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板垣千景-01 [高校生会議2-05]

岩崎高校生会議夏祭りに来たのは友達に誘われたから、でも来て良かった。
美しすぎる遥香さまやイケメンの運営スタッフがいたり、あまり期待してなかった模擬店の食べ物が美味しかったり。
同級生の子達がやってる店は、高一だけで準備したそうだけど大人達の店に負けていない、みんな楽しそうに働いている。
将来の進路を考えるコーナーも有る、私はまだ早いと思っていたけど、同級生が真面目に相談している姿を見ると他人事ではないのかも。
そんな事を考えているところへ声を掛けられた。

「千景ちゃん。」
「えっ、あっ、誠にいちゃん、こんにちわ…、今日はスタッフなの? 高校は卒業したのでは?」
「はは、大学の夏休みさ、千景ちゃんは勘違いしてるみたいだけど、岩崎高校生会議は高校生だけのものじゃないんだよ、ほら大人達も模擬店出してるだろ。
ベースは高校生と共に考えるという事なんだ。」
「へ~、今日は?」
「政治について考えるコーナーの担当、地域政党みどりの風って知ってるか?」
「うん、母さんが、そろそろ柿川市でも大きく動くみたいな事言ってた。」
「あ、そうか、君のご両親は地区の幹部だったかな。
なあ、市長が来てる筈だけど、見たか?」
「うん、遥香さまの所で。」
「もしかして遥香さまのお付きの方から追い返されるところを?」
「ええ、何か下品で偉そうにしていて、遥香さまに近づくだけでも不快だなぁ~って思ってたら、退場を命じられていたわ。」
「そうか、噂は伝わって来たのだけどね。
あの市長は、この地に岩崎が色々移転して来て豊かになった財源を、なんか訳の分からない使い方をしてるみたいなんだ。
本人は来年の市長選でも当選出来ると思ってるらしい、でも、俺達は彼に退場して頂くつもりなんだ。」
「選挙は…、はは、岩崎が気合いを入れれば楽勝よね。」
「まあな、ただ、そろそろ国政政党を立ち上げても良い頃合い、その為の準備は高校生会議とみどりの風でずっと進めて来たのだけどね。」
「地域政党から国政を目指す政党になるという事なの?」
「ああ、千景ちゃんは高校生会議に参加してる?」
「まだよ、イベントも今日が初めて。」
「部活とか忙しいのか?」
「そうでも無いけど。」
「だったら、岩崎高校生会議第十七支部の政治研究会に参加してみないか?」
「う~ん…。」
「夏休み中は俺もミーティングに参加するつもりなんだ、めしぐらいは奢ってやるよ。」
「餌で釣る気なのね。」

結局私は釣られる事となった、ただ、食い意地が張ってる訳ではなく…。
家が近所の誠にいちゃんは小学生の頃から可愛がってくれている。
中学生になってからも道で会えば声を掛けてくれていた。
大学生になってすごく大人っぽくなり…、つまり私は極めて純粋な気持ちで政治研究会に参加する事を決めたのだ。
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板垣千景-02 [高校生会議2-05]

私が初めて参加した岩崎高校生会議第十七支部、政治研究会のミーティングは、高一が中心、でも誠にいちゃんだけでなく高校の先輩も参加。
進行は三年生の先輩。

「今日は共産主義、社会主義について考えてみよう、君達はどれぐらい知ってるのかな?」
「何か自由が無さそうで怖い感じ。」
「うちの親は嫌ってた、考え方が片寄ってるって言ってたかな。」
「でも共産主義の考え方は悪くないと思うわ。」
「ふむ、板垣さんの考えは?」
「私も中学の自由研究で調べたぐらいで難しい事は分かりませんが、共産主義では財産の共有が前提です。
分かり易い例だと、日本では土地を個人や法人が私有しているけど、本当の共産主義ではそれを認めていない、土地はみんなの物。
だから、親から相続した土地など、財産を持っている人は生まれながらにしてお金持ち、逆に生まれながらにして貧乏という様な事がなく、貧富の差は生まれない。
社会主義の一つと言ってしまって良いのかな…。
社会主義は個人的な自由を少し制限する代わりに、より平等で公正な社会を考えている素晴らしい考え方なんです。
ただ、それを国の制度として実行してみたら色々な問題が出てしまいました。
人間の欲や能力の差、自分が楽をする為に誤魔化す人、リーダーになった人の資質、主義に賛同しない人の処遇。
その結果がソビエト社会主義共和国連邦の崩壊だったりします。」
「板垣さんは中学の自由研究でそれを?」
「はい。」
「その自由研究って見せて貰う事出来るのかな?」
「はい、父がみどりの風地域支部の資料に使うとかで、ウエブサイト上で閲覧出来る様にしました。」
「誠先輩、こんな子を連れて来るなら前もって教えて下さいよ~。」
「す、すまん、俺も知らなかったんだ…。
なあ、みんなは板垣さんの話しを聞いてどう思った?」
「何となく納得しました、主義としては悪くないと考えて押し進めたのだけど、その考えに沿って動こうとした人達に問題が有ったという事なのですね。
でも、日本の共産党はどう考えているのでしょう?」
「そうだね、それは…、板垣さんはどう思う?」
「共産主義の理想を追い求める人がいるから日本共産党は続いているのでしょうね、社会党は消えましたが…。
でも、矛盾を抱えています、共産主義と天皇制はどう考えても相いれません。
ならば日本国憲法の改正を訴えても良いのではないでしょうか。
今の憲法は彼等が大嫌いな筈のアメリカ主導で制定されたものですし。
さらに自衛隊が軍隊で無いとは小学生でも思っていません。
彼等にとっても矛盾を抱えたままの憲法を守るという、彼等の主張には無理が有ります。」
「九条は微妙な部分も有ると思うが。」
「どう改正するかです、自衛隊の役目を明確にするだけで、戦争しますと変えないでおく事は出来ませんか?」
「確かにそうだな…。」
「侵略戦争完全放棄ですが、今の九条を素直に受け止めたら、他国の領空侵犯に対応する軍事力すら保持出来ません。
憲法は国の基本法ですが改正しては行けないというものでは有りません。
諸外国で憲法改正は普通に行われている事なんです。」

その後、先輩達とは随分意見交換をした。
私は、小学六年生の時に憲法第九条と自衛隊の関係に疑問を感じて以来ずっと調べて来た。
中学三年間の夏休み自由研究はずっと政治関係。
まあ、得意分野だった事で、今日は少し話し過ぎてしまったのかもしれない。
でも、誠にいちゃんに子ども扱いされたくないという思いも有った…。
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板垣千景-03 [高校生会議2-05]

ミーティングが終わった後、誠にいちゃんは約束通りファミレスで奢ってくれた。

「誠にいちゃん、私…、話し過ぎたかな…。」
「いや、問題ないよ、政治関係が千景ちゃんの得意分野だったのは意外だったけど。」
「六年生で憲法について学習した時に、自衛隊って軍隊じゃないの? って思ってから何となくね。」
「ご両親の影響も有るのか? みどりの風に力を注いで下さってる様だが。」
「それはね…、大きな声では言えないのだけど、私に影響されてみどりの風の活動をしていると話しているの。
自由研究で分からないと親に訊いたりするでしょ、それを一緒に調べたり考えているうちにね。」
「と、いう事はみどりの風の方向性には千景ちゃんも賛成しているという事かな。」
「みどりの風が国政を目指す話は知ったばかりで…、でも岩崎雄太社長の方針に沿っての事だから多分大丈夫だと思うわ。
岩崎社長は今までにない社会体制を思い描いて見えるでしょ。」
「ああ、まずは企業の役割から…、でも千景ちゃんがそんなに学習していたなんて驚いたよ。」
「ふふ、何時までも子どもでは有りませんよ~。」
「うん、見直した、これからも政治研究会に参加してくれるか?」
「そうね、先生役を頼まれてしまったし。」
「俺は九月の中頃には大学へ戻るけど、その後も頼むよ、メールでここの状況を教えてくれると嬉しいのだけど。」
「良いわよ。」
「そ、それと…、千景ちゃんは彼氏とかいるの?」
「いたら、こんな所で誠にいちゃんと会っていないわよ。」
「はは…、ど、どうかな、俺と付き合うってのは?」
「えっ?」
「小さい頃は可愛いだけだったけど…、ほんとはもっと待ってから告白するべきなのかもしれないけど、のんびりしていて誰かに先を越されるのは嫌だし…。」
「ふふ、良いわよ…。」
「有難う、ずっと好きだったんだ。」
「へ~、何時から?」
「う~ん、ちっちゃい頃から妹の様に可愛がってたつもりなんだけどな。」
「確かに…、でも、これから…、妹扱いは嫌かも。」
「分かった、俺の事は誠と呼んでくれ。」

突然の話だったけど、私が誠にいちゃんに憧れていたのも事実で嬉しかった。
う~ん、二人が並んでたら、ちゃんとカップルと見て貰えるだろうか、兄妹ではなく…。
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板垣千景-04 [高校生会議2-05]

残りの夏休みはとても楽しかった。
告白されてみて、私が自分で思って以上に彼の事が好きだったのだと気付く。
その誠にいちゃん…、誠はすぐ我が家へ挨拶に来た。
まあ両親ともに顔見知りだった訳で…。
あっという間に、うちで夕飯を食べて行く程、我が家に馴染んだ。
うちに来る時の手土産が野菜だったりするのは、ご近所さん故の事か…。
夏休み中、二人でよく出かけたが、遊んでばかりではない。
夏休みの課題は苦手な理数系を教えて貰って早目に終わらせた。
そして、政治研究会のミーティングにも何度か参加した。
私が二度目に参加した会では。

「千景、今回は大人中心だからね。」
「うん…、この部屋?」
「ああ。」

「おお、誠くん、いらっしゃい、今日は彼女同伴かい。」
「こんにちは佐竹さん、こっちは千景、板垣千景です。」
「よろしくお願いします。」
「こちらこそ、よろしくな、もう直ぐ始まるからちょっと待ってて。
お~い、お嬢様に飲み物頼む~。」

「では始めます、今日の学習会は政治の現状を分析するというテーマです。
今回初めてという方も遠慮なく発言なさって下さい。」

討論は現政権の問題点や野党の情けなさなどが中心、特に気になる発言はなかった。
「え~っと、今回は珍しく高校生が参加してくれました…、女子高生の目から見て今までの話はどうでしたか? 板垣さん。」
「はい、私は女子高生の代表では有りません、私個人の考えという事でよろしいでしょうか?」
「あっ、失礼しました、お願いします。」
「皆さんの討論を聞かせて頂くまでもなく、大きな問題は投票したくなる様な国政政党が無いという事だと思います。
ですから国政政党を目指して準備中の、みどりの風に期待するしか無いと考えています。
私がみどりの風に期待しているのは、岩崎雄太社長のお考えに沿って企業人が係わっているという事です。
既存政党の議員たちは一つの党内に派閥が有ったり考え方が違っていたり、酷いと全く違う考え方の人が選挙目当てで同じ党に所属というおかしな事になっています。
国政政党みどりの風は岩崎の価値観に沿って、一つの企業体の様な形で運営されると信じています。
党内に反対意見が出る事も有るでしょうが、それは話し合いで一本化され一丸となって運営して下さるでしょう。
会社組織が意思統一なされていないと良い仕事が出来ないのと同じ理屈、当然分かっていらっしゃる方ばかりだと思っています。」
「みどりの風が国政政党を目指している事はどの程度?」
「最近知ったばかりですので調べ始めたばかりです。
岩崎高校生会議第十七支部、政治研究会には所属したばかりですので、今後ご指導お願いします。」
「いや、こちらこそ…、はは、今時の若いもんはって、定番のセリフが有るが、うちの高校生達はホントに頼もしいね、今年の一年生は特に優秀な人が集まっていると感じていたが、こんなにも可愛らしいお嬢さんがしっかりしていて、誠くんが焦る気持ちが分かるよ。」

会場の人達はそれなりに私達の事をご存知だった様で少し恥ずかしかった。
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板垣千景-05 [高校生会議2-05]

政治研究会に何度か顔を出す内に私の立場は一年生のリーダー的なものになってしまった。
私より先に活動を始めていた一年生と比べて、知識や理解度が大きく異なる事は誰の目にも明らかだったから自然な流れだ。
姉や妹と違い普段から両親と政治の話をして来た、みどり風の話も…。

「千景、市長選へ向けて公約の案が出来たが見てくれるか?」
「うん、どんな感じなの…。」
「これなんだが…。」
「そうね…、悪くは無いけど…、文章が固くないかしら…、お父さん、ちょっと待ってて、私のパソコン持って来るから。」
「ああ。」

私のパソコンからアクセスしたのは、みどりの風が市政を担う地方都市の支部が作ったサイト。
「ほら、言ってる事は同じでも優しい感じになるでしょ。」
「確かにそうだな…、このまま使うのはまずいのかな?」
「先方の了解を得ておけばいいんじゃない、お互い地域政党みどりの風の仲間なんだから。」
「そうだな、今後は国政政党として協力して行く事になるのだろうし。」
「国政の話は進んでいるの?」
「と、思う、担当は違うんだ、千景は国政の方が気になるのか?」
「そりゃあそうでしょ、市長戦は負けたらおかしいもの。
会社の業績を大きく伸ばした竹本社長が市長候補、会社運営の手法を市政に取り入れると明言されているでしょ。
落選したら平社員からやり直すなんて話して見えるけど、岩崎が一丸となれば落選何て有り得ないわよ。」
「だな、でも国政はそんなに甘くはないからな。」
「何とか政権を取れる政党になって欲しいわね。」
「ああ、千景の方はどんな感じなんだ。」
「個人的には組織固めの必要性を訴えてる段階。
地域政党、国政政党、政策研究、政治学習がバラバラで動くのは仕方ないけど、横の繋がりを強化したいと思わない?」
「そうだな、それなりに規模が大きくなりつつある、私の方でも相談してみるよ。」
「うん…、ねえ、絶対当選する市長選挙だけど、みんなで盛り上げれば楽しいし、その後への弾みにもならないかしら。」
「市長選をお祭りにするのか?」
「ええ。」
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板垣千景-06 [高校生会議2-05]

誠は夏休みが終わりに近づき大学へ。
毎日の様に顔を合わせていた夏の終わりは寂しかった。
それでも、いや、だからこそ誠に良い報告が出来る様、政治研究会での役割は真面目にこなしている。
お母さんからは…。

「千景、市長候補、竹本社長と対談の話が来てるけど、どう?」
「えっ? どういう話?」
「高一の可愛い女の子が政治研究会で頑張ってるって噂を竹本社長が聞きつけて、会ってみたいそうなの。
これまで、みどりの風の地域支部に横の繋がりをと動いてくれてたでしょ、市長候補とも繋がりを持っておいて、悪くないんじゃない?」
「う~ん、対談の内容はどこかで発表するの?」
「ええ、編集して、最低でもこのエリアの岩崎関係者全員の目に届く様に、出来れば市内の有権者全員にね。」
「内容がまだ分からないのに?」
「あらっ、みどりの風関係者の皆さんは、あなたの考えに賛成だそうよ、だから市長候補と対談してもおかしな事にはならないだろうと判断してるの。」
「そうね、竹本社長も岩崎雄太社長を尊敬してみえるそうだから問題無いか。」
「じゃあOKしとくね。」

お母さんはやけに嬉しそうだったが、その理由はすぐに分かった。
竹本社長との対談会場は料亭。
そんな席に慣れてない私の為という事で、私のマナー教室と称して家族揃っての会食に。
美味しかったが、お母さんが私を口実にお父さんを説得したで有ろう事は明白。
最近、こんな母の血を私がしっかり受け継いでいると感じる事は多い。
さりげなく政治研究会を動かしていたりする…。
でも、そんな事もお父さんはお見通しで、策士策に溺れるなと言いながらお母さんのドジ話を教えてくれた、嬉しそうに。
夫婦仲は悪く無いのだ。
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板垣千景-07 [高校生会議2-05]

竹本社長との対談。
テレビカメラの存在に少し緊張はしたが、挨拶の後は…。

「千景さんが政治に興味持たれたきっかけは何ですか?」
という問いには、憲法を学習した時の話しや中学の自由研究の話をし…。
「竹本社長は、みどりの風、市政部会の部長をしておられますが、市政の問題点をどの様に見ておられますか?」
「歳出のアンバランスだね、簡単に言ってしまえば、税金を使うべき所に使わないで、さほど必要でない事に使っているて、更に使おうとしている、君もそんな気はしてないかな?」
「はい、今の市政では取り敢えず施設を作るという感じで、公園を作る予算は有っても、その維持管理の予算は充分用意されていません、その結果、草で荒れてる公園も有ります。
公園の維持管理は、住民のボランティア頼みばかりでは行き届きません。
私の祖父が住む都会の公園は維持管理にしっかり予算が下りていて、何時行っても綺麗です。
柿川市の過去は分かりませんが、今は岩崎関連の会社や工場、倉庫が増え税収はそれなりに有ると思います、必要性の低い新しい施設を建設する予算が有るのなら、現在ある施設の維持管理にもっと予算を回すべきだと思います。」
「維持管理に予算配分をするメリットを君はどう考える?」
「安定雇用の確保です、現時点で老朽化の進んだ施設も幾つか目に付きます、年間を通して市内の色々な施設を補修して行くだけでも、それなりの雇用に繋がると思います。
更に踏み込んで、市政に係わる仕事に携わる人や福祉関連で働く人の待遇改善まで考えて下されば、経済活動の活性化にも繋がると思うのですが。」
「そうだね、福祉関連の給与水準は低すぎると思う。
若者が安心して結婚、子育てを考える事の出来る水準まで上げる必要は私も感じているよ。
では、教育面はどうかな?」
「岩崎の仲間が調べていますが、まずは貧困対策を充分に行う事が先だと思います。
貧困家庭に生まれた事がハンディにならない社会になれば、教育関連の問題も随分解決出来ると思います。
教育に関しての具体的な取り組みは、岩崎高校生会議で調査研究だけでなく、実際に学校改善チームが高校や中学の部活に係わったりもし始めています。
ですが市役所サイドの後押しが得られていません、中には面倒な仕事を増やしてくれるな、と考えている職員もいるようです。
そんな状況ですが、私はより多くの大人が学校教育に係わる事によって改善される問題が多いのではないかと感じています。」
「具体的には?」
「部活の指導を教員主体で行うのではなく外部指導者に任せれば教職員の負担が減ります。
法改正が必要になりますが。
指導と言う形でなくても大人が共に学んだり、スポーツや趣味の活動を共にする事が可能になれば、子ども達の視野が広がりますし、いじめがしにくくなります。」
「問題点はないのかな?」
「悪意ある大人をどう排除して行くかです。
ある程度人数を多く出来れば互いに注意し合えると思いますが、誰でも良いとはせずに資格を取って頂く必要が有るのかも知れません、お仕事との兼ね合いも有ります。」
「そうだね、私も研究してみるよ。」

竹本社長は敢えて色々な話題を振られたと思う。
市が抱える社会問題は多岐に渡る、それらを私の口から聞きだしたり、ご自身で語られたりした。
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板垣千景-08 [高校生会議2-05]

対談の模様は編集され色々な形で視聴して頂く事に成っている。
その編集が終わる前に…。

「千景、今日竹本社長とお会いして来てな。」
「へ~、社長はお父さんと接点とか有ったんだ。」
「いや、そういう訳ではなくて、千景にブレーンの一人として活動して貰えないかというお願いをされてな、高校一年生という立場を考えたら、先に保護者の承諾を得て置くべきだと考えて下さった訳だ。」
「ブレーンか…、お父さんはどうお応えしたの?」
「本人の意思を尊重させて頂きますとお答えしておいたよ。」
「そっか…、ねえ…、お父さんはさ、職業としての政治家って、どう思う?」
「有りだな、最近の千景を見ていると悪くないと思うし、何より周りの人達がな、お前が被選挙権を得たら全力で担ぎ上げたいって、まだ選挙権すら持っていない高一の女の子をだぞ。
それだけ人々の信頼を得ているという事だな。」
「うん…。」
「だいたいだな最近の議員なんて能力的に怪しい二世やブームに乗っかった素人、知名度だけのタレント議員が幾らでもいる、そんな連中に比べたら、すでに組織に良い影響を与えていて、被選挙権を得るまでに沢山の学習が出来る…、本来政治家は若い頃からしっかり学習し経験を積んだ上でなるべきだと思うんだ。
次のステップとして、竹本社長のブレーンとなり経験を積まさせて頂く事は悪くないと思うよ。」
「そうね、一度社長とお会いして…。」
「スケジュール調整はするが希望は有るか?」
「学校が有るものね、それじゃあ…。」

数日後、私は竹本社長達と会食。
その場には時間の都合がついた他のブレーンの方も同席された。
大学教授、保育園の園長、町内会長といった顔ぶれは新鮮。
皆さんは編集の終わった対談映像をご覧になったそうで、お褒めの言葉を頂いた。
そして、私がブレーンとしての職務を果たしながら、将来への経験を積むという考えは皆さんに受け入れて頂けた。
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板垣千景-09 [高校生会議2-05]

報酬も発生する竹本社長のブレーンとなってからは、多くの人と話し合い組織固めをして来た。
私の様な高校生の小娘で良いのかと思う事も有ったが、私利私欲とは無関係とのイメージが強く、好感を持たれているそうだ。
実際、皆さんは協力的だった。
選挙の準備も始まり忙しく過ごしている間に、誠は大学の春休みとなり帰って来た。
冬休みにゆっくり会えなかったのは彼が試験を優先したから。
でも、その結果が良かったそうで四月からは新設の岩崎学園大学柿川校に通う事が決まった。
これから近くで暮らせると思うと、思いっきり嬉しい。
誠には遥香システムを教えて貰っている。
高校生会議では私を含めた一部のスタッフだけが昨年末から研修を受け始めた。
基礎はそれ程難しくないが先を考えたらしっかり使いこなす必要が有る。
彼は大学でしっかり学びながら使っていて、かなりの応用まで把握している、頼もしくて惚れ直してしまった。

この春、みどりの風は大きく動き始めた。
岩崎高校生会議が国政政党を目指すみどりの風の正式な支持母体となった、それに伴っての遥香システム本格導入。
この流れを苦も無く乗り切れたのは誠が手伝ってくれたからに他ならない。
さて、みどりの風と一口で言っても国政政党を目指す全国組織、地域政党として各地で作られた組織…、各地と言っても県政と市町村では動きが異なるし、もちろん政治が関係する分野は多岐に渡る訳で、すでにかなり複雑なものになっている。
私達は、この状態を遥香システムでカバーし整理して行こうと考えている訳だが…。

「千景、遥香システムの市政関連は随分作業が進んでいるが大変じゃないのか?」
「それ程でもないのよ、前から有る組織をシステムに落とし込んで行く事が中心、全国的に作業が進む頃には、こちらの体制は固まっていると思うわ、誠が手伝ってくれてるし。
柿川市の組織を他の市町村のお手本にするという事で協力体制が充実してるからね。」
「それにしても…、システム上ではみどりの風市政部会の実質的なトップになってしまって、自分が娘より随分下の立場になるとは思ってなかったよ。」
「それでも重要なポジションなんだから手を抜かないでね。」
「もちろんだ、しかし遥香さまをきっかけに高校生を重視する風潮が随分広まったな。」
「そうよね、私なんて凡人なのに。」
「凡人なのか? 私等夫婦は鳶が鷹を生んだと散々言われてるがな。
まあ、若者が活躍できるのは良い事だと思うよ。」
「遥香システム導入の効果として、若手が組織内で大きな顔を出来る様になったと感じてるわ。
もちろん年齢関係なく使えるシステムだけど、応用は流石に若手に叶わないでしょ。
結果として偉そうにしていたお年寄りの立場が弱くなったって、竹本さんも喜んでみえたわ。」
「そうか、千景を要職に就けて下さったのも大きなお考え有っての事なのだろうな。」
「ええ、政治は国の将来を支える若者の手で進めて行かなくてはいけない、先の見えないご老人の手に何時までも委ねていては国自体が更に老いてしまうと話して下さったわ。」
「成程な。」
「その事を私の口から訴える事で若者達を動かして欲しいとも。」
「あっ、千景のカリスマ性を高めようと…。」
「私の責任は重くなってるの、竹本さんが考えてみえるのは、明日の世界は私達が作って行く、その土台を作って行くのが大人の役割だそうで。」
「はは、当たり前だろ俺達は娘たちがより良い人生を送れる様に、その為にはより良い社会であることが大切だろ。」
「う、うん。」
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板垣千景-10 [高校生会議2-05]

遥香システムに於ける、みどりの風柿川市市政部会のトップは市政部長室、竹本さんが市長に当選すれば市長室となる予定。
最高上位者は竹本さんだが、室長には私が就任した。
部長室の直下に総務部、選挙対策部、政策部、社会福祉部などが置かれそれぞれの下に課を設置。
課の事情により更に係を置いている部署も有る。
私がそれ程大変でないのは、各部署の長がその責務を果たしてくれているからだ。
しばらくの間はその進行をシステムを通して確認、問題を感じたらその問題を解決してくれそうな人にお願いするのが私の基本的な仕事だった。
今は選挙へ向けての動きを確認している。
この組織の特徴は、参加して下さっている方々に二つの役割をお願いしているという事。
一つはその人が担当している作業、もう一つは他の部署の観察。
他の部署の観察は遥香システムがなかったら難しい。
他部署のワークシート進行を観察するだけなら一回五分でも構わないので各自の負担は少ない。
観察していて気付いた事が有れば市政部長室に報告して貰っている。
第三者の目というのは冷静で見落としに気付く事が多い。
また他の部署を見る事で自身の作業にプラスになったとの声も聞かれる。
市のシステムとして本格的に機能し始めるのは選挙後になる訳だが…。

「千景、短期間でよくここまで出来たものだな。」
「竹本さん、基本的には選挙に向けて準備して来た事をシステムに組み込んだだけですから、この作業で選挙戦の最終チェックが出来ました。」
「うん、ならば心強い、千景、先ほど連絡が有って、みどりの風が国政政党として本格的に動く事が確定したよ、公式発表前だから他言無用なのだが、私達の市長選公示日の前日に国会議員の方々がみどりの風への入党を発表する事が確定だ、無所属だったり他党からの移籍でね。」
「いよいよ国政政党の立ち上げなのですね。」
「ああ、暫定的に遥香さまを党首として世間の注目を集める戦略だ、次回の衆議院選挙までに党首は交代だがな。」
「うわっ、本当ですか! ワクワクしますね。」
「市長選への影響はどう思う?」
「当選して当たり前だと思ってましたが、ここは投票率得票率を上げて国政政党を援護したいです、発表は何時頃になります? うちのスタッフへも内緒ですか?」
「そうだな…、非公式に選挙スタッフへ伝えて良いか確認してみよう。」
「早く漏れると問題が有るのは他党からの鞍替え議員ですか?」
「まあ誰が移るのかは私も聞かされていないから…。」
「マスコミ関係が問題かも知れませんが、いずれ分かる事、微妙に漏れて注目されるという手も有りますね。」
「そうだな…、国政政党準備室のワークシートへ私が許可する形でアクセス権を設定しよう、チーム遥香の桜さんが暫定担当、千景の事はすでに伝えてあるから一度意見交換をしておいてくれるか。」
「分かりました。」
「ついでに色々見ておくと良い、もし考え方にずれが有ったら早めに調整しておきたいしな。」
「はい、学習させて頂きます。」

桜さんとの調整で、国政政党立ち上げの話が市長選前に有りそうだとの噂を流す事にした。
それに向けて市長選では楽勝だからと手を抜くのではなく、最高の投票率の中最大の得票数、を大きな目標とし、国政政党としてのみどりの風を勢いづけようと鼓舞する事となった。
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