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近衛予備隊-281 [高校生バトル-71]

 詩織さまが我が国に雇用の場を創り出す提案をして欲しいと全グループ企業に求めて下さったことで様々な話が来ている。
 その中から実現出来そうなものは失敗を恐れず取り組んで行く様にと指示を出した。

「グループ企業の皆さんは詩織さまからの相談を受け止めてくれたの?」
「ああ、既に色々来ていて提案の中には日本の企業が工場を建設する話も有るよ。」
「日本の企業と言っても詩織さまの傘下だから安心なのね。」
「安心だが、どれだけの利益を上げられるのか微妙なのも有るんだ。」
「例えば?」
「バイオ燃料関連、製品は原油由来に比べて割高になりそうでね。」
「それでも、工場を建てるの?」
「地球温暖化や原油の値上がりと言った事情が有るそうだよ、日本はエネルギーの多くを輸入、世界情勢によっては高くても頼らざるを得なくなるかも知れない。
 色々試してみてコストを如何に抑えられるかと言う実験を兼ねるとか。」
「我が国もマイカーブームで燃料の輸入が増えているよね、その辺りはどうなの?」
「火力発電所の様に森で切り出した木や枝葉を乾燥させて燃やすとは行かないからな。
 この先原油価格がどうなるか分からないから、今のガソリン価格並みに出来る燃料を作り出せたら色々と安定した産業に出来るだろう。」
「電気自動車はどうなの?」
「まだ割高だがリースならと試す人が出始めてるそうだよ。
 それも停電を無くした効果、電気自動車の普及に合わせた発電計画を考え始めてるよ。」
「停電が無くなって電化製品が増え電気代が高くなった話を聞いたわよ。」
「それを払えるだけの給料を貰ってるってことだろ、給与水準が他国と比べて遜色のない額になった所で賃金のアップ率は控えめにするのだけど。」
「すでに賃金格差が広がってるけど大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないさ、だが、その原因を国民は考えていると思うよ。
 新たな工場が稼働し始めたら、低賃金で働いてる人達が転職するだろう。
 かつて安い労働力を求めて他国に工場を建設した企業とは違うからな。」
「低賃金労働を強いて来た企業は労働者不足になって倒産?」
「今、慌てて賃金交渉をしてるだろうな、そりゃあ自分より下だと思ってた連中がリースとは言えマイカーを手に入れて楽しんでいるのだから皆転職を考える、今までも我が社では社員の給料水準を公開して来たのだけど信じられて無かったみたいだ。」
「目に見える格差、生活に困って無い人でも色々考えてしまうでしょうね。」
「家にお金を掛ける人も出始めてる、お洒落で快適な生活、それが俺達にとっては当たり前になってると伝えて行けば国家改革の進行が早くなるのかもな。」
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近衛予備隊-282 [高校生バトル-71]

 国の改革には地域差が有る、勿論俺達の王国が一番進み、人の手は借りたくないと言う偏屈な人を除いて貧困者はいなくなった。
 上下水道が整備され通信網も整備、景観を重視しているので電線も地中に。
 始めは詩織さまの宮殿ぐらいしか名所はなかったが、今では本やアニメ作品などのお蔭で王国中に名所が有る。
 王国は徐々に面積を増やし、今では王国設立時の十倍程になっているが、まだ周辺の町や村は王国への編入を希望している。
 王国に編入されると会社の予算でインフラ整備が進められ、観光客向けの施設が建てられ、農地整理や土壌改良が進められるからだ。
 名前だけ王国に編入するのであれば、もっと早くもっと広く出来たのだが、道路を始めインフラを王国標準のレベルに引き上げながらだから時間が掛かる。
 王国は他の地域に比べ自動車を持つ人が確実に多い。
 但し、まだ日本の様な台数では無く、リースで借りた一台を何人かが交代で使っている状態だが、十人で一台だったのが四人で一台にとか、着実に住人の生活は向上しているのだ。
 道路事情が良くなったことも有りドライブを楽しむ人も、以前は国道でも未舗装が当たり前だったが、王国内だけでなく共和国内の国道はその舗装工事を全て完了している。
 王国内だけ整備が進んでいる訳では無い。
 全国展開しているマーケットには女王陛下と大統領であり王子でもある自分の写真が飾られ、王国に準ずる場。
 そのマーケットを中心にインフラ整備を進めているが、マーケットの近くには関連会社の農場や工場、カジノ、社員住宅が有り、町や村はマーケットを中心に発展しつつある。
 王国内とは違い、まだ多くの社会問題を抱えているが、少しずつ改善されて来ている。

 現時点で共和国の国民は大きく二つに分けられる。
 我々の企業グループに属するか否かだ。
 詩織さまの傘下に入れば余程不真面目でない限りそれなりの給料が保障され、能力を活かして会社に貢献すれば、それ以上の収入を得られる。
 格差に気付いた人達は、自分達の会社が詩織さまの傘下に入ることを望んだが、私利私欲に走るオーナーは、それをしなかった。
 傘下入りには社員の給料を我々が考えてる標準額まで上げることが一つの条件、彼らは自分の取り分が大きく減ると考えたのだ。
 傘下入りした企業は、海外も含めた他の傘下企業との取引が活発になり、近衛隊の指導の下に社内改革を行って収益を伸ばしているのだが。
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近衛予備隊-283 [高校生バトル-71]

 この王国やアビュニス王国の話が広まり、詩織さまを自分の国の女王にと言う話が来続けている。
 だが、正式な国では無く共和国内王国の形で有っても話は進みにくい。
 共和国が王国に飲み込まれつつある我が国の現状を見て各国の指導者たちは恐れている様だ。
 こちらとしても初期投資をある程度回収出来る目途が立たないと動けない。
 詩織さまは中途半端な改革しか出来ない様な王国なら立ち上げたくないと話されている。
 詩織さまを女王に頂く王国が増え過ぎると我らが王国の価値が下がりかねないので構わないのだが、彼らは前大統領を過小評価し過ぎていると思う。
 彼が詩織さまを受け入れ後押ししたからこそ我が国の急速な経済発展が実現出来たのだが、国が豊かに成るのであれば共和国に拘る必要は無いと彼は話していた。
 我々の会社が利益を日本企業の物とせず、この国での再投資に充てる方針はずっと変わっていない。
 それでも貿易を通して関連企業を潤しているので協力して貰えている。
 グループ企業として商品の販売先、販売量を自らの手で拡大させていることはとても大きいのだ。
 最近前大統領と会食した際には想像以上の発展に満足してると、若い女性を侍らせながら満足げ、彼の独裁的な手法は批判されたが、後継に俺を指名してバランスを取ったのかも知れない。
 詩織さまも、それなりの企業なら一国の経済を立て直し販路を自らの手で拡大出来ることが証明出来たと満足されている様だ。
 先進国の大企業が発展途上の国を本気で立て直そうと考えたら、国民を満足させ感謝されながら、経済発展を誘導出来、販路の拡大に繋げられると思う。
 そこまでの手間暇を掛ける大企業は他に存在しない訳だが、我が国が進めて来た社会主義国かの如く販売を管理出来そうな国は、まだ有ると思う。

 我が国の発展に気付き、先進国の資本家がようやく我が国にも目を向け始めたが、我々は周辺諸国に対する影響力を高めようとマーケットチェーンの海外展開を進めている。
 近衛隊の重要な役割の一つは、我々のグループ企業を国際的に拡大して行くこと。
 彼らは各国でマーケットの展開に取り組みながら貧困層に対する援助を考えている。
 一見利益に繋がりそうにない事なのだが、貧困層を教育し仕事を与えて行くことで結果を出し始めている。
 大切に扱えば彼らの労働力は大切なものになる。
 例え体に障害が有ってもだ。
 そして、経済的に余力の無かった彼らに金を貯め込む余裕は無く、社員は店にとって一番の客。
 カードに入金された給料は、その殆どがマーケットで使われる。
 給料として支払ったものが殆どそのまま自社の売り上げに繋がるのなら、給料をケチる必要はない。
 日本人スタッフによれば、日本の大手小売り店は法律で定められた最低賃金で現場従業員を採用しているそうで、そんな企業姿勢が日本の経済停滞を招いているのだとか。
 消費者が消費出来る額を抑えられていては経済は回らない。
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近衛予備隊-284 [高校生バトル-71]

 我が国が経済発展を成功させているのは、なんと言っても詩織さまが思い切った初期投資を指示されたから、それが中途半端な額だったら、ここまで観光業を伸ばせなかったと思うし、お金が回り切らなかっただろう。
 その資金は遠江王国王家の信頼によって調達出来たと聞くのだが…。

「ジョン、ダムの建設計画が持ち上がってると聞いたけどどんな感じなの?」
「地形的に利水と治水それと観光にも適した場所です。」
「ダム湖に水没する村は?」
「有りません、実現したら電力供給の長期計画に余裕が出来ると思います…。」
「何か問題でも?」
「大きなダムですので、小規模水力発電用とは桁違いに巨額の費用が掛かります。」
「もうジョンの力でダム一個分ぐらいの資金は調達出来るでしょ?」
「詩織は簡単そうに言いますが、経済が上向いて来てるとは言え、新たな借金はどうでしょう。」
「ここまで会社の借り入れは滞りなく返済しているし、株主にも多くはないものの配当を出し続けてるでしょ、それ程問題は無いと思うのだけど。」
「会社としても国家としても、微妙なラインに来ているのです、少し計画を前倒しし過ぎた様で。」
「資金の調達方法を考える必要が有るのね。
 マーケットで全商品をほんの少し値上ってどう?」
「確かに毎日売れてる数を考えたら、それなりの金額になります。
 う~ん、そうですね…、何度も使えない手ですが、増収分の使途を明確に示しますので納得して貰えるかも知れません。」
「日本の大手小売は、全商品を一円上げるだけで現場従業員の給料を上げることが出来るのに、その意味が分からず、人件費を抑えることしか考えてないみたいなの。
 社会の経済活動を総合的に考えたら分かりそうなものなのにね。」
「他社との価格競争が有ると聞きましたが。」
「やり過ぎて業界の収益体制を壊してしまった企業も有るわ。
 より安くではなく適正な価格を考えるべきなのにね、価格を抑える為に泣かされてる人達もいるのよ、一円の差に惑わされる消費者は極一部だと思わない?」
「我々が展開しているマーケットに競争相手はいませんので、その辺りのことは良く分かりません。」
「こちらで販売価格を自由に決められるのは我々に悪意が有ったら問題だけど、何故その値段なのか販売価格の内訳を利益の使途とともに公開してるでしょ。
 貧困層を意識した商品は値上げしたとは言え利益率を抑えている、それでも社員の給料が良いことを嫉んでる人はいるのでしょうね。」
「仕入れ先も潤う様な価格設定をしていますので、嫉むのは我が社と取引の無い人達でしょうが、随分減ったと思います。
 我々が新規事業を始めた事で、従業員の給料を上げなかった会社から労働者が転職、それによって倒産する会社が出始めています。」
「ダム建設を始めたら嫉んでる人達も転職し、失業率も一段と下がるでしょ、全商品一セント値上げ、ダム建設費に充てる意味を大統領が説明すれば納得して貰えると思うわ。
 ある意味増税をして建設費に充てるの同じこと、ダムは先々の電力事情を考えたら必要でしょ。」
「そうですね、変に増税するよりダム建設の為に値上げしました、の方が処理も楽です。
 ダム建設費とせずにダム建設などの大規模工事費用として価格に上乗せ。
 ダム建設は国による事業を考えていましたが会社で進めて行けば他で進めている工事と人の調整も楽になります。」
「それなら税制のシンプルさを維持出来るものね。」
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近衛予備隊-285 [高校生バトル-71]

 国の税制を所得税と法人税のみに簡素化出来たのは、観光客の増加に伴いカジノの収益が伸び国庫に入る金額が増えたことと王国を運営している会社の存在。
 共和国が軍や教育などを、王国が電力を始めとした共和国全体のインフラ整備を行う形で役割を分担、その調整に時間が掛かったが結果として大いに無駄を減らすことが出来、政府系の余剰人員を学校運営に回すことが出来た。
 税制改革で非課税とした酒や煙草の値段はマーケットの価格改定で調整、減税と相殺する形で値上げされた部分はインフラ整備の資金に充てられている。
 実質的には共和国の税金だったものが王国の税金に変わったに過ぎないのだが、今までの為政者がその時々の都合により複雑にして来た税制を思い切って単純化出来、多くの無駄が減った。
 多くの人が利用している我が社のカードを利用すれば納税が簡単なだけでなく職員の手間も掛からないが、日本の源泉徴収制度を見習った自社社員の納税を代行する企業が増えて来ている。
 それは経理システムの導入が進み始めたから。

「シャルロット、経理システムの導入に伴い近衛予備隊への現場実習依頼が増えているのだろ、受けきれているのか?」
「問題ないわよ、簡単なシステムだから一人で何社か掛け持ち出来るし、義務教育のスタートで立ち上げた学校が落ち着き、王国騎士団が社員教育に入ってくれてるのよ。
 彼らは経理を見ながら社内で改善出来ることを見つけて提案してる。
 王国騎士団の肩書を持ったまま、その会社に就職する話も来てるわ。」
「会社での待遇は?」
「若くても知識が豊富、義務教育を進めるに当たって様々な経験を積んで来たから若くても重役にと。
 経理システムを導入したタイミングで業務改善の提案をして貰い業績が改善されたとかで、王国が騎士団メンバーに支払っている給与より高額な給料を提示して来てるの。」
「各企業で実績を上げてくれると嬉しいね。」
「でも、王国騎士団の肩書はそのままで問題無いの?」
「普段は普通に企業で働き企業から給料を受け取ってくれていれば良いのさ。
 ただ、大災害が起きた時など、軍だけで手に負えなくなったら王国騎士団を招集とか。
 こちらとしては名誉を与えるだけ、国の為を考えてくれる若者の存在は大きいと思わないか。」
「そうね、軍は縮小しつつ有るし、彼らと話してると国を発展させて下さった女王陛下に対する尊敬の気持ちや大統領となったジョン王子への忠誠心が伝わって来る、王国騎士団の肩書は彼らにとって最高の勲章なのかもね。」
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近衛予備隊-286 [高校生バトル-71]

 王国騎士団は義務教育のスタートに合わせ、近衛予備隊メンバーから選抜する形で結成されたが、主に未就学児を就学させると言う当初の役目を終えつつあり、今は活動の幅を広げつつある。
 義務教育の為に国立の学校を立ち上げた当初は問題が山積み、彼らは苦労したと聞くがそれを乗り越えてくれた。
 それを労う意味も有り数名ずつ食事会に招待することに。

「ジェーンは校長に就任することが決まったそうだね。」
「はい、国軍から派遣されていた校長は慣れないことを頑張ってくれてましたが、パソコンの導入が決まった段階で、これからの教育は若い世代の手でとお願いされました。
 私は校長のお蔭で、仕事だけでなく教育に関する学習が沢山出来ましたので彼の気持ちに応えたいと思っています。」
「仕事と学習、遊ぶ暇が無かったのではないのか?」
「仕事も学習も仲間と一緒でしたの楽しかったですよ、私達が楽しくして無かったら子ども達は学校へ来ようとは思いません。」
「それでも始めは大変だったのだろ?」
「ええ、読み書きの出来ない親でも、それによって損してると感じていれば良いのですが、粗末なものでも食べられ生きられればそれで良いと考える親は、子どもを学校に行かせるより働かせた方がましだと考えていました。
 初期の学校職員は男性ばかりでしたので、女児が学校に行きにくい雰囲気も有りました。
 でも、大統領からの指示で、私達騎士団の女性メンバーが子ども達の相手に専念する様になってからは、彼らの緊張感を和らげることが出来たと思います。」
「とにかく給食をと考えスタートは国軍任せで少々乱暴だったからな、共和国の国軍主体の学校、無理を言って君達に手伝って貰ったが、ろくな準備も出来て無くて、それを子ども達の笑顔溢れる学校にしてくれたことには感謝してるよ。」
「いえ、何故急がれたのかは理解しています。
 私は村が王国になり発展、自分達の生活が変わって行く様を見ていましたから。
 王国外の子達の環境改善、それこそが我々王国騎士団の役目だと考えていました。」
「若い女性と言うことでやりにくいことも有ったのだろ?」
「無かったと言えば嘘になりますが、大統領が女性を重視する姿勢を明確に見せて下さるまでは、女性の扱いはもっと低かったと聞いています、私が校長になるなんて有り得なかったとか。」
「ジェーンは近衛予備隊に入隊した頃から教えるのが上手だった、そんな人材を女性だからと軽視していたのでは国の発展はないよ。」
「さすが勇者の末裔です。」
「あれは作り話だけどな。」
「それでも、私達の王子さまで大統領、子ども達も王子の為に働きたいと言っています。」
「う~ん、自分が王子や大統領になるって子はいないのか?」
「どうでしょう、普通の人がなれるものではないと理解されてると思いますが。」
「自分だって元は近衛予備隊の一員に過ぎなかったのだけどな。」
「ふふ、創作されたお話でなく、一人の近衛予備隊隊員が村長になるまでのお話は誰もが知ってること、だから私は女王陛下と大統領に忠誠を誓えるのです。」
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近衛予備隊-287 [高校生バトル-71]

「ジョージは政府の教育省に入ってくれたのだね。」
「ええ、王国騎士団では学校現場と教育省の橋渡し的な役割を担当していましたので。
 これからジョン王子の意向に沿った形で教育システムを強化して行きます。」
「カリキュラムは固まってきたのかな?」
「はい、義務教育の核として子どもが大人になるまでに学んでおくべきことを必須教科としました。
 してはならない犯罪行為をすると罰としての強制労働…、王子、本当は子ども達に囚人の暮らしぶりを見せようと思ったのですけどね。」
「何か不都合なことでも?」
「強制労働の現場へ行ってみたのですが、囚人たちは結構楽しそうに作業していまして、刑務所暮らしで自由が制限されていても、国の為に働いていると話す人がいたり…、出所後の再犯率が下がってるとは聞いていたのですが、間違って子ども達が刑務所生活に憧れてはまずいかと。」
「はは、出所後に給料を貰って同じ作業をする人がそれなりにいるぐらいだからな。
 罰だから自由は制限されているが出所後のことを考えたシステムを大統領親衛隊が考えてくれたのだよ、仲間と協力し体を使って働くことで気持ちが変わるそうだ。」
「罰より更生を重視しているのですね。」
「彼らに給料を払う必要は無いだろ、大切に扱えば貴重な労働力なんだよ。」
「なるほど…、最近既存の私立学校の調査を進めているのですが、体罰の問題が浮かび上がって来ていまして。」
「体罰?」
「テストの点が悪かったら無理に沢山走らされたりとか、体罰を取り入れてる学校の教師達はその有用性を語るのですが、子ども達の立場になって論理的に考えると無意味どころかマイナスではないかと。」
「この国の次代を担う子ども達がひどい目に遭っているのは許せないな、我々は個人の能力差を理解し、テストの点数は適性判断に使うぐらいだろ。」
「はい、それとテストは目標でも有ります、その結果でランクアップ、次のステップへ進んで行くことで単位認定、求職時に企業へ提示することが出来ます。」
「その辺りのことは子ども達も理解しているのかな?」
「小さい子にとってはゲームでしか有りませんが大きい子達は理解してると思います。
 学習をさぼる子もいますが、多くの子がランクアップを目指し学習に取り組んでいるのです。」
「学習したくなる様なご褒美は充分なのかな?」
「ええ、王子に教えられた通りバランスを考えていますので。」
「それで私立学校はどうして行けば良いと考えてる?」
「今は少し微妙な状況なのです。」
「微妙?」
「福祉団体が運営していた学校は国立への移行が進んでいますが、国立学校の教育システムがレベルアップしたことで私立学校から転校する児童が増え始めたのです。」
「受け入れ態勢と私立学校の経営に問題が出て来そうだな。」
「我々は有る程度予測してましたので大きな問題にはなりませんが、転校させない親の中には、国立学校を貧民の為の学校と差別的に考えてる人がいるのです。
 そんな私立学校で体罰とか行われていると我々は何も出来なくて。」
「そうだな、教育に関する法を強化して対応して行こうか。
 体罰を禁ずる法律は直ぐにでも取り掛かれるが、他にどんな法が必要になると思う?」
「そうですね…。」
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近衛予備隊-288 [高校生バトル-71]

 法律までは意識して無かった彼らだったが教育に関わって来たメンバーばかりなので、様々な意見が出された。

「我々が義務教育として進めている部分は国内のどの学校でも実行して貰いたいですね、そう言ったことも法で定められるのですか?」
「子どもの内に学んでおくべき基礎的なことは、罰則付きの法で指導して行かないと駄目だろう。」
「はい、私立学校では犯罪のことや社会と個人の関係と言った教育がおろそかになっていると感じました、国は国民によって成り立っています、残念な国民ばかりでは改革のスピードは上がりません。
 また、歴史とか古典文学に時間を割いてる学校が有るのですが、興味の有る子が本を読んで学習すれば良いレベルまで全員に対して、興味が無くても無理に覚えさせると言う無駄なことを。
 先進国の教育を見習うのなら理数系に力を入れて欲しいのですが、力有る教師を雇える環境ではなさそうです。」
「国立学校の課題でも有るのだろ。」
「はい、国軍の兵士は頑張ってくれていますが特別な教育を受けて来た人達では有りませんので。
 ですがインフラ整備のあらゆる場面で海外からの応援者に頼らざるを得ない現状を改善して行くには…、法の整備とは関係ないのでしょうが…。」
「いや、理数系に強い子を集め、より高度な教育を受けられる学校は必要だと思う。
 その為の予算を組み易くするには法的な裏付けが有った方が良い、大統領令はあまり出したくないのだよ。」
「前大統領はともかく、私はジョン王子なら独裁者になっても構わないと思っています。
 私立学校では民主主義教育に力を入れてる所も有りますが、共和国から王国に変わったエリアの発展は素晴らしいもの。
 王国の指導者は誰一人として国民の選挙で選ばれた人では有りません。
 王国の欠点である、王の子がその能力に関係なく後を継ぐと言う問題も解決されています。」
「女王陛下の功績だな、共和国の国会議員も大統領親衛隊出身者で固めることに成功したからやりたい放題に出来るのだが、それだけに国民に対してはステップを踏んで国政を進めていると理解して貰いたいのだよ、そうして行かないと地方自治体の長が独裁的な行動に出た時に止めにくいからね。」
「そんな事も考えておられたのですか。」
「集団のトップに立ったら好き放題出来ると誤解されてもな。」
「確かにそうですね、我々はリーダー論について学んで来ましたが、そう考えると益々教育を充実させて行く必要性を感じます。
 義務教育の部分は法で定め、誰しもが大人になるまでに社会の一員として身に付けておくべきことを学んで貰うことが出来たとして、そこから先の学習についてはどう考えておられますか?」
「海外では小学校中学校高等学校大学と言った形で教育と研究の場を持っていることは皆認識してるだろ、国立学校ではその小学校と中学校に当たる年齢層の子ども達に対して義務教育と職業教育を行っているが、その上は近衛予備隊になる、そこを高等学校や大学として再編して行くのはどうだ?」
「近衛予備隊も人数が増え巨大化しつつ有りますので悪く無いですが、詩織近衛予備隊の名称が消えるのは寂しいです。」
「それは私もだよ、ただ、予備隊として発足したものの予備隊から近衛隊に入隊する者は僅か、予備の文言は他に置き換えて良いとも思うんだ。」
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近衛予備隊-289 [高校生バトル-71]

 非公式な場だからこそ王国騎士団のリーダー達と活発な意見交換が出来たと思う。

「高等学校に変わっても希望者には近衛予備隊の隊員資格を与え、大規模災害時や何かしら人手を必要とする時には、我々王国騎士団と共に働いて貰うと言うのではどうでしょう。
 メリットは隊服が支給されることぐらいにして学校とは別の研修を少しだけ。」
「そうだな…、それも有りか。」
「高校毎やその専攻毎に部隊を編成しても良いのでは有りませんか。
 部隊名は自分達で考え部隊長は自分達で選ぶ。
 部隊間で何かと協力し合いながら競い合ってくれたら、隊服ぐらい安いものだと思います。」
「王子、予算的にはどうなのです?」
「高等学校は共和国の予算で運営して行こうと思ってる。
 入学したら、そのまま大学教育の内容まで進んでも良いし、実習の延長で就職するも良し。
 それぞれの力量に応じて、王国騎士団を目指したり、大統領親衛隊に入隊したり。
 ずっと学校で研究を続けるのも有りだな。
 実習での成果が上がらないと、共和国の予算では賄えきれなくなるかも知れないが、王国騎士団の活躍を見てるからあまり心配していないんだ。」
「王国の予算は余裕がなくなって来てるのです?」
「そんなことは無いのだが、王国では芸術関係に力を入れられないかと思っていてね、王立歌劇団とか王立管弦楽団、そのメンバーになる為の学校とか。」
「直ぐには収益に結び付きにくい部門を王国の予算でと?」
「初期投資はそれなりになるが、収益は考えてるよ。
 算数の苦手な子でも自分の力を発揮出来る場に、新たな可能性を感じないか?」
「確かにそうですね、観光客を楽しませることも我が国にとっては大切なことです。」
「国民にも趣味の幅を広げて欲しいと考えているんだ、公営ギャンブルで散財して欲しくは有るがそれだけでは寂しいだろ。」
「その切っ掛けにと?」
「ああ、遠江王国では街中に花が、そして市民コーラスを始め音楽活動が盛んだった。
 普通の市民が趣味で絵を描いてる光景も、それが一つの風景として成り立っていてね。
 まあ、酔っ払いが騒ぎ、人々がギャンブルに興じる我が国の様も悪くは無いのだがな。」
「しかし、近衛予備隊の隊員として育って来た自分には残念な気持ちになる光景です。」
「この国はまだ成長の途中、焦らずに、でも着実に国民の資質を高めて行きたいと考えているんだ。」
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近衛予備隊-290 [高校生バトル-71]

「そう言う意味では、フットサルが浸透したのは大人にとっても良かったと思います。
 大人達は自分でボールを蹴る人と観戦する人に分かれていますが、新たな賭けの対象と言う以上に盛り上がっていますので。
 子ども達も王国のフットサル競技場で国際大会が行われたことも有り夢中になっているのですよ。」
「サッカーを選ばなくて良かったと思うよ、学校にもフットサルのコートを作っているのだろ。」
「はい、以前なら色々な意味で考えられなかったことですが、大人の有志が集まって夜間照明を設置し楽しんでいる学校も有ります。」
「その費用は自己負担?」
「ええ、設備は日本からの輸入で高額でしたが、皆で出し合い…、大勢がお金を出したとは言え、それだけの余裕が生活に出て来た証です。
 飲む前に、スポーツで汗を流すと言うステップが入っただけだ、と言う人もいますが随分違います、夜間照明を設置する前に学校側と交渉する所から始まっていましたので。」
「健全な娯楽と言うことかな?」
「はい、自分が子どもだった頃に比べ大人達の生活は随分変わりました。
 私達は女王陛下から衣食足りて礼節を知ると言う言葉を教えて頂いたことが有りますが、それを実感しています。」
「生活に余裕の有る状態になり子ども達も健全に育って欲しいものだが、どうかな?」
「年齢に関係なく単位制にしたのは正解だったと思います。
 多くの私立学校は年齢で区切っていまして、学習能力の差による弊害が普通に有る様です。
 子ども同士のいじめはどうしても発生してしまうのですが、我々の学校では様々な年齢の子が教科によって入れ替わることも有り、その解決までが早い様です。
 選択教科の『集団とリーダー』を履修してる子達が動いてくれることも有りまして。」
「喧嘩しても、それを治めてくれる子がいるのだね。」
「はい、仲裁を試みる子が複数いることで、以前の様に小さな揉め事が大きくなってしまうことが無くなりました。」
「それで平和が保たれる、国家間の紛争でもそう有って欲しいものだな…。」
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