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夏休み-201 [花鈴-21]

 カエルが実際にどんな反応を示すのかは分からないけど、この地で様々な小規模発電を展開する試みが進み始めた。
 まずは田んぼ脇を流れる水路に簡単な水力発電施設の設置。
 これには大賢者が興味を示し、僅かな期間で発電について調べたそうで、研究室の人達と難しい話をしていた。
 取り敢えずは小さな噴水と小さなイルミネーションを玩具の様な発電装置で得られた電力で。
 研究室の先生は…。

「花鈴ちゃん、これだけの装置で発電出来るとは思わなかったでしょ?」
「ですね、この装置は市販されているのですか?」
「残念ながら子どもの多い都会には適度な水路が無いのだよ、教育的価値も有るから手軽に購入出来る様にしたいのだけどね。」
「水野さんは研究室に問い合わせら凄く前向きに応えて下さったと話していましたが。」
「簡単な装置だけど、何処にでも自由に設置出来る訳では無くてね。
 彼はその辺りのことを話から感じ取ったのか様々な提案をしてくれ、我々は災害時の電力確保をイメージしていたのだけど、そこに過疎地の活性化と言う要素を加味して話してくれたんだ。
 話を聞いてから直ぐに花鈴姫の活動も調べさせて貰ってね、玩具レベルから本格実用レベルまで有る小規模水力発電の可能性を知らしめるチャンスだと思ったよ。」
「先生の所にもメリットが有るのなら嬉しいです。」
「君のお父さまとも話をさせて頂いたが、様々な流量の水路を使わせて貰えるし、設置費用も負担して頂けることになってメリットしかないんだ。」
「大学からは遠いと思うのですが。」
「そんなことは気にならないさ、学生達は合宿所に泊めて貰って水野君たちと交流してるからね。
 夏休みが終わっても合宿所は普通に使えると聞いたけど。」
「ええ、合宿所の拡大プロジェクトも動き始めましたので。」
「拡大?」
「空き家を修復したり、空き家を取り壊す過程で使えそうな木材を残し、それを再利用して一軒建てるとか考えてる学生がいるのです。
 そんなのが面白そうだからと人が集まり始めていまして。」
「やはり、花鈴姫の存在が大きいのですね。」
「いえ、全部父の力です。」
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夏休み-202 [花鈴-21]

「お父さまが後押しを?」
「与えられた環境に満足すること無く、自分から出来ることを見つけ出し、困難なことにも立ち向かって欲しい、と言うのが父から大学生へのメッセージなのです。
 この地の活性化を一つの目標として掲げていますので、彼らは仲間を安心して増やせる考えたのです。
 限り有る予算を如何に有効に使うか、また予算増額に向けた取り組みや自分達で稼ぐ、これは彼らにとって実習でも有るのですけどね。」
「成程、経済学部生にとっては学んだ知識を活かす場なんだ。
 建築を学んでいる学生も居るのかな?」
「ええ、真面目なサークルですが大学を越えて参加者が増えて行きそうだと聞いています。
 建築を学んでいても実際に家を修復したり建てたりする機会は少ないそうで、大学の卒業設計として取り組み始めている人も居るのだとか。」
「うちの学生達もサークルに加入するかもな。
 小規模水力発電装置を設置してから最低でも一年間は継続してデータを取りたいからね。
 季節毎の水量変化が発電にどの程度の影響を与えるか、また維持管理にどれだけの労力を必要とするかは設置場所によって大きく異なるのだよ。」
「落ち葉の季節は大変そうです。」
「ああ、桜並木に設置したのは秋だけでなく桜の花が散る時にも労力が必要でね、お花見の後は発電施設の掃除なのさ。」
「工場などの機械も維持管理の基礎は掃除だそうですから同じ、ただ屋外だから季節や周辺の環境が影響するのですね。」
「でもね、ここに設置したタイプは水中に沈めて有るから水に浮くゴミは上を素通りするんだ、大したこと無い様でこれがなかなか効率的なのだよ。」
「小さくても優れものなのですか?」
「本体部分をゴミが通っても素通りし易くとか色々工夫した結果、このサイズでは現時点での完成形なんだ。」
「イルミネーションを灯すには充分な発電が出来るのですよね?」
「この程度の水路が有ればどこにでもイルミネーションを設置出来るが、見るのが猿だけでは寂しいかもな。」
「う~ん、畑に害をなす動物を寄せ付けない為の施設を設置し易くなるかも知れません。」
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夏休み-203 [花鈴-21]

「そう言ったことまでは考えて無かったな。」
「電気を利用した防護柵を畑に張り巡らすのには結構な労力が必要だと聞きました。
 この様な簡易発電を使えれば、初期投資は必要だとしても今は電気の通って無い土地でも使える様になると思います。」
「それでも恒久的な施設をと考えたら設置費用はそれなりの額になるよ。」
「その辺りの判断には個人差がかなり有りますが、田畑への投資は親から受け継いだものだからと厭わない人が少くないのです。」
「そうか…、簡易発電の需要に関して考えが足りて無かったのかも知れない。
 研究している立場としては、より多く活用して欲しいのだけどね。」
「大きな水力発電所の建設は環境に与える影響が大きいですが、小規模ならそれ程でも無いのですよね?
 例え少々コストが掛かろうが小規模発電を効率良く組み合わせることが出来たなら…、理想は原子力発電所を増やさず化石燃料に頼らない形で安定した電力の供給だと思うのです。」
「その通りだよ、ただ、それぞれに問題は有ってね、小規模水力発電でも流水を利用するには国土交通省の許可が必要、勿論土地所有者の承諾も必要で予算の問題だけではないのさ。
 その点、ここでの展開は話が早そう、何と言っても土地所有者が設置費用や維持管理費用を負担してくれるからね。」
「初期投資を回収出来たと考えられるまでに何年ぐらい掛かるのですか?」
「条件が色々だから、単純に何年とは言いにくい、維持管理に費用を惜しまなければ長く安定した運用が出来ると考えてくれるかな。
 維持管理の費用をケチってほったらかしだったら、ゴミが溜まって発電量は落ちて行くし装置が痛むのも早いと思ってくれたら良いと思う。
 水が流れていれば勝手に発電してくれるからと、メンテナンスを軽んじる人がいるんだ。」
「この装置は私達小学生が責任を持って管理しますから安心して下さい。
 発電された電気をどう使うかも検討しています。
 私としては水を電気分解して水素を取り出しエネルギーとして利用したいのですが、ここでは無理みたいですね。」
「流石に田んぼのあぜ道ではな。」
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夏休み-204 [花鈴-21]

「エネルギーを蓄える手段としては決して効率が良い訳では無いそうですが、発電しても利用されない分が消えてしまうのならと考えまして。」
「そうだね、蓄電池の性能はどんどん良くなっているが水素の可能性も考えて行くべきだと思う。
 水力発電からの電気分解なら温室効果ガスは発生しないし、ただコスト面はね…。」
「コストパフォーマンスは良く無いのですか?」
「と、思う、それでも、安定供給の為に余裕を持って発電してる分の電力を利用するのならね。
 実用化には色々ハードルが高そうだけどな。」
「揚水発電の代わりになりそうだと思ったのです。」
「はは、小学生のお嬢さんだと思っていましたが色々学習されているのですね。
 自分達が取り組んでいる小規模水力発電では揚水を考える必要を感じてなかったな。
 これを機に水素エネルギーに取り組んでる研究者とも意見交換しないとだね。」
「大気に悪影響を及ぼさない、と言う点では共通していますものね。」
「確かに、そうだな。」
「無駄なぐらいに沢山の小規模水力発電所を設置出来たら、遠くからガソリンやプロパンガスを運んで来るコストと勝負出来ますか?」
「う~ん、そこまで考えたことはなかったが…、少し時間を頂けないかな、プリンセス花鈴。
 この地を小規模発電の聖地にと聞かされても、そこまでは考えにくかった、でも、姫と話して思い直したよ。
 聡明な姫の存在が多方面に影響を与え、可能性が広がりそうだと思えてね。」
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夏休み-205 [花鈴-21]

「私より大学の学生さん達が様々な可能性を広げて下さりそうなのです。」
「株式会社花鈴に就職する学生もいるのだね。」
「ええ、大企業に就職出来るだけの力が有るのに我が社を選んで下さいました。」
「そこまで魅力的な企業なんだ。」
「小さな会社ですが、バックに父の会社が有ることで安心感が有るからだと思っていたのですが、ホワイトな大企業に就職しても自分の力を活かすまでに時間が掛かることが良く有るそうです。
 スキルアップのチャンスがあまりない優良企業に幻滅して退職する新入社員もいるのだとか。」
「まあ、大企業は公務員と同じで無難にことを進めたいから、新人にはリスクを伴う仕事を与えたくないのだろうな。
 でもそれは上昇志向の強い若者にとって、面白くないだろう。」
「ええ、小さくても株式会社花鈴の業務は、これからどんどん増えて行きますから、自ら学び自ら仕事を構築出来る人が必要、そんな環境を楽しんでくれそうな人を採用しているのです。
 大学卒業後から働いて頂く方だけでなく、事情が有って大学を中退してと言う方もみえますが。」
「気持ちが有ったら大学卒業資格なんてそんなに気にしなくて良いと思う、とは大学教授の立場で話して良いことか分からないが、結局は本人の人生が充実したものになることが一番望ましいと思うよ。」
「ですよね、上昇志向の強い人が中小企業に就職したり自分で起業してくれたら日本経済の活性化が進むと思うのです。」
「姫はそんなことまで考えているのだね。」
「父の受け売りですが。」
「纐纈社長は姫を立派な経済人に育てるべく教育なされているのかな?」
「かも知れませんが、父の話は面白いのです。
 昨日は自社を倒産させるのが如何に難しいのかについて語ってくれました。
 我が社を倒産させるのは簡単なのですけどね。」
「そりゃあ大企業の倒産は影響が大き過ぎるからな、多くの人が職を失う様な形で倒産したら…、会社経営は私の専門外だが社長って大変だと思うよ。」
「その点会長は気楽なのですよ、責任は社長に全部押し付けて、気楽に言いたい放題ですから。」
「そんな感じなの?」
「うちの社長は懐の広い人なのです。」
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夏休み-206 [花鈴-21]

 我が社の田中社長は多くの人から信頼されている。
 我が社が立ち上げられた当初は会長が小学生の私なので、遊び半分の会社だと思われていたが、社会福祉関連の事業を中心に事業所を買収し、そこの社員待遇を改善しつつ安定した経営の為にと、地元の人達に協力をお願いして行く過程で、その人柄が知られ信頼を得られたのだと思う。
 この地の活性化を全ての人が望んでいる訳では無いが、子や孫が就職の為に実家を離れないで済めばと考える人が、国道を通る人をターゲットにした展開を発表する度に協力を申し出てくれるのだ。
 店が出来たら買いに行くよ、と言って貰えるだけでも嬉しい。
 小規模発電所の建設を目指して設置した玩具レベルのミニ水力発電装置も悪戯されない様、皆さん気に掛けて下さる。
 大学生の夏休みが終わる頃には、それまで夜間は真っ暗だった所に小規模なイルミネーションが七か所設置された。

「田中社長、イルミネーションはご覧になられました?」
「勿論、息子に連れられ全部見に行きましたよ。
 十二月からの本格運用に向けての試験ですが、ミニ水力でも電源としては問題無さそうですね。」
「本格運用と言っても今年は、細やかなイルミネーションでどれだけの集客に繋げられるかの実験みたいなものです。」
「それぞれシンプルだけど一つ一つに背景となる短い物語を作り、見ている人がその主人公気分を味わえる、と言う案は上手く行きそうですか?」
「七つのチームが出来上がったばかりですから何とも言えませんが、絵梨は大学生に負けるつもりは無いみたいで、歩いて近付いて行く過程から楽しんで貰える様にしたいと話していました。
 イルミネーションエリアまでは足元を照らす照明を危なくない程度だけど抑え気味にしてとか、工夫して静かに動くイルミネーションを作ろうと大賢者達と相談しているのですよ。」
「姫は参加されていないのですか?」
「作品を審査する人達に変な忖度をさせたく有りませんのでチームメンバーには入りませんでした。
 思い付いたことが有ったら進行の遅れているチームに助言するかも知れませんが。」
「既に案をお持ちの様ですね。」
「いえ、ヒメボタルを観察出来るエリアをコースに入れたいと思ったのですが、冬の話ですので。」
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夏休み-207 [花鈴-21]

「しかし、簡易型の水力発電装置は思ってたより小さくて簡単な物だね。
 それでもイルミネーションを点灯させるには問題ないみたいで。」
「ですね、小さな水路にも設置出来ますから、電線が来ていない所にも明かりを灯すことが出来ます。
 冬のイルミネーション企画を無理なく出来るのはあの装置のお陰です。」
「七つのチームが競い合うのは誰の発案?」
「誰のと言うか、皆で発電を試している時に何となく。
 動き始めたらスポンサーを七社獲得出来ましたので。
 お金だけ出すスポンサーや自分達もイルミネーション制作に参加したいと言うスポンサーもいて、それぞれでチームを組むことになりました。
 小学生の入るチームは地元の観光協会がスポンサー、我が社に就職予定の学生や観光協会の人が参加しますので人間関係の面でも面白くなりそうです。
 他も、それぞれのチームが多くの人を巻き込んで規模を拡大してくれそうですから楽しみで。
 我が社はそれに便乗して仮設店舗の売り上げアップを目指す訳です。
 まだ、どれぐらいの集客に繋がるのか読み切れていませんが、店の従業員確保はどうです?」
「事情を話したら、お祭り気分で盛り上げようって流れになってますよ。
 外からの客が少なくても自分達の祭りとして楽しめば良いそうでね。
 冬のイルミネーション祭りみたいな感覚でやろうって流れです。
 光で虫ならぬ観光客を集めるのだな、なんて言ってる人もいましたが。」
「ふふ、確かにそうかも。」


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夏休み-208 [花鈴-21]

「姫、大規模なイルミネーションを売りにする施設とは張り合えませんので、まずは地元で細やかに盛り上がる程度が良いですよ。
 細やかさの中で特色が出せたら自ずと広がって行くと思います。」
「そうですね、特色としては小規模水力発電、後は各チームの工夫次第ですが、七つの作品と言うのもアピールポイントになりますよね?」
「七つのコース全部を光の道しるべが案内してくれると言う構想は悪く無いです。
 昼間より迷いにくかったりして。」
「ええ、何とか幻想的な雰囲気を醸し出せたらとも思っています。
 電気だけでなく、ローソクや灯油を使った照明も検討しているのですよ、雨や雪でも大丈夫な様にし、防火対策としてそれらを水盤に浮かせるとかも。
 一コース五百メートル程度としても、灯りはそれなりの数が必要になりますので、それぞれのコース毎に特色を出せたら、デートスポットに出来るかもです。」
「冬場なら寒い代わりに蚊の心配は無いですが、問題は…、猪とか?」
「清六おじさん達が頑張ってくれてるいますから、人の住むエリアで猪と出会うことは殆ど無くなってるみたいですよ。
 移住者の中からも罠猟に取り組んでくれる人がいまして、彼らの活動が活発になっているのです。
 七つのコース、つまりはそれぞれメインのイルミネーションエリアと、その前後の道中に猪が出没しない様に、既に作戦が立てられていまして。」
「それでもゼロに出来るのでしょうか?」
「現時点で取り組んでいるエリアではゼロになっています、その外側のエリアでの一掃作業が上手く行ってるのですよ。
 絵梨のお父さんの発案であちこちに設置した簡易センサーが功を奏しましてね。
 簡易的な物とは言えそれなりに手間も費用も掛かったそうですが、私達が猪と突然ご対面する確率はかなり低くなってるそうです。」
「費用はどこから?」
「小枝子さんは、ただ情報発信しているだけでなく、そこから人脈を作り提案し実験していますので協力者は多いのです。
 猪に対するここでの取り組みが成功したら、他の地域でも実践されるのです。」
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夏休み-209 [花鈴-21]

「それ程の話でしたか。
 情報発信力が有ると人を動かせるのですね。
 我が社が順調なのは小枝子さんのお陰も有るとは思ってはいましたが。」
「はい、現代社会は情報量が増え過ぎてると聞いています。
 だからこそ情報に質が求められているのかも知れません。
 小枝子さんは人を騙す様な情報は勿論のこと、根拠の不確かな情報は一切流さない様に細心の注意を払っているそうです。
 その辺りが信用に繋がっているのではないのでしょうか。」
「成程、私も見習います。
 そのことは大学生達も理解していますか?」
「ええ、YouTubeチャンネルに関わっている全員に伝えていまして…、理解出来ないレベルの人はいないと信じています。」
「世の中には騙されて闇バイトに走る学生もいる様ですが…。」
「ええ、それも彼らの話題に上っていました。
 でも、楽して儲けようと考える人がここでの合宿に参加することはないと思いません?」
「はは、確かに、過疎地の活性化を考えるボランティア、始めから大変な作業をすること前提で募集したと聞いています。
 お遊びのサークルで面白可笑しくと考える大学生とは違いますよね。」
「自分達の夏休みとは関係なく、小学校の二学期に合わせて調査研究にやって来た学生さんもいます。
 大学生の夏休みもそろそろ終わるそうですが。」
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夏休み-210 [花鈴-21]

 大学生の夏休みは終わり始めているが私達小学生の夏休みはとっくに終わっている。
 でも秋の気配が僅かながら漂い始めた今になって、とても充実した夏休みだったと余韻に浸ることも。

「ねえ、ひろっち、夏休みはどうだった?」
「えっ、今頃になって夏休みの話ですか?」
「何かさ、夏休みが終わってからも色々有って…、私にとっては充実した夏休みだったけど、ひろっちにとってはどうだったのかなと思ってね。」
「そうですね、僕はここに転校して来てから、ずっと新しい色々な体験が出来て充実していますが、キャンプは特に想い出として残ると思います。
 十年、二十年後のことは分からないと言いつつ、姫がファイヤーストームの締めくくりに、例えこの先遠く離れることが有っても私達はここでの日々を共に過ごした仲間だ、と話してくれたことは、焚火の炎と共に忘れることは無いです。
 出来れば遠く離れることなく、この地で充実した日々を送り続けたいのですが。」
「先のことは分から無いけど、私もよ。
 ここに越して来た頃は不安も有ったわ、だけど今は山が近くに見えるここの風景が好きでたまらないの。
 人工物が全く目に入らないお気に入りの場所が何か所も有ってね。」
「そんなの林に行けば幾らでも…、でも分かります、森を広々と見渡せる所に送電線の鉄塔が並んでいて残念な気持ちになったことが有りますから。」
「でしょ、だから小規模発電プロジェクトでは電線を目立たなくしたいって話したの。
 それだけで予算額が大きく増えると言われたのだけど、見に来て下さる方々も同じだと思うのよ。」
「ですよね、今までは特に意識していなかったのですが、家族旅行で行った所はどこも電柱が立ち並ぶ同じ様な風景だった気がして来まして。
 イルミネーションを見に来て下さる方も、電柱や電線が有っては残念な気持ちになると思います。」
「日常とは違う空間にしたいのよね…。」
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