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バトル-277 [高校生バトル-28]

「昇給を目指し競い合う形にしたことで社員の士気が高いそうですが、問題も有るそうですね。」
「詩織も聞いたのか、まあ仕方ないさ、自分達が生きることに精一杯で他人を思いやってはいられない生活を送って来た子達だからな、それでも入社が早かった子達は協力し合いながら競い合い共に成長する、と言うことが分かって来ていると支社長が話してたよ。
 その理解が広がって行けばトラブルも減って行くだろう。」
「衣食足りて礼節を知る、と言うことなのですね。
 農業公園プロジェクトへの派遣メンバーには、王国のエリート達と比べても見劣りしないユニフォームを用意して上げたいです。」
「そうだな、皆が同じユニフォームを着ていれば貧富の差を感じることも無いだろう、エリート達とお揃いで恰好良いのを用意して貰うように頼んでおくよ。」
「やはりエリートがアルトバルから派遣されるメンバーに指示を出す、と言う構図になるのでしょうか?」
「どうだろうね、確かにエリート達の学力は高いがアルトバルのメンバーは会社組織についても学びながら働いて来た、だから学力対現場経験みたいな形でのスタートになるだろう。
 後は能力勝負となって行くのだろうが、必ずしもエリートが有利とは言い切れない、エリート達が真剣に取り組めば実績を上げられるだろうが、彼らは留学の準備もしなくてはならないからな。」
「両者が互いに尊重し合い、協力しながら競い合い共に成長してくれると良いのですが。」
「その辺りの助言はチーム詩織で出来ないか?」
「そうですね…、その場にいない第三者ですので的確な判断は出来ないかも知れません。
 バックアップ担当の社員とも上手くコミュニケーションが取れると良いのですが、チーム詩織自身も成長する必要が有りそうですね。」
「失敗したとしても良い経験になる、それぐらいの気持ちで取り組んで貰えば良いと思うよ。」
「分かりました、チーム詩織はバーチャル人格としての脳みそが増えてますので微妙な部分も有りますが、脳内の情報整理能力を向上させ、両者にどうアドバイスして行くかと言う思考作業を考えてみます。」
「チーム詩織に於ける詩織の存在はどうなっているんだ?」
「脳の一部に過ぎませんが、お悩み相談を受けた時などには最終判断を下すことも有りました。
 全部のやり取りを確認出来る規模では無くなりましたので、私に注意して欲しい内容に関してのみ各脳みそから連絡を入れて貰っていまして、後は暇な時にログを眺めているぐらいです。」
「詩織個人宛のメールが来ることはないのか?」
「今の所、他の脳みそに知られたくない様なやりとりはしていません、その辺りは王女さまが原則禁止と表明して下さったことが守られています。」
「王女も、詩織個人ではなくチーム詩織と向かい合ってると?」
「はい、王女さまもチームを組むことの意味を考えて下さっています。
 孤独なリーダーに出来ることは限りが有っても、良いチームを形成することに成功したら可能性は無限に広がると、王女さまのチームは力強く表明しておられまして。」
「ふむ、新会社の核もそんな形のチームになればな、但し中心には強いリーダーの存在が必要だとは思うが。」
「はい、仮想人格では求心力の有る人物が中心にいないと、全体としての思考が支離滅裂となり異常者になりかねません。」
「う~ん、チーム詩織メンバーは自分の人格とチームメンバーとしての人格を使い分けているのかな?」
「はい、それを難なくこなしているメンバーと、性格的に苦労しているメンバーが居ますが、苦労してる人ほどこの活動が自身の成長に繋がっていると感じている様です。」
「なるほどな。」
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