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卒業旅行-17 [チーム桜-06]

色々有っての卒業旅行十日目、一行は盛岡に来ていた。
旅行の締めくくりとなる埼玉でのイベントに向けてスタッフが集まっていたが。

「色々な意味で内容の濃い旅行だったな。」
「遠藤くん、満足そうな顔してるけど、まだ終わってないからね、むしろこの後の関東が正念場でしょ、それともご自身の恋愛で一本番組を作成する事に夢中とか?」
「い、いや、そんな段階じゃないし。」
「でも、なんか二人ともあっさり行っちゃって、つまんないな。」
「え~、どういう意味だよ、佐紀。」
「私なんか色々有って…。」
「あっ、俺が断られたら良いと思ってたとか?」
「そんな事ないわよ、でも多少の紆余曲折が有った方が見てて楽しいじゃない。」
「ひどい…。」
「はは、まあ俺としては大事な副社長の幸せが一番だからな。」
「さすが安藤社長は偉大です。」
「どうした、楽しそうだな。」
「佐々木もな、それより、さいたま市でのイベントが、ちょっとな。」
「ああ、旅行出発前とはずいぶん状況が変わって来てるんだよな。」
「イベント会場は空席覚悟だったのが満席になったし、桜根本社、チーム桜本部への問い合わせも多くなって来てるらしい、九州支社効果だろうな。」
「芸能部のイベントはともかく、チーム桜幹部の説明会の方は慎重に進めるべきとの事で急遽台本を作成中との報告を受けてるわ。」
「ポイントは東京から周辺地域への分散、そこから地方へと目指せるかどうか、産業の分散化が可能かどうかなんだけど、ハードルは高いよな。」
「まあ、東京にしがみつく様な企業とは現時点では繋がらないという方向性で良いんじゃないのか、
個々の事情を見ながらになるだろうけど。」
「その辺りの線引きは難しそうだよな。」
「関東圏でのスタート時は桜根傘下入りの条件を厳しくせざるを得ないだろうな、傘下入り希望企業が増えて来てるだけにじっくり行かないと足元すくわれそうな気がしている。」
「確かにそうだ、金井、そこら辺りはどうだ?」
「ああ、まだ調査は進んでいない、エリアを絞らないと効率が悪くなるから、比較的傘下入り希望の多い所から着手しているが。」
「思い切って、桜根傘下入り希望企業からの研修社員を費用桜根持ちで受け入れるってどうかしら。
余力の残ってる企業に限る事になるでしょうけど。」
「そうだな、それも検討して行こうか…、何にしても色々取りまとめてくれる人物が必要だな…、吉川さん、東濃支社からはあまり情報が来てないけど、状況はどうです?」
「はい、長江支社長は力の有る方ですから特に問題もなく順調に進んでいます。」
「今、長江さんが東濃支社から外れて頂くという事は難しいかな。」
「どうでしょう…、そこまでは私では判断しかねますが。」
「一度打診して頂けますか? 桜根副社長待遇で関東支社長をお願い出来ないかと、後ほど私からも連絡を入れますとお伝えして下さい。」
「承知しました。」
「安藤、東濃支社は大丈夫なのか?」
「初めての支社だったから長江さんにお願いしたけど、多治見から中津川のエリアなら長江さんでなくても大丈夫だろう、彼なら東濃支社長兼関東支社長でも受けて下さるよ。
まあ東濃支社立ち上げ当初から、短期間で引き継いで下さいとお願いしておいたけどね。」
「しかし東濃エリアからは、あまり情報が来てないと…。」
「その必要が無いほど順調だと判断したのさ。」

「安藤社長、長江支社長が電話を代わって欲しいとの事ですがよろしいでしょうか?」
「ええ、皆ちょっと失礼するよ…。
はいそういう事です、長江支社長お願いします、東濃は大丈夫でしょ、まあ何か有ってもすぐ本社でカバーできますから、副社長もお願いしますよ、対外的にも動き易くなると思いますから…。
ええ、大丈夫です、問題ないです…、では後は吉川さんと…、はい、その時に東濃支社の面白い話を聞かせて下さいね…、はは、楽しみにしてます、では吉川さんと代わります。
吉川さん、お願いします。」
「はい。」

「長江さんOKなのか?」
「もちろんさ、埼玉に来て下さるよ。」
「えっ? 事前に打ち合わせとかしてたのか?」
「はは、彼は迷わない人だからね。」
「一気に関東支社長の発表までさいたま市でしちゃうの?」
「その方が良くないか?」
「う~ん、そうね…、それって決定事項?」
「すぐに桜根幹部全員に連絡を入れて確認を取るけど、多少の反対が有っても進めるよ、えっと川田さん連絡お願い出来ますか?」
「はい、多少の反対が有っても、という社長のお言葉も添えさせて頂いてよろしいでしょうか?」
「そうして下さい。」
「今までの実績を考えたら反対出来る人は少ないでしょうね。」
「広報部としては体制が間に合わないかも。」
「そこは社長の即断即決と正直に行けば良いと思うよ。」
「そうね…、でも…、ちょっと連絡をして来るわね。」
「うわっ、社長の判断一つで周りが大変な事になるのですね…。」
「ふむ、新入社員だとそういう感覚なのか。」
「ええ、もっと…、じっくりかと思っていました。」
「安藤社長の判断の前に色々有りましたし、長江さんの実績は半端では有りません。」
「実際、東濃支社長就任の段階で副社長の話を持ちかけてたけど、彼自身何か思う所が有ったらしくてね、でも今日はあっさり受けて下さったから、その辺りを今度教えて頂けるのは楽しみだね。」
「信頼し合っているのですね。」
「うちの上層部は半端なく尊敬出来る人物で固められてるからな。」
「でもどうやって、そんな方々が信頼関係を築けたのですか?」
「まあ、安藤の度量だろうな。」
「おい、佐々木の力も大きかったんだから、全部俺にかぶせるなよな。」
「しかし多くの社長達が桜根傘下入りを決意したのは安藤の力による所が大きいんだろ、何か秘密が有るのか?」
「金井さん、ある社長は、安藤社長から社長として自分に欠けていた事を気付かされたって、話してたわよ。」
「俺が聞いたのは、絶対的能力の高さに惚れたって。」
「安藤社長と話してから、自分の四十代の息子が、幼く思えたって聞いたな。」
「おいおい、そんな人物を気軽に安藤って呼んでたのか、俺は。」
「そのままで良いよ。」
「安藤社長失礼しました。」
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