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近衛予備隊-271 [高校生バトル-70]

「受刑者達はそんなに活躍してるの?」
「国軍の河川管理を補佐し、発電用の燃料を確保してくれています。
 電力需要が伸びて来ていますので、社会に欠かせない存在です。
 強制労働している無給労働者が減れば電力料金の値上げを前倒しする必要が出て来ますよ。」
「彼らは大人しく働いてるのかしら?」
「文句を言って暴れた人や脱走を試みて失敗した人は刑期が伸びます。
 監督官達は貴重な労働力だから気持ち良く働いて貰おうと考えています、ただ、中には犯罪者だから死んでも構わないぐらいに思ってる人も居るそうで、トラブルが起きた所を調査すると監督官に問題が有り、逮捕され刑務所に入り強制労働者になった監督官もいるのだとか。」
「監督官をやってると自分が偉くなった気になるのでしょうね。」
「みたいです、全員監督官になる前に教育を受けているのですが、初心を忘れてしまうみたいです。」
「女性の受刑者も強制労働?」
「山へ入って作業する様なことは有りません、受刑者の食事を作ったり洗濯したり、自分達の食料を確保する為に畑仕事や家畜の世話をしています。」
「受刑者の食事と言うことは男女一緒なの?」
「同じ建物で顔を見て話すことが出来ますが、互いに手が届くことのない構造になっています。
 刑期を終えるまでは異性に触れることが出来ないのですが、刑務所内でカップルが誕生することも珍しく無いそうです。
 完全にプラトニック、真面目に働いていれば刑期が短くなることも有りますので、受刑者にとって良い刺激になっているそうです。
 色々我慢しきれなくなって揉め事を起こす人も居るのですが、その結果刑期が伸びると言う姿を見せられ、刑期を終えた後も同じ仕事をしている人から結婚した話を聞かされると、受刑者は真面目に働くしかないのですよ。」
「本能をコントロール出来る人は真面目に、出来ない人は揉め事起こして刑期を伸ばすと言う構図なのかしら?」
「ええ、大きな声では言えないのですが、刑期を終えても直ぐに戻って来そうな人にはトラップを仕掛けていましてね。」
「トラップ?」
「性格に問題が有る人に脱獄出来そうな状況をわざと作るのです。
 思わず脱獄を試みても簡単に捕まってしまい刑期が伸びる、そんな人は学習能力が低いですから、何度も繰り返すそうです。
 刑期が伸びたお祝いにと何時もより少しだけ夕食が良くなるのですけどね。」
「トラップだと気付く人も居るのでしょ?」
「勿論です、一回試してトラップだったのではと気付いた人は、脱獄に対して慎重になります。
 トラップでは無く監督官がミスしても、脱獄される確率が下がるのですよ。」
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近衛予備隊-272 [高校生バトル-70]

「受刑者の待遇はどうなの?」
「食事は豪華とは言えませんがそれなりのものが出されています。
 酒や煙草は差し入れ次第ですが制限されていますから、かなり控えめです。」
「完全に禁止では無い方が良いのかしら?」
「人それぞれでしょう、酒を少し口にすると余計飲みたくなって辛いから、全く飲まない人もいるそうです。
 でも力仕事で適度な運動、美味しい食事と適度な飲酒、煙草を吸う回数は極端に減り、彼らは健康的に暮らしているのですよ。」
「そっか、私は適度な運動を心掛けているけど、自分で気を付ける必要は無いのね。
 娯楽は?」
「音楽祭にも各刑務所の受刑者代表が出ています、出所後のことを考えたら社会との接点が有った方が良いですから。
 賭け事は差し入れの酒や煙草を賭けて楽しんでるそうです。
 夜は刑務所の男性専用エリア女性専用エリア、それと男女が鉄格子を隔てて会話出来る共用エリアで自由に過ごしています、翌日の仕事に差し障りの無い時間までに就寝すると定められているのですが、寝不足では事故の危険性が高まると教育していますので夜更かしをする人は少ないそうです。
 監督官達は大声で騒ぎ他人の睡眠を妨げない限り何も言いません。
 テレビも見られますし、出所後、違った仕事に就く人の為、パソコンも置いて有ります。
 台数が限られますので交代で使ったり複数で囲み扱い方の学習をしたりしてるそうです。
 以前そんな話が自分達のYouTubeチャンネルにコメントとして書き込まれましたので、パソコンの台数を増やしてはいるのですけどね。」
「う~ん、私が抱いてた刑務所のイメージとは随分違うわ。」
「受刑者を国の為に働いてくれる人達と考えた結果です。
 我々が正規で雇用するには充分な給料を支払うことが前提になりますが、彼らに給料を支払う必要は有りません、大勢のボランティアが山で働いてくれてるのですよ。」
「労働環境が悪かったら刑期を終えた後も、そこで働こうとは思わないものね。
 う~ん、罰としての意味合いが弱いと思えるのだけど、裁判官達はどう考えてるのかしら?」
「概ね好意的に捉えている様です。
 彼らも罪を憎んで人を憎まずと教えられていますが、以前は犯罪者を罰すると考えていたのが犯罪者には山で働いて貰うに変わり、精神的に楽になったと聞いています。
 かつての刑務所には山での強制労働は有りませんでしたが、ひどい環境だったそうです。
 裁判官達は定期的に刑務所の視察を行っていますが、今の環境なら刑務所暮らしの方が楽しく暮らせそうな被告も居るのだとか。」
「自由が無くても?」
「刑務所では監督官に守って貰えますからね、一般社会に適応出来なくて犯罪を犯した人も大切な労働者として扱われているのです。」
「精神的に見守られる必要の有る人にとっては悪くない環境と言うことかしら?」
「そう思います、いじめる人がいればすぐ分かり、いじめた人の刑期は延長されるのです。」
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近衛予備隊-273 [高校生バトル-70]

「裁判の仕組みも大きく変えました。
 罰則として、刑務所送りになる最低ラインは一か月以上の強制労働、それ以下は罰金刑ですが、逮捕されたら直ぐに、裁判官と検察官、弁護士で予備審査を行い、この時どう考えても一か月以上の強制労働になると三者が判断したら、刑期未定のまま直ぐに刑務所に送られます。
 弁護士が無罪を主張した場合でも、本人の生活状況が好ましくなければ、裁判官の判断で刑務所研修を受けさせる制度を始めています。」
「有罪になっていなくても?」
「まだ大きな犯罪を犯していなくても小さな犯罪は確実に犯している連中が対象、そのまま暮らしていたのでは良からぬグループを拡大させることに繋がると判断した場合です。
 労働は軽めで、更生した先輩と話す機会が持たれます。」
「単に罪を償わせると言う発想ではないのね。」
「ええ、兎に角働ける人を牢に閉じ込めておくのは損失でしか有りません。
 罰金刑の人も、罰金を払えなければ刑務所での労働になります。
 罰金額を高めに設定し国庫を潤わせようと考えているのですが、犯罪を犯して捕まったら山での強制労働、誰にでも分かり易くなりました。」
「そのシステムで冤罪は起きてないの?」
「どうですかね、取り敢えず働いて貰って、冤罪だったらその分働いた報酬に上乗せして支払うことになっていますが、そんなややこしい犯罪は僅かだと思います、現行犯逮捕がほとんどですから。」
「その僅かが問題になったりしないかしら?」
「疑われるだけの行為をしてるから逮捕されるのです。
 そんな行為も裁判官の判断で違法になります。」
「随分乱暴な気がするのだけど。」
「法の盲点を突く様な行為自体を禁止、正常な経済活動や公序良俗に反する行為は既存の法に触れていなくても重罪という法が国会を通っています。
 それが可能になった背景には、戒厳令の時に裁判官からも多数の逮捕者が出たこと。
 あの時以来裁判官の不正を監視するシステムが確立されまして、微妙な裁判には判決に関して第三者が意見を出すことが出来尊重されているのです。
 裁判官の権限を高めましたが、彼らの判決は多くの人に監視され不正や判断ミスを犯しにくく。
 裁判官達はそれを喜んでいるのですよ、責任の重さが軽くなっていますからね。」
「色々微妙な気がするのだけど。」
「取り敢えず刑務所に送って強制労働ですが、その環境は以前の刑務所と比べたら格段に良くなっているのですよ、刑務所に入って彼女を見つけたいなんて冗談が出るぐらいに。」
「そっか、強制労働と言っても、そんな作業を普通に仕事としてやってる人もいるものね。」
「ええ、罰を受けるのではなく国の為に働く、それが受刑者に対して一番初めに教える事なのです。」
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近衛予備隊-274 [高校生バトル-70]

「罪を犯したのだから国の為に働きなさいと言うことなのね。
 でも、法整備はまだ始まったばかりだと聞いたけどどうなの?」
「様々な法が有りますからね、刑法は裁判官の質を高め監視システムを維持して行くことを前提に、一番シンプルにする方向で進めて来ました。」
「どういうこと?」
「日本の法律事情を少し教えて貰いましたが解釈とかややこしいですよね。」
「ええ、会社でも弁護士に頼るしか無いわ。」
「兎に角法律をきっちり定め、それに沿って裁判を行ってるそうですが、信頼に足る裁判官ばかりであるのなら細かい部分は裁判官の判断に任せて良いのです。
 法律全般の見直しを行っていますが、特に刑法に関しては裁判官の裁量に任せる部分を多くし、今はそれで不都合がないか検証している段階です。」
「法の裏をかこうとしたら有罪に出来る法律とかが有るものね。」
「ええ、新しい法律ですから、でも人に迷惑を掛けない、人を騙して金儲けをしてはいけないと当たり前のことなのです。
 法の隙をついて社会にとって好ましくない行為をする連中を放置していたのでは、国の改革が遅れてしまいます。
 社会は変化しているのですから、細かい法律で対処して行くより手っ取り早いと思いませんか?」
「そうね、独裁政権のメリットを最大限に活かすと言うことかしら。」
「先進国の事例を見ていたら、独裁者と言われても構わないと思う様になりましてね。
 被害者家族の人権より加害者の権利が重視されてるなんて考えられません。
 だらだら裁判を続けるのではなく直ぐに判決を下し有罪なら罰金か強制労働。
 それに不服がある場合は服役しながらゆっくり審理して貰う。
 早い判断は、法がシンプルで裁判官やその判決を見守る人達の判断が重視されるから可能、そして受刑者は自由は奪われるものの労働者として尊重される。」
「今までは人として尊重されてなかったのね。」
「と、思います。
 人権を尊重していますので、判決に対しての不服申し立てを可能にしているのです。」
「その辺りは独裁者らしくないわ。」
「ただ、制度を始めた当初は不服を申し立てる人が多かったのですが、その後不服を申し立てた人が服役中に取り下げる例が増えまして。」
「そんなに刑務所は居心地か良いのかしら?」
「いえ、そこまででは無いと思うのですが、不服を申し立てた人のことを時間を掛けてじっくり調査すると、そこで余罪が見つかり刑期が伸びるケースが多いことを、彼らは刑務所内で知るのです。」
「裁判官は早い判断を求められているので刑期を短めにする傾向が有り、しっかり調べると刑期が短くなるより長くなる事例の方が圧倒的に多いのです。
 取り下げても、その時点までに判明した事実から刑期が十年伸びた人がいるとの噂が広がったお陰で、裁判所関係の人員に余裕が出来つつ有るのですよ。」
「それだけシビアな調査をしているのね。」
「はい、人権を守るだけでなく、山での労働力確保と犯罪を減らすことに繋がりますので。」
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近衛予備隊-275 [高校生バトル-70]

「死刑制度は?」
「廃止しました。
 無給で働かせられる貴重な労働力ですし、死刑を執行する人の気持ちを考えたら良い制度ではないと考え、前大統領が自分を後継に指名した時点で死刑の執行を停止して貰いました。
 凶悪な犯罪を犯した重罪人は他の受刑者と区別し、山奥の特別な刑務所で暮らして貰っています。
 監督官が大変ですが、近くに店が無いことを、お金を貯め易い環境だと理解した人や山の環境に憧れの有る人など希望者はいるそうです。
 今は火力発電所の燃料を確保しながら自分達の刑務所を広げつつ、自給自足を目指して農業と養鶏に取り組んでると聞いています。」
「作業中に逃亡しようとは考えないのかしら?」
「逃げても麓まではかなり長い一本道で、途中に監督官の宿舎が有ります。
 直ぐに発見されることは刑務所に向かう道中で把握出来ているでしょう。
 道を外れ森に入って逃げるのも、かなりの根性と知識や技術が無いと無理なのです。
 刑務所の塀の外にもう一つの塀が有るみたいもので、言わば天然の刑務所なのですよ。
 凶悪犯ばかりですので全員にGPSを付ける話も出ているのですが、予算を考え、しばらく様子を見ることにしました。」
「今の所脱走する受刑者は出ていないのね。」
「ええ、ただ、自殺者は出ています。
 一生出られませんから問題行動を起こすと刑期が伸びる代わりに食事抜きや鞭打ち、他の刑務所と違って酒などの差し入れは一切認めていません。
 凶悪犯罪を犯すと、そんな死にたくなる様な環境で暮らすことになると国民に伝え、犯罪を抑止し被害者家族に納得して貰っています。」
「罰なのね…。」
「それでも、その環境に馴染み始めてる人もいるそうで、楽しみは食事ぐらいですから養鶏や農業は手を抜かないのだとか、刑務所の拡張も自分達の行動範囲を広げることになると考え、真面目に働く人が増えて来てるそうです。
「その方が賢いわ、不自由でも自分達の生活環境を良くしようとしてるのでしょう。」
「刑務所の拡張が進んだら農地と養鶏場を拡大、火力発電所の燃料だけでなく鶏や野菜を出荷する予定が有り、そこに至ることが出来たら少しばかりのご褒美を考えています。
 鞭ばかりではなく、時には飴が有った方が生産性が向上しますからね。」
「これから凶悪な犯罪を犯したして捕まった人も全員そこへ?」
「いえ、人数が増え過ぎると暴動の恐れが有りますし、落ち着いて働いている受刑者の環境を悪化させることにも成り兼ねませんので、近くに同じ様な刑務所を建設して行きます。
 その作業は今の受刑者達に行って貰いますが、次の刑務所には落ち着いて働けない受刑者と、新規の受刑者を収容、真面目に働いてる受刑者とは分けて行きます。」
「そのことは彼らも知っているの?」
「計画は伝えて有るそうですが、ご褒美は煙草一本とお酒少々としか。
 利益が出始めたらもっと上げても良いと思ってるのですが、変に期待させ無い方が良いとかで。」
「そうよね、豪華なご褒美を夢見ていたのに煙草一本とお酒少々だったら暴動を起こしかねないわ。」
「まあ、一度死刑判決を受けた人は一部を除いて大人しいそうですけどね。」
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近衛予備隊-276 [高校生バトル-70]

「そっか、彼らは死刑囚だったから…、大きく減刑されたと感じてるのかしら?」
「どうですかね、死んだ方がマシだと思って自殺する人もいますので。」
「自殺されるのも面倒でしょ、死刑か終身強制労働か本人が選べるとかどう?」
「そうですね…、終身強制労働がどんなものか知った上で判断して貰い、死刑を選んだ場合は自分で毒を飲んで貰うとか、死刑執行官の心が痛まない様にしたいですが…、全員殺人事件を犯した人ですので、それが妥当なのかも知れません。」
「日本だと死刑が執行されないまま何年も、それはそれでなかなかの罰なのだけど、働かずに衣食住が保障されてるなんて、ジョンは納得出来ないでしょ?」
「ええ、死刑制度の有る国のことは少し調べてみましたが変ですよね、自信を持って死刑判決を下した筈なのに刑の執行を躊躇してるとしたら税金を使って養ってるも同然です。
 法律を変え、死刑をやめて働かせるとか考えられないのでしょうか?」
「死刑制度を存続させるのなら速やかに死刑執行、そこに問題が有るのなら死刑制度廃止なのだけど、微妙な問題から逃げるのが日本の政治家でね。
 日本で政治家を尊敬する人が減っているのは、無駄に多い国会議員の中に違法行為をする人がいることも有るのだけど。」
「人は地位を得ると変な私欲が出ると、大統領親衛隊から国会議員になった人達とも話し合っています、互いに気を付けようと。」
「どう、一党独裁で改革を進めてるけど歪は出て来てない?」
「どうですかね、完全にとは行きませんので今頃自分を暗殺する計画が進んでいるのかも知れません。」
「対応は?」
「敵の多かった前大統領を守っていた大統領親衛隊の警護班から色々レクチャーは受けています。
 王宮から指示を出している今の形を続けて欲しいそうで。」
「王国のこのエリアはセキュリティーを更に強化したものね。」
「遠江王国の王家が試しているシステムですね、まずは店で万引き犯が一網打尽になっています。」
「店のは少し目的が違うのだけど。」
「それでも悪事を考えてる連中に対して牽制にはなっていると思います。
 万引きをした頭の悪い連中は少しの罰金で済んだからと反省せずに再犯、そこには半年ほどの強制労働が待っていて無給労働者の確保に繋がっていますので。」
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近衛予備隊-277 [高校生バトル-70]

「あのシステムは体重の計測方法に苦労したみたいね。」
「ええ、売り場に入る時はクレジットカードかプリペイドカードの本人確認、そのタイミングで体重確認を行えるのですが、精算時の計量は技術と工夫でカバーしたと聞きました。」
「それでも誤差が有るのでしょ?」
「誤差はかなり減らすことに成功していますが、軽くて高価な物の万引き対策はレジでしか外せない重りを付けることで解決しています、客は付けて有る広告が目的だと思っている様です。」
「軽い物はどうしても誤差の範囲になるものね。
 万引きかどうかの確認はしっかり出来てるの?」
「店員は体重増加の原因が万引き以外にないか確認してから警備員を呼んでいます。
 少し待たせると目が泳ぐとか落ち着かない人が多いそうですが、堂々としてる人に限って体重が沢山増えているのだとか。」
「今まで万引き犯として捕まえたらそうでは無かったと言う事例はないの?」
「店員と警備員は慎重に確認しているそうです、対応を間違えて暴れられても困りますから。
 ただ、飴一つとか軽いものを万引きした場合は摘発出来てないと思います。
 それでも、このエリアの店に同様のシステムを導入して行けば、順法意識の低い万引き犯が近寄らなくなる筈です。」
「システムを広げて行くのね。」
「ええ、このエリアでの運用に問題が無ければ、万引き被害の多いマーケットを中心に広げて行きたいと思っています。
 万引き被害額と、逮捕された人からの罰金や二回目からの強制労働による国の利益とか考えると、初期投資額は決して高くない、万引き対策チームはそんな結論に達しています。」
「一回目の罰金額が低めなのは?」
「子どもの万引きを想定してのことです、子どもでも二回目以降は強制労働ですけどね。」
「年齢関係なく?」
「いえ、十二歳ぐらいまでは親の責任です、子ども向けの強制労働施設も準備していますが、それは教育施設になります。」
「子どもを将来犯罪者にしない為の教育施設と考えれば良いの?」
「はい、万引きが悪いことと分かっていない幼児は兎も角、犯罪だと理解していて万引きをする子は教育次第で、良い方向に伸びるかも知れないと聞いています。」
「人間の成長には欲も含め様々な要素が絡むものね。」
「ずる賢い子こそ教育次第だと思いませんか?」
「それは言えてるかも、教育環境次第で良くも悪くもなりそうだわ。」
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近衛予備隊-278 [高校生バトル-70]

「ですね、同じ様な設備を整えた学校でも親の意識によって教育環境に大きな差が出来るようです。」
「初期の近衛予備隊第三部隊に関する報告では、とてつもなく可愛い山猿の群れと有ったのだけど、どんな環境だったのかしら。」
「はは、山猿が大統領に成れたのは詩織が作ってくれた環境のお蔭です。
 ただ自分達の部落は貧乏ながらも真面目な大人が多く、兄も部落の子ども達のことを考えて本を送ってくれましたが、隣の部落は粗野な大人が多いので子ども達も乱暴でした。
 同じ様な差が新設の学校でも有るのでしょう。」
「その差を埋めるのは難しそうね、せめて教材だけど、充分なの?」
「有るものを活用するだけです。
 海外からの寄付も有り英語教材はそれなりになりましたが、少ない日本語教室に対する教材が多過ぎるほど届いているとか。
 日本からの観光客が続くので有れば日本語教室はもっと充実させるべきかも知れませんが、日本語の教材や書籍を整理出来る体制が作れないのです。」」
「でしょうね、英語なら兎も角日本語では。
 じゃまなら火力発電所の燃料にすれば良いのよ、要らない物を送って来てるかも知れないでしょ。
 取り敢えず日本側の窓口に状況の確認をして貰うわ、日本語教室の教師主導で教材を選べる様にし、後は自由に読める様にするか…。
 そろそろ外国語学校を設立し日本語教室を支えるとか考えて行くべきかもね。
 日本人観光客だけでなく、日本からの移住者が増えつつあるのでしょ?」
「はい、戒厳令前では考えられないことだったと思います、詩織と前大統領の功績です。
 外国語学校は、日本人を意識して設立した英語教員養成専門学校を拡大しますか?」
「そうね、スペイン語やポルトガル語なども教えて行く必要が有るものね。
 教員養成専門学校は当初の目的を達成してるのかしら?」
「ええ、実際に子ども達と向き合いながら実験的授業も出来ますからね。
 学生の希望を聞きながら各地の学校へ教育実習として派遣されていますが、語学教育だけでなく子ども達とサッカーをしていると聞きました。」
「彼らに犯罪に走らない教育と言うテーマを考えて貰うのはどう?
 乱暴な子達の意識改革は難しいかもだけど。」
「結果は兎も角、お願いしてみる価値は有りそうです、彼らは教育と向き合ってるのですから。
 教育の目的は善良な市民を育て、彼らの生活を充実したものにして行くこと、強制労働で達成感を得られてる人もいるようですが、出来れば刑務所には入らずに仕事を通して社会の役に立って欲しいものです。」
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近衛予備隊-279 [高校生バトル-70]

 ホテルや娯楽施設の建設が進んだことで観光収入が伸び、我々と関連する日本企業の協力も有って輸出も好調、我が社は予定を前倒しして賃上げを行ったが、うちと無関係な人達とは賃金の差が広がりつつある。
 国の全労働者をうちで雇用出来れば良いのだが、それは無理な話だ。
 賃上げに合わせて、今まで安価なまま据え置かれていた生活必需品も総合的に考え適正価格と思われる額に引き上げるが、当然、貧困層はより貧しさを感じることになるだろう。
 それでも値上げを行うのは適度な経済成長を考えてのことだ。

「シャルロット、値上げ対策として発行される貧困層向けカードのデザインは決まったのかな?」
「大統領と女王の二種類、私の大統領が凛々しくて欲しくなったわ。」
「対象外で残念だったね。」
「ええ、でも問題はその対象者達がメリットを理解し登録して使ってくれるかなのよね。」
「手続きは極力簡素化して貰ったが、割引サービスを不正利用されない為のステップが有るからな。
 まあ、そんなことを通して教育の必要性を感じて貰えたらとも思っているのだけど。」
「読み書きの出来ない人への説明は大変みたいよ、お金を数えることは出来てもカードシステムになるとサポートが必要、売り場のスタッフが善意の人ばかりなら良いのだけど。」
「だな、賃上げで心豊かになっていれば良いのだが、そんな人ばかりではないだろう。
 でも、国の経済的な発展を考えたら値上げは必要なこと、現金からカード社会への移行は国策でも有る。」
「貧困層の人が握りしめてた現金が偽札ばかりだったなんて報告が有ったものね。
 騙されてることにも気づかないで低賃金労働をさせられている人が少なからずいるみたいだわ。」
「騙されない為の教育なんて少し残念な気もするが必要だろうな。
 日本でも、良く分からないまま詐欺グループの一員になってる若者がいるそうで、これから国が豊かになって行くと今までとは違った問題が出て来そうだ。」
「気持ち良く生きて行く為には学ぶべきことがまだまだ有りそうなのね。
 割引カードからは、今後沢山学んで欲しい貧困層のデータを管理して行くと聞いたのだけど。」
「入金と何に幾ら使ったかの個人履歴が残る、そのデータから何が見えて来るかは運用を開始してみないと分からないが、割引カードを普及させつつ、生活改善をサポート、まずは義務教育の普及に向けた調査で確認された人達から学校単位で説明会を開いて行く。
 直営農場での仕事を斡旋出来て生活が向上しつつある人は対象外になるが、問題はそこまで至って無い人達だな。」
「雇用の場はもう生み出せないの?」
「農地改革を進めているが、作物によっては多くの人手を必要としなくなる場合も有る。
 輸出向けの加工でも人は足りてるみたいなんだ。
 所得を上げて購買力を高めているが、皆が欲しいものは輸入になる、基本、我が社が関係企業から輸入している物だから悪くはないのだけど、雇用の場を作ることには繋がらない。」
「新たに農場を開拓とかしないとだめなの?」
「ああ、スタッフが色々検討しているよ。」
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近衛予備隊-280 [高校生バトル-70]

 生活困窮者対策としての割引カードは、その所有者がその対象外となるまでフォローして行くと言う前提でスタート。
 国として進めると偏りが有り不公平だと言い始める人が出て来そうだが、会社のサービスとして大株主である遠江王国王家の方針としての展開で、文句を言われる筋合いは無い。
 ただ、値上げに苦しむ人が増えない無い様工夫はしているが、割引カードの対象外になった低所得者層は面白くないだろう。
 それに対する対応も考えてはいるのだが、敢えて実行を遅らせ我々の会社と関係の無い会社の出方を見ている。
 彼らも、好景気の恩恵を受けている筈なのだ。
 農家でも野菜の買い取り価格が上昇して潤っているのだから…。

「詩織、今の状況で新たな事業をスタートさせることが出来たら、従業員を引き抜くことで、利益を従業員に還元していない会社を潰せると思うのですがどうでしょう?」
「その新たな事業が有るの?」
「輸出関連でお勧めは有りませんか?」
「そういうことなのね、会社を潰すメリットは有るの?」
「ええ、それなりに儲かっているのに社員に還元していないのですから、いずれ滅ぶとは思いますが、それを早めることで国民の不満を減らせます。
 倒産した後、同様の会社をこちらで立ち上げて行けば倒産した会社以上のものに出来ます。
 今までは、あまり既存の会社を潰さない様に気を使って来たのですが予想以上に私利私欲に走るオーナーが多いのですよ。」
「そう言うことなら、全グループ企業に相談してみましょう。
 ジョンが大統領になり国全体が落ち着いて経済発展に取り組んでいるのだから、第一段階の仕上げとして失業率を減らし人手不足にならないぎりぎりを攻めてみたいわね。」
「はい、アビュニス王国には周辺諸国から職を求めてやって来る人が増え始めてると聞いています。
 そこまでは時間が掛かるでしょうが、このエリアを引っ張って行けるぐらいの国にしたいです。」
「周辺の国でも近衛隊が頑張ってくれているのだけど、それなりに発展していたので、ここほどやりたい放題には出来なかったのよ。」
「詩織がやりたい放題にやって下さったお陰で、マイカーを持つことがブームになりそうです。」
「全部輸入車になるのでしょ、買えるの?」
「月々一定額を払うリース方式がメイン、日本より割高なのは保険料込みだからと聞いていますが、給与アップを続けて来ましたので一般社員でも払える額なのです。」
「ローンで買うより良いのかしら?」
「実質的に払う金額はあまり変わらないみたいです、ただ、保険を込みにしていることで後々のトラブルが防げますし、借り物だから大切に扱うのではと、返却時の状態によっては次回からの割引サービスが有りますからね。
 自分も二年ごとに新車を乗り換えて行くプランを勧められたのですが、警備の関係で…、免許は取ったもののドライブには行けないのですよ。」
「ドライブか、私も自分で運転してドライブに行きたいわ。」
「どこにぶつけても大丈夫な、女王専用のドライブウエーを作らないと危険かも…。」
「そこまでどんくさくはないわよ、多分…。」
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