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プリンセス遥香-01 [高校生会議-03]

翌日の授業後、緊張した面持ちの洋子と迎えの車に乗り込む。

「遥香さま、予定通りでよろしいでしょうか?」
「はい、前野さん、お願いします。」
「遥香さま、これからどちらへ?」
「洋子はヘアースタイルにこだわりとか有るの?」
「いえ、特には…、ただ男の子はロングが好きなのかな、という程度で。」
「イメージチェンジしてみようか。」
「えっ?」
「まずは美容室なの。」
「は、はい…。」

美容室では、まず制服姿の洋子を撮影。
緊張して強張った表情の写真にオーケーを出したところで店員に…。
「もう少し明るいイメージにして欲しいの、今だと重い感じで彼女の可愛さを殺しているでしょ。」
「はい、遥香さまの仰る通りです、この子は素材が良いから変わりますよ。」
「ではお願いします。」
洋子は店員に任せ、店長と。
「店長、内外装の案をお持ちしました、前野さんお見せして下さい。」
「はい。」

「成程、これなら派手過ぎない形でプリンセス遥香をアピールできますね。」
「費用に関しては店サイドの負担が大きくならない様に調整させて頂きます。」
「はは、遥香さま、ご心配には及びません、すでにお客様方から色々な情報を頂いてます。
高校生だけでなく幅広い年齢層の方々が、遥香さまの美しさを熱く語って下さいますから。
万が一、売り上げが伸びない様でしたら、遥香さまが当店でイメージチェンジして下さるだけでも…、いえそんな心配は無用だと思います。」
「高校生ならいざしらず、幅広い年齢層というのが分かりませんが。」
「口コミです、高校生達が友達だけでなく親兄弟へも情報を伝えています、地方都市の明るい話題が短期間で広まった訳ですよ。
お美しいだけでなく才女でも有るとの噂は、話に尾ひれがついたのだと思っていましたが、部下の方からお話を伺って、そして今日お話しさせて頂いて真実なのだと確信しました。」
「おそれいります、ユニフォームのデザインは作業中です、完成し次第見て頂いて、内外装ともにご意見を頂けたらと考えております。」
「ユニフォームと言っても数種類用意、衛生面にも配慮という事でしたね、どんなデザインか楽しみです。」
「見た目の楽しさと衛生面の折り合いが難しくて、ただ基本形が完成したら、後は店員さんの気分で選べる状態にして行きます、楽しく働くには衣装の要素も大きいと考えています。」
「こういう商売ですから、お洒落なユニフォームとは考えていましたが、そこまでは…。」
「地方都市だって、もっとお洒落になって良いでは有りませんか。」
「はい…、遥香さまはヘアースタイルも素敵ですが、すでに専属の人がいるのですか?」
「ふふ、私の髪は母の玩具なのです、小学生の頃はされるがままでしたが、最近は話し合ってセットして貰ったりしています。」
「う~ん、すでに遥香さまのお写真を見せて、同じ様にとおっしゃるお客様も見えるのですが。
よろしかったら、当店もご利用いただけたら嬉しいです。」
「勿論です、プリンセス遥香名義を利用しての事業展開に協力して頂くのですから、私も広告塔になります。」
「有難う御座います、新規複合型店舗へは会社側からの要請がなくても協力させて下さい。」
「お願いします、この店舗との住み分けは考えていますので。」
「町をもっとお洒落にする起爆剤に…、お客様には何時頃から情報を流して良いですか?」
「そうですね、改装工事の予告ぐらいからでも構いません、口コミの力の大きさは私が考えていた以上のようですから。
洋子のビフォアー、アフターもタイミングを見計らって公開しますが、急に客数が増えて作業が雑になっては本末転倒ですので遅らせるかもしれません、ワンランク上のサービスを目指す訳ですから。」
「分かりました、店員には研修を受ける意味を理解して貰っています。」
「高校生の体験実習もよろしくお願いします。」
「はい、心得ています。」

洋子は鏡を見て少し照れくさそうにしていた。
私が思っていた通りの明るい美人に仕上がったのだ。
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プリンセス遥香-02 [高校生会議-03]

次に向かったのはブティック。

「遥香さま、いらっしゃいませ。」
「松川さんからそう呼ばれると違和感が有るわ。」
「だめですよ、プリンセスになられたという話はもうみんな知ってますし、うちのスタッフ連中も遥香さまならプリンセスで納得出来ると話してますからね。」
「ふふ、ではお願いしておいたのを見せて頂けるかしら。」
「はい、こちらです。」

「洋子、どう? コンセプトはプリンセスの普段着なの。」
「私の普段着とは全然違います。」
「松川さん試着は?」
「はい、では、こちらを遥香さまにお召頂いて、洋子さんにはこれを…。」

「前野さんどうかしら?」
「遥香さま、とてもお似合いです、洋子さんも、では、まずは洋子さんから撮影しますね。」
「はい。」
「もう少し顔を上げて、軽く微笑んで下さい。」
「洋子、固いわよ、もう少し背筋を伸ばして…、前野さんとりあえず何枚か写して、次は私の単独をお願い。」
「かしこまりました。」

「洋子、まずは見比べてみようか、私とあなたの写真を。」
「遥香さまと比べるなんて…。」
「立ち方、姿勢、顔の角度、微笑みを比べてみて…、今度は鏡の前で並びましょう。」

「遥香さまこんな感じでしょうか?」
「そうね大分良くなったわ、あなたは背が高いから、背筋を伸ばすと華やかさが増すの、もう少しポーズを私に寄せられない、そうね女王様になった気分で。」
「洋子さん良くなりましたよ、遥香さま、これなら合格でよろしいのでは有りませんか。」
「ええ、前野さんお願いね。」
五着を試着しそれぞれを撮影。

「松川さん、これは行けそうな気がします、デザインも良いし、縫製もしっかりしていて。」
「はい、手抜き厳禁で発注しましたから、これをプリンセス遥香ブランドという付加価値を付けて売り出したらかなりの売り上げが期待出来ると思います。」
「では今後のスケジュールは明日にでも担当者と相談して下さい。」
「分かりました。
遥香さま、プリンセス遥香のスタートは何店舗ぐらいで始まるのですか。」
「ひとまず三店舗、そこから順次増やして行けたらと調整しています、三店舗でも相乗効果は有りますし、岩崎高校生会議や強固な後ろ盾が有りますから安心して下さい。」
「全然心配してないですよ、これを機に落ち込み気味だった売り上げを回復させようと、接客研修も頑張っています、ワンランク上の店に生まれ変わらせますよ。」
「お願いします。」

ブティックも問題なさそうだ。
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プリンセス遥香-03 [高校生会議-03]

夕食は和食、中学時代に父を手伝って業績改善に貢献した店だ。

「洋子、疲れた?」
「はい、何か場違いの連続で…。」
「一つ目の目標は場違いではなくなる事かな、モデルの仕事は大切な仕事なの。」
「でも、どうして私なのですか?」
「長身で美人だから。」
「髪を整えて頂いて、綺麗な服を着させて頂いて…。」
「今まではお洒落に無頓着過ぎたけど、これからはお洒落する事も仕事の内ですからね。」
「は、はい…。」

「遥香さまメンバーが揃いました。」
「はい、え~っと、こんばんわ、今日は美容室とブティックを周って来ました、皆さんがきっちり仕事をして下さっている事が確認出来て嬉しかったです。
それで、こちらが洋子。」
「お綺麗な方ですね。」
「洋子にはもっと華やかさを身に着けて貰って、人目を引いて貰おうと考えています、私の姫設定に対して、どういう設定が面白いか皆さんにも考えて頂きたいのでよろしくお願いします。
今日は洋子に私達の部で進めている事業計画を説明して下さい、その過程で各自が進めている作業内容の見直しと確認をお願いします。」
「遥香さま、洋子さんは課長という事ですが具体的にどの様な課にされるおつもりですか。」
「今後、様々な形で高校生の研修や実習を受け入れて行こうと考えています。
いずれは、そうした高校生受け入れの責任者となって貰えたらと考えていますが、モデルや他の実習の結果次第では別の形になるかもしれません。
まだ始まったばかりですから、これから試行錯誤して行きます、しばらくは基礎研修期間と考えて下さい。」
「まずは自己紹介からですね。」
「ええ、先にお話ししておきますが、今日、私達は八時半で失礼させて頂きます、仕事は八時頃までという事でそれ以降はお酒もオーケーですよ。」
「この店は高そうですが、今日の会費は?」
「こちらで負担しますからご心配なく、だからと言って飲み過ぎてはだめですよ。」
「えっ、部の予算には有りませんが。」
「この店もうちの部で担当する事になりそうです。
今までのデータから客足の伸び無さそうな日を選んで、二度ほど、この店の客寄せパンダになった報酬と次の一回分ぐらいで払えますから心配しないで下さい、あ~、明日の仕事に差し支える程飲む人がいたら、後二回になるのかしら。」
「でも、こんなお酒も出す店で…。」
「清音部長も一緒ですから大丈夫です、お客さんは各企業の重役クラスが多いですから私も勉強になります。
新規複合型店舗へ投資して頂く話もこの店で進めました。」
「すでに五社が名乗りを上げてくれた背景ですか?」
「ええ、一社でという話も有りましたが、私としてはバックが多い方が安心、さらにリスクが分散された方が、万が一上手く行かなかったとしても投資する側の損失も少なくて済むという事です。」
「遥香さまが進める事業なら誰しも応援したくなるでしょうね。」
「それに対してきちんとお応えして行きたいです、皆さんよろしくお願いしますね。」
「はい、遥香さま。」

その後は洋子に対して自己紹介したり、仕事の説明をする時間となった。
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プリンセス遥香-04 [高校生会議-03]

予定の時間となり洋子と共に退席、タクシーで帰途に就く。

「洋子、どうだった?」
「色々なお話を聞かせて頂いて参考になりました、少し難しい話も有りましたが。」
「一つ課題なんだけど、さっきまでの話を思い出して、分かり易く話してくれた人から、分かりにくかった人まで順位を付けて、明日にでも教えてくれないかな。
話の内容はこれから少しづつ理解してくれればいい事だから、今は分からなくても気にしないでね。」
「はい。」
「料理は?」
「美味しかったです、それにしても十人分では結構な額になりませんでしたか?」
「まあ、あのお店からの報酬分はあの店で使うつもりだから大丈夫よ。」
「そんなに沢山の報酬を頂いてるのですか?」
「お店で話した通りだけど、もう少し説明するわね。
あの店は中学生の頃、お父さんと何度か行っていたの。
私達の役目は売り上げアップを考える事、メニューや接客の改善や宣伝を提案して成果を上げたの。
その過程で、お客様に私のファンが増えてね。
皆さんは私のことを孫の様に可愛がって下さって色々教えて下さったわ。
高校生になってしばらく行ってなかったのだけど、部長研修を始める前にお父さんと相談してね、暇な日に行けば店にプラスになるだろうって。
それからお父さんと店長さんが相談して、私が店に行った事で増えた売り上げの何%かを私への報酬という事にして下さったの。
一日の売り上げが五万かもしれない様な日の売り上げが五十万になったら大きいでしょ。」
「遥香さま目当てでそんなに…。」
「単価が高いからね。」
「さらにお客様方からのカンパも頂いてね、中学生時代もおこずかいを上げたいと言って下さる方が多かったのだけどお断りしてたの。
でも今回は、部長研修の話から、部下にど~んと奢ってやれる様な部長になれって、そこから話が進んで私のサイフが一つ出来てしまった訳、きちんと管理して脱税をしない様に勉強中よ。」
「はぁ~、そういう額なのですね。」
「でもそっちは大した事ないわ、新規複合型店舗には億単位の支援を頂くから。」
「何か想像できないレベルです。」
「基礎研修でも投資関連の学習をしたでしょ?」
「はい、でも実際に自分が関係すると思うと…。」
「学校でどれだけ学習しても、実際の現場に出て見ないと分からない、お父さんやお店で出会った方々が口にする事よ。
だから、学歴を気にしない会社なら高卒で経験を積むのも有りという考え、手厳しい方は役立たずの大卒を雇うより、まともな大学に進学出来る力の有る人を高卒時から育て上げたいと話してみえたわ、でも学歴に拘る人が多いから簡単には行かないでしょうね。」
「それが特別専門職コースに繋がっているのですね。
私は高卒どころか、高校生の内から色々経験させて頂けるのですが。」
「でも厳しいわよ私は、あなたが普通にこなせる以上の課題を、ふふ、すでに今日経験したでしょ。」
「ええ…。」
「自信を持つのよ、洋子には、まだ自分で気づいていない力が有るの、まず、明日からは教室にいる時も姿勢や振る舞いに気を付けてね。
明日以降のスケジュールは前野と相談してくれた?」
「はい、明日は前野さんと北山さんからファミレスでの展開について説明を受けた後、うちの親にも会って頂いて、契約書にサインをと聞いています、なんかほんとに就職するみたいですね。」
「そう考えて欲しいわ、しばらくはバイト待遇だけど、私の部下達が認めたら、たとえ労働時間が短くても正規の社員、一旦私達の会社に就職したらグループ内での転職は容易だから、高校卒業のタイミングで違う職種にチャレンジする事も可能よ。」
「私…、社会的には中卒ですよね。」
「私もよ、まあうちの部で成果が見込めそうなら高校生社員を増やせないか考えているの、一度に話すと洋子が大変だから少しずつ話して行くわね。」
「は、はい、今日一日の事だけで頭が一杯です。」
「ふふ、すぐ慣れるわよ。」
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プリンセス遥香-05 [高校生会議-03]

翌日、洋子は注目の的となった。

「洋子、その髪型似合ってるわよ、どこの美容室?」
「男どもの視線が変わったんじゃない?」
「ヘアースタイル変えただけで、こうも変わるとわね。」
「洋子が変えたのは髪型だけじゃないのよ。」
「えっ、遥香さま、いつも通りの制服ですよ。」
「メイクもしてませんわ。」
「あっ、分かった!」
「茜、何が分かったの、どこが違うの?」
「姿勢よ、洋子は長身なのを恥ずかしがってか猫背気味だったの、今日は堂々としてるでしょ。」
「遥香さまからの指示なの、昨日は綺麗な服を着せて頂いて写真撮影も、まだみんなには見せられないけれど。」
「私が洋子を誘った理由の一つは長身で美人だから、髪型はださかったし姿勢も悪かったけどね。
髪型を変える事は簡単でも姿勢を直すのは簡単ではないでしょ、洋子は今、頑張ってるのよ。」
「という事は、モデルになるのですか。」
「モデルも、という感じね、私は欲張りなの。」
「今の洋子なら遥香さまと並んでもしっくりくるね。」
「でしょ、で、こうして並ぶと身長的に私がより可愛く見えると思わない?」
「はは、並ばなくても充分過ぎる程可愛いです。」
「では皆さんの視線を半分以上、洋子に引き受けて貰うというのはどうかしら?」
「有るかな…、でもまだ硬さが…。」
「はい、洋子の課題ね、人前でも華やかな雰囲気を醸し出して私以上に注目を集めてね。」
「遥香さまは、それで良いのですか?」
「ええ、私が中心となって進めているプリンセス遥香オペレーションのキャッチフレーズは、お姫様になろう、とか、あの人だけのお姫様、という感じのを検討中なの。
町中が私以上に素敵な女性で溢れたら楽しいでしょ。」
「遥香さま以上にというのはハードルが高すぎです、でも、地方都市だからか服装が地味とは感じていました。」
「お洒落にお金を使える、余裕の有る人は少なくないと思うの、そんな人達が新ブランド、プリンセス遥香を選んで下さって、プリンセス遥香関連の美容室やレストランを利用して頂けたら、この地の経済が活発になると思うのよ、その収益を活かして行けばさらにね。」
「遥香さま…。」
「やっぱ私達の姫さまだわ、この地の事をそこまで考えていて下さったとは。」
「えっ、何か良く分からないけど…。」
「あなたはもっと勉強しないとね、やはり高校生会議に参加してない人には難しい話なのかしら。」
「かもね、社会人になるための研修受けて…、洋子はより実践的な内容に触れ始めたのね、私も早く体験したいな。」
「高校生会議のスタッフになってくれた人達にお願いが有るのだけど。」
「はい、何なりとお申し付けください。」
「まずは、洋子がイメチェンして美人になったという噂を自然に広めて欲しいの、わざとらしいのはNG、そうね一人が一人に話す程度にしましょう、最も効果的な一人を選ぶという事でどう?」
「あっ、面白いかも、それなら先輩の方が良いわね、最低限の動きでどれだけ情報が広がるか興味深くも有るわ。」
「第二段階は来週相談させてね。」
「へい、ボス、任せておくんなせい。」
「ちょと~、違うでしょ。」
「でも陰謀の匂いがワクワクさせてくれるのですけど。」
「ふふ、その線で考えておくわ。」
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プリンセス遥香-06 [高校生会議-03]

翌週、陰謀の続きを説明。

「まずはミッションの全容を説明させて頂きます。
今回の目的はファミレスの高校生目線による現状調査です。
あなた方に潜入して頂く店は、近々改装してワンランク上のサービスを提供する、プリンセス遥香系列店となり、私の活動の中でも重要な位置を占める店です。
現状は、高校の近くという立地を生かそうと工夫をしている割に高校生の客が少ないです。
私も問題点には気付いているのですが、より多くの声を聞かせて頂きたいと思いまして、あなた方にお願いする訳です。
堅実にやってますので経営的に危ないというレベルでは有りませんが、てこ入れをして売り上げアップを考えています。」
「すると店で問題点を探ってこれば良いのですね。」
「その通りですが、女の子目線だけでは充分では有りません。
幸い洋子に注目を集めるというミッションは成功した様ですので、来週のミッションに関して洋子をネタに各自のスキルを利用して、当日男の子達も店に行きたくなる様な情報を流して欲しいのです。」
「私、頑張って先輩を誘ってみようかな。」
「洋子とファミレスへ行くという情報を流すだけでも充分な気がするわね。」
「細かい設定などはお任せしますが、私達の目的である調査という事は明かさない方が、かえって本心を聞き出せるのではないかと思っています。」
「そうですね、見返りを求められることも有りませんし。」
「当日のミッションはまず自分達で料理を吟味する、ですから四人はデザートも含め別メニューでお願いします、勿論費用はこちらで持ちますから何を頼んで頂いても構いませんが、食べ過ぎで体調を壊す事の無いようにお願いします。
この食事に関しては、そのメニューを選んだ理由、食べてみた感想などを洋子へお願いします。
もう一つのポイントは接客です、色々な視点から見た意見をお願いします。
当日、男の子達がどういう形で来店してくれるかにもよりますが、味と接客について、その場ででも後日でもさりげなく聞き出して欲しいのです。」
「分かりました、四人で作戦を練ります。」
「では報酬ですが、希望は有りますか?」
「食べ放題という事だけで充分です。」
「でも奢って貰うという可能性も否定できませんよ、それだとこちらからの報酬になりません。」
「遥香さま専属のスパイという立場にして頂くというのはどうでしょう?」
「そうよね、洋子は調査結果の整理をして貰うから仕事だけど、私等は完全に遊びだわ。」
「うんうん、洋子をだしにして先輩とお近づきになれるかも。」
「では、他の店の調査もお願いして良いかしら。」
「勿論です、表向きは遥香さまのメイド、しかしその実態は姫直属のスパイ集団。」
「あなた漫画の読み過ぎじゃない?」
「でも、面白いじゃん、洋子はメイド長にして裏の顔はスパイのボスなのね。」
「そうね、他の人がいる時は洋子さん、四人だけの時はボスと呼ぶことにしましょう。」
「ちょっと待ってよ…。」
「良いじゃない、洋子の事、うちの社員は課長と呼びますからね。」
「遥香さま~。」
「甘えてもダメ、これも研修の内です、場面場面で自分の立場を考えながら、時には演じて下さい、自信を持って。」
「は、はい…。」
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プリンセス遥香-07 [高校生会議-03]

ファミレス調査結果に関する洋子のレポートは、私の期待通り分かり易くまとめられていた。
その資料をファミレス店長に見せながら。

「その報告はうちの課長がまとめた物ですが、概ね私が感じていた通りです。」
「接客に問題ありなのですね。」
「はい、マニュアルでがんじがらめの接客をしない方針は悪くないと思っています。
この結果は接客にあたる店員の年齢層が高めなので仕方ないでしょう、高校生が相手の事ですから。
私としましては高校生対応の接客を考えて頂くよりも、平日夕方は岩崎高校生会議の実習バイト生を積極的に受け入れて頂ければと考えています。
うちの北山による従業員面接の結果からも、この時間帯の接客に高校生を起用する事には問題無いと考えています。」
「確かに、高校生なら同年代に接客して貰った方が楽しいかもしれません。」
「後、高校生向けメニューは高校生会議の実習の一環として考えて貰っています。
案がまとまり次第、山田料理長とも相談させて頂きます、平日午後三時からの限定メニュー、客単価は若干下がりますが、来客数をかなり増やせるキャンペーンを展開して行きますので期待して下さい。」
「はい、お願いします、マナー教室の企画も進めてはいますが、遥香さまの方では如何でしょうか。」
「プリンセス遥香で進めて行く『ワンランク上の私』という取り組みの一環にもなります、メニューや食器などの準備が整ったら、うちのスタッフを対象に何度か開いて問題点を探って行きます。
小規模で進めて行きますが、安定した売り上げを目指しています。」
「夏休み期間中に準備を大きく進めておきたいですね。」
「ええ、秋のリニューアルオープンに向け、この店を徐々に生まれ変わらせますのでよろしくお願いします。
細部につきましては北山と詰めて下さい。」
「分かりました。」

夏休み中に進めたい事は多い、それをこなす為には夏休み前の準備が重要。
すでに岩崎高校生会議でもプリンセス遥香関連チームをスタートさせている。
接客チームは基礎研修を始めていて期末試験終了後から交代で店舗実習に。
調理チームは高校生向けメニューを自分達が店で調理する事も視野に入れて検討中。
衣裳チームは制服デザインを考え、接客チームの店舗実習に間に合わせるべく製作スケジュールを練っている。
運営チームはファミレスの運営について、学習を開始。
そんな中、洋子は各チームに参加の上、それぞれの進捗状況を報告して貰っている。
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プリンセス遥香-08 [高校生会議-03]

夏休みに入る頃。

「洋子のスケジュールはどうなってる?」
「はい遥香さま、各チームでの実習をバランス良く組ませて頂きました、九月のリニューアルオープンに向けて一通りの事はそれなりにマスターしておきます。」
「余裕は有る?」
「大丈夫です、期末テストの結果も良かったですし、始めの頃は不安ばかりでしたが、遥香さまの教えを一つ一つ実践している内に自信も、今は全体を見れる様になって来ました。」
「そっか、どうしてだか分かるかな?」
「え? 遥香さまの指導のお陰ですが。」
「洋子の良い所は頭の良さだけでなく素直な所なの、言われた事に対して真面目に考え真面目に取り組む姿勢が、学習面でも仕事でも成果に繋がってるのよ。」
「遥香さまのお言葉は理路整然としていますから素直に受け止めさせて頂くしか有りません。
飛び級制度が有ったら大学生でもおかしくないと皆さん話しています…、では私の悪い所はどうでしょう?」
「知らないわ、私の基準では何の問題もないもの。」
「何か自分では気づいてない事がないのかと…。」
「大丈夫、セルフチェックが出来てる、今の心を忘れなければ…、なんて年寄りじみた事を私に語らせないでね。
それより、洋子の夏休み期間のスケジュールには影響が出ない様にしたいけど、状況が少し変化しそうなの。」
「プリンセス遥香関連ですか?」
「ええ、私達の活動を支援して下さってる方々が長老会議を設立されたのよ。」
「新規複合型店舗へ投資して下さる方々ですか?」
「ええ、それがね、私の姫設定に乗っかっての冗談半部かと思ってたら、真面目にこのエリアの発展を考えておられて…。」
「それなら、遥香さまの一つの目標へ向けて一歩近づくという事ですね。」
「そうなんだけど、自分が頑張らなくても成果が見えてるって、面白い様で面白くないと思わない?」
「でも遥香さまが真ん中にいて下さるから盛り上がる訳です。」
「自分の立場は私なりに分かってるつもりよ、でも私関連の売り上げが数億というレベルでは、飾り物としての私だけで充分…、私の力を発揮してると思える売り上げは何億くらいの規模なのか考えてしまってね。」
「部の事業規模を拡大することになるのですか?」
「いえ、部長から社長にという話がね、今進行してる企画を発展させて新会社設立、子会社という形ではあっても、高校生部長より高校生社長の方がインパクトが強いとの事で、それが今からなら二年半以上名乗れると。」
「すごいです、遥香さまなら社長だって問題ないと思います。」
「でも、そうなると今まで考えていた規模では小さいでしょ、長老会議のメンバーからはさらなる投資の話も出ていて色々検討中な訳なの。
新会社としてのスタートは秋になりそうだけど、洋子は社員になってくれる?」
「勿論です。」
「普通の高校生が社員として働く中で仕事について学び考える場としたいの、その一人目として注目されると思うわよ。」
「はい、それが私の役目なら、遥香さまのご期待に沿える様努力させて頂きます。」
「ふふ、自信にあふれる洋子を見ていたら、私も力が湧いてきたわ、成果を上げて社会貢献出来るレベルまでと考えてるからよろしくね。」
「はい。」
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プリンセス遥香-09 [高校生会議-03]

人脈を作る。
私の部長研修が決まった頃、父が掲げたテーマだ。
父はその為のフォローもしてくれ、その結果が長老会議に繋がった。
長老会議に顔を出す時は酒席という事も有り必ず父が同伴。
父とは仕事に関する話をする事が多くなっている。

「遥香、長老会議に参加して下さってる方々に関してはこちらでも情報収集させて頂いている。
現時点での十一名の方々は人格者ばかりで、それぞれの企業内でも尊敬されている方だから安心して良いぞ。」
「ええ、皆さんが外見だけでない私をご理解して下さっての長老会議だから…、でもしばらくは色々な人を紹介して下さるそうで、前野さんに調整をお願いしたけど大変そうよね。」
「前野なら上手くこなしてくれるだろう、優先順位を考えて対応してるよ、場合によっては遥香が直接話をしなくても良いような形も模索しながらね。」
「人脈の大切さは分かってはいるけど人数が多くなるとね…。」
「だから、優秀な部下が必要になってくる、これから遥香がどれだけの成果を上げられるかは、どれだけ優秀な部下を集める事が出来、その部下達からどれだけ信頼される上司となれるかだな。」
「う~ん、今後の会社組織はどうなるの?」
「私の部はほとんど新会社にその機能を移す事になる、イメージ戦略として遥香の下にした方が強くなるとの判断だ。
実務は私の後継にと考えていた矢田を新会社の副社長という形で据える、私は部長から副社長になって新会社を見守って行く、またしても娘の力で昇進だな。」
「ふふ、でも良かったわ、お父さんが私の部下にならなくて。」
「そんな声も有ったが社長の配慮だろう、長老会議の面々が新会社の顧問となる訳だから新会社の副社長なんて半端ないプレッシャーが…、矢田はまだ気づいてなくて浮かれてるから、早目に目を覚ましてやってくれな。」
「高校生の部下になって浮かれてるの?」
「はは、遥香さまにひれ伏す奴ばかりだぞ、単なる美少女ではないとの噂が随分広まったからな。」
「難しいのはお姫様モードと社長モードの使い分けかしら、偉そうにしてる時間が長くなってるから…、嫌な小娘とか思われてないのかしら。」
「そう思ってる奴もいるだろうな、でもアンチがいるぐらいでないと大物にはなれないんだ。
遥香がにっこり微笑めば九割の人は味方に付いてくれる、それで充分だから絶対十割を目指すな、疲れるだけで得られる物はないと思えよ。」
「う~ん、確かにそうかもね、私も仕事をお願いする時は七割ぐらいの結果を合格点にしてるのよ。」
「ふむ、部下候補だった連中は上司にしたいお姫様と話していたが…、これから人数も増える、高校生にも積極的に体験の機会を作るのだろ、上手くやれそうか?」
「お父さんの部下の方々は優秀だもの、後は高校生のリーダーを見つけて育てるって事かしら。」
「プリンセス遥香関連以外は完全に任せて良いが、それでも遥香の夏休みは忙しくなりそうだな。」
「そうね、長老会議と高校生会議次第かしら…、でもプリンセス遥香のメインターゲットは二十代から三十代の女性なのよ、その層はまだ関係者しか絡んで来ていないでしょ、リサーチはしてるけど…、社外で活躍してる女性との人脈を上手く作りたいの、ただ誰でも良い訳ではないし、無駄に人数ばかり増えてもプラスにならないでしょ、長老会議は人数的に問題ないし高校生会議は社員と同様リーダーに任せて行けば良い訳だけど。」
「イメージとしてはデザイナーとかスタイリストということか?」
「ええ、若い女性が憧れる様な人、でも具体的に考えて行くと地方都市では弱そうで。」
「そうだな、職種によっては互いの信頼関係が築ければ後は地理的に離れていても仕事は出来るが…、う~ん、営業三課の白井くんは知ってるか?」
「いいえ。」
「彼女はプリンセス遥香スタート時に離せない仕事を抱えていたので、部下候補にならなかったが、今なら大丈夫だ…、まずは社長直属の部下という事にして色々相談に乗って貰うと良い、一度会う手筈を整えようか?」
「心強そうね、お願いします。」
「すぐメールを入れておくよ。」
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プリンセス遥香-10 [高校生会議-03]

私達がプリンセス遥香の名の元に進めて行こうと考えている三つの柱は…。
地方都市で暮らす女性にお洒落な生活の提案。
高校生が実習を通して就職を考える場としつつ自分を成長させる場に。
この二つに関しては『ワンランク上の自分』をキャッチフレーズにしている。
もう一つは、より活気ある町作り。
この三つを中心に組織作りを進めているが…。

「白井さん、ご自身が動き易い肩書、何か有りますか?」
「遥香さま、肩書なんて要りません、平社員ですから。」
「いえ、人と交渉する時、肩書が役に立つ事も有るのですよ、初対面の人が平社員なのと部長なのとではイメージが違います、肩書でその人が負っている責任を判断する場合も有ります。
現時点では社長を補佐する立場ですから、社長補佐とか副社長、横文字でお洒落なのが良ければ案を出して下さい、長老会議の人達は意味の分かりにくい名称は好みでないと話して見えますが。
待遇面は、しばらく働いて頂いた結果での昇給となります。」
「どうして私をそこまで?」
「父の推薦ですが、実績を調べさせて頂いた上での事、婚活の応援もさせて頂きます。」
「副社長なんて事になったら、婚期が遠のきそうな気もしますが…。」
「大丈夫ですよ、小娘が社長を名乗る程度の会社ですから。」
「そんな、遥香さまがお飾りの社長でない事を全国に知らしめて行く事が私の役目です、ブランドとしてのプリンセス遥香を全国展開すべく…。」
「待って、その前に白井さん自身もワンランク上げましょう、今でも素敵ですが、それは平社員レベルです、副社長レベルの髪型と衣装、プリンセス遥香を白井さん自身も体験して下さい。」
「は、はい、うちに関連する店ですね…。」
「そこのスタッフとも、肩書の事や今後の展開を相談してみて下さい。」
「あっ、そうですね、遥香さま御免なさい、お話を頂いてから少々舞い上がり気味で、新会社の概要はほぼ掴めていると思っていましたが…、次の休みにでも行って来ます。」
「だめですよ、業務内の事ですから仕事中に行って頭の整理をして来て下さい、先方へは私から連絡を入れておきますからね。」
「は、はい。」

白井さんを選んだのは正解だった、すぐさま私の望んでいる事を理解し動いてくれた。
行動力が有り情報収集能力に長けていて、女性クリエーターとの人脈も、私に代わって広げてくれている。
肩書は社長補佐に落ち着いた。
社長補佐はもう一人、前野さんにお願いした。
彼には長老会議とのパイプ役も担当して貰う。
私を含めたこの三人が新会社に於けるプリンセス遥香事業の中心となる。
高校生会議のプリンセス遥香関連では高二の先輩をリーダーとし、我が社からのサポートスタッフが支えるという形にした。
サポートスタッフはボランティアだが、状況によってはそのまま会社の仕事として動いて貰う事を想定しての事。
優子さんは入学予定の岩崎学園大学と連絡を取り合いながら、別の角度からのサポートを試みている。
秋のプリンセス遥香本格スタートに向けて私の周りは活気づいていた。
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