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正月-286 [花鈴-29]

「ああ、俺は三男だから親も前向きでね。
 田舎の土地とは言え地主になれる。
 維持管理は大変だけど、両親も老後は田舎暮らしをしたいと考えていてさ。
 昨日挨拶を済ませたところだよ。」
「卒業後はここに住むのか?」
「その方向で話を進めてる、仕事は姫と相談中なんだ。」
「へ~、姫、どんな感じなのです?」
「兼業農家としてブルーベリーの…、観光農園、イチゴ狩りとかをイメージして貰えれば良いわ。
 ブルーベリー狩りと言う言葉は一般的ではないでしょ。
 ブルーベリーの栽培は比較的簡単なの。
 でも収穫が大変、だから収穫をお客さんにやって貰うのがベストでね。
 農園の管理は我が社が受け持つけど、里中さんにはその責任者を目指して貰う話をしてるの。
 今は農業未経験者だから先の話になるけど。」
「里中でも出来そうなのですか?」
「ブルーベリーはうちの庭でも栽培してるのだけど栽培自体は本当に楽なの、畑としても機械化すれば手間は掛からないのよ。
 勿論リスクは有るけど他の作物に比べたら低いみたい。
 利益の配分は地主としての里中さんと相談だけど、里中さんには我が社の社員として普通に給料を払いますから。」
「じゃあ、高収入になるのですね?」
「そのつもりで取り組んで貰うわ、ただ、養子先のご両親と老後に田舎暮らしを考えておられる実のご両親の事を考えたら家政婦さんを雇えるぐらいの収入は必要でしょ?」
「そっか、里中が朱里ちゃんと結婚したとしても彼女の負担を抑えないとな。」
「そう言うこと、今は皆さんお元気なのだけど、認知症になったらお世話が大変になりかねないから。
 里中さんを養子に迎える方は、先祖の墓さえ守って貰えれば、自分達は施設暮らしになっても構わないと話してみえるのだけど、そんなの寂しいわ。」
「そう言う感覚なのですね、里中の様な形の養子って良く分かってないけど…。」
「三人の息子さんを事故や病気で亡くされた方なんだ、親戚も少なくてな、自分達の死後、お墓を守ってくれるのなら全てを俺に託したいと。
 株式会社花鈴がここに存在しなかったら、もっと迷ったと思うが、姫が全力で応援すると話してくれてね。」
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