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中学校-21 [チーム桜-11]

基礎クラス。

「じゃあまず宿題の一問目を解いてみてね、それが合ってる様な気がしたら次の問題、分からなかったり間違ってると思ったら、私達を呼んでね。」
「全然分かんないんだけど…。」
「そっか、数学は何時頃から分かんなくなった?」
「え~っと割り算かな…。」
「ふ~ん、じゃあ宿題チェンジね、こっちの問題をやってみようか。」
「足し算引き算なら出来るよ。」
「うん、まずはやってみて。」

「一問目合ってるかな。」
「合ってるわよ、でも自信がなかったのね。」
「うん、何となくこんな答えだったような気がして…。」
「もしかしてxに色んな数を当てはめてみたの?」
「うん。」
「そうか、間違っちゃあいないけど、じゃあ宿題チェンジしてこっちの問題を解いてみようか、こんな問題でも解ける?」
「無理。」
「じゃあさっきの問題と比べながらやってみようか。」

「終わりました。」
「おっ、簡単に終わらせたな…、うん全問正解だけどどうする、次のページへ進んでも良いし、もう少し難しい問題にチャレンジしても良いんだけど。」
「何か、久しぶりに全問正解したから…、次のページに進んで、全部終わらせれたら少しだけ難しい問題にも挑戦してみようかな。」
「OK、君のペースならこの宿題はすぐ終わると思うよ。」
「はい。」

「なあ健司、これって合ってるか?」
「どこ? う~ん、おしいな、この分数は割り算と考えてさ、こんな風に。」
「そうか有難う。」
「ねえ健司くん、この問題だけどさこれで良いんだよね。」
「うん、合ってる、自信持って良いよ。」
「ふふ、今日の問題は解ける問題が多いからやってて楽しいぐらいだわ。」
「健司、これはどうするんだっけ?」
「自分で考えたのか?」
「ああ、全然分かんないんだ。」
「まずは…。」

「学生達さすがですよ。」
「桐山先生、どういう事です?」
「座席指定がうまく機能してましてね、始めのうちこそ学生が全員の指導をしていましたが、あそこで周りの連中に教えてる生徒いますよね。」
「あの辺りは学生があまり行かないですね。」
「健司って呼ばれてる生徒の学力は基礎クラスレベルではないんです、周りの連中も分かってるから学生がいない時は健司に尋ねる、あの連中は、この基礎クラスでは上の方なので、健司の説明について行けてるみたいです。」
「それを狙ってですか…、しかし健司くん自身がこのクラスを選んだ理由はどうなんでしょう?」
「学習意欲があまりなくて、能力は低くないと思うのですが、家庭の事情か精神的な何かが有るかもしれません。」
「そう考えるとこの時間は彼にとってプラスになりますね。」
「ええ、ここまで企んでいたとは…、選べる宿題という発想にも驚かされましたが。」
「確かに、自力で解けない問題ばかりの宿題では嫌になりますよね。」
「教育のシステムその物を見直さないといけないのですかね…、簡単な事では有りませんが。」
「選べる宿題は試してみたくなりました、多少の手間は掛かっても。」
「それなら連絡を取り合いますか、学生の協力も得られるかもしれませんし。」
「そうですね、個別で動いたら手間ばかり掛かって無理が有りますね。」
「後で、他の先生方にも話してみますか?」
「ええ。」
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中学校-22 [チーム桜-11]

学習会、初日の夕方。

「中級クラスの盛り上げには成功したみたいね。」
「岡井のおかげだよ。」
「でも麻友ちゃんがあんなに人気者だったとは、全く気付いてなかった。」
「おっとりしてて、ほんわか…、確かに可愛いよね。」
「あの子のクラスにも行ってたのに、やはり普段の生活を見るだけじゃ気付けない事も多いということかしら。」
「クラスの皆は麻友ちゃんの良い所を沢山知ってるんだろうな。」
「数学終了後相談してたみたいだけど、勝負のルールは決まったの?」
「ああ、ちょっと宿題が簡単すぎるという声が出て応用問題を追加する事にした、個人戦プラスチーム戦にして、特別テストが第一回戦、二学期始めのテストが第二回戦、今日来てない子や他のクラスの子達も誘うとか基準点を期末テストの結果にしてハンデをつけるとか、どのチームが勝ってもおかしく無い様に色々工夫したよ。」
「個人戦はガチでやるのか?」
「それも有るが、トップクラスの子が絶対勝てない、基準点から何点アップしたか部門とか、他の子の得点アップに協力して結果を出したとかの特別賞も用意することにした。」
「賞品は?」
「個人の負担は避けたいから、極力お金の掛からない、負けたチームに掃除当番を代わって貰う権利とか、皆で考える事になったよ。」
「私が賞品を用意するとかはやめた方が良いのかしら。」
「物によるかな、花井さんとも相談するけど。」
「歌のプレゼントとかどうかな。」
「えっ? 罰ゲームじゃないんだろ。」
「はは、すごく微妙だな。」
「俺とデート出来るとか。」
「だから罰ゲームじゃないんだよ。」
「全員参加か?」
「いや、強制なしの自由参加でなきゃ意味ないからね、これは強調しておいた。」
「今回は三年生だけなんだな。」
「ああ、結果を見て一二年でもと思うが、あくまでも正式な学校としての取り組みではないから一工夫必要かもしれない。」
「そうね私達の取り組みのメインが終わった後も続く形で継続的に見て行きたいと思うわ。」
「掛け持ち参加自由の部活にして、私達が外部指導者になるってどうかしら、先生方の負担を増やすことなく授業と違った形の取り組みで学力アップに繋げるみたいな。」
「そうだな、籍を置いといて勝負に参加するだけでも良いし。」
「はは、この辺りの塾から営業妨害と言われかねないが。」
「法的には問題ないだろう、むしろ塾に金を掛け過ぎてる家庭の救済になるかもしれないぞ。」
「授業の無駄を減らし、学習に向き合う意識が改善されて、どれだけ学力アップするかは未知数だけどな。」
「やはり、何年にも渡る継続調査が必要ね、その過程で効果の有った内容に関しては他の中学へも広げて行けると良いのだけれど。」
「明日は教育委員会の方との会議が有るけど、現時点での希望として出しても良いかな。」
「ええ、積極的にお願いしたいわね、あなたの教員採用試験にもプラスになるかもよ。」
「それは、切り離して考えてるから。」
「明日は佐々木代表も同席されるのか?」
「ああ、午前中にチーム桜で打ち合わせをして、午後から市教委との会議になる。」
「結果次第で今後の活動が変わる訳だな。」
「おいおいプレッシャーを掛けるなよ。」
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中学校-23 [チーム桜-11]

二年生中級クラス歴史の時間。

「じゃあ問題に取り組んでみようか、今日紹介する学習方法は暗記重視の試験とかで色々使えるからね。
まずは問題を実力で解いてみるけど、答えはノートとか他の紙に番号を付けて書き込む、問題用紙は何度も使うから大切にしてな。
分からない所は問題の番号だけ付けて空欄にしておこう、何か質問ある?」
「答えは横に書いて行きますか、縦ですか?」
「答え合わせは縦の方がやり易くないかな、自分で試してみてやり易い方で良いよ。
「まず一通り終わったら答えを取りに来て、答え合わせをしよう、この時教科書を確認して内容を再確認してね。
今日は時間を区切るから時間までにこの作業が終わった人は、同じ所をもう一度やってみよう。
全問正解だった人や間違いの少なかった人は次へ進んでも良いからね。
学習の方法、流れに関する事は後でまとめて質問を受け付けるけど、問題そのものに関しては最後にしてね。
じゃあストップが掛かるまで問題に取り組んでくれるかな。」

「答え、下さい。」
「早かったね、全然分からなかった?」
「はい。」
「じゃあ、一度教科書をしっかり読んでから問題に取り組んでみて、それから答え合わせをしよう。」
「はい。」

「二度目の人や、次へ進んでいる人も増えて来たから一旦中断してくれるかな。
まずは内容じゃなく、学習方法について質問とか有るかな。」
「これって何回も繰り返して覚えるという事ですか?」
「基本はそういう事だよ、但し、一回目で間違いの少なかった人は、間違ったとこだけ印を付けておいて、翌日は間違えたとこだけやって見るのも有り、半分ぐらいしか出来なかった人は、翌日もう一度全部やってみる、間違いや空欄ばかりだった人は、その日の内にもう一度全部やってみる、大切なのは自分で考えて学習に取り組む事なんだけどどうかな。」
「塾でやってる問題はもっと難しいけど。」
「君は中級クラスを選んだけど、今自分が考えてる実力はもっと上なのかな?」
「そんな事ないです。」
「今日の問題は今までのテストのレベルを考えての物で、宿題全部を全問正解出来れば、八十点以上とれると考えて作って有るんだ、実は進学塾と名乗っている塾は、発展応用クラスの生徒を基準にしてるとこが多いみたい、だから塾の宿題が自分の実力に有ってなかったらマイナスになる可能性も有る、そうそう俺達の間では笑い話になってるけど…、塾の宿題は怒られるからと言ってせっせとやるのに学校の宿題はいい加減な生徒がいたんだ、実力的には中ぐらいかな、もっとレベルの高い生徒なら話も多少違って来るけど…、まず公立中学のテストは宿題から出る事も少なくないから学校の課題をきちんとこなした方が効率的なんだ、更に内申点というのが有る、学校の課題をやらない生徒が高評価を受けるとは思えないんだけどね。
簡単に言えば中級クラスなら学校の課題をきちんと提出する事、今日の問題の様に教科書に沿った問題を繰り返し練習する事で結果が出せるという事なんだ。」
「今日のやり方なら塾なんていらないな。」
「まあそういう事だね。」
「社会なら授業を受けなくても点が取れそうな気がして来た。」
「はは、まあ実際に入院して授業を受けなくても高成績だった人もいるけどね、ただ授業には違った意味も有るんだ、例えば日本とヨーロッパの国の歴史の共通点を考えてみたりすると面白い共通点が見つかったりとかね、どうしても今の日本ではテストをしなくてはならないみたいだけど、テストは歴史を学ぶ本当の目的ではないと思わないか?」
「ゲームで興味を持ったとこは、教科書でも興味がわいたなぁ~。」
「でも先生によっては…、西田先生の授業は全然楽しくないのよね。」
「だよな、社会は嫌いじゃなかったけど…。」
「二学期は調査の方に授業をして欲しいな。」
「う~ん、俺達は教育実習じゃないから、それで夏休みを使って参加自由の学習会を開かせて貰ってるんだけど。」
「私は来て良かった、こういう勉強方法なら自分でも出来そうな気がするもん、いままでは宿題一回やって、間違ってても気にしてなかったから。」
「あっ、そうそう今回の宿題提出は、ノートやレーポート用紙、いらない紙の裏でも良いことにして頂いたから、宿題のプリントは名前以外書き込まずテスト前にも使ってね。」
「やったの全部出しても良いの?」
「ああ、暗記の苦手な人も努力だけは認めて貰えるよ。」
「う~ん、絶対点数上げたくなって来たけど、一人じゃ挫折しちゃうかな…。」
「じゃあ一緒にやろうか、西田先生じゃなく北川先生達に教えて頂いたら結果が出ましたって、気持ち良くない?」
「あっ、なら俺も。」
「せっかくだから、北川先生の授業も受けてみたいな。」
「はは、有難う、先生じゃないけど。」
「じゃあ今日は宿題進めといた方が良いですよね。」
「そうだな、そうしようか、後でどの辺りが頭に入ってなかったとか入りにくかったとかだけ教えてくれるかな。」
「はい。」
「じゃあ時間まで集中できるかな。」
「家じゃ集中出来ないから、一気にやります。」
「何かクイズみたいで面白くなってきたよな。」
「私も暗記苦手だけど頑張るわ。」
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中学校-24 [チーム桜-11]

三年生理科、宿題の合間に。

「成瀬さん、理科ってほんとに難しいわ。」
「そうだね目に見えない事も扱ってるから…、想像力を膨らませる事が出来ないとね。」
「想像力?」
「あっ、今、亜弥ちゃんは窒素と酸素と二酸化炭素を吸い込んだ、あっ吐いたら酸素が減って二酸化炭素が増えてる。」
「え~、そんな実感ないんだけど…。」
「だよね、見えてないからそれが普通の感覚さ、でも理科の学習をする時はそれを想像するんだ、でね中学生が考える時は正確でなくても良いんだよ。」
「でもそれじゃあ間違った事を覚える事になるでしょ。」
「幼稚園児から、どうして虹は七つの色なのって聞かれたらどう応える?」
「え~、私も解んない、え~っと空気が反射じゃなかった…、空気関係するよね、後水滴だったかしら。」
「はは、虹はね、雨と一緒に落ちて来た七人の天使さんが自分の大好きな色の橋をお空にかけて遊んでいるんだよ。」
「うわっ、メルヘン…、でも本当は違うでしょ。」
「普通の幼稚園児にする説明ならこれで良くないかな、でも小学生に対してなら、太陽の光は虹の七色から出来てるといった説明が加わったり、人間の目に見えるのは虹の七色、とか、もちろん空気中の水滴に反射されてとか、高校生には光の波長とかの話もね。」
「う~ん、そっか年齢に応じて変わっていくのか…。」
「理科の話に戻るとね…、中学で学習してる事も間違いではないけど、高校レベルの授業を考えたら、簡単なものなんだよ、色々省略もしてたりね。」
「ふ~ん。」
「そうだな、そこに酸素原子の想像図を書いてくれるかな、実物なんて無視して良いから。」
「そう言われても…。」
「人間の生活に欠かせないものだから、好きになるような顔で良いよ。」
「こんなん?」
「OK、これが亜弥ちゃんにとっての酸素原子だ、でも酸素くんにはもう一つ名前が有ったよな。」
「え~っと、Oって事?」
「ああ、じゃあちょっと体でも付け足して酸素原子とOを加えてあげようか。」
「こうかな。」
「うん、なかなか可愛らしい酸素だね、じゃあ今度は水素ちゃんかな。」
「Hも付け加えるわね。」
「ああ、出来たね、そしたら、今度は酸素くんを真ん中にして左右に手を付け加えてくれるかな。」
「こう?」
「うん、その両側に水素ちゃん、水素ちゃんは片腕だけ描いて酸素くんと手を繋ぐ、出来上がったのは?」
「水だよね。」
「水分子だな、水を見てその絵が想像できると理科が理解出来てくるかも、そんな感じで二酸化炭素も描いてみようか。」
「こんな感じかな。」
「え~っと二学期以降の範囲になるのかもしれないけど…、ほら、酸素くんは腕が二本だったろ、炭素原子さまは四本の腕で二人の酸素くんと繋がっているんだ…、ほら、こんな風にね。
高校でも化学をやるだろうから、その絵も本気になればどんどん進化して行くんだ、例えば水素ちゃんは酸素くんより随分小さいし、手の繋ぎ方とかもね。」
「へー。」
「飽和水蒸気量とか考える時も見た目では分かりにくいから、気温によって大きさが変わる目には見えない魔法のコップとかに置き換えて想像できると理解し易いくなるんだよ。」
「魔法のコップって、メルヘンっぽいけど…。」
「はは、昔やってた錬金術なんて、金に目のくらんだ人によるメルヘンの世界さ、でもそのおかげで化学が発達したのだけどね。」
「メルヘンの世界で理科を理解出来たら楽しいかな。」
「試してみようか。」
「うん。」
「じゃあ、どの内容をメルヘンにする事から始める?」
「そうね…。」
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中学校-25 [チーム桜-11]

某中三男子生徒宅。

「午前中だけとはいえ、さすがに学校は暑かったな。」
「でも内容が充実してるから嬉しいわよね、始めは学生さんの試験の関係も有って宿題中心だったけど、今は二学期以降の学習内容説明や色々なアドバイスを頂けるし、普段の授業だとどうしても他の子のペースに合わせなくちゃいけないけど学習会ではどんどん先へ進めるから楽しいわ、入試問題にも取り組めるしね。」
「塾の夏期講習やめて正解だったよ、先生のレベルが全然違うからさ、塾にはアルバイトなのか頼りない先生もいるんだ…、俺が進学校に受かったら、塾のおかげみたいな形で宣伝に使われるんじゃないかと思うと何か嫌だな、親には塾その物をやめたいと言って有るけど。」
「今日見学に来てなかった? 雄二のお母さん。」
「まあ、今日の内容ならやめれそうだな。」
「だと、良いけど、夏休み中に三年範囲終わらせて二学期からは実力アップに専念出来る、学校の授業も夏休み終わりの特別テストで結果を出したら、自分の学習に専念出来る教科も有るそうだから無駄が減ると思ってるけど。」
「予習をしっかりやると授業に身が入らなくなるって言ってた先生もいるけど、結局だらだらした授業ばかりだったわよね。」
「はは、今までの不満話はそれぐらいにして、今日も最近のパターンでやるか?」
「ああ各自集中して問題をこなしてから、教え合おう、母さんにもおやつ持って来て貰うタイミングは頼んで有るからね。」
「よしやろうぜ。」

「えっと…、早過ぎたかしら?」
「あら、おばさん…、もう予定の時間か…、確かに進んでたわ。」
「皆、どうかしら、うちでの学習会は。」
「一人でやるより、気合いが入ります、目の前に真剣に取り組んでいる人がいると自分もって気になりますから。」
「学校の学習会も?」
「はい、すごく論理的に説明して頂けるから、夏休み中に三学期の内容まで終わらせるという私達四人の目標も軽くクリア出来そうですし、高校内容の事も教えて頂けるので楽しいです。」
「ねえ母さん、雄二は塾やめるかもしれないけど、俺もやめて良いよね。」
「そうね、あなたの判断に任せるわ。」
「その分学習効率が上がる気がしてるんだ。」
「皆で遊びに行ったりはしないの?」
「行きたいですけど、親を納得させる何かが有れば…。」
「せっかくの夏休みだし、あなたたちが高校受験に向けて頑張ってる事は私達も分かってるわよ、明日は母さん達四人でお茶して来るからよろしくね。」
「はい、では三時のお茶は私が。」
「なんなら夕食は私が作りましょうか?」
「ふふ、相談しておくわね。」
「そろそろ、各自解けてない問題を教え合うか?」
「だね、さすがに今日やったばかりの数学応用問題はポイントが掴み切れてないんだ。」
「よし、ここからがバトルだな。」
「ふふ、私の方が先に解いちゃうからね。」
「お邪魔の様だから私は…。」
「ごちそうさまでした。」
「はい。」
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中学校-26 [チーム桜-11]

学習会の帰り道。

「どうだ、宿題終わりそうか?」
「よく分かんない、でも今日も沢山丸を貰った、まあ簡単だったけど。」
「俺もだ、勉強なんてな…、何時もはぼーっと授業時間が終わるのを待ってるだけだったけど。」
「高校とかどうする?」
「よく分からない、別に勉強したい訳でもないし、でも就職というのも何かな、高校ぐらいは出ておけって言われてるけど。」
「なあ飯喰ってからゲーセン行くか?」
「ああ、ちゃんと学習会に出たし、宿題もやってるから良いだろ。」
「じゃあ、後でな。」
「おう。」

「自由参加の筈なのに、親から強制っておかしくないか?」
「お前、期末の点数低すぎだろ、俺は自分から進んで参加してるぞ。」
「はは、どっちが目的だ、西川さんか、海川か。」
「年上の魅力で行ったら西川さんだが海川の可愛さも捨てがたい。」
「この不純野郎が。」
「どこが不純なんだよ、俺は純粋な気持ちでだな…。」
「まあ、動機は不純でも真面目に勉強か…。」
「まあな、高校生になって同級生の彼女があまりにもおバカというのも抵抗有るし、他校の女子と付き合うとしても、やっぱり学校のレベルで判断されそうじゃないか、西川さんからは力が有るからもう少し上を目指しても良いって言われたしな。」
「お前の基準は女子か?」
「当たり前だろ、お前はもてたくないのか?」
「そりゃあ彼女は欲しいけど…。」
「色々努力しない奴はだめなんだぞ。」
「お前は努力してるのかよ。」
「もちろんさ、今は小山で遊んでた事でイメージが落ち気味だけど、高校ではそんなの関係ないだろ。」
「幸せな奴だな。」
「ああ、今日の課題も簡単に解けたしな。」
「問題が簡単だっただけだろ。」
「はは、西川さんにレベルアップを頼んでの結果だぞ。」
「レベルアップと見せかけて実は簡単な問題だったんじゃないのか?」
「いや、ちゃんと難しくなってた…、お前西川さん達の事誤解してないか?」
「誤解?」
「ちゃんと俺達の事を考えてくれてると思うけどな。」
「…、そうかな…。」
「まあ、お前がどうなろうが俺の知った事じゃないが…、損をするのはお前の方だぞ。」
「…。」
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中学校-27 [チーム桜-11]

サッカー部の早朝練習を見守る地元の人達。

「この前はコーチの方から色々教えて頂いて面白かったですよね。」
「ええ、おかげで、今、中学生達が何を鍛えるためのトレーニングをしているかも分かります、サッカーは試合を見るでしたから参考になりました。」
「私が若い頃は根性を見せろ、みたいな指導ばかりで…、何の根拠もないトレーニングで怪我をした仲間もいたりしましたからトレーニング法って大切ですよね。」
「でも、最後は勝ちたい気持ちだって、秋田先生はおっしゃってて、勝負に対する気持ちも大切なんでしょう。」
「まあ、スポーツの世界は勝つチームが有れば、当然負けるチームも有る、すべての頑張ったチームが勝てる訳では有りませんからね…、でも負けてもそこで得られるものが有れば良いって学生の言葉は、彼の身体能力の高さを見せつけられた後だっただけに説得力が有りましたな。」
「柔道部に来てる学生もすごかったですよ、生徒に投げ技を掛けるけど、投げられても全く痛くない様で、それを生徒達にも大切な事と教えていました、生徒達も嬉しそうに指導を受けていて、大柄で強面なのにすごく人気が有るそうです。」
「色々部活を見させて貰いましたが、どこも楽しそうでしたね、やはり大学生がしかもそれなりにレベルの高い人達が来てるからでしょうが。」
「方向性としては私達で有る程度引き継いで行くという事ですけど大丈夫でしょうか。」
「指導の方向性をきちんと示して下さるそうですからね、素人が勝手に無茶するようなら居ない方がましでしょう。」
「私は早朝野球の連中を誘いますよ、チーム桜に登録してるチームですし、学生の指導は我々にとっても参考になります、機会が有ったら練習試合をしたいです。」
「中学生達と交流して行く中で、地域活動も見直して行きたいですよね、ここは地域活動が全然だから、チーム桜のモデル地区みたいには出来そうにないけど、まずは我々が核となって、小学校とも係わり合って行きたいですよね。」
「ええ、私は仕事の関係でしばらくは大したお役には立てませんが、もうすぐ定年なんで、子ども達も独立して、これからは地域のお役に立てればと考えています。」
「まずは中学生達を見守りながら交流して行く事で、いじめの無い学校にするのが我々の役目ですが、その為には組織だった活動が必要ですよね。」
「学生さん達の夏休み中にせめて形だけでも作っておきたいです、うちは息子に仕事を任せられる様になって来て余裕も有りますから、皆さんの調整役にもなれますよ。」
「宮田さんなら安心だ、変に威張りたいだけの人が中心になると問題も起きやすいからな。」
「我々も仲良く、子ども達のお手本にならないといけませんからね。」
「宮田さん、お願いします。」
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中学校-28 [チーム桜-11]

夏休みも終わりが近づく頃、学習会運営チームの反省会。

「特別テストの結果はまずまずだったな、やっぱり、やらされてる感のない子は伸びてるね。」
「その率も増やせたと思うわ、ただ…、自分から取り組めない子に対して私達はどうすれば良いのかしら。」
「色々な考えは有りそうだけど、俺は無理強いせずに…、まあチャンスはあげた訳だし、人生は勉強だけじゃないから見守るだけでも良くないかな。」
「確かに無理強いした所で結果には繋がりにくいかも、逆効果にもなりかねないわね。」
「二学期で変わる子もいるかもしれないから、もう少し様子見じゃないかしら?」
「そうだね。」

「二学期から調査メンバーがさらに増えるのよね、でも数値にこだわらない調査って変わってるわよね。」
「数値に捕らわれていると本質を見失う可能性が有るという佐々木代表の言葉は重かったな。」
「ああ、何%がどうとか調べても、どう改善して行くかにはあまり関係ない…、言われてみればそうだよな、調査の結果二%の子が問題を抱えている事が分かりました、その二%という数字を導くだけの調査に手間暇掛けました、それでどうなる?」
「そこで終わってる調査も少なからず有るんじゃないのかな?」
「でしょうね、本来ならその二%の子達の問題解決に時間と費用を掛けるべきなのに。」
「数値を導くだけの調査でも公共団体がやっているものは予算もそれなり掛かってる、改めて調査しなくても分かってる様な事でも、政治家の都合とか、予算を取るためとかなんだろうけど。」
「俺達が数値にこだわった調査をしてたら、時間が掛かる割に生徒の信頼を得られなかったと思わないか。」
「それは言えるな。」

「二学期からは実験的授業も特例として認めて貰えたからチャンスを生かしたいよ。」
「テストも市内の何校かと同じ時間帯に同じ内容でという取り組みも始まる、純粋に比較研究の為だけど、将来的には市立中学統一テストも視野に入れてね。」
「そうか、それもOKが出たのなら、さらに入試改革とかも検討したいな。」
「始めは調査というからどうなるかと思ったけど、これからの学校教育に直接影響を与えてもおかしくないのよね、予算の問題とか色々有るけど、子ども達が楽しく実の有る中学生生活を送れる様にするべきだと思うわ。」
「実験的実習授業では一クラスの人数が多くても二十人だったから楽だったけど、四十人近くになるとどうしても生徒との距離感がな…、楽しい学習の場にしにくいと思うんだ。」
「二学期の実験的授業は一クラス当たりの人数を色々変えてみるけど。」
「問題は色々変化が有る事によって授業に集中出来る子と、落ち着かなくて集中出来なくなる子が出てくる可能性か…。」
「そんな所もしっかり見て行かないとね。」
「保護者の方々の理解はどうなんだろう?」
「学習会に自主的に参加した子も多かったし、保護者対象の説明会には佐々木代表自ら来て下さったから大丈夫だと思うな、完全に代表目当てで来てたお母さんもいたみたいだけど。」
「説明会では特に苦情とかは出なかったし、メールとかでも好意的な内容がほとんどだった、でも二学期になって実際に動いてみないと分らないだろうね。」
「そうだな、まずは授業の企画書を完成させるか。」
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中学校-29 [チーム桜-11]

二学期、選べる宿題申告制が始まった

「本当にこれだけで良いの?」
「ああ、その代わり必ずきちんとやるんだよ、ここまでは必ずやりますという約束なんだけど出来るかな。」
「うん。」
「そうか拓也は逃げの最低レベルか、俺は頑張ってレベル三だな、でも余裕が有ったらレベル四までやっても良いんでしょ?」
「もちろんさ、これからの宿題内容がレベル四まできっちり理解出来てミスが無かったら次のテストで七、八十点を狙えるように作って有るからね。」
「レベル一だと?」
「二、三十点ぐらいかな、もちろんきちんと理解して練習した場合だけどな。」
「でもさ、レベル三まで出来るのにレベル一までしかやらない奴がいたらどうするの?」
「それは本人の責任さ、俺達は無理なく学習出来る環境を整えようと考えてるけど、実際に学習する本人が上を目指してないのに押し付けてもね、まあ本人が損をするかもしれないけど、もう中学生なんだからそれぐらいは自己責任の範囲じゃないか? 人それぞれだし。」
「人それぞれか…。」
「順平、夏休みの学習会では学習する意味とか考えたじゃん、その時にさ、今まで全然授業について行けてなかった俺だけど、自分なりの目標を持って学習するって事を教えて貰ってさ、この宿題はレベル一だけど基礎問題を別で少しずつ練習してるんだ。」
「へ~、そうなんだ真面目にやってんのか。」
「中一の内容が分かんないのに、中三の問題が解けたらおかしいって言われたんだ。」
「確かにそうだな…。」
「数学の力とかも人それぞれだけど、前向きに取り組もうとしてる拓也はかっこ良いと思わないか、順平。」
「うん、拓也、俺でも分かる所は手伝うよ。」
「有難う。」

「岡井さん、宿題終わらせちゃったけど、追加の問題も有るんですよね。」
「ああ、レベルは?」
「レベル四をもう少しやりたいのですけど。」
「じゃあレベル四ばかりのプリントをやってみる?」
「お願いします。」
「ただし条件が有るんだけどいいかな?」
「えっ? どんな条件なんです?」
「調査に協力して欲しいんだ。」
「調査?」
「追加プリントレベル四その一から五の解答用紙がこれなんだけど、自分で答え合わせした後で、宿題の問題を基準に考えた時、それより難しかったか簡単だったかをここに印を付けて提出して欲しいのさ、ほとんど宿題と同程度だったらゼロ、すごく難しいと感じたらプラス三、すごく簡単だと感じたらマイナス三って感じ、まあ難しいと感じるか簡単と感じるかは人それぞれだから、感覚的に簡単に判断して答えてくれれば良いんだけど。」
「それぐらいだったら協力します、でも…、その五が有るという事はその六とかも有るんですか?」
「まあね、詳しくは話せない大人の事情ってのが有る訳だ。」
「何か今までは調査って聞いてた割に調査っぽくなかったけど。」
「いや~、良い調査が出来たから次の段階へ進めてると思ってくれな。」
「追加プリントの提出期限は次のテスト当日だからね。」
「あっ、なんだテスト勉強になるってことか。」
「まあそっちが大切なんだけど。」
「ねえ、追加プリントは全部で何枚有るの?」
「う~ん、何枚になるのかは俺も解らないけど、本気で沢山の問題に取り組んでみようと思う生徒に充分な問題数は用意出来ると思う、ただしレベル五へのチャレンジもしてくれな。」
「はい…、何か岡井さん達すごいことやってるみたいな…。」
「はは、結果が出るまでには時間が掛かるけどね。」
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中学校-30 [チーム桜-11]

金曜夜、安藤隆二の自宅。

「佐々木、中学校の方はどうなってる、ずいぶん力を入れてるとは聞いてるが。」
「教育改革の方向性を示せるとこまで行けそうだよ、調査に係わってくれた人達が良い仕事をしてくれてるからね。」
「具体的には?」
「まず数学で始めたのは、宿題の量や質を個人の力に合わせる取り組み、さらに希望者にはそのレベルに合わせた練習問題を複数用意して活用してもらったり、ハイレベルな生徒の為に特別練習問題を用意したりと考えている、宿題改革だよ。
自学自習の方法を教えて、それを理解し実行できる生徒が伸びる形だと考えている。
テストは今まで各中学の教師が各々作成していたものを、どこの中学でも使って貰える様な形で、似たレベル、同じフォーマット、そして宿題に準じた形の物を、複数用意させて貰う方向だ、教師の手間を減らせるだけでなくテスト結果の分析が楽になる、ほんとは市内の全中学統一と行きたいけど日程的に難しいから日程の違いに対応してテスト用紙を用意する事になる、実際の所は賛否も出そうだけど日にちも時間も合わせた統一テストを行って順位を調べても良いと考えていてね、自分が全部の名古屋市立中学三年生の中で何位ぐらいなのか知る事は特に上位の子にとっては励みになるし受験する高校を決める時の参考にもなるからね。」
「そうか、中学校の学校間格差の問題もあったな。」
「そういう事だ、中学では何時も上位だった子が進学校へ入ったら学年最下位、それを想定していた子は良いが、そうでなかったらちょっと可哀そうかもだろ。」
「という事は入試改革も考えて行く訳だな。」
「もちろんだ。」

「中学校調査の発端になった、いじめ問題はどうなんだ?」
「さすがに学生が各クラスにいるから、今は表立ってのいじめはなくなっているみたいだ、ただ今後の事を考えた時に、ボランティアが校内にいる状況にして行きたいと考えている、中学校サポーターみたいな形なんだが、学校って結構閉鎖された環境だろ、そんな中で子ども達は多くの時間を同学年の子と過ごす、ここに一つの弊害が有ると思ってね、子どもが接する大人というとほとんど親と教師に限られる、これでは視野が狭くなると思わないか。」
「だろうな、うちの親はそれを意識してか色々な経験をさせてくれたけど。」
「まだまだ準備段階だが、中学の授業を受け直してみたいというお年寄りや、手芸を教えてみたいとか、お昼休みには中学校の校庭で乳幼児連れのお母さんと触れ合う時間とか、実験的校舎改修作業に合わせて、生徒が工務店の人と接する場を作るとか考えてるよ。」
「まずは廊下に木材を敷いて板張りの廊下にしてみるという、あれも利用する訳か。」
「施工業者の方に趣旨を理解して頂いての入札という事も想定しているよ。」
「木材利用の可能性、暖かみの有る校舎作り、生徒の視野を広げる、良い方向性だと思うな。」
「部活関係は安藤も知ってる方向で進んでいる、他にも色々進行中だけど、小学校や高校へも視点が向き始めているから、どこまで出来るか楽しみだ。」
「そうだな、チーム桜が有って始めて実現出来るレベルで事が進んでいる訳だな。」
「問題が山積みだという事が分かっていながら今まで放置されてた部分も有るからね、この取り組みへの参加者はどんどん増えている、問題作り一つにしてもすごい問題集が出来る勢いだ、行政の限界を俺達で崩せたら面白くなるだろうな。」
「問題も発生して来るだろうが、桜根としても全面協力させてもらうよ。」
「ああ、頼むな。」
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