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正月-287 [花鈴-29]

「全力で応援したいのよ。
 既に耕作放棄地が有るし、田畑として耕作を続けている面積も年々減らしているそうでね。
 そこを我が社の観光農園と出来たら楽しいでしょ。
 ブルーベリーを植える為の初期投資も、里中さんの養父が貯蓄の一部を切り崩して我が社の株式を購入して下さる話になってるの。」
「自分の田畑を管理出来なくなったお年寄りが、それを里中を頼り、その管理は株式会社花鈴が一手に引き受けるのですね。」
「ええ、里中さんには沢山稼いで貰ってご老人を大切にして欲しいわ。」
「里中、先方の親戚はどうなんだ?」
「親戚は少ないし、近くに住んでる人はいなくてね。
 養父母になる人達は、少ない親戚も姫の会社が管理するとなったら受け入れるだろう、否、文句は言わせないとかで、遺言状もきちんとした物を遺して下さるそうだ。
 まあ、自分が養子になったら法定相続人が自分になり問題は無いみたいだけどな。」
「ねえ、養子縁組の話はどんな感じで始まったの?」
「そうだな…、村を散策中に出会い、ここの話を教えて頂いただけで無く、ここの郷土料理を食べてみないかとお誘いを受け、お酒を酌み交わし、身の上話を聞かせて頂いてから畑仕事を手伝いに行くようになって…。」
「里中さんは優しくて話を聞いてくれる人だから嬉しかったのでしょうね、孫のいない人なら尚更か…。」
「かなりの土地や資産を手に入れた様だが…。」
「あなたには無理な話よね。」
「だよな、自己中な奴に自分の資産を託そうと思う人はいないだろう。」
「…。」
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