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バトル-271 [高校生バトル-28]

「次の国ではYouTube動画の撮影がメインなのでしょ、支社の話とかはないの?」
「支社設立の可能性は比較的高いのだけど、観光地として有名な割に訪問客が減少傾向だそうでね、集客に貢献して良好な関係を築きたいと思っているんだ。
 後、島々を船で回りながら、観光以外の可能性も探って行けたらともね。」
「そう言うのって現地の人達が考えてるのでないかしら?」
「まあ、考えてはいるのだろうが上手く行ってなさそうでさ。
 それほど売れて無かったアルトバルの民芸品に対して日本人スタッフが日本向け仕様をアドバイス、アルトバルと遠江王国、友好のシンボルとして売り出したら、遠江王国の土産物としてヒット商品になっただろ。
 そんな風に第三者の視点は必要だと思うんだ。」
「そっか、現地の人とは感覚が違うものね、表情が少し怖かったのを僅かに変えただけでとてもユーモラスになり日本人受けしたのよね、王国の土産物として販売することで大きな利益に繋がり製造元を潤わせていると聞いたわ。」
「あれはフェアトレードの概念を広げて行く象徴にもしたいと考えていてね。」
「フェアトレード?」
「日本は経済的に立ち遅れている国を食い物にして来た歴史が有り、安く輸入している物の中には、その国の労働者を低賃金で働かせ負担を強いていたり、結果的にその国の環境破壊を助長している商品が有ったりするんだ。
 日本人が物を安く手に入れる為に行って来た行為に疑問を抱く人達が始めた、適正な価格で輸入することでその国の経済状況を改善して行こうと言う流れなんだ。」
「あっ、フェアトレードと言う言葉は初めて聞いたけど、お兄さま達がアルトバル国やこのエリアで考えて進めて来たことなのね。」
「日本国内で、同一労働同一賃金が求められてることは雅も知ってるだろ、でも、それを世界規模で考えたら、とんでもない格差になると思わないか。
 勿論、為替レートなど様々な要因が有る訳だが。」
「安価な労働力を求めて海外に工場を建設してるとは聞いたけど…。
 そうね、アルトバル支社で働く、私と同年代の人達の収入を聞いた時、私が自由に出来るお金の額は絶対内緒にしておこうと思ったわ。」
「それでこのエリアへの投資を考えたのか?」
「まあね、投資をし経済活性化に貢献出来ればと思ったのだけど難しいのよね、助言をして貰いながら考えてるところだけど。」
「確かに難しいよな、出来れば最低限の投資で最大限の結果を出して行きたいが、我々がYouTubeで稼がせて貰ってる様には行きそうにない。」
「YouTubeを閲覧出来る人の割合は少なくても、エリア全体ならそれなりの人数になる、詩織に頑張って貰うしかないわね。」
「雅は?」
「詩織のアシスタント役に徹しようかなって、子育て奮闘記では随分手伝って貰ったでしょ。」
「そうだな、ただ先日のステージが好評で雅関係のグッズも売り上げが伸びてる、その辺りも意識していてくれな。」
「私のお小遣いも増えそうなの?」
「勿論さ。」
「そっか、その分もこのエリアの人達が喜んでくれそうなことに投資したいけど、お兄さまは何かお薦めって有る?」
「そうだな、アルトバル支社では若い人達に働きながら学んで貰い、学んだことを活かして働いて貰うと言う活動を展開しているだろ。
 それを更に充実させ拡大して行きたいと考えてるのだが、若者達が会社運営を学びながら実際に自分達で会社運営に取り組むと言うのはどうだ?」
「う~ん、そうね、王女さまとも相談かな、まずは詩織と相談してみるね。
 各国に支社を作りその運営で支社同士のバトルとか考えたいかな…、バトルと言っても利益だけでなく人に対する優しさでも競い合って欲しいわね。」
「それは良いね、うちの会社が全面的にバックアップして行くが、資本金は雅達で何とかなるだろ。」
「うん、私達の資金で足りなかったら詩織か王女さまを社長にして株券を発行すれば何とかなるでしょ、小規模で始めるのだったら私のお小遣いだけで充分かも。」
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バトル-272 [高校生バトル-28]

「詩織、雅から新会社設立の話は聞いた?」
「はい、チーム詩織にも情報を流しました。
 どこから、どう始めるかは王女さまと相談してからになりますが、このエリアで働いてる子ども達の環境改善を一つの柱にしたいと考えています。
 まずはエリートクラスの中から起業に興味の有る人達を見つけ出し仲間に加えて行くことが出来るかどうかですね。」
「王女にはうちの取締役になって頂く方向で連絡を取り合っているが、彼女と詩織が組んだら無敵だと思うよ。」
「そこまでは…、営利企業として利益を出せなければ、子ども達の環境改善と言っても綺麗ごととして流されてしまいかねません。
 簡単に利益を出せるので有れば、すでに誰かが取り組んでいると思いませんか?」
「それでも、大人が取り組むよりは人件費を抑え気味にスタート出来るし注目を集め易いだろ。」
「ですが、労働と学習のバランスが難しいと思うのです。
 雅とは、若年層の社員を私達で養って行くぐらいの覚悟でスタートさせたいと話し合っていますが、王女さまがそれに納得して下さるかどうか。
 彼女は自国だけでなく周辺国でも人気が有り影響力が有りますので是非賛同して頂きたいのですが…。」
「確かに彼女は自立と言うことを重視しているからな、それでも自立までのステップとして話せば分かってくれるのではないかな。
 で、詩織は詩織自身の影響力についてはどう判断しているのだ?」
「私ですか…、それはあまり考えて無かったです、このエリアの皆さんに受け入れられてはいますが、王女さまとは立場が違いますのでどうでしょう。
 ただ、自分の価値観で話したことに対して反発を受ける可能性は否定出来ないと思いますので、今まで以上に言動には気を付けて行くつもりです。
 台本なしの発言は控え、その台本もここの人達に吟味して貰うべきかと。」
「確かにその方が無難だな、しかし、エリート層と貧困層では受け止め方が大きく違うと思うぞ。」
「そこはアルトバル支社の三人に相談したいと思っています、今は仕事と学習に忙しそうですので新会社の設立となったら引き抜いても良いですよね?」
「詩織に引き抜いて貰えたら彼らは大喜びだろう、会社の所属が変わった所で学習は継続して行けるのだから問題はない、一応新会社設立の話は支社の連中にも伝えておくよ。」
「旅の終盤、アルトバル訪問までに話を進めておいた方が良いでしょうか?」
「そうだな、急いては事を仕損じるとも言うから焦ってはならないが、それなりに準備を進めておけたら彼らとの相談内容が濃くなるだろう。」
「ですね、それも含めてチーム詩織メンバーとも相談してみますが、新会社に関してはチーム妹メンバーからも協力者を募って行きたいです。」
「そうだな、チーム妹だけでなく高校生部会にも頼んでくれよ、高校生部会では遠江王国を中心としたフェアトレードの展開強化に向けて動き出しているから協力してくれる人は多いと思うんだ。」
「お兄さま、雅と相談していて少し迷ってるのは、遠江王国に彼らの手作り作品とかを輸入するとして、その技術力を競って貰うことを考えてみたのですが、職人さんを養成する方向で問題はないのか、将来的に安定した収入を保証出来ない気もしまして。」
「そうだな…、兼業と言う形の保険を考えておこうか。」
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バトル-273 [高校生バトル-28]

「詩織、王女の反応はどうだった?」
「お兄さまの会社で取締役を目指す為の学習を受け始められ、考え方が柔軟になって下さった気がしまして、新会社の設立には全面的に協力して下さるそうです。
 時間が掛かっても、力有る人が弱者を支える環境を目指し、高校の仲間にも声を掛けて下さると、私達と交流の有る方だけでなく先を見据えて幅広くと話して下さいました。
 国王陛下も企業活動の活発化を考えておられましたので喜んで下さいまして、若い世代が実践的に会社運営を学べる場にして欲しいと。」
「心強いね、そうなると直ぐにでも何処に投資をして行くか具体的に考えて行かないとな。」
「はい、国王陛下からは隣国と国境をまたぐ形で、遠江王国方式の農業公園を整備して行くと言う案を頂きました、遠江大学のキャンパスにしても良いからと。
 勿論、お兄さまの会社に絡んで頂くことが前提ですが。」
「良いね、国王陛下としては食料自給率の低さが気になっているのだろう、かと言って自国民が農業に興味を持つかと言うと微妙、でも隣国の住民なら少し条件を良くすれば労働力の確保には困らないだろう、公園として観光客を呼び込めれば収益も期待出来るからな。」
「観光客を意識して果樹や花木に力を入れたいです、かなり広い土地を用意出来るそうですので、観光客にも喜んで貰える農業公園、植物園を目指せるかも知れません。」
「広い土地が有るのなら可能性は広がるが、交通の便とかが問題になって来るのかな。」
「そうですね、空港や港からの道路整備は必要になるみたいです。
 国王陛下は話が公になった時に隣国がどう動くのか興味深いと話しておられまして。」
「隣国の動きか…。」
「公園までのアクセス、人が王国側からばかりでは観光客増加に対して隣国のメリットは少なくなります。」
「だろうな。」
「その辺りの所を、隣国がどれだけ考えられ、どれだけの投資を出来るかで今後の対応が変わって行くと話されていました。」
「そうだな公園を共に盛り立てて行けるか否かは我々にとっても大きな判断材料になって行くだろう。
 どちらにしても隣国の若者を中心に雇用して行くのだろ?」
「いえ、協力的で無いのなら他国から社員を集めて欲しいと話しておられました。
 国家間の駆け引きだそうですが、それを実行するのが新会社なら…、好条件で多くの外国籍の人が働く農業公園が自国内に出来ても揉めにくいのだとか。」
「協力的でない国に対して、雇用の拡大や経済の活性化に向けた手助けをしてあげる必要は無いと言うことだな。
 エリア全体を考えたら我々に協力的な国を中心に社員募集した方が効率的かも知れないね、生活改善を考えたい人達の多さを考えたら、どうしても優先順位を付けざるを得ないからな。」
「ですね、新会社で雇用と言っても初期段階ではほんの僅かしか雇えません。
 それでも、その人達が会社の核となってくれれば、長い道のりでは有っても決して険しい道のりにはならないだろうと、国王陛下は話して下さいました。」
「う~ん、長く険しい道のりになりそうな気がするのだが。」
「国王陛下は、私達が活動の中心にいるのであれば協力者は増え続けるだろうと。」
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バトル-274 [高校生バトル-28]

「チーム詩織メンバーから、子どもが働いてることに対して違和感が有ると言う声が聞こえて来たのだけどね。」
「まあ、日本では働いてる子どもが少ないからな。
 でも、問題は子ども達が働いてることでは無く、その労働環境が悪いことだと納得して貰えたか?」
「一応伝えはしたのだけど、価値観の違いが大きいと思ってさ。
 働くことは、労働環境さえ良ければ、自信に繋がったり成長にも繋がるでしょ。
 アルトバル支所からチーム詩織に届くメールでは、十二歳以上の子ども達が楽しく学びながら働いていて、その姿は弟や妹達の憧れになってると有ったわ。
 利益も出せてるのでしょ。」
「ああ、それぞれにテーマを決め、目標を持って働いてるそうでね、学習面も観光客の案内を意識して英語学習だけでなく、アルトバルの歴史についても、そしてそれぞれが自身のスキルアップを考えてるそうだ。
 真面目に取り組んでいるから、現地の大人達も応援しようと言う雰囲気になって来たそうでね。」
「以前は怒鳴られながら低賃金で働いてたとか、労働環境が変わったことで人としても変わった気がすると伝えてくれた人もいるのよ。」
「まずは、我々の取り組みが良い形で進んでいると言うことだな。
 色んな話が一気に進み始めて雅と詩織の仕事が増えてしまったが、雅の労働環境に問題はないのか?」
「そうね、不満はお気に入りのプリンがここでは食べられないことかな。
 他は今まで学んで来たことを活かし、自分達で抱え込まない様にしてるから…、ボランティアで働きたい人が数え切れない程いるでしょ、仕事を回して上げないとだからね。」
「仕事を回すにしてもリーダーがしっかりして無いと上手く行かないだろ、今はスムーズに行ってるのか?」
「今までは問題なかったけど流石に新会社設立には戸惑ってるみたい、高校生部会でも多国籍企業を立ち上げた人はいなさそうでしょ。」
「だろうな、アルトバル支社の連中も支援体制を作り上げるのには時間が掛かりそうだと言って来た、でも我々の事業展開を先へ進めて行くのにはプラスになることだから、まずはアルトバルの青少年社員の一部を新会社に移行して仕事の一部を任せてみるのも悪くないともね。」
「そっか、それが一番早そうね、本社はアルトバルに置くの?」
「本社か、微妙だよな…、アルトバル支社は社員が増えてるから、支社の子会社みたいな形でスタートしても良いとは思うが、先々はな…。」
「国王陛下は是非我が国にと思ってるでしょうね。
 事業展開して行けそうな国々に支社を立ち上げて行き、状況に応じて分社化とか考えても良いのだけど、多国籍な企業として進めて行きたいとも思うのよね。」
「だな、王女は新会社のシンボルには詩織になって欲しいと話してて、自身がそうなるよりも各国に良い影響をもたらすと考えてるそうだ。
 確かに遠江王国と言う地理的に離れた、しかも半分バーチャルな国家の人物がリーダーとなれば国家間の軋轢は生まれにくいと思う。」
「多国籍の人が一緒に働く職場を実現出来たら、全員が同じ立場でと言うのが理想だものね。
 リーダーが偏る可能性は有っても。」
「そうだな、まずはアルトバルで我が社の子会社となるチーム、農業公園プロジェクトでは企画スタッフを募集して準備を進めるチームをそれぞれ立ち上げると言う感じでどうかな、それぞれの活動からリーダーを選出して行き会社組織を構築して行くと言うのが現実的な気がするよ。」
「二か国の橋渡し役をチーム詩織でして行けば良いのかな。
 他の国にもスタート時から参加して欲しいところだけど難しそうでしょ。」
「ああ、ステージが盛り上がりグッズが売れてても、我々の活動に興味を持つ指導者のいない国ではな。
 これから周る国々がどう出るのかにもよるのだが。」
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バトル-275 [高校生バトル-28]

「ようやく懐かしのアルトバルと言う感じですね。」
「だな、長旅で詩織も疲れただろ?」
「疲れてませんよ、若いですから。」
「自分は笑顔で手を振るだけでも気疲れしてるのだけどな。」
「それでも、私達の活動に協力して下さる方々を見つけられたのですから良かったではないですか。
 訪問時には私達をパフォーマーとしてしか評価して下さらないのかと思った国からも、国王陛下の談話発表を受けて連絡が入り、成果は上げられたと思います。」
「裕福な国を嫉んでいるよりも良好な関係を築き上げた方が得策だと気付いたのだろうな。」
「ですね、今日、王女さまから連絡が有りまして、農業公園プロジェクトスタートに向け隣国からの参加者を募って行く要綱が完成したそうです、少しずつですが動き始めています。」
「我が社としても、日本とアルトバル支社から担当する社員を送り込んだからな。
 王女にはあくまでもサポートで有り実際に会社を動かして行くのは十代の社員だと伝えて有る。」
「アルトバルからも農業公園プロジェクトに青少年社員を派遣するのですか?」
「具体的な話はこれからになるが、英語が得意で仕事熱心な年長者に打診してみようか話し合ってるよ、ただ、その辺りは詩織から話した方が良いと言うことでね。」
「そうでしたか、新会社の幹部候補でも有ると考えれば良いのでしょうが、どんな人物かはアルトバル支社の人にしか分からないと思います、その辺りの情報も、アルトバル支社へ訪問して教えて貰うことになるのですね。」
「教えて貰うと言うより詩織と雅が話をして感じるだけで良いさ。
 派遣する候補者たちは皆真面目で仕事にも学習にも真正面から取り組んで来た子達だと聞いてるからな。
 派遣するのはそこからの希望者全員でも構わない、農業公園プロジェクトに参加することで成長してくれることを願ってね。」
「王女さまの知人達とは格差が大きそうで、委縮してしまわなければ良いのですが。」
「ああ、そこが一番の問題かも知れない、我が社の社員にはその辺りの助言がメインになるのかもと伝えたよ。
 事業そのものはうちの社員が見守ってさえいれば大丈夫だと思うんだ、素直な子ばかりだからな。」
「まずは事業展開を急ぐのでは無く、組織固めからになりますものね、それでも収益を少しずつでも上げて彼らが安心して取り組める様にしたいです。
 YouTubeとグッズ販売からでも。」
「そうだな、グッズ販売を通して流通の仕組みを学んで貰えたら良いね、YouTubeに関しては心配していないのだろ。」
「はい、王女さまのチャンネルは国民の間では人気ですが、人口が多く有りませんので、これからは他国の人にも見て貰い易いコンテンツを制作して行こうと話し合っています。
 彼女の周りでは日本語学習がブームになっているそうですので、日本向けの日本語番組を制作することも考えていますし、次のミュージカルの舞台にすることも春子お姉さまと相談しています。」
「そうだな、そうなると次の主役は詩織だね。」
「そ、それは…。」
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バトル-276 [高校生バトル-28]

「みんな入社してから取り組み始めたにしては英会話が出来てたね。」
「ああ、支社内では英語しか使わないと決めて取り組んでるそうだから始めのうちは大変だったと思うよ、それでも英会話の力が給料アップに直接関係するから必死だとか、休憩時間に読み書きの練習をしてる子も多いそうだよ。」
「給料はアップしてるの?」
「スタート時は少し抑え気味にして有ったからな、日本人社員とのコミュニケーションが取り易くなった子は仕事の理解も早くなる、ほとんどの子が毎月少しずつ昇給してるそうだよ。
 今後は目標のレベルが上がり難しくなって行くが、家族を養うぐらいの気持ちで働いてる子達だからね。」
「生活改善はどう?」
「抑え気味の給料でも前の仕事よりは良いし、チーム妹からの支援物資が有るだろ。」
「支援物資として必要のない物が送られて無ければ良いのだけど。」
「そこは贈って欲しい物、贈ることの出来る物の調整を担当者がしながらボランティアと相談してるから大丈夫だろう、贈り主にとっては不用品でもこちらでは役に立っているのさ。
 物によっては販売をしながらね。」
「そっか、これからも若い社員の人数を増やして行けそうなのかしら?」
「果物の輸出や観光客向けに日本から輸入した物の販売と並行して、ホテルが完成したらその従業員も必要になるだろ、ハイティーンの子達なら問題なく接客のポイントを覚えられると思うから、まだまだ増やして行くよ、農業公園プロジェクトへ派遣してもここが安泰な様にね。
 毎日決まった作業の方が良い子と日々違う作業をしたい子、それぞれの希望に合わせ仕事に対して不満を持ちにくい様に工夫もしていて好評だと聞いてるからな。」
「アルトバル支社の拡大は続いて行くのね、利益はどう?」
「概ね計画通りだったが、今回の旅行に伴いグッズの売り上げが一気に伸び、安心して事業拡大を続けられそうだ。」
「事業拡大が進めば生活状態が改善される人が増え、その人達の消費行動が経済の活性化に繋がるのね。」
「その予定だが、実際にどうなって行くのかは今後の様子を見てみないとな。
 社員が増えたとは言え、まだまだ少ないだろ。」
「そうね、生活に困ってる人全員を雇うことが出来れば良いのだろうけど、流石に無理でしょ。」
「まあな、それでも社会経済を好転させる所までは拡大して行きたいかな。」
「アルトバル支社が大企業に?」
「目標はね、グッズ販売で得られた資金を元に、観光と農産物輸出に成功すれば全く不可能なことでも無いと考えてる、ここでの利益をここに還元し続けていればだけど。」
「そうね、利益を還元しなかったら、この国の人に信用して貰えないものね。」
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バトル-277 [高校生バトル-28]

「昇給を目指し競い合う形にしたことで社員の士気が高いそうですが、問題も有るそうですね。」
「詩織も聞いたのか、まあ仕方ないさ、自分達が生きることに精一杯で他人を思いやってはいられない生活を送って来た子達だからな、それでも入社が早かった子達は協力し合いながら競い合い共に成長する、と言うことが分かって来ていると支社長が話してたよ。
 その理解が広がって行けばトラブルも減って行くだろう。」
「衣食足りて礼節を知る、と言うことなのですね。
 農業公園プロジェクトへの派遣メンバーには、王国のエリート達と比べても見劣りしないユニフォームを用意して上げたいです。」
「そうだな、皆が同じユニフォームを着ていれば貧富の差を感じることも無いだろう、エリート達とお揃いで恰好良いのを用意して貰うように頼んでおくよ。」
「やはりエリートがアルトバルから派遣されるメンバーに指示を出す、と言う構図になるのでしょうか?」
「どうだろうね、確かにエリート達の学力は高いがアルトバルのメンバーは会社組織についても学びながら働いて来た、だから学力対現場経験みたいな形でのスタートになるだろう。
 後は能力勝負となって行くのだろうが、必ずしもエリートが有利とは言い切れない、エリート達が真剣に取り組めば実績を上げられるだろうが、彼らは留学の準備もしなくてはならないからな。」
「両者が互いに尊重し合い、協力しながら競い合い共に成長してくれると良いのですが。」
「その辺りの助言はチーム詩織で出来ないか?」
「そうですね…、その場にいない第三者ですので的確な判断は出来ないかも知れません。
 バックアップ担当の社員とも上手くコミュニケーションが取れると良いのですが、チーム詩織自身も成長する必要が有りそうですね。」
「失敗したとしても良い経験になる、それぐらいの気持ちで取り組んで貰えば良いと思うよ。」
「分かりました、チーム詩織はバーチャル人格としての脳みそが増えてますので微妙な部分も有りますが、脳内の情報整理能力を向上させ、両者にどうアドバイスして行くかと言う思考作業を考えてみます。」
「チーム詩織に於ける詩織の存在はどうなっているんだ?」
「脳の一部に過ぎませんが、お悩み相談を受けた時などには最終判断を下すことも有りました。
 全部のやり取りを確認出来る規模では無くなりましたので、私に注意して欲しい内容に関してのみ各脳みそから連絡を入れて貰っていまして、後は暇な時にログを眺めているぐらいです。」
「詩織個人宛のメールが来ることはないのか?」
「今の所、他の脳みそに知られたくない様なやりとりはしていません、その辺りは王女さまが原則禁止と表明して下さったことが守られています。」
「王女も、詩織個人ではなくチーム詩織と向かい合ってると?」
「はい、王女さまもチームを組むことの意味を考えて下さっています。
 孤独なリーダーに出来ることは限りが有っても、良いチームを形成することに成功したら可能性は無限に広がると、王女さまのチームは力強く表明しておられまして。」
「ふむ、新会社の核もそんな形のチームになればな、但し中心には強いリーダーの存在が必要だとは思うが。」
「はい、仮想人格では求心力の有る人物が中心にいないと、全体としての思考が支離滅裂となり異常者になりかねません。」
「う~ん、チーム詩織メンバーは自分の人格とチームメンバーとしての人格を使い分けているのかな?」
「はい、それを難なくこなしているメンバーと、性格的に苦労しているメンバーが居ますが、苦労してる人ほどこの活動が自身の成長に繋がっていると感じている様です。」
「なるほどな。」
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バトル-278 [高校生バトル-28]

「新会社の中心は詩織か王女と言う流れだろ、詩織個人としてはどうなんだ?」
「多国籍で活動して行くのなら第三者的存在の私がシンボルになるのはベストだと思っています。
 でも、実質的にはチームで、チーム詩織の様な組織が複数作られ、それらが意見交わし最終判断を王女さまか私が行う、と言う形を考えています。
 王女さまと私の考えに違いが有ればそれを早めに擦り合わせて置きたいと言うのが王女さまの希望で有り私達の希望でも有ります。」
「やはり価値観の差は有るのか?」
「勿論有ります、宗教的な問題も有りますし生活環境も違いますので、でもそれらを踏まえた上で…。
 正直、今のチーム詩織では力不足な気がしていますが、私達は成長段階です、この取り組みを通して全く違う価値観と接して行くことはチームメンバーにとってプラスになると思っています。」
「そうだな、一般の中高生には経験出来ない事だと思う、会社のことを考えて行く脳みそ役を希望する人は集まってるのか?」
「はい、王女さまのチームにも担当者が出来て情報交換システムの再構築を進めています。
 今までのやり取りを整理し、それを新たなメンバーが参考に出来る様にして下さる部署も出来ました。
 データバンクをチーム詩織の脳に加えて行くそうです。」
 全部の脳みそが共有するデータバンクと、部署独自のデータバンクを脳みそ達が有機的に運用出来る様になったら面白いと思いませんか?」
「そうだな、会社組織でも行っているのだろうが、一つのバーチャル人格の一部としてチームメンバーが取り組みそれに成功したら天才的な人格が生み出される可能性が見える、それと同時に異常な人格を持つ可能性が有るとしても、組織と言う存在を考えて行く上で…、そうだな第三者的にその活動を観察し研究して行くと言う部門はどうだ?」
「それも意識しています、個人の思考では独りよがりになる可能性が有りますので、第三者的視点は、個々の脳みそメンバーに対するアドバイスを含め必要ですので。」
「具体的には?」
「まずは義兄弟姉妹の皆さんに相談し始めた所です、データバンクに関しては一郎兄さまからの提案で、そのままチーム詩織と新会社向けのデータバンク構築に関する作業指示を出して下さいました。
 メンバーに対するアドバイスは、過度にならない様バランスを考えながら、まずはログの確認を行うチームが大学生中心に、春子姉さまの指示で立ち上がっていますが、彼らはその分析結果を卒論のデータとして利用して行くそうです。」
「コンピュータを活用しながら、ネットワークを構築し多くの脳みそを繋いで行く、そこにAI技術を応用して行けたら最高の頭脳が誕生しそうだね。」
「ベストな判断が出来るとは言い切れませんが、それは人間的有り悪くはないと考えています。」
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バトル-279 [高校生バトル-28]

「アルトバル支社は夏休みに来た時からそんなに経っていないのに充実してたね。」
「うん、話には聞いていたが実際に店の活況を目の当たりにして安心したよ。」
「農場も広くなっていたけど、資金面はどう?」
「最初に始めた農場の単位面積当たりの収穫量が、ここの農家とは桁違いに多かったのを知った政府関係者が動いてくれたお陰で土地に対する支出は抑えられているよ。
 政府関係者としても食料自給率を上げたかったそうでね。
 土壌改良に関する費用は掛かっているが採れた作物の売れ行きは好調で、順調に行けば輸出することになる、今までの農業ではとても輸出なんて考えられなかったのだけど。」
「それだけの農業技術を導入したと言うことなのね、このまま安定した黒字に持ち込めそうなの?」
「無理して社員を増やし過ぎなければな、ただ、社員として採用し生活改善の手伝いをさせて貰いたい人は大勢いるから微妙では有る。」
「これからは新会社でも雇用し、それを加速させたいと詩織が話してたけど限りが有るのよね。」
「まあ、焦らず欲張り過ぎずだな。」
「ねえ、旅の最後にもう一度行く王国で、新会社に関する発表もするのでしょ。
 今夜相談することになってるけど、お兄さまはどの程度のことを発表するのが良いと思ってるの?」
「まだ検討中のことが多いだろ、それと一気に発表するより小出しに話題を提供して行った方が人々の心に残り易いと思うんだ、農業公園のオープンまでには時間が掛かるから、急ぐ必要はない。
 まずは遠江王国を国として認めると言う発表を国王陛下がして下さることになってるから、それがメイン、新会社については王女と詩織から色々伏せた形での発表にし、皆さんにワクワク感を感じて貰える形が良いと思ってる。」
「そうね、YouTubeチャンネルで小出しに発表して行けば総視聴回数も稼げるかな。
 ただ、詩織の仕事が増える事になるのでしょ?」
「そうだな、このエリアの人達は詩織の映像を求めているが、詩織の負担にならない程度にしないと。」
「うん、それでさ、ちょっと思ったのだけど、チーム詩織ってバーチャルな人格でしょ、ならそのままバーチャルユーチューバーみたいな形でYouTubeに登場ってどうかしら?」
「あれか…、少し調べたことは有るが…、雅はどんな形を考えてるんだ?」
「リアル詩織とバーチャル詩織は同じ様な存在にするのだけど、バーチャル詩織の声は本人ではなく詩織に似た声の人に担当して貰うの、台本はチーム詩織で作るからリアル詩織にはそのチェックをして貰うだけにしてね。
 キャラクターは詩織をモデルにしたものを制作して貰って…、リアル詩織程の人気が出るかどうかは未知数だけど、ある程度成功したらリアル詩織が撮影に時間を取られることなく映像作品を増やすことが出来、新会社の資金源にもなると思うの。」
「全てはキャラクター次第だが、そのキャラクターが多くの人に受け入れられたら、チーム詩織によるバーチャル詩織が独り歩きを始めるのかな。
 結果がどうなるのかは微妙だが試してみる価値はあるね。」
「問題は声が見つかるかどうか…。」
「チーム妹の中には声優志望の子もいたよな、バーチャル詩織とリアル詩織の声を近くすることに拘り過ぎる必要が有るのか無いのかも分からないが…。」
「サンプルを作ってみる費用ぐらいは私が負担しても良いわよ。」
「キャラクターの制作には結構費用が掛かるのだろ。」
「多分ね、でもついでに私の分身も作って子育て奮闘記とかで活躍して貰うってどう?
 サイズを小さくして登場させるとかしたら、もっと楽しいチャンネルに出来そうな気がするのだけど。」
「そうだな、失敗を恐れずにチャレンジだ、雅、やってみよう。」
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バトル-280 [高校生バトル-28]

「お兄さま、国王陛下の発表を受け、私達に対する注目度が上がっていますので、チーム詩織のことを公表するタイミングを考えたいです。」
「そうだな、詩織の分身をバーチャルユーチューバーとして表に出して行くプロジェクトをスタートさせたが、実際の映像を出す前に裏の事情もある程度知っておいて貰うのも良いだろう。
 我々の事業を成功させるには、注目して貰えるネタを忘れられない様に出して行く必要が有る、遠江王国に帰ったら、今後公表して行く内容を整理してスケジュールを決めようか。」
「そうですね、発表の間隔が空き過ぎない様に調整して最大限の効果を狙いたいです。
 私を模したバーチャル詩織の姿が皆さんに受け入れられれば効率が良くなるのですが。」
「まあ、日本のアニメは人気が有る、そんな雰囲気を醸し出すことになるのだから、それなりに受け入れて貰えるとは思うし、多くの人が参加しての詩織の分身、仮想人格実験と発表すればこのエリア外でも興味を持ちファンになってくれる人がいるだろう。
 バーチャル詩織の裏側を公表してからの目標としては、視聴者に人の集合体による仮想人格で有ることを忘れさせることだな。」
「そうですね、それは何としても成功させたいです、対話するAIとは別次元の存在として。」
「どんなことを質問されても比較的短時間で答えられる様に出来たら面白いのだが。」
「生身よりは胡麻化し易くなりそうですが、質問に対する返事を即座に返すと言うのは難しくないですか?」
「まあ、質問次第だがアドリブの利く子が声を担当してくれるたら心強いか。」
「う~ん、声の担当に負担が掛かり過ぎないシステムは今後の課題です。
 でも、完成された台本の有る対話なら問題無いですね、私が私の分身と対話するとかどうです?」
「それも面白いね、そこでリアル詩織とバーチャル詩織の違いを見せても良いし。
 なあ、分身の人格はどうなって行くと思う?」
「チーム詩織の脳みそメンバーが考えているのは、私と言う存在から離れ過ぎない形で様々な能力を発揮する人格です、リアル詩織ならこう考え行動するだろうと言う憶測を基準に、他者とのコミュニケーションを取って行く、チーム詩織メンバーが百人になっても違和感を感じさせない人格を維持出来るかどうかに挑戦したいと言うのが彼女らの…、まあ私ならそう考えるだろうと言われたのですが。」
「それに成功したら最高のチームだな。
 メンバー各自が自分とも向き合っていないと出来ないことだが、詩織のバランス感覚を意識するだけでもチーム詩織メンバーにとってプラスになると思うよ。
 そのまま新会社の核になって行くので有れば…、バーチャルな方の詩織を社長にするのも有りかもな。」
「そうですね、その辺りは王女さまとも相談して行く必要が有りますが。」
「王女は詩織の分身に対して何か話してたのか?」
「その話をした時はバーチャルユーチューバーの存在すら知らなかったそうで、調べてみると。
 今後は、自身のキャラクターを発注し作らせはしたものの気に入らず、私は生身の自分で勝負するとおっしゃるのではないかと思います。」
「はは、その可能性はどれぐらいなんだ?」
「75%ぐらいですね。」
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