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神沢祐樹-110 [高校生会議2-19]

「祐樹くん、有難うね、ポイントを教えて貰ったお陰で期末テストは満足のいく結果になったわ。」
「俺は大したアドバイスしてないぞ、千恵の実力だよ。」
「ふふ、先生から沢山教えられるより、祐樹くんの一言の方が核心をついていたと思うけど。
それで、お二人の結果はどうだったの?」
「はは、少し簡単過ぎたよな、今回のテストは。」
「でも、平均点四十点台とかだったから、そうでもないんじゃないの、絵美はどうだった?」
「この学校では学年順位が張り出されないので少し残念です。」
「という事は…、絵美は学年何位なの、私は七位よ。」
「私は二位、祐樹さまが一位です。」
「そうか…、驚かないけど、一位は目指さない、とか言ってなかった?」
「それ以上追及されると嫌味な男になってしまうから許してくれよ。」
「でも色々忙しいのに、テスト前の部活休みを利用して会社での研修もしてたのでしょ。」
「最低限の労力で最大限の結果を出すという事を考え実践して来た結果かな。
労力の部分では助力を得ていたけどね。」
「手伝って貰ったからって、それが結果に繋がるものなの?」
「高校生会議の学習関連チームとは、学習効率に関しての意見交換を四月から続けているんだ。
絵美は良いサンプルになってくれたよ。
そうだな…、自身の能力以上の結果を求めて、学習に多くの時間を掛けてる人もいるけど…。
千恵は、部活に取り組みつつ高校生会議の研修を受けながらの結果だから、バランス感覚有っての事だろ、楽しくて充実した高校生生活を送りながら自分を成長させていて効率が良いと思うよ。」
「私は絵美ほど楽しくないわ、祐樹くんが愛人にすらしてくれないんだもの。」
「と、友達だろ…。」
「男女の間に友情は成立するのか、というのは永遠のテーマでしょ。」
「ま、まあ、学習という事を俺達の一つのテーマとしているんだよ。」
「あっ、逃げた、でも、それって学習塾とかの展開を考えているの?」
「いや、逆に学習塾を無くしたいと考えている。」
「えっ、私も状況によっては塾の夏期講習とか考えてたのだけど。」
「ほんとに必要なのかな、学校が有るのに。」
「そうね、私は今まで自力でやって来たから、みんなが行くならって感覚だったけど…。」
「学力や学習環境にもよるが、受験技術を身に着ける為に予備校とか通う事で、表面的な力は伸びても、本当に伸ばすべき力を犠牲にしているのではないか、というのが高校生会議のチームメンバーが危惧している事なんだよ。」
「受験技術か…、私達が狙ってる、スーパー特別推薦には関係ないのかな。」
「自分で考える力を要求されているのに、人に教えて貰うつもりだったのか?」
「う~ん、単に一次審査合格の為には夏期講習が必要になるのかと思ってた。」
「塾の夏期講習を利用して九十点の人より、自力で八十点の人の方が、スーパー特別推薦の趣旨に合うと思わないか。」
「あっ、要項をしっかり読んでたつもりだったのに…。」
「スーパー特別推薦は大学卒業後を見てる訳だろ。」
「うん、そうだった。」
「実際、会社での研修を経験してみて、学校の授業内容が直接活かせるとは思えなかったよ。
まあ、どこかで生きてはいるのだろうけどね。」
「そっか…、それで何を企んでいるの?」
「えっ? 何も企んでないよ。」
「嘘でしょ、白状して!」
「千恵は怖いなぁ~、企むというレベルじゃなくて、学習塾や予備校を必要としない人を増やせないかぼんやり考えてるだけだよ。」
「う~ん…、それをどうやって?」
「児童、生徒の意識改革と学校改革かな。
まずは番組を通して、学習について考えて貰う機会を作ろうと思っている。」
「祐樹くんとは違う中学だったから良く分からなかったけど、先生より教えるのが上手って情報が広がってたわね。」
「ああ、その時の経験から少しアピールさせて貰おうかなって程度だよ。
貧困問題の中で、子どもを塾へ通わせる事が出来ないなんて話が出て来るけど、そもそも塾へ通わせる必要が有るのか疑問なんだ、学校や進学システムに問題が有る訳だから、学校改革、学校制度改革を進めて行くべきなんだよ。」
「難しい話ね…、でも、こういうテーマを掘り下げる事も私には必要なのね、将来の目標が漠然とし過ぎているから。」
「えっ、千恵は我が社で奴隷の様に働くんじゃなかったっけ?」
「はっきり言って奴隷制には絶対反対! でも…、考えておくわ…。」
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