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近衛予備隊-261 [高校生バトル-69]

 政府内の改革が着々と進んでいるのは当たり前とも言える。
 職員は自分の支持者ばかりで選挙期間中から、どんな改革をして行くかの説明を聞いていたからだ。
 近衛隊は臨時職員の扱いで、新しいシステムが順調に動き始めるまで職員の教育に当る。
 他国の人が一時的とは言え政府の中枢に入ることに反発する人もいたが、能力的な問題が有るので仕方ない。
 まあ、そんな反発をする人に限って理解力が低く周囲を困らせていると聞いたが、そんな彼は他の職員が昇給しても据え置きになる。
 今まで能力が反映されにくかった公務員給与体系の見直しも指示して有り、元々の給料が安いので減給は無いが昇給のチャンスを増やしたことで職員達のモチベーションは上がっている様だ。

「ジョン、公務員の給料を上げて税収不足にならないか聞かれたけど実際どうなの?」
「カジノの売り上げはその運営費を除いて国へ入るシステムだろ、戒厳令の頃と比べたら国庫は随分潤っているのさ。
 そもそも公務員の間に不正行為が広まったのは、その給料の低さが原因の一つ。
 少し改善されはしたが、今後公務員の給料を我が社の給与水準に合わせて行かないと、優秀な人が公務員になろうとはしなくなると思わないか?」
「そうね、暫くは優秀な人材の取り合いになるのかしら。
 近衛予備隊の存在は今後ますます重要になって行くのでしょうね。
 近衛予備隊は会社が運営してる組織だけど、国としてハイクラスの教育も考えて行くの?」
「いや、今は近衛予備隊と王国騎士団の拡大を考えれば良いと思ってる。
 他の国では有り得ないレベルで政府と一企業が癒着してる訳だが、詩織さまをトップとする企業で有り、この国を改善して行く原動力となっているのだから誰も批判出来ない。
 会社として近衛予備隊の拡大を続けて行くが、国としては民間で運営されて来た学校と義務教育制度を普及させる為にスタートさせた学校を整理して行く時だと考えているんだ。」
「そうね、まだ最低限の読み書きをどの程度にするのか、今後どんな教科をどんな形で教えて行くのかは決まってないものね。
 既存の学校もそれぞれの判断で教育活動をして来たからカリキュラムがバラバラ、少なくとも近衛予備隊に入隊出来るだけの能力が有り入隊を希望してる子が、受けて来た教育の質によるハンディを背負うことだけは避けたいわね。」
「状況を見ながらだが、近衛予備隊は今までなら不合格だった子でも学習に対する意識が高ければ入隊して基礎から学び直せるコースを新設したいと考え、近衛予備隊の幹部や王国騎士団とも相談している、それで真面目な子の人生を良い方向に向かせてあげたいからな。」
「そうね、真面目でも実力が伴わないと入隊出来なかったけど、そんな子達でも活躍出来る場は少なくないもの。
 海外メディアはそう言った展開より実習を重視した教育に興味が有るみたいだけど。」
「他国の学校では子どもを働かせることはしないみたいだからな。
 でも、だからと言って外国の学校文化に合わせる必要は無いと思うんだ。
 どう考えたって実際の労働に直接結びつく学習は効率が良くてベストだろ。」
「国によって事情が違うのでしょうけど、詩織さまがこの国のことを思って立ち上げて下さったのが近衛予備隊第三部隊、隊員達は真っすぐ育っているし…、ふふ、私達も含めてね。
 なんと言っても大統領を生み出した教育機関なのだから、隊員達は誇らしげにこの国の改革を進める原動力になりたいと話しているのよね。」
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近衛予備隊-262 [高校生バトル-69]

 日本のスタッフが世界で一番若く素敵な大統領と銘打ってアピールしてくれたお陰か、海外からの取材が続いている。
 その取材陣が注目するのは俺達に関連するグッズの多さ。
 試しにと売り出した新商品が売れたのに気を良くした連中が次々と新商品を出しているのだが、観光客には好評、特に大統領になってからの売れ行きは絶好調で生産体制を強化、雇用の拡大にも繋がり良いことずくめだ。
 上質の製品に俺に関連するロゴや写真、絵を加えるだけで利益率を高くしても売れる、利益は学校の施設建設や運営費として使われるので、応援の意味で購入してくれる人も多いと聞く。
 取材陣はマーケットや工場の取材も、競争相手のいないマーケットに驚き疑問を感じるそうだが決して暴利をむさぼっている訳では無いと知り複雑な心境になるそうだ。
 価格競争が無いのに適正価格。
 価格競争をしている会社では人件費を抑えたり納入業者に無理を強いることも有ると聞いた。
 実習として働く子どもの多さも気になるそうだが、長時間労働や重労働は当然禁止。
 働く子ども達の笑顔は印象的なのだ。
 そして…。

「工場の取材をシンプルレジの組み立て工場中心にしているのは何か企みが有るの?」
「ああ、部品を日本から輸入して完成させる、完成したレジはこの国とアビュニス王国で売れてる訳だが、周辺諸国にも売れ始めてることをアピールしたくてね。
 近衛隊は会社の世界展開を担ってもいるだろ。
 その過程でシンプルレジの使える店を増やして行こうと考えているんだ。
 詩織さまの肖像付きカード一枚で世界を旅行出来るのが理想。
 クレジットカードが使えない店を減らしつつ、うちのプリペイドカードを普及させようとね。」
「クレジットカードを持てない人でも使えるものね。
 シンプルレジの組み立て工場はレジが行き渡ったら規模を縮小かと思っていたけど、その需要を呼び起こしてもいるのなら安心だわ。」
「家電品の売り上げが好調だから、そっちの組み立て工場建設の話も来てる、シンプルレジの売り上げが落ちたら家電品にシフトチェンジすれば良いんだ。
 家電品は部品を輸入して製品を輸出する形も検討してるよ。」
「でも、それには品質が良く無いと駄目でしょ?」
「ああ、その為に王国騎士団を送り込みたいのだが、学校の展開が落ち着かないとな。」
「王国騎士団は大統領の指示に従い国の改革の為に働くのね、彼らから何らかの不満は出て無いの?」
「今の所は届いてないよ、名誉ある騎士団として給料を高めに設定して有るからな。
 それだけの働きをしてくれているし、架空のお話に実名で登場する話も有り気合が入っているよ。」
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近衛予備隊-263 [高校生バトル-69]

 遠江王国アビュニス王国、そして我らが王国を舞台とした作品群はその数を増やしつつ有り、我々の社会に様々な経済効果をもたらしてくれている。
 企画に参加してくれた人達は著作権の整理に頭を悩ませながらも、皆で創り出した架空の世界、その奇想天外な歴史に新たな逸話を加え続けることを継続中。
 祖先の一人は千年前の英雄だと設定された俺だが、事実とかけ離れていようが実害はないのだ。
 作家達が勝手に想像した世界は、現実社会とリンクされ観光客を楽しませている。
 隣村との境に作った眺望の良い砦は、そこを舞台にしてくれる作家が多いことも有り人気スポットに。
 立派な施設でなくともそこに作られた歴史と物語が有れば観光名所として成立する。
 一人の作家の設定に合わせて花木を植えて有るのだが、今度発表される作品では井戸にまつわる話が出て来るとのことで、今は井戸掘りの真っ最中。
 たとえ水が出なくても歴史を感じさせる井戸が完成すれば、他の作家はその井戸を別の時代に別の形で自分の作品に登場させるだろう。
 そんな作り話に混じり実際の国情を語る本も…。

「実験的三王国と銘打ち私達のことを分析し紹介する本が出されるのね。
 今まで他国の実情も学んで来たから、実験的と言う表記には納得だけど。」
「他国の人達にどう受け止められるか興味は有るよな。
 アビュニス王国は観光業に牽引され経済状態が格段に良くなっただろ。
 俺達の王国が牽引する共和国は前大統領が及び腰だった分野も含めて改革中、給料面などで周辺諸国のレベルを追い越し始めている、この状態を継続出来れば一つの目標としていた、大人達が普通にスマホを持てる社会に、そうなれば更なる経済発展も期待出来る。」
「でも、気は早いけど先進諸国の失敗は参考にしないとね。
 発電一つをとっても難しい問題が多いでしょ。
 地球温暖化対策を考えたら原子力発電なのかも知れないけど、我が国では導入出来なくて。」
「ああ、コスト的に無理なだけでなく国土を汚染する可能性が有るからな。
 今は小規模水力発電を充実させつつ有るが、火力発電、特に石炭や石油に頼るのではなく効率が悪くても観光森林などを広げる時に出て来る植物由来の燃料を使った火力発電を主にして行くことになるかな。」
「効率が悪くても雇用の拡大には繋がるのよね?」
「まあな、観光施設周辺の森を綺麗にしていることで観光客に喜んで貰えているだけでなく、人間にとって好ましからざる生き物の数を減らすことにもなっている。
 自然林は災害にも繋がりかねないから人工林を増やす計画を立てて貰ってるよ。」
「どういうこと?」
「自然林の急斜面は大雨が降った時に崩れ易いんだ。
 崩れた土砂や木が川を堰き止め水が溜まる、それが次の大雨で崩壊すると洪水を発生させかねない。
 今までも、そんな被害は有ったのだが、何の対策も取られて来なかったんだ。
 人工林にしても手入れをせずに放置したら同じことになるのだが、より崩れにくくする木を植え管理することで災害を減らせるのならと、国軍の幹部も動いてくれているよ。」
「国軍の幹部はジョンが動かしてるのでしょ。
 そんな話を聞かされると、ジョンが大統領になったのだと改めて実感させられるわ。」
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近衛予備隊-264 [高校生バトル-69]

「でも、大統領としての職務は近衛隊が計画通りに進めてくれていて問題はあまり無いが、社長業の方はインフラ事業を電力会社に集約したから調整が難しく、大統領より社長の方が大変なんだ。」
「上下水道に通信事業、道路の管理にガス事業まで一気にまとめて大きくし、社名から電力の文字を外すことにして…、勝算はどうなの?」
「請求をひとまとめにするだけでも事務費が浮くし国民にとっても支払いの手間が減る。
 引っ越しの手続きは簡略化され、滞納したら役所に連絡して調査して貰い滞納理由によっては支援を考える、そこまで完成させるには時間が掛かるだろうが、国をワンランク上げたいから成功させたいし成功出来ると思っているよ。」
「工事でもメリットが有ると聞いたけど、どんな感じなの?」
「今までは各事業者が思い思いに道路を掘り返して来たが、街でそれをやり続けていたのでは無駄が多い、各事業担当には取り敢えずこれまで通りの作業を続けて貰うが、集中工事エリアを設けてインフラ工事を一気に進める、上下水道整備の為に道を堀り返したら、ついでに電線や通信ケーブルを埋設、都市部ではガス管も埋めた後で舗装する。
 他国でも取り組んでいることだが基本的に別会社でね、だから企業間の連携が取りにくく工期が伸びかねない、そこを一つの会社として最も効率的な工事計画による工事を行う、現場監督や作業員が慣れて軌道に乗せるまでには時間が掛かりそうだが、工事のシステムを確立出来たらトータルの工期は短くなり、コストを抑えられるのさ。」
「道路管理に関しては国庫からの支出になるのでしょ、手続きはそれぞれの担当者がするにしても、形式上はジョンが社長として申請し大統領として許可、社長として道路工事を請け負う形は微妙なのよね。」
「全てをオープンにしていないと何かと怪しまれそうな異常な取引では有るが、山場を乗り越えたら社長は交代、それでも実質は変わらないが、まあ国民の生活が良くなれば問題ないだろ。」
「うちの社員は生活に余裕が出来てるし、シンプルレジを導入した店はそれに関連した恩恵を受けているけど、まだ生活環境が前のままと言う人達の生活をこれからどれだけ良く出来るかが問題よね。」
「アビュニス王国の様な小さな国ではないから簡単ではないが、近衛予備隊の子達が育ち、王国騎士団の規模を拡大することが出来たら、何とかなると信じているのだけどね。」
「急ぐと何かと軋轢を生みそうだけど、のんびりやってると格差に対して不満の声が高まるかも。」
「会社は真面目に働く人に門戸を開いている、入社前に職業訓練校で学ばないと就けない仕事は有るが、体力に問題がなければ森を綺麗にしながら火力発電所の燃料確保と言った仕事も有る、普通に働けるのに大して働きもしないで不満を言ってる人に気を使う必要は無いだろ。」
「そうね、そんな彼らにこそ教育が必要なのかしら…。」
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近衛予備隊-265 [高校生バトル-69]

 教育の成果に関しては、行政システム構築を進めている近衛隊メンバーからの報告が嬉しかった。

「ジョン、新システムへの移行はどう?」
「近衛隊が頑張ってくれてますが、近衛予備隊も現場実習で成果を上げてくれてまして、詩織の予測より進捗が早まってるのですよ。」
「へ~、私は近衛予備隊を計算に入れて無かったのだけど。」
「実習生達はパソコンを使った作業に夢中なのです。
 現場の大人達はパソコンに不慣れな人が多く、実習生からその知識を学びつつ行政の知識を実習生に教えているそうで、実習生から本採用への話も幾つか出ているそうです。」
「現場実習と本採用で働くのとは違うと思うけど、新しいシステムを使いこなせない人達と入れ替わってくれると随分違うでしょうね。」
「ええ、本採用までに色々学習して貰う必要は有りますが、それぞれが担当してる分野に関する学習を近衛隊メンバーに手伝って貰いながら進めているそうで、漠然と働いて来た職員はかなり焦り始めてるそうです、頑張って貰わないと昇給して上げられなくて。」
「昇給条件の提示はどんな感じで受け止められてるのかしら?」
「若手はスキルアップに取り組む人が増えてるそうです、近衛予備隊の子達が普通にパソコン操作をしてる姿を見せられ、今まで競争する必要の無かった職場が熱くなってるのだとか。
 新システムをどれだけ使いこなせるかで昇給額を変えていましてね。」
「新システムを使いこなせなかったら?」
「全然使えない人は邪魔なだけですから配置転換、すでにギブアップして違う作業に取り組んでいる人もいます。」
「慣れない作業で苦労していないかしら?」
「本人次第ですよ、謙虚に仕事に取り組めば昇給も有りますが、今までの経歴を自慢し威張ってる様では再度配置転換になるかも知れません。
 どの職場にもパソコンが導入されつつある中で、それを使えなくての配置転換だと言うことはすぐに分かりますからね。」
「中高年の方には申し訳ないけど仕方無いかな。
 こっそり導入したハッキング技術を応用してのパソコン作業確認システムの方は上手く機能してるの?」
「ええ、自分もたまに見ていますが不慣れな作業に戸惑いつつも学習してる過程が見て取れます。
 職員達は作業の様子を見られてる、しかも遠く離れた王宮の一室からとは思いもよらないでしょうが、指導に役立っていまして。
 ざっくりとですが全員の学習進度を把握した上で、遅れている人の状況をシステムを利用して確認しています。
 何に躓いているのか分かれば指導が楽、要点を突いた一言だけで理解度が一気に上がった人もいるのですよ。」
「本人には電話で指導?」
「いえ、近衛隊の現場指導メンバーに伝え指導して貰う形にしています。
 パソコンの内蔵カメラで写真を撮って確認していますので間違いは有りません。
 それも含めて作業監視システムの存在は隠しておきたいので。」
「そんな感じだと、こっそりパソコンを使ってゲームを楽しんだり、エッチなサイトを閲覧とかはしてないみたいね。」
「ええ、まだそんな余裕は無さそうです。
 隠れてでも色々試す人の方がパソコンに慣れるのは早いと理解していますが、本業がおろそかになる可能性が有りますので微妙ですが。」
「ジョンは使い始めた当初、どうだったの?」
「兎に角、使いなさいと言う教えでしたので色々試してみました。
 推奨されてた訳では有りませんがエッチなのはシャルロットと一緒に…、正しい性教育の必要性を感じましたがそこまではまだ難しいです。」
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近衛予備隊-266 [高校生バトル-69]

「近衛予備隊の子達は学習用のパソコンで遊ぶことも有るの?」
「はい色々試してみると言う指示は今も継続されています、それでも自身のスキルアップに繋がることがメインで、次がお絵描きや音楽などの趣味でしょうか、ゲームを楽しんでいる子もいます。
 VOCALOIDで歌を作る子もいるのですよ。
 無料のお試し期間が終了するまでに、うちのYouTubeチャンネルで使える曲を作曲出来たら製品の購入費用以上を自分が負担するとした所、頑張る子が出て来まして結構採用されてます。」
「そうなの、ジョン達のYouTubeチャンネルは見てるけど気付かなかったわ。」
「実際に使用している曲は、彼らが作曲したものを主に人間が演奏していますので。」
「そう言うことか、ジョンは他にも賞金を出してるの?」
「ええ、最近ではプリンスカップと銘打たれる様になりまして色々と、賞金額は抑え気味なのですが喜ばれています。
 パソコンへの入力速度を競う大会が毎回盛り上がっているのですが、その結果政府機関へ実習に行ってる連中は職員達に一目置かれる存在になっているのです。
 キーボード入力が早いだけでなく正確で、スペルミスにも気付きますからね。」
「成程…、他には?」
「マーケット実習をしている子達中心に業務改善の提案を出して貰っています。
 審査の結果、採用されたらご褒美ですが、採用されること自体が嬉しいそうで、みんな真剣に実習と向き合ってくれています。」
「採用されると言うことは大人に認めて貰えることだものね。
 私もクイーンズカップとか始めてみようかしら。」
「どんなことを競って貰うのです?」
「そうね…、絵や歌のコンテストと言った文化面はどう、彼らには仕事だけの人間になって欲しく無いのよ、余計なお世話かもだけど。
 オリジナルの歌や踊りが有っても良いでしょ、ベースはどんなジャンルでも構わないけど、新しい国から新しい文化を発信して行くみたいな形で。」
「確かに海外の音楽文化を有難がっていて、自分達が発信すると言う意識は弱いと思います。
 アーティストが育ちにくい環境でしたから我が国で目立つアーティストは…、少なくとも沢山稼げてるアーティストは国に残っていないと思います。」
「稼げるかどうかは二の次で良いわ、趣味として人生を豊かに出来るレベルを目指して貰い、こちらで広く紹介するぐらいで…、でも、近衛予備隊の子で無くてもそんな場を欲しがってる人が居るかも知れないわね…。」
「ですね、ちょっと検討してみましょうか。」
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近衛予備隊-267 [高校生バトル-69]

 義務教育をスタートさせる為に作られた学校は、給食と読み書き算数から始まり、将来の仕事に役立つ知識、例えば農業を想定した植物に関することや機械の仕組みなどを教えているが、そこにスポーツや音楽、お絵かきが加えられ始めている。
 子どもの成長に良い影響を与えると推奨されてのことだが、仕事に対して直接的なメリットがあまり無いと考える人が多く軽視されがち。
 そんな分野に大人も子どもも興味を持つ様、女王主催のコンテストを開いて行くことになった。

「詩織さまは絵画コンテストでも経済効果を考えておられるのかしら?」
「多少は有るだろうが、取り敢えず子ども達に遊びの幅を作り物質的な豊かさだけでなく精神的なゆとりを、まずはコンテストで上位に入った人の作品をお手本にして貰おうと考えておられるそうだよ。」
「三か国合同コンテストで二つの王国の作品を我が国にお手本として紹介すると言うことなのね。」
「いや、それは少し違う、子どもの絵は一見大した作品でなくても、評価に値するポイントは幾つも有るそうで、絵画部門はあくまでも互いに紹介し合うと言う形になるんだ。
 コンテストの採点は各国毎に行い、優秀作品は他の国でも見て頂く、合同としたのは国家間の絆を深めることと、互いに刺激し合う様にと。」
「う~ん、どんなコンテストになるのかは一回目を開いてみないと分からないわね。」
「ああ、子ども達の作品はあまり優劣を強調しない方向で話が進んでいるが、一般部門で目に留まる優秀作が有れば会社として作者に対する後押しを考えている。
 参加作品のレベル次第で今後の展開は大きく変わって行くだろう。」
「音楽部門の方はイベントも考えているのでしょ?」
「二次予選からは観客の前で発表だからな。
 学校代表や職場代表地域代表などを決める一次予選は年齢別に行うが甲乙が付け難い場合は一人に絞る必要は無い。
 制限はYouTubeにアップしても問題の無い曲である事ぐらい、二次予選からは全員の演奏をYouTubeにアップして行く予定なんだ。
 うちは共和国全体を対象に、遠江王国は日本国民を対象、そしてアビュニス王国は世界中の誰でもエントリー可能にする。」
「成程、それぞれの事情に合わせたのね。
 遠江王国は日本国内からの観光客を増やす、アビュニス王国は海外からの観光客を増やす狙いも有るのでしょ?」
「ああ、そして我が国は国を挙げての音楽祭を開くことで文化活動をより活発にして行こうとね。」
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近衛予備隊-268 [高校生バトル-69]

 詩織さまからは文化的な活動を充実させて行かないと社会に厚みが出ないと言われて来た。
 無趣味な人ばかりでは賃金をアップしても経済が回らないという一面も有る。
 絵画コンテストを我が国で開催しても直ぐに何かしらの効果が期待出来る訳ではないが音楽コンテストは音楽祭と銘打ち、担当者達は経済効果を意識して企画。

「音楽祭は結構盛り上がってるみたいね。」
「担当チームの戦略が当たったみたいだな、一次予選は出たい人全員参加、審査を甘くして二次予選に大勢進める様にしたことで喜んだ人が多かった。
 二次予選の様子はYouTubeにアップ、子ども達は自分の映像を見せて貰って喜んでいたそうだよ。」
「二次予選を通過した人達は皆それなりに上手みたいだから、三次予選以降も期待出来そうね。
 音楽祭に合わせて展開を始めたカラオケボックスはどうなの?」
「権利関係の問題が有ってまだ歌える曲数は少ないが、予選でカラオケを経験した人達中心に好評だよ、オーケストラをバックに歌ってる気分になれるのが気持ち良いとかで。」
「今まで大人が歌うのはお祭りの時にぐらいだったものね。
 権利関係って著作権?」
「ああ、今まで著作権に関することは結構いい加減だった。
 でも、そのままではレベルの低い国から脱することは出来ない、今回の音楽祭を通して著作権の意味を国民に伝えて行こうと思うんだ。
 音楽祭で発表出来る曲に制限が有る意味をね。
 三次予選から演奏出来る曲がぐっと増えるのは主催者が著作権料を払うから、二次予選までは古い曲だったりして著作権料が発生しない曲のみ、歌の場合は日本の高校生が無償で演奏してくれた録音をバックに歌って貰っていたからな。」
「音楽著作権は結構ややこしいみたいね。」
「ああ、でもそれだけに我が国が著作権を尊重しているとアピールすれば、以前の貧しい国から脱却しようとしてることを感じて貰えると思うんだ。」
「国民に理解して貰えるかしら?」
「簡単ではないと思うが、カラオケで歌いたい曲をリクエストして貰って、それが可能になるまでのプロセスを公開して行こうと考えている。
 曲を作った人にお金が届かなかったら、次の曲を作る気持ちが高まらないとか説明して、国の法律も整備して行くつもりなんだ。」
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近衛予備隊-269 [高校生バトル-69]

 著作権に関する法整備は今まで全く進んでいなかった。
 今までの大統領にとってどうでも良い問題だったからだ。
 だが、これから国のレベルを上げて行くことを考えると避けては通れない。
 当然のことながら国民も著作権について関心はなく、一から説明して行く必要が有る。

「ジョン、著作権について説明しても、法整備を進めるメリットが分かって貰えないのよ、残念な国からの脱出と言っても理解して貰えなくて。」
「だろうな、一応、我が国でも人気の有るアメリカのミュージシャンに協力を要請してみようとは考えているのだけど。」
「来て貰うの?」
「出来ればな、屋外での大規模イベントにすれば、チケットを国民が普通に出せる金額で販売しても何とかなりそうなんだ。」
「でも、それと著作権がどう関係するの?」
「今まで海賊版が普通に売られて来ただろ、だからそれをやめるのならとの条件付きでOKして貰えたらと考えている。」
「国民に対して直接、海賊版は良くないものだと示して貰うのね、今までは正規版を買える人が少なかったことも有るけど経済状態が上向きつつ有るし、うちの社員ならそんなに無理しなくても正規版を買える筈、でも今まで海賊版が当たり前になっていたから…。」
「法制度を強化して海賊版は違法だと知らしめ一斉摘発、マーケットで正規版の販売を充実させて行く。
 大きな反発を受けるだろうが、そこで著作物に関する教育を行う。
 何のメリットも無いのでは納得しないだろうが、海賊版を排除すれば著名な音楽家だって来てくれるのなら少しは不満が解消されるだろ。」
「問題は皆が知ってる様な大物が来てくれるかどうかね。」
「そこなんだよな、ただ来てくれるだけでなく著作権に関する教育活動に協力して貰えないと意味がない。」
「でも、どうやってコンタクトを取るの?」
「事情を説明して遠江王国の方で動いて貰っている。
 こちらとしては法整備を整えて吉報を待つしかないんだ。」
「そうね、ファンレターを送っても読んで貰えるかどうか分からないし。
 著作権関係の法律はほとんど手付かずだったと聞いたけど、他はどうなの?」
「問題が有ると言えば有るかな、全く無視されて来た法律も有るし、前の大統領が大統領令で変えてくれて良くなったのと悪くなったのが有ってね。」
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近衛予備隊-270 [高校生バトル-69]

 前大統領は戒厳令を出してから、大統領令を沢山出して改革を進めた。
 ただ、我々の要望を汲んでくれたものは良いが本人の気分で改悪してしまったものも有る。
 まあ、改悪されたものは、それがまずかったと理解されてるので修正して行けば良いのだが。

「ジョン、大きな改革をした独裁者の後を受け継いでどう?」
「ふと、気付いたら自分も独裁者の仲間入りをしてましたよ、詩織は国会議員選挙の結果をどう思います?」
「前任の独裁者を反面教師にすれば良いのよ。
 戒厳令の後、大統領令だけで色々済ませられると気付いた彼が、無駄な国会議員の人数を大幅に減らしてくれたのはラッキーだったでしょ。」
「ですね、お蔭で四十七人全員を大統領親衛隊から当選させることが出来、彼らには分野ごとに法の見直しをして貰っています。
 これから立案して行く法律は、大統領令ではなく選挙によって選ばれた国会議員が民主的に決めて行くことになりますので、民主的合法的な独裁政治が出来そうです。」
「大統領親衛隊に対する教育は充分出来てたの?」
「そこは戒厳令以降ずっと近衛隊が頑張ってくれてましたので。
 我々の描く国家像に賛同してくれた親衛隊のリーダー達が立候補してくれたのです。」
「大統領選の勢いが残っていたとはいえ全員当選とはね、国会議員の有り方も変えて行くのでしょ?」
「ええ、法治国家としての法整備をメインに働いて貰います、今までの議員は何をしているのか良く分かりませんでしたので。」
「戒厳令の頃に失脚した人達はどうしてるのかしら?」
「ほとんどが刑務所に入れられ強制労働でしたが、刑期を終えてもそのまま働いている人が多いそうです。
 彼らの衣食住は国が負担しますが受刑者は言わば無給の労働者で、森の整備を中心に活躍してくれているのです。
 出所しても仕事に就けるかどうか不安でしょうし、衣食住を自分で賄うのは結構な労力を要します。
 ですから同じ現場で同じ作業をしていても、給料を貰い強制労働の受刑者を監督しながら働くと言うのは彼らにとって悪くないのです。」
「強制労働ってきついイメージが有るのだけど。」
「厳し過ぎては労働力を減らすことに成り兼ねません。
 給料を貰い始めた先輩から酒や煙草を分けて貰うことも有り、真面目に刑期を全うする人が多いそうですよ。」
「そんなシステムになっているのなら、出所後の再犯率は下がっていそうね。」
「戒厳令の前と後では刑務所に入れられた人の人数もタイプも異なりますので単純な比較は出来ませんが、仕事に困って犯罪に走る人は少なくなってると思います。
 こちらとしては、もう少し無給の強制労働者が増えても良いのですけどね。」
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