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恰好良く-01 [飯山美里-03]

「ねえ美優、良太って恰好良いよね。」
「そうかな~、特にスポーツが得意な訳でもないし、頭が良い訳でも、ルックスは問題外でしょ、美里の感覚が分からないな。」
「下の学年の子達と遊んでる時さ、さりげなく見守ってるって感じない?」
「あっ、それは有るかも、優しいからか小さい子達が頼ってるみたいな。」
「恰好良いでしょ。」
「そう言われると、そうなのかな。」
「外見だとか能力とかじゃくてさ、心の恰好良さを考えててね。」
「うっ、そう言われると、私は大丈夫か~って思ってしまうな。」
「美優も恰好良いよ、特別支援学級の子にも声を掛けたり、自然に相手してるし。」
「あの子達は、ちょっと運がなかっただけで、本人が何か悪い事をした訳じゃないでしょ。」
「うん、そうよね、でね、私が最近感じてるのは、この学校は恰好良い子が多いなって事なの。」
「外見じゃなくって事ね、でも普通じゃないかしら。」
「前の学校は格好悪い子が多かったんだ。」
「へ~。」
「弱い者いじめする子とかさ。」
「はは、はずかしいでしょ、そんなの。」
「だよね、でさ、ここのみんなに自分達が恰好良いんだって気付いて欲しいし、もっと恰好良くなって欲しいなって。」
「う~ん、恰好良いに越した事はないけど、どうして?」
「四月には転校生が五人入って来るし、この先もね、どんな子が来るか分からない、でも恰好良い人ばかりならトラブルも起きにくいし、もっと良い学校になるわ。」
「そっか、でも…、何かするの?」
「恰好良い事したら、気付いて、褒めてあげる。」
「褒められたら嬉しいって事ね、恰好悪い事をした奴には?」
「それ、恰好悪いよって教えて上げないとだめなのかな?」
「結構気付いてないかもしれないよ、う~ん、教えて貰って素直に直せる子は良いけど…。」
「そこが一番の問題かな、変な事になって、いじめとか嫌だし。」
「この話はみんなにしたの?」
「まだ、美優が初めて。」
「そっか、私等これから最上級生になるのだから、まずは五年生で話し合っておいた方が良いかもね、転校生が気持ち良く仲間になれる様にしときたいし。」
「うん、美優、有難うね、美優達が優しくしてくれたから、気持ち良く仲間にしてくれたからすごく嬉しかったんだ、だからこれから来る子達も気持ち良く仲間になって欲しいんだ。」
「はは、じゃあ恰好良くやろうか…、でもさ、外見も恰好良い男の子とか転校して来ないかな、もちろん性格も良くて…。」
「う~ん、中学への転校生は結構アイドル系かな。」
「あっ、しっかりチェック済なのね、ちゃんと紹介しなさいよ。」
「良いけど…、性格までは分からないからね。」
「まあ、性格が悪かったら見るだけにしとけば良いじゃん。」
「はは。」
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恰好良く-02 [飯山美里-03]

美優と麻紀がみんなを集めてくれた…。

「そっか、美里の話は分かるわ、でも恰好良いかな私達…。」
「転校生の私に優しくしてくれたみんなは恰好良いよ。」
「雄二は弟に対する態度が恰好悪いと思う。」
「そうか~、兄として弟を甘やかしてはだめだろ。」
「兄としてなら良太は恰好良いよな、自分の弟だけでなく皆に優しくしてる、俺には真似できないぞ。」
「あっ、健太でもちゃんと気付いてたんだ。」
「えっ? 健太でもってなんだよ。」
「そうね、良太の真似は誰でも出来る事じゃないかも、でも他で恰好良く出来れば良いんじゃないかな。」
「恰好良いって…、ヒーローぐらいしか浮かばないけど。」
「あっ、戦隊ものか、くさいけど友情とか出て来るでしょ。」
「う~ん、一部の人を除いて美里さんの話は理解出来てると思う、問題は下級生にどう伝えるかだね。」
「よっ、児童会会長、恰好良くまとめてくれよな。」
「真面目な会長の発言をおちょくる様な、雄二の発言は恰好良くないよな。」
「うん、私もそう思う、でもここで雄二を追い詰めていじめたら、それはもっと恰好悪いってことなのね。」
「こんな真面目な話を、先生のいない所でしてる俺達って恰好良いのかな。」
「恰好良いと思うな、実行出来たらもっと恰好良くなる。」
「黙ってごみを拾うのは恰好良い。」
「我儘言うのは恰好悪い。」
「テストで百点取るのは恰好良い。」
「五十点じゃ恰好悪いよな。」
「でもさ、頑張った結果の五十点なら恰好悪くないと思うな。」
「美里が五十点だったら恰好悪いけど、雄二が五十点だったら恰好良いって事か?」
「そうかもね、特別支援学級の子だって頑張ってたら恰好良い、自分なりに頑張ってる人って、ほらスポーツ選手が恰好良いのは頑張ってるからでしょ。」
「真面目なのは恰好良いと思う、雄二は自分が不真面目だから、真面目な人をからかうようなこと言うけど。」
「下の学年の子にはどうすれば良いのかな?」
「良い事をしたら、恰好良いと褒めて上げる、悪い事をしたら、恰好悪いねって笑いながら教えて上げるってどう?」
「まずはやってみるか?」
「そうだね。」
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恰好良く-03 [飯山美里-03]

ふふ、みんな恰好良く掃除してる。
さて、私はごみを捨てに行くかな…。

「あらっ、雄三くん、お掃除真面目にやってるのね、恰好良いなあ。」
「えっ、掃除の時間なんだから当たり前でしょ。」
「でもちゃんと廊下を綺麗にしようって、やってる振りだけの子もいるからね、雄三くんは恰好いいぞ。」
「えへへ。」

「あ~、海斗はお掃除中にほうきを振り回して遊んでんだ、はは恰好悪いな~。」
「恰好悪いって?」
「えっ、真面目に掃除しない自分が恰好良いと思ってるの?」
「…。」
「雄三くんは恰好良いな~。」
「そうかな…。」
「おっと、早いとこごみを捨ててこなきゃ。」

こんな感じでどうかな、お掃除を真面目にやりなさいと言うよりは良い気がするけど。

あれっ、どうしたのかな。

「柚葉ちゃんは、どうしたの?」
「美里ちゃん、柚葉ちゃんがバケツの水をね…。」
「うん、ごめん、省くん、ここ拭いてくれないかな、私は柚葉ちゃんを五年生の教室へ連れて行くから。」
「うん、良いよ。」
「おっ、省くん恰好良いな。」
「へへ。」

「美里どうしたの?」
「うん、柚葉ちゃんがバケツの水をね…。」
「まずは靴下を脱がして上げて…、拭くものは…。」
「このタオル使えよ。」
「有難う。」
「俺、先生に相談して来る、そんなに濡れてたら可哀そうだろ。」
「お願いね。」
「はい、お顔は私のハンカチで、柚葉ちゃん、何時迄も泣いてると私達がいじめてるみたいじゃん。」
「うん、ありがとう。」
「はい、ちゃんとお礼も言えました、柚葉ちゃん恰好いいぞ。」
「拭けるだけは拭けたけど、ひとまず保健室かな。」
「そうね、私の靴貸したげる。」
「美里は?」
「何とかなるでしょう。」
「じゃあ保健室へは私が行くわ。」
「有難う、お願いね。」

みんな優しくて恰好良い。
ふふ、これなら安心して転校生を迎え入れることが出来るかな。
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恰好良く-04 [飯山美里-03]

入学式に始業式、最上級生になったのだからしっかりしなきゃね。
児童会会長、省吾も、恰好良くなろうって全校のみんなに話してくれた、ふふ結構恰好良かったわね、彼。
真由ちゃん達転校生や新一年生が無事みんなの仲間になって溶け込んでくれると良いのだけれど。

「美里、今日はどうするの?」
「中学へ行って赤木さんと話して来る、転校生の事とかね。」
「そっか、じゃあ私等何時ものとこで遊んでるから早く終わったらおいでよ。」
「うん、有難う。」

佐藤さんの所は、兄が中学生、弟が小学生だから連絡を取り合って…、なんのフォローの必要もなく馴染んでくれれば良いのだけど、一応ね。
中二、中三はまだ知らない人ばかりだし。
赤木さんは少しずつ紹介して行くって話してたけど…。

「美里ちゃん、小学校の方はどう、恰好良くって話は麻紀ちゃんから聞いてるけど。」
「ええ、上手くまとまりそうな雰囲気です、新六年生はみんな優しいし、私も赤木さんみたいに下級生から慕われる様になろうと。」
「はは、もう充分慕われているそうだけど…、あれっ、あいつら…、お~い、そこで、こそこそしてる男子、紹介して上げるからおいでよ。」

「おお~、話には聞いてたけど可愛いじゃん。」
「初めまして飯山美里です。」
「適当に名前名乗って顔ぐらい覚えて貰えば?」
「えっ、赤木、冷たいぞ。」
「美里ちゃん達は恰好良い男子がお好みよ。」
「じゃあ俺だな、田中雄一、三年生、よろしくな。」
「はは田中が美里ちゃんに気に入られる訳がないわね。」
「え~、何でだよ。」
「美里ちゃん達は、外見じゃなく中身が真面目で恰好良い人を目指してるからね。
田中みたいに不真面目で自己中な奴は問題外、ね、美里ちゃん。」
「田中さんは雄二、雄三って弟達がいるのですよね。」
「ああ。」
「雄三くんは恰好良いですよ、お掃除も真面目にやってくれるし、今日は新一年生の相手をしてくれてました。」
「へ~、あいつそうなんだ。」
「はは、自分の弟じゃないのかよ。」
「神田、雄三は歳が離れてるから雄二に面倒みさせてんだよ。」
「ふふ、何か田中さんの兄弟関係が見えて来ました。」
「あっ、雄二の同級生か。」
「雄一の悪行はすべて筒抜けになるな、でしょ美里ちゃん。」
「神田さん、そうでもないです、雄二くんとはあまり話が合わないので。」
「ねえ、田中、あなた自分が恰好良いと思われるのと、恰好悪いと思われるのとどっちが良い?」
「そりゃあ、恰好良いと思われたいだろ。」
「今までの田中ははっきり言って恰好悪いわよ。」
「うぉっ、赤木もはっきり言うね。」
「神田、遠回しに話して田中が理解できると思う?」
「はは。」
「小学校では恰好良くなろうって、美里ちゃんの案を六年生みんなで学校中に広げようとしてるんだってさ、恰好良い小学生ばかりになって、中学生が恰好悪かったら嫌なんだけど、田中はともかく神田は美里ちゃんの話聞いてみない?」
「ああ、俺はもっと恰好良くなりたいからな。」

神田さんは私の話を真面目に聞いてくれた、三学年も上なのに。
この人も恰好良いと思う、赤木さんと神田さんが中心になって中学でもって話になった。
来年、進学しても安心て事なのかな。
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恰好良く-05 [飯山美里-03]

転校して来た子達も随分馴染んでくれたね。
真由ちゃんも、ずっと前から一緒だったみたいに遊んでるし。
中学への転校生も赤木さんが気にかけてくれてて大丈夫みたい。
これなら父さんも安心してくれそうね。
一年生も、みんな元気に遊んで…、あれ?

「夏ちゃん、どうしたの? あっ、お熱が有るわね、保健室へ行きましょう。」

夏ちゃんはひとりでいる事も多いかな。
いじめられているという感じではなさそうなんだけど。

「美里さん有難うね、夏ちゃんは具合が悪くても誰にも言えなかったみたい。」
「ええ、おとなしい子だから、でも今日は何時もと様子が違ったので。」
「美里さんは、ほんとに皆の事を見てるのね。」
「みんなが楽しく遊んでるのを見ているのが好きなんです、じゃあ授業が始まるので。」
「はい。」

夏ちゃんの事はあまり耳に入ってこないな…。
おとなしい子の事は分かんないのよね。

「ねえ、美優は一年の夏ちゃんの事知ってる?」
「あまり知らない、住んでる地区が違うからね、麻紀は?」
「私もあまり…、夏ちゃんは健くんと同じクラスなんだから、横山さんに聞いた方が良いかも、ちらっと大人の事情みたいな話を耳にしたし。」
「有難う、帰りに聞いてみる。」
「気になる事でもあるの?」
「うん、ちょっとみんなと馴染めてない気がして。」
「う~ん、そう言われてみると、みんなと元気よく遊んでるイメージないな、私も気を付けるから何か有ったら教えて。」
「うん、お願いね。」

ふふ、こんなお願いが出来る仲間がいるというのは嬉しいぞ。
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恰好良く-06 [飯山美里-03]

横山さんも父さんも、ここの人達の家を回ってるけど、自分ちの子の同級生を優先したそうだから麻紀の言う通り横山さんに聞いた方が良いな。
この時間は大抵事務所にみえるけど…。

「横山さん、こんにちは。」
「おお、美里ちゃん、お帰り。」
「お忙しい所申し訳ないのですが、少しお時間よろしいですか?」
「もちろん大丈夫だよ、はは、堅苦しい挨拶も覚えたんだね。」
「六年生になりましたから。」
「ふむ、それで?」
「井上夏子ちゃんって健くんの同級生ですが。」
「あっ、健の奴いじめたのか?」
「いえ、ただ…、ちょっとみんなに馴染めてないみたいで横山さんなら、何か御存じではないかと思いまして。」
「う~ん、そうか…、美里ちゃんになら話しても差支えないない…な…。
あの子はね、事情が有って、お婆さんが面倒見てるんだよ、詳しくは私も知らないんだけどね。」
「そうでしたか…、寂しい思いしてるのかな。」
「健ではちょっと役に立てそうになくて、仲良くやれ、いじめるなって言い聞かせるぐらいなんだが。」
「健くんはちゃんとやってますよ、私達の言う事をちゃんと聞いてくれて、ふふ、私達の仲間になろうとしてます、前よりは弟達に優しくなってきてると思ってますけど。」
「そうなのかな、なかなか遊んでやれなくて。」
「ちゃんとお休み取らないと安藤社長に怒られますよ。」
「はは、そうだった。」
「夏子ちゃんの事で何かあったら教えていただけますか。」
「うん、ちょっと待ってて私より百合子の方が詳しいと思うから。」

百合子さんも素敵な人だ、私を子ども扱いすることなく話してくれる。
でも、どうやら夏ちゃんは大変な思いをしてるみたいだね、百合子さんがお婆さんと話して下さるのなら夏ちゃんとは私が話してみようかな。
う~ん、大人の事情が有るから相談するのは麻紀と美優だけにしといた方が良いかも…。
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恰好良く-07 [飯山美里-03]

相談できる人がクラスにいるのは嬉しいことだよな。

「そうか、夏ちゃん寂しい思いしてたんだ。」
「ねえ麻紀、夏ちゃんって登校の時、雄二達の班じゃなかった?」
「あっ、最悪じゃん。」
「えっ、どう最悪なの?」
「班長が雄二というだけでも最悪だけど、あそこは男子ばかりなの。」
「う~ん…、どの辺りから通ってるの?」
「美里の家からの通り道にお寺が有るでしょ、確かそのお寺が集合場所だったと思う。」
「学校まですごく遠いという訳では無いんだね。」
「でも…、あの班じゃあね、ほら学校でも同じ班の子が面倒見てることも有るじゃない。」
「そっか…、上級生の女の子が近くにいないというのは痛いわね。」
「私達、一緒に遊ぶ様にしようよ。」
「うん、私は…、お寺から歩いて通う事にしようかな。」
「良いの?」
「ちょっとは歩いた方が良いかなとは思ってたの、でも家からじゃあ、さすがにね。
お寺まで送って貰って夏ちゃん達と登校してみるよ、お父さんや先生と相談してみる。」
「美里ってほんとに優しいのね、夏ちゃんは全然知らない子なんでしょ。」
「うん、でもさこの学校の下級生はみんな私の弟や妹みたいなものだからね。」
「恰好良いね~、あたしゃ惚れちゃいそうだよ。」
「町で話題の美少女だもんね。」
「えっ?」
「小さい町だから、もうすっかり有名なのよ、下級生達が私等に褒められた話とか親にする訳。」
「そんな話を、その親が私等に喜んでしてくるから、その時に、美里のおかげなんですって、美優がね。」
「え~、困る~、何かはずかしい。」
「恰好良い事やってんだから恥ずかしがる必要ないのよ。」
「そうすると、飯山さんの所へもおすそ分けしなきゃって感じになるんだけど。」
「あっ、ここへ来てから頂きもの多かったけど、最近回数が増えたと思ってた…。」
「うちの父さんは、美里ちゃんは町の再生の象徴だって言ってるよ。」
「え~。」
「でも、気にしないで今のままの美里でいてね、私達も応援してるから。」
「う、うん。」

何か知らない内に、変な事になってしまったな…。
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恰好良く-08 [飯山美里-03]

「詩織は今まで通りでも良いのよ。」
「ううん、お姉ちゃんと一緒が良い。」
「じゃあ、夏ちゃんの事もお願いね。」
「うん。」
「さあお寺に着いたぞ、二人とも気を付けてな。」
「はい、いってきま~す。」

あっ、来てる来てる、私達含めて十一人だから、後三人か。
夏ちゃんはお婆さんがここまで一緒なのね。
ご挨拶しとかなきゃ。

「夏ちゃんおはよう。」
「おはよう。」
「おっ、元気にご挨拶できたね、今日から私達もこの班だからよろしくね。」
「うん。」
「おはようございます。」
「おはようさん、孫をよろしく頼みます。」
「はい。」
「すまないね、夏子の為にここから歩いて下さるそうで。」
「いえ、少しは歩いた方が良いと思っていたのですが、家からだと遠くて…、根性ないんです、私。」
「はは、都会から越してきたから色々大変でしょうに。」
「いえ、思ってた程では有りませんでした、皆さん良くして下さいますし。」

「お~い、行くぞ。」

はは、雄二もここではちゃんとやってるみたいね。
詩織は男の子達に囲まれまれて話してる、うん、みんな楽しそうだから大丈夫かな。
夏ちゃんは雄三くんが手を繋いであげてるんだ。
この辺りは広がって歩いても問題無さそうね。
ふふ、みんな時折振り返って私に笑顔をくれる。
詩織が夏ちゃんに話掛けてるな。
うん、こうして後ろから見守るというのも良いかも…、待てよ私の足が遅いのか? お婆さんと話してて出遅れたのに、のんびりし過ぎたかな。
あっ、雄二はどんどん行っちゃう…、夏ちゃんのこと気にしてないな…、やっぱ恰好悪い。
他の子達も…、先に行ってる子達は早く学校に着いて遊びたいのね。
これじゃあ、夏ちゃんはついて行けないんじゃ…、でも雄三くんが一緒か、ほんと恰好良いね。
さて、私は夏ちゃん達には追い付かなくちゃ。
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恰好良く-09 [飯山美里-03]

「美里、今朝の登校はどうだった?」
「夏ちゃんついて行けてなかったよ、でも雄三くんが面倒見てくれてたわ。」
「やはり雄二はだめか…。」
「早く学校に着いて遊びたいのでしょうね、私もついて行けそうにない速さだったの。」
「これからどうするの?」
「まずは、二つに分けようかな、女の子組と…、雄三くんも本人の好きな様にさせてあげないと、もしかすると早く行きたいのを我慢してたかもしれない、でも雄二と一緒じゃない方が良いのなら私達とかな。」
「ほんとは班でまとまって行動しなさいって事になってるけど。」
「自主的に一年生の事を考えてくれるのなら良いけど、無理に押し付けるのもどうかしら。
夏ちゃんが入学してくるまでのペースを急に変えられなかったと思うの、先生にも話してみるわ。」
「詩織ちゃんは?」
「何となく馴染んでるみたい、雄三君とも夏ちゃんとも。」
「じゃあ、休み時間も一緒に遊ぶ様に仕向けてみようかな。」
「そうだね、詩織はすぐ飼育小屋の方へ行っちゃうけど。」
「他の一年生は大丈夫かな。」
「ねえ、横山さんちの健くんと伊藤さんとこの仁くん、あまり仲良さそうじゃないみたいだけど。」
「そうね、でも喧嘩はしてるけど相手を怪我させる様な事はしてない、今はライバルなんじゃないかな、落ち着けば親友になるかもよ。」
「そういうものかな?」
「断言は出来ないけど、まだお互いの距離感が掴めていないんじゃないかしら。」
「はぁ~、美里は時々すごく大人に思えるのよね。」
「そんなことないよ、ただここへ来てから元気に遊ぶみんなを見ながら考え事するのが楽しいというか…。」
「やっぱ違う、私はそんな事考えてないもん、美里はなんかお母さんみたいなんだよな。」
「お母さん?」
「一緒に遊んでなくても、見ててくれると嬉しいみたいな、ね、ちっちゃい頃さ縄飛びするからお母さん見てて、なんて事なかった。」
「麻紀、そうだよ、美里が見ててくれると私でも嬉しくなるから、多分下の子達にとっては優しいお母さんみたいな存在なんじゃないかな。」
「う~ん、優しいお姉さんを目指して来たつもりなんだけどな。」
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恰好良く-10 [飯山美里-03]

あらっ、修くんだ、お掃除中ね…。

「あっ、美里ちゃん、こんにちは。」
「こんにちは、修くん、家の周りのお掃除?」
「うん、もう終わるとこ。」
「家のお手伝い出来るなんて恰好良いね。」
「へへ。」

「あら、美里ちゃん、こんにちは。」
「こんにちは、修くんはお掃除のお手伝いが出来て素敵ですね。」
「はは、うちのバカ息子が素敵か、嬉しいね。」
「母ちゃん…。」
「まあ悪い子じゃあないんだけど、でもね算数がだめでさ。」
「そうなんですか。」
「明日テストが有るそうなんだけど。」
「修くん良かったら、少し見てあげようか、父さんの仕事が終わるまでまだ時間が有るから。」
「良いの。」
「ほんと、美里ちゃん、迷惑じゃなかったら上がって、飲み物用意するわね。」

修くんは頭悪い訳ではなかったね、ちょっとしたヒントで理解出来た…、五年生の先生算数教えるの苦手なのかな。
修くんだけでなく、皆どんどん恰好良くなっているよね。
転校生達も今の所問題なし。
夏ちゃんもずいぶん明るくなったし、詩織も。
夏ちゃんの事を気にかける様になってから、しっかりして来たわ。
ちっちゃい子達と遊ぶ様になって自信がついてきたのかしら。
沢山の弟や妹が出来たんだもんな。
ふふ、私も同じか。
夏ちゃんは、美里お姉ちゃんと呼んでくれる様になったしね。
さ~て、問題は夏休みかな。
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