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夏休み-210 [花鈴-21]

 大学生の夏休みは終わり始めているが私達小学生の夏休みはとっくに終わっている。
 でも秋の気配が僅かながら漂い始めた今になって、とても充実した夏休みだったと余韻に浸ることも。

「ねえ、ひろっち、夏休みはどうだった?」
「えっ、今頃になって夏休みの話ですか?」
「何かさ、夏休みが終わってからも色々有って…、私にとっては充実した夏休みだったけど、ひろっちにとってはどうだったのかなと思ってね。」
「そうですね、僕はここに転校して来てから、ずっと新しい色々な体験が出来て充実していますが、キャンプは特に想い出として残ると思います。
 十年、二十年後のことは分からないと言いつつ、姫がファイヤーストームの締めくくりに、例えこの先遠く離れることが有っても私達はここでの日々を共に過ごした仲間だ、と話してくれたことは、焚火の炎と共に忘れることは無いです。
 出来れば遠く離れることなく、この地で充実した日々を送り続けたいのですが。」
「先のことは分から無いけど、私もよ。
 ここに越して来た頃は不安も有ったわ、だけど今は山が近くに見えるここの風景が好きでたまらないの。
 人工物が全く目に入らないお気に入りの場所が何か所も有ってね。」
「そんなの林に行けば幾らでも…、でも分かります、森を広々と見渡せる所に送電線の鉄塔が並んでいて残念な気持ちになったことが有りますから。」
「でしょ、だから小規模発電プロジェクトでは電線を目立たなくしたいって話したの。
 それだけで予算額が大きく増えると言われたのだけど、見に来て下さる方々も同じだと思うのよ。」
「ですよね、今までは特に意識していなかったのですが、家族旅行で行った所はどこも電柱が立ち並ぶ同じ様な風景だった気がして来まして。
 イルミネーションを見に来て下さる方も、電柱や電線が有っては残念な気持ちになると思います。」
「日常とは違う空間にしたいのよね…。」
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