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キング-02 ブログトップ

11-管理 [キング-02]

共同生活は、この島での生活を全員に教える事から始まった。

「キング、随分鶏が多いのね。」
「一花もそう思うか。」
「えっ?」
「さっき気付いたのだが、八人が卵や鶏肉を食べて行くには調度良い数かもしれないと思うんだ。」
「さりげなく管理されてる?」
「だろうな、ここのマリアさまにね、一花の所は何て名乗った?」
「バラモンよ、男らしくて良い声の持ち主。」
「共通するのは声が良いって事みたいね、うちの草薙も口調はともかく声は良かった。」
「八重、声でこちらの心理を落ち着かせているのかな。」
「あっ、そうか、こんなとんでもない状況でも今日までパニックにならずに暮らしてこれたのは草薙の声のお陰かもしれないね。」
「まだ感謝の対象なのか、恨む対象なのかも分からないぞ、なんせ俺達は試験体なのだから。」
「だな、キング、畑の方は随分色んな種類の野菜を育てているんだね。」
「ああ、一人で食べる量はしれてるからな、はは、こっちも八人に増えたからってそんなに問題はなさそうだ、でも食べたい野菜の希望が有ったら言ってくれ。」
「それより早くボートに乗りたい。」
「三之助、遊びじゃないんだぞ。」
「にしても三之助のままで良いのか? 可愛い女の子に三之助とは呼びづらいから変えても良いんじゃないのか。」
「はは、そうね、呼び方聞かれた時はこんな日が来るとは思ってなかったから。」
「俺達には何て呼んで欲しい?」
「う~ん、分かんない、ずっと三之助と呼ばれてたから。」
「まあ本人がそれで良いのなら構わないんじゃないか。」
「三之助だけじゃなく、変えたくなったら何時でも変えて良いと思うが、安易に決めた自分のセブンでも愛着が有るというか。」
「そうなのか、私はキングでなくても王様、殿様、大将、など適当に呼んでくれて構わないが。」
「はは、偉そうなのばっかだ。」
「ははは。」

私達は間違いなく管理されている、だが私と彼等では微妙に違う気がする、根拠はないのだが。
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12-役割分担 [キング-02]

共同生活を始めるに当たって役割を分担する事になる。
それと共に、私はペアを形成しようと考えた。
四人の女性に対して特別な感情はなかった、ただこのグループを平和的に維持して行くには四つのカップルにすべきだと思ったのだ。

「私は麗子と組んで食事を担当しようと思うがどうだろう。」
「良いわよ料理は得意だから。」
「やっぱり男女のペアにするのか?」
「ああ、別に結婚する訳でもない、性格が合わなかったら別の人と組んだり単独でも良い、でも今はお互いの事を知らなさ過ぎる。」
「自分の事さえ知らないわよね。」
「じゃあ俺達は適当に組むか?」
「役割は分担するが、手の空いてる時は協力し合おうな。」
「そうね。」

話し合いの結果、漁は三郎と三之助、鶏の世話はセブンと一花、畑はロックと八重となった。
しばらくは何の争いもなく、だが若い男女が共同生活している割には恋愛系の雰囲気もなく、リーダーとしては楽なのだが何か違和感を感じていた。
だが、共同生活が一か月ほど経過した頃。

「麗子、最近不安そうな顔をするけど大丈夫か?」
「キング、今頃になって自分の置かれてる状況を考えてしまって、記憶も戻らないし。」
「君だけじゃないみたいだ、管理者の影響が弱まっているのかもしれない。」
「キングは今もマリアと会話してるの?」
「回数は随分減ったが。」
「他の七人はここへ来てから一切コンタクト取れなくなったのよね、どう回数が減って何か変わった?」
「ああ、忘れていた何か、でも自分の記憶というより人間の本質的部分に変化をもたらしている気はする。」
「何となく分かるわ、ねえキング、ぎゅってしてくれないかしら。」

彼女は柔らかだった。
そして役割分担とともに作られたカップルは正解だったようだ。
管理が弱まり本能が静かによみがえって来た私達には、不安な気持ちを共有する者が必要だったのかもしれない。
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13-子孫 [キング-02]

自然な形で四組のカップルが成立した事により、食事時などの話題にも変化が現れ始める。

「やはり、我々の役目は子孫を残す事じゃないのかな。」
「そうだなロック、管理者の考えは分からないが、人としての本能に従うのならそういう事になるな。」
「でも、産婦人科もないし。」
「いや、ここへ来てから誰か体調を崩したこと有るか。」
「至って健康ね。」
「健康も管理されているのかな。」
「出産や子育てのマニュアルもデータベースに有るかもしれない、我々の手でも自然分娩なら可能じゃないか。」
「確かに大変な事とはいえ動物にとっての出産は自分で出来る筈の事よね。」
「服はここへ来る時に出して貰って持って来た物だけ、子どもの服とかは、ねえキング最近マリアに出して貰ったのは何?」
「ここの所はない、一括で出して貰った蓄えで問題なく済んでいるからな。」
「私達の服をお願いしたら出してくれるのかしら?」
「今度、相談してみるよ、ただマリアはここになるべく干渉したくないみたいなんだ。」
「自給自足が理想なんだろうな。」
「服を手に入れようと思ったら糸から生産しなくちゃいけないって事ね。」
「食料は問題ないか、なあキング、最近は消費する以上に生産されているけど残ったのは捨てているのか?」
「いや、マリアがどこかへ。」
「他の住人の食料になっているのかな。」
「なあ、もしもだけどさ。」
「三郎、どうした。」
「子どもが出来てその子達がまた子を産んでとなったら、今は充分過ぎるこの島も手狭になるんじゃないか。」
「その時にマリアが土地を広げてくれるのかどうかという事か、随分先の話だな。」
「でも子孫の心配をするのは私達の役目よね。」
「色々マリアに相談する事が出来てしまったな。」
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14-仕事 [キング-02]

マリアはほとんど答えてくれなかった。
代わりに、次の段階に進む準備を始めると告げられ、幾つかの指示を受けた。
それを皆に伝えるのが私の役目だ。

「マリアは次の段階へ進むに当たって生産量を上げる様に指示して来た。」
「必要以上にという事は、私達以外の人と交易とかするのかしら。」
「可能であれば、牛や豚の飼育、綿花などの生産、植林も初めてはと打診された。
何かを提案されるのは初めてだ。」
「マリアの態度にも変化有りか、いよいよ本格的に自給自足を目指せという事なのね。」
「植林と言っても大した本数は植えられないよな。」
「きちんと管理する気持ちが有るのなら、この国は平和的に領土を広げる事になるそうだ。」
「でも、この人数でどれだけの事が出来るのかしら。」
「データベースにアクセスして調べるしかないと思うが、まず一人がどの程度働くのかという前提が必要だと思う。」
「そうか、それを元に、だがもし出産となったら人手は減るよな。」
「その時は農業系の生産量を減らせば良いんじゃない?」
「そうか、生産調整も考えて置く訳か。」

調べ始めて大きな盲点に気付いた。
牛の飼育だ、飼った事はないから大変だろうと決めつけていた、否、多分大変なんだろうとは思う、しかし広大な放牧地をマリアに出して貰えばどうだ、ここは気候も良い、放牧を基本とすれば大した手間はかからない。
乳搾りは慣れないと大変だろう、ましてや食肉にする作業はもっと簡単でないだろう。
だが、それは時間を掛けて習得して行けば良い。

新たな挑戦に八人で力を合わせた。
初めての道具での初めての作業、戸惑いも失敗も有ったが素敵な道具にも助けられ私達は仕事を楽しんだ。
仲間と共に汗する喜び。
何時しか皆の表情も明るくなり充実した日々を送る。
生産量が増え、子牛の誕生に感動といった頃、マリアから呼びかけが有った。
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15-ゲート [キング-02]

「マリアから指示が有った、他のコロニーとここを繋ぐゲートを一つ設けるそうだ。
その場所はどこが良いかと。」
「おお、やっと他人とか、ここのメンバーだけでも不満はないけど将来を考えたらな。」
「ゲートの位置って微妙ね、友好的な人達なら城の近くが便利でしょうけど。」
「初めは友好的でも後で変わる可能性も否定出来ないわね。」
「島も随分広くなったから、遠くにしても良いけど面倒かも。」
「ゲートに制約は? 鍵が掛けられるのかな。」
「決められた時間だけ通れるそうだ、また状況によっては色々な制約を設けると言われた。」
「向こうのコロニーの方が良かったら移住とか出来るのかな。」
「我々の世代に移住は許されていない。」
「子ども達にとって結婚相手の選択肢が広がるという事かしら。」
「キングはゲートの位置どう考えてるの?」
「城の近くで構わないと思う、問題は我々にとって害をなす人にしない事じゃないかな。」
「あっ、こちらの対応によって相手の態度も変わるという事か。」
「ここと同じ様なコロニーなら問題はないと思うけど、キングと私達とでは随分違ったからね。」
「キングが快く受け入れてくれた様に我々もまだ見ぬ彼らを大きな心で受け入れるという事だな。」
「じゃあ、ゲートは城の近くにしよう。」

翌日ゲートが出現した。
それは奇妙な作りになっている。
車が通れる程の引き戸が一つ。
だが横から見ると十センチ程の厚みしかない。
裏はただの壁。
そこから現れたのは八人の男女だった。
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16-隣人 [キング-02]

八人の年齢層は私達と変わらない。
お互い自己紹介をしてから、島を案内する。

「すごい、うちの何倍有るんだここは、海も見えるけど泳げるのか?」
「ああ、魚も獲れる。」
「森が有って牧場が有ってここは楽園か? うちの自給自足は野菜ばかり、しかも段々と管理者が出してくれる物が量も質も悪い方へ。」
「成程ね、うちの生産量を上げろというのはそういう事だったのか。」

皆で食事を取ってから、全員でゲートをくぐり彼らの住居へ。
体育館程のスペースがすぐに現れる、そこに八軒の家と畑。
話を聞くと我々と同じ様な道筋をたどった様だ。
ただ、私と同じ立場になった人物が至って控え目な性格だったのか、管理者に気に入られなかったのか、グレーの壁に囲まれて生活している、私達の城よりもかなり狭い空間で。

「うちの管理者からは午前六時から午後六時までは、そちらのコロニーへ行く事を許されている、門限を破った場合は罰が与えられると言われているが、昼の間そちらで働かさせて貰えないだろうか。」
「良いと思うけど、皆はどうかな?」
「労働力が増えた方が楽でしょ、キング。」
「反対する人がいなければ、報酬は勿論食料でいいですね。」
「ええ、お願いします。」
「門限破りの罰ってどんな事なんです、俺達はここへ来てから罰って経験してないので。」
「今までは、食事が質素になったり欲しい物を貰えなくなったり、門限破ったら今度はどうなるかなんて考えたくない。」
「何に対する罰だったのですか?」
「一つは自給自足への取り組みが甘かった事、もう一つは喧嘩した事。」
「成程、私達はキングの判断のお陰で、そのどちらもクリア出来た訳か。」
「キングということは絶対王政ですか?」
「まさか、キングは立派なリーダーよ。」
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17-幸福 [キング-02]

翌日から我が国の昼間人口は倍になった。
まず彼等に仕事を紹介して回る、それから仕事の割り振りだ。
隣人達、一人一人に問題はなさそうだが、各自不安感を持ち続けていると感じる。
リーダーは私と比較され少し可哀そうな状態。
夕方六時になる前に彼らはゲートを通って帰宅した。

「彼らの事、どう思う?」
「一組もカップルが成立していないなんて、余程仲が悪いのかしら。」
「いや、すれ違ってるんじゃないか、まあ俺達はキングが真っ先に麗子を指名してくれたお陰で抵抗なく相手を選べたけどな。」
「私達で刺激して上げたらどうかしら。」
「ただ、男性では一条、女性ではナナちゃんに人気が集中してるみたいだったよね。」
「九兵衛と武蔵は仲悪そうだから、離れた所で働いて貰った方が良いかも。」
「多少の気遣いをしつつ、私達が仲の良い所を見せながら…、しばらくは様子見かしら。」
「そうだな、九兵衛は漁で武蔵は畑をお願いしようか。」
「人の割り振りは、そのままロックに任せるって事でどうだろう。」
「賛成だ、でも、キングはもっとはっきり指示してくれて構わないと思うよ。」
「いや、キングと名乗ってリーダー役をやらせて貰ってるが、極力皆と同じで居たいんだ。」
「その姿勢があちらのリーダーとは大きく違うという事なのかもね。」
「どうかな、後、八重には一花の面倒を見て欲しいのだが。」
「えっ、一花どうかしたのか。」
「セブン、私、赤ちゃん出来たかも。」
「え~、本当か。」
「キングにもデータベースで確認して貰ったの、まだ絶対じゃないけど。」
「やったな! 八重、頼むぞ。」
「勿論よ。」
「何か俺達幸せだよな、記憶も曖昧なままだけど、ここで汗して働いて、愛する人に子どもが出来て。」
「それを隣人にも分けて上げないとな。」
「そうよね。」

記憶に問題は残っているが、気付けば充実した毎日を過ごしていた。
隣人達の様子を見て、さらにそれを実感する、ここの居心地は悪くない。
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18-新たな隣人 [キング-02]

隣人達は少しづつここでの仕事に慣れて来た。
それに伴って、表情も少しづつ明るくなって来ている。
帰宅する時は若干寂しそうではあったが。
私達が城に住んでいて仕事の指示を出してる事から、彼等とは微妙な階級の違いが出来ている。
それを、素直に受け入れる者ばかりではなかったが、元々島は我々の領土。
島の居心地の良さや管理者からの罰を考えてか、特にトラブルは起こっていない。
人数が増えた事によって生産量は一段と上がっているが、相変わらず余剰分はマリアがどこかへ移動している。

隣人達の中に二組目のカップルが成立した頃、マリアから第二のゲートを開く話が出た。

「また八人増えるという事かな。」
「食料に問題はないわね。」
「一つ目と同じ様に増えるだけなのかな?」
「その前にさ、それぞれのコロニーに名前がないと不便だと思うけど。」
「そうだな、ゲートがこの先、どれだけ増えるのか分からないけど。」
「難しいね、何も思い浮かばないよ。」
「ここを一丁目、隣を二丁目ってどう?」
「まあ、暫定的には良いかもな、明日相談してみよう。」
「良い人達だと良いよね。」
「ああ、仲間が増えるのは心強いよな。」

だが三丁目となる隣人達は我々の期待をみごとに裏切ってくれた。
初日こそ大人しくしていたが、二日目は仕事を手伝う所か無意味な破壊活動を平気でしてくれた。
唯一まともそうな男性に聞いた所では、怪我人が出るような喧嘩をしたり、自給自足を真面目に考えなかった結果、罰が大きくのしかかったそうで、住環境も食生活もかなり悪くなっているという。
好き放題して行ったが、さらなる罰を恐れてか夕方六時までには大人しく自分達のねぐらへ帰っていった。

「とんでもないお子様集団でしたね。」
「記憶だけでなく、精神に変調をきたしているのかもな。」
「キング、どうします?」
「マリアと相談はしてみるが、極力受け入れて行きたいと思っている。」
「策は有りますか?」
「マリアには一日二名という人数制限をお願いしてみようと思うが。」
「それを認めて貰えれば何とかなるかもしれませんね、こっちには十六人居る訳ですから。」
「でも三丁目でこれだと、四丁目五丁目となったら…。」
「今まで順調だったから、これから試練が待ち受けているという事かしら。」
「それでも俺達は力を合わせてだね、キング。」
「ああ、こんな事も乗り越えられないと子どもが増えた時に対応出来ない気がするんだ。」
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19-三丁目の住人 [キング-02]

マリアは人数制限を認めてくれた。
彼女が私達に甘いのは他のコロニーのレベルが低いからかもしれないと思い始めている。
同じ条件でスタートしたと聞いているが随分大きな差が生じているからだ。

「急に二人に絞られたのはお前らの陰謀か?」
「ああ、そうだ。」
「てめえら何様なんだ?」
「何様なんだろうね、スタートは君達と同じ条件だったと思うが。」
「絶対嘘だろ、こんなに広い空間なんてインチキだろ。」
「これは管理者にお願いした結果だが、君達はどうなんだ。」
「初めは壁紙とかのデザインとか変えてくれたから良かった、でも自給自足をしろとか訳分からない事を言われて、そんなこと出来る訳ないだろ。」
「とりあえず諦めた訳か。」
「いや、次の段階が有るってぬかしやがるから、ちょっとやってみた。」
「頑張ったな。」
「はは、その結果がいけすかない連中との共同生活、初めは良かったが、すぐに殴り合いになって。」
「殺すなとは言われなかったのか?」
「まあ、殺さない様には気をつけたさ。」
「で、これからどうしたい?」
「分かんないんだよ、イライラするだけで。」
「君らの所の八人は皆同じ感覚なのか?」
「多分な。」
「女の子達もか?」
「ああ、こいつ以外は敵かもしれないと思っている。」
「そうか、二人は仲良いんだね。」
「良く分からない…。」
「ところで、ここへ来る二人はどうやって決めたんだ?」
「何だよ、色々詮索しやがって俺に答える義務はないよな。」
「それが有るんだ、君らが昨日破壊してくれた中には、これから誕生する子の為にと我々が準備していた物も含まれる、ちなみに俺の子だ。」
「えっ…。」
「もう少し話してやろう、お前らがここに来られているのは、うちのキングの優しさによる所だ。
ゲートを開けないで欲しいと頼む事も出来たのさ。
どうだ、お前らなんざ、こっちにとっては迷惑でしかないと思わないか。」
「そ、それは…。」
「まあ、今日一日考えるんだな、但し暴れるなよ、昨日と違ってこっちも色々準備して有る、もちろんとっととお家へ帰っても問題ないぞ。」

セブンは、はったりも交えて彼らに私達の想いをうまく伝えてくれた。
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20-役割 [キング-02]

隣人たちが帰った後、食事の席でロックが話し始めた。

「なあ、俺達の役割ってさ。」
「役割?」
「ああ、俺達が管理者の手のひらの上で跳ね回っているだけのちっぽけな存在だって事は勿論分かってる。
でも二丁目三丁目の連中と出会って、どうして俺達がキングの元に集められたのか分かった気がするんだ。
もちろん俺の記憶は怪しいから自分の能力を過大評価したくはないとは思う、だが俺達はキングを中心に国を形作って行く核となる役目を担っている気がするんだ。
今日三丁目の奴にセブンが話しているのを見て思った、これからもっとどうしようもない連中と対峙する事になるかもしれないと、でも俺達なら良い国が作れそうな気がするし、それが役目であって管理者の望む所ではないかと、そして俺はそれを受け入れたいと思っている、キングはどうだ?」
「ああ、ロック有難う、私も自分達の役割について考えて来た、管理者の思惑からそれる事も選択肢の中には有るとは思う、だがその結果は私達にとって良い事とは思えない。
私達は戸惑いながらも、ここに生活の基盤を築き上げ平和に暮らせる環境を、管理者次第とは言え手に入れている、これを積極的に放棄する理由は思い浮かばないが積極的に発展させる理由は有る。
私達の子どもだ、麗子も身ごもった。」
「お、おお~。」
「おめでとう。」
「願わくば…、セブンと一花の子も私達の子も等しく、この八人の子として祝福される事を望むのだが。」
「はは、俺達は運命共同体だからな、子ども達を全員で守るのは当たり前だろ。」
「となると、ゲートからの隣人が当面の問題ね。」
「でも、マリアさまがゲートの制約を認めてくれたのは大きいよな。」
「確かにそうだ、明日はどうする?」
「私達の想いを話して行くしかないんじゃない。」
「キング、何か案は有る?」
「いや、三丁目はロックとセブンで何とかして貰えないだろうか、私は武蔵にロックと八重とは違う所で働いて貰う為の準備をしようかと思う。」
「それはストレスが減って助かるよ、悪い人じゃあないのだろうけど、ちょっとね。」
「三丁目の住人に働く気が有りそうなら、ロック達の下で働いて貰えば良いと思うがどうだ。」
「了解した、作業しながら教育を試みる、で、武蔵の方は?」
「ひとまず和代と森の管理を任せてみようと思っている。」
「そうか、森もそろそろ手入れが必要になって来たんだね、うん、和代となら合うかもな。」
「そこでカップルが成立すると残った二人も自然にくっつくのかな?」
「三丁目の住人とカップルになる可能性はどうだろう?」
「う~ん、そもそもタイプが違うし制約も有るから、管理者は考えてない気がするわ。」
「だな、残る二人も相性は悪くないと思うし。」
「我々の子ども達に良い友人が出来ると良いのだけどな。」
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