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正月-281 [花鈴-29]

「ここでカフェを開くとしたらどんな感じが良いのかな?」
「若者からお年寄りまで様々な年齢層の人が働いていたら面白くないかしら?」
「姫は働いてくれるお年寄りに心当たりが有るとか?」
「元気なお年寄りに適度な仕事が有ることは長生きに繋がると思わない?」
「確かにそれは言えると思います、私の祖母は公園の掃除をしていますが適度な運動になっていると話していました。」
「私達の活動を手伝いたい方は何人かいらしてね。
 老人と大学生がタッグを組んだら面白い店になると思うの。」
「ですね、お婆さん方から色々教えて貰えそうで。」
「そんな店を株式会社花鈴の子会社としてオープンさせるのですか?」
「店長をやってくれる人がいたら話を進めたいかな。」
「店長か…、トライしてみたいけど…。」
「私、立候補します。
 店長職をこなすには、まだ学ぶべきことが多いとは思いますが、漠然と就職活動をするより、この地の為になると明確に思える活動に携れたらと思います。」
「俺は副店長として参加したいと思う、美人店長の方がイメージが良いからな。」
「お前、河合さんを狙ってたのか?」
「い、いや…、そういうことではなくて…。」
「河合さんが店長なら安心して出資出来るわね。
 具体的な話は定期試験の後にしましょうか?」
「姫、直ぐでも構いませんよ、試験の方はしっかり準備して有りますから。」
「う~ん、俺も見習わないと駄目だな…。」
「勿論だ、お前、単位を落とすなよ。」
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正月-282 [花鈴-29]

「姫、カフェを開くとしたら場所は春にオープンさせる店の近くですか?」
「そうね、近いと相乗効果が期待出来るわ。
 具体的な話は父と相談してからになるけど、どんな店にするかの相談は始めても良いわよ。」
「やはりケーキ屋さんの外装に合わせるべきかな?」
「一体感を出すならそうなるけど、個性的にするのなら全く違っても良いと思う。
 でも新店舗の一部となる可能性も有るのですよね?」
「新店舗はレイアウトが完成してるでしょ、その一部とするのなら増築することになるわ、増築を視野に入れて設計して貰ってるから可能なの。」
「竹林の隣にと言うのはどうです?
 綺麗になった竹林を見て貰い、メニューには筍を使った料理を入れたり竹に拘った器でもてなすとか。
 国道から少し入るとこが難点だけど。」
「国道沿いの方が集客が楽だけど、カフェを成功させられたら竹林の横に和食の店を建てるとかも有りかもね。」
「秋は思っていたより観光客が多かった、観光客に認知して貰える展開をしていけば黒字には出来ると思いますね。
 ただ、店員の確保が心配かな。」
「元気な高齢者に手伝って貰えれば良いのだけど。」
「営業時間は?」
「夜は需要が少ないと思う。
 土日に稼ぐとして、平日でも昼間ならドライブの途中で立ち寄る中高年の人はいる。
 中高年をターゲットにしたメニューや企画を用意したいかな。」
「また来たいと思える店で無いとね。
 メニューを増やし過ぎると大変なことになってしまうのだろうけど、それなりにアピール出来るメニューを揃える必要は有るわよね。」
「料理のプロを雇う必要は?」
「それは面白くないが…、お客さんに満足して貰う為には考える必要が有るのかな。」
「そこは、調理師を目指してる若者を巻き込めたら良いのだけど…。」
「提供した物が美味しく無かったらダメだよな。」
「我々が味見をしっかりする?」
「あ~ん、それが美味しかったら太ってしまいそうだわ…。」
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正月-283 [花鈴-29]

「今日の料理は悪くないと思う、調理担当は誰?」
「今日の料理長は笹山です、料理が趣味だそうで。」
「笹山さん、忙しいかも知れないけど、メニュー作りに協力してくれないかな?」
「勿論協力します、味が姫のお口に合ったのなら嬉しい限りで。」
「私に合わせて下さったのですか?」
「姫は普段から美味しいものを食べていそうですが、安くても美味しいものをと考えました。
 姫に合わせて置けば、他の連中は自分で調味料を加えれば良いのですから。」
「いや、市販のおせち料理でも、辛すぎたり物足りなかったりするが、今日の料理はこのままで問題無く美味しい、料理は習ったのか?」
「うん、料理教室へたまに。」
「料理教室って女性ばかりでは?」
「男性もいるが女性は多いよ、自分は年上の女性にモテまくりでね。」
「俺も行こうかな。」
「お前は不器用かつ笹山程のルックスでもないから無駄だと思うぞ。」
「いや、不器用さが母性本能をくすぐるかも、本気だったら紹介するよ。」
「料理を覚える気もない下心だけの男ってどうかしら?」
「そうそう、笹山君との差を思い知らされるだけかもね。」
「い、いや料理は覚えたいと思ってる、就職したら一人暮らししたいと思ってるんだ。」
「笹山は一人暮らしを目指してる訳では無いのだろ。」
「ああ、自分の作った料理を人に食べて貰いたいからな。
 家族に美味しいと言って貰えるのが励みで新しいメニューに挑戦してるよ。」
「でも、料理人を目指してる訳では無いのだろ?」
「仕事としてより趣味として続けて行きたいかな。」
「笹山さんなら理想の夫になりそうね。
 彼女と別れたら、次は是非私と。」
「そんな予定は無いよ、定期試験が終わったらラブラブな所を見せ付けてあげるから覚悟しといてね。」
「う~ん、それで焦らされて変な男と、なんてことにならない様に気を付けないと…。」
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正月-284 [花鈴-29]

「男女共に配偶者を求めるのが本能なのですよね。」
「姫は好きな男の子とかいるのですか?」
「男の子の友達はいるけど、それ以上では無いかな。
 父や兄と比べたら、どうしても見劣りしてしまうでしょ?」
「確かに、姫の心を射止めるのはハードルが高そうです。」
「いや、分からないよ、姫は優しいから、その母性本能をくすぐらせるダメな奴に心を奪われてしまうかも知れない。」
「笹山さん、そう言うものなのですか?」
「人間的にどうかと思う奴に貢ぐ女性がいるのです、料理教室で知り合ったお姉さま方からの情報ですけど。」
「ダメダメな人でも何かしらの魅力が有るってことかしら?」
「ですかね…。」
「外見?」
「だけでもないみたいですよ、えっと…。」
「笹山、姫は小学五年生だということを忘れるなよ。」
「分かってるよ。
 ダメダメだけど優しい…、生活に疲れてる女性は騙され易いのだとか。」
「取り敢えず、問題の一つは生活に疲れてると言うことなのね。」
「現代社会、疲れている人は多そうだよな。
 生きて行く為にはお金を稼がないと、でも安定した職を得るのは難しくて…。」
「本当に、そう感じてるのです?」
「贅沢を言わずに優良中小企業を選択肢に入れれば就職活動は楽になるのよね。
 私は大企業なんて始めから考えて無いから気楽なものよ、就職した会社で自分の実力を発揮出来れば、それが一番だから。」
「父の会社からお誘いが有ったら?」
「勿論、片田舎の本社勤務だろうが喜んで。」
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正月-285 [花鈴-29]

「だよな~、寄らば大樹の陰さ。」
「でも私達って、その大樹に姫をイメージしてたりしない?」
「姫は特別な存在だからな。
 就職が上手く行かなかったら、株式会社花鈴への道を考えてる奴、正直に手を上げてみろ。」
「言われてみればおぼろげに考えていたかも。
 前は東京や名古屋で有名企業へ就職することが当たり前だと思っていたのだけどね。」
「私も…、ここで洗脳されたかな。
 大学に入学した頃、就職先としてイメージしていた企業の実際は見えないけど、株式会社花鈴を通して企業について学ばせて貰った。
 何をすれば株式会社花鈴に自分の居場所を作れるかなんて考えることも有るわ。」
「完成された企業には無い魅力が有るよな、田舎の小企業では家族が反対するかも知れないけど、大企業の歯車になるより絶対面白い面白いと思うよ。
 姫も社長も従業員ファーストと考えていて…。
 姫、自分の仕事を自分で作りだせれば就職させてくれるのでしょ?」
「ええ、子会社として社長となり起業する道も有るわよ。
 現在進行中の企画で話が進めば人材確保の必要が出て来るから、普通に社員募集することになるし。
 合宿所生活を経験した皆さんは田舎暮らしに対する抵抗感が低いのでしょ?」
「都会暮らしが好きな人もいるのだろうけど、私は満員電車の孤独が耐えられなくて。
 他の誘いを蹴ってこの新年会に参加してる時点で姫に依存してるのかも。」
「正月早々ここまでやって来る酔狂な奴はそんなとこだろう、俺もだけどな。」
「都会に住む人が田舎暮らしに憧れて移住なんてハードルが凄く高いと思うのだけど、ここでは姫の僕ですと話すだけで皆さん良くして下さいますからね。」
「えっ、そんな話をしてるの?」
「そんなのはこいつだけですよ、自分は普通に孫の様に可愛がって頂いてます。」
「お前は世渡り上手だからな。」
「特別なことは何もしてないぞ。
 ただ、お年寄りの話に耳を傾けさせて貰ってるだけさ。」
「それで養子になってと言う話は進んでいるのか?」
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正月-286 [花鈴-29]

「ああ、俺は三男だから親も前向きでね。
 田舎の土地とは言え地主になれる。
 維持管理は大変だけど、両親も老後は田舎暮らしをしたいと考えていてさ。
 昨日挨拶を済ませたところだよ。」
「卒業後はここに住むのか?」
「その方向で話を進めてる、仕事は姫と相談中なんだ。」
「へ~、姫、どんな感じなのです?」
「兼業農家としてブルーベリーの…、観光農園、イチゴ狩りとかをイメージして貰えれば良いわ。
 ブルーベリー狩りと言う言葉は一般的ではないでしょ。
 ブルーベリーの栽培は比較的簡単なの。
 でも収穫が大変、だから収穫をお客さんにやって貰うのがベストでね。
 農園の管理は我が社が受け持つけど、里中さんにはその責任者を目指して貰う話をしてるの。
 今は農業未経験者だから先の話になるけど。」
「里中でも出来そうなのですか?」
「ブルーベリーはうちの庭でも栽培してるのだけど栽培自体は本当に楽なの、畑としても機械化すれば手間は掛からないのよ。
 勿論リスクは有るけど他の作物に比べたら低いみたい。
 利益の配分は地主としての里中さんと相談だけど、里中さんには我が社の社員として普通に給料を払いますから。」
「じゃあ、高収入になるのですね?」
「そのつもりで取り組んで貰うわ、ただ、養子先のご両親と老後に田舎暮らしを考えておられる実のご両親の事を考えたら家政婦さんを雇えるぐらいの収入は必要でしょ?」
「そっか、里中が朱里ちゃんと結婚したとしても彼女の負担を抑えないとな。」
「そう言うこと、今は皆さんお元気なのだけど、認知症になったらお世話が大変になりかねないから。
 里中さんを養子に迎える方は、先祖の墓さえ守って貰えれば、自分達は施設暮らしになっても構わないと話してみえるのだけど、そんなの寂しいわ。」
「そう言う感覚なのですね、里中の様な形の養子って良く分かってないけど…。」
「三人の息子さんを事故や病気で亡くされた方なんだ、親戚も少なくてな、自分達の死後、お墓を守ってくれるのなら全てを俺に託したいと。
 株式会社花鈴がここに存在しなかったら、もっと迷ったと思うが、姫が全力で応援すると話してくれてね。」
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正月-287 [花鈴-29]

「全力で応援したいのよ。
 既に耕作放棄地が有るし、田畑として耕作を続けている面積も年々減らしているそうでね。
 そこを我が社の観光農園と出来たら楽しいでしょ。
 ブルーベリーを植える為の初期投資も、里中さんの養父が貯蓄の一部を切り崩して我が社の株式を購入して下さる話になってるの。」
「自分の田畑を管理出来なくなったお年寄りが、それを里中を頼り、その管理は株式会社花鈴が一手に引き受けるのですね。」
「ええ、里中さんには沢山稼いで貰ってご老人を大切にして欲しいわ。」
「里中、先方の親戚はどうなんだ?」
「親戚は少ないし、近くに住んでる人はいなくてね。
 養父母になる人達は、少ない親戚も姫の会社が管理するとなったら受け入れるだろう、否、文句は言わせないとかで、遺言状もきちんとした物を遺して下さるそうだ。
 まあ、自分が養子になったら法定相続人が自分になり問題は無いみたいだけどな。」
「ねえ、養子縁組の話はどんな感じで始まったの?」
「そうだな…、村を散策中に出会い、ここの話を教えて頂いただけで無く、ここの郷土料理を食べてみないかとお誘いを受け、お酒を酌み交わし、身の上話を聞かせて頂いてから畑仕事を手伝いに行くようになって…。」
「里中さんは優しくて話を聞いてくれる人だから嬉しかったのでしょうね、孫のいない人なら尚更か…。」
「かなりの土地や資産を手に入れた様だが…。」
「あなたには無理な話よね。」
「だよな、自己中な奴に自分の資産を託そうと思う人はいないだろう。」
「…。」
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正月-288 [花鈴-29]

「姫の父君は、山林も含めここ一帯の土地を買いまくっているのですよね?」
「ええ、耕作放棄地を高値で売ろうとする厚かましい人もいるけど、多くの人と妥当な金額で売買契約を成立させてるの。」
「安く買えたとしても山林の管理はお金が掛かると聞きましたが?」
「ええ、父は昔の大地主の様になるつもり、と言っても名義は会社になるけどね。
 しっかり間伐をして綺麗な森に遊歩道、社員向けの住宅を建て、畑は農業公園に、本社所在地を住み易い観光地にと考えてるの。
 今までしっかり稼いで来たから初期投資が回収出来なくても、ここを暮らし易い山村に出来ればそれで良くてね。」
「さすが大社長だな、ブラック企業の社長とは器が違い過ぎる。」
「他の大企業が真似てくれたら、バランスの悪くなってる日本が良くなるのだろうけど…。」
「基本、企業は儲からないことにお金を使わないからな。」
「そうね、PRを兼ねての小規模な慈善事業をするぐらいよね。」
「ここは大規模ってことか?」
「知らなかったの?
 森林の広さは半端無いし、休耕田や空き家を買い上げているから…、姫、町の半分ぐらいは会社の物になったのですよね?」
「ええ、それだけ自力で維持出来る人が少なくなってたことが残念でも有るのだけどね。」
「いくら地価が安いとはとは言えかなりの出費なのでは?」
「そうでも無いの、自分で管理し切れなくなった人は、タダでも良いから引き継いで管理して欲しい、都会で暮らす子に相続させても重荷になるだけだからとね。
 家は修繕したり建て替えてこれから移住して来る社員の住まいになるのだから必要なの。」
「移住して来る人は多いのですか?」
「それなりにね、ただ、急ぐと色々不都合が生じるから少しづつ計画的に。
 そんな状況で里中さんの様に地元の人と住んでくれるなんて理想なのよ。
 広い家に老夫婦が二人だけで住んでいては無駄が多いでしょ?」
「この合宿所もそんな感じだったのですよね、立派な柱で。」
「林業がお金になった頃の名残なのよね。
 仕事はきつくても収入がしっかり有った頃の…。」
「社会情勢は変化してる、でも、余程円安が進んだとしても林業は難しいかもな。」
「姫はその辺りをどう考えているのですか?」
「そうね、木材の価格が上がったらラッキーって感じかな。
 父も観光をメインに考えていてね、間伐材の有効活用は検討してるのだけど。」
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正月-289 [花鈴-29]

「間伐材は間伐の手間を考えたら安過ぎるのですよね?」
「ええ、間伐材を加工して大きな付加価値を付けないと難しいの。
 様々な案を試し始めてはいるのだけど、まだ結果が見えてないのよ。」
「どんな案が出てるのです?」
「簡単なのは輪切りにしニスを塗って花瓶などを置く台にするとか、インテリア小物を中心に。
 ただ沢山売れそうな商品ではなくて…。」
「試してみるしかないとか?」
「そうなの、春にオープンさせる店で売りたいから皆で考えているのだけど。」
「それなら我々も協力しないとな。」
「自分は置きたい物を置く台が既成品ではサイズが合わなくて苦労したことが有ります。
 オーダーメイドの小さな机とか…、沢山売れなくても、それなりの価格設定が出来ると思うのですがどうでしょう?」
「オーダーメイドか…、職人に充分な給料を払えるだけの注文を集められれば有りかしら。」
「オーダーしたイメージと違うとかクレームが入りそうな気がする。」
「確かに、でも、そんな時は作り直し、ボツになった商品は別で売ってみるとか。
 ボツ作品でも強気の価格設定をすれば売れるかもだろ?」
「何故に強気?」
「世界に一つだけの手作りだぞ、高く売ろうとした方が有難味が増すんだ。
 全然売れなかったら値下げすることになるとしても、充分な利益の出る価格から勝負だな。」
「薄利多売の逆を行くのか、姫はどう思われます?」
「観光地の商売で薄利多売を考えるのは愚か。
 飛騨のさるぼぼみたいなのがここに有れば良いのだけどな~。」
「あれはそれなりの売り上げになっていそうですものね。」
「さるぼぼに対抗して花鈴姫人形ってどうかしら?」
「悪くないかも、問題はデザインか…。」
「ご利益は何かでっち上げれば良い、商売繁盛や過疎地の再生を中心にすれば、デザイン的に難が有っても売れるかも。」
「ちょっと待ってよ、そのデザイン的に難が有ると言うのは嫌だわ。」
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正月-290 [花鈴-29]

「誰が見ても可愛いと言うデザインは難しそうね。
 売れてるキャラクターはプロが創り上げたものでしょ?」
「おいおい、今調べてみたけど、さるぼぼの歴史は奈良時代に遡るみたいだぞ。
 それが歴史と共に衰退したが飛騨地方に残っていた。
 それに目を付けた人が売ってみようと。
 今では飛騨のお土産としてすっかり定着したみたいだな。」
「花鈴姫人形もさるぼぼに負けないデザインにしないと、シンプルなのが良いのかしら?」
「シンプルなのをベースに色々考えても良いんじゃない、姫のファンは増えているのだから。」
「携帯のストラップレベルから、一緒におねんねしたくなる物までとか?」
「うちのお婆ちゃんは認知症なんだけど、お喋りする人形と寝てる、需要は有るかも。」
「お喋りする人形?」
「音声認識機能が有って、行ってきま~す、て声を掛けると、それに対し応えてくれてね。
 会話が噛み合わないことも有るのだけど、お婆ちゃんのお気に入り、話し相手にもなってるよ。」
「へ~、そんなのが…、でも音声認識技術は進んでるから驚くことでもないか。」
「姫の声でそんなのが作れたらここのお婆さん達には売れそうだな。」
「そんなレベルでは利益が出ないでしょ。
 私を利用して利益を上げようと言う考え方は否定しないけど…、売れるレベルの人形を作れるのかしら?」
「姫さえ宜しければ自分は動いてみたいと思います。
 株式会社花鈴に入社内定している身ですので。」
「何か案が有るのですか?」
「まあ、それなりに知り合いがいます。」
「彼女は芸術大学だものな、彼女はここへの移住に前向きなのか?」
「勿論さ、自然豊かなこの地なら創作活動にプラスになると話してたよ。」
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