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新学期-371 [花鈴-38]

「ここの社会か、まだ地元の人達の交流は僅かだからな。」
「都会から来た若者には馴染めない一面も有るみたいだけど、大丈夫?」
「どうかな…、まあ外国人と接するくらいの気持で臨めば何とかなるかも。
 実際、猟師や木こりと話すなんてことは今までなかったから。」
「これから、猟師や消防団の人達とかに紹介して行くけど、パソコンでデータ管理している人もいるのだから失礼の無い様、お願いね。」
「うん、小さい頃に失敗を経験してるから、中学生にもなって大人に恥をかかす様なマネはしないよ。」
「ふふ、幼い頃には大人に恥をかかせてたんだ。」
「まあね、姫はどうだった?」
「学校の先生は敵だと感じてたな。
 まあ、色々動き始め、敵だった先生は大人しくなったけど。」
「敵に勝ったとか?」
「そんな感じでは無いのだけど、小学校では私達の不満が教頭先生や大学生達の協力によって解消されたってとこなの。」
「中学校での僕の不満は?」
「それは大学生達も意識してるから、彼らと相談すると良いわ。
 時間を有効に使いたいのでしょ?」
「勿論さ。」
「同級生達との距離感をどうしたいのか、サポートしてくれる大学生に上手く伝えられるのかどうかがポイントかもね、同級生達との関係はどう考えてるの?」
「普通にクラスメイトとして付き合っては行きたいけど、興味の対象が全く違うことは確認出来てる。
 姫や大賢者達との時間をより多く持ちたいのだけどね。」
「それが、菜園の作業でも?」
「それはそれで研究テーマになるだろ、ピーマンが嫌いな訳でもないし。」 
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新学期-372 [花鈴-38]

 谷川くんに対する大学生達の評価にはバランス感覚に長けていると有ったが、会って納得した。
 大賢者より何か月か年上なだけとは思えない程、大人だと感じさせられたのだ。

「研究テーマは沢山抱えているのかしら。」
「まあな、姫の興味が分かって来たらその分野でも話せるかも。
 勿論、過疎地の再開発は研究テーマの一つになってるよ。」
「それは心強い、何か案は有るの?」
「もう少し状況を確認してからでないと…、まだ有力な案として出せるレベルでは無いんだ。」
「それを前提としてでも話して貰えると、色々早くなると思わない?」
「そうか、まだ正解が分かっていなくても検討対象になる可能性が有るってことかな?」
「谷川くんが納得する前からスタートした方が効率的かもでしょ?」
「自分の考えが的外れでも、早めに検討して貰えたら無駄な時間が少なくなると言うことか?」
「的外れだったとしても、大学生達にとっては良い経験になると思う。
 谷川くんの思考プロセスに接することで彼らも学べると思うの。」
「成程、そう言う視点も有るのか…。」
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新学期-373 [花鈴-38]

「大学生達の能力は高いと感じてる?」
「ええ、国立大学に合格出来た人達だからね、視野の広さに関しては個人差が大きいけど。」
「分かる気がする、大学入試に青春を捧げた人と、高校生生活を楽しく過ごして入学した人の差かな。」
「かもね、同じ点数で合格したとしても、そこに至るプロセスは人それぞれだもの。
 大学合格をゴールと考えて来た人と、それをスタートだと思ってる人とか。」
「そんな事も社会学的に考えてるのかな?」
「まあね、国立大学に合格出来たら、後は楽しい時間を過ごすだけだと思っていた人もいるそうで。
 入学後に目標が無くなって大学を休みがちになる人や、楽してお金儲けと考え、闇バイトに走ってしまう人とか、そんな人達の心理を考えてみたり…。
 合宿所に来てる人達は健全だから、そんな人達を良い方向に導きたいと考えてる人もいるのよ。」
「実際に動いているの?」
「うん、ここの労働力として雇うことを考えてる人がいて、相談中。
 闇バイトで摘発されて罰を受けた人に更生の機会をとか、これから農業公園として整備して行く過程で労働力は必要になるからね。」
「再犯率を下げようってことかな?」
「若い内なら反省して更生させらる可能性が高いと考えていて、反社会的組織の一員となってしまう前に。
 ここでならそんな人達を守り易いかもって提案が有ったの、都会よりは。」
「組織の人がここまでやって来る可能性は?」
「ゼロでは無いけど、まともに働いてまともな給料を受け取っていたら、付け入るスキは少ないでしょ。
 うちは、田舎の企業だけど待遇の良さを売りにしてるからね。」
「そんなに儲かっているのか?」
「株主が配当を求めてないのと、不足分をYouTubeチャンネルからの収益で補填してるのが現状。
 だから、谷川くんにもその辺りを理解して貰えたら嬉しいのだけど。」
「田舎に都会より待遇の良い仕事をってことでしょ。
 店はスタートから好調だと聞いてるから、売り上げを更に増やすことを考えたらいのかな?」
「ポイントは利益率かしら。
 薄利多売の逆を行かないと効率が悪くてさ。」
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新学期-374 [花鈴-38]

「利益率か…。」
「商品価格って微妙なのよ、高級品は高い方が売れたりして。
 ひたすら安い商品をと考える人がいれば、少し高くても質の良い物を買おうとする人がいるでしょ。
 その辺りを考慮して価格設定をしているのだけど、そもそも一般的に百円で売られている商品が、ずっと前から五百円で売られていたとしたら、その五百円を高いと感じるのかどうか。
 百円で売られているお菓子でも美味しければ高級なお菓子として五百円の価値が有るのかもしれないのよ。」
「確かに、百円で売られて来た商品がいきなり五百円になったら凄く高いと感じるだろうけど、ずっと五百円だったのなら普通かもな。
 そもそも商品によって利益率が違うのだろ。」
「生活必需品は低価格の商品が必要なのだけど、より良い物をと質を重視する人に向けては、より良い品をそれなりの利益率で販売、但し、価格を幾らにしたら一番利益が出るのかは難しい問題でね。」
「どうしても必要なら高くても買わざるを得ないが、高過ぎると買うのを諦める人もいるかな、気持ち良く買って貰える価格か…、あの店の価格は適正?」
「ここに住む人向けの商品は都会のスーパーと同じぐらいにし、観光客向けは高めでスタート、売れ行きを見ながら微妙に上げ下げし、それなりの利益率で多く売れ最大の利益が出る様に研究してるところなの。」
「特売商品は?」
「形が悪いだけで普通に美味しい野菜や果物、売れ残りそうな食品は安売りしてるけど、形の悪い野菜は仕入れ価格も安いのよ。
 売れ残りそうな商品は仕入れる数を減らして安売りしない方向。」
「競合する店が少ないから価格設定し易いとか?」
「ええ、国道沿いのスーパーやドラッグストアの商品価格をある程度把握しつつも、それに合わせて値下げしない方針、特に賞味期限とか無い商品はね。
 安く買いたい人はガソリンを使って他の店まで行って貰って構わないと言うスタンスなの。」
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新学期-375 [花鈴-38]

「他店より安いですよ、とはPRしないんだ。」
「ええ、安売りで集客するより、商品の質や他では売ってない物で勝負と考えていてね。
 だから地元の人向け以外の商品は、少々高めに設定しているの。」
「そっか、商品価格は店が勝手に決めれば良いから、買う人がいるのなら高くても問題ないんだ。」
「うん、だからネットオークションは最大限に活用したいと思ってる。
 店が決めるのではなく、お客さんが値を吊り上げてくれる、そんな商品を売りたいのよ、転売が問題になる様なものはダメだけどね。」
「希少価値を認める人がいれば高価でも買い取って貰えると言うことか。
 そんなの、簡単には手に入らないだろうけど。」
「だから作り出すの。
 盆栽とか絵画は、それを気に入った人にのみに価値が生じるのだけど、良い物なら高値でも買いたくなると思わない?
 ブライダルベールって植物はほかって置いてもどんどん増えるのだけど、それをお洒落な鉢で形良く仕上げると、それなりの値段で売れたりするのよ。」
「鉢とセット?」
「農業公園を目指してるから観光客がつい買ってしまいたくなる状態で販売したいのよね。
 ここで生産した苗をここで売るのなら輸送コストが掛からない分、利益率を高めに設定出来るし。」
「ここへの観光客は多いのかな?」
「秋の紅葉シーズンが一番だけど、他の季節でもドライブに来てくれる人はそれなりにいてね。
 店をオープンさせるまでは仮設店舗で営業していたのだけど、YouTubeチャンネルで宣伝したことも有り、それなりに稼いでたのよ。」
「宣伝は必要、でも既にチャンネルで宣伝出来てるし、テレビ局が取材してくれたりか…。」
「テレビ局へは大学生達がアピールしてくれたの。
 それを切っ掛けにYouTubeチャンネルの登録者数も増え、従業員を増やせる体制が出来たのだけど、お洒落な花瓶や植木鉢を作ってくれる人の為の工房何てのもイメージしていてね。」
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新学期-376 [花鈴-38]

「工房か、それも面白そうだな。」
「でしょ、作品制作を体験出来るとかも考えてるし、イメージを聞いて造って貰うとかも。
 県内には陶磁器関係の会社が多く有るし隣の県にもね。」
「良い形の工房を立ち上げられたら…、話はどの程度進んでるの?」
「まだ、少しづつ打診してる段階、それで上手く行かなかったら公募をと考えてる。」
「最初から公募でも良かったのでは?」
「公募はそれなりに手間も費用も掛かるのよ。
 全然はずれな人にも丁重に御免なさいをしないとだから。」
「実績のある人に打診してるんだ。」
「ええ、何某らかの賞を取っていても、それが収入に結び付いて無い人を中心にね。
 工房の場所は確保済なのだけど。」
「その辺りが良く分かって無いな、土地は簡単に確保出来るものなのか?」
「店の土地は農業から引退するする人に譲って貰ったけど法的な処理に時間が掛かったわ。
 でも、農業を続けられない人から譲って貰ったり、お借りしたりして農業公園への目途は付きつつ有るのよ。
 変に欲を出して高値を要求して来る人はパスしてるけど、高齢者の方々は土地を持て余し気味でね。
 自分の土地を荒れさせてしまうぐらいならと協力的なの。」
「ここの土地は有効活用出来るんだ。」
「まあね、でも社員達は最大限の有効活用を考え、貪欲に動いてくれてるのよ。
 固定資産税が安いから、放置したままで構わないと考えてる様な人ともコンタクトを取っていて。
 田中社長の指示では有るのだけど、ここに住んで無い人が所有してる土地なんて少ない方が良いに決まってるでしょ。
 まともに管理されていないのだから。」
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新学期-377 [花鈴-38]

「うん、ここへ越して来るに当たってお父さんから色々教えても貰った。
 普通の過疎地では土地も家も売れないけど、ここは違うとね。
 うちは今、賃貸住宅だけど、土地を買って家を建てる方向で進み始めてるんだ。
 早めに決断しないと土地が値上がりしそうなだけで無く数に限りが有るのだろ?」
「ええ、ここは過疎地に企業の本社を移転させたことで大きく変わって来てる、山の中だから平地は多く無くて、山を削ったり盛り土したりして平地を造っても良いのだけど、コストが掛かる割に安全性がね。
 今は耕作放棄地を再生するか宅地にするか検討している所が幾つもあるのよ。
 静かに暮らしたければ、隣の家まで一キロなんて物件が有るし、仲間と共に新しい部落を形成して行く動きも。
 そんな話が出てると言うことは、ここが気に入ったとか?」
「全然不便じゃないからな。
 正直移住して来るまでは、凄く不便なのかと思っていたのだけど。
 都会暮らしの時でも家と学校の往復って感じでさ、学校サボって家に居ることが多かったから。
 今は何の不便も感じて無いんだ、中学校は家から近いし。」
「でも、近くに高校は無いのよ。」
「知ってる、だから通信制を考えたんだ。
 元々普通の高校に行きたいとは思って無かったからな。
 出席日数がどうとか学力とは関係ないことで束縛されるなんてバカバカしいだろ。
 テストではホントに学習出来てるか怪しい点数でも出席日数が足りてたら卒業出来るが、テストで毎回高得点でも出席日数が足りて無かったら卒業出来ないとか馬鹿げてるよ。
 勿論人それぞれ能力に差が有ることは理解してるからね。」
「谷川くんなら能力の低い人を馬鹿にする様なマネはしないと感じてる。
 まだ先の話だけど私も高校は通信制にして、大学へ行くかどうかは、もっと大学生達の話を聞いてからで良いと考えているの。
 会社の会長職に必要な知識とかは、大学に行かなくても学べそうな気がしてるのよ。」
「既に下手な大人より能力が高く、しっかり稼いでいるのだから、変に束縛される学校へ行く必要は無さそうだな。」
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新学期-378 [花鈴-38]

「ええ、社会学的研究テーマの為に学校へ行ってる様なもので、社会人として必要な知識は家族や会社の人達から学んでるのよ。」
「普通の小学校で、企業の会長に教えられることなんて有ると思えないよ。
 姫は自習能力が高いと聞いてるから小学校の先生では役不足なのだろ?」
「まあね、猟師や樵、農業をしておられる方々から学んだことの方が、沢山心に残ってるかな。
 彼らの持ってる知識は生活に直結している分、先生が教科書で学んできたものとはレベルが違うの。」
「う~ん、その視点は無かった。
 僕もそんな人達から学んでみたいよ。」
「勿論紹介するわ、ピーマンの会のメンバーになったのだから。
 好奇心旺盛とは聞いてたけど本当なのね。」
「広く浅い知識を得て行く中で興味を持ったことを掘り下げて行く、そんなスタンスなんだ。」
「そっか、今、特に興味のあることは?」
「株式会社花鈴、従業員の待遇が良いのに利益を出せてるのでしょ、YouTubeチャンネルからの収益で補填してる部分も有ると話してたけど、会社全体のことを考えてる。
 採算の取れない部門の為に、他の部門が頑張って社員全体の給料を底上げしてるとも聞いたよ。」
「福祉関係の仕事では利益が限られるから、デイサービスの職員報酬は低く抑えられて来たの、保育関連の職員もなのだけど、元がボランティア的だった職業の給与水準は低過ぎ。
 給料が安くても従事する人がいたから、給料が上がらなかったのか…。
 営業を頑張って売り上げを伸ばしました、って感じには成りにくい仕事だから。」
「うん、社会学と言う存在を知ってから社会の事に興味を持って調べてたから分かる。
 日本は、目に見える利益を生み出さない職業に対して冷たい社会なのかなって。」
「ええ、余裕がないのよ。
 だから、株式会社花鈴で真面目に働いてる人達の待遇は良くしたいと考えてね。
 買収した事業所で待遇改善を進めたら、能力の高い人が入社して来てくれると言うプラス面も有るの。
 YouTubeチャンネルの収益を当ててる所が邪道と言われているのだけど、結果的に余裕の出来た人達が畑の手入れを手伝ってくれたりしていてね。」
「仕事中に?」
「デイサービスに来ているご老人を畑に連れ出し、畑仕事をしてるところ見て頂いたりとか。
 農業をして来られた認知症の方からアドバイスされることも有そうなの。」
「へ~。」
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新学期-379 [花鈴-38]

「畑仕事は大変そうだな。」
「確かに大変なことも有るのだけど、農機具を充実させてるだけでなく、楽に作業出来る様に工夫もしているのよ。
 私達が取り組んでる菜園は規模が小さいのに大勢で管理しているから問題ない、でも本格的な畑では、同じ姿勢での作業が続くと腰を痛めやすかったりしてね。
 我が社の畑は土地の関係で大規模に出来ないことも有り、効率が良いとは言えないのだけど、やはり人数でカバーしてるの。」
「大勢が関わったら人件費が嵩みそうだけど?」
「大勢だけど、彼等が農業に充てる時間は短く、一日十五分だけ畑、という人が何人もいるのよ。
 普段は営業や事務作業だったり店でレジを打ってる人達なのだけど、十五分間どんな作業をするかは管理担当者が決めていて、スーツ姿でも問題無く作業出来る様に工夫。
 農業公園を目指してるから色々な作物を綺麗な環境で育てて行く必要が有るし、仕事場から遠くては効率が悪いと言うことで店の裏の畑、本社近くの畑と言った形にしているの。
 その作業が気分転換になってると好評で、体を動かしながら頭は別の仕事をしてる人もいるのよ。」
「歩きながら哲学って感覚なのかな?」
「パソコンとにらめっこばかりでは思いつかないアイデアが出て来るのだとか。
 気付いたら一時間近く二つの仕事を同時進行してたことも有るそうで、畑作業を終えてから一気にパソコンでまとめた提案と言うのを見せて貰ったのが即採用で売り上げアップに貢献してたり。
 作業は単純な収穫作業だから、そちらのミスも無くね。」
「肉体労働と頭脳労働を同時進行なんて凄く効率的かも。」
「そんな人は極一部だから、非効率的な部分も有るのだけど、時間に追われる様な仕事は控え目にしたいと考えて来た結果なの、でも農作業との兼業が心のゆとりに繋がってるみたい。」
「ずっと農作業では大変でも、短時間なら負担どころか気分転換になるんだ。
 趣味で家庭菜園をやってるレベルなんだね。」
「社員さんの間では花や野菜を作る人が増えてるのよ。
 自宅で採れた野菜をお裾分けしたり、花の苗を交換し合ったり、会社の花瓶には何時も誰かが持って来た花が咲いていてね。」
「話に聞くところのブラック企業とは真逆なんだ…。」
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新学期-380 [花鈴-38]

「ブラック企業とまでは行かなくても社員に対して大き目のノルマを課してる企業も有るでしょ。
 それをストレスに感じてる人は少なからずいると思うの。
 うちは甘すぎない程度にストレスの少ない会社を目指していてね。
 真面目に仕事してる人がストレスを感じる事の無い様に各部署の長は部下とのコミュニケーションを考えて貰っているのだけど、それ以外でもストレスや問題を抱えていそうな人に気付いたら私達に報告して貰う体制を整えたことで、退職率が極めて低く抑えられているのよ。」
「退職する人が多いと社員の募集にお金が掛かるとか?」
「それだけでなく新人教育に費用が掛かり、作業に慣れない人ばかりだと効率が悪くなる。
 社員を大切にしていれば、その辺りの費用を抑えられるから給料を高めにしても元が取れるの。」
「うん、目先の利益に囚われ過ぎてるブラック企業の人達は、ストレスを抱える人を増やしてるだけで、もっと社員を大事にしてたら、もっと利益を出せてるかもしれないと思ったことが有る。
 ブラックでもそれなりに稼げるだけのシステムを作り出すことに成功した人達だからさ。」
「ええ、その辺りも私達は株式会社花鈴を通してアピールして行きたいと考えているの。
 少子化に繋がった労働者を軽んじる経済活動の結果、若い労働者が減っているでしょ。
 社員募集しても人を集めることの出来ない会社が淘汰されて行く時代。
 田舎の企業が優秀な人材を集めて利益を上げていたら愉快だと思わない?」
「うん、物価が上がったから仕方なく給料を上げてる企業と、普段から社員を大切にしてる企業では、魅力度が大きく違う。
 取り敢えず僕は株式会社花鈴の社員を目指すよ。」
「研究職を採用するのはまだ先なのだけど。」
「中学生社員として経験させて貰いながら自分の立場を確立して行くことをイメージしているのだけど、どう?」
「ノープロブレム、社員としての研修はここの人達との交流が主になるけど、それに対しても給料は支払われるからね。
 そこで気付いたことをYouTubeチャンネルで語るなんて、どうかしら?」
「メインチャンネルで?」
「ええ、他のチャンネルでも谷川くんを紹介した後、独自のチャネルを開設と言う流れかな。」
「独自チャンネルか…。」
「谷川くんがどんなことに興味を持ってるかにもよるけど、しっかりサポートするから数千人の登録者を得るまでに、そんなに時間は掛からないと思うわ、今までの経験からね。」
「伸びなかったら姫が登場するからでしょ?」
「まあね…。」
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