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夏休み-103 [花鈴-11]

「そうだけど、お兄ちゃんは私のことを一人の人間として認めてくれてるでしょ。」
「まあな、自分が子ども扱いされるのが嫌なのに、ずっと背伸びしながら成長して来た花鈴のことを子ども扱いは出来ないだろ、同級生よりは大人だし。
 昨夜俺達のグループでは火を囲みながらそんな話題で盛り上がったんだ、少し頼りない大学生より花鈴の方が大人だってね。」
「可愛げが無いとか?」
「はは、確かにある意味可愛げの無い子どもなのだろうけど普通に可愛いから大丈夫さ。
 孫の様に可愛がられているのを目にしたぞ。」
「まあね、特に一人暮らしのご老人は株式会社花鈴がここで暮らす人達の為に総合的な生活支援を考えていると知ってから…、でも、拝まれてもね。」
「はは、拝まれるんだ。」
「お年を召されると話が上手く伝わらない方もいらっしゃるのだろうけど、手を合わせてブツブツと何か呟かれると、どういう勘違いをされているのかなって。」
「勘違いでは無いかもだぞ、姫の次は神の称号を頂くかもな。」
「神は無いでしょ。」
「日本には様々な神さまがいるからな、う~ん、座敷童とか。」
「座敷童は妖怪、まあ神さまよりは私の目指してる所に近いかもだけど。」
「妖怪なのか、それでも人に幸せをもたらすのだろ。」
「お兄ちゃん、座敷童の話は人にしないでね。」
「どうして?」
「折角花鈴姫が定着してるのに、座敷童と呼ばれたくないわ。」
「悪い意味では無いと思うが、それにしても五年生になって姫と呼ばれ始めたと思っていたら一気に広がったな、中学の連中も花鈴姫の噂話をしてるぞ、何か切っ掛けでも有ったのか?」
「そうね、転校生がお嬢様とか言い始めて、それから…、大人達はここが細やかながらも企業城下町になったのだから城主の娘と言う感覚みたい。」
「本当に細やかだが、会社全体の規模を考えたら姫さまでおかしくないか。」
「お兄ちゃんはどうなの?」
「う~ん、誰も社長の息子だとは気にしないな、早く起業して社長と呼ばせたいね。」
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