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夏休み-131 [花鈴-14]

「竹林作業を専業には出来ませんが、月に一回のボランティアでなら続けられると思うのです、多少の付加価値は必要ですが。」
「作業後のお楽しみですね。
 ここの竹林をモデルケースとして紹介し広げられると良いです。
 竹林再生のノウハウも蓄積されているのですから。」
「他にも荒れた竹林は有るのですか?」
「ええ、人数が増えても問題無いです。
 竹林だけでなく、耕作放棄地も有ります、大学生の人達中心に田舎に興味を持つ人が増えると嬉しいですね。」
「その辺りは我々も作戦を考えてみます、無理なく、長く続けられる取り組みにしたいですので。」
「筍や竹を売ってその活動費に充てられたら良いのだけど、そこまでの収益は見込めない、やはりボランティアになってしまうのが心苦しいです。」
「いえ、ボランティアで良いと思います。
 我々が就職するとデスクワークが中心、体を動かす作業もするべきですし、皆で作業するのは楽しいものなのです。」
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夏休み-132 [花鈴-14]

「くれぐれも無理をなさらないで下さいね。」
「ええ、でもホントに楽しいのですよ。
 作業の助言をして下さってる方との交流も有りますし。」
「その方とは、どんな話をなさるのですか?」
「色々ですが先日は老人のデイサービス、そのケアマネージャーについて。
 花鈴姫の施設では無く彼の兄弟が経験したことは考えさせられました。」
「参考までに教えて頂けますか?」
「ええ、弟さんは鬱病気味で引き籠りがちだったのですが、お母さまの認知症が進んでからは掃除や洗濯をこなし良いリハビリになっているそうです、ただデイサービスを利用する課程でお願いしたケアマネージャーに問題が有ったそうでして。」
「問題?」
「デイサービスを利用するに当たって二軒の施設を紹介され、良ければ日程調整をするとのことで、了承。
 ネットで調べたら近所の施設は見学出来るとあったので見学に行ったのだそうです。
 初めてのことですから持ち物のこととか事前に聞いておこうと思ってのこと。
 ところが、ケアマネージャーからは月木金土でと聞き月曜日にしましょうとの話だったのが、施設側は月曜日だけは混雑してるので避けて欲しいと。」
「調整するのがケアマネージャーの役目ですから、それは問題ですね。」
「はい、それで、その施設の職員がケアマネージャーへの連絡を試みたのですが、何度電話しても出らず、折り返しの電話も掛かって来ないので、夜になって四月十八日の火曜日にしましょうかと打診が有り、それを了承したそうです。
 翌日の朝ケアマネージャーから電話が入ったのですが、当然施設サイドと話がついてると思ったら、十七日の月曜日にもう一つの施設へと言い始め二日連続は有り合えないと話したら、見学に行った施設からの着信を完全に無視していたのですよ。」
「仕事を何だと思ってるのってレベルですね。」
「ええ、それでもう一度見学に行った話をしたそうです。
 と言うのはケアマネージャーの彼女が一度間違い電話を掛けて来ていて、その時に見学に行った話を伝えていたのです。
 ならば四月十八日に見学に行った施設、金曜日に見学に行った施設と言い始めたそうで、金曜日は別施設の筈ですし、四月二十一日の金曜日は病院へ行くと伝えて有ったのでそれを話したら、金曜日が良いと思います、と言われたそうで。」
「ケアマネージャーさん大丈夫?」
「説明して見学に行った施設と連絡を取り合って日程を確定させる様に話して電話を終えたのですが、その時点で、疲れがどっと出てしまい動けなくなったのだとか、引き籠ってた人ですからね。」
「ストレスに弱いとか?」
「ええ、やりかけていた掃除をやめ、ケアマネージャーを紹介して貰った所へケアマネージャーを変えて貰う電話をした後は本当に動けなかったそうです。
 そのあと掛かって来た電話でも、メモして下さいと言ってから、決まって無かった施設に関して火曜日で曜日を同じにした方が良いですよねと話しながら四月二十三日の火曜日と、因みに二十三日は日曜日なのですよ。
 こんな調子のケアマネージャーと長く付き合うなんて絶対無理で、お兄さんから断って欲しいと電話が入ったのだとか。
 紹介してくれた施設からは他の人を探して紹介するが、断りの連絡をこちらからは入れられないと言われたそうで。」
「それも精神的な負担になりそうです。
 ケアマネージャーでもケアの必要が有りそうなレベルのマネージャー相手だったのですね。」
「花鈴姫のデイサービスセンターではどうです?」
「大丈夫ですよ、職員にそんなレベルのお年寄りはいませんし、待遇改善を進めています。
 責任を持って気持ち良く働いて頂ける環境を整える様に田中社長が頑張ってくれていますので。」
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夏休み-133 [花鈴-14]

「そうですか、まだ老人福祉施設のことは良く分かっていませんが、祖父や祖母がいずれお世話になるかも知れませんので多少は知っておくべきかと思ったのです。」
「それで詳しく話を聞かせて頂いたのですね。
 因みにうちの施設では他に無い試みも考えているのですよ。」
「どんなのです?」
「地域のお年寄りが気軽に遊びに来られる施設の併設を考えています。
 要介護、要支援の対象にならない人達のサークル活動的なもので、認知症の予防をメインに遊びの場を提供し、色々働いて貰うことを想定しています。」
「働いて貰うのですか?」
「ギブアンドテイクですよ、藤井さんが皆で作業するのを楽しいと感じたのと同じことで、元気なお年寄り達が乗り気なのです。
 竹林再生の指導をお願いした方もその内の一人、若い子達と触れ合って若返ったと話してましたよ。
 仕事としての農業は引退しても、まだまだ動けるからと。」
「確かに我々より遥かに力持ちでした。」
「お金に困っている人達では有りませんのでお願いすれば気軽にボランティアで引き受けて下さるのです。
 彼らに憩いの場を用意させて貰うのは、そのお礼の意味も有ります。」
「元気なお年寄りのパワーを有効活用しているのですね。
 それも花鈴姫の策略に皆さんが乗せられてとか?」
「策略だなんて言わないで下さいよ~、私の提案を皆さんが受け止めて下さってるだけですから。」
「花鈴姫に頼まれたら断れない人ばかりなのでしょうね…。」
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夏休み-134 [花鈴-14]

「お祭りの時に知り合った人達なのです。
 絵梨が声を掛け切っ掛けを作ってくれなかったら話せなかったのですが、慣れてしまえば良い人ばかりで仲良しになりました。
 畑のこととか相談すれば親切に教えてくれるだけでなく手伝ってくれて、友達だよなって話してくれるのですよ。
 そんな彼らにデイサービスセンターの近くで過ごす時間を作ることには、それなりにメリットが有るのです。
 センターの業務を手伝って貰えることも有りますが、それより彼らの老化が今後色々進んで行くことを考えたら、それを遅らせる為の助言とか、支援が必要になったら顔見知りのスタッフにお願い出来ます。
 元気な老人から介護の必要な老人になるまでの課程をスムーズにサポート出来る環境があれば良いと思いません?」
「う~ん、元気な内はあまり意識しないことに早い内から接しておくのですか…。
 初めて施設のお世話になる時の精神的なハードルを下げることになるのかな…?」
「元気な内は先輩のフォローをしつつ老いに付いて理解しておけば、そこから何年か先に後輩からフォローして貰える立場となるまでの良い流れが出来ると考えているのです。
 まあ、元気な人達は元気なまま百歳まで生きると話していますけどね。」
「はは、分かります。
 確かに、元気なうちから施設の職員と顔なじみになっていれば、精神的に楽かもです。
 顔見知りに面倒見られたくなければ他の施設を利用すれば良いし、その時でも施設利用のことを理解した上でとなるから…。
 元気なお年寄りに今後についての学習する場が有ることは大きなメリットなのですね。」
「本当にメリットになるかどうかは、これから何年も続けてみないと分からないのですが、試してみる価値は有ると思っています。」
「確かに、花鈴姫が認知症のお年寄りになるまでには、随分な時間が掛かりそうです。」
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夏休み-135 [花鈴-14]

「自分がお婆ちゃんになるなんて全然実感が湧かないけど、事故に遭ったり重い病気をしたりしなければ何時かはお婆ちゃんになるのよね。」
「ええ、それを意識していたら、認知症のお年寄りのことだって大切にしなくてはと思いませんか?」
「そうね、でも認知症の人って可愛いのよ、施設の職員は老いて子どもに帰ると話してましたが、言われたことを一分後には忘れていても、日にちが分からなくなっても大した問題では無いのよ。」
「まさかお年寄りで遊んでたりはしてませんよね?」
「しないしない、観察者として人の能力についてとか考えるだけ。
 お年寄りに嫌われたくはないですよ。」
「観察者ですか。」
「冷静に見ていたら普通の人が何を考えてるか分かると父から教えられました。
 但し、分かってもそのことを話しては行けないのですけど。」
「確かに心を読まれてると知られたら友達が減りそうです。」
「藤井さんも実践してることでしょ?」
「そうですね、でも、花鈴姫の考えてることは、さっぱり分からなくて。」
「え~、嬉しい時は嬉しそうにしてると思うのだけな。」
「いえ、時々常人が考えることの斜め上みたいな発言が飛び出しますし、何か企んでいそうだったり。」
「う~ん、否定は出来ないけど、人に害を与える様なことは少ししか考えてないわよ。」
「はは、少しは考えてるんだ。」
「上から目線で偉そうなことを言って来る小者は嫌いなの。
 そんな人は僅かだけど。」
「はは、姫のロック魂ですね。」
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夏休み-136 [花鈴-14]

「花鈴姫はお父さまから人間関係のこととかも学んでいるのですか?」
「そうね、兄が社長を目指してることも有って、そんな話題が夕食時に出ることは以前から。
 父の話はどんなテーマでも楽しいの。」
「経済界で注目されてる中で本社移転を実行され、企業の在り方を世に問いておられる方ですから。
 先日少しお話を聞かせて頂きましたが、花鈴姫が羨ましいと感じました。」
「ふふ、相手の家族を褒めることは互いの関係を良くすることに繋がるとご存じなのですね。」
「う~ん、まあそれぐらいは、でも普通の小学五年生はそんなこと全く考えていませんよ。」
「その辺りのことについては教えて貰ったことが有ります。
 例えば円周率を暗記する作業で少し人より記憶力が良いと自慢出来ても、それは実生活で何の役にも立たないじゃないですか。
 でも、他者との関係をよりスムーズにする方法を知っていれば生きて行くのが楽になります。
 実際、難しいことですが、姫と呼ばれ始めた小学五年生だからこそ研究テーマとして意識すべきだと言われ、改めて人間関係について考える様になりました。
 その過程で、八方美人には成りたくないと思いましてね。」
「それで上から目線の小者は玩具にと?」
「ええ、今は色々研究中なのですよ。」
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夏休み-137 [花鈴-14]

「どの様な研究を?」
「一学期は観察をしていました。
 観察対象とした彼女の行動がどの様な考えから来るのか推測、良く分からない所は訊けば教えてくれましたので、彼女の価値基準が掴めて来た所です。」
「成程、今後は?」
「頭ごなしに叱る人なので、それを諫める効果的な一撃を考えています。
 まずは論理的に話して、それが通じないのなら仲良しさん達に協力して頂こうかと。」
「そこまで問題の有る人なのですか?」
「叱り方が下手なのです。
 正直、教育者に向いていないと思っていますので、そこに気付いて貰いたいですね。」
「叱り方ですか…。」
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夏休み-138 [花鈴-14]

「花鈴姫は御両親から叱られますか?」
「物心が付き始めた頃から、叱られない様に気を付けてたかしら。
 両親は叱ると言うより、何故それをしてはならないのか、どうすべきなのかを論理的に分かり易く説明してくれるの。
 それを理解出来なかったら恥ずかしいでしょ。」
「成程、だから頭ごなしに叱る人は…、しかし今時そんな教師がいるのですか?」
「徳沢さんの活躍で休職することになった先生がいたのだけど、もう一人ね。
 たまにでは有るのだけど小学生相手にカッとなって叱るのですよ。」
「感情的にですか?」
「ええ、私もたまたま目撃したことが有るのですが、そこに教育的な価値は見出せませんでした。
 教頭先生や徳沢さんが動いて下さってはいるのですが、大人のいる所では普通に真面目な先生なのですよ。」
「その先生はストレスを抱えているのかも知れませんね。
 徳沢からも話を聞いてみます。
 そんなことも、お父さまに話されているのですか?」
「ええ、父の会社でもたまに問題の有る人が居るそうで、時には精神科に掛からせ休ませるのだとか。
 父は大きくまとめた報告書を見るだけですが。」
「姫は、問題の有る教師にカッとなるなんてことはないのです?」
「冷静に判断出来る大人を目指していますので気を付けています。
 冷静さを失ったら論理的な判断が出来なくなって失敗する、そんな人間には成りたくないです。」
「常に冷静に策略を巡らせていると?」
「そこまで大人では有りませんよ、まだ小学五年生ですから。」
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夏休み-139 [花鈴-14]

「でも子ども扱いされるのは嫌なのでしょ?」
「ええ、両親も兄も私のことを一人の人間として尊重してくれるので、レベルの低い人から子ども扱いされるのはちょっと。」
「ご家族は花鈴姫のことを大人扱いしてるのですか?」
「大人と相対する時とは少し違うかもだけど、少なくとも頭ごなしに叱ったりとかはしないのよ。
 兄が私のことを人として尊重してると気付いてからは、尊重されるに相応しくと意識する様になったわ。」
「あっ、自分も兄が優しい人で、やはり自分のことを尊重してくれてると感じてから兄弟喧嘩をしなくなりました、姫と違い自分が中学生になってからのことですが、そんな感じで大人になって行くと思っていたのです。
 ただ、その辺りは家庭環境によって大きく異なりそうですね。
 ずっと子ども扱いされ続けていたり、親から頭ごなしに叱られるばかりでは精神的な成長を阻害されるのかも知れません。」
「う~ん、精神的な成長ですか…。」
「精神的な成長を妨げる要因は色々有ると思います、例えば過保護とか。」
「過保護ですか…、父も母も私のことをとても大切にしてくれ、ある意味過保護なのかも知れません。」
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夏休み-140 [花鈴-14]

「大切にされてると気付けているから問題無いのですね。
 親が色々な形で娘が真っ直ぐ育つように導いていれば多少過保護でも大丈夫なのかな。
 過保護で失敗すると、自立心が育たなかったりするみたいですよ。」
「自立出来ないと依存ですか?」
「ですね、高校の同級生にマザーコンプレックスの奴がいまして、頭は良くても自分で判断出来ない部分が有り、彼女が出来かけてもふられていました。」
「マザコンですか…、正常に親離れ子離れが出来ていないとか?」
「ええ、子どもの反抗期は親離れ子離れの為に有ると思うのです。」
「兄は反抗期を冷静に捉えていましたし、両親も過干渉しない様に気を付けていたみたいです。
 父を尊敬していますので反抗の対象はもっぱら母、そう考えるとマザコンの心配はなさそうです。」
「彼は大学生より大人だと感じるぐらいです、起業して社長にと考えてるだけ有って中学生とは思えないレベルですよ。」
「でも、歳の離れた私にとても甘いからロリコンの心配が…。」
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