見極めて英語教員養成専門学校へ報告を入れて欲しいのだが、それは予備隊メンバーと相談しながら、となると忙しくなり過ぎるのかな?」
「近衛予備隊と言う部下を付けるからもっと働けと言うことですよね、自分が楽になるかどうかは私の指導力次第、予備隊は人数が増えて若干レベルが落ちたとは聞いていますが、それでも間違いなく能力の高い子達、是非お願いします。」
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近衛予備隊-292 [高校生バトル-72]

「国立学校での学習は君たちが近衛予備隊で経験したのとは随分違うのかな?」
「そうですね、近衛予備隊は十二歳以上ですし学習に前向きな子ばかりですが、国立学校では学習意欲の無い子もいます、六歳から十五歳までの他に英語学習などに取り組む大人も来ていますので。」
「大変そうだな。」
「でも、近衛予備隊が特別なので有って、彼らは普通の子達なのです。
 ただ、リーダーになって手助けしてくれそうな子は十二歳から予備隊に入ってしまうので…、自分の指導した子が近衛予備隊に入隊してくれるのは誇らしいことなのですが、残念な気持ちも有ります。」
「成程、近衛予備隊隊員を実習生として派遣する話は前向きに進めるよ、まずは十六歳ぐらいから試すのが良いかな?」
「はい、それでお願いします。」
「ジョン王子、近衛予備隊から高等学校へ移行する話を聞いたのですが、高等学校は何歳からになるのですか?」
「高等学校のスタートは近衛予備隊をそのまま移すから十二歳からになる。
 高等学校に名称を変更する時点で、生徒が希望する専攻に応じた学習環境を更に充実させて行くと担当者は張り切っているよ。
 う~ん…、近衛予備隊で行ってる学習内容を国立学校に下ろして行くべきなのかな。」
「職種によると思いますが…。」
「確かにそうだ、インフラ整備関連の現場作業から現場監督程の知識は無くても、それなりに分かってる人材が欲しいと聞いたことが有る。
 そう言った職業訓練は国立学校はでなく職業訓練校が担った方が良いのかな、君たちはどう思う?」
「先進国では十八歳ぐらいまで学校に通う所が一般的で更に大学に進学する人も少なくないと聞いています、それを考えたら義務教育年齢を過ぎてから職業訓練の学校に通うのは悪くないと思います。
 国立学校では、近衛予備隊と違って職業訓練の成果は充分とは言えないのですが、普通の子の成長速度を考えたら彼らが特別怠惰と言う訳では有りません。」
「ジョン王子、職業訓練校を充実させるにしても、そこまでの予算は有るのですか?」
「難しい所だ、国立学校の予算を増額するのにも反対する人がいるぐらいだからな。
 職業訓練校を充実させて行くとしたら、会社の予算で出来ないか検討して貰うことになる。
 入社前から社員教育をして行くのだと説得すれば…、その対象となる人数にもよるが。」
「そこは、会社が必要としてる人数を基準にすれば良いと思います。
 農業改革や工場の増加で働く先は有るのです、ただ、その労働力の質をワンランク上げることを考えると、そこには誰かに強制されることなく、上を目指す気持ちの有る子が必要だと思うのです。」
「自分の意思で職業訓練校を目指す子の為の訓練校にすべきなのだね。」
「はい、職業訓練校は高等学校にしないのですか?」
「それは検討に値するね、学校制度はまだまだ完成に程遠いからな。」
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近衛予備隊-293 [高校生バトル-72]

「十六歳になった子達の進路はどうなってる?」
「学校に通い始めた時期が様々ですので、十六歳でもようやく読み書きが出来る様になった程度の子もいます。
 そんな子は農園の下働きをしながら学校に来てましたので、そのまま農園で働いていますが、こちらが用意している義務教育の内容を終えた訳では無いことを理解して、そのまま学校へ通ってる子もいます、大人向けの夜間部に変わって続けている子も。
 給食目当てだけの子もいますが、自分の生活を向上させたいと学習に取り組んでいます。」
「給食目当てでも良いのだよ、貧困対策が一つの目的だからな。」
「貧困層は農園の下働きでも、ジョン王子の指導により最低賃金が上がりましたので生活はマシになっていまして、みんな王子に感謝しています。」
「それでも生活環境が良くなってるとは言えないのだろ、もう少しレベルアップしたいのだがな。」
「確実に改革が進んでいると感じられますので、これから良くなって行くと思います。
 貧困層の出身でも、基本的な読み書きを英語で履修した子の中には、職業実習の現場で能力を認められ、そのまま就職した子もいます、実習を通してパソコンに慣れ、経理システム導入で苦労している大人達をサポートしたりとか。
 敢えて英語を選んだ子達は向上心が有り学習に前向きに取り組む子が多いです。」
「台数は少ないが学習用に導入したパソコンは役に立ったのかな、スペックの低さが気になっていたのだが。」
「高性能なパソコンを使いたかったら沢山学び、稼げる企業に就職し自分で買いなさいと教えています、彼らは素直ですので、その為にも英語力を上げようとしているのですよ。
 学校に配られたパソコンは、予算不足の所を大統領がポケットマネーで補って下さったと知っていますので、低スペックでも文句は言わないですけど。」
「だが、そう言った形で就職出来た子は僅かではないのか?」
「そうでもないです、経済が上向いていますので十四歳の子でも雇いたいみたいで。」
「大人を雇うより良い面が有るのかな、それに対する対応は?」
「推奨しているのは学校で学びながらの職場実習から仕事に慣れて行く形で、労働時間や給料の調整は国軍出身者が担当してくれています。」
「とにかく給食をスタートさせたくて…、国軍の連中は大変だったろうな。」
「算数や英語を教えるのは苦手でも、心優しい人ばかりで学校派遣の小隊を編成してくれたそうです。
 私の赴任してる学校だけでなく他の学校でも子ども達の為にと熱心に働いて下さっています。
 まずは給食と言うジョン王子のお考えが良かったのではないでしょうか。」
「そうだな、国軍に学校運営を託すなんて随分乱暴な手法だと自覚した上で進めて貰ったが、トラブルの報告が少なくて良かったよ。」
「ジョン王子からの、自分の子だと思って接して欲しい、との言葉を皆心に刻み込んでるそうです。
 ですから、安価な労働力としてしか子どもを見ない人達は真っ先に排除してくれています。
 彼らは実習農場や給食を中心に学校を支えていますが、子ども達とフットサルをしたり魚釣りに行ったりと、子どもの世界を広げてくれてると感じています。」
「そっか、予算の無い中での苦肉の策だったが、思ってたより悪くなかったのかな?」
「当初学校が男性ばかりだったのは問題でしたが、女性教員が増えたことで彼らのモチベーションが上がり、私達との教育に関する学習会も成果を上げています。」
「給料面の不満とかは聞いて無いか?」
「無いですよ、入隊した時には上がることを期待していなかった給料がジョン王子の指示でかなり上がったと聞いてます。」
「そうか…、もう少し高給でも良いと思うのだが、予算がな…。」
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近衛予備隊-294 [高校生バトル-72]

「私達もですが給料は充分だと思います。
 王子の指示で、学校農園からの売り上げや観光客向け事業の売り上げなどは学校職員の住環境を充実させる取り組みにも使われていますので。
 私の赴任先では、学校と職員宿舎が王国標準になるまでにそれほど時間は掛かりませんでした。」
「学校農園は珍しい果物や作物を中心に栽培していることも有り収益を上げているとは聞いていたが、観光客向けの事業はどう?」
「子どもの頃から単位制で年齢に関係なく学ぶと言う形は、来てくれてる観光客の国では珍しいのだとかで、その利点欠点を見極めるべく現職の教師も見学費を払って見に来てくれているのです。
 課題に取り組む時間には、子ども達の様子を見て教えてくれる人が多くて助かっています。
 英語でのコミュニケーションの時間や、算数ゲームは特に盛り上がり、お金を払って子どもの相手をして満足して帰る、そんな感じになっています。」
「算数ゲームは子ども達と対決?」
「ええ、ジョン王子が近衛予備隊で広めたメイクテンを応用した対決ゲームは特に白熱しています。
 0から9のカードの山から四枚を引き、その間に四則の記号を自由に入れて答えが10になる式を作る、知ってる人は多いのですが、早さを競う一対一の真剣勝負、自分のカードを並べ替えて10にするだけでなく相手のカードも先に10に出来たら、相手からポイントを奪えるスタイルが面白くて。
 特に算数の得意な人は子どもの中でも強い子と戦って、負けるともう一ラウンドと。」
「あのゲームは算数の能力が如実に現れる気がしていたのだけどどう?」
「はい、統計を取った訳では有りませんが、算数の得意な子ほど強い傾向が有ると感じています。
 自習中心にどんどん先の単元まで進んでいる子の中には、私でも油断すると負けてしまう様な子もいまして、今の所は勝ったり負けたりなのですが。」
「大人相手にいい勝負が出来れば子どもも嬉しいだろうな。」
「ですね、相手の手札からも得点に出来ることで、運の要素が少ないですから、観光客の中には自分の教え子達にもやらせてみると言って帰られる方が少なくないです。」
「英語でのコミュニケーションはどう?」
「一緒にフットサルをしながら、一緒に調理実習をしながらと言う形にしています。
 単元の修了試験に合格すれば良いので、授業時間で子ども達を縛っていないことに驚かれますが、それ以上に英語の学習を始めてから短期間で英語力が向上していることに驚かれます。」
「子ども達はそんなに頑張ってるの?」
「いえ、観光客とのコミュニケーション取っていることで自然と英会話が身に付いています。
 サポート役が話題に気を使った結果ですが、色々な人と会話した結果が生きているのです。」
「王国騎士団が目指して来た、生きた学習が出来てるのだな。」
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近衛予備隊-295 [高校生バトル-72]

「観光客から国立学校のシステムに対して質問や意見はないの?」
「様々な意見を聞いていますが、彼らの国の小学校や中学校では、一年たてばどれだけ学べたかに関わらず進級出来るそうです、一年間授業妨害ばかりしていた子でも。」
「そんな国が多いみたいだな、個人の能力差を無視して年齢だけでクラス編成をしてるから、つまらない思いをしている子がいると聞いたことがあるよ。」
「同じ年齢と言っても十一か月以上の差が有るので特に幼い子にとって学年の発想は無意味です。
 年長の子が年下の子と同じ授業を受けることに抵抗を感じているのではないかと聞かれることが多いのですが、私が見てる子達からはそんな感情は感じられません。
 そんな気持ちの有る子は年下に負けない様、学習に取り組んでいるからかも知れませんが…、特に選択授業は年齢は違っていても、スタートが同じなので同じクラスの一員として教え合ったりしています。
 皆さんの話を聞いていると国立学校の様にフリーではなく、私立学校同様制約を多くしていることに問題が有ると感じます。」
「単元試験クリアと言う明確な目標を示し、その為の環境を整えるが後は本人任せなのかな?」
「小さい子達は学習方法を指導したりと簡単では有りませんが、大きい子達はそんな感じです。
 単元試験クリアは彼らにとってゲーム感覚になっていますので本人任せが一番、子ども達同士競っていますので授業に対する集中度は高いです。」
「学習意欲の無い子もいるのだろ?」
「そんな子には、十六歳になるまでに義務教育内容をクリアしてくれればと、義務教育内容は難しくないのですが社会生活を営む上で最低限のこと、例え算数をクリア出来なかったとしても『犯罪の代償』などはクリアしてから義務教育を終えて欲しいと考えています。」
「試験のレベルは抑え気味に?」
「はい、義務教育は普通の子なら問題なくクリア出来るレベルです。
 選択教科は遠江王国王家の高校生バトル部門がチームを組んで下さり、基礎から応用まで子ども達が楽しく学習に取り組める内容と量でバランスを考えた配分を検討して下さっていまして、子ども達の声を聞きながら完成度を高めて行こうと相談しています。
 彼らにとっては研究の一環だそうで、遠江大学の関係者が何人か来て下さっています。」
「それなら、近衛予備隊同様、国立学校でも、仲間と競い合いながらクリア出来た喜びを感じられる学習が実現出来そうだな。」
「そうですね、学習することを苦痛に感じる子は無くせませんが、義務教科以外を履修自由としている割に取り組む子が多く、その辺りも観光で訪れた先生方を驚かせているようです。」
「その為の指導はしているのだろ。」
「はい、内容を教えることより、如何に興味を持たせられるかが教師の役目だと考えていますので。」
「それに成功しているから職業実習でも成果を出せているのだね。」
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近衛予備隊-296 [高校生バトル-72]

「ジェシカ、君の赴任先は日本からの教育実習生を多く引き受けてくれてるそうだが、彼らはどう?」
「全体的に教え過ぎる傾向が有る様に感じますが、積極的に子ども達と関わってくれるだけでなく、夜間に開いている大人の為の英語教室や観光客向け事業も手伝ってくれています。
 彼らにとっても観光客とコミュニケーションを取れる場を持つことは良い経験になるそうで、自身のスキルアップに繋がるからと熱心な人が多いです、中には異性目当ての純真な人もいますが…。」
「教え過ぎると言うのは?」
「自分で調べ考え発見する、私達は近衛予備隊でそう教えられ自習能力を身に付け、学習の楽しさを感じて来たのですが、彼らは答えを急ぎ過ぎるのです。
 それを指摘し話し合っているのですが、彼らは高校や大学受験に向けての学習過程で正解を早く導き出すことを求められて来た様で、価値観の相違かと思っていたのですが、何の為の教育なのか、何の為の学習なのかを考えこんでしまう人が少なくないです。」
「単純な話だがな。」
「はい、生活力を身に付け心豊かな大人に育つ為の環境を維持するのが私達の役目です。
 彼らは大学受験と言いますが、近衛予備隊から王国騎士団に進んだ私でも、受験することなく遠江大学で学ばせて貰っています。
 彼らにとっての大学は就職を有利にする為の場とか、では大学で何を学んで来たのか尋ねると英語だと答えるのですが、その英語力は大学で学習しているとは思えないレベルなのです…。」
「君は遠江大学で何を学習してるの?」
「児童心理学と発達心理学が中心ですが、そろそろ研究と呼べる領域に達したいと思っています。」
「現場から離れて自身の学習や研究に集中したいとか思わないの?」
「それは有りません、現場から離れて考察するのは効率が悪いです。」
「成程、しかし時間的な問題が有るだろ。」
「いえ、私にとって遠江大学のサイトにアクセスして学ぶのは娯楽ですから。
 近衛予備隊に入隊し、先輩方から沢山の発見へと導かれた頃の気持ちと変わっていません。
 日本からの英語教育実習生からは、大学を卒業する為に苦労する話しを聞きますが、遠江大学に卒業は有りませんからね。」
「遠江大学で沢山学び研究しても、日本では社会的に認められないそうだが、着実にスキルアップし、それを仕事に活かしている人が少しずつ増え始めてると聞いている。
 それでも遠江大学を活用し切れている人は少ないそうでね、実力以上にどの大学を卒業したかを尊重する風潮が有り、著名大学に入学出来れば難しい入試をクリアした人達だから能力は低くないと判断されるそうだよ。」
「そう言うものなのですか…。」
「まあ、優秀な人材を欲しがる企業のレベルも我が国とは違うからな。」
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近衛予備隊-297 [高校生バトル-72]

「私が知ってる企業は女王陛下の企業ぐらいなのですが…。」
「店で販売している電化製品のほとんどは輸入で、それを製造販売している企業が有る訳だ。
 世界中には数え切れない企業が有ってそれぞれがしのぎを削っている、我が国は観光に成功したことで、かなりの改革を進められたが国家基盤は弱くてね。」
「やはり観光業は国際情勢によって大きく左右されると言うことですか?」
「まあな、お金に余裕が無いと観光旅行には行けないが、それでも生活に必要な物は買わざるを得ないだろ、遠江王国に支えられ工場は増えているが、その重要ポストは日本からの応援者頼り、我が国でも応援者に頼らなくて良いだけの人材を育成したいと思わないか?」
「そこまでの教育を見越してとなると…。」
「直ぐには無理でも着実に教育環境を整えて行かないとな。」
「やはり理数系を強化する必要が有るのですね。」
「ああ、海外からの観光客を意識して英語教育に力を入れて来たが、子ども達は理数系をどう捉えているのだろう?」
「基礎的な学習はゲーム感覚で競い合っていますが、その先は…、目標となる職業がポイントになるのではないでしょうか。」
「目標か…。」
「電力安定化事業の意味は子ども達も理解、工事現場見学は男の子達をワクワクさせています。
 その辺りから具体的に目標となる職業を明示出来ないでしょうか?」
「目標とする職業像が見えてないと?」
「はい、新型バスが導入されるとバスの運転手になりたいとか、警官や国軍の兵士は戒厳令を経て制服が一新されてから子どもが憧れる職業の一つに成りました。
 しかし、子ども達は世の中にどんな職業が有るのか、子どもだけで無く農業だけをして来た大人でも知らないと思います。」
「自分が将来進む選択肢が色々有ることを知らないままではな…、子ども向けに職業を紹介しながら話が進む本か漫画を制作して貰おうかな。」
「良いですね、英語教材としても使えます。」
「工場の仕組みとかを紹介したら興味を持つ子は少なく無いと思うよ。
 今まで英語教材としてはどんなものを使って来たの?」
「英語を履修している子には、極力理科などの教科も英語で、つまりは英語で書かれていれば何でも良いのですが、職業紹介的なのは無かったのです。」
「成程、もしかして日本からの教育実習生は理科や算数を英語で教えることに躓いてたとか?」
「はい、英語教師になって何を教えるつもりだったのか分かりません…。」
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近衛予備隊-298 [高校生バトル-72]

 読み書きで英語を選択した子は徐々に英語ばかりの生活になって行くそうで、親と話す時以外は英語の通じる相手としか話さないと徹底してる子もいるのだとか。
 英語の学習を始めてから僅かな期間で英語による思考に切り替わる子も。
 子どもの語彙は元々多くないので、理科や算数も英語で学ぶ内に自然と身に付いて行く。
 教師の役目は、その環境を整えて行くこと。
 母国語で学んでいる子もいるので手間だと思うが、英語を履修している子達は向上心の強い子が多く、意外と手が掛からないのだとか。
 そこには、貧困生活から脱したいとの思いが有る。

「子ども達は英語を使いこなせる様になれば観光客相手の仕事に就けて生活が良くなると親から教えられています、それだけに必死な子が多く、大きい子の中には教育実習生に理科や算数の教え方を説明する子が出始めています。
 教えることで自身の英語力を高めたいのだとか。」
「英語教育実習生も形無しだな。」
「英語で考える様にしなければ駄目だと子どもから言われる実習生もいますが、彼らは算数や理科を英語で教えることを想定して来なかったのです。
 また、子ども達の学習速度は彼らのイメージと掛け離れている様です。
 日本語で生活しながら英語の学習に取り組むのと、英語学習に取り組み始めた早い段階から英語ばかりの生活になって行くのとでは全く違いますからね。
 英語が出来ないと就職出来ても昇進出来ませんから、向上心の強い子は学習に貪欲なのですよ。」
「企業の幹部に外国人が多いから、英語が出来ないと昇進は難しいのだが、母国語はそんな状況で良いのだろうか?」
「英語で調べた方が得られる情報が格段に多いです、そもそも母国語で書かれた専門書なんて有りません。
 独立してから文化的に不毛な時代が長く続き治安が悪化、今更母国語を大切にと言われましても。」
「まあそうだが、母国語での読み書きに取り組んでる子はどうだ?」
「途中から英語学習を始める子もいますが…、まだ今の社会のことが良く分かっていない子達ですが、無理に英語を選択させるのもどうかと思っています。
 ただ、選択科目には英語必須の教科が多いことも有り、義務教育範囲のレベルのみをクリアして終了する子は英語に取り組んでいない子です、徐々に減りつつは有るのですが…。」
「まだ検討すべき課題は多そうだな。」
「はい、これからパソコンやスマホが普及して行くことを考えると英語での読み書きは必須に、母国語で読み書き出来る人でも、英語が使えないと文明の利器を使うことが出来ません。」
「う~ん、必要経費を考えると母国語で使えるスマホを開発するより、大人にも英語教育を進めた方が早くは有るのだが、微妙だよな。」
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近衛予備隊-299 [高校生バトル-72]

 子ども達に職業紹介をして行く取り組みは詩織さまにも話した。

「そうね、どの程度説明して行くのか検討する必要は有るだろうけど必要なことだわ。
 親とのコミュニケーションが取れていれば親の仕事について知ることは出来るだろうけど、それだけでは全然足りないし、子どもは大人の世界を知りたい筈、それでどんな形にするの?」
「まずはYouTubeチャンネルでの職場紹介から始めます、王国で働く人々の仕事に対する思いを語って貰おうかと。」
「それは国立学校でも見られるの?」
「はい、まだ充分に設備が整っているとは言えませんが、どの学校でも見られる様に出来ました。
 少々独裁者っぽい手も使いましたが、ほとんどのスタッフは社会改革を進めて行くに当たって教育の充実が必要不可欠なことだと理解していますので。」
「反対する人をねじ伏せたのね。」
「そんな所です、法律を作ったり改正したりしていては面倒なだけです。」
「国家予算はまだ十分ではないの?」
「今は微妙なラインです。
 国家予算が潤沢なら税金を下げろと言う輩がいるのですが、税金を下げるより国軍兵士の給料を上げた方が経済が回りますので。
 税金を何に使っているのか、国民の大部分が納得してくれていれば聞き流せるのですが、まだ改革の成果が国民の目に見える様になり始めたばかりです。」
「国民はそこまで国家予算に興味が有るものなのかしら?」
「あまりにも無さ過ぎでしたので意識改革を進めているのです。
 我々の国が誇れる国なのかどうか考えて貰いたいとも思いまして。」
「そうね、治安が悪かった頃は国家を意識していない人ばかりだったのでしょう。」
「はい、国民の…、民度と言えば良いのしょうか、それを上げたいと考えています。
 直ぐに変わることでは無いですが、何世代も交代する内に少しづつでも。」
「随分気長なのね。」
「簡単なことでは無いのですよ、町を汚すことに平気な大人世代が引退しても、その影響を受けて育った次世代も同じことをすると思いませんか。
 王国内は観光と言う柱が有りますので街は綺麗に維持出来ていますが、他では難しいのです。」
「何か策を考えてるの?」
「住民に街の美化を強制したのでは息苦しくなりそうで、王国を広げて行くぐらいしか策は有りませんが、王国内でも民度を上げるのは難しいと感じることが有ります」
「ジョン達可愛かったお猿さんが立派なジェントルマンに成長して文化的に変わったことは何?」
「そうですね…、文化面と言えば一番は音楽でしょうか、聴く曲も成長と共に変わって来ました。」
「成程…、まずは、店の辺りにストリートピアノを置いてみる?
 店に置いても良いのだけど、観光客も喜ぶのではないかしら。」
「ピアノですか…、演奏出来る人に心当たりがないのですが…。」
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近衛予備隊-300 [高校生バトル-72]

「日本から来てる社員の中に弾ける人はいるし、観光客が演奏してくれると思うわ。
 まずは王国からだけど、各地のマーケットとかにも置きピアノの周りは汚しては行けないとルールを徹底して行くってどうかしら、そこから汚しては行けないエリアを広げて行くの。」
「ルールを浸透させる切っ掛けにするのですね。
 しかし、子どもが勝手に触ったりとか、そもそもピアノって高額なのでは有りませんか?」
「安くはないけど遠江王国の辺りには楽器工場が有ってね、この国で販売代理店を立ち上げて、まずは所得の増えてる層の子どもをターゲットにピアノ教室を始めても良いし、子ども達が使える楽器を増やし、彼らには将来観光客を楽しませて貰うとか。
 近衛隊の有志がたまに広場で演奏すると、直ぐに人が集まるのよ。」
「国立学校で音楽を選択した場合は歌のみ、伴奏用のオルガンは骨董品レベルで子どもには触らせられないと聞いています…。」
「ストリートピアノを利用して歌の練習をしても良いでしょ、観光客が一緒に歌ってくれるかも。
 取り敢えず王国内に楽器を増やしましょう、費用は任せておいて、心配しなくて良いわよ。」
「それなら、まずはどこに置くか検討して貰います。」
「ストリートピアノとは別に、子ども達が自由に使えるピアノを用意して、その反応を見てみたいわね。」
「国立学校に置いてみますか?」
「そうね、新品でも良いのだけど、中古のアップライトの方が気軽に遊べるかな、遠江王国のスタッフと相談してみるわ。
 ピアノに触れる時の特別ルールを作ってジョンが考えてる民度のアップに繋げるのも有りね。」
「手を洗ってからは当然として…、ピアノを最大限に活かせる策を練ってみます。」
「他の楽器は音を出すだけでも教える必要が有るから近衛隊とも相談だけど、近衛予備隊でマーチングバンドをスタートさせるとかはどう?」
「はい、近衛隊の演奏に聴き憧れてる子は多いです。
 楽器の値段を知ってからは考えに入れて無かったのですが…」
「楽器は大切に扱えばずっと使えるの、予備隊の子達が使うレベルなら、そこまで高くは無いのよ。」
「一度調べてから、予備隊メンバーに打診してみます。」
「国軍には軍楽隊が有るのでしょ、そっちはどんな感じなの?」
「賓客の歓迎式典で演奏して貰っていますが個々のレベルは良く分かりません。
 国立学校で歌を教えてる人はいますが…。」
「一度音楽教育を見直してみない、余暇は酒とギャンブルだけの大人が多いのでしょ。
 音楽を通して心の幅を広げるとか考えられないかしら?
 職業の選択肢に音楽家を加えられたら素敵だと思うのだけど。」
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