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バトル-231 [高校生バトル-24]

「三郎、遠江株式会社アルトバル支社がアルトバル国への支援窓口になるのよね、向こうも遠江王国同様に出来そうなの?」
「どうかな、遠江では立ち上げた当初に市営企業を目指すとアナウンスしてたことも有り、かなり楽をさせて貰っただろ、社会福祉で実績を上げられているから市営化からの方向転換に対して批判されずに済んでるけどね。
 母さん、アルトバル支社が政府と良好な関係を築けたとしても、普通の会社として活動しながら貧困対策に取り組むことになるでしょ、今は本社みたいに他事業からの利益で拡大して行くなんて考えられなくてさ。
 資金は当面YouTubeチャンネル頼り、当分の間は実質的に我々が養うと言う感じになりそうだから雇える人数は限られると思うんだ。」
「遠江農業公園関連事業みたいには行きそうにないのね。」
「遠江では沢山の人達が協力してくれたけど、向こうではそう言ったことに協力してくれそうな人がとても少ないみたい。
 それでも今まで現地の人があまり考えて来なかった、利益率を高く出来る観光客向けの食材を研究して行けば農業や漁業を改革出来そうだと報告に有ったよ。」
「農地の土があまり良くないのよね。」
「うん、その辺りへの初期投資は必要になると思う、今まで農業に関する知識が乏しかったみたいで、教育をしながら農地改良を進めて行くことになりそうだよ。
 漁業は、取り敢えず日本人が好む魚とその調理法を知って貰い観光客を喜ばせる所からかな、ワサビとかは日本からの輸出することになるけど。」
「観光をベースにそれ以外の産業を強化して行くのね。」
「アルトバルには輸出出来る産物が少なくてさ、民芸品や家具を日本向けにアレンジしたものを生産してみることは考えてるけど売れないとダメでしょ、ミュージカルなどでアピールして購買意欲を高める計画は有るのだけど…。」
「利益率を高めに設定出来そうでは有っても、日本向けのアレンジが成功するのかどうかが難しいわね、デザイナー次第かしら。」
「今までの高校生バトルからデザイン関係で関わって来てくれた人達に声を掛けて行くつもりだけど、量の問題も有ってさ、生産量販売量が少なかったら輸送コストが高く付いてしまって、アルトバルだけで荷がまとまらないのなら周辺諸国でも買い付けとかは考えてるものの、うちは実績が無いから、そのリスクが大きいんだ。」
「結局、アルトバル周辺諸国への第三王子歴訪に掛かってると言う事なのね。」
「プレッシャーを掛けないでよ、母さん。」
「あのエリアでも、遠江王国第三王子は認知され始めているのだから、遠慮は要らないと思うわよ。
 少しぐらいの失敗は気にしなくて良いのよ。」
「大きな失敗の可能性も有るのだけど…。」
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バトル-232 [高校生バトル-24]

「アルトバル政府が遠江王国を国家として認める話しはどうなってるの?」
「当初考えてたスケジュールより早まりそうだよ。
 周辺諸国の動向を見ての判断らしいけど、一早く遠江王国を国として認めた国としてアピールしたいのだとか、僕らのバカンスに合わせ向こうで関連式典と言う事になるのかも。」
「国交を開き友好国で有ることを宣言するだけでも、それなりの経済効果が期待出来るものね。
 今までにはなかった微妙な独立宣言をしているだけのバーチャル国家、でもその活動によって活力を得た日本の地方都市でもある、YouTubeチャンネルで注目を集めているだけでなく大企業がその活動を後押ししてるのだから、そのご利益にあやかりたいと思うのは自然なことだわ。」
「式典となったら母さんは王妃だけど大丈夫?」
「一応、王妃としての振る舞いはトレーニングしてるのよ、次のミュージカルでは王家の一員として演じることになってしまったでしょ。
 春子から、嫌だったら王に側室を置きクローズアップさせると言われてはね。」
「側室なんてイメージダウンになりそうだけど。」
「どうかしら、側室と王妃の関係が良好でとか、日本国の法的な問題をどう解決して行くとか、少なくとも注目を集めることは間違いないわね。」
「微妙な話だけど候補はいるの?」
「私の王さまがどれだけ人気者なのか知らない訳では無いでしょ。」
「そっか、弟や妹が増えるのかな?」
「具体的な話はないわよ。」
「だろうね。」
「それより第三王子は何かと多忙になって来てるみたいだけど大丈夫?」
「社員が気を使ってくれるし、人と会うにしても最近はこちらから会いに行くより会いに来てくれることばかりになり効率が良くなってるんだ。」
「始まったころはお願いする立場だったのがお願いされる側になったものね、バカンスで国を空けても問題はないの?」
「勿論さ、ネット環境が整っているし、その期間中は関係者が入れ替わり立ち代わりアルトバル旅行することになっていて、必要な物があったら届けてくれるんだ。
 貿易関係のサンプルとかも簡単に両国間を行き来させられるのさ。」
「商売に抜かりはないのね、勝算はどう?」
「まだ見えてないよ、周辺諸国を回ってみないと何ともね、まずはアルトバルの実情を自分の目で確認してからが本格スタートになるのかな。」
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バトル-233 [高校生バトル-24]

「春子姉さん、地方自治体からの視察は続いてるの?」
「ええ、遠江王国の事務局が担当して無かったら役所の職員が大変だったかもってレベルでね。」
「感想は聞いてる?」
「ある程度YouTubeチャンネルで予習してからの視察だけど、花の多さに驚く人が多いそうよ、映像では花の多い一部エリアをクローズアップしてると思われてたみたい。
 電線の地中化工事が進んでいるエリア、街並みにこだわった改装が進んでるエリアは特に花に気を配っているから、日本じゃないみたいと言う声が聞かれるとか。」
「確かに変わったよな、市民がここまで協力してくれるとは思ってなかったよ。」
「閉塞感を感じてた人が多かったのでしょうね。
 市政改革は市長の力では無く、市民一人一人がこの市を活力有る街にして行こうと言う思いによって始めて実現出来る、お父さんのあの演説は今でも話題に上るぐらいだから、本当に市民の心に届いたのだと思うわ。」
「それを素直に受け止めてくれた遠江王国の市民は最高だよ。」
「そうよね、おそらくボランティア活動をしてる人の割合は日本で最高レベルだと思うもの。
 そのおかげで街が綺麗になったし、何と言っても市の財政が一気に改善してるのだから。」
「そんなに違うの?」
「勿論よ遠江株式会社が福祉関連予算を押し下げているだけでなく、公園管理費や公共の場の清掃費が随分減っているのよ。
 観光客が増えたことで潤ってる商店が多いから税収が伸びたのだけど、それにもボランティアが間接的に関わっていると言えるでしょ。」
「工事の多さに対する苦情は出て無い?」
「少しは来てるけど、大都市でもないのにリニアモーターカーが運行されたり、試験を兼ねてとは言え最新技術が導入されるのだから期待してる人の方が断然多いのよ、工事がどれぐらい進んだと言ったことが話題になるぐらいにね。」
「いきなりの大規模プロジェクトだったから戸惑いも有ったと思うのだけど。」
「こんな田舎に研究所が建設されるということに対する戸惑いは有っても、それが市の活性化に繋がることは皆さん理解してるわよ。
 愛・地球博に合わせて導入されたリニモは博覧会終了後は利用客が伸びずに苦労してたそうだけど、遠江王国では通勤通学観光と利用客が伸びて行く形がすでに見えてるでしょ。」
「プロジェクト関連で会社が移転して来て、その社員の為の宅地開発と、総合的な開発が進んでるからな。」
「その大きなポイントになってるのが土地区画整理事業なのよね。」
「聞いてはいるけど、そんなに重要なの?」
「地権者の意思がまとまっていれば成功して新しい街が生まれ成長して行くのだけど、揉めてると時間ばかり掛かってしまうのよ、中途半端な道路ばかりの土地に住みたいとは思わないでしょ。」
「そんなことが有るんだ。」
「土地の買収に関する事例では何十年掛かることも普通に有るのよ。」
「へ~、遠江王国では順調に土地取引がなされてると思ってたけど。」
「私達関連の買収では、自分が持て余し気味だった土地を私達に託したいと言う人が少なからずいたからなのよ、金額の問題ではなくね。」
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バトル-234 [高校生バトル-24]

「三郎、アルトバルでも土地を購入するの?」
「まだ調査中だよ、土地取引があまり行われていから相場を掴み切れないみたい。
 向こうの相場より多少高くても買えるとは思うけど、あまり高く買ってしまうと他へ悪影響を及ぼし兼ねないでしょ。」
「向こうで確保した住居兼事務所は賃貸なの?」
「うん、家主は政府関係者で賃料が格安な代わりにリフォーム費用が多く掛かったと聞いてる。
 土地を買うのか借りるかの判断をするには、もう少し調査する必要が有るんだ。
 向こうの政府としては外国人に土地を買われることに対して快く思わない人がいるかも知れないけど、逆に税収アップに繋がる可能性も有ってさ。」
「微妙なのね、買うにしても借りるにしても日本よりは安いのでしょ?」
「勿論さ、ただ立派な建物を建てるには国外の企業に発注するしかないみたいでね。
 日本人が快適に暮らせる環境を作り出すには時間も金も掛かりそうなんだ。」
「バカンスで泊まるホテルは大丈夫なのかしら?」
「向こうで一番良いホテルだけど、トイレを日本から送って改装工事をして貰ったそうだよ、費用は遠江王家の負担で。」
「なら安心ね、海外はトイレ事情が悪くて、下水道とかはどうなの?」
「上下水道を始めインフラ整備は大きな課題だね。
 日本と同レベルにと考えたら予算だけでなく人材も足りないんだ。」
「それでもネット環境は有るのでしょ。」
「お金持ちが自分達の為にとね、一般庶民の暮らしは眼中にないのさ。
 我々が行動を起こしても日本みたいに協力者が増えて行くとは考えられないそうでね。
 政府関係者の中にもお金持ちがいるのだけど、自分のお金を使わずに遠江王国からの援助を期待してるみたいだとか。
 使ってなかった古い建物を安く貸して、こちらに恩を売るぐらいの感覚だからな。」
「なら、社会実験的な取り組みはやり易いかもね。」
「うん、うちの社員は彼らに試行錯誤と言う日本語を教えたそうだよ。」
「ふふ、実験的な取り組みを意識して貰おうと言うことなのね。」
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バトル-235 [高校生バトル-24]

「三郎、アルトバルでは現地従業員を増やしたそうだがリーダーになりそうな人はいるのか?」
「まだ何とも言えないよ、一応英語の出来る人を雇ってはいるのだけど能力の高い人は国外へ出稼ぎらしくて、まあ社員教育をしてみないと判断が出来ないとの報告が有った、父さん、最初に雇った人達との意思疎通がようやくスムーズになり始めた所なんだよ。」
「難しいのか?」
「英語が話せると言っても語彙が豊富な訳ではなくてね、日常会話に支障が無くても仕事上必要な単語を教えて行く必要が有ってさ、熱心に覚えようとしてる割に覚えられない人がいたり、真面目に聞いて無いように見えてしっかり覚えてる人がいたりと、まだ色々掴み切れてないみたい、日本人とは価値観が違うことも有って。」
「文化の違いか。」
「環境が違うからね、でも給料分働いてくれる人なら問題ないよね。」
「どんな仕事を任せて行くのだ?」
「今は担当社員の補助をして貰いながら各自の適性を見極めてるのだけど、遠江大学の人達は農業や水産業の改革だけでなく色々考えてるでしょ、だから広い職種から選ぶことが出来ると思う、担当スタッフは大変だけど。」
「大学メンバーとの情報交換は出来てるのか?」
「互いに遠慮し合ってると感じたから、遠慮せずに提案や協力要請をして貰う様にお願いし、それぞれの考えをグループ代表に発表して貰ってね、そしたら様々な案が出て来た、今はみんなでそれを検討中。
 担当社員は遠江大学側の考えが分かって動き易くなると話してくれたよ。」
「仕事が増えて大変になるとかはないのか?」
「作業が増えることを見越して現地スタッフを増員してるのだけど、大学側の活動をどうフォローして行けば良いのか具体的な部分が見えにくかったそうでね。
 僕らは雇用の拡大も目指しているのだから仕事が増えるのは良いこと、そこで利益を上げられるかどうかをみんなで検討してるのさ。」
「資金も無限ではないからな。
 現地スタッフの給料は妥当な額なのか?」
「初任給は現地の標準的な額より少し多いぐらいにし、実績に応じて加算して行くのだけど、ご褒美をって提案が有ってね。」
「ボーナス的な?」
「お金では無く日本の百円ショップ商品を働きに応じた賞の賞品としてあげるのだけど、こちらで商品を選ぶのではなく、多数の百均商品から自分で選べるシステムなんだ。」
「ふむ。」
「現地の人が何を選ぶのか、そして使ってみた後の感想を聞かせて貰えたら今後の参考になるでしょ。」
「なるほど、リサーチ込みの賞品か、悪くはないな。」
「何が人気になるのか分からないから向こうに送る商品選びが難しいのだけど、輸出を視野に調べて貰ってるんだ。」
「百円と言っても向こうでは高く感じるかも知れないのだろ。」
「欲しければ気にならないだろうし、高めの物でも買える層を増やして行くのも目標の一つだからね。
 国家間の経済格差を無くして行く道のりは果てしなく遠いけど。」
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バトル-236 [高校生バトル-24]

「現地で雇った人達は、遠江王国のことをどの程度知っているんだ?」
「ほとんど分かってないと思うし、仕事は教えてもその辺りのことは教えない方針でさ。」
「社員教育のカリキュラムには入れないのか?」
「今、教えてもそのメリットは少ないと思うんだ、担当スタッフは質問されたことに対して極力答える方針だけどね。
 知りたいと言う欲求の有る人には多くのことを教えて行き、先々社会学的な話も出来る様になれば、意識改革の第一歩になるとは考えているんだ。」
「そうだな、下手に教えても押し付けになりかねない。」
「自分で調べられるかどうかで、その人の能力が掴めるのだけど、その環境が整っていないのが残念だよ。」
「色々なことに興味を持ってくれる人がリーダーになってくれると良いのだがな。」
「リーダーはね…、スタッフが聞いた話では、比較的能力が高くて外国へ出稼ぎに行ってる人達も恵まれた生活を送ってる訳では無さそうでさ、そう言った人たちが自国で働ける環境を整えられたらと考えてる、まずは、出稼ぎを考える人の流出を止める所からだけど賃金設定が微妙でしょ。」
「適度なインフレを貧困層に配慮しながらだったな。」
「観光産業を発展させつつ内需の拡大、最低限の投資でそれを実現させたいのだけどね。」
「簡単ではないか…。」
 一応、観光面はYouTubeチャンネルを利用してアピール、観光客が増える過程で貧困層にもお金が流れるシステムを構築したいと考えてるものの、楽観視は出来ないよ。」
「観光客向けの施設が不十分なのだろ、初期投資を増額とかは考えられないのか?」
「周辺諸国とのバランスを考えたいし、アルトバル国だけでなく周辺諸国を含めたツアーでもアピールと考えていてね。
 良い形であのエリアがまとまればと思うのだけど、それには投資をアルトバルに集中させる訳には行かなくて。」
「エリアで考えるとなると、第三王子諸国歴訪の旅が重要になるな。」
「うん、周辺諸国は当初考えてたより遠江王国に対して好意的でさ、地理的に離れていても国々のまとめ役的な存在として関わって欲しいと言う話も来ていてね、今の国際情勢を考えたら日本は安心出来る国、かと言って日本国自体は政治的な動きを考えていないでしょ。
 彼らは大国ではないが日本の一部でも有る遠江王国と言う存在に期待してるみたいなんだ。」
「そうなると外務省とも連絡を取っておくべきだな。」
「う~ん、アルトバルの関係で連絡は取り合って貰ってるけど、周辺諸国も含めた形での情報交換も必要だね、在日本国遠江王国大使館のスタッフに頑張って貰うかな。」
「正式な国交がないのに大使館を名乗って良いのか?」
「名乗ってると言うより社員が勝手にそう呼んでるだけだから問題ないさ。」
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バトル-237 [高校生バトル-24]

「雅、バカンスの準備はどう?」
「準備と言ってもね、衣類は撮影用中心にスタッフが用意してくれるから。」
「そうだな、雅は特に準備なんて必要ないのか。」
「撮影に関する要望は幾つか来てるけど、行ってみないと分からないことばかりなの。
 お兄さまは、観光気分でもないのでしょ。」
「まあな、国交樹立に関する式典や遠江王国国営遠江株式会社アルトバル支社の開所式が有るし、現地で雇用した人達との交流もしないとね。」
「式の時はニコニコしながら立ってれば良いのよね、私は。」
「うん、向こうでもネットを使える人達の間で雅の人気が上昇中らしいからな。
 育児もこなす愛らしいプリンセスとして売れると担当スタッフが判断し、写真などの販売を打診して来て準備中なんだ。」
「知らない内に知名度が上がってるのか…。」
「ただね、雅のことを知ってるのは比較的裕福な家庭の人だけで、全く知らない人が多いんだ。」
「ネットを使えない人が結構いるのでしょ、発売してもそんなに売れないと思うわ。」
「それでも国交樹立に関する話は広まってるし、遠江王国の王族グッズとして売ればそれなりの利益を出せるそうでね。
 原価が安いし、試験的に販売してみる他の商品と一緒に船便で送るから輸送コストが抑えられるんだ。」
「王族全員のを売るの?」
「次郎兄さんは、自分のが売れ残ったら海辺でのキャンプファイヤーで燃やすとか言ってた。
 一応販売数を雅のよりかなり少なめにしてレアな感じを演出するそうだけどね。」
「式典の日はお祭りなのでしょ、勢いで売れると良いわね。」
「ああ、宿泊関係は予約で埋まってると言うし、隣の国からは日帰り出来るそうで、それなりの人出が見込めるみたい、それを見越して試験販売の商品は多めにしたんだ。」
「百円ショップの商品も?」
「勿論さ、お祭りの露店で売るには丁度良いからな、現地従業員に評判の良かった物を中心に大量にね。
 売れ残ったら、周辺諸国を回る時にでも行商するよ。」
「担当スタッフは売れると思ってるのでしょ?」
「今まで調査して来た結果で発注してるからな、でも、敢えて現地の人には未知の物も試すことにしたんだ。
 現地従業員へのご褒美として見せた中で思わぬ物が人気だったりしたからね。」
「へ~、日本との違いをバカンスで感じたいとは思っているのだけど。」
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バトル-238 [高校生バトル-24]

「アルトバルって、のどかで良い所よね。」
「雅は気に入った?」
「そうね、映像では見てたけどやっぱ実際に来てみないと、ただ、蠅が…。」
「遠江王国では衛生面を強化して来たが、ここではそう言った発想が弱いからな。
 今日は詩織と二人で同年代の人と交流して来たのだろ、どうだった?」
「皆、YouTubeチャンネルを見てて私達のことを知ってたの、それに引き換え私達は彼らのことを何も知らないでしょ。
 それではずるいと言うことで随分質問させてもらったわ。」
「どんな人達?」
「今日会ったのは遠江王国を国として承認することでアルトバルの宣伝をしようと画策した人達の子弟、裕福な家庭の人ばかりでエリート意識というか階級意識を感じさせられた。
 英語が話せるのも留学に向けてだとかで貧困問題には興味がないみたい。」
「裕福な家庭は使用人を使ってるものな」
「遠江大学の人からは、この国の格差を解消して行くと言う話が出てたけど難しいよね。」
「当分無理だろう、まずは貧困層を少しましな状態にする、と言うのが当面の目標、その過程で色々見えて来るだろう。」
「社会問題と向き合う時は人の心理を考えなくてならないでしょ、遠江王国では我々義兄弟姉妹の読みが当たって意識改革が進み日本国とは違う社会になりつつあるけど、アルトバルでも出来るのかしら。」
「まあ、やってみないとな。
 意識改革が進めば社会改革も進むのだが、日本でさえ遠江王国をモデルした取り組みが党の支部中心に進められていても、なかなか成果を上げられないのが現実だろ。」
「指導者の力量に差が有ると、詩織のお父さまが話してみえたわ。
 この国のリーダーはどう?」
「どんな組織にも有りがちな派閥が存在しているみたいだから難しいだろう、うちとの友好関係を進めることだけは珍しく意見が一致したそうだけど、他の案件は利害関係が邪魔してなかなか進まないみたいなんだ。
 だから、全くの第三者で有る我々が遠江株式会社と言う営利企業として動く方が進み易いかも知れなくてさ。」
「そうね、貧困問題の改善は社会全体の安定に繋がるのに、あの人達の親では期待出来そうにないのかな。」
「社会と個人の関係について少しは話したのか?」
「そこまではまだ、バカンス中に何度も会うことになりそうだから少しずつにしようとね。
 でも、私が話すより、お兄さまが社会の有り方についての講義を映像を通してでもしたら女子中心に意識改革が進むと思うわよ。
 みんな第三王子に会いたいのだって。」
「そうか、スケジュールを調整するかな、将来この国の指導者になるかも知れない人達なのだろ、早い内から洗脳出来たらメリットが大きいよな。」
「ふふ、階級意識は強くても素直な人達、お兄さまになら洗脳されてしまうかもね、簡単に。」
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バトル-239 [高校生バトル-24]

「三郎、教育学部の人達と会って来たのでしょ、どうだった?」
「英語を話せない人達への調査は通訳を通さなくてはならないから調査結果の信頼度が著しく低いと嘆いていたよ、春子姉さんも通訳に同行して貰って貧困世帯の人と話して来たのでしょ。」
「そうね、話を聞いてる人の考えなのか通訳の考えなのか、こちらには分からなくてどこまで信じて良いのか微妙だったわ、雅達が会ってる子から聞き出せたら良いのだけど、貧困問題には興味が全くないみたいなのよね。
 如何にして興味を持たせるかを検討してる段階だとは聞いたけど。」
「うん、自分も一度会ってみるつもりでね、詩織はその機会を最大限に生かせるようにとチーム妹メンバーにも情報を流して案を出して貰ってるんだ。
 教育学部の人達は英語の話せる人への調査はそれなりに進み、社会問題に関する教育的なことも少ししてるそうだから上手く連携出来れば効率的、彼らとも相談することにして来たよ。」
「貧困層への教育にはまず教師のレベルアップを図るしかないのだけど、教師にも階級意識が有るみたいなの、そんな話はしてなかった?」
「結構差別的な発言を聞いてるそうで、かなり難しそうだね。
 遠江株式会社アルトバル支社での社員教育でも、その辺りの意識改革に苦労してるそうだよ。」
「差別意識か…。」
「他より優越的立場にいることは心地良い訳で簡単には変えられないだろ。」
「支社では貧困層の雇用、どうするの?」
「日本人社員にとっては言葉が通じないと雇いにくいし、ここで雇った人達にその指導を任せられるまでには時間が掛かりそうでね。」
「結局、YouTubeで公開するコンテンツにエキストラとして出て貰って謝礼を支払うぐらいしかないのかしら。」
「エキストラと言ってもそこまで必要としてないからな。
 意思疎通がもう少しスムーズに出来たら別の策も考え易いのだろうけど。」
「言葉の壁って思ってた以上に厚いものなのね。」
「雅達はここの言語を学び始めたと言うから自分も少し取り組んでみようとは思っているのだけど。」
「そっか、でも、私達が伝えたい内容をここの言語で表現出来るのかしら?」
「詩織は、英語を学ぶ意義をここの言語で伝えて行く方針だと話してたよ。」
「ふふ、さすが詩織ね。」
「ここの言語にない単語は日本語の発音で教えるのも有りだとか。
 その前段階として、エリート連中に日本語を教え始めたそうだ。」
「日本語に興味が有るのかしら?」
「うちのYouTubeチャンネルは英語チャンネルだけではないだろ、僕らのファンは日本語のチャンネルも英語字幕で見てくれてるそうで日本や日本語に興味が有るそうだよ。
 今後日本からの観光客を増やして行くことを考えたら、日本語の分かる人が必要になるとも考えてのことだとか。」
「そっか、でも日本語学習に関しては高校生バトルとして取り組んで来なかったわよね。」
「ここで使われる言語に比べたら遥かに多い人達が使ってるだろ、だから海外向け日本語教育の拡充をもっと考えても良いのではと、詩織はチーム妹メンバーだけでなく高校生部会に向けても発信し始めたんだ。」
「アルトバルからの発信だから注目度が違うわね、良い反響が有ることに期待しましょうか。」
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バトル-240 [高校生バトル-24]

「詩織、日本語教育のことに対する反響はどうだ?」
「普段使ってる日本語でも教えるとなると難しいですので、YouTubeチャンネルでの日本語講座を前提としたアイディアコンテストや実際の動画で競い合うと言った形で話が進み始めました。」
「新たなチャンネルを開設?」
「はい、チーム妹で企画を練り始めています、まずは簡単な挨拶から、英語で解説しますが解説が分からない人にも伝わり易い形を検討するそうです。
 それをサンプルにして貰えば良いのですが、講座は一つの形式にこだわる必要が有りません。」
「多くの人が関わってくれそうなのかな?」
「高校生部会が取りまとめてくれることになりチームを組んでくれます。
 良いのが沢山出来そうなら、毎日更新と言わず一日に複数本上げることも意識しているとか。
 日本に住んでいても日本語がままならない人が少なからずいるそうで、そう言った人の為にも必要、日本語教育は私が思っていたより需要が高そうです。」
「言われてみればだな、親に連れられて来日したは良いが言葉が分からず苦労し、その挙句犯罪に、と言う話しを耳にしたことは有ったが、あまり意識してなかったよ、遠江王国にもそんな人がいるのか調べて貰うか?」
「はい、高校生部会遠江王国支部にお願いしておきましょうか?」
「頼むよ、チーム妹からのお願いには熱心に取り組んでくれそうだからな。
 詩織は色々動いてくれているがバカンスは楽しめているのか?」
「ええ、英語を学習目的以外で使う機会は今まであまりなかったことで新鮮です。
 バカンスだからと言って、ぼ~、と過ごしていたくは有りませんので。
 お兄さまこそお忙しそうですが。」
「適度に遊んでるよ、スケジュールを組んでね。
 ここの言語を教えて貰うのだって遊びみたいなものだろ。」
「ですね、語彙が少ないので単語を覚えるのは比較的楽でも、同じ言葉が複数の意味を持つと言うのは少しやっかいですが。」
「慣れるしかないのだろうな。」
「帰国したら使う機会はほとんどないと思うので極められそうに有りません。」
「そうだな…、片言で有っても折角覚え始めたのだから何らかの形で使うことを考えてみようか。」
「社会福祉とかに相当する単語が存在しないみたいでその辺りは日本語か英語に置き換えての会話をするしかなさそうです。
 それでも、日本でなら人のいる所でも雅と大声で内緒話が出来るかも知れません。
 あっ、ここでも難しい話なら日本語に置き換える比率が自然と上がり聞かれても何を話しているのかバレないかもです。」
「なるほど、それなら一つのステップとして、英語に日本語の単語を混ぜながら話すようにしたら話し相手の日本語学習に繋がるのかな。」
「はい、そう期待して日本語を教える時に少し試しています。」
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