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バトル-411 [高校生バトル-42]

「こちらの言いなりというのもどうかと思いますが、村造りを進めたことで、今、改めて企業城下町と言う存在を見直しています。
 ここは大企業が展開する企業城下町とは異なり小規模ですが、住民のほとんどがうちの社員で、村と会社は一体と言えます。
 社員である住人の権利をしっかり保証し住み易い環境を維持、うちにはそれだけの力が有ります。」
「だから詩織姫の影響力が絶大なものになっているのだよな。」
「社会的には偏った村なのですが、村社会を考えると効率的な面も有りますので小規模企業城下町の可能性を考えているのです。」
「我々が展開してる企業は小規模ばかりだから日本では難しそうだな、でも、この村と同じ形態の村は詩織の滞在先として増えて行くのだろ。」
「はい、その過程でどの様な弊害が出て来るのかは分かりません、ただ、公正な選挙は難しいと思いませんか?」
「それは仕方ないと思うよ、日本でも組織票と呼ばれる票が有り、結局は利害が絡んでいるだろ。
 次の総選挙で我々の党が議席を伸ばせるかどうかも、ある意味我々の組織票がカギを握っているからな、選挙なんてそんなものさ。
 村を住み易くしていたら、自然と企業の思い通りになって行くのではないか。」
「ええ、そこは意識していまして日本でも私達の企業城下町を作れたらと考えたのです。」
「地方自治体では立候補する人がいない所も有るぐらいなのだから、細かいことは気にしなくて良いと思うよ、ただ、小規模な企業城下町的なものを作れるのかな? 日本で。」
「中小企業単独では無理ですが、うちに関係する協力企業との関係を強化し地域振興を企業グループが担うと考えたら、大企業の企業城下町とは違った形になりますが、私達の思惑に沿った街づくりが可能にならないでしょうか?」
「今までの関係を更に強化して行くと言うこと?」
「ええ、グループ企業の結びつきを更に上げて行くことで効率が良くなります、ただ、グループ外との関係性がどうなるのかは進めてみないと分かりません。」
「中小企業が繋がりを強化した所で大した影響はないと捉えられるか、社会環境に問題が生じるのか…。
 試せそうな所は有るのか?」
「五か所ほど候補を上げて貰いスタッフが調査してくれています。」
「情報が上がって来たらこちらへも流して貰って良いか?」
「はい、勿論。」
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バトル-412 [高校生バトル-42]

「雅、詩織と近衛隊が次の滞在地へ移動した後も、ここは観光客数を維持出来ると思うか?」
「詩織はどれぐらい減るのか予想出来ないと話してたわね、店はこの地方で手に入らないものを色々扱ってるからリピーターが増えていて、一応YouTubeで宣伝動画を流して行くことにはなってるのだけど…。」
「宣伝効果に疑問?」
「企画案を見せて貰ったのだけど、ありきたりでインパクトが無いのよ。
 かと言って良い案が思い浮かばなくて。
 今は、短時間のスピーチだけど生の詩織を見ることが出来、近衛隊のパフォーマンスが有ることを前面に出して宣伝、そこがなくなるのは大きいと思うな。」
「詩織が暮らした部屋を見られると言っても弱いよな、インパクトの有る何かを残せたら良いのだが…。」
「インパクトか…、いっそ詩織に奇跡でも起こして貰う?」
「奇跡なんて起こせないだろ?」
「現実にはムリでもドラマの中なら出来るわ、そもそも実際に奇跡を起こしても人には伝わりにくいでしょ。」
「成程…、この村や観光地化を目論んでる景勝地で奇跡を起こすドラマ、主役が詩織でヒットしたら聖地巡礼が始まると言うことだな。
 映像作品の出来が良ければ詩織の神格化が更に進む可能性も有るか…。」
「観光地に有る言い伝えなんて怪しげなものばかりなのだから、景勝地の案内にも詩織が奇跡を起こした地とか書けば良いわね。」
「試してみる価値は有りそうだが詩織のスケジュール的にはどうなのかな?」
「相談してみるけど、詩織さまのことを語り合う村人のシーンとかを多くすれば何とかなるんじゃない。
 来週は詩織と一緒にこの周辺の景勝地を回ることになってるから、衣装を用意してそれらしいシーンを撮影、後は編集次第ね、ファンタジー作品に仕上げて貰って私達の全YouTubeチャンネルで宣伝、悪くても運営費の足しぐらいにはなるし、バズったら暫くは安泰、詩織が滞在する全部の村を舞台として続ければ良いでしょ。」
「観光案内的ドラマと言うことだな。
 それを切っ掛けに詩織の神格化を更に進められたら面白くなる。」
「神格化を進め、詩織教でも立ち上げるの?」
「詩織教では直球過ぎる、ひねりが欲しいね。」
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バトル-413 [高校生バトル-42]

「雅、明日からの撮影に向け、詩織がどんな奇跡を披露するのかは決まったのか?」
「まだ全然決まってないのだけど、村や景勝地で詩織が女神っぽい衣装を着て撮影するシーンの演出だけは固まったみたい。
 その映像を見てから想像を膨らませストーリーを作り、他を撮影して行くと言う形にしてみようとなってね。」
「普通とは順序を変えて実験的な作品に?」
「うん、詩織の登場シーンは今回のロケ以外、何処でも撮影出来るものにすることにしてね。
 ただ、CGを駆使して作ると嘘くさくなるし、病人を直すとかも面白みに欠け、作り話でも奇跡を起こすのは思ってたより難しいの。」
「チーム詩織の存在こそが奇跡的なことなのだけどな。」
「それを簡単に紹介出来れば良いのだけど、絵的に面白く出来そうにないし解説して行くと話が難しくなってしまうでしょ。」
「この村を奇跡の村として紹介して行くのはどうだ?」
「悪くはないけど、すでにマスコミが熱心に紹介してくれているからね。」
「う~ん、詩織主演なら間違いなく見て貰えるとは思うが…、それで詩織の設定は?」
「女神さまか宇宙人、ご本人は悪役希望なのだけどスタッフ全員が却下したわ、女神さまで宇宙人と言う案も出てたな。」
「どちらにしても人類を救ってくれる存在か。」
「人類をと言うか環境問題も入れたくない?」
「う~ん、この辺りの国々で環境問題はどう受け止められるのかな、温暖化は先進国に問題が有りそうだろ。
 先進国が反省し始めた段階で化石燃料の消費が伸びてる国は微妙だと思わないか?」
「そうね海面上昇で島が沈むと言う話も有るのだけど…、その原因は豊かな暮らしをしている先進諸国、移住すれば良いと簡単に考える人がいるけど、例えささやかで有っても生活の基盤はその島に有って。」
「津波の可能性を考えたら移住をお勧めしたいが単純な話ではないよな。」
「女神様の起こす奇跡で津波から島を守るなんて案が有ったのだけどね。」
「却下に?」
「完全に却下では無いのだけど、詩織のイメージとは違うかと。
 ヒットしてお話が続いたら有りかもだけど、始めの内は詩織なら不可能では無いと視聴者が思う様な奇跡を起こして欲しいのよ。」
「う~ん、ハードルが高いな。」
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バトル-414 [高校生バトル-42]

「詩織、今日は撮影に行くのだろ、奇跡は起こせそうなのか?」
「どうですかね、YouTubeチャンネルのスタッフ達が色々検討しているのですが、奇跡と言っても色々有りますし定義も微妙です、ドラマの演出として上手くまとまれば良いのですが。」
「奇跡と言われてることの多くは作り話、結局は演出次第だろうな。
 ただ、詩織は奇跡的な成功を経験している、奇跡を起こせる存在、女神としての詩織が認知されて行けば、普通の株式会社とは全く違う存在になって行くと思っているのだが。」
「それは、社会的弱者を救済しつつ営利企業としての株式会社を成立させた、お兄さまの活躍が有ってのことですし、そもそも奇跡と奇跡的では意味あいが大きく異なるのでは有りませんか?」
「奇跡は起こせなくても奇跡的なことは詩織ならこれからも起こせそうな気がしているよ。」
「根拠は?」
「チーム詩織が今のまま、もしくは拡大しつつ組織を維持出来たら組織論を考えている人は奇跡的を通り越して奇跡だと思うだろうし、一般の人達も流石に気付くだろ、特異な組織を生み出し維持発展させてる詩織と言う存在の偉大さにね。」
「確かに特殊な立場になってはいますが、そこまででは無いと思います。」
「はは、面会を求めてやって来る多くの来客達が何を考えているのかは分かっているよな。」
「分かってはいても全てにお応え出来る訳では有りません、相手の立場を尊重する為だけにお会いしてる方が多いのです。」
「やはり経済的な支援を求めて来るのか?」
「村への投資額が注目されていますので、でも、私達がどれだけの借り入れをしているのかに気付いていない人もいまして、経済のことが分かっていない国会議員にお金の話をされましてもね。」
「そんな人達には、豊かではない地域の村に綺麗な建物を建て人を雇うなんて考えられなかっただろう、失敗すると思っていたら店が大繁盛だから奇跡だと思っているかも知れない。
 目に見える奇跡を起こせなくても、ここでは奇跡的なことを沢山起こしているのだから、それこそが奇跡だよ。」
「そうですね…、奇跡ではなく奇跡的とすれば話は作り易くなるのかも知れません。
 チーム詩織の力を持ってすれば…、実は日本の公営ギャンブルで勝てるのか、と言う実証実験をしていましてね、十万円の資金で始めたのが一億円を超えそうなのです。
 それなら奇跡的と言えるかと…、でも公表してしまうとギャンブルを助長しかねませんね。」
「そんなこともしてたのか。」
「村で博打が流行っていますのでギャンブルとはどんなものかと思いまして。
 結果は、面白がって参加してくれたメンバーが徹底的にデータ分析をした成果で、災害被災地を支援する為の基金にする予定で継続しています。」
「ギャンブルで基金作りか…。」
「参加メンバーはデータ処理研究の一環として取り組んでいまして、かなりの労力を使っています。
 その労力を考えたら奇跡的とは言えないかも知れません、ギャンブルで勝つにはそれなりの労力を必要とすることが分かりました。」
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バトル-415 [高校生バトル-42]

「お兄さま、詩織の奇跡、聞きました?」
「聞いた聞いた!
 雅は撮影現場にいたのだろ、奇跡なのか奇跡的出来事なのかどっちなんだ?」
「舞い上がってるスタッフばかりの中、冷静に調査が必要だと話してた人も信じられないを連発、今後の調査で何か理由が見つかるかもだけど、野鳥たちが詩織の手や肩に乗って挨拶してる様に見えたのだからね。
 可能性としては詩織の衣装が野鳥に何らかの影響を与えたと言うことぐらい。
 直ぐ専門家に映像を見て貰って鳥たちのことは少し分かったのだけど、専門家曰く、普通では絶対有り得ないことだそうで、どんなトリックを使ったのか聞かれたそうよ、餌付けして無いことは映像でも見て取れてね。」
「詩織の衣装に関して問い合わせても良いが、特別な素材だとは聞いてない、映像を早く見たいのだな。」
「そうね、どうせなら大きなモニターで、スタッフにお願いして来るわ。」

「お兄さま、映像が始まったよ。」
「ああ。
 おっ、綺麗に撮れてる、詩織の女神っぽい衣装、似合ってるね。」
「この湖畔は観光客向けのキャンプ場整備を計画してる所なのだけど、なかなかの雰囲気でしょ。」
「泳いだり出来るのか?」
「その辺りは調査中でね、綺麗なのだけど不便な所だったから遊びで訪れる人が少なかったの。
 村までの道が良くなって、後少しの整備で簡単に行ける様になるのだけどね。」
「衣装が森の緑や湖水に映えるてるね。」
「うん、撮影スタッフの気合が伝わって来るよね。
 あっ、来た来た、綺麗な鳥でしょ。」
「遠江王国では見掛けない鳥だな。」
「今日出会ったのは名前を知らない鳥ばかり、遠江での野鳥観察で名前を知ることの意味を教えて貰ったのを思い出したわ。」
「名前を知ることで、より身近な存在と感じられるのだったな。」
「うん、ほら、詩織に挨拶してるみたいでしょ。」
「確かに…。」
「餌付けに成功していれば寄って来てもおかしくないそうだけど、鳥類の専門家でさえ、こんなシーンは見たことが無いと話してたの、これが撮影を何時切り上げるか迷う程に続いたのよ。」
「しばらく、詩織の肩や手に止まったら交代するのか…。」
「鳥の種類に気付いた?」
「色々な種類の鳥が来てるね。」
「相手が猛禽類でない場合、種類に関係なく近くにいることは珍しく無いのだって。
 でも、詩織に対する態度は同じでしょ。」
「とてもフレンドリーに見えるが、撮影チームや雅は近くにいたのだろ?」
「構図の関係ですぐ近くでは無かったのだけど、それなりの人数がいたのにね、鳥達が危険だと感じる距離ぎりぎりだったのかな。」
「しかし…、鳥と戯れる詩織の表情が慈愛に溢れていて…。」
「スタッフ達も涙を流して感動してたの、詩織に絡む鳥たちの姿も愛らしいでしょ。」
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バトル-416 [高校生バトル-42]

「詩織、野鳥との戯れは、ホントの奇跡だと実証出来そうなのか?」
「良く分かりませんが、今日は私と体格の近い女性近衛兵に私の衣装を着て貰い同じ条件での撮影を試みたそうです。」
「どうだった?」
「美人なのに男の一人さえ近寄って来なかったそうで、寄って来るのは蠅ばかりだったとか…。」
「だろうな。
 小鳥の行動について何か分かったことは有る?」
「村人達は、改めて思えば私がここに来てから鳥がかなり増え、害虫が減った気がすると話してるそうです。」
「でも、野鳥が詩織に近づくことは無かったのだよな。」
「外に出る時は何時も近衛に守られていましたので。
 それで今日は試しに村の広場で、近衛にも少し離れて貰い撮影をしてみました。」
「野鳥は?」
「何故か来てくれましてね、先回と同じ様に六種類、前は猛禽類のご登場で終了となったのですが、今回は見物の観光客が集まり過ぎての終了となりました。」
「どんな衣装で?」
「グッズとして販売されているもので、特別なものでは有りません。」
「小鳥に愛される女神さまか…、このエリアの人達が詩織を好きなのと同じなのかな。」
「何とも言えません。」
「このエリアだけで詩織の人気度が急激に上がったのは奇跡的なことだと思っていたが、小鳥たちもだとすると本物の奇跡だよ。」
「どうですかね、ただ、遠江王国の野鳥観察会に参加した時は、解説の先生が何時になく野鳥が凄く多いと話しておられたことを思い出しましたし、うちでツバメが毎年多くの巣を作っているはご存じでしたよね?」
「確かにツバメの巣の多さは話題になっていたな、詩織の持つ何らかの波長が鳥やこのエリアの人達、そしてチーム詩織のメンバーに影響を与えているのかも知れない。
 非科学的だと言われそうだが、近くに人が居なければ鳥は寄って来るのだろ?」
「これからも試してみないと分かりません…。」
「遠江王国で暮らしてた頃はツバメ以外、寄って来なかったのか?」
「一人きりで屋外にいることが有りませんでしたので。
 でも、自然に囲まれ野鳥の多い所だとはずっと思っていました。」
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バトル-417 [高校生バトル-42]

「雅、詩織が奇跡を起こすドラマの制作はどうなる?」
「詩織が本当に奇跡を起こしたのは想定外のことでしょ。
 詩織が村の広場で小鳥と戯れる姿を観光客がスマホで撮影した映像が流れ始めてるから、ドラマ制作は保留、広場のシーンだけ簡単に編集してアップすることになったの。
 その後、湖畔で撮影したものを完成度の高い映像作品に仕上げてアップ、野鳥研究者の見解などで一本上げつつ、専門家にも立ち会って貰っての撮影、並行して詩織と戯れてる小鳥たちの紹介をして行く流れになっているのだけど。」
「目に見える奇跡だから、ドラマよりも視聴数が伸びるかもな。」
「でも、当初の目的、ここの宣伝としては微妙でしょ。」
「いや、詩織が鳥と戯れる姿のポスターを作れば売れるだろうし、この村で起こった奇跡として発表して行けば、観光客の増加に繋がると思うよ。」
「そっか、詩織が次に滞在する村でも鳥と戯れる事が出来たら良いね。
 う~ん…、当然の様にマジックや作り物の映像だと奇跡を疑う人が出て来るのだろうけど、そんな人達に実際の様子を見てもらい、検証動画を制作する必要が有ると思わない?」
「疑う人を納得させる動画は必要だな、ただ、詩織の負担にならない範囲しないと。」
「詩織は良い気分転換になってると話してたわ、連日下心しかない人達と会って来たのだから当然だろうけど。」
「鳥たちに下心はないのかな?」
「有ると思う?」
「では何故集まって来るのだ?」
「鳥の気持ちは分からないけど、詩織を一目見たいと集まって来る人間と違わなかったりして。
 そう言えば明日は詩織のスピーチを中止し、観光客に鳥達との戯れを見せようと近衛隊が準備してたわよ。」
「どんな形で?」
「野鳥が集まり易い様に森のすぐ近く、観光客が少し離れた所から見下ろせる場所に詩織がくつろげて場の雰囲気に合った椅子を用意するの、カメラも色々な角度から撮影出来る様に何台もね。」
「野鳥が来ない可能性は考えて無いのか?」
「そこは大丈夫、何時ものスピーチに変えて詩織がくつろぐ姿をお見せするとしかアナウンスしないから。」
「観光客は、詩織を見られさえすれば彼女が何をしていても構わないのか…、う~ん、思いっきり客寄せパンダだな。」
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バトル-418 [高校生バトル-42]

「詩織、安心して次の滞在地へ旅立つことが出来そうだね。
 この勢いなら野鳥と戯れる関連動画だけで村の一つや二つ簡単に建て直せるのではないか?」
「はい、グッズ製造工場の拡張工事は前倒しで着工の指示が出されました。」
「まさに奇跡が奇跡を呼ぶと言うか、湖畔での動画は今までYouTubeで一番見られていたのを軽く抜いてどこまで伸びるか分からない勢いだよな。」
「各国のテレビ局がニュースとして取り上げてくれたのが大きいですが、何度も繰り返し見て下さってる方が多いと聞いています、音声はほとんど小鳥達のさえずりだけなので言語の壁が無いのも良かったみたいですね。」
「癒し効果抜群だからな、コメント欄には色んな言語での書き込みが有ったが、スタッフによれば、何らかの疑いを持っての書き込みは予想以上に少なかったそうだ。」
「どんなトリックを使ったのか、やってる本人でさえ分かっていません…。」
「奇跡の検証動画撮影では、トリックを見破ってやると意気込んで来た人達が何も言えなかったものな。
 あれをアップしてからネットで叩いてた連中が大人しくなった。」
「あの日はあちこちでの撮影で大変でしたが、何処へ行っても私の周りから人が離れると小鳥が寄って来てくれて楽しかったです、始めて出会えた鳥も五種類いました。」
「詩織は、種類の確認が出来てるのか?」
「湖畔での撮影以来、このエリアで出会えそうな野鳥の確認をして来ました、図鑑で良く分からなかった鳥は、映像を専門家の先生に見て頂き教えて貰いました。
 先生は双眼鏡を使わなくても野鳥の観察が出来ることを羨ましがっておられたのですよ。」
「だろうね、詩織がカメラを向けても首を傾げるだけで逃げたりしないから、アップの写真が沢山撮れてたな。」
「鳥籠に入ってない野鳥を間近で撮影するのは難しく望遠レンズが欠かせないそうですが、標準レンズで十五種類の撮影に成功しています。」
「写真集でも出すか?」
「良いですね、それを切っ掛けに野鳥に興味を持って貰い、そこから自然について考えて頂ければと思います。」
「これが趣味だとはなかなか言えなかった詩織も、バードウォッチングと言う趣味を持てたな。」
「ですね、どの鳥も近くで見ると羽の一枚一枚がとても綺麗なのです、大空を飛べない籠の鳥では有りませんので悲しくなる事も有りません。」
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バトル-419 [高校生バトル-42]

「雅、詩織近衛予備隊の子ども達はどうだった。」
「近衛隊からの引継ぎ式、詩織達を見送る式典に向け頑張って練習してたわよ。」
「やらされてる感は無かったのか?」
「全然、指導に当たってる近衛隊の担当者は彼らにとって憧れの的となっていてね。
 同じ様な制服を着られて嬉しいとか、予備隊に入るまで全く興味の無かった学習を楽しく教えて貰える様になって面白くなり、テストで高得点を取れて学校の先生に褒められたとか、彼らが色々話してくれたのは予備隊に入れて良かったことばかりだったわ。
 勿論、その前に詩織の奇跡で盛り上がったのだけどね。」
「彼らは何て?」
「色々試してみたのだけど、餌を用意しても鳥は寄って来なかったとか。
 後は詩織に付いて色々聞かれたわ、詩織の欠点とかね。」
「う~ん、詩織の欠点か…、どう答えたのだ?」
「欠点が見当たらない所が欠点だと答えておいたわ、人間誰しも多少の欠点が有った方が可愛い気が有るでしょ。」
「模範的な回答だな、詩織はバランス感覚に優れていて、まあ、欠点が無くても可愛いが。」
「彼らの日常生活については聞けた?」
「色々話してくれたけど、そうね、私達の感覚では貧しいのだけど、あまり気にしてないみたい。」
「やはり生活環境は良くないのか?」
「この村へ来ると美味しい物を食べさせて貰え、シャワーを使わせて貰えるしトイレが綺麗でと話してたわ。
 村で働くにはどうしたら良いのか聞いて来た子もいてね。」
「近衛予備隊は暫くイベントに出るとは聞いてるが、期間は?」
「スタッフとしては集客能力によるそうだけど、雇用を意識して十四歳ぐらいの子を中心に集めたのだとか、先々の話は店の売り上げ次第になるのかな。
 この近辺での就職先は限られるので町へ働きに出る子が多いの、農業では充分な収入が得られなくてね。
 ただ、町での生活に憧れる子がいれば不安な子もいる訳で、家族と離れたくなくても、ここでは充分な収入が得られないから仕方なくと話す子がいたわ。」
「訓練だけでなく学習にも真面目に取り組んでる子が希望するのなら雇用して行きたいものだな。」
「詩織に話したら、奇跡関連の増収分で養える人数は増やせるのだけど、現場の判断だとか。」
「奇跡関連の増収分は、詩織の滞在に伴い開発中の村々で分けるのだったな。」
「でも、それはYouTubeの分だけ、奇跡関連アイテムの製造販売に成功すれば近衛予備隊全員だって簡単に雇えると思うのよね。」
「それには長く売れ続ける必要が有るだろ。」
「そうね、神社のお札みたいに長年に渡って売れ続けるアイテムを考えないとね。」
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バトル-420 [高校生バトル-42]

「とうとうこの村ともお別れね…。」
「雅は何か心残りでも有るのか?」
「長期滞在すると愛着が湧くものよ、村人達とも随分交流したし、時間は長くなかったけど近衛予備隊の子達ともね。
 心残りとしては、詩織の謎が解明の糸口さえ見えてないことかな。
 このまま奇跡として世界的に認知されたらそれはそれで嬉しいことだけど。」
「次の滞在地でも野鳥に囲まれてくれると良いのだが。」
「それは大丈夫、詩織と調べたのだけど野鳥の種類はここと大きくは違わないみたいなの。
 もし向こうの村で野鳥が寄って来ない様なら、それが謎を解明するヒントになるのかな…。」
「野鳥に関する調査は始まってるのだろ?」
「詩織が村に滞在することによって野鳥の数が増えるのかどうかを確認したかったから、詩織の到着前に個体数の調査を進めておきたかったのだけど時間的に無理でね、せめてもと言うことで野鳥観察会を開くことにしたの、そしたら面白いことになってさ。」
「面白い事?」
「参加者を正式募集する前から多くの問い合わせが来てね。
 この村同様、店をオープンさせ観光地化を目論んでる村だから、野鳥観察が観光の目玉になるのも有りと言うことで準備を進めているのよ。」
「詩織の滞在中に何度も村を訪れそうな、生活に余裕の有る人達という事か?」
「何度もでは無く、詩織の滞在中ずっと村で暮らしたい人、そんな人達からの問い合わせが世界中から来てるのよ。
 うちのホテルは予約で一杯だから急遽キャンプ場の整備を前倒ししてね、簡易的なものながら長期滞在を意識した施設を充実させる予定なの。
 野鳥観察と宿泊プランの提示を開始、詩織が森でくつろぐ姿を見学するチケット込みのオークション形式での販売にしてね。」
「希望者が多いだろうな。」
「と思う、でも、詩織は暇じゃないし人が多過ぎるのも何だから回数と人数を限定、鳥との戯れを見られなかったら返金するのだとか。」
「オークションで得られた収益の使途は公表するのか?」
「うん、近衛予備隊の予算に組み込むことになったわ、子ども達の為に使われるのならオークションで高値を付ける可能性が高くなるでしょ。」
「かもな、詩織近衛予備隊の展開も活動の柱となって行きそうなのだろ。」
「ええ、詩織の滞在地として観光地化を進めてる村ごとで進めているのだけど、予算が増えればより充実した活動が出来るわね。」
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