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高校生バトル-05 ブログトップ

バトル-41 [高校生バトル-05]

「次郎、高校生バトルサイドとの合併話は進んでるのか?」
「うん、新組織の構想を練ってる最中だよ、ただ新規の企画が普通に出て来るし、大学卒業と同時に就職して行く学生社員の引継ぎも有って、正式な合併は六月以降を考えてる。
 父さん達が参加してくれた株バトルが思ってたより盛り上がってる事もあってね。」
「あれは高校生バトルの範疇にして良いのか微妙な気もしていたが、会社の同僚は息子とお金の話をする良い機会になったと話してくれたよ。
 うちの子達と違ってお金を稼ぐ意味が分かって無かったとか。」
「お義父さま、子ども達の多くは親に養われるまま、自分で稼ぐ事の意味を理解出来ないまま社会に、そこで初めて経済活動に触れると言うのが一般的なのです、大学を卒業して就職しても、その辺りの感覚が中学生程度の人が少なからずいまして。
 そんな環境を作って来た大人達が株バトルだけを見て批判してますが。」
「だよな、何の為にどんな教育が必要なのか、俺はサポートカンパニーでの活動を通して色々考えたよ。
 一番大切なのは親父の言う通り家族仲良くだと思う、それには経済的な安定が必要、苦学生の中には下らない親族間の揉め事の犠牲者もいてね。」
「次郎兄さん、社会的弱者の救済は出来そうなの?」
「まあ、出来る範囲でだな、結局資金が必要だろ、三郎達が稼いでくれてるとは言え限界は有る。
 ターゲットを英語圏に広げた事で収入は増えたが、支援の対象を日本国内だけに留めて良いのかと言う話も出て来てる。
 今は世界中の大金持ちに対してどうアピールして行くか、と言う課題に取り組んでるチームが立ち上がったとこだよ。」
「お母さん…。」
「私の子ども達がホントに立派に成長してくれて…、嬉しくて…。」
「まだこれからだよ、兄貴が短かったとは言え大企業での経験を踏まえて取締役となり、なあ大輔。」
「お義母さん、佐伯さんに来て頂いて親父の会社も改革を始めたばかりです、従業員に優しい企業が安定した利益を上げられる、親父は春子に影響されて理想の企業を真面目に考えてます。」
「なあ、大輔は小六の春子に告白した時、どれぐらいの事を考えていたのだ?」
「やだな一郎兄さん、純粋に春子が好きだった、ただそれだけです、春子以上に素敵な子なんていません。」
「その気持ちは変わって無いと言いたそうだな。」
「いいえ、変わりましたよ、高校大学と進学し自分も成長しましたからね。」
「兄貴、それ以上追及しても、はいはいお幸せにねって話ししか出て来ないぞ。」
「そ、そうなのか…。」
「私は、真子ちゃんの話が聞きたいかも。」
「うんうん、三郎くんとはどこまで?」
「真子ちゃん、お姉さまに教えなさ~い。」
「えっ。」
「姉さん方、真子は私の大切な義妹ですからね。」
「可愛いからつい…。」
「で、三郎とはどこまで?」
「春子さ~ん!」
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バトル-42 [高校生バトル-05]

「なあ、お前たちの活動、その原点でも有る高校生バトルはどうなってるんだ?」
「企画を検討しながら内容を充実させてるよ。
 各分野でトップクラスの高校生に交流を深めて貰い、そこに大学の研究室を紹介、学習や研究の環境整備を考えていてね。
 勿論、偏差値の低い生徒向けのプログラムもね、合併することで学生社員にとっての活躍の場が広がることのなる、バトルの形式を工夫する事で利用者が増え、広告収入が伸びているからね。」
「合併のメリットは大きいのか?」
「収入面では圧倒的にサポートカンパニーが上でさ、今まで営利的に弱かった分野に資金を回し易くなるのだけど、そこでの収益アップを目論んでいてね、その辺りは兄貴が転職して来て落ち着いてからになるのだけど。」
「一郎は円満退社になりそうなのか?」
「ああ、各種資格試験のサポート展開は転職の話と並行して会社の上司とも相談していてね。
 それが結構上まで話が通っているみたいで、転職前に社長と懇談するかも知れない。」
「大企業のトップと?」
「学生社員の話を詳しく教えて欲しいと人事部から来てるぐらいだからね。
 先輩方が苦労してた事をあっさり片付けた実績が有るから上の人達とは話がし易くなって、業務提携の話も出て来てる、まだ佐伯さんが抜けた穴を埋め切れてないんだ。
 カンパニーの学生社員の中には佐伯さんの下で経験を積みたいという人もいるぐらいだから業務を拡大しても問題はなさそうでね。
 円満退社して取引先になるという感じかな、高校生バトルの業務には公益性が有るからスポンサーになって貰う話もしててね。
 一応会社に育てて貰って中小企業の取締役に就任みたいな話をして行く事になりそうだよ。」
「育てて貰ったとは思ってないのだろ。」
「まあね、でもそう言う事にしておけば、この先何かと便利なんだ。」
「ふふ、腹黒い大人の対応なのね。」
「春子、最善だろ。」
「そうね、折角だから最大限に利用しましょう、一郎兄さんの会社へ学生社員を送り込み十年後ぐらいを目途に実権を握り乗っ取るとか考えてみない?」
「悪く無いな…。」
「それなら、三郎を社長にしよう。」
「あのさ…、どうして次郎兄さんは僕を祭り上げたがるのかな?」
「俺の弟は大企業の社長なんだぞって自慢出来るじゃないか。」
「自分が社長になれば良いじゃん。」
「いや、社長より副社長の方が気楽で良いんだ。」
「大輔さん、次郎兄さんはクビにするか、平社員に降格させない?」
「そうだな、会長の指示とあっては…、まずは皿洗い業務担当でよろしいでしょうか?」
「うん、お母さん、後片付けは次郎兄さんがしてくれるからゆっくりしててね。」
「では、私達は企業を裏から牛耳って行く計画を立てましょうか。」
「まずは新入社員を如何に洗脳して行くかだと思うな。」
「三郎くんは何かアイディアが有るの?」
「麻衣さん、就職した時って一番下の立場ですよね。」
「でしょうね、普通は転職しても取締役にはなれないわ。」
「でも、いずれは自分達の力で会社を牛耳ってやるんだという気持ちが有ったら、仕事に対して取り組む気持ちが変わりませんか?」
「う~ん、普通の新入社員ってどんな気持ちで就職するのかしら。」
「いずれは社長に、なんて考える人は僅かみたいですよ、でも、一人の力では無く集団の力で、しかもその集団は闇の存在で密かに企んでいるとしたら、参加したくなると思いませんか。
 それが悪事では無く、企業を改革して社会により貢献できる存在にする事を目指しているのだとしたら。」
「ふふ、組織の構成員によって社内で洗脳が進めばってことなのね。」
「その為には掟が必要なのですよ。」
「三郎くん、掟が有って洗脳となると宗教団体みたいな展開になるの?」
「そうだな~。」
「秘密結社の拠り所はボスの人格じゃないかしら。」
「友香はボスに心当たりが有るのね。」
「勿論よ。」
「お~い、誰か片付け手伝ってくれないか~。」
「次郎、ごめ~ん、大好きな弟と大切な話をしてるからさ、残しておいて良いわよ、後で片付けるから。」
「麻衣さん、次郎兄さんを甘やかしては駄目よ、追い込んで行けば楽に済ます方法を考え付くから。」
「そうなの…。」

「母さん、食器洗い乾燥機を試してみようか、大輔が株で儲けたって自慢してたからお金の心配はいらないよ。」
「次郎兄さんも稼いでるのだから少しは出しなさいよ。」
「はは、皆で出し合えば一人当たりの負担は少なそうだね。
 企業乗っ取り計画の前に、食器洗い乾燥機導入計画を検討しようか。」
「うん、パソコン立ち上げるね。」
「ふふ。」
「真子ちゃんどうしたの?」
「なんかさ、家族って良いなぁ~って思ってさ。」
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バトル-43 [高校生バトル-05]

「次郎、片付け有難うな。」
「大したことじゃないさ、如何に効率良く片付けるか考えてたからね。
 友香さんや麻衣が三郎や真子ちゃんと話す時間を作りたくて、大輔には俺が片付けるって話しておいたんだ。」
「台本が有ったのか?」
「いや、大輔のアドリブだよ。」
「どうだ、大輔くんとテレビに出てから変化は有ったのか?」
「学生社員を希望する人が増えて人事部が忙しくなったかな。
 最初の待遇はバイト並みだけど、企業に就職する時と同じステップを意識して就活のアドバイスを考えてるからね。」
「大変そうだな。」
「スポンサー企業の人事部が協力してくれてるからそうでも無くてさ。
 二年生の希望者でも、就職情報を貰ってどんなスキルを身に付けたらプラスになるのかを考え、給料はいらないから実習させて欲しいという学生もいるぐらいなんだ。
 三郎達の英語チャンネルは特に希望者が多くてね。」
「給料は払ってるのだろ。」
「勿論さ、でも彼らなりに仕事と自身の学習を分けて考えてくれてるから、こちらとしてもネイティブの講師と話す時間を作り、英語オンリーで仕事して貰ってるよ。」
「そういう環境だから三郎の力も伸びてるということなのかな。」
「女子学生は三郎と楽しそうに話してると聞いたよ、中には給料以上の交通費を使って収録の手伝いに来てる子もいるとかでね。
 それでも英語の学習になるし、三郎と話せるからメリットしかないのだとか。」
「三郎の人気は相当なものだな、それで学生社員の増加に見合った業務拡張も考えてるのか?」
「ああ、対象に中学生も含めたでしょ、これからは資格試験を視野に入れるだけでなく、生涯教育の一環として、広く門戸を開いて行こうと考えているんだ。
 システムの増強が進んだから積極的に展開しても大丈夫みたいでね。
 内容も大学レベルのバトルや講座とか、誰もが参加出来るクイズ番組も予選から勝ち上がって行く形でね。」
「それは良いかもな、歴史なら中高年が参加したがるかも。
 高校生バトルを娘と取り組んでいる内に、自分の実力を高めたくなったと言う人もいるからな。」
「本当に学ぶ気が有ったら直ぐにでも取り組めるよ、学歴の為の学習では無く知的好奇心を満たす為の場として、高校生バトルを拡大発展させ、教育の在り方を変えて行く、そのステップとして高校生バトルと高校生バトルサポートカンパニーの合併になったんだ。」
「社名はどうするんだ?」
「まだ検討中だけど、高校生バトル、中学生バトル、数学バトルと言った今まで使って来た名称を前面に出して行くからどんな社名にしても影響は無いと思ってる。
 個人的には、三郎と愉快な仲間達と言うのを推しているのだけど三郎に却下されてね。」
「はは、次郎は三郎に拘りが有るのか?」
「年功序列の真逆なのだと分かって貰い易いでしょ、勿論、三郎の人気にあやかりたいというのも有るけど。」
「ホントに兄弟仲が良くて嬉しいぞ。」
「春子が生まれた時には兄貴と大切にしようって約束したし、三郎が生まれた時には大輔と春子と四人で、そこに麻衣が加わり…。
 自分達が大学へ入ってからは、春子が三郎を見てくれてた。
 友香さんも三郎や真子ちゃんを大切にしてくれそうだからね。」
「三郎をバランスの取れた優しい子に育てようとした事でお前たちも真っ直ぐに育ったのかな。」
「う~ん、それは有るのかな、大輔が春子に告白する時に俺達とも義兄弟の契りを結んでさ。」
「へ~、そんな事をしてたのか。」
「あの頃は三国志を読んでたな~。」
「大親友だと思ってたが、実はその頃から義兄弟だったのだな。」
「あっ、最初に義兄弟の長兄を三郎にしようって言い出したのは兄貴だった。」
「そんな話、三郎も知ってるのか?」
「知らないと思う、これから兄弟姉妹になる八人で新たに誓い直そうかな、そんな我が家のヒストリーを、ミュージカルのネタに…、日本では誰もが知ってる様な三国志だけど、欧米とかではどうだと思う?」
「歴史的な関係は弱いだろうから…、逆に異文化として新鮮さを感じて貰えたら面白いかも知れないぞ。」
「そうだな、ちょっと指示を出して来るよ。」
「正月休みに仕事のメールなのか?」
「大丈夫、多分暇してる奴らだから、ついでに我が家の自慢話も送ってやろう。」
「嫌がられない程度にな。」
「三郎達のネタに飢えてる奴らだから大喜びさ、さっき写した写真を送れば、すぐさまYouTubeに解説付きでアップされるよ、彼らの暇つぶしになりながら社の利益になるんだ。」
「ファンが多くなると簡単に稼げてしまうということなのか?」
「ああ、マジな話し三郎がいなかったら滅茶苦茶時間が掛かって、大した成果が上がって無かったと思う、能力の高いスタッフは少なからずいるのだけど、三郎の魅力には勝てないんだよ。」
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バトル-44 [高校生バトル-05]

「春子、昨夜は遅くまで話し込んでたみたいだな。」
「うん、冗談半分で始めた話が真面目な方向へ進んでね、ねえ、お父さんの会社、労組ってどうなの?」
「労組か…、うちは労使の対立が有る訳でも無く有るには有るが…、社長がまともだと存在理由が弱くなるのかもな。」
「そういう感じなのね、でもさ、ブラック企業には必要な存在でしょ?」
「そう言う企業は組合活動を抑え込んだりしてるのではないかな…、現実的に考えて労使関係が悪くて組合活動が盛んな企業に魅力を感じない…、ブラック企業と言うのは今ひとつイメージ出来ないのだが。」
「日本では労働組合の活動が盛んでは無いのでしょ、でも非正規雇用とか労働関係の問題は有る訳で…、昨夜、最初は秘密結社とか冗談っぽく話してたのだけど、若い労働者が中心となって新しい組織を作り企業を変えて行く事は出来ないのかとなってね。」
「壮大な話しだな。」
「うん、でも、高校生バトルを通して洗脳して行けば出来なくも無い話、まずは学生社員の意見を聞く所から始めるのだけど。」
「始めるのか?」
「学生社員の一期生が大学を卒業して就職して行くのだけど、そのまま私達との繋がりを無くしてしまうのは残念でしょ、核になる組織を作る事に成功したら色々な可能性が広がると考えてね。」
「そうだな、学生と社会人とでは…、具体的にどんな活動を想定しているのだ?」
「就職し慣れない環境で戸惑ってる人に対して助言して行く環境作りとか、転職したくなった時のサポートとか、仕事に関係する事だけでなくサークル活動を所属を越えて行ったり婚活の手助けをしたりと、表向きはね。」
「表向きなのか?」
「その裏で仲間同士が協力し合い企業内で力を伸ばし重要ポストを狙って行くとか、新しいスタイルの企業を立ち上げるとか。
 無力な若手社員でも協力し合えば職場の改革が出来るかも知れないし、起業を志す人の支援もね。」
「それだけの上昇志向が一般的な若者に有るのかな?」
「そこは意識改革、洗脳よ、高校生の内から大学に入学する事を目標とせず、就職後の事や起業を考える番組をYouTubeで展開して行くの、ミュージカルのテーマにもしてね。」
「そうだな、登録者数が桁外れに多いチャンネルは、その影響力も半端ないのだろうな。」
「うん、それだけに慎重さが必要なのだけど、私達には優秀な仲間がいるからね。」
「だが、人数が増えて意見が分かれる事は無かったのか?」
「そんな時は、三郎の判断。」
「社長の大輔くんではなく?」
「意見が分かれる時ってその根拠が曖昧でどちらでも良い様な事が多いのよ、だから三郎が決めたら皆がそれに従うみたいな感じ。」
「実際にそんな事が有ったのか?」
「何度か有ったけど三郎の判断で問題は無かったの、大学生達は意見が分かれた時の判断に対して学ぶ事が出来たみたい、どちらかを選ぶかより、決められた事を協力して進めて行く事に重きを置くべきかもって。」
「それは有るかもな、春子、企業のトップはワンマンか合議制かって話聞いたこと無いか?」
「ホントは合議制性が理想なのだろうけど、それだと判断が遅くなるのでしょ。
 ワンマン社長の即断即決が間違っていても、優秀な社員がそろっていればそれを正解に出来るとか。
 単純な話ではなく、トップが魅力的な人物だったらと言う前提が有るとは思うのだけど。」
「はは、そこまで分かってるという事は…、三郎はリーダーとして魅力的なのかな。」
「一つだけはっきり言える事が有ってね、三郎には邪心が無いのよ、純粋に最善策を考えて判断する。
 大輔さんと次郎兄さんが三郎を会長職にしたのは正解だった、そう話してくれる人は多いのよ。」
「ふむ、次郎や春子では微妙に腹黒さが滲み出てしまいそうだからな。」
「お父さんたら~、腹黒いのでは無く大人の判断が出来ると言って欲しいな~。」
「はは、大人は腹黒いって思ってるのだろ。」
「そんな事無いわよ、お父さんは素敵な大人だとずっと思ってるわ。」
「おいおい、真面目な顔をしてても目が笑ってるぞ。」
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バトル-45 [高校生バトル-05]

「春子、高校生バトル利用者調査の結果は見たか?」
「ええ、もっと活用して欲しいけど…、広告収入で運営しているという事で公的な機関が宣伝しにくいという一面が有るみたいね、次郎兄さんもコメントを見たのでしょ。」
「そこなのだが、広告なしの有料会員とかはどうだろう?」
「う~ん、広告がそれ程邪魔になってるとは思えないから利用者にとってメリットが無いと思うな、それより、広告なしのシステムを構築して、学校とかに売り込むってどう?
 学校単位で順位を付けられるとかクラス対抗、チーム対抗バトル、個人戦とかの付加価値を付け加えてさ。」
「そうだな…、料金設定が難しくなるのか…。」
「いっそ、学校の情報教育系をハードも含め維持管理全て請け負うとか、それぐらいの余力は有るでしょ。」
「余力か…、佐伯さんや兄貴と相談になるが…、全てと言うのはハードルが高そうだな、全学生社員の母校に対して営業を掛けて貰いその結果を見ながらか…、公立の場合は県や市町村にもアピールする必要が有るだろうな。」
「大学生の母校より偏差値の低い高校が狙い目じゃないかしら、まともな授業が出来てない高校が有ると聞いたわ。
 「そうだな、需要は有りそうだ。」
「授業そのものの見直しも提案してみたらどうかしら、例えば…、十分程度の解説後にバトル開始で生徒が集中し易い様にしたり、各自自分に有ったレベルに合った問題に取り組むとか、バトルの結果データをそのまま評価に使えるし、カンニング防止システムも教室なら構築し易いでしょ。」
「うん、その辺りをベースに売り込める形を検討して貰うよ。」
「今の社員で出来そう?」
「足りなくなるだろう、長期的な視点も必要になるから学生社員だけでなく大学卒業後も働いてくれる人を増やして行くべきかな。」
「後輩に席を譲る為に就職と言う人が多いみたいだけど大丈夫なの?」
「場合によっては、一般向けの求人活動をスタートさせる事にするよ、学生社員は労働時間が限られてしまうからね。」
「人件費は大丈夫?」
「スポンサー企業との関係が良好だから余裕は有る…、なあ、あるスポンサーの担当者から、新年の挨拶ついでのメールを受け取った奴がいてな、三郎を中心にCM出演の打診が有ったと報告して来た、まだ冗談半分の話なのか真面目な話しなのか分からないそうだが。」
「三郎のイメージを悪くしない企業なら乗っても良いと思うわ、真面目な話と受け止めた事にして進めてしまっても…、ギャラにもよるけど…、うちのチャンネル登録者数を考えたら向こうも安くとは出来ないでしょう。」
「そうだな、後は三郎次第か。」
「何事も経験だと思ってるし、新規で組織を展開して行く話を自身がしているのだから資金の必要性は分かってる筈、我らが会長は快く同意して下さると思うわよ。」
「高校入試が有ったり、ミュージカルとかの撮影も有るだろ。」
「CM出演が真子ちゃんと一緒で無かったとしても撮影には同行して貰うし、三郎が人気なのは充実した日々を過ごしてる事が演技で無く、そのまま人に伝わっているからだと思うのよ。」
「あっ、自然な演技をしてると思っていたが、今のそのままという事なのか。」
「演技なんて誰も教えてませんからね。」
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バトル-46 [高校生バトル-05]

「次郎兄さん、新規の企画を立て続けにスタートさせて行く事になるけど大丈夫なの?」
「ああ、実際のスタートは大学の試験に一区切りを付けてからになる、春休みに入れば学生社員に余裕が出来るんだ、業務を拡大して行くと人手が足りなくなりそうだが、一気に拡大する訳では無いから問題ないだろう。
 三郎は色々調べて提案してくれてるが時間的に大丈夫なのか?」
「うん、高校の予習は目標としていた所まで済ませたからね。
 ねえ、改めて県内の高校を見直してみたのだけど、ホントに様々だよね、高校生バトルのシステムを売り込むにしても学校毎に調整する必要が有ると思うのだけど、その辺りはどう考えているの?」
「偏差値の低い高校に関しては学校改革も含めて提案して行く事になると思う、今まで弱かった商業科や工業科の学科についても、資格試験を絡めて見直して行く事になるだろう。
 時間は掛かるが、学校改革のカギになる可能性を感じているよ。」
「パソコンを活用した授業を充実させて行くってこと?」
「少なくとも点数を付けて評価するという教師の作業はかなり減らせるだろ、春子に言われて佐伯さんに確認を取ったのだが、教室でなら不正対策が取り易くテストでも使えそうだよ。」
「でも、漢字とかのテストでは手書きの解答も必要でしょ。」
「それも、OCR、Optical Character Recognition、光学文字認識の技術を使えば、簡略化出来るんだ、スキャナーからパソコンに取り込み正解と判定されたものには丸を自動で、それ以外は先生が見て許容範囲かどうかを判断、その判断をAIに入力し続ければ許容範囲を決定づけて行く事も可能だけど、その辺りは教師の判断に差が有る事とコスト的に微妙だそうだ。」
「あっ、Optical Character Readerか、癖の有る字をどう判断するかが問題なんだね。
 パソコンが普及してるからキーボード入力に慣れる事が必要と言う人と、手書きを無くすべきでは無いと言う人と分かれているよね。」
「まあ、バランスだろうな、手書きを全く無くす訳には行かないだろう。」
「学校サイドはコスト面をどう考えると思う?」
「教師の負担を大幅に減らす事が出来、何割かの生徒はバトル感覚で力を伸ばせるだろう、特にやれば出来る子系がゲーム感覚にはまると大きな成果を出す事が確認されているからな。
 高校入学後に実力アップと言う評判が広がれば、学校にとって安いものとなるさ。」
「全員が、とはならないんだね。」
「思い切った授業改革を並行して行う事が出来れば結果はもっと違って来るのだろうが、九九すら怪しい子には難しい数学をパスさせ、基本計算をきっちり教え込んで卒業させた場合、それを高校卒業と認められるのかどうか、現状は何も理解出来てなくても補習とかでクリアした事にして卒業させているみたいだけどな。」
「何の為の高校なのかって…。」
「もっと議論して行くべきだろうな、社会に出て行く前にホントに身に着けておくべき事は何なのかとかさ。」
「今は無駄が多そうだけど、そこを高校生バトルのシステム導入で改善出来ると考えて貰えたら、我が社は安泰ってことになるのかな。」
「まあ、正月休みにゲーム感覚で高校生バトルに取り組んでくれた大人が結構いたみたいだから、今でも安泰だと思ってるよ。」
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バトル-47 [高校生バトル-05]

「春子、大学合格おめでとう。」
「有難う、でも今年は慶事が多過ぎて大学合格程度の事がめでたいのかどうか微妙なのよね。」
「いや、地元の国立とは言え苦労して入る人もいるのだから、そんな人の為にも推薦での合格を喜ぶべきだぞ。」
「そうね、嬉しそうにする様、気を付けるわ。
 ねえ、お父さんとしては何が一番嬉しいの?」
「何がと言われてもな…、一郎が転職して帰って来るし、次郎は大学を卒業して帰って来る、春子も含め三人には結婚の予定が有って、三郎と春子の進学…、立て続けに有る予定はどれも嬉しい事だよ。」
「やっぱり兄さん達が帰って来るのが一番なのかしら。」
「家族だからな、でも、お前たちの会社が当初思ってた以上に勢いが有るのも嬉しいかな。
 まあ、子ども達の為に働くという意味合いが薄れてしまって、少し寂しくは有るが。」
「ふふ、その分、孫達の為に蓄えておいてね。」
「子どもは何人とか考えてるのか?」
「そうね、真子ちゃんはまだ現実味が無いみたいだけど、義姉さん達はうちの一族を増やすつもりでいるわよ、お父さんも子育て手伝ってね。」
「ああ勿論だ、春子は学生結婚後の事をどう考えているのだ?」
「卒業を急ぐ理由はないでしょ、子どもが出来たら子育てしながら、無理せずベビーシッターをお願いするつもりだけど、保育所の設立も考えていてね、私達兄弟の子や社員の子を中心に受け入れ、人任せにするのでは無く私達も運営に関わって行くとか。」
「面白いかもな、お前たちの集落予定地に建てるのか?」
「ええ、周辺の川や散歩道をどう整備して行くのかも相談していてね。
 沢山の家が立ち並ぶニュータウンではなく、新しい集落としての理想像を描いてるの。」
「そうなると、小学校とかも設立か?」
「学校法人の立ち上げは兄さん達も意識してるわ、小学校を始めるのなら高校生バトルの付属校みたいな位置づけにし、どんな教育をしているのか公開、本やYouTubeで稼いで設備を充実させて行こうとかね。」
「私立だと運営が大変そうだな。」
「その代わり自由度が高くなるでしょ、不登校児向けの展開も大胆に出来るわ、ネットを利用した教育システムがうちの得意分野だけど、ここは自然環境に恵まれてるから遊びに来て貰っても良いでしょ、どうしても集団に馴染めない子は、そのまま通信教育で就職までの道筋を共に考えるみたいな事もしてみたいかな、まだ具体的な話しにはなってないけどね。」
「お前たちの話は壮大なものが多いが、優秀なスタッフが集まりさえすれば決して不可能では無いと思うよ。」
「でしょ、でも優秀なスタッフを集めると言うより、高校生バトルなどの展開で育て洗脳して行けば良いのよ、お正月に相談してた事も学生社員達は賛同してくれて、就職して行く人達の中には具体的な構想を話し合ってくれてる人達もいるのよ。
 うちのスポンサー企業に就職する人は、うちとの結びつきをより強固な物にして行く方法を考えてくれてるしね。」
「やはり、学生社員になった人達は意識が高いのだろうな。」
「麻衣さんはそれを強く感じてるみたい、有名私大でも意識の低い人は少なからずいるそうでね。」
「だろうな、意識の高い大学生ばかりだったら、世の中もう少しバランスの取れた社会になってると思う。」
「そうね、バランスの取れた社会は私達の大きな目標でも有るけど、ハードルはチョモランマよりも高くて…。」
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バトル-48 [高校生バトル-05]

「三郎、高校合格おめでとう。」
「お父さん有難う、でも合格して当たり前だから、それ程めでたくもないかな。」
「それでも、かろうじて合格と言う人もいるし不合格になった人もいると言う事を忘れるなよ。」
「うん、親しい友達以外と話す時は慎重に言葉を選ぶ様にしてるからね、自分の印象が悪くなると、そのままカンパニーの評価を下げる事にも成り兼ねないでしょ。」
「ふむ、会長としての責任を自覚しているのは良いが、それが重荷にはなってないか?」
「もう慣れたよ。」
「ははそうか、それで、三郎は義兄弟…、義兄弟姉妹の長兄になったのか?」
「させられた、年功序列の逆だから面白いとか、バランスが良いとか、あの六人が相手では歯が立たないよ。」
「真子ちゃんはどうなんだ?」
「義兄弟姉妹という考え方に喜んでた、婚姻による義理の兄弟とは一味違うし、僕らにとっての結婚は先の話しで、真子ちゃんの為に誓い合ったとも言えるからね。」
「なあ、先々離婚とか真子ちゃんと別れるとかも想定しているのか?」
「どうなっても義兄弟姉妹の契りを尊重して行く事になってるけど、兄弟が近くに住み協力し合って行く事も有って、そうなる確率は低いと考えてるよ。」
「そうだな、離婚した奴らとは雰囲気が違う、長兄を尊重して行く姿勢を皆が持っているのなら…、一番の年下が長兄と言うのは良い形なのかもな。」
「何事もなければ、普通に末っ子だけどね。」
「はは、考えてみれば会社での立場も面白いな、三郎が会長で大輔くんが社長だが、一郎や次郎以上に春子が一番強いとも感じられるだろ。」
「う~ん、どうかな、確かに春子姉さんの存在は大きいけど、皆、論理的に考えてるし、社員の声を尊重しているからね、学生バトルを構築して来た先生方は大人の立場で助言して下さるし。
 まあ、意見が分かれるのは、どちらでも良い様な事が多くてね。」
「あっ、春子も言ってたな、そんな時は三郎の判断なのか?」
「うん、多数決ではなく僕の判断を尊重して貰う事で決定後の動きが良いと大輔さんは評価してるんだ。」
「そうだな、三郎と言う特別な存在の判断ならそれに従おうと思い易いのかもな。」
「ワンマン社長とか独裁者の立ち位置の様な気もして微妙なんだけどね。」
「いや、人はリーダーを必要とするものだからな、判断を下した後は任せているのだろ。」
「勿論だよ、でも報告は貰ってて、必要を感じたら次郎兄さんを通して指示を出して貰ってるよ。」
「意見が分かれて判断に時間を掛け過ぎるより効率的で、指示を出しっぱなしで無いのなら、学生社員の理解は得られていそうだな…。
 真面目な話し、会社の連中に聞かせてやりたいぐらいでな、どうでも良い事に時間を掛けてる奴がいるのだが社内のパワーバランスと言うか…、なあ学生同士で指揮系統はどうなってるのだ?」
「一般的な企業をイメージしているから普通の会社と同じだけど、上司の指示に問題を感じたら取締役会に報告して貰っている。
 その報告は専属スタッフが内容を吟味し対応策を検討、取締役会の承認を経て実行、報告を受けた段階で大輔さんが直ぐに指示を出す事も有るけど、そこまで急ぐ必要の有る案件は少なくてね。」
「専属スタッフや大輔くんの判断はどう感じてる?」
「常識的な判断がなされていると思うよ、元々価値観の近い人が集まってるからね。」
「う~ん、学生社員同士だと年齢差が少なくて、一般企業よりスムーズに行き易いのかな、サークル活動みたいなノリでもあるのだろ?」
「そうだね、大輔さんは学生が企業活動について学ぶ場だという事を強調しているんだ、だからか問題にぶつかった時は皆で相談し乗り越えることが前提だと考えてる人が多いみたい。
 今度卒業して行く人達は後輩達の為に様々な失敗談や成功例を整理し残してくれて…、それは会社の歴史で有り会社の財産だと思ってるよ。」
「そうだな、私が就職した頃と今では随分変わってしまった、三郎、負の歴史を増やさない様にな。」
「うん…、ねえ、お父さん、これから就職する人の為に、そんな負の歴史によって生み出されてしまった上司の話とか、匿名で良いから紹介出来ないかな。」
「おっ、私にも出番が有ると言うことか、そうだな考えてみるよ。」
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バトル-49 [高校生バトル-05]

「お父さん、なんか嬉しそうね。」
「ああ、三郎が私に課題をくれてな。」
「へ~、どんな?」
「これから就職する人の為に、経験談を紹介して行くってとこかな。」
「私達の会社は歴史が浅く経験豊富な社員は少ないものね、三郎も気にしてたのかな。」
「だと思う、それで少し考えていたのだが、組織は色々な人によって構成され、組織に対する思いも様々だろ、全くの他人が利害関係だけで協力し合っているとも言える。
 お前たちは兄弟で有り義兄弟でも有るから事情は随分違うのだろうが。」
「それだけでは無いわ、三郎に憧れてる人や兄さん達の事を子どもの頃から知ってる人も少なからずいるからね、特に撮影スタッフは地元の学生が多いのよ。」
「そうか、そう考えると普通の企業とは大きく違うのかな…。」
「お父さんの会社も地元の人が多いのでしょ。」
「まあな、でも、社員間の繋がりはそれ程強くはない。
 一郎や次郎と共に高校の学園祭を盛り上げて来た連中とは団結力が全然違うよ、社長が人格者で有ってもね。」
「確かにスタートは学園祭の延長みたいなノリだったかな、そんなノリが各地の学生に広がって。」
「直接有った事の無い人ともスムーズな交流が出来ているのか?」
「うん、一郎兄さんの助言で、テレビ電話を利用し直接会えなくても互いの表情が分かる形で交流する事を推奨したの。
 メールは簡単だけど相手の事を知らないと誤解が生じることも有るでしょ。
 メールだけで作業が進んでいても、必ず定期的にテレビ電話で対話する、話の内容は仕事に関係の無い事でも良いからね。」
「在宅勤務でも、社員間の交流を重要視したという事か。」
「単純に効率だけを考えたら無駄に思えるかも知れないけど、とても大切だと思うの。
 会社が立ち上がってから兄さん達ともテレビ電話で話す様になったのだけど、伝わる情報量が全然違うと感じてね。」
「成程な、今時のお年寄りたちは孫の顔を見ながら話せるとかで、テレビ電話を使いこなしてる人が多いと聞くが、そう言う事なのだろうな。」
「実際に会うのが一番なのだけどね、それで三郎からの課題はどうするの?」
「私のちっぽけな経験談だけで、春子は満足するか?」
「そうね、卒業生が後輩の為に残してくれるものに負けてしまっては残念かな。」
「いっその事、組織論、経営学を踏まえ、まずは高校生向けに会社組織のレクチャーから始めてだな、誰しもが何かしらの組織に所属するという前提で、組織と個人の関係とか対人関係とか…、具体的な形はこれから考えて行くが、今の学校教育には欠けているとも感じて、なあ、春子はどう思う?」
「う~ん、一つの教科として中学生から大人までが学ぶべき事なのかも…。
 少しづつは取り組んでいるけど、もっと大きく捉えて教育体系を構築して行くべき事なのかな…。
 単純な組織論ではないのでしょ。」
「ああ、組織の構成員が組織の事を考える、日本と言う国家組織の構成員で有る国民が、偏向報道に流されず冷静に考えるとか、考え始めるときりが無いのだがな。」
「ふふ、三郎の課題からは随分離れてしまいそうね。」
「それでも、課題から導き出された提案としては妥当な線だろ。」
「良いのだけど、三郎がそっちにのめり込むと…。」
「時間的な問題が有るのか?」
「う~ん、微妙だけど、三郎の判断に任せるわ、場合によっては大輔さんにお願いして三郎が直で指示出来るスタッフを増強して貰うから。」
「三郎には直属の部下がいるのか?」
「ええ、私達の長兄としてリーダーシップを発揮して貰えたらと考えていてね。
 人の心を引き付ける魅力は、兄さん達の比では無いでしょ。」
「一郎や次郎だってなかなかのものだと思うが。」
「でも、次郎兄さんがテレビに出ても大した反響は無かったの、三郎がテレビに出たらどうなるかを計算出来た人がCM依頼をして来たのよ。」
「そこまで高く評価されているのか…。」
「ルックスも性格もお父さんとお母さんの良いとこだけを受け継いでるでしょ。
 会長としての行動を身近なスタッフが少しずつSNSで漏らしてる事もあって、注目度はかなり高くなってるのよ。」
「その辺りは春子の策略なのか?」
「まあね、知りたい存在の事が全く分からないと飽きてしまう、でも少しずつでも知る事が出来たら、そして、その内容が色々な意味で萌えるものなの、元々みんなの弟として売り出しているからか…、お年寄りですら弟だと思って妄想してると聞いたわ。」
「そ、そうなのか…。」
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バトル-50 [高校生バトル-05]

「次郎兄さん、社会学としての社会組織論と言う名称は取り敢えずのものなのね。」
「ああ、学校教育の場に組み込まれる可能性は低いが、組み込まれる事を意識した名称にしたくて検討中なんだ。」
「色々な意見が出て来て、お父さん、喜んでいたわよ。」
「はは、ぼんやりとは考えていたテーマだが形を整えて行く良い切っ掛けになったな。」
「ふふ、子ども達ばかりが団結して仲間外れ気分だったのだとか、兄さんの部下として雇う?」
「同族企業だと認知されてるとは言え、そこまでやってしまうのはマズイだろ。
 でも、情報を流して中間管理職の視点で助言して欲しくは有るかな。」
「三郎が提示してくれた流れには、親としての観点も必要だものね。」
「ああ、とてつもなく大きな問題で、一つの学問として体系的にまとめて行く事は難しいが…。
 生まれるまでは母のお腹の中で守られてたのが誕生と同時に社会の一員となる、に始まり…。」
「ひたすら守られる存在でも、周囲に影響を与え始めるのよね。
 三郎が生まれて、とても嬉しかったことは、しっかり記憶に残ってるもの。」
「そこから成長と共に集団や社会との関わり合い方が変わって行く。
 この辺りの事は小学生にも、もっと考えて貰うべきだと思うな、個人と集団の関係、いじめの問題を絡めながらね。」
「それなら三郎のちっちゃい頃の写真は沢山有るから、社会組織論(仮)の導入は、三郎の写真をスライドショー形式で見せながらにしても良いわね。」
「ああ、導入部ぐらいは柔らかくしておかないとな。
 組織や社会をテーマに話を広げ整理して行くと、単純に語れなかったり意見が大きく分かれそうな話も出て来るだろ。」
「国家組織と言う視点、会社組織と言う視点など、三郎が整理し易い形を提案してくれたけど、各テーマ毎に様々な問題を抱えているものね。
 三郎の提案に対して、学生社員の反応はどうだった?」
「より良い社会組織構築は人類永遠のテーマな筈なのに、教育現場で軽視されて来たのでは無いか、と言う指摘が有ったよ。」
「ふふ、教育者の組織だって問題だらけなのでしょ、本来の教育より利害関係が優先されてたりして…。」
「多様な考えを持つ人達が一つの組織を理想的な形にして行くのは難しいと思うよ。
 うちだって、今でこそ良い感じで回ってるが、これから先の事は分からない、だからこそ研究して行く必要が有る。」
「うん、リーダー論も考えて行かなくてはね、様々なタイプのリーダーが魅力的なトップリーダーの脇を固める事が出来たら、強い組織になると思うのだけど。」
「ああ、合併しても、その方向で行きたいね、大輔は企業の象徴として三郎を立て、組織を強化、社長は交代しながら取締役会を充実させて行くと言う方針だ。
 今は同族企業だが、会社のリーダーを経験させたい優秀な人には積極的に取締役を経験して貰う、勿論取締役社長も含めてのことだが、春子はそんな人材、見つけられそうか?」
「話を聞いてから気を付けてはいるけど、もう少し様子を見てからになるでしょうね、兄さん達からのプレッシャーに怖気付かないだけど強さが必要でしょ。」
「はは、春子の推薦が有れば問題無いと思ってるよ。」
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