SSブログ

プリンセス遥香-01 [高校生会議-03]

翌日の授業後、緊張した面持ちの洋子と迎えの車に乗り込む。

「遥香さま、予定通りでよろしいでしょうか?」
「はい、前野さん、お願いします。」
「遥香さま、これからどちらへ?」
「洋子はヘアースタイルにこだわりとか有るの?」
「いえ、特には…、ただ男の子はロングが好きなのかな、という程度で。」
「イメージチェンジしてみようか。」
「えっ?」
「まずは美容室なの。」
「は、はい…。」

美容室では、まず制服姿の洋子を撮影。
緊張して強張った表情の写真にオーケーを出したところで店員に…。
「もう少し明るいイメージにして欲しいの、今だと重い感じで彼女の可愛さを殺しているでしょ。」
「はい、遥香さまの仰る通りです、この子は素材が良いから変わりますよ。」
「ではお願いします。」
洋子は店員に任せ、店長と。
「店長、内外装の案をお持ちしました、前野さんお見せして下さい。」
「はい。」

「成程、これなら派手過ぎない形でプリンセス遥香をアピールできますね。」
「費用に関しては店サイドの負担が大きくならない様に調整させて頂きます。」
「はは、遥香さま、ご心配には及びません、すでにお客様方から色々な情報を頂いてます。
高校生だけでなく幅広い年齢層の方々が、遥香さまの美しさを熱く語って下さいますから。
万が一、売り上げが伸びない様でしたら、遥香さまが当店でイメージチェンジして下さるだけでも…、いえそんな心配は無用だと思います。」
「高校生ならいざしらず、幅広い年齢層というのが分かりませんが。」
「口コミです、高校生達が友達だけでなく親兄弟へも情報を伝えています、地方都市の明るい話題が短期間で広まった訳ですよ。
お美しいだけでなく才女でも有るとの噂は、話に尾ひれがついたのだと思っていましたが、部下の方からお話を伺って、そして今日お話しさせて頂いて真実なのだと確信しました。」
「おそれいります、ユニフォームのデザインは作業中です、完成し次第見て頂いて、内外装ともにご意見を頂けたらと考えております。」
「ユニフォームと言っても数種類用意、衛生面にも配慮という事でしたね、どんなデザインか楽しみです。」
「見た目の楽しさと衛生面の折り合いが難しくて、ただ基本形が完成したら、後は店員さんの気分で選べる状態にして行きます、楽しく働くには衣装の要素も大きいと考えています。」
「こういう商売ですから、お洒落なユニフォームとは考えていましたが、そこまでは…。」
「地方都市だって、もっとお洒落になって良いでは有りませんか。」
「はい…、遥香さまはヘアースタイルも素敵ですが、すでに専属の人がいるのですか?」
「ふふ、私の髪は母の玩具なのです、小学生の頃はされるがままでしたが、最近は話し合ってセットして貰ったりしています。」
「う~ん、すでに遥香さまのお写真を見せて、同じ様にとおっしゃるお客様も見えるのですが。
よろしかったら、当店もご利用いただけたら嬉しいです。」
「勿論です、プリンセス遥香名義を利用しての事業展開に協力して頂くのですから、私も広告塔になります。」
「有難う御座います、新規複合型店舗へは会社側からの要請がなくても協力させて下さい。」
「お願いします、この店舗との住み分けは考えていますので。」
「町をもっとお洒落にする起爆剤に…、お客様には何時頃から情報を流して良いですか?」
「そうですね、改装工事の予告ぐらいからでも構いません、口コミの力の大きさは私が考えていた以上のようですから。
洋子のビフォアー、アフターもタイミングを見計らって公開しますが、急に客数が増えて作業が雑になっては本末転倒ですので遅らせるかもしれません、ワンランク上のサービスを目指す訳ですから。」
「分かりました、店員には研修を受ける意味を理解して貰っています。」
「高校生の体験実習もよろしくお願いします。」
「はい、心得ています。」

洋子は鏡を見て少し照れくさそうにしていた。
私が思っていた通りの明るい美人に仕上がったのだ。
コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。