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卒業旅行-11 [チーム桜-06]

金沢での二日目は午前中に兼六園を歩いた後、午後は分かれての挨拶回りや小規模の説明会。
その後の夕食時。

「佐々木、感触はどうだった?」
「うん悪くないというか、桜根九州支社の次は北陸支社をとの声を多数頂いた、まあ安藤に伝えておきますで済ませといたけどな、チーム桜金沢本部は条件次第で桜根の支社立ち上げ前に実現できるかもしれない、安藤の方はどうだった?」
「輪島塗をチーム桜オリジナルデザインで仕上げて数量限定の通販って案を頂いた、他にも色々…。
今まであまり縁のなかった旅館を経営してみえる方から桜根傘下入りの打診があったのは想定外だったが。」
「受けるのか?」
「まず明日行く方向でスケジュールを検討してもらってる、桜根の保養施設とすればすぐに経営改善出来るだろうけど、きちんと旅館として再生してみるのも桜根にとってプラスになると思うんだ。」
「う~ん、微妙な部分も有るけど、面白いかもしれないな。」
「輪島塗みたいな伝統工芸と関わる事も初めて、旅館と関わるのも初めて、思ってたよりここは桜根の可能性を広げてくれる場になるかもしれない。」
「そうか、その分大変かもしれないが、今後の活動に良い影響を与えてくれるかもな。」

「隆二、私達の今後の給料が確定したそうよ。」
「あっ、俺のいない内に動いたのか…、ある意味反乱じゃないのか。」
「社長の給料を上げる反乱って聞いた事ないわね、これ見て。」
「う~ん、今までの五倍か、まあ社として無理な額ではないか…、学生じゃなくなるし色々事情が有るから了承するしかないな。」
「やはり横山さんの支援に充てるの?」
「少しはな、でもあそこは色々な支援が集中して来たから、立場上少し控えたい気もしてて…、なあ佐紀、親父は実家の近所に俺達の新居を建てるからって、さっき物件が見つかったというメールが届いた、結婚祝いだそうだ。
で、これから俺達が生活して行くのに、まあ社長としての形を維持して行くのにどれぐらいの金額が必要だと思う?」
「う~ん、私の収入も有るし、子どもを何人育てるかにもよるけど…、ざっくり隆二の給料が半分でも裕福な家庭に分類されると思うわ。」
「じゃあ、その金額で…、そうだな高校生から大学生対象の奨学金に当てたら何人ぐらい面倒みれるだろう、条件にもよるだろうけど。」
「それなら俺だって協力出来るぞ、すでに年齢に相応しくない収入を頂いてるからな。」
「佐々木くん、奨学金関連を研究してる所有ったわよね。」
「ああ情報を貰うよ、安藤はどんな考えなんだ?」
「ほら、祭りの時出会った高校生の山田くんって覚えてるか。」
「彼は、色々アドバイスを受けて進学の道も見えて来たって報告を受けた記憶が有るけど。」
「もちろん俺達のレベルでは援助するにしても人数に限りは有る、でも彼みたいに真面目な高校生を支援したいと思うんだ、金銭面だけでなくね。」
「う~ん、奨学金の問題は聞いた事が有る、返せない問題とか出て来てるよな。」
「俺が目論んでるのはとにかく真面目で優秀な連中への支援だ、支援体制に余裕が出来たら少しづつハードルを下げて行けば良いと思う、真面目に勉強して能力も有るのに家庭の事情で埋もれてしまうという事を何とかしたい。
それと、単にお金の工面をするという事だけでなく高校生活から大学卒業後の就職までサポートをして行きたいと思う、就職先はどこでも構わない、まあチーム桜関連で活躍してくれたら返済額を大幅に減額してあげたいとは思うが、それだけに条件は厳しくなるだろうし、人数も増やせないが。」
「安藤が口火を切れば、それなりの支援が来ると思うよ、桜根が単なる利益追求の集団で無い事もアピールできる、ハードルを高くする事に若干の反発が有るのかな?」
「そんなの、はっきり断りを入れて良いと思うわ、今は上を目指してくれる人、力の有る人と繋がりたい、そうでない人とも何時の日にか、で良いと思うわ。」
「そうだな、しかし安藤達の報酬アップは桜根傘下企業の社長報酬とのバランスを取る意味も有るんだろ、変に気を使わせる事にならないか?」
「別に俺の名前を出す必要もないし、桜根でハードルの高い奨学金制度を始めます、で良いんじゃないか。」
「チーム桜で管理した方が良くないかしら? 普通は基金を運用する形じゃなかったかしら。」
「ああ、それも含めて、まずは準備室を立ち上げるか、関係するチームに打診してみるよ。」
「佐々木、予算的には大丈夫か?」
「グッズが売れてるからな、専従社員の一人ぐらいは大丈夫だし、内容的にボランティアで参加したくなる人も多いと思うよ。」
「条件設定が色々難しそうね。」
「一回目はメチャ厳しくして、そこから様子を見ながら下げて行くとか。」
「まさに試行錯誤となりそうだな。」

「おっともうこんな時間か、遠藤、次期社長候補の方々はどうだった?」
「はは、俺よりう~んと人生経験豊富な方ばかりだからな、この後のイベント収録とか見て貰う様に指示は出して有るから、イベント終了後に安藤社長とも会って貰う事になってるけど。」
「安藤達はイベントどうする?」
「今回はパスさせて貰うよ、色々やることが有るからな、佐々木は出るのか?」
「今日は若干芸能部が弱いから、ゲスト出演で桜子ちゃんと共演させて貰う、演奏は控えめにするけど。」
「それなら聴きたいな。」
「そこだけ安藤の部屋にライブ中継しようか? そこだけ会場でも良いけど。」
「じゃあ遠藤、ライブ中継を頼むよ、佐紀が会場に行くといちいち面倒だから。」
「了解した、指示を出しておくよ、じゃあイベント終了後連絡入れるから、次期社長候補達と頼むな。」
「ああ。」
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卒業旅行-12 [チーム桜-06]

緊張した面持の女性一人と男性二人は制作部次期社長候補達、安藤と話している。

「桜総合学園制作部の事は色々調べて下さったとお聞きしていますが如何ですか。」
「はい、とても魅力的な会社です、学生が関わってる事で活気が有りますし。」
「私は、会社の規模などから自分の力が生かせると思っています、ただ社長でなくともOKと伺いましたから、社長は若い方にお願いして、裏を支える立場になりたいと思っています、如何でしょうか。」
「それは問題ないです、須藤さんの経験を生かして下されば必ず社にとってプラスになると思います。」
「自分も社長にこだわっていません、桜根傘下の優良企業で働く事が出来れば…、作品も色々見させて頂きましたが有名人を使わなくてもこれだけの作品を制作出来るという事に感動しました、ぜひ働かせて下さい。」
「有難うございます、遠藤からは幹部が足りてないという話を聞いておりますので、出来ればお三方とも幹部として入社して頂きたいと考えておりますが如何でしょうか。」
三人ともにうなずく。
「社長は三人で相談して決めて頂けますか、残りの方の役職は遠藤と事務方社員と共に調整して下さい。」
目を見合わせる三人。
「自分達で決めてよろしいんですか?」
「はい、逆に決める事が出来ないと私は不安になるのですが、まずはお互いの事を知って下さい、お三方に大切な会社を預けさせて頂く訳ですから。」
「では少々お時間を頂けますか?」
「どうぞ。」

三人は席を移動、そこへ。

「安藤、仙台と盛岡からの情報をそっちのノートパソコンへ送ったからな。」
「おう、どうだ行けそうか、佐々木?」
「まだ微妙だけど、色々動いてくれるそうだよ、奨学金の話の方も良い反応が返って来てるからな。」
「ごめんな仕事増やしちゃって。」
「何、大した事ないさ、というよりチーム桜として進めて行くべき事だと思ってる。」
「そう言ってくれると助かるよ。」

「社長、一応現時点で入ってる報告の内重要度の高い物だけまとめてノートの方へ送りました。
その内の三件は社長の判断を仰ぎたいという案件です。」
「分かったすぐ見るよ。」
「隆二、パソコン立ち上げたわ。」
「うん…、あ~、やっぱり下請けは厳しいな。」
「ここは設備的に応用がきくんでしょ、うちと関連の薄い関係企業とは縁を切っても良いんじゃないかしら。」
「そうだな、でも単純に切るのではなく一度相手企業担当に会いに行きたいね。」
「分かったわ、秘書室へ連絡入れておく。」
「うん、他の二件は大川さんがいた部署からだな、さすがに部長が抜ける事になってびびってるのか。
う~ん、体制が整うまではフォローするか。」
「どうするの?」
「まあメールを二本送れば済むだろう。」

社長候補達が戻る。

「安藤社長よろしいでしょうか。」
「はい。」
「私が社長としての責務を負わさせて頂く方向で話がまとまりました。」
「分かりました、杉原さんよろしくお願いします。」
「ただ、須藤も榊原も私と同等の責任を持って働いて行きたいと考えています。」
「お願いします、榊原さん、杉原さんを選んだポイントは何ですか。」
「はい、ここに来るまでの道中も三人で話していました、正直スキルは須藤さんが一番だと思います、杉原さんと自分は得意分野に差こそ有れ、能力的に大きな差は無いと感じました。
ただ、桜根傘下を見ても女性社長は少ないと感じています。
ここは杉原さんを表に出して、須藤さんと自分で全力の後押しをしていこうとなりました。」
「分かりました、佐紀、遠藤を呼んでくれるか。」
「はい。」
「後は遠藤と相談して下さい、この旅行はまだ続きますが、引継ぎは早急に進めて行きたいのです、皆さん今後の予定は如何ですか?」
「明日、いえ今日から動きたいです、遠藤社長と打ち合わせをしたら、そうですね三人は旅行に同行させて頂く者と本社での引継ぎを始める者に分かれて、もちろん連絡を取り合いながらですが、如何でしょうか?」
「はい、ただ無理だけはなさらぬ様お願いします、勝手にサービス残業をしたがる社員も多いので気をつけて下さい、全社的に残業は正規のも最低限に抑えてゼロを目指す、サービス残業は絶対禁止の方向でお願いします、役員もそのお手本となって欲しいです。
あっ、今は旅行中の変則勤務ですけどね。」
「分かりました、でも…、とっても働きたいのですが…、社長もずいぶん休みなくと。」
「自分は大学の卒論とか有りましたからね。」
「そうなんですか…?」
「遠藤、自分の方はOKだから、後の引継ぎとかの調整頼むな。」
「ああ、えっとお三方にはまだ紹介してませんでしたが、こちらの佐藤が、うちの事務方をまとめてくれています、五人で話をしましょう。」
「はい。」
「知らない内に佐藤さんまで呼んでいたのか。」
「佐藤さんがいれば話が早いだろ。」
「だな、佐藤さん、ちゃんと観光もして行って下さね。」
「安藤社長有難うございます。」
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卒業旅行-13 [チーム桜-06]

金沢での三日目、桜根傘下入りを希望する旅館の視察を終えて。

「佐紀、旅館は難しそうだな、人を引き付ける魅力が有れば安定した経営も出来るのだろうけど。」
「まずは改装かしら、どれくらいの費用を掛けるかは料金設定によっても色々変わって来るわね。」
「北陸支社が出来た時に活用したいから、社長クラスの方にも満足して頂ける部屋が必要だと思うな。」
「そう考えると金沢中心部からの近さはプラス材料ね。」
「まずは北陸支社開設へ向けての準備室を旅館に置こうか。」
「社員の宿泊場所はとりあえず確保出来たわね、でも旅館名の頭に桜根グループって付けたら勝手に繁盛しちゃいそうなんだけど。」
「まあな、でもその質が低かったら俺達にとってマイナスになるだろ。」
「そうね、という事は旅館の担当社員を誰にするのかも重要になって来るわね。」
「う~ん、山上部長と相談か…、でも人事部も大変だからな、拡大路線を意識して部の体制強化をして来て頂いたけど、ちょっと予想以上のペースになって来てるから…。」
「そうだ、広報部に温泉旅行が好きって人がいるけど、打診してみようか?」
「どんな人?」
「旅館の宣伝活動は大丈夫、色々な旅館の事を知ってそうなの、よく温泉へ行って来ましたってお土産のお菓子を配ってみえるから、ただ経営面の事は経験ないかも。」
「一応話を持ちかけてみてくれるか、広報部に問題なければだけど。」
「広報部は就職希望者が多いの、学生の実習希望も多いし、問題は山崎さんの転勤と業務内容かな…、でもまずは連絡を取ってみるわね。」
「ああ。」

その夜、ホテルで。

「遠藤、新社長達はどうだった?」
「杉原さん中心にまとまりそうだよ、佐藤さんも問題ないって言ってくれた。」
「なら後は任せるよ、でも何か有ったらすぐ教えてくれな。」
「何か有ったら安藤社長にって、杉原さん達にも伝えておいたよ、制作部は桜根の幹に当たる重要な会社だからって念を押しながらね。」
「うん、桜根のというよりチーム桜の幹だと思うよ、マスコミをうまく利用出来たのは遠藤と佐々木のおかげだよ。」
「安藤社長、これからもよろしくお願いします。」
「なんだよ改まって。」
「いや、副社長になるからさ、まあ今までと微妙に違うだけの様な気もしてるけどな。」
「はは、今まで通り組織で動く事の重要性を忘れないでいてくれれば問題無いと思う、お任せする所はきちんと任せてさ。」
「ああ、それは考えてる、新社長を無視して現場を動かす様なことはしないよ、したいけど。」
「はは、なあこの金沢での新案件なんだけど旅館の再生ってどう思う?」
「現状は芳しくないって事か?」
「良くはない、ただ、すぐ倒産というレベルでもない。」
「取り立てて特徴の有る訳でもない旅館なのか、そんなの有る程度改装して社員教育し直して…、料理人の質が低ければ…、場合によっては入れ替えて、チーム桜か桜根グループを旅館名の頭にくっつけて、通販サイトで紹介、予約も出来る様にして、それで客が来なかったら、制作部でチーム桜の挑戦シリーズとして一本番組を作れば、余程の事がない限り立て直せると思ってるんじゃないのか、安藤社長は、まあ最悪は社員向けの保養施設として活用かな。」
「はは、まあそんな所だ、ただ担当者をどうするか…。」
「北陸支社希望は、まだいないのか?」
「数名の希望が有って四月から研修を始める、ただ旅館の経営となると経験者がいないからな。」
「そうか…、まずは一人に任せて、その試行錯誤の様子をうちの動画サイトで公開、チーム桜全体から助言やサポート希望を募るというのはどうだ。」
「ああ、それなら面白いかも。」

「隆二、旅館担当の件だけど今返事が来たわ、やってみたいって、ただ旅館経営なんて素人だから結構不安は有るそうよ。」
「遠藤、広報部の人なんだけど、温泉好きの。」
「佐紀、それってもしかして山崎さん?」
「そうよ、彼女の温泉好きは遠藤くんも知る程なのね。」
「まあな、彼女メインで行くなら…、ついでに周辺の温泉紹介番組も作れる、彼女ぐらいのルックスなら人気が出てもおかしく無いし、頭の良い人だからトレーニングをすればトークも問題ないと思う、それと、山崎さんの彼氏って知ってる? いやまだそこまでには至ってないのかな…。」
「ふふ、何か心当たりが有るのね。」
「制作部に山崎さんの知り合いがいて結構仲良さそうなんだよ、広報部がらみの番組制作の様子を見てて感じたんだけど…。
彼に山崎さんがらみの映像を撮らせて、その光景を別の角度から撮影して二人がどうなって行くかを見守るって番組、面白くないかな。」
「二人に迷惑じゃなきゃ良いけど。」
「うまく行ったら結婚式ですごい作品を見せられるし、だめだったら編集して他の番組のワンシーンぐらいには出来ると思う。」
「ならば制作部からも何人か常駐させるか。」
「ああ、内容が九州支社とかぶっても、北陸の人は地元の動きを知りたいだろうし、色々考えているんだ。」
「人員的には大丈夫なのか?」
「こっちの学生達ともコンタクトをとってるからな、今日は新社長達を含めてアルバイト候補達と会って来たよ、桜根の大きい支社を設立する所には、制作部の支社か出張所か必要だと思うし。」
「そうだな、ただ心配なのは質の維持だが。」
「それは新社長達にも、しっかり伝えたよ、質が下がったら絶対他社に勝てなくなるからって、質を向上させる為に、自分は社長を降りたんだとね。」
「ならば正社員の増員も考えてくれな。」
「ああ、ぼつぼつ転職希望も届いてる、番組制作会社って労働条件が悪い所も少なくないみたいなんだ、結構優秀な人材が流れてくる可能性も有るぞ。」
「そうか…、競争社会だから…、そういう人達をしっかり受け止めて行けるだけの余力は欲しいな。」
「榊原さんは営業担当として、日本中のテレビ局ラジオ局などを回るって話してくれたよ、作品の質が高いから売り込み易いって。」
「社長を杉原さんにして本社を守って貰って…、榊原さんの本心はそんな所に有ったのかもな、須藤さんがバックにいて下さったら安心だろうし。」
「遠藤くん、しばらくは人も機材も増やして行く事になると思うけど、どの程度の規模までかは見通してるの?」
「人の方は学生実習バイト希望者が多いから、そこをきちんと束ねられる社員次第かな、機材の方はサポート企業とも相談してる、リース契約も有るし、まあ制作班の実績に応じて機材も振り分けて行くけどね。」
「予算の方はどう?」
「サポート企業関連のCM制作もさせて貰ってるから、恵まれ過ぎてる環境だよ。」
「はは、知らない内に桜子や裕子が出てるCMが幾つか全国に流れて…、このかわいい子誰?って状態なんだろ。」
「うちと全然関係なかった企業からもオファーが来始めたからな、まあ今の内ならギャラが安いという感覚かもしれないが、ただ裕子ちゃんはともかく桜子ちゃんは撮影クルーが変わると、ちょっとな。」
「大事な姫たちを守ってくれな。」
「もちろんだ。」
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卒業旅行-14 [チーム桜-06]

小松空港から仙台空港へ向かう前の空き時間。

「なあ佐々木、俺達の卒業旅行って働き過ぎじゃないのか。」
「まあ、ちょっとしたイベントの名称みたいなものだからな、卒業旅行は。
遠藤は安藤達と比べたらまだ観光出来てる方だし。」
「彼らは仕事と言っても、毎日がデート気分だろ。」
「はは、そうかもな。」
「佐々木ってさ、かなりもてるのに特定の彼女とか作らないのか?」
「まあ、ちょっと失敗したかもと思ってる、佐紀みたいに早めにがつんと行っとけば良かったかもってさ、気付いたら一人に絞りづらい状況になってしまって。」
「もてる男もつらいって事か、お前人に気を使い過ぎだよ、百人ぐらいの女の子を泣かせても自分の幸せを考えて良いと思うぞ、深みにはまる前に、本命は誰なんだ?」
「まあ、そりゃあ人並みにだな…。」
「どっちなんだ?」
「えっ?」
「ぼやぼやしてたら手遅れになるぞ。」
「そうかもな…。」
「お前が動かないなら、桜根次期副社長として俺がアタックするけど問題ないか? 今まで余裕がなくて何のアクションも起こして来なかったから、玉砕かもしれないが。」
「あっ、遠藤は…。」
「俺は裕子、この旅行中にな。」
「そうか。」
「なんだ、桜子だったのか本命は。」
「何も言ってないが。」
「顔に出てるよ、まあ佐々木の本命と違うからと言って俺には何のプラスにもならないけどな。」
「そうかな、裕子ちゃんは結構遠藤を慕ってると思うが。」
「だと良いけど、でもまあこんな話が出来る所が旅の良さなのかな、あの二人は今回の全日程に参加してくれてるから、あっ、うちは恋愛禁止じゃないし、佐紀に言わせるとどんどん恋愛して独身者に刺激を与えるのも良いって、まあご本人が率先して実行しておられるが。」
「だったな、仙台では安藤達にがんばって貰って、俺達は別でがんばるか。」
「じゃあ、何とかして四人の時間を作って…。」
「遠藤くん内緒話は人に聞こえない様にしなきゃ。」
「えっ、佐紀何時から聞いてた。」
「聞いてたも何も普通に聞こえてるわよ、まあ応援してあげるからがんばって。」
「そ、そう言えばさ合コンプロジェクトの方はどうなの、成果とか。」
「結構カップルが成立してるそうよ、結婚に向けて前向きな人達もかなりの数になって来てるって、お互い桜根傘下で働いていたり、サポート企業関連だったりするから収入面での安心感も有るみたい、容姿とかに自信がなくて結婚を諦めてた人も桜根傘下入りしてから充実した仕事をするようになり、周りの評価が上がって彼女が出来たってパターンも有るそうなの。」
「そうか、一つがうまく行くとそこから良い連鎖が始まって行くって事か。」
「佐々木くんもすぐに結婚まで考えなくても良いのだから一歩踏み出してみたら、この前の演奏は桜子ちゃんも楽しそうだったわよ。」
「ああ、仙台、盛岡はちょっと余裕を貰ってるから…、だめだったら慰めてくれな。」
「はいはい。」
「でも桜根は仙台と盛岡、大変じゃないのか、福岡、金沢と違って準備は進んでないんだろ。」
「そうね、でも通販事業部をメインに据えて地元企業と提携して行く所から始めるの、今までの支社とは違ったスタートね。」
「そうか、それなら初期段階は小さく始められるか、逆に拡大して行くのは時間が掛かるのかな。」
「遠藤、裏で違う取り組みも検討してるんだ、生かされていない国の予算を生かそうというな。
まだその準備の準備って段階だけど。」
「そっちもカメラ入れた方が良いのか?」
「いや、この案件は大人の事情がかなり複雑になる可能性が有って、当分公表出来ないんだ、うまく行かなかったら永遠にな、公開の原則に反するが…、ただうまく行けば現地の人の役に立てると思っている。」
「分かった、まあうまく行った時に再現映像を作れるぐらいの記録は頼むな。」
「ああ、もちろんだ。」

「それよりお二人さんはどこで告白するの、仙台なら佐々木くんを知ってる人少ないから動き易いわよ。」
「確かにそうだな、でも佐々木と桜子ちゃんが並んで歩いてたら、結構目立つぞ。」
「裕子ちゃん達の気持ちを聞いといてあげようか、それとなく。」
「あ~、何か社長になった時よりどきどきする。」
「佐紀の力を借りた方が無難そうだな。」
「OK、温泉につかりながら話してみるわ。」
「うわっ、三人の入浴シーンなんて…。」
「想像しないでね。」
「は、はい。」
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卒業旅行-15 [チーム桜-06]

東北ではまだチーム桜も大きな広がりを見せていない、それでも本体より先に現地入りしている桜根社員達は動き始めていた。

「すいません、こんなとこまで来て頂いて、福岡と比べると全然盛り上がっていないのですが。」
「いえ、その方がじっくりスタート出来ますから、九州支社はペースが早すぎてあちこち大変な思いをしてましてね。」
「まだ協力者の少ない仙台に支社設立という事ですが、うまく行くのでしょうか。」
「うちの通販を取り仕切っている会社の支社をメインに始める予定です、システムは本社で一括管理しますが、業務提携や出荷作業の調整などをここで行います、通販に乗せ易い、もちろん品質の良い産物を扱わさせて頂きます、関東以西では結構売り上げが伸びていますので、すでに通販事業をされてる事業者にとってもプラスになると思います、物が良ければ安売りしなくても売れてますから。」
「徹底的に品質にこだわってみえるとか。」
「はい、こだわりがないと他の通販と同じです、差別化しないと伸びません、Team SAKURAは良質な商品の証しなんです、通販で様子を見てからTeam SAKURA直販店でも扱って行きます。」
「では、私としてはそんな質の良い商品を取り扱っている会社を紹介させて頂けば良いのですね。」
「お願いします、株式会社桜根仙台支社設立準備室を立ち上げます、その前に本社での研修をお願いしたいのですが如何でしょうか。」
「大丈夫です、私自身桜根本社の雰囲気を味わってみたいと思っていましたから。」
「それでは…。」

「東北は大災害が起こらなかったとしても、あちこちで過疎化が進んでいました、何か策は有りますか?」
「正直まだ模索中です、愛知県内の過疎地で会社を立ち上げましたが、チーム桜の協力者が多くて安定しているものの、実際の所バックアップがなかったらかなりきつい状況です。
ただ、バックアップが有ればと考えた時…、この地における不透明な国の資金の流れってどう思われます。」
「良く分からないですね、ほんとに、一気に建設コストが上がってしまったという事情は有るとは思いますが…。」
「その辺りの所を徹底解明することは不可能でしょうか。」
「う~ん、難しくてもやらなければならないですよね。」
「お金の流れに問題が有るのなら、役人の言い分に問題が有るのなら、そこを突いて国民の税金を正しく有効に使う事を、全国のチーム桜メンバーと共に考えて行けば、本当にこの地の為になる資金として生かせないかと思うのです。
チーム桜の社員として働いて頂けないでしょうか。」
「えっ? ボランティアではないのですか?」
「チーム桜としての収入も有りますから桜根と同程度の給料になります、じっくり取り組んで頂きたいのです、将来的には桜根関連への転職も可能です、これまでに頂いたレポートから佐々木代表と安藤社長の指示でお話をさせて頂いています。」
「ならばお受けせざるを得ませんね。」

「自分の会社はほんとに小さくて、社員に給料を払うとほとんど残らないレベルなんですけど、それでも桜根傘下って可能なんですか?」
「そうですね、会社の経営状況を精査させて頂きますが、そこで問題がなければ規模も小さいですから比較的早くゴーサインが出せるかもしれません。」
「大丈夫ですか。」
「扱っておられる商品の質が良ければです、後、売り上げが伸びた時、社長さんの給料は業績に応じてどんどん上がる訳ではないという事を分かって頂けますか。」
「はい、今はぎりぎりですから…。」
「桜根傘下に入るという事は、社長も含めた全員の給料を安定化させるという事を目標にしています。
ですから、立て直しが進んでも、社長の桜根に対する貢献度が低ければ、部長クラスの収入の方が上、という事も有ります。」
「その辺りは理解しているつもりです、私自身オーナー社長から雇われ社長、実績を上げる事が出来なければ、手元に残るのは桜根の株ぐらいと承知しています、でもチーム桜の皆さんのお力をお借りしてでも、もう一度やり直したいと思っています、よろしくお願いします。」
「分かりました、社長のそのお気持ちが有ればきっと大丈夫でしょう、さて…。」
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卒業旅行-16 [チーム桜-06]

仙台での夜、ホテルにて。

「佐紀、今日の午後は温泉だったんだろ、どうだった。」
「なんか、のんびり出来た。」
「いや、桜子ちゃんや裕子ちゃん達と一緒でさ。」
「もしかして佐々木くん達との話聞いてたの? 寝てると思ってたのに。」
「はは、普通聞こえるだろ、一応周りにいた連中には他言無用とお願いしておいたがな。」
「あ~、ごめんなさい、話が面白くてつい…。」
「いいよ、で彼女達はどんな感じなのかな。」
「憧れの存在なんだって、でもまあうまく行きそうな方向かな、裕子ちゃんは遠藤くんに感謝してたし、色々誘導尋問してみたけど告られて断る感じではなかったわ、ただ桜子ちゃんは性格的にいきなりだと素直に返せないかも。」
「そこのフォローはどうするの?」
「まあ多少の紆余曲折が有った方が面白いんじゃない?」
「はは、楽しんでるんだな。」
「ふふ、もちろんよ。」
「でも佐紀は完全に直球勝負だったよな、俺に。」
「だって理子さんもいたし…。」
「はは、正直あの頃は恋愛の事を考える余裕がなかったけど、ちょっと姉さんに相談したら、そんな余裕もなくては社長なんて務まらないって。」
「ふふ、そっか、色々有ったね。」
「だな、でもようやく大学も卒業で、これからまた大変なのかな。」
「そうね、でも…、出来れば浮気はほどほどに…。」
「えっ? 何言い出すんだよ、心配しなくてもそんなにもてないよ、俺は。」
「そこなのよ、社長に就任する前は隆二のほんとの魅力に気付く人が少なかったけどさ…。」
「ごめん、今回の旅行はちょっと強行軍過ぎたな、明日はゆっくりしよう、あせらなければならない様な案件もないから、今から指示を出したら、散歩にでも行かないか。」
「うん。」

「遠藤社長、風呂上がりですか?」
「ああ、くつろげたよ。」
「そうですよね、福岡、金沢は色々忙しかったですから。」
「ねえ、裕子ちゃん今夜は余裕が有るから、少し散歩でも行かないか?」
「はい行きましょう、遠藤社長今回の旅行はお仕事ばかりで、たまにはのんびりしましょうよ。」
「そうだな。」

「佐々木先輩、裕子見ませんでした?」
「ああ、桜子ちゃんに伝言頼まれてた、遠藤と散歩に行って来るって。」
「へ~、裕子頑張ってるんだ。」
「えっ? 頑張ってるって?」
「いえ、何でもないです。」
「今回の旅行中は沢山演奏してくれて有難うな。」
「そんな、今回もほんとに色んな経験が出来て楽しいです…。
即席のオーケストラでも実力者が集まるとハイレベルの演奏が出来るのですね、バイオリンコンチェルトも、実力から言ったら私より上手な方もいらっしゃったでしょうに。」
「そんな事ないよ、桜子の演奏はどんどん良くなってる、人の心に届く演奏が出来てるから、大物シンガーソングライターが指名して下さったと思うよ。」
「はぁ~、あれは緊張したなぁ~。」
「でも満足してみえたそうだよ、そんなに緊張してる様には見えなかったし。」
「前ほどではないかも、遠藤先輩が色々な経験の場を作って下さったから、今回は会場で佐々木先輩も見守っていて下さったし。」
「はは、俺が見てても何の役にも立たないさ。」
「そんなことないです、植物園での演奏を先輩が耳にして下さって、今の自分がいるのですから。」
「そう言ってくれると嬉しいよ、そうだ、俺さチェロを始めてみようかと思うんだ。」
「えっ、どうしてです?」
「まあバイオリンで食ってく気はないから、趣味としてなら有りかと思ってさ。」
「先輩のバイオリン好きなんだけどな。」
「でも、この前みたいなバイオリン二本の合奏よりバイオリンとチェロの方が様になると思わないか?」
「先輩、チェロの経験は有るのですか?」
「まあ高校生の頃に少しだけ、でもこの前ちょっと弾いてみたら、何とかなりそうな気もしてさ、家族の楽しみで演奏するぐらいなら行けると思ったんだ。」
「わ~、先輩のチェロとか~、家族…、子ども達にはピアノかバイオリン、私がビオラを弾いて、ふふコントラバスはさすがに大変かしら、でも管楽器奏者が一人ぐらいいても良いな~。」
「はは、光景が目に浮かぶよ。」
「う~ん…、曲はね…、チャイコフ…、あっ、御免なさい何かとんでもない妄想をしていた様な…。」
「とんでもない妄想なの? そんなに赤くならなくても、それから…、今すぐという事でもないけど、えっと、俺と付き合ってくれないか。」
「え~、え~、ど、どうしよう。」
「こんな時は、素直に、はい、って言えば良いんだよ。」
「はい。」
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卒業旅行-17 [チーム桜-06]

色々有っての卒業旅行十日目、一行は盛岡に来ていた。
旅行の締めくくりとなる埼玉でのイベントに向けてスタッフが集まっていたが。

「色々な意味で内容の濃い旅行だったな。」
「遠藤くん、満足そうな顔してるけど、まだ終わってないからね、むしろこの後の関東が正念場でしょ、それともご自身の恋愛で一本番組を作成する事に夢中とか?」
「い、いや、そんな段階じゃないし。」
「でも、なんか二人ともあっさり行っちゃって、つまんないな。」
「え~、どういう意味だよ、佐紀。」
「私なんか色々有って…。」
「あっ、俺が断られたら良いと思ってたとか?」
「そんな事ないわよ、でも多少の紆余曲折が有った方が見てて楽しいじゃない。」
「ひどい…。」
「はは、まあ俺としては大事な副社長の幸せが一番だからな。」
「さすが安藤社長は偉大です。」
「どうした、楽しそうだな。」
「佐々木もな、それより、さいたま市でのイベントが、ちょっとな。」
「ああ、旅行出発前とはずいぶん状況が変わって来てるんだよな。」
「イベント会場は空席覚悟だったのが満席になったし、桜根本社、チーム桜本部への問い合わせも多くなって来てるらしい、九州支社効果だろうな。」
「芸能部のイベントはともかく、チーム桜幹部の説明会の方は慎重に進めるべきとの事で急遽台本を作成中との報告を受けてるわ。」
「ポイントは東京から周辺地域への分散、そこから地方へと目指せるかどうか、産業の分散化が可能かどうかなんだけど、ハードルは高いよな。」
「まあ、東京にしがみつく様な企業とは現時点では繋がらないという方向性で良いんじゃないのか、
個々の事情を見ながらになるだろうけど。」
「その辺りの線引きは難しそうだよな。」
「関東圏でのスタート時は桜根傘下入りの条件を厳しくせざるを得ないだろうな、傘下入り希望企業が増えて来てるだけにじっくり行かないと足元すくわれそうな気がしている。」
「確かにそうだ、金井、そこら辺りはどうだ?」
「ああ、まだ調査は進んでいない、エリアを絞らないと効率が悪くなるから、比較的傘下入り希望の多い所から着手しているが。」
「思い切って、桜根傘下入り希望企業からの研修社員を費用桜根持ちで受け入れるってどうかしら。
余力の残ってる企業に限る事になるでしょうけど。」
「そうだな、それも検討して行こうか…、何にしても色々取りまとめてくれる人物が必要だな…、吉川さん、東濃支社からはあまり情報が来てないけど、状況はどうです?」
「はい、長江支社長は力の有る方ですから特に問題もなく順調に進んでいます。」
「今、長江さんが東濃支社から外れて頂くという事は難しいかな。」
「どうでしょう…、そこまでは私では判断しかねますが。」
「一度打診して頂けますか? 桜根副社長待遇で関東支社長をお願い出来ないかと、後ほど私からも連絡を入れますとお伝えして下さい。」
「承知しました。」
「安藤、東濃支社は大丈夫なのか?」
「初めての支社だったから長江さんにお願いしたけど、多治見から中津川のエリアなら長江さんでなくても大丈夫だろう、彼なら東濃支社長兼関東支社長でも受けて下さるよ。
まあ東濃支社立ち上げ当初から、短期間で引き継いで下さいとお願いしておいたけどね。」
「しかし東濃エリアからは、あまり情報が来てないと…。」
「その必要が無いほど順調だと判断したのさ。」

「安藤社長、長江支社長が電話を代わって欲しいとの事ですがよろしいでしょうか?」
「ええ、皆ちょっと失礼するよ…。
はいそういう事です、長江支社長お願いします、東濃は大丈夫でしょ、まあ何か有ってもすぐ本社でカバーできますから、副社長もお願いしますよ、対外的にも動き易くなると思いますから…。
ええ、大丈夫です、問題ないです…、では後は吉川さんと…、はい、その時に東濃支社の面白い話を聞かせて下さいね…、はは、楽しみにしてます、では吉川さんと代わります。
吉川さん、お願いします。」
「はい。」

「長江さんOKなのか?」
「もちろんさ、埼玉に来て下さるよ。」
「えっ? 事前に打ち合わせとかしてたのか?」
「はは、彼は迷わない人だからね。」
「一気に関東支社長の発表までさいたま市でしちゃうの?」
「その方が良くないか?」
「う~ん、そうね…、それって決定事項?」
「すぐに桜根幹部全員に連絡を入れて確認を取るけど、多少の反対が有っても進めるよ、えっと川田さん連絡お願い出来ますか?」
「はい、多少の反対が有っても、という社長のお言葉も添えさせて頂いてよろしいでしょうか?」
「そうして下さい。」
「今までの実績を考えたら反対出来る人は少ないでしょうね。」
「広報部としては体制が間に合わないかも。」
「そこは社長の即断即決と正直に行けば良いと思うよ。」
「そうね…、でも…、ちょっと連絡をして来るわね。」
「うわっ、社長の判断一つで周りが大変な事になるのですね…。」
「ふむ、新入社員だとそういう感覚なのか。」
「ええ、もっと…、じっくりかと思っていました。」
「安藤社長の判断の前に色々有りましたし、長江さんの実績は半端では有りません。」
「実際、東濃支社長就任の段階で副社長の話を持ちかけてたけど、彼自身何か思う所が有ったらしくてね、でも今日はあっさり受けて下さったから、その辺りを今度教えて頂けるのは楽しみだね。」
「信頼し合っているのですね。」
「うちの上層部は半端なく尊敬出来る人物で固められてるからな。」
「でもどうやって、そんな方々が信頼関係を築けたのですか?」
「まあ、安藤の度量だろうな。」
「おい、佐々木の力も大きかったんだから、全部俺にかぶせるなよな。」
「しかし多くの社長達が桜根傘下入りを決意したのは安藤の力による所が大きいんだろ、何か秘密が有るのか?」
「金井さん、ある社長は、安藤社長から社長として自分に欠けていた事を気付かされたって、話してたわよ。」
「俺が聞いたのは、絶対的能力の高さに惚れたって。」
「安藤社長と話してから、自分の四十代の息子が、幼く思えたって聞いたな。」
「おいおい、そんな人物を気軽に安藤って呼んでたのか、俺は。」
「そのままで良いよ。」
「安藤社長失礼しました。」
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卒業旅行-18 [チーム桜-06]

特に会議という訳でもなかったがスタッフが集まれば色々な話が出てくる。

「安藤社長、関東エリアのサポート企業候補はすでに実績を作ろうと動き始めて下さっています、その結果がイベントチケットの売れ行きに反映されたと思います。」
「そうか、そのお気持ちは大切にしないとな。」
「Team SAKURA直販店はどうします? 売り上げだけを考えたら都心部に出店すべきでしょうが、でも自分達の主張を通すなら、あえて都心部、副都心も含めて外してとなりませんか。」
「関東圏と言ってもどこもが賑わってる訳じゃないと思う、まずはそんな三番手四番手な所からのスタートで良いんじゃないのかな、そこでの実績を見ながら、どうしても更なる売り上げが必要となった時に、都心、副都心での展開でどうだろう。」
「そうよね、ただその辺りは正直に話した方が良いわね、その上でTeam SAKURAブランドは通販でお願いしますでどうかしら。」
「関東エリア一号店は早めに出店したいよな、そこで東北の商品を扱って行けば仙台、盛岡にはずみを付ける事にならないか?」
「売り上げの状況を見ながら二号店、三号店か。」
「いや、それでは遅くならないか、通販の状況から考えると強気でも良いと思うけど、安藤社長如何です?」
「ああ、強気で行くつもりだ、県支社を置く所には必ず出店して行こう、店を見て頂ければ、桜根の方向性も分かって貰い易いと思うし、我々の本気度も示せるだろ。」
「仙台や盛岡にもですか?」
「ああ、規模は若干小さくなるだろうけど、東北でもオリジナルグッズや芸能部のCDとかが売れる活動をしていかないと支社が持たなくなるだろうからね、短期間で黒字に出来ないと東北はきつくなるだろうな。」
「充分な購買力有りますか?」
「それを上げてくのが桜根の役目だと思っているよ、サポート企業の方々にも満足して頂ければ、店の売り上げも自ずと伸びていくんじゃないのかな。」
「そうですね、大変そうだけど、いや大変そうだから仙台か盛岡支社勤務を希望します。」
「有難う、人事部に伝えてくれるかな。」
「はい。」
「えっと…、田中さん、とりあえず今出た話を文章にまとめてくれるかな、桜根幹部とも相談してから、さいたま市でのイベントにも反映させたいと思うんだ、この後出た話は山口さんにお願いするから。」
「はい、承知しました、台本を検討してるスタッフにも伝えてよろしいでしょうか。」
「ああ、頼むよ、埼玉へ直で行ってる連中にもね。」
「すぐに整理します。」

「関東で、東北、北海道を支えて欲しいと思っているんだ、地理的な事もあるしね。」
「そうだな、関東圏での支社展開はどうするんだ、安藤。」
「支社設立準備室を各県で立ち上げて、条件の整った所からと考えている、一番に立ち上がった所に関東支社を兼ねて貰うつもりだが、まあ長江さんにお任せだね。」
「関東で成功したら桜根も一気にでかくなりそうだな。」
「ポイントは人材と組織か?」
「榊原さん、桜総合学園の売り込みは関東からお願いできますか?」
「そうですね、関東で勢いをつければ地方へのはずみにもなります、遠藤社長、スポンサー企業の担当者とも連絡を密に取って行きたいと思っていますが如何でしょう?」
「今までうちの番組のスポンサーになって下さった企業の方々に対して今後の方針を明確に示したいですね、社長交代のタイミングでこちらから文書を送らせて頂いて、説明会を開いて、状況を見て個別に相談という形にしましょうか。
実験的に制作した、民放なのにCMで切れないドキュメンタリー番組を推すのも良いかもしれません。
内容の一部でスポンサー企業をさりげなく紹介しているのですけど、ただ地方の局に売り込む時は、そのスポンサー次第となってしまいますが。」
「そうすると全国規模の企業という事ですか。」
「そうですね、シリーズ化してサポート企業をどんどん紹介したいとは思っているのですが。」
「CM中にチャンネルを変えられる事が減る訳ですね。」
「スポンサー企業の合意が得られれば、CM中断なしのドラマも作ってみたいと思ってるんです、ドラマに登場する会社が実在するスポンサー企業、ヒロインは宣伝部所属とかにして、ドラマ中に実際の商品を紹介するとか。」
「面白そうですね。」
「ただ、うちのメンバーではまだ視聴率が取れそうにないですからね、まあうちの動画サイトで無料動画として配信という手も有るのですが。」
「それも頭に入れて、杉原達と情報交換します。」
「そうそう、榊原さん、名古屋の放送局の方々には、すごくお世話になっていますので、どの局の方とも良好な関係を維持して下さいね、もちろんサポート企業の皆さんとも。」
「はい、安藤社長、桜根もチーム桜も普通では有り得ないレベルの支援の元に活動させて頂いてると心得ています、それにお応えすべく営業活動がんばります。」
「あっ、埼玉では地元局の取材が有りますから、そこでコンタクトを取って次へ繋げるのも有りじゃないかしら。」
「そうなのですか、では調べて準備します。」
「広報部の和田さんが担当だから、連絡いれますね。」
「早瀬常務有難う御座います、お願いします。」
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卒業旅行-19 [チーム桜-06]

さいたま市では状況の変化により過密スケジュールになりかけたが、関東支社長候補長江の指示により、すぐ安藤達に余裕の有る日程に戻された。

「すごいよな、長江さんの指示は的確だし、早いし、こちらから訪問させて頂く予定を全部キャンセルして…、言わば安藤社長に会いたければそちらから来いって事だろ。」
「ほぼお願いされる立場だから、ぜんぜん問題ないんだってさ。」
「同じ事を安藤社長が指示を出したらイメージダウンになりかねないと思わないか、そこを理由を説明して新副社長からだから、むしろ良い印象を持って頂けたかもな。」
「急遽押さえた会場も地元企業に働きかけて決まったそうだよ、会場費向こう持ちで。」
「地元放送局の取材もそこに組み込んだから、関東支社関連の発表はそこでするのかな。」
「イベントまで隠していても意味ないだろ。」
「そうよね、でも良かった、安藤社長達旅行終盤で疲れてみえるだろうから、ちょっと休める時間が出来て嬉しいわ。」
「だよな。」

さいたま市内の寿司屋。

「長江さん助かりました、自分達では全然調整出来なくて。」
「それは仕方ないよ、九州支社の発表から一気に問い合わせが増えたそうだからな、ここはイベントが計画されていたからか特に多いそうでね、俺の予測をはるかに上回る勢いだよ。」
「長江さんは関東支社長の話を安藤社長とされていたのですか?」
「いや、具体的にはなかった、ただ東濃支社長は短期間でという指示は受けていたから、次のステップへ向けての準備はして来た。」
「副社長就任は一度断られたのですよね。」
「ちょっと東濃で人材育成に力を入れたかったからね、副社長になると色々余計な仕事が増えそうだったから。」
「関東支社長って結構大変そうですが。」
「まあ、東濃支社から三人に来て貰う話はして有るからね、県単位の支社長候補としてだけど。」
「えっ、それで東濃支社は大丈夫なんですか?」
「東濃支社の社員全員、支社長になれる様に教育して来たからね、山上人事担当常務とも相談しながら。」
「あっ、山上部長も昇格ですか?」
「まだ正式に辞令は出てないけど、桜根の特性を考えての彼の働きは大きいからね。」
「安藤社長の強気の裏には色々有るのですね。」
「だが人材不足は否めない、佐紀ちゃんから提案のあった、桜根傘下入り希望企業から事前研修受け入れは、若干微妙な部分も有るが関東支社ではやらざるを得ないだろうね。」
「正式契約前だから微妙なのですか?」
「ああ、今までは傘下入り希望を全部受け入れてきたが、今後は分からないからね。」
「そうですか…。」
「君達、四月からは?」
「桜根本社で研修の予定です。」
「今まではチーム桜?」
「ええ、桜根でも実習を経験させて貰いました。」
「関東支社で研修ってどうかな?」
「自分は新人ですからどこでも大丈夫です。」
「私もです、実績ナンバーワンの長江さんの元で学べたらきっと自分のプラスになると思いますし。」
「ちょっと安藤社長とも相談してみるよ、名古屋の状況が多少なりとも分かってる人が多い方が楽だし、本社は本社で研修の余裕がなくなって来てるからね。
あっ、そうそう私は実績ナンバーワンとか言われてるけど、実際は他業務をこなしながら大きな実績を上げて来た人もいるし、バックを支えてくれた社員、それと安藤社長抜きでは大きな結果を残せなかったと思ってるんだ、そこだけは忘れないでくれな。」
「はい…、でも桜根社員の方々、皆さん安藤社長を尊敬しておられる様な話をされますが…。」
「彼は器が違うんだよ、社長になるべくしてなったというか、まあ君達もその内分かるよ。」
「はい…。」
「さ、そろそろ行くか。」
「はい。」

「これから何社か回るけど、しっかり観察しろよ、どこに問題が有るのか、どこをどう改善出来るか今日の分は明日までにレポートを出してくれな、ただし二人で相談するんじゃなくて、どちらが良いレポートを提出出来るか競って欲しい。」
「はい、がんばります、実践的研修なんですね。」
「緊張するけど、いよいよ桜根社員になるんだって気が…、長江さんとの調整役にして貰った時も嬉しかったですが。」
「はは、安藤社長お勧めの二人、その力量しっかり見極めさせて貰うよ。」
「えっ? 安藤社長が?」
「どうだ、ちょっとは緊張感が増したか?」
「自分の事なんて…、安藤社長、全然知らないと思っていました。」
「君らは安藤社長の事を、それほど知っちゃいないが、彼は君達の事をそれなりに分かっていると感じたけどな、新人二人ぐらい俺に預けないかと話したら即答だったから。」
「ほ、ほんとですか?」
「ああ、君達に力がなかったら他の部署に行って貰って、社長にはもっとましなのを推薦して下さいとお願いするからね。」
「う~ん、でも長江さんの作り話の様な気も…。」
「私も、実績がないですから。」
「ほほ~、なる程な、君達は安藤社長が推すだけの冷静さを持ち合わせているんだね、実際桜根傘下入り希望企業と相対する時には欠かせない素質なんだ。」
「どういう事ですか?」
「俺がどうやって実績を上げて来たと思う?」
「それは、桜根傘下入り希望企業の事を思って親身になって。」
「はは逆だよ俺は有る意味突き放して来たんだ、まあ表現は柔らかくだけどな、やばくなりつつ有る企業なんて歪だらけさ、そんなの外からちょっと話したくらいで変わる訳ないんだ。
だから、桜根がチャンスをあげる、でも社風から変えて行かなくては結果は出ませんよと説いてきた、もちろん桜根のイメージが悪くならない様にだけどね、いちいち親身になっていたら時間が掛かってしょうがない、まあ病巣的な部分だけには気を配って来たけどね。」
「え~っと、自浄能力と言って良いのでしょうか。」
「そうだね、自力再生出来るだけの人材を抱えていた所は早かったよ。」
「時にはシビアに…、見る必要が有るんですね。」
「時にはじゃない、常にだ、それを安藤社長が実践してこられたから、今の桜根が有るんだ。」
「うわ~、俺、甘く考えていたのですかね。」
「たぶんな、ま、取り合えずこの後の会社訪問のレポートはしっかりな。」
「はい。」
「明日の桜根イベントで取り上げるかもしれないからね。」
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卒業旅行-20 [チーム桜-06]

卒業旅行最後のイベント。
さいたま市の大きいホールが会場。

「佐紀、ちょっとサプライズゲストが多すぎじゃないか?」
「イベントスタッフが血相を変えて走り回ってたのは、これが有ったからなのね。」
「ゲストの皆さん、全員チーム桜の一員という事か。」
「遠藤くん、知ってたの?」
「まあ、聞いてはいたが、何でも福岡での演奏の情報が広まって、それなら私もって事みたいでね、まあノーギャラでちょっとぐらいならと思ってたのが…。」
「皆さん、桜総合学園のメンバーと組んで下さってるのね。」
「そこだけは、お願いする様に指示を出した、うちの連中の出番が減ってしまってはいけないからな。」
「皆、著名アーティストに負けてないわね。」
「もちろんさ、これぐらいの事でびびる様な奴はこのステージに入れてないからね、まあ桜子ちゃんが若干不安だけど、佐々木がついてるから大丈夫だろう。」
「今日の打ち上げはすごい事になるのか?」
「だろうな、打ち上げだけでも参加したいという芸人も来るらしいから。」
「昼の部にも政財界の大物がいらしてたそうじゃない。」
「まあ、目立って来てるって事だろうな俺たちの活動が、ネットニュースにも桜根関東支社設立が出てたくらいだから。」
「内容は好意的? 批判的?」
「俺が見たのは好意的な文面だった。」
「まあ、今後は色々書かれるんだろうな。」
「でも、あっ、次は桜子ちゃんね。」

「桜子の演奏、さらに良くなったと思わないか…。」
「そうね、表情も変わってきたわ、余裕が出て来たんじゃないかしら。」
「なあ安藤、今日のゲスト達どう思う?」
「どうと言われても、あまりテレビ見ないから。」
「佐紀は?」
「そうね、なんとなくだけど二つに分かれるのかな、チーム桜に貢献したい人と、チーム桜を利用したい人。」
「だよな、そこら辺の情報は旦那に伝えておいてくれるか。」
「はいはい。」
「やはり協力して下さった方全員に挨拶しなきゃだめだよな。」
「安藤、今日はあえて、ど~んと構えていてくれないか、ほんとに挨拶すべき人は俺達が紹介するから、それ以外の人達はちょっと様子を見ておきたいんだ。」
「分かった、遠藤に思う所が有るんだな。」
「ああ、芸能部の今後を視野に入れての事だがな。」

イベント終了後の打ち上げ会場。

「卒業生組は真面目な話ばかりしてないか?」
「長江さん、仕方ないですよ、今回の旅行で桜根の勢いを実感したでしょうから。」
「君らは余裕か?」
「まあ、旅行中に色々進みましたから、思ってた以上にです。」
「いずれ関東支部をとは思ってはいたが、早かったな。」
「ええ、何社か回られたそうですけど感触は如何でした?」
「十社回ったがどこも大丈夫そうだ、経営者が高齢だけど次が育ってないという所が何社かあって、安藤社長に後をお願いしたいという感じでな、こんな案件は一番楽なんだ、合併出来そうな所も有る、研修に来て頂くだけの人材は怪しいが、新人研修の一環で桜根入り審査から再生まで出来るかもしれない。」
「あっ、研修の意味でお願いした二人はどうでした。」
「まあ、経験を積めば支社長くらいに成れると思うよ、君の目に狂いはなかったな、レポート見てくれた?」
「はい、桜根が何をする会社なのか、きちんと把握してくれてる様ですね、二人に関東支社入りは打診されたのですか?」
「ああ、あっさり受け入れてくれたよ。」
「能力面と出身が関東方面という事を考慮しましてね。」
「はは、二人は君の事何も知らなかったがな。」
「仕方ないですよ、直接会った事ないですから。」

「安藤社長、そろそろ人も揃いましたから軽くご挨拶頂けますか。」
「はい。」

「では、安藤社長からお言葉を頂きます。」
「今日は大盛況になりました、有難う御座います。
ゲストの皆さん、芸能部の面々、運営スタッフの方々、皆さんのおかげです、特に三日前に決断した関東支社設立関連では短時間の準備作業となり大変だったと思います。
ただ、勢いの有る時に動いておきたくて無理なお願いをしてしまいました、すいませんでした。
関東支社を成功させて、東北、北海道を支えて欲しいと考えています。
東濃支社から三人、新入社員から優秀な二人と長江支社長の六人でスタートしますが、当然人は足りていません、皆さんのバックアップをよろしくお願いします。
まあ、今日は卒業旅行最後の夜でも有ります、卒業生組も四月からの不安も有るとは思いますが少し肩の力を抜いて楽しんで下さい。」
「有難う御座いました、続きまして遠藤社長から一言有るそうです。」
「自分からは業務連絡です、桜総合学園芸能部ではプロ並みの特技をお持ちの方のサポートを行っています、オーデションを通った方には色々なサポートをして行きます、ご自身、もしくは知り合いの方にそんな方がお見えでしたら連絡お願いします。
またチーム桜レーベルからCD、DVD、ブルーレイといった発売も行っています、五千枚以上売れそうなら桜総合学園芸能部以外の方でもOKですからお気軽にどうぞ、自費での作成も請け負っています。
今日初披露した橋本裕子の歌も帰ったらすぐレコーディングして発売しますから楽しみにしていて下さい。」

「裕子ちゃんの歌、良かったね。」
「ああ、申し訳ないがゲストの方より、ぐっと来た。」
「基礎からトレーニングしてるって聞いてはいたけど、あのレベルとはね。」
「あ~、天は二物を与えるんだな~。」
「私、ソロでCD出して貰ったけど、あんなの聞かされたらバックコーラスでも良いと思ったわ。」
「あっ、実力派シンガーの方々が裕子ちゃんと話してるね。」
「あの人達と組んだらどんな歌になるのかしら。」
「えっ、歌ってくれるの…、かな…。」

主旋律を歌う裕子に数人のシンガー達が声を重ねて行く。
マイクなしでも響く歌声に会場の全員が酔いしれた。
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