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情報番組-01 [シトワイヤン-06]

四月、番組リニューアル一回目は俺達四人勢揃い。
オープニングの後…。

「和馬は私の言いなりに出演して貰うけど、愛華ちゃんたちの予定は履修登録が済んでから決まるのよね?」
「はい、私達はリポーターとしてVTRにも出させて頂きます、スタジオに来る回数が少なくても、沢山活躍出来る様に頑張ります。」
「大学は自分で履修科目を選べるのよね、その辺りの説明を清香さんがして下さるのかしら。」
「はい、梅子姉さん…。」

準備に抜かりはない。
清香は最近のシステムを画像を使って紹介した、かつて大学生だった人もその変化に興味を示して貰えたと思う。

「それで、和馬はどうするの?」
「どうって?」
「番組レギュラーを引き受けたということは、履修科目が減るのよね。」
「はい、今期は思い切って履修科目を少なくするつもりです、別に梅子姉さんが怖いとかじゃないですよ。
大学に何年か余分に通う事になっても、その学費は自分で出せます、その間学割が使えますしね。」
「就職に不利益とか考えてないの?」
「梅子姉さんに色々教えて頂いて自分のキャリアを積む事が出来ればマイナスにはなりません。
姉さんに見捨てられたら大学を頑張ります。
就職するかどうかは未定ですが、就職先の当てはすでに幾つか有るのですよ。」
「和馬に目を付けたのは私だけではないってことかしら。」
「はは、何故か可愛がられています。」
「しばらくは和馬を掘り下げるだけでも楽しめそうね。」
「掘り下げるのは社会問題にしましょうよ。」
「だめよ私のおもちゃなんだから。」
「それを言い切りますか、さすが梅子姉さんです。」
「はは。」
「ところで暇そうにしてる皆さんは放置したままで宜しいのですか?」
「良いのよ、話しても話さなくてもギャラは同じなのだから、楽できて喜んでいるわよ。」
「それでも、姉さんへのカンペが出てますよ、自分はADさんを敵に回したくないな~。」
「仕方ないわね…。」

梅子姉さんが少し他の出演者と絡んでCMに。
CM明け。

「和馬は緊張しないの?」
「緊張感を持って姉さんと向かい合っています。」
「ねえ、清香さん、和馬は緊張しない人なの?」
「彼は男子校出身、大学で私達と初めて出会った時はとても緊張したそうです。」
「もしかして、美人に弱いの?」
「それは過去の話です、二人の美女と共に学んだ時を経て、もう梅子姉さんとも緊張せずに話せる様になりました。」

初日は俺達を紹介する意味も有り自分の話す時間が長かったのだが、梅子姉さんは想定していた以上にスムーズだったと百点満点をくれた。
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情報番組-02 [シトワイヤン-06]

その日の夕食は四人で。

「今日は楽しかったね、梅子姉さんと和馬の掛け合いが面白くてさ、康太、SNSで少しは反応有った?」
「はは、少しじゃないな、感想は愛華と似た様なのが多くて概ね高評価だよ。
和馬を新人の芸人だと思ってる人がいる…、新鮮さが良いと言う人も…。
これは今後視聴率取れるんじゃないかな、多分ネットニュースにもなるだろう。」
「問題は明日以降だよな。」
「今日の調子で行くのでしょう、ちょっぴり生意気な和馬と梅子姉さんのトークだけでも行けると思うわ、大丈夫よ。」
「明日も本番までに大きなニュースが入らなければ問題ないです。」
「大事件が起きたら?」
「その時はその時さ、愛華は明後日が担当だけど大丈夫か?」
「多分…、いざとなったら和馬に丸投げするかな。」
「構わないが、投げ過ぎるとおバカ枠に格下げだぞ。」
「それは私のプライドが許しません。」
「康太は大丈夫ですか?」
「今まで学習してきた成果を見せないとな、だが俺のハートは和馬と違ってナイーブなんだよ。」
「女性ファンを増やし、党員登録に繋げることを頑張って下されば少しぐらいのミスは問題ないです、社長としての仕事も有りますし。」
「そうだな、視聴者の反響を見ながら頑張るよ。」
「ふふ、今日は田舎のお婆さまに喜んで頂けたのではないですか?」
「ああ、少し複雑な心境なのだが、和馬のファンになったとメールが届いた。」
「人を見る目がお有りなのですね。」
「党員として意見を出してもいる人だからね、まあ社長としての給料が上がるから俺のことも喜んでくれるだろう。」
「働き過ぎない様にね、康太が頑張るよりサポートの方にお願いした方がスムーズでしょ。」
「それは自覚している、社長として何をすべきか、を教えて頂いてる段階だよ。
成績はともかく四年で卒業したいから、時間の使い方を考えているけどね。
なあ和馬、番組中は誤魔化したが単位についてはどうなんだ?」
「ああ、一年の成績が良かったから、大学側がかなり便宜を図ってくれそうだよ、先輩方が教授達と交渉してしてくれたこともあってね。
講義に出なくても、レポートや論文提出でかなりカバー出来そうなんだ。
それなら今までの学習会を通してまとめておいた未公開のものを元にしても良い訳だろ。」
「少し安心したわ、教授たちは番組を見てくれたのかしら。」
「そりゃあ見るだろう、俺たちは学内でも有名人になりつつ有る。
和馬が真面目に目立つ活動をしてるのに留年とかさせたくないだろうな。」
「でも、特別扱いには反発する人がいそうよね。」
「いるだろうな、美女二人を独り占めしてるし。」
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情報番組-03 [シトワイヤン-06]

翌日の生放送は、新入学の時期という事も有り、VTRのテーマは小学生の重過ぎるランドセルについて、中学生の事情も取り上げた。

「小学一年生、希望にあふれて背負うランドセルが重過ぎるとわね、私にもそんな時代が有った筈なのだけど忘却とは忘れ去ること、で、清香さんは覚えてるでしょ。」
「はい、小学生の間は重いことを受け入れていました、そうですね、もう少し軽かったら、もう少し背が伸びてたかも知れません、VTRでは私の頃より更に重くなってる印象でしたが、和馬は楽してたのですよね?」
「梅子姉さん、自分の場合、楽したいからという感じではなかったのですが、うちは恵まれた環境でコピー機という物が存在していまして、親は教科書のコピーを許してくれたのです。
コピーには自由に書き込め学習効率が良かったので、一部の教科は教科書ではなく必要な部分のコピーを持って行ってました。」
「先生の反応はどうだったの?」
「コピーでは駄目だと言われましたが、それを論理的に説明出来る教師では有りませんでした。
こう見えて真面目で優秀な小学生だったのですよ。」
「嫌な小学生だったのね。」
「どういたしまして、でも、この問題は前から有ったと思うのです、それを問題視するだけのまともな大人が教育の現場で力を持っていないという所に大きな問題が有ると思います。」
「そうね、中学でもコピーを使ってたの?」
「はい、中学からは学習効率重視の私立でしたので何の問題も有りませんでした。
皆が真似し始めて、教科によっては誰も教科書を持って来ないなんてことも有ったぐらいです。」
「そっか、Vで触れてた様な耐える中学生ではなかったんだ。」
「あんな重荷に耐える真面目で可愛い子ども達を見てると、なあ清香、何とかならないのか?」
「学校の問題は多いです、デジタル教材という選択肢も有りますが普及には時間が掛かりそうです。
梅子姉さん、この問題を継続的に番組で取り上げて頂くことは可能でしょうか?」
「継続的か、何か思うところが有るの?」
「はい、学校の闇と言える、教師の労働環境問題、部活問題などが僅かながらも改善の方向に向かって動き始めたのは、問題を明らかにし訴えて下さる方がいらしたからです。
一時の話題として済ませてしまっては社会を動かせませんが、継続的に現状を検証して行けば学校の抱える闇の部分を解明し、馬鹿げたことをもっと正して行けると思うのです。」
「そうね、番組の有り方として正しい方向だと思う、清香さんも手伝ってくれるわね。」
「はい。」
「和馬たちを迎えてね、単に日々の出来事を取り上げてああだこうだと話すだけでは駄目だと思ってるのよ。」
「? 和馬、何か言いたそうね?」
「いや~、さすが梅子姉さんだと思いまして、我々が国際情勢について語っても何も変わりませんが、学校の問題でしたら、梅子姉さんの力で人を動かせます。」
「私にそんな力は有りませんよ。」
「視聴者の方に考えて頂くことは大きいと思います、老人福祉にばかり目が行っていた時代が有ったそうですが、今は少子化問題も有って子ども達へ視点が移っています。
梅子姉さんなら、馬鹿げた校則とかを皆で笑いものにするだけでなく、良い方向に変えて行くだけのパワーが有ると思うのです。」
「和馬は生意気だわ、でも、それが市民政党という発想に元づいた考えなのね。」
「はい、自分の子が小学生になって、重いランドセル背負って修業なんて…、まあ体格に応じた重さで鍛えるというのなら納得しますが。」
「そうでない現状は何とかしたいわね。」

継続的に取り上げて行くテーマは幾つか選んで有る。
VTRの制作に関しては、株式会社和馬が台本などの準備やリポーターを用意する契約を局と結んだ。
リアル学生部からスタッフになってくれた人達は、すでに局のスタッフからレクチャーを受けていて、この日のVTRには愛華が登場していた。
清香から俺に話を振ったりしながら梅子姉さんと話す三人だけで話を進めるスタイルは邪道かもと思い相談したのだが、許されただけでなく、積極的に使って行こうとなった。
梅子姉さんだけでなくディレクター達スタッフも、番組を今までに無かったものにして行きたいという思いが強いみたいだ。
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情報番組-04 [シトワイヤン-06]

番組レギュラーになっての二回目も大きなトラブルなく無事済んだ。
見学していた愛華と三人で夕食を取りながら。

「愛華、今日の番組は如何でした?」
「清香は堂々としていて良かったわ、梅子姉さん、思ってたより清香に振ってたわよね。」
「聞かれても返答に困らない内容でした、梅子姉さんは私に配慮されていたのでしょう、和馬と三人で雑談してる様な雰囲気は心地良かったです。」
「見てても良かったわよ、明日は私の番だけど同じ感じで少し違う雰囲気を出せる様に頑張るね。
でさ、椅子の位置が移動したと思うのだけど。」
「ふふ、さすがに気付きますよね、最初は、ばれない様に少しだけ和馬の側に近づけたのです。」
「ADとかにはバレバレだったんだよな、彼等は清香ばかり見ていたからね。
それでCM中の時間を使って、更に、そして少しずつ近づけたのさ。」
「戻す事は考えなかったのかしら?」
「むしろ俺達のツーショットが抜き易くなると考えたみたい、明日も定位置からスタートだけど愛華はどうする?」
「そりゃあ、にじり寄るしかないでしょ、気付いた人がすでにSNSで拡散していそうだもの、私だけ仲間外れは嫌だわ。」
「じゃあ同じパターンだな。」
「ふふ、ランドセルを背負う清香の姿にはキュンときたわよ、あれはそっち系のマニアにとってお宝になると思うわ。」
「そっち系とは何ですか?」
「小柄な清楚系美女がランドセルを背負う、背徳感に溢れてたなー。」
「えー、和馬、どういうことなのですか?」
「清香が可愛かったってことだよ、でも流石だよな、ランドセルを背負って無い時は普通の美人女子大生という衣装だったのに、それが…、ランドセルのCMが来てもおかしくな…、はは、流石にそれはないか。」
「大学生にもなってランドセルを背負わさせられるのは抵抗が有りました、色を衣装に合わせて下さっていたとはいえ。」
「う~ん、大人向けランドセルの発売を考えてみようかな…。
で、明日は不倫ネタがメインになりそうでしょ、ママは恋多き女性をイメージした衣装を用意してくれたみたい。」
「二人にギャップが有れば有るほど視聴者の方には楽しんで頂けるということか。
しかし、不倫ネタというのは盛り上がるものなのか?」
「視聴者は好きかも、でも簡単に済ませたいわね、当事者の問題を私達があれこれ話すのは筋違いな気がするもの。
まあ、不倫や離婚についての考えはまとめて有るから何とかなると思うけど。」
「梅子姉さんは、今回の不倫騒ぎより俺達三人の関係を掘り下げた方が楽しそうだ話していたよ。」
「前から話してみえたものね、三人で遊びに出かけた時の写真は渡して有るけど、明日使うのかしら。」
「公開されたら、俺は世の男性から、更に白い目で見られるのだろうな、覚悟してるがね。」
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情報番組-05 [シトワイヤン-06]

翌日の放送は予定通り番組冒頭で芸能人の浮気ネタが取り上げられた。
一通り話が済んだ所で…。

「愛華ちゃんは彼氏が浮気しても平気?」
「嫌です、浮気は人間の動物的本能なのだとは理解していますが。」
「本能なのだから、嫌でも仕方なく許すとか?」
「どうでしょう、私の彼は浮気してませんので、良く分かりません。」
「彼は清香さんと浮気してるんじゃないの?」
「してませんよ、浮気ではなく本気です。」
「和馬、そこのとこ、どうなの?」
「気の合う三人で平和で楽しい時を過ごしています。
二人が自分を取り合って喧嘩してるとか邪推している人がいますが、自分は取り合われる程の人物では有りませんよ。」
「平和な三角関係なのね、愛華ちゃん、それってどんな感じなのかしら?」
「そうですね、私達が大学で出会ってから、清香と二人だけの時は和馬の話しばかりしていました、そんな中で和馬を取り合うのも譲り合うのも違う気がしたのです、そして検討した結果、人とは少し違う形でお付き合いをするのも悪くないとの結論に至りました。」
「成程、和馬的にはどうだったの?」
「初めて出会った日に一目惚れした二人の美女、共に学習を進める過程で人物的にも素敵な人達だと感じていましたので、彼女達の申し出を断る理由はどこにも有りません。」
「そっか~、なら、愛華達は和馬の何処に惚れたのかしら?」
「頭の良さと器の大きさです、私達が頑張って何とか合格出来た大学に余裕で合格しています。
その余裕を、高校時代から政治経済の研究に充てていましたので、受験を終えて間もない私達と始めた政治経済学習会では、すでに大きな差が有りました。」
「器の大きさというのは?」
「細かい事を気にする奴は大物に成れない、というのが和馬のお父さまの教えんです、でも気にすべきことは気にしてくれる、バランス感覚に優れた人で、私の周りには全くいなかったタイプです。
彼が中高と男子校、大学進学後早い段階で出会えたことは私達にとってラッキーだったと思っています。」
「そうね、生番組でも堂々としてる…、さあ、これで視聴者の方のモヤモヤは解消されましたね。
でも、愛華ちゃんは男性ファンを減らす事になったんじゃない?」
「私達はアイドル活動をする気は有りません、私達が付き合ってるから市民政党には参加しないという人は、初めから数に入れていません、ですよね、和馬。」
「勿論だ、皆さん、私達は自らが発起人としてスタートさせたバーチャル市民政党若葉を国政に影響を与える存在にしたくて広報活動を行っています、内容を見て下されば学生のお遊びではないと理解して頂けると思います、宜しくお願いします。」
「和馬たちは党のアイコンでは有るけど、実際は裏方なのでしょ。」
「はい、裏方で有り先輩方から学ばせて頂いてるという立場です。」
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情報番組-06 [シトワイヤン-06]

翌日の担当は康太、台本通りの流れから。

「昨日の話で、発起人会は党の裏方だそうね、康太くん」
「はい、党にはバランス感覚に優れた優秀な方が多く参加して下さっています。
党の組織構築や方針をまとめる作業に自分たちの出る幕は有りません。
自分の役割はシステムの維持管理です。」
「康太くんはその為に立ち上げた会社の社長なのよね。」
「名ばかりです、多くの方に手伝って頂きながら、教えて頂きながら、また、自分の負担が大きくならないように配慮して頂いてます。」
「ネット上の市民政党を管理する会社の社名が株式会社和馬で良かったの?」
「今の形に出来たのは和馬の人格と人脈あってのことなんです。
スポンサーの方々も和馬になら資金を提供できるという事で、女子たちは自分には目もくれず和馬にぞっこんですし。」
「四人で学習会を開いて来たのでしょ、康太は浮いたりしなかったの?」
「学習会は真面目に取り組んでいますのでそんな事は有りませんし、自分が彼女と付き合い始めてから、和馬たちは三人で遊びに行くようになったのです。」
「そうなの、そっちをもっと追及したいけど、今日は株式会社和馬の今後について教えてくれる?」
「現時点でサイトを維持して行くだけなら充分な資金が有ります、ただ、市民政党の将来を考えた時に、国会議員は無理でも、地方都市の市長を市民政党若葉所属として擁立出来ないだろうか、といった声が出始めていまして、その可能性を探っています。
今はバーチャル政党を名乗っていますが、地方でリアルに動き始める事を念頭に、党のグッズ販売などで資金を稼ぐことを考えています。」
「リアルで動き始めたら複雑になりそうね。」
「はい、そうなったらリアルな政党事務所を構える事になりまして、今でも、お金の事は全て公開していますが、更に分かり易くして行きます。
党員の方々も党の懐事情を考えた上で次の展開を模索して頂けたらと思います。」
「政治とお金の話は難しいけど、資金が無かったら何も出来ないのよね。」
「ここまでの収支は公開しています、バーチャル政党を作るのに幾ら掛かるのか、参考にして頂きたいです、それぞれの額に対して多いと感じる方少ないと感じる方様々でしょうが、私たちは問題のない金額だと考えています。」

梅子姉さんと康太の話は台本に沿っていたので、俺は口を挟むことなく見守る、緊張している康太にアドリブは無理そうだった。
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情報番組-07 [シトワイヤン-06]

月曜から木曜まで番組をこなしてみて、生放送でも、VTRの時間や他のコメンテーターが話す時間、そしてCMが入り、思っていたほど大変ではないと分かって来た。
ただ、金曜日は梅子姉さんとの絡みを頑張ることになっていて…。

「和馬、ゴールデンウィークはどこかに出掛けるの?」
「混みそうですから、出掛けるのは夏休みです、自分は論文の下書きを書き溜めて置こうかと考えています。」
「真面目な大学生なのね。」
「ええ、梅子姉さんはプライベートジェットでハワイですか?」
「まさか、そんな、人様に誤解を与える様な事言わないでよ。」
「そうですか、ではプライベートジェットで熱海とか?」
「プライベートジェットから離れなさい、でも、どうやって熱海までジェット機で行くの。」
「そうですね、羽田や成田は混みそうですから…、梅子姉さん、電車の方が早いですよ。」
「知ってる!」
「でも、梅子姉さんが電車に乗ったらファンに囲まれて大変でしょうね。」
「そりゃあまあね、でも、騒がれたりはしないわよ。」
「そんなに怖がらせたのですか?」
「そんな訳ないでしょ、皆さん大人なのよ。」
「さすが梅子姉さんです、しっかり指導されたのですね。
でも、やはり売れっ子は電車移動より車が一番です。」
「車は気楽だけど渋滞がね。」
「梅子姉さんの車なら、動くリビング、トイレ付ですよね、渋滞してても気にならないでしょ。」
「そんなの使ってる訳ないでしょ!」
「またまた~、でももし本当なら、こちらのリムジンバスは如何です?」
「えっ、カタログ持参?」
「梅子姉さんならフルオーダーメイド、一億ぐらい出せばきっとお気に入りの一台が出来上がりますよ。」
「営業か~!?」
「ということで、次のVTRは最近のリムジンバス事情です。
個人向けのオーダーメイド、リムジンバス販売に関しては、愛華のサイトをご覧下さいね。
では、VTRスタート!」

VTRではリムジンバスの更なる進化を紹介。
梅子姉さんが漫才みたいなのを俺とやってみたいと話していたので、リムジンバスの販売をしている会社を紹介しつつと企画した。
ちなみにこの会社は愛華ママの知り合いで、ホントに愛華のサイトからリムジンバスが売れたら、株式会社和馬の収入になる契約が結んである。
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情報番組-08 [シトワイヤン-06]

金曜日は清香達の出演が無かった分、自分の出番が多かったが、それが苦にならないぐらい梅子姉さんとの息は合って来ている。
夜は愛華達も同席し反省会を兼ねての食事会、番組ディレクターが…。」

「和馬くん、月曜からの五回を経験してみてどうでした?」
「そうですね、梅子姉さんに頼りっきりという感じだったでしょうか。」
「梅子姉さんの立場上、そうでなくては困るのだけど。」
「あっ、そうですよね、姉さん、自分は如何でした?」
「全然問題なかったわよ、今日の漫才っぽい掛け合いなんて私の方が反省しなきゃってぐらい、もう少し生番組をこなしたら二人の立ち位置が見えて来て、私も突っ込み易くなると思うわ。」
「もう少し生意気な感じを出した方が良いですか?」
「そうね、私が可愛いと思えるぎりぎりを攻めてみる?」
「不快に感じる視聴者を増やし過ぎないラインですね。」
「ええ、SNS担当によれば、もう少しアンチ率を上げても良いそうよ、勿論無理に増やす必要は無いのだけど。」
「自分は隠れアンチが多そうです、清香達の評価は如何です?」
「一見タイプの違う美女二人がそれぞれ論理的に話していて好印象、康太くんは幅広い年齢層の女性から応援されていますよ。
週五回、毎回誰かに出て貰うのは難しいのかな。」
「そうですね、あと二人増やすという選択肢は如何です?」
「心当たりはあるの?」
「理系の先輩とか、法律に詳しい先輩とか。」
「それは良いかも、和馬くんが絡み易い人なら問題ないわね。」
「リポーター希望で紹介させて頂いた人も含め十人ぐらいのチームを組んで交代でという形も検討して下さい。
リポーター担当がたまにスタジオでとか、その逆とかも。」
「キャラの被らない五人を推薦してくれるのなら検討に値するわ、全員、政治経済を語れる人なのよね?」
「はい、政党がいち早く打ち出したバランス型思考の出来る人達です。」
「女の子?」
「はい、女性中心に話を持ち掛けているのは、女性議員を意識してのことです。
日本は女性議員が少ないですが、それは議員になるまでのプロセスに問題が有ると思うのです。
有名になった人が政治を全く知らずに議員になるのではなく、議員としての資質を備えた人が議員になる、そんな議会を目指したいです、現時点で彼女達が政治家を目指すかどうかは分かりませんが、彼女たちなりの視点で政治を語ってくれると思いますし、彼女達の専門分野は番組的にもプラスになると思います。」
「う~ん、被選挙権の有る人にも語って貰いたいが、年齢層が上がるのは今回のチャレンジとは少し…。」
「しばらくは、大学生中心に人選し、その後適宜入れ替えるか増やすかで検討して頂けませんか。」
「そうだね、その枠を君達が推薦してくれるのなら前向きに検討するよ。
まずは、政治経済を語る女子大生に目立って貰うことで、女性の意識改革からだね。」

ディレクターが前向きに検討出来るのは、番組の反響が良いからだ。
ただ女性の意識改革という発言には…。
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情報番組-09 [シトワイヤン-06]

「女性の意識改革とは、大きく出たわね、でも意識改革を進めるべきは男性もでしょ、ね、和馬。」
「はい、例えば、過度の競争社会が生み出した貧富の二極化を解消して行くのは簡単なことでは有りません、経済活動の根源から考え直す必要が有るのかも知れません。
今の日本が抱える様々な社会問題を解決して行くには様々な意識改革が必要だと考えています。」
「和馬くんは多くのテーマを抱えながら、それを小出しにしているということなのかな。」
「そうですね、番組では少しずつ、でも継続的にというのは前にお話した通りです。」
「そうだったね…、いや、改めて考えると和馬くんの中でどれだけのテーマが研究されているのか、怖い気がして来たよ。」
「今頃なの? ディレクターとしてどうかしら。」
「えっ?」
「私達は和馬の器の大きさを知ってるわよ、ねえ清香さん。」
「はい、さすが梅子姉さんです、それを短い付き合いの中で理解されておられて。」
「はは、まいったな。」
「大丈夫です、うちのスタッフが番組スタッフと調整を進めている事はご存じだと思います。
番組のことは素人でも社会問題に詳しい人と、番組制作に詳しくても社会問題に疎かった人がバランスよく仕事して行けば、和馬の大きさを世に知らしめることが出来るでしょう。」
「ふふ、そうね、貴方もスタッフ達の声に耳を傾けたら、ディレクターとして成長出来るわよ。」
「そ、そうですね、心して取り組まさせて頂きます。
それで…、和馬くん達は他の番組に出演とかは考えてるの?」
「いえ、特には。」
「番宣とかですか?」
「ああ、一応番宣名目だけど、愛華ちゃん達に、うちの局所属のイメージを付けたいんだよ。
和馬は、いずれ他局でも活躍して欲しいけどね。」
「私達は時間的に問題がなくて、和馬と一緒なら構いません、康太は学業優先で社長業も有ります、彼はレアアイテムとして使って下さい。」
「愛華ちゃん個人としての活動は考えてないのかな、その、モデルとかでも稼げると思うけど。」
「御免なさい、あくまでも和馬と共に市民政党を盛り立てることが第一の目的であって、その為には番組視聴率アップも考えていますが、個人での活動は楽しそうではなくて。」
「清香さんも?」
「ええ、愛華と和馬と三人の時間を大切にしたいです。」
「分かった、私に問い合わせが有ったところへはその旨、伝えておくよ。」
「ねえ、和馬自身はテレビ業界でどの程度活躍していくつもりなの?」
「そうですね、知名度を上げておくと本を出した時の売れ行きに大きな影響が有るとは聞いています。
今しばらくは市民政党の広報担当として動いて行こうと考えていますので、まあ、無理のない程度にし、出過ぎて飽きられるのが早まるのは避けたいですね。」
「梅子姉さん、市民政党が大きく動き始める頃までは何としても和馬を盛り立てて行きたいのです。
勿論、番組の方も、一般会社員の方が視聴する時間帯ではないですが、それでも社会に対して影響力の有る番組だと思うのです、私達の人脈をどこまで番組に活かせるかも考えていますから、相談に乗って下さい。」
「ふふ、愛華たちが頑張ってくれると番組スタッフが楽するだけかもだけど、三月から作り始めたチームが一つにまとまったら、視聴率だってまだ上がると思うわ、よろしくね。」

俺達の番組を通しての取り組みはまだ始まったばかりで、ディレクターですら、まだその全容を知らないのだが、今は番組に対する注目度を上げることが優先課題だと考えている。
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情報番組-10 [シトワイヤン-06]

二週目の月曜日、番組は殺人事件のニュースから始まった。
アシスタント役の女子アナが一通りの事実関係をボードを使って伝えた後…。

「和馬はこの事件、どう思う?」
「私達が知り得るのは事件のごく一部、何も知らない第三者として考えるのは、まず、犯人が犯行に至るまでの人生をどう歩んで来たかです。
勿論詳しくは知る術は有りませんが、少しでも何かが見えて来たら、今後同様の犯罪を減らす切っ掛けを探れるかも知れません。
まずは、うちのスタッフに分析チームを結成出来ないか打診したところです。」
「あなたのスタッフということは大学生?」
「はい、チームがどの様な形になるかは丸投げなので、どうなるかは不明です、上手く動き始めることに成功したらこの番組でも報告させて頂きますね。」
「えっと、どういう考えで?」
「そうですね、梅子姉さんは、番組で事件事故に対して言いたいことを言っていても、そこで終わってしまうと思いませんか?」
「そうね、ニュースは多いし。」
「ですが、犯人のこれまでの人生から学び、今後の社会を修正して行く事で犯罪を減らせる可能性は有ると思うのです。
法改正が必要ならその手続きを、人の意識改革が必要ならその手段を考える、市民政党若葉の学生スタッフは自分の考えに賛成してくれました。」
「随分大きく出たわね。」
「単に大きな目標を提示させて頂いただけで、簡単に結果が出る事ではないと認識しています。」
「犯人に対する取り組みは何となく分かったけど、可愛そうなのは被害者よね。」
「はい、そうですが、被害者側の事情も自分達には分かりません。
ですから、犯人の事も被害者の方の事も何も知らない自分がコメントするべきではないと思います。
ただ問題視したいのは、今までも犯人と全く無関係な個人や企業が、名前が似ているというだけで抗議の電話を受けたり、風評被害に有ったりしています。
事件と無関係な人が自身の欲求不満のはけ口として、軽い気持ちで抗議の電話というのはやめて欲しいです。
まあ、そういう人を生み出している社会環境にも問題が有るのでしょうが。
また、被害者の家族が心無い、取材という名の暴力、に苦しめられて来たのも事実、マスコミを名乗る人達の歪にも目を向けたいですね。」
「ふふ、和馬、週の始めから語ったわね。」
「これで、自分のことを生意気な奴だと、世間の方々が盛り上がって下さったら楽しいのですが、梅子姉さん、世の中それほど甘くはないですか?」
「そうね、マスコミ批判に対して局の上層部から圧力が掛かったら、一緒にこの番組卒業しましょう。」
「え~、自分は入学したばかりですよ。」
「その結果を視聴者の方々がどう判断して下さるかだわ、大丈夫、そうなってもネットが有るわ。
貴方のことだから、チームの分析結果はネットでも発表して行くのでしょ?」
「はい、勿論です。」

これは今後に向けた布石と考えてのこと。
番組で殺人事件を扱う度に、分析チームの分析結果を紹介したり、そこから市民政党若葉がどう動こうとしているかなどを話させて頂くつもり、他の情報番組と一線を画すことを目論んでいる。」
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