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神沢祐樹-101 [高校生会議2-19]

「祐樹さん、土曜日のイベントやバスケでの活躍を報じた番組は一通り録画して貰って有りますよ、ご覧になります?」
「お願いします、お義母さん、日曜日も色々有ってぜんぜん見てないのですよ。」
「ふふ、今日も放送してたのよ、では…。」

「…、まだ、高校生社長やLENTOの話題は需要が有るみたいですね、このまま夏休みまで維持出来ないかな。」
「ここまでの手応えはどうなの?」
「正直言って出来過ぎです、LENTOのCDが売れているのが大きいですが、柿川フレンズのメンバーが出したCDもすでに何枚か損益ラインを越え始めています、夏休み中に越せば良いと思っていたのがですよ。
今回のイベントが盛り上がった事をワイドショーが伝えてくれていますから、今後のライブやイベントに興味を持って下さる方も多いと思います、始まって間もない、柿川フレンズ内だけのランキングも、好評と言うか盛り上がり始めていますので。」
「実質的には狭い範囲、柿川の身内だけみたいなランキングなのでしょ?」
「ええ、そこが良いのですよ、購入特典は有りませんから、CDの売り上げ枚数がそのまま人気を表しています、でも、同じ曲には一人一回しか投票出来ない曲別人気ランキングとか、グッズの売り上げとかのデータも発表していまして。
今のところLENTOが圧勝なので、勝手に殿堂入りさせてLENTO以外のグループで競い合って貰おうとアナウンスしていますが、各グループそれぞれに固定ファンがいまして、まあ会社の同僚だったり家族なのかも知れません、その彼等も柿川市を盛り上げるという意図を理解してくれて熱心に動いて下さっているのですよ。」
「それだと、柿川フレンズ内で、仲が悪くなるなんて事はないのかしら?」
「大丈夫ですよ、五つのロックバンド合同ライブイベントに向けて、ファンの皆さんも協力して盛り上げようという雰囲気が有りますから。
真剣に競い合うスポーツマン同士が競技を離れたら仲良し、というのと同じなんです。
セミプロ、プロとして互いに高め合うライバルなのだと、柿川フレンズの各グループ、各メンバー、そして熱心なファンも理解してくれた上で協力関係に有るのですよ。」
「ランキングの発表は演出の一つなのね。」
「はい、一つの言い方をすれば、音楽活動が活発な柿川市というものを演出して行こうと、スタッフだけでなくファンの方も考えて下さっているのです。」
「地方の活性化って市長とかが頑張るだけでは絶対成功しないでしょうね、市民が…、祐樹さんには市民を動かすだけの力が有るものね。」
「いえ、自分の力ではなくスタッフの力です。」
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神沢祐樹-102 [高校生会議2-19]

「祐樹さん、柿川フレンズのメンバーにクラシック系の人は少ないのね、少し残念だわ。」
「はい、難しい一面が有りまして…、普段クラシックの名曲を聴くとなると名演奏家のCDではないですか、ですから生演奏というプラスの要素を加えても、セミプロレベルではハンディが大き過ぎるのですよ。
ただ、音大の学生から、経験の場が欲しいのでノーギャラで良いから柿川フレンズに参加させて欲しいという声が届いていまして、今、検討して貰っています。」
「そうなの…、力の有る子を見出して応援して行く体制が作れたら面白いかも知れないわね。
音大生の事情は聞いた事があるのよ、人前で演奏する機会が少なくて経験値を上げにくいとか。」
「はい、その回数が柿川のアマチュアバンド以下だと嘆いていたそうです。
クラシックの生演奏にどれぐらいの需要が有るか、またどれぐらい需要を作り出せるのか、オーデションの結果を見て、考えて貰う方向で進めています。」
「LENTOの子ども向けなら、バックは学生ぐらいでも大丈夫じゃないの?」
「微妙なんです、子どもにこそ本物、質の高い演奏に触れて貰いたいという思いが有りまして。
自分達の力はまだまだですが、色々な形で音楽を好きになって貰う、そのきっかけは作って行きたいと考えているのです。
オーデションの結果、自分達がイメージしているレベルに達して無かったら、やはりプロにお願いしたいです。」
「そうね、絵美には一流の演奏を聴かせて来た、その結果が歌に出始めているのかも知れないわ。」
「大人だと国際コンクールで賞を取ったとか権威によって演奏家を判断する人もいますが、子どもは良いと思ったら良い、退屈だと感じたら退屈なのですよ。」
「ふふ、そういう経験が有ったの?」
「ええ、まあ少し状況は違いますが…、小学生の頃、バイオリンを教えている先生なのに、チゴイネルワイゼンをまともに弾きこなせていない人の演奏を聴かされた事が有りまして…、自分は耳を塞いで帰りたいと…、お袋にバツの悪い思いをさせてしまいました…。
お袋は未だに笑い話の様に話すのですよ。」
「そんな子だとしたら、小学校の音楽は騒音じゃなかったの?」
「はい、我慢という言葉を覚えました、そのはけ口が児童合唱団だったのかも知れません。」
「結構レベルが高いものね、柿川児童合唱団も柿川フレンズに入れたらどう?」
「いえ、彼等の出番は今でも結構多いので無理が有るのです、ただ、今は退団して市民コーラスに参加している中高生から選抜してという動きが有りまして、その様子を見ているところです。」
「それなら、中高生のコーラスをバックに歌うLENTOという構図はどうかしら。」
「そうですね…、今から準備して卒業ソングの時期に合わせるとか有りでしょうか。」
「祐樹さま、卒業ソングだけでなく、入学とかを題材にした曲は如何です?」
「そうだね、新入生を迎えるとか…、卒業ソングと違ってすぐに思い浮かぶ曲がないから新鮮で良いのかもな。
自分達でも曲作りに挑戦しつつ、プロにも発注しようか?」
「はい、分かれの卒業、出会いの入学、進学に夢と希望を持って頂ける曲を届けてみたいです。」
「今からなら余裕を持って準備出来そうだな…、う~ん、やっぱり中学から高校って流れをメインに大きなストーリーを作って…。」
「テーマを変えて数曲…、組曲とか、合唱曲集みたいな形に、でもソロやデュエットでも歌えるとか。」
「はは、欲張りだね…、それならもっと欲張ってさ、入学に限定しない、ようこそ、とか、よろしくお願いします、ってのも有りだね…、子ども向けの第二集には小学校卒業や入学関連の歌も入れようか。」
「はい。」
「あなた達、CDを何枚作る気なの?」
「そうですね、カバーアルバムに入れる候補の曲は、かなり準備が進んでいます。
夏休みに集中して録音に取り組めば三枚ぐらいは…。」
「後は祐樹さまとの楽しい曲作り次第なのですよ、お母さま。」
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神沢祐樹-103 [高校生会議2-19]

「柿川フレンズとしては、他のグループもCDを出して行くのでしょ。」
「ええ、今の所、売れそうなのは、番組でも流して貰った、ボルトバンドの『バスケ少年』をメインに、ロック系の五グループ合同で出すオリジナルCDとDVDです。」
「祐樹さん達がバスケの試合をしている映像で流されていた曲ね。」
「お母さま、祐樹さまのロングシュート恰好良かったでしょ、『バスケ少年』のモデルは祐樹さまなのですよ。
そして、CDに収録される曲は全て、祐樹さまをメインに私達の事を題材にして下さっているのです。
曲は『我らがリーダー』とか『人気者は大変』『祐樹くんを出して』など、忙しい祐樹さまを忙しげに描写した後、スローテンポなラブバラードになる曲とか。」
「ふふ、そしてDVDにはあなた方の映像が入るのね。」
「はい、夏休みに柿川市内で撮影して、秋に発売出来ればと考えています。」
「柿川でなら絶対売れるわね。」
「でも、柿川以外でも売って行きたいですから、これからが勝負です。
LENTO抜きで、充分な収益を確保して行くのが理想ですので。」
「そうね、でもまだ難しそうじゃない、目途は立ってるの?」
「ライブ会場を柿川の周辺へ拡大して行きます。
単独のグループでは集客力が弱くても、柿川フレンズとして複数のグループがコラボして…、そうですね個の質の低さを人数でカバーしているアイドルグループを参考に、ダンスユニットとかも含めます。
ライブ一回当たりの出演者が増える分コストが掛かりますが、今は足場固めの段階、大きな黒字を意識せず赤字にならない程度にと指示を出しています。」
「後はアーティスト達がどれぐらい成長して行くかという事なのね。
素人を柿川フレンズで育てるとかはどうなの?」
「もう少し先になりますが、遥香コーポレーションと共同で展開して行く教室を通してと考えています。
プロを目指す意思とその力を持っている人がいれば、柿川フレンズに誘うという形を考えていますが、初めからメジャー志向の強い人は避けて、ローカルで満足出来る人をと考えています。
そういう人の方が落ち着いて取り組んでくれそうですから。
でも、まずは柿川フレンズのテーマソング『勇気を出して』を一緒に演奏したいと思って貰えるだけの、柿川フレンズにするのが先ですね。」
「すでに結構な人数になってるのでしょ?」
「ええ、各グループの負担が大きく成る事は避けたかったですから。
今は番組を見た、活動経験のある人達から問い合わせが来ていますので、まだ拡大中です。」
「どんどん受け入れていくの?」
「いえそこまでは…、市外、県外からの問い合わせには、自力では売れないからという人が多くて…、原則柿川フレンズのメンバーにならなくても安定した生活を送っていける、また演奏のレベルが一定水準以上という柿川フレンズのメンバー基準に届いていない人が多いのですよ。
自分の演奏を客観視出来てない人が、メジャーへの足掛かりとして参加したいとか平気で書き添えてデモを送って来ているのです。」
「却下なのね。」
「はい、助言を試みたスタッフもいますが、聞く耳を持たない人が少なく無いとの事で、すぐに諦めたそうです。」
「全員却下なの?」
「いえいえ、柿川フレンズのスタンスをきちんと理解して下さった上で、地方の活性化の為にという方もみえます。
当面の利益を考えたらマイナスになる様な遠方にお住まいの方でも、演奏レベルの高い方で我々の考え方に共感して下さっている方にはメンバーになって頂く方向で話を進めて貰っています。
充分な資本金が有り、ここまで良い流れで来ているという背景が無かったら、お断りするしかなかったのでしょうが。
そんな彼等の参加をチャンスと捉え、次へのステップにしようと、スタッフも熱心に動いてくれています。」
「遠方って、かなり遠くの方?」
「日本全国どこでもOKなんです、ローカルで始まった番組が、もう直ぐ幾つかのエリアでも放送開始、全国放送になる可能性が高まっていまして、各局のワイドショーに感謝です。
そうなると制作予算も増えるそうで、拡大したエリアから柿川フレンズに参加というネタも番組に盛り込めるのですよ。」
「単に柿川を盛り上げるというのではなく、地方の活性化を目指すのね。」
「はい、ささやかですが。」
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神沢祐樹-104 [高校生会議2-19]

「あっ、お義父さん、お帰りなさい。」
「おお、祐樹くん、土曜日は大活躍だったね、昨日も今日も君の話題で持ち切りだったよ。」
「予想以上に上手く行きました。」
「バスケの試合、祐樹くんが登場してからの映像を全部見たいという人が多くて、中にはテレビ局に圧力を掛けるという人もいたよ、全部録画されているのだろ。」
「はは、そういう事だったのですね、局から連絡が有りまして深夜に放送する方向で話を進めているそうです、地方大会の決勝でも準決勝でもない試合なのですが。」
「需要が有ると判断したのだな、作られたアイドルより結果を残したスポーツ選手の姿は魅力的だ、バスケでも一流選手になれそうだね。」
「いえ、相手がこちらの事を知らなかったから成功しただけで、プレッシャーを掛けられたら全然ダメなんです、必死に向かって来る相手チームの選手が怖くて…、極めるならもっと平和なスポーツが良いです。」
「はは、体格差はどうしようもないのか。」
「ええ、体力トレーニングはほどほどに、というのが祖父が決めた家訓ですし。」
「なるほど、知力で勝負しろという教えな訳か。」
「バランスを考えての事だと思います、スポーツ選手を目指す様な家系では有りませんので。」
「学者や研究者が多いそうだが、祐樹くんみたいに芸能関係もこなせる人もいるのかね?」
「趣味で音楽や美術に取り組んでいる親戚は多いです。
テレビで下手な歌を披露してしまったら、身内からバッシングを受けかねません。」
「それはプレッシャーだな。」
「今の所は応援して貰っていますので…、でも下手に慣れてしまって雑になる事が無い様に気を付けたいです。」
「うむ、初心忘るべからずだな。
ところで、CM出演を検討させてるという社長が何人かいるが、実際に依頼は来てるのか?」
「ええ、何本か来ていまして、内容を検討して貰っています。」
「そうか、でも安売りは絶対するなよ、相手は話題性の有る新人と考え、費用対効果を最大限にしようと交渉して来るだろうが、安く沢山出演してしまうとマイナスになり兼ねないだろ。」
「はい、早く飽きられてしまいますし、時間的にも大変ですものね。」
「今受けるギャラが高いと、それが今後の基準になると思うがどうだ?」
「所長は強気に行くと話していました、LENTOのCDやDVDが売れていますので。」
「うん、それで良い。」
「最近、音楽番組からの出演依頼も来始めているのですが、お義父さんはどう思いますか?」
「そう訊ねるという事は、積極的に出演して行く事を躊躇っているのか?」
「はい、五分の出番に対して長時間拘束されそうな番組も有りますから。」
「ギャラにもよるだろうが、新人歌手ではな…、一流アーティストと交流出来るとか、二次的なメリットがどれぐらい期待出来るかも考えるべきじゃないのか?」
「その辺りが全く分からないのです。」
「ならば一回経験してみて、掛かった時間、得られた経験値などを総合的に判断して、それ以降を考えたらどうだ。」
「そうですね…、今は声を掛けて頂けても、それが何時まで続くか分かりませんし、絵美、一本出てみようか?」
「はい、柿川フレンズのLENTOとして、例え五分の出演で有ったとしてもアピールしてみましょう。」
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神沢祐樹-105 [高校生会議2-19]

「音楽番組で目立てばCM出演時の単価も上がるだろうな。
あっ、一樹くんからパスを受けてシュートというシーンは絵になってたね。」
「兄からのパスシーンですか…、また兄貴のファンが増えそうです。」
「一樹さんも人気有りそうだわ、バスケのシーンをCMで、とか依頼が有ったら兄弟で出るのも有りじゃないの。」
「お義母さん、兄は目立つ事に余り興味が無いのですが…、もし来たら頼んでみます。」
「テレビCMは気を付けなさいよ、変なのに出ると祐樹さんのイメージが悪くなりますからね、例えギャラが良くても、消費者金融とか、怪しげな会社とかはね。」
「あっ、そういう事なのですね、所長が慎重に調べてから決めましょうと話していたのは。」
「一般的には、CM出演者側の不祥事に目が行きがちですが、逆も有るのよ。
もちろん、あなた達が世間的にマイナスイメージを持たれてしまったらクライアントに迷惑を掛ける事になるわ。」
「はい、気を付けます。」
「祐樹さんが突っ込まれるとしたら、他の女の子とのツーショット写真かしら…。」
「ですよね…、愛人にして欲しいという子が何人もいまして…。」
「一応、絵美を尊重してくれてるのね。」
「はい…。」
「絵美はどうなの?」
「祐樹さまを独り占めさせて頂いてますが、それに罪悪感を覚える事も有ります。
最近色々考えてしまって…、人間の本能とか…。
子が出来ると夫をないがしろにする女性が少くないそうですが、そういう方は子孫を残すという本能に従って子を得たという事で満たされ、それ以上夫を必要としなくなったのかもしれません。
でも私はその様な妻にはなりたくないです。
浮気は、より良い子孫を残そうとする本能の名残の様な気もしますが…。
王様は後継ぎを確実に残す為に正妻以外にも…。
祐樹さまの遺伝子をより多く残すと考えたら心が苦しくなります。」
「えっ、絵美は、そんな事を考えていたの…。」
「そうね、絵美一人で産める人数には限りが有るものね。」
「お義母さんまで…。」
「でも女性側の遺伝子も重要ですから、相手が誰でも良いという訳には行きませんよ。」
「はぁ~、最愛の女性とずっと仲良く暮らして行きたいと思ってる男子高校生の夢を壊さないで下さい。」
「祐樹さま、お願いします、どんな事が有ろうと正妻の座は誰にも譲りませんので。」
「はは、祐樹くんも色々大変そうだな。」
「お義父さんは自分の味方になって下さいますよね。」
「あ、ああ…。」
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神沢祐樹-106 [高校生会議2-19]

「でも…、男女の問題って…。
人が本能の趣くままに自分の子孫を残そうとか、欲望を満たそうとしていたら、健全な社会集団を形成する事が難しくなる訳で…、性犯罪が…、やはり風俗とかは必要なのでしょうか?」
「祐樹くんみたいに女性に苦労しない人ばかりではないからな。」
「性犯罪を健全な形で抑止出来る方法はないのでしょうか?」
「ある意味アイドル産業は一部を除いて健全なのかもしれない、妄想だけなら実害はないだろ。」
「でも、妄想だけで満足する人が増えると少子化が更に加速しませんか?」
「そうだな、社会の変化…、色々な要因による少子化だとは思うが…。」
「祐樹さん、柿川の出生率は高いのよね?」
「はい、企業の移転に伴って移り住んだ人は若手が中心でしたし、岩崎関係は子ども手当を充実させていますので。
目先の利益だけに囚われない岩崎社長のお考え、それが日本中で当たり前になれば少子高齢化に歯止めが掛かるのでしょうが、まだまだ難しそうです。」
「そうだな、年老いた国にしない為に、少し遅くなってしまったが私の会社も頑張らないとな。
あっ、絵美を通して知ったのだが、少子化問題に対する、岩崎高校生会議の取り組みはすごいね。」
「真面目な性教育を含め、総合的に研究し提案している、あれですか?」
「ああ、性の問題を本能から説いてみたり、医学的見地からのアドバイスが有ったり、更に心の問題としても捉えて…、人が子をなすという行為を、男の子は女の子の事情が分からない、女の子が男の子の事を知らない、というままでいけない、また怪しげな間違った情報を信じている人もいるとして…、一昔前の人達なら人前で語る事をタブー視していた内容にまで踏み込んでいるからな。」
「そうなのですか、自分は妹の成長に合わせて女の子の事を教えられて来ましたので…、でも知識として持っていた恋愛感情という言葉は、実際に経験してみると感覚的に随分違うものでした。
ほんとの意味で女の子の事を知るのは難しいのかも知れません。」
「だろうな…。」
「母親としては、あのプログラムで随分安心したわ、絵美は、きちんと妊娠出産という事を把握してくれていますからね。
私は高齢出産になってしまい、少し苦労したのですよ。」
「そうでしたか。」
「絵美は何人ぐらい、子を産みたいと思っているんだ?」
「はい、お父さま、祐樹さまの子なら十人でも、二十歳ぐらいに第一子出産なら無理はないと思います。」
「絵美、育てるのが大変だぞ。」
「はは、祐樹くん、ベビーシッターと一緒に愛情を注げば良いのだよ。」
「そういうものですか…。」
「ああ、育児は大切だが、君達はその高い能力を社会の為に役立てるべきだからな。」
「ねえ、あなた達はこういった話題をテレビ番組とかで振られたらどうするつもりなの、興味本位で色々聞かれるわよ。」
「判断に苦慮する可能性を考えて、生放送への出演は最低限に、もし生番組に出ることになったら、微妙な質問は誤魔化して答えないつもりです。」
「そうね、それが無難でしょう、アンチを楽しませる必要は有りませんからね。」
「アンチか…、アンチの多さは認知度に比例しそうだな。」
「ですね、まだ少ないそうですが認知度を上げて行かないとグッズの売り上げが伸びません。
そう考えるとCMに出るという事は、クライアントの宣伝だけでなく自分達の宣伝でも有るのですね。」
「そうよ、だから慎重に選ぶ必要が有るの。」
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神沢祐樹-107 [高校生会議2-19]

「今後LENTOの認知度が上がる事を祈るとして、祐樹くんは社長として困っている事とかないのか?」
「そうですね、やはりスケジュール調整でしょうか、アーティストとしての活動、社長としての職務と研修、効率重視で組んで貰っていますが、社員の目に働き過ぎていると映ってしまってはいけませんので。」
「学校もあるからな…。」
「学業の方は高校生会議、入試関連チームのサポートも有り、この三か月でペースを掴みました。
二人揃って岩崎学園大学にスーパー特別推薦枠で合格出来る目途は立っています。
テストで学年一位とか目指すと窮屈で時間を取られてしまうのですが、そこまでする必要はない様なのです。」
「余裕が有るから、授業中に仕事してたり、見つめ合ったりしてるという事か。」
「はは、授業中はほんとにくつろげます。」
「次のテスト結果を公表すると聞いたが。」
「ええ、自分達がどんなテストを受けて、どんな結果を出すのかに興味を持って下さる方がみえるそうです。
高校生にとって定期テストは一つのイベントですが、それを見て楽しむというマニアックなファンがいるのなら、歌う事と同様に一つのパフォーマンスになると思いました。
自分達より学年順位が上になった人達には番組内で、学習方法とかスポットライトを当てて貰う方向で調整を進めています。」
「それは、上位者達のモチベーションを上げるという意味も有るのかな?」
「ええ、ゲーム感覚の上位者の姿を見せつつ、視聴者の方には順位づけの意味を考えて頂ければと思っています。」
「普段の高校生活をそのまま番組に、という方針がそこまでのレベルとは思わなかったよ。」
「優香がナレーションで説明してくれますから、自分達は特別な事をしなくて済み、効率が良いのです。
でも、学校関連は気楽なのですが、先日の本社研修は緊張しました。」
「だろうな、絵美と一緒だったから、将来の社長候補が来たとうちの社員達も構えていたそうだよ。
まあ、お気楽な連中はアイドルカップルの登場に舞い上がっていた様だがね。
だが、君が指摘してくれた人員配置のアンバランスは、すぐに見直しを始めているよ。
バランスが崩れて行くのは少しずつだから、当事者は気付きにくいのかもしれない。
担当者は外部の目が入る必要性を痛感させられたと話していたが、神沢社長の的確な指摘に驚かされたそうだよ。」
「う~ん、遥香システムを通して事前に研究している時から明確な歪を感じていたのですが…。」
「お父さま、画面上で感じた違和感を本社での研修で確認させて頂いたのです。
ただ今回の事で表面上は少し変わるかも知れませんが、管理体制の根本的な問題はおそらく改善されないと私達は考えています。」
「ふむ、どういう事かね?」
「単純に管理者の資質に問題が有ると感じました。
全体を客観視する事が出来ず、本人の好みで人を…、つまり部長に気に入られてない課長に負担が掛かっているのです。
もう少し、研修を続けて状況を把握してから再度報告させて頂こうかと思っているのですが、あそこの部長は遥香システムの体制に、ついて行けてないのかも知れません。」
「う~ん、そうか…、祐樹くんはどうしたら良いと思う?」
「そうですね、部内のパワーバランスを掴み切る所まで至っていませんが、自分達の指摘を利用してあまり好ましくない方向に進みそうな気がしています。
思い切って部長が恐れている、やり手の課長に移動して頂いて、部内を落ち着かせてはどうでしょう?
もし課長の移動先が無いのなら、我が社の常務に迎え入れたいのですが如何ですか?」
「う~ん…、うちの常務に確認させるかな…、そうだな…、神沢社長、その課長に対して引き抜きを打診して貰えないか、その反応を見て今後の対応を考えたい、さすがに自分の立場では動きにくいんだよ。」
「分かりました、移籍交渉の過程で課長の人物像が見えて来るでしょうし、部内に問題が有ればそれも分かって来ると思います、明日連絡を取ります。」
「ああ、宜しく頼む。」
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神沢祐樹-108 [高校生会議2-19]

「神沢社長、今日はお招き下さいまして有難う御座います。」
「いえ、お忙しい所、お呼びだてして申し訳ないです。」
「神沢社長が指摘して下さったお陰で、部下は少し楽になりそうです。
学校帰りの僅かな時間と遥香システムだけで、部内全体を把握されて…。
今まで社長としてのお力はあまり伝わって来ていませんでしたが、改めて絵美お嬢さまに相応しいお方だと思いました。」
「でも、今回の事は高見課長にとって、決してプラスにはならないのでは有りませんか?」
「えっ?」
「課長の部内に於ける立場は如何です?」
「…、えっと…、どこまでお見通しなのでしょうか?」
「それは言わぬが花という事で、それより、うちに来て下さいませんか、常務取締役というポストを用意させて頂きました、ヘッドハンティングですよ、ちなみに白川社長は高見課長の判断に任せるという事で了解済なんです。
うちはこれから大きくしていきますので優秀な人材を必要としていまして。
業務内容は自分達の研修時にお話させて頂いた通りで、高見さんの活躍する場は少なく無いと思います。」
「急な事で…。」
「研修中にデータを拝見させて頂いたり、課内の方から話を伺いましたが、高見課長は頭を押さえつけられて、思う様に動けていないのではと感じました。
自分はまだ未熟ですから社長と言っても支えて下さる方を必要としているのです。
すぐに、とは申しませんが考えて頂けないでしょうか。」
「は、はい…。」
「給与は、すぐに大幅アップとは行きませんが、取り敢えず今よりは上がります、具体的にはうちの担当と相談して頂く事になりますが。」
「えっ、岩崎標準で決まっているのでは無いのですか?」
「いえ、取締役ですから事情が違います、ただし逆に岩崎標準ですから役員報酬は最高レベルでも他社と比較すると見劣りします。」
「こ、こうしてお話を聞かせて頂くと…、神沢社長は怖い様な…、いえ、噂で聞いていた以上の…、私の事をお見通しというか…、私も部下の列に加えて下さると言う事なのですね。」
「はは、部下なんて考えなくて良いですよ、高見さんに対して自分が直接指示を出す事はほとんどないと考えていますので。」
「いえ、神沢社長について行きたいです、お願いします。」
「では、我が社に?」
「はい。」
「有難う御座います、奥さんと二人のお子さんに同意していただけましたら、人事課へお願いします、辞表とかを提出する必要は有りません、転職までのステップは両社の人事課で処理しますので移籍日を決めて両社の歓送迎会を楽しんで下さい。」
「えっと、引継ぎとかは?」
「遥香システムを使いこなしてみえましたから簡単だと思いますよ。」
「あっ、そうか…。」
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神沢祐樹-109 [高校生会議2-19]

「祐樹くん、例の課長、移籍が決まったそうだね。」
「はい、早く決断をして頂けて嬉しいです。
それで、次の研修は、あそこの部長職を経験したいのですが如何でしょう。」
「何か企んでいるのか?」
「ええ、あの部長はまだ遥香システムを使いこなせていませんので、その研修ついでに。」
「分かった、それでどうすれば良い?」
「システムの部長権限を自分ともう一人…、そうですね、部長研修サポートという名称でお願いします、高見さんの名前は一応隠しておきたいですから。」
「分かった、手配しよう。
方向性は…、いや結果を楽しみにさせて貰った方が良いのかな。」
「そうですね、結果は保証出来ませんので。」
「その割には自信たっぷりだと感じるが、ここはお手並み拝見とさせて頂くよ。」
「そんなに大した事では有りません。」
「祐樹さま、社長室へ行きますか?」
「ああ。」

「ミッションをスタートさせるという事で再度確認しましたが、この部長は一見沢山の指示を出している様に見えて中身が無いですね。」
「だね、これでは無駄なだけだ、現場研修で確信していたけど。」
「祐樹さま、高見さんが部長研修サポートという肩書で、この部署の再構築に成功したら、部長としてお返しするのですか?」
「そこは、今後の判断だろうが、ほんとの成功は次の部長を決めて、その部長が正しい判断の下に仕事を進めて行ける環境を作る事だろ。
そこまで出来る人だったら、安心して俺達の足元を任せられる。
逆に、本人が且つての職場の部長になって仕切りたいというレベルで、次を任せられない様な器なら移籍希望が出たとしても、元の部には戻さず別の部に配属して貰うべきではないかな。
ただ、高見さんに戻る気は無いと思うよ。」
「面接時の感触が良かったのですね。」
「ああ、うちの幹部社員は全員現場実務の監督中心で、大きく全体を見渡せる立場の人が少ないと思うんだ。
会社組織を考えたら、俺達が遊んでいる時でも、会社全体をしっかり見守っていてくれる人が居れば安心だろ。」
「お任せしたいです。」
「うん、彼に足りなかったのは、高い役職、組織内に於ける地位だった。
彼が、バランス感覚を忘れない限り大丈夫だろう。」
「今後の流れはどうします?」
「高見さんには、あの部署の改革を進めて貰いながら、我が社の全体像を理解して頂く。
社内全体を把握する常務取締役としての研修からかな。」
「今の部長はどうしますか?」
「お義父さんと相談して適当な役職を探してあげないとね。」
「どうしてああいう人を部長職にしたのかしら?」
「威張るのが上手だったのと良い部下に恵まれていたからじゃないかな。」
「あっ、何となく納得しました。」
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神沢祐樹-110 [高校生会議2-19]

「祐樹くん、有難うね、ポイントを教えて貰ったお陰で期末テストは満足のいく結果になったわ。」
「俺は大したアドバイスしてないぞ、千恵の実力だよ。」
「ふふ、先生から沢山教えられるより、祐樹くんの一言の方が核心をついていたと思うけど。
それで、お二人の結果はどうだったの?」
「はは、少し簡単過ぎたよな、今回のテストは。」
「でも、平均点四十点台とかだったから、そうでもないんじゃないの、絵美はどうだった?」
「この学校では学年順位が張り出されないので少し残念です。」
「という事は…、絵美は学年何位なの、私は七位よ。」
「私は二位、祐樹さまが一位です。」
「そうか…、驚かないけど、一位は目指さない、とか言ってなかった?」
「それ以上追及されると嫌味な男になってしまうから許してくれよ。」
「でも色々忙しいのに、テスト前の部活休みを利用して会社での研修もしてたのでしょ。」
「最低限の労力で最大限の結果を出すという事を考え実践して来た結果かな。
労力の部分では助力を得ていたけどね。」
「手伝って貰ったからって、それが結果に繋がるものなの?」
「高校生会議の学習関連チームとは、学習効率に関しての意見交換を四月から続けているんだ。
絵美は良いサンプルになってくれたよ。
そうだな…、自身の能力以上の結果を求めて、学習に多くの時間を掛けてる人もいるけど…。
千恵は、部活に取り組みつつ高校生会議の研修を受けながらの結果だから、バランス感覚有っての事だろ、楽しくて充実した高校生生活を送りながら自分を成長させていて効率が良いと思うよ。」
「私は絵美ほど楽しくないわ、祐樹くんが愛人にすらしてくれないんだもの。」
「と、友達だろ…。」
「男女の間に友情は成立するのか、というのは永遠のテーマでしょ。」
「ま、まあ、学習という事を俺達の一つのテーマとしているんだよ。」
「あっ、逃げた、でも、それって学習塾とかの展開を考えているの?」
「いや、逆に学習塾を無くしたいと考えている。」
「えっ、私も状況によっては塾の夏期講習とか考えてたのだけど。」
「ほんとに必要なのかな、学校が有るのに。」
「そうね、私は今まで自力でやって来たから、みんなが行くならって感覚だったけど…。」
「学力や学習環境にもよるが、受験技術を身に着ける為に予備校とか通う事で、表面的な力は伸びても、本当に伸ばすべき力を犠牲にしているのではないか、というのが高校生会議のチームメンバーが危惧している事なんだよ。」
「受験技術か…、私達が狙ってる、スーパー特別推薦には関係ないのかな。」
「自分で考える力を要求されているのに、人に教えて貰うつもりだったのか?」
「う~ん、単に一次審査合格の為には夏期講習が必要になるのかと思ってた。」
「塾の夏期講習を利用して九十点の人より、自力で八十点の人の方が、スーパー特別推薦の趣旨に合うと思わないか。」
「あっ、要項をしっかり読んでたつもりだったのに…。」
「スーパー特別推薦は大学卒業後を見てる訳だろ。」
「うん、そうだった。」
「実際、会社での研修を経験してみて、学校の授業内容が直接活かせるとは思えなかったよ。
まあ、どこかで生きてはいるのだろうけどね。」
「そっか…、それで何を企んでいるの?」
「えっ? 何も企んでないよ。」
「嘘でしょ、白状して!」
「千恵は怖いなぁ~、企むというレベルじゃなくて、学習塾や予備校を必要としない人を増やせないかぼんやり考えてるだけだよ。」
「う~ん…、それをどうやって?」
「児童、生徒の意識改革と学校改革かな。
まずは番組を通して、学習について考えて貰う機会を作ろうと思っている。」
「祐樹くんとは違う中学だったから良く分からなかったけど、先生より教えるのが上手って情報が広がってたわね。」
「ああ、その時の経験から少しアピールさせて貰おうかなって程度だよ。
貧困問題の中で、子どもを塾へ通わせる事が出来ないなんて話が出て来るけど、そもそも塾へ通わせる必要が有るのか疑問なんだ、学校や進学システムに問題が有る訳だから、学校改革、学校制度改革を進めて行くべきなんだよ。」
「難しい話ね…、でも、こういうテーマを掘り下げる事も私には必要なのね、将来の目標が漠然とし過ぎているから。」
「えっ、千恵は我が社で奴隷の様に働くんじゃなかったっけ?」
「はっきり言って奴隷制には絶対反対! でも…、考えておくわ…。」
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