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夏休み-101 [花鈴-11]

 合同英語キャンプには兄を含めた中学生も参加している。
 クワガタ捕り担当の二人と兄を慕う女の子だ。
 彼らに自動翻訳機の使用を認めたのは、使った方が学習効率が良いと判断したから。
 自動翻訳されたものを聞き自分で話すのがルール。
 難しい話は日本語でも良いのだが自動翻訳機が気に入り、英語で頑張っている。

「お兄ちゃん、自動翻訳機はどう?」
「流石に完璧では無いから大学生達がより良い表現を教えたりしてるよ。
 まあ、英会話学習の良い経験になってると思う。
 安全に関する重要なことは日本語で確認してるから問題ないだろう。」
「お兄ちゃんは大学生と沢山話せてるの?」
「う~ん微妙かな、大学のことを教えて貰ってはいるが文系の人ばかりだろ。
 起業の話しはしてるがプログラミングやシステムエンジニアのことを話せる人はいなくてね。」
「起業については参考になってる?」
「特に目新しい情報はない、株式会社花鈴の立ち上げ時に色々教えて貰ったからな。
 会長の兄特権で関わらさせて貰ってる株式会社花鈴の情報管理システム構築は最高に面白いしね。
 花鈴がイメージしている通りのシステムが完成すれば、導入を考える自治体が出て来るかも。」
「より便利にしようと高機能化を図ると、お年寄りには複雑なものになってしまうのでしょ?」
「ああ、だからそれぞれ家庭の事情に合わせて超シンプルなものから高機能端末まで段階的に選べる様にと考えている、ただ、このエリアに広く導入するには多額の費用が掛かりそうだよ。」
「そっちは実験的導入として役場との交渉を始めてるの、お父さんも乗り気だから大丈夫だと思う。」
「そうか、株式会社花鈴は利益が出にくいからな。」
「お兄ちゃんが立ち上げる会社は利益が期待出来るの?」
「まあな、お金持ちのお年寄りをターゲットに面倒なことを減らせるシステムを考えているんだ。
 花鈴のシステム構築はその参考にもなっていてね。」
「基本、お年寄り向けのシステムだものね。
 問題は認知症対応かしら?」
「そうだな、カメラで見守るみたいな対応は考えてるが個人のプライバシーとかの問題が有り、家族が見守るのなら良くても会社が委託を受けるのは難しいのかも知れない。」
「それでも検討はしているのね。」
「墓場まで持ってけないお金を溜め込んでそうなお年寄りは多そうだろ?」
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夏休み-102 [花鈴-11]

「ねえ、起業したら会社は我が家にするの?」
「いや、株式会社花鈴と同様、子会社の形を取るつもりで本社内に部屋を確保して貰うことが決まったよ。
 親会社としては社長の息子が起業と話題提供の意味が有るそうで、自分は社長として支援を受けながら株式会社花鈴のシステム管理をベースにシステムの完成度を高め他へも売り込んで行くんだ。
 都会でも買い物弱者が増え、それを補うサービスが有るのだけど、それをより簡単に利用出来るサービスの提供とかまだまだ需要を掘り起こすことは出来ると思うんだ。
 スマホを意識したサービスばかりだからな。」
「どんなのをイメージしてるの?」
「一口で言えば、お年寄り生活支援専用端末だが、自分で入力出来なければ電話でも、使いたいサービスの申し込みなどを色々代行してくれたら喜ばれると思っていてね。
 昨日竹細工を教えに来てくれた人は、人から聞いて使ってみたいサービスが有っても、利用するにはハードルが高いと話してた。
 経済的には問題ないと話してみえたから、自分が考えてることを話し一人目の顧客になって下さる様に交渉、来週生活状態の調査に行かせて貰うことになったよ。」
「へ~、お兄ちゃんはそんなこと苦手かと思ってた。」
「確かに得意ではないが、システム利用者の声を聞かなければ失敗すると考えている。
 花鈴も移動販売利用者と話したのだろ。」
「ええ、お兄ちゃんの調査はうちが手伝っても良いのよ。」
「持ちつ持たれつか、まだ起業予算の確保まで進んでいないが、安くしてくれるならお願いしたい。」
「そうね、キャンプ参加者と一通り話をして全員の人物評価をお兄ちゃん目線でってどう、お金では無く。」
「実質的に情報の交換と言うことになるのか、さすが花鈴、情報の重要性はしっかり分かっているのだな。」
「まあね、先入観を持って人物評価をして貰いたくないから今は話さないけど色々考えてるのよ。」
「親父が株式会社花鈴の立ち上げに積極的だったのも、俺の起業を意識してのことだと思ってる。
 しっかり手を組んでやって行こう。」
「うん、たまに思うのだけど、学校の先生達よりお兄ちゃんの方が大人なのよね。」
「先生ってそんなに頼りないのか?」
「私のことを子ども扱いするのよ。」
「花鈴はまだ子どもだろ。」
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夏休み-103 [花鈴-11]

「そうだけど、お兄ちゃんは私のことを一人の人間として認めてくれてるでしょ。」
「まあな、自分が子ども扱いされるのが嫌なのに、ずっと背伸びしながら成長して来た花鈴のことを子ども扱いは出来ないだろ、同級生よりは大人だし。
 昨夜俺達のグループでは火を囲みながらそんな話題で盛り上がったんだ、少し頼りない大学生より花鈴の方が大人だってね。」
「可愛げが無いとか?」
「はは、確かにある意味可愛げの無い子どもなのだろうけど普通に可愛いから大丈夫さ。
 孫の様に可愛がられているのを目にしたぞ。」
「まあね、特に一人暮らしのご老人は株式会社花鈴がここで暮らす人達の為に総合的な生活支援を考えていると知ってから…、でも、拝まれてもね。」
「はは、拝まれるんだ。」
「お年を召されると話が上手く伝わらない方もいらっしゃるのだろうけど、手を合わせてブツブツと何か呟かれると、どういう勘違いをされているのかなって。」
「勘違いでは無いかもだぞ、姫の次は神の称号を頂くかもな。」
「神は無いでしょ。」
「日本には様々な神さまがいるからな、う~ん、座敷童とか。」
「座敷童は妖怪、まあ神さまよりは私の目指してる所に近いかもだけど。」
「妖怪なのか、それでも人に幸せをもたらすのだろ。」
「お兄ちゃん、座敷童の話は人にしないでね。」
「どうして?」
「折角花鈴姫が定着してるのに、座敷童と呼ばれたくないわ。」
「悪い意味では無いと思うが、それにしても五年生になって姫と呼ばれ始めたと思っていたら一気に広がったな、中学の連中も花鈴姫の噂話をしてるぞ、何か切っ掛けでも有ったのか?」
「そうね、転校生がお嬢様とか言い始めて、それから…、大人達はここが細やかながらも企業城下町になったのだから城主の娘と言う感覚みたい。」
「本当に細やかだが、会社全体の規模を考えたら姫さまでおかしくないか。」
「お兄ちゃんはどうなの?」
「う~ん、誰も社長の息子だとは気にしないな、早く起業して社長と呼ばせたいね。」
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夏休み-104 [花鈴-11]

「大学生に手伝って貰うとかはどう?」
「興味の有る人が協力を申し出てくれたよ、株式会社の設立登記を経験してみたいそうでね。
 花鈴はそんな人との出会いを考えて俺をキャンプに誘ったのだろ?」
「まあね、私達の取り組みに協力することは大学生にとっても良い経験になるそうだから。」
「それを口実に彼らをこき使ってるのかな。」
「こき使ってるなんて人聞きの悪いことは言わないで、彼らは自主的に手伝ってくれてるのよ、大学生だけでなく大人達もね。」
「さすが姫だな、株式会社花鈴は思ってたより安泰なんだ。」
「そこはまだ何とも言えないの、設備投資に対しての結果が出ないと。」
「地元の人達が協力的だから大丈夫なのだろ?」
「でも、初期投資資金回収は国道を通る人達からがメイン、仮設店舗の売り上げは悪くないけど油断は出来ないの。」
「しっかり売り切ってると聞いたぞ。」
「それでも今はボランティアの協力が有って成り立ってるのだから微妙なのよ。
 株式会社として、野菜の寄付やボランティア頼りなんてどうかしら?」
「参考の為にと収支を公開、それを問題視する人は出て来てないのだから気にしなくて良いだろう。
 私利私欲を目的とした会社ではないと理解されてるから手伝ってくれる人がいる。
 野菜の寄付は移動販売に感謝してる人達の気持ちの表れなのだから問題ないさ。
 今日は竹林を提供してくれた人と話したが、綺麗になりつつ有ると喜んでみえたよ。
 その作業をしてる大学生達は楽しく作業してるのだろ。」
「そうそう、明日は竹を使った水鉄砲を作っての水遊び、女子大生に不快感を与えることはしないでね、お兄ちゃんを慕ってくれてる後輩もいることだし。」
「そんなことはしないよ。」
「水着姿の女子大生って、お兄ちゃん的にどうなの?」
「水遊び企画の目的は俺を試すとか?」
「お兄ちゃんに喜んで貰えると思っての企画だけど、嬉し過ぎて羽目を外さないか心配になってさ。」
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夏休み-105 [花鈴-11]

「千春もいるから舞い上がったりしないさ。」
「千春さんってお兄ちゃんの彼女なの?」
「いや、そんな関係ではない、四月に移住して来た子だから気に掛けていてね、中二だけど高校進学で悩んでいるんだ。」
「英語が得意なのよね、ここから通える高校ではレベル的に満足出来ないのかな。」
「一応自学自習のコツを教えたり自分の計画を話したりしてるが、このキャンプで大学生からも教えて貰えるだろうと思ってね。」
「満足して貰えてるの?」
「色々情報を貰ってるし、楽しそうにしてるからな。
 中学生が大学生と接する機会なんて親戚に大学生が居ないとなかなか無いだろ。」
「そうね、私が大学生と話す様になったのも五月になってから。
 でもさ一流大学の学生と言っても然程魅力を感じない人もいるのよね。」
「それは仕方ないさ、人それぞれだから。
 でも、こんな田舎で長期合宿をしてる人達で真面目な人ばかりだろ。」
「真面目だけど柔軟さが無かったりとか感じない?」
「花鈴お気に入りの藤井さんみたいな人ばかりではないと言うことさ。
 徳沢さんだって頑張ってるじゃないか。」
「そうね、色々話して来たけど、藤井さんに教えて貰う様になってからアプローチの仕方を変えてるの。
 彼の視野を広げられるかも。」
「そんな話は人にはするなよ。」
「分かってるわよ、嫌な女の子と思われたくないもの。
 今までは家族に話して教えて貰って来たけど、藤井さんは違った視点から助言してくれてね、家庭教師をお願いして正解だったわ。」
「心理学的に?」
「心理学とは関係なく人間関係学みたいな感じかしら。」
「う~ん、彼は人との接し方が上手いよな、自分は得意とは言えないからコツとか有ったら伝授して貰いたいものだ。」
「コツと言うか、彼は心が広いの。
 お兄ちゃんも心の広い人だから大丈夫よ。」
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夏休み-106 [花鈴-11]

「大丈夫と言われてもな、社長としての器を意識して気を付ける様にはしてるのだが、まだまだ自分は子どもだと思えることが有ってさ。」
「そう思えてるのなら問題ないと思うわ。
 私は適当に子どもですから~、なんて言ってるけど。」
「子ども扱いされたくない人としてはどうかと思うが、花鈴らしさでも有るな。
 さすがに中三ともなると絶対言いたくない言葉だが。」
「藤井さん曰く中学生は色々な意味で子どもから大人になって行く時期だから悩みも多いそうよ。
 今後の方針がはっきりしてるだけ立派だわ。」
「妹に言われてもな。
 まあ、自分をどう高めて行くかは考えてる。
 毎回でなくて良いから、花鈴が藤井さんの指導を受けてる時に参加させて貰うのはダメかな?」
「良いわよ、お兄ちゃんが入れば話の展開が違ったものになって面白くなると思うもの。
 藤井さんに話しておくわ。
 反抗期ってことでお母さん達との会話が減ったでしょ、その穴埋めになるかもね。」
「反抗期をコントロールしようとしてはいるのだがな。」
「でも人の話を聞いてるとお兄ちゃんは全然問題ないみたい、コントロール出来てると思うよ。」
「元々親から離れる為の自然なことだと思い、距離を置く様にしているからな。
 花鈴の反抗期がどうなるのかは見ものだが。」
「頑張って反抗するわね、まだ想像出来てないけど。」
「大学生達の経験を聞いてみてはどうだ、今夜、火を囲んでのトークテーマにするとか。」
「そうね、今夜のメンバーなら乗ってくれそうだわ。
 お兄ちゃんのグループは?」
「ここで暮らしてみての感想を聞きたいと思ってる。
「中沢さんや藤田さんと一緒だから、株式会社花鈴に就職するに当たっての気持とかも聞いておきたい、もう内定は出したのだろ。」
「店を立ち上げるから人材は必要でしょ、二人にはテスト的にアルバイトになって貰ってるけど正社員として採用しない理由は全くないの。」
「環境が整っていれば田舎への移住に抵抗は無いと言うことかな?」
「先が見通せない移住では無いからね、それでも挑戦者として花鈴を選んでくれた頼もしい人達よ。」
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夏休み-107 [花鈴-11]

  実際の所、兄は優しく尊敬出来る存在。
 歳が離れてることも有り兄妹喧嘩をした記憶が無い。
 私の我儘を受け入れてくれるから喧嘩にならないのだ。
 そんな兄の、家とは違った一面をこのキャンプでは見せて貰っているのが少し新鮮。
 食事の準備では大学生に指示することも有れば、大学生に教えを乞うことも。
 対人関係でのバランスを意識してるのかも知れない。

「姫さまのお兄さまは頼もしいですね。」
「ふふ、藤田さん、惚れた?」
「ええ、自分がもう少し若かったら告白してたかも。」
「告白するのなら藤井さんではないのですか?」
「彼は微妙に自分とは合わない気がして、嫌いな訳では無いのですけどね、まあそれ以前に彼は特定の彼女を作る気になりつつ有りますし。」
「異性として人を好きになることは、本での知識だけで実の所良く分かってないのですよ。」
「科学的にざっくり突っ込んだ話をするなら、人間の本能、いえ、動物の本能なのです。
「う~ん…。」
「人間は知性が発達したばかりに社会の仕組みが複雑になりましたが、男女間の根底には子を持つと言う本能が絡んでいます。
 動物の多くはより強い子孫を残す為により優秀な相手を求める訳ですが、タイミングと言うのも有ります、所謂発情期が人間にも有ると思っていまして。
 一年中発情期みたいな人もいれば色んな条件が揃って異性を求める…、あっ、こんな話を姫さまにして良かったのかしら。」
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夏休み-108 [花鈴-11]

「大丈夫ですよ、性教育はきちんと受けていますから。」
「お母さまからですか?」
「はい、正しい知識を持っていないと良き母には慣れないそうです。」
「ですね、望まぬ妊娠で苦労する少女もいます。
 動物としての本能のままに行動していたら人間社会では犯罪者に成り兼ねないのですが、性犯罪はその典型です。」
「本能のままではダメ、う~ん人間社会は窮屈なのかしら?」
「ええ、野生生物とは違い人間社会では相手の人権を無視出来ません。
 自分の子孫を残すと言う衝動に駆られても、相手の同意を得なくてはならないのです。」
「誰にも同意して貰えない人は、ひたすら我慢ですか?」
「そのはけ口として風俗産業が成り立っているのですよ。
「全然分からないです。」
「小学生が学習することでは有りませんから気にしないで下さい。
 話が変な方向に進んでしまいましたが、異性を好きになることも時が来れば分かると思います。
 ただ、どんな人を好きになるのかは人それぞれ、私が高校生の頃に付き合ってた人は、今考えてみるとどうしてあんなダサい男を好きになったのだろうと思ったりするのです。」
「人を見る目が無かった?」
「ですね、人生を左右しかねないのですから、人を見る目はしっかり養っておかねばです。
 でも、そんなことを学習する機会は無いですよね。」
「本当に大切なことは学校で学べないと感じます?」
「学習カリキュラムには無くても集団生活の中で学べることも有るとは思っています。
 ただ、兎沢小学校での取り組みを聞き、自分の卒業した小学校で無駄にした時間の多さを改めて感じさせられています。」
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夏休み-109 [花鈴-11]

「ええ、先生も大変だと思うわ。
 公立小学校では、授業で説明する前から理解してる子と説明しても理解出来ない子に対して同じ内容の授業な訳でしょ、色々な意味で子どもの成長する機会を減らしているだけなのよ。」
「花鈴姫は実験的な取り組みで教頭先生の下、低学年に教えることもしているのですよね。」
「基本、算数の力が上位の子と下位の子を私と絵梨で面倒見て、中間の子達は担任の授業を受けてるのだけど、少人数で取り組んでるからか下位の子でも、直ぐに中間レベルに上がったりしてるの。
 先生の授業はぼんやりしていても進んで行くのだけど、ずっと見ていて上げると学習に取り組む気持ちが変わるのよ。
 能力が低い訳では無く学習に取り組む気持ちの弱かった子は直ぐにね、特別支援学級の子では無いから。」
「花鈴姫達に見て貰えたら嬉しいでしょうね。
 能力の高い子に対してはどんな感じなのですか?」
「おだててどんどん先へ進んで貰っています。
 こちらとしては如何に先へ進ませるかを考えるのが面白いのですよ。
 ゲーム感覚で問題に取り組んでいますから。」
「他の子のペースに合わせた授業では味わえない感覚なのでしょうね。
 私も退屈な授業時間をもっと有意義なことに使いたかったと思っています。
 高校生になって充実した授業を受けられる様になったのですが、それまでは…。」
「高校は自分のレベル合った学校だからですか?」
「ええ、進学校に合格出来ましたので。」
「その辺りがここの問題なのです。
 ここの人が進学校へとなると通える学校が無くて寮生活とかになるのです。
 ここから通える高校は定員割れ、誰でも入学出来るレベルだそうで。」
「あっ、そうですよね、私が住んでる所には高校が幾つも有り進学校の中から選べたのですが、ここだと…。」
「しかもここに有った高校の分校は数年前に廃校になったのよ。」
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夏休み-110 [花鈴-11]

「それでしたら、お兄さまは高校進学、どうなさるのですか?」
「通信制高校を考えています。」
「通信制ですか、私の時は考えもしませんでした、学校へ通わないのはハンディにならないのでしょうか?」
「ネットの普及で在宅勤務が可能になりました、それと同じことですよ。
 私達は幼い頃から自学自習を教えられて来ましたので問題無いです。
 兄は起業を考えていますので仕事しながら、自分に必要な知識を中心に学習して行くつもりだとか。
 同世代との人間関係は少なくなるでしょうが、本社勤務の方々と交流していますので、大人の視点を学ばせて貰ってると話していました。
 私も会社に関わることになって色々教えられていますので良く分かります。」
「頼もしいですが、私には高校生活の想い出が色々有ります、文化祭や修学旅行などを体験出来ないのは寂しい気がするのです。」
「でも兄は学校に縛られないだけ自由に青春を謳歌出来ると考えているのですよ、義務教育が終わるのだから、高校進学は自由、ただ、この先も学び続けることを考えたら一応高校と名の付くとこに在籍して置こうと、卒業したらやはり通信制の大学が良いかもと話してましたよ。」
「学ぶことに対して意欲的で、学歴を気にしない生き方を考えているのですね。」
「ええ、高学歴を肩書に加えることは出来なくても社長の子どもと言う肩書は既に有りますから。」
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