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正月-285 [花鈴-29]

「だよな~、寄らば大樹の陰さ。」
「でも私達って、その大樹に姫をイメージしてたりしない?」
「姫は特別な存在だからな。
 就職が上手く行かなかったら、株式会社花鈴への道を考えてる奴、正直に手を上げてみろ。」
「言われてみればおぼろげに考えていたかも。
 前は東京や名古屋で有名企業へ就職することが当たり前だと思っていたのだけどね。」
「私も…、ここで洗脳されたかな。
 大学に入学した頃、就職先としてイメージしていた企業の実際は見えないけど、株式会社花鈴を通して企業について学ばせて貰った。
 何をすれば株式会社花鈴に自分の居場所を作れるかなんて考えることも有るわ。」
「完成された企業には無い魅力が有るよな、田舎の小企業では家族が反対するかも知れないけど、大企業の歯車になるより絶対面白い面白いと思うよ。
 姫も社長も従業員ファーストと考えていて…。
 姫、自分の仕事を自分で作りだせれば就職させてくれるのでしょ?」
「ええ、子会社として社長となり起業する道も有るわよ。
 現在進行中の企画で話が進めば人材確保の必要が出て来るから、普通に社員募集することになるし。
 合宿所生活を経験した皆さんは田舎暮らしに対する抵抗感が低いのでしょ?」
「都会暮らしが好きな人もいるのだろうけど、私は満員電車の孤独が耐えられなくて。
 他の誘いを蹴ってこの新年会に参加してる時点で姫に依存してるのかも。」
「正月早々ここまでやって来る酔狂な奴はそんなとこだろう、俺もだけどな。」
「都会に住む人が田舎暮らしに憧れて移住なんてハードルが凄く高いと思うのだけど、ここでは姫の僕ですと話すだけで皆さん良くして下さいますからね。」
「えっ、そんな話をしてるの?」
「そんなのはこいつだけですよ、自分は普通に孫の様に可愛がって頂いてます。」
「お前は世渡り上手だからな。」
「特別なことは何もしてないぞ。
 ただ、お年寄りの話に耳を傾けさせて貰ってるだけさ。」
「それで養子になってと言う話は進んでいるのか?」
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