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バトル-239 [高校生バトル-24]

「三郎、教育学部の人達と会って来たのでしょ、どうだった?」
「英語を話せない人達への調査は通訳を通さなくてはならないから調査結果の信頼度が著しく低いと嘆いていたよ、春子姉さんも通訳に同行して貰って貧困世帯の人と話して来たのでしょ。」
「そうね、話を聞いてる人の考えなのか通訳の考えなのか、こちらには分からなくてどこまで信じて良いのか微妙だったわ、雅達が会ってる子から聞き出せたら良いのだけど、貧困問題には興味が全くないみたいなのよね。
 如何にして興味を持たせるかを検討してる段階だとは聞いたけど。」
「うん、自分も一度会ってみるつもりでね、詩織はその機会を最大限に生かせるようにとチーム妹メンバーにも情報を流して案を出して貰ってるんだ。
 教育学部の人達は英語の話せる人への調査はそれなりに進み、社会問題に関する教育的なことも少ししてるそうだから上手く連携出来れば効率的、彼らとも相談することにして来たよ。」
「貧困層への教育にはまず教師のレベルアップを図るしかないのだけど、教師にも階級意識が有るみたいなの、そんな話はしてなかった?」
「結構差別的な発言を聞いてるそうで、かなり難しそうだね。
 遠江株式会社アルトバル支社での社員教育でも、その辺りの意識改革に苦労してるそうだよ。」
「差別意識か…。」
「他より優越的立場にいることは心地良い訳で簡単には変えられないだろ。」
「支社では貧困層の雇用、どうするの?」
「日本人社員にとっては言葉が通じないと雇いにくいし、ここで雇った人達にその指導を任せられるまでには時間が掛かりそうでね。」
「結局、YouTubeで公開するコンテンツにエキストラとして出て貰って謝礼を支払うぐらいしかないのかしら。」
「エキストラと言ってもそこまで必要としてないからな。
 意思疎通がもう少しスムーズに出来たら別の策も考え易いのだろうけど。」
「言葉の壁って思ってた以上に厚いものなのね。」
「雅達はここの言語を学び始めたと言うから自分も少し取り組んでみようとは思っているのだけど。」
「そっか、でも、私達が伝えたい内容をここの言語で表現出来るのかしら?」
「詩織は、英語を学ぶ意義をここの言語で伝えて行く方針だと話してたよ。」
「ふふ、さすが詩織ね。」
「ここの言語にない単語は日本語の発音で教えるのも有りだとか。
 その前段階として、エリート連中に日本語を教え始めたそうだ。」
「日本語に興味が有るのかしら?」
「うちのYouTubeチャンネルは英語チャンネルだけではないだろ、僕らのファンは日本語のチャンネルも英語字幕で見てくれてるそうで日本や日本語に興味が有るそうだよ。
 今後日本からの観光客を増やして行くことを考えたら、日本語の分かる人が必要になるとも考えてのことだとか。」
「そっか、でも日本語学習に関しては高校生バトルとして取り組んで来なかったわよね。」
「ここで使われる言語に比べたら遥かに多い人達が使ってるだろ、だから海外向け日本語教育の拡充をもっと考えても良いのではと、詩織はチーム妹メンバーだけでなく高校生部会に向けても発信し始めたんだ。」
「アルトバルからの発信だから注目度が違うわね、良い反響が有ることに期待しましょうか。」
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