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近衛予備隊-211 [高校生バトル-64]

 エミリーと話してから遠江王国の王家、新しい王国などについてプリンセス詩織と色々話した。
 プリンセス詩織は遠江王国の国王と血縁関係に無いだけで無く、プリンセス雅の様に国王の養子にさえなっていない前例無きプリンセスだ。

「市の活性化に繋がるかもと始まったのが遠江王国だけど、新たに立ち上げる王家をどう形作って行くかについては、皆で随分考えたのよ。」
「でしょうね、詩織がプリンセスになった経緯には興味が有ります。」
「最初は市長を国王に、ただそれだけだったの、でも市長としての職務が有るから国王として活発には動けない。
 それで王族、王家の話が出て、国王の子ども達が王子王女に、そして話題作りの為血縁関係の無い義兄弟姉妹も王族に、常識に囚われない王国との意思表示を兼ねてね。」
「それだけですか?」
「ええ、でも当初考えていたより海外からの賓客が多くて正解だったのよ。
 皆で分担して対応出来たから、遠江王国は良い形で世界に知られることとなり、国として承認してくれる国家が増えたの。」
「ここも同じ様に承認して貰えるのでしょうか?」
「いずれはね、でも急ぐ必要はないでしょ、まずは共和国の中の王国と言う位置づけを国際法にどう組み込んで行くかが先だわ。
 国から独立したい地域に対して、一つのモデルとして提示して行きたいとも考えていてね。」
「完全独立では無く平和的に半分独立と言う選択肢が有ると示すのですね。」
「ええ、半分だけの独立でも色々揉めるのだろうけど、独立運動で揉め続けるのとどちらがマシか試してみても良いと思うのよ。
 ここは大統領が我が社と共に国を改革する一環として立ち上がる王国だから、独立運動をしてる人達の参考にはなりにくいかも知れないけどね、でも企業が実権を握る国家として注目を集めたいとも考えているの。」
「紛争に関わる企業は武器を扱ってる所ぐらいですものね。」
「武器以外ではリスクが大きい割に大きな利益が期待出来ないもの。
 領土問題で揉めてる国でも、揉めてる地域を独立させ、領有権を争ってる二か国が協力してそれを支える、なんてことを考えてくれたら可能性は有るのだけど、まず無理なのよね。」
「領土問題が解決することは無いと聞きました。」
「歴史を捻じ曲げてでも領有権を主張する国が有るし、戦争によって領土を奪い取っても、遺恨が残って本当の解決にはならない。
 国と言う概念を本質から変えて行かないと無理だと思うわ。」
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近衛予備隊-212 [高校生バトル-64]

「国の概念ですか?」
「EUは多くの国が集まって構成されているでしょ、その国々がアメリカ合衆国に於ける州の様な形を取ったらどうかしら。
 それぞれの国家や国民には国としてのアイデンティティが有るから簡単な話では無いのだけど。」
「独立国としてのプライドが有るでしょうから簡単には、でも実現したらEUは巨大な国家になります。」
「そしてEU内に於ける国家間の課題は国内問題に格下げね。
 夢物語としては世界が一つの国家になることだけど現状では全く無理。
 もっとも、一つの国家になった所で弱小国出身者の生活は大して良くならないでしょう。」
「ですよね。」
「やはり企業が国を乗っ取る方が現実的だわ。」
「現実的ですか…。」
「まずは共和国内王国を経済的に成功させつつ共和国の経済改革を進める。」
「それは可能だと思います。
 ここは農業改革に成功し、娯楽施設を充実させることで観光客が増えました。
 共和国はマーケットの全国展開を最大限に活かして、雇用の場を創り出すだけでなく少しづつ所得を増やして静かなインフレを。
 低所得者向けの商品は値上げせず、少し良質で利益率の高い商品に対して、まずはうちの社員達の手が届く様に価格設定を行い、賃金を上げ生活水準を少しずつ上げて行く。
 国内に質の良い物を売る店が少ないので、自由に価格を決められるのは強みです。」
「その勢いを利用して政治の場にうちの関係者を更に送り込む。
 その為の人材教育を進めているのだけど、大統領はお年だから彼の引退のタイミングで…、ジョン、立候補する?」
「えっ、大統領にですか?」
「それまでには政府高官の教育を更に進められると思うの。
 戒厳令下でかなり入れ替わったのだけど、そこから近衛隊が教育に当って来たでしょ。
 部下がしっかりしていれば、大統領と村長なんて大して違わないのよ。」
「大違いだと思いますが…。」
「今までも海外からの賓客に対応出来てたのだから、今後は王子として、そして大統領から国王にと、そんな筋書きはどうかしら?」
「詩織は本当に自分で良いと考えているのですか?」
「ええ、腹黒い大人にならない様、近衛隊が見守って行きますからね。」
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近衛予備隊-213 [高校生バトル-64]

「信用されているのか微妙ですね。」
「信用され過ぎていたらプレッシャーが大きくなるでしょ、トップリーダーになって失敗した人は幾らでもいるのよ。
 トップとして問題が有ったら取締役会で社長解任、つまり王族の会議で国王交代を決められる、だからトップに相応しくない人がその地位に留まり続けることは出来ないし、国王の責任が少し軽くなるでしょ。」
「自分より適任だと思える人が王族に加わったら交代すると言う選択肢も有るのですね?」
「ええ、但し他の王国を担当する可能性も有ってね、そうなったら協力し合いながらも、どちらが自国を発展させられるかを競い合う形に出来るかも。」
「低い所で現状維持を考えてる様では国王として相応しくないですものね。
 詩織は女王の座に拘らないのですか?」
「全然拘りはないわ、女王としての面倒事とそのメリットを天秤に掛けて判断したら、早いとこジョンに押し付けて引退したいぐらいにね、でも私の統治下に入りたいと言う声が、幾つか届いていて女王を続けて行くことになりそうなのよ。
 国家をより良い形で運営して行ける力有るリーダーは小国では育ちにくいのかもね。」
「共和国から王国になることに対して国民の抵抗はないでしょうか?」
「実情は良く分からないのだけど、大国の甘言に乗ってしまったばかりに苦労してる国が有ると聞いてるわ、私達のテーマは社会的弱者の救済でしょ、それが広く知られる所となり助けを求められているみたいなの。」
「確かに、人口の少ない小国ならば詩織の統治下に置かれて改革を進めるのが一番早いでしょう、彼らにとっては巨額の投資をしてくれる存在、国王に祭り上げてでも迎え入れたい女神さまなのですね。」
「巨額と言っても小国の立て直しに掛かる金額は大したことないのよ、それを効率良く回転させられたらね。」
「やはりこれから取り組む国でもマーケットを活用するのですか?」
「既存店の多くを全部買い取って国営にしたら商品価格は思うがままに出来るでしょ。
 観光客に沢山お金を使って貰えるシステムを確立出来れば小国の一つや二つ簡単に改革出来るわ。」
「何か策でも?」
「世界的に著名なアーティストの公演を年間通して開催するホールと、そのアーティスト達が楽しめる環境を整えれば、それだけで人が集まって来ると思わない?」
「それなら、初期投資は高額でも短期間で回収出来そうです、村を訪れ宮殿のホールで演奏して貰ったアーティスト達が協力してくれます、湖畔に別荘を建てた人が居るぐらいですから。」
「彼女の交友関係で色々繋がっているのよ。
 ジョンが彼女の知り合いと浮気してくれたらもっと早く広がりそうなのだけど。」
「よして下さいよ、シャルロットとの結婚を控えて変な話が流れたらイメージダウンになります。」
「そうね、大統領候補に傷を付けるのは…、で、ルーシーとはどうなの?」
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近衛予備隊-214 [高校生バトル-64]

「新しい王国では跡継ぎを産む必要はないのですが、子どもを大勢作ればその中から自分の才能を受け継ぐ子が生まれる可能性が高くなるからと言って側室になろうとしています。
 彼女はシャルロットと一夫多妻について話し合っていまして。」
「了承するの?」
「詩織はどう思います?」
「隠れて浮気がバレるより堂々と側室を迎え入れた方が良いかな。
 王家のイベントが増えることにもなるでしょ。」
「でも、どんな問題が起きるのか分からなくて…。」
「なら試してみましょうよ。
 ルーシーが堂々としていて、シャルロットが寛容で有れば大して問題にならないと思うわ。
 人々の話題になることは多い方が良いからね。
 すでにジョンの近くに二人の女性が居ることは知れ渡っているし、家族の形は様々なのよ。」
「第二夫人を持つお金持ちのイメージは良くないのです。」
「それはお金の力だからでしょ。
 二人がジョンの妻としてジョンを支える仕事をし、子育てを助け合いながら出来たら、違った印象を与えるし、大家族を考える切っ掛けになるかも。」
「そうですね…、部落には父親が誰なのか良く分からない子もいますが普通に暮らしています。」
「大家族だと大勢で暮らしているからか、配偶者のことが気に入らなくても何となく同居してると聞いたことが有るわ。」
「日本ではどうなのです?」
「そうね…、親と同居しなくなって子育てが大変になったみたい。
 核家族化が進んだけでなく専業主婦が減って余裕の無い人が増えてるのよ。」
「そんな社会は目指したくないです。」
「でしょ、遠江王家は一つの集落で助け合いながら暮らしているのだけど、そのメリットを上手く伝えられなくてね。」
「でも、それと自分が二人の妻を持つこととは別問題ですよね?」
「その辺りはジョン次第でしょ。
 王家が理想的な家族の在り方を示す意味は大きいと思うのよ。」
「詩織はそれを示す気持ちが無い様ですが。」
「相手がね…、来年ぐらいから婚活しようかしら。
 でも、女神さま扱いされてしまって難しいのよね。」
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近衛予備隊-215 [高校生バトル-64]

 ルーシーの気持ちは俺もシャルロットも分かっていたので、プリンセス詩織からの提案を前向きに考えることに、俺達がそんな話している頃、新しい王国の建国祭と女王の即位式が行われた。

「大統領は詩織にぞっこんなのですね。
 大統領が新しい女王に戴冠する時の笑顔ったら、お爺さんが孫にって感じでしたよ。」
「そうね、この国の改革を申し出た時からずっと変わらず優遇して貰ってる、大統領として大きな課題だった経済面の改革が軌道に乗り始めてからは更にね。」
「国王では無く大統領、今の地位を自分の子に継がせる訳では無いと言うことも関係していそうです。」
「う~ん、ジョン、世襲の国王、立憲君主制になる前の王国では次期国王が帝王学を如何に学ぶかによって国の明暗が分かれたとは思わない?」
「ですかね、それで自分には特別な教育を?」
「そこまでは意識していなかったのだけど、ジョンは能力が高いから近衛隊のメンバーと皆でトップリーダーに育てたいと話してたの、立派な村長になって欲しくて。」
「でも、村長から王子にって…。」
「世襲の国王でも周りがしっかりしていれば国家運営に問題は無かったと思うの、近衛隊の精鋭が守るから、安心して王子になり国王を目指してね。」
「来月には女王から王位継承権一位の王子に任命されるのですよね、村長と何が変わるのかまだ分かっていないのですが。」
「取り敢えずジョンのグッズ中心に売り上げが伸びると思っているのだけど。」
「しかし、建国祭と女王の即位式で売り上げを伸ばし、更にとなるのでしょうか?」
「日本での人気は私よりジョンの方が上なのよ、YouTubeチャンネルの収益でインフラ整備の速度を上げるのでしょ?」
「ええ、建国祭の裏側や即位式の裏側紹介映像の視聴回数も伸びていますから更に行けそうです。
 英語版と日本語版では編集も変えていますので、両方見てくれてる人が結構いるみたいで。」
「王子になる儀式、シャルロットとの婚約、結婚式、ルーシーとの婚約、結婚式とYouTubeのネタには困らないからしっかり稼げるとして、それは何処に使って行くの?」
「やはり電力部門の充実からですね、王国周辺まで停電しない環境を広げられましたが更に広げて行きたいです。」
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近衛予備隊-216 [高校生バトル-64]

「電力供給が安定しないと国の経済が伸びないものね。」
「はい、日本では片田舎の集落から離れた一軒家でもめったに停電しないと聞きました。
 停電が無ければ冷蔵庫などの家電品が売れるし冷凍食品の販売を進めることが出来ます。」
「そうね、それを見越して投資額を増やそうか?」
「お願いしたいです、ただ、色々と読み切れていなくて。
 電力消費量の大き過ぎる工場は誘致しない様に指示していますが、マーケット関連で電力需要が伸びているのです。」
「それなりに工場を建てて来たものね、国営の電力会社から送電エリアを買い取る形で広げて来たけど、もう少し速度を上げ、工場が停電で止まることの無い環境にしないと…。
 会社の電力関連部門を独立させ、その社長に王子がなるってどう?」
「何かメリットが有るのですか?」
「ジョンが社長なら株主になっても良いって人、多いと思うの、新株を発行して資金を集めれば発電と送電網の拡充を早められるでしょ。
 国営の電力会社は縮小して行く話になっていて競争相手のいない企業、発電コストの変動を抑えることにさえ成功すれば安定企業になる、安定企業の存在って大きいのよ。
 特に電力は国の根幹に関わる事業ですからね。」
「国営の電力会社そのものは経営が安定していても能力に問題が有ります。
 停電を無くすために発足させた我が社の電力部門は今の所小規模水力発電とバイオマス発電で上手く行っていますが、この先共和国全体の電力供給を賄うと考えたらどうなのでしょう?」
「石炭や石油の輸入量は減らしたいから、例え効率が悪くても化石燃料を使わない発電所を数で何とかしたいのよね。
 国営の発電所は老朽化が進んでるのでしょ。」
「火力発電所はどれも効率が悪いだけでなく安全性に問題が有ると聞いていますし、原油価格が高騰したり、石炭の輸入が出来なくなったら長期間の停電と言う事態にも陥り兼ねません。
 電力部門を独立させ、新会社を設立するにしても、共和国中の電力供給を安定させるのに、どれだけの資金が必要になるのか想像出来ませんので一度概算を出して貰います。」
「そうね、その為の資金繰りは私も検討してみるわ。
 ジョンは新電力会社の社長になるつもりで動ける?」
「はい、停電の無い国を目指します。」
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近衛予備隊-217 [高校生バトル-64]

 俺は近衛隊幹部とも相談し新しい電力会社の社長に就任することが決定したが、その発表は王子になって少し時間を置いてからとなる。
 式典や発表の回数は多い方が良いとの方針からだ。
 新王国発の情報を何度も出して行くことで注目度を持続させ観光客を増やす作戦。
 俺達が日本旅行でアピールしてから日本のマスコミは俺達の小さな出来事でも伝えてくれ、王国で収録したテレビ番組が日本で放映され始めたことも有り、確実に日本からの旅行客は増えている。

「ジョン、新会社で新たに株式を発行するとして買って貰えるのかしら?」
「そこはシャルロットにも手伝って貰わないとな。」
「私は何をすれば良いの?」
「まず株は主に日本人に買って貰う、社の遠江王国支店は資金集めを主な目的としているんだ。
 そこの担当者と共に宣伝活動、この共和国の電力事情と新会社のビジョンをしっかりアピールし、それなりの配当が出せるだけでなく株主に対する特典を用意することも伝えて欲しいかな。」
「配当は分かるけど特典って?」
「上場出来ないから買っても売りにくいだろ、その代わりとして株の保有額によって幾つか用意しようと相談しているんだ。
 新王国に遊びに来た時に特別サービスを受けられることが基本で、最上級の特典は宮殿での晩餐会に招待とか、勿論旅費は全部本人負担でね。」
「特別サービスを受ける費用が自己負担、その為に大金を出して株を買ってくれるのかしら?」
「女王は後進国のインフラ整備に役立てることを前面に出せば良いと話してたけど、宮殿のホールはその為に改装し豪華な気分を味わえる様にするんだ、女王主催の晩餐会も盛り上げたいからな。」
「普通では体験出来ない晩餐会にするの?」
「ああ、お金持ちだけを対象とした豪華な晩餐会にどれだけの価値を見出して貰えるかはシャルロット次第かな。」
「う~ん、王子と結婚するのだから、それなりの覚悟はしてたけど…。」
「上手く行けばホテルも儲かるだろ、たとえ晩餐会への参加を無料にしたとしても、それなりの利益が期待出来るのさ。」
「ここに滞在する費用はその殆どが会社に入る…。」
「ああ、滞在費だけでなく空港からのリムジンバスやレンタカー、マーケットやカジノと観光客がうちに貢献してくれる場所はあちこちに有るからな。
 うちのホテルではチップを必要しないと宣言したことも有るが、王国ではクレジットカードやプリペイドカードで全ての支払いを済ませることが出来るのも好評みたい、プリペイドカードへの入金機では一万円札のみだが日本円でも入金出来るだろ。」
「この前日本からの旅行客に、給料をプリペイドカードへ入金する形が広がっていると話したら感心してたわ、現金を使わないから銀行ATMが必要ないし、プリペイドカードの運用部門が銀行の代わりになっているでしょ、日本ではそんなカードやサービスが色々有って面倒なのだけど、ここでは一種類だけだから便利なんだって。」
「ああ、企業間の競争が有るから、どっちが得かを考えるそうだが、色々ややこしくしてる側面も有ると聞いたよ。」
「みたいね、日本の商店主はレジがシンプルで羨ましいと話してわ。
 現金を扱いながら色んな支払いサービスに対応しなくてはならないそうで、営業コストを考えたら現金取引をやめたいのだけど、日本人は現金が好きだそうで。」
「国民性なのかな。」
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近衛予備隊-218 [高校生バトル-64]

 俺が社長となる電力会社の立ち上げ作業と並行して進められているのは、詩織女王が社長を兼務する形で共和国から王国に移行する小国の作業。
 女王に全てお任せだそうで、国民の中からリーダーを見出して行けるのか疑問だが、近衛隊メンバーが入り作業に当たっている。

「詩織、共和国から会社形式による王国へ移行する発表は世界を驚かせたみたいですが、スムーズに行きそうなのですか?」
「王国への移行は国民投票で八割の人が賛成してたでしょ。
 トップリーダーに相応しい人がいなかったことも有るけど、この地で村の改革に成功したことを国民が知っての賛成なの、治安は悪くないし、私が女神だと言う話が広がってることも有ってか近衛の活動は比較的スムーズに出来てると聞いたわ。」
「今後の流れは?」
「そうね、近衛予備隊の第四部隊を立ち上げて、ジョン王子の直属にしようと思うのだけどどう?」
「自分を受け入れてくれるでしょうか?」
「大丈夫、先行して開店したマーケットではジョンのグッズが結構売れているの。
 植民地時代の方が良かったと思ってる人が多いみたいで、頼れるリーダーなら国籍は関係ないのよ。
 観光産業が国を支えて来たことも有ってか英語を話せる人が多く、YouTubeチャンネルの英語版で私達のことを知っていた人がそれなりに居るみたい。
 王国への移行によって観光客が増えると見越しての賛成もあったでしょう。」
「詩織がここでスタートさせた時より条件が良いのですか?」
「ええ、観光客向けのサービスを充実させる必要が有ったからインフラ整備はそれなりに。」
「それでも経済政策で失敗したのですね。」
「大国を信じての失敗は、植民地時代が経済的に良かったと言う想いが関係していたのかもね。」
「植民地にされる時は、圧倒的な力の差を見せ付けられて従うしか無かったのでしょうが…。
 旧植民地は独立した所で余程良い指導者に恵まれない限り大した経済発展は出来ないみたいです。
 でも韓国の飛躍的な発展の陰には日本の存在が有るのですよね。」
「併合した日本が植民地と考えず日本の一部としてインフラ整備に力を注いだ結果と言う一面が有るのよね。
 それでも一番の反日国になったのだけど。」
「もしこの国が日本に併合されていたら全く違ったと思うのですよ、旧宗主国の残したものの差が大き過ぎて。」
「もしも、で過去を振り返っても仕方のないこと、私達は前を向いてこの共和国を乗っ取りましょう。」
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近衛予備隊-219 [高校生バトル-64]

「詩織は共和国を乗っ取っても、この国の出身で有る自分達に委ねるつもりですが、向こうで立ち上げる王国でもそうするのですか?」
「そこは人材によるわ、今までに入って来てる情報では政治家も含めリーダーとして能力的に目立った人物はいないのよ、だから近衛予備隊次第になるかも。
 でも、ここと向こうは同じプリペイドカードが使える姉妹の様な王国をイメージしているのだから、私の後を引き継いで、ジョンが両方の国王になるのも有りだと思うのよ。」
「う~ん…。」
「一度行ってみれば国の雰囲気が掴めるかもね、私が訪問する前に行ってみない?」
「そうですね、日本への旅行を通して自国に居なくてもそれなりに仕事が出来ると分かりましたので調整します。」
「YouTubeチャンネルのネタにもなるからシャルロット達と三人で行き、近衛予備隊の立ち上げに立ち会ったりとか、王子になっての初仕事にしても良いわね。」

 俺は女王の言葉通りに、女王から任命される形で王子になった。
 任命式とその関連行事には多くの観光客が来てくれ、グッズが沢山売れたので新会社の資本金を増額出来そうだ。
 その新しい電力会社設立の発表は、詩織女王を王として迎え王国になる予定の小国を訪問中に。
 話題を求めて日本から来てくれたマスコミに向け電力会社の概要を説明させて貰ったが、進行役の日本人パフォーマーが増資の際は株主になると口を滑らせてくれたことも有り、大きな宣伝になった。
 近衛予備隊第四部隊の結成式の他は、近衛隊の活動を主に日本からのマスコミ陣と共に見て回ったのだが…。

「思ってたよりプリペイドカードの普及が進んでいて、すでに現金を使えなくしたレジが多いのには驚いたわね。」
「ああ、偽札を掴まされるのが面倒だったみたいだな。
 そのレジも、この国は滅多に停電しないのに停電対策が我が王国と同レベルで取られていたから国民の意識は高いのだと思うよ。」
「そうね、私達の王国から離れた共和国のマーケットでは絶対必要なのに充電を忘れるとか、店内で使う携帯端末と共通の物にしてして有るのにも関わらず、停電で営業出来ませんでしたとか平気で報告して来る。
 改めて意識教育の必要性を感じたけど、大人は教育してもなかなか変わらないのよね。」
「ここは商売に対する意識が高いと感じたよな。」
「ええ、海外からの観光客に支えられて来た国だからかしら。」
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近衛予備隊-220 [高校生バトル-64]

「しかし、個人経営の店や農家も含めて株式会社として組織編成して行くのは大変だと思っていたが、思っていたより進んでいたな。」
「目標は全てを会社組織に組み込むことだから先は長そうだけどね。」
「それでも個人の利益を追い求めるより全体の利益を考えた方が給料アップに繋がると、一早く社会主義的企業国家構想を理解してくれた人達が、近衛隊の活動に協力し会社組織の構築を進めていただろ、彼らの収入が増え生活をより安定させて行く姿を見せられたら、ある程度進むと思うよ。
 偽札かも知れない怪しげな紙のお金ではなくプリペイドカードシステムを利用しての取引、今までの取引相手が同じ会社の別部門になることで、余計な交渉抜きでの適正価格による取引が可能、バックには女王をトップとし独特の考えで拡大して来た大きな企業グループの存在、その概要を知る人は安心して社員になったと思うんだ。」
「そうね、結局、情報を理解出来ず、判断出来ない人が残るのかな…。」
「そこは社会的弱者の社員登録が始まって結果を出し始めたら変わると思うよ。」
「あっ、企業による実験的ベーシックインカム制度の導入か、社員として自分に出来ることをしていたら、その労力や収益に関わらず暮らしに必要なお金が給料の形で支払われる、人によっては生きてるだけでも良いのよね。
 遠江王家の第三王子が成功させた、能力有る者が弱者を支える株式会社による社会福祉制度が、ここで更に発展させられたら嬉しいね。」
「ベーシックインカムは働けない人が制度によって手に入れたお金をどう使うかと言う問題が有るのだけど、プリペイドカードシステムで管理出来るからな。
 会社関連の店でしか使えないから悪用されにくいだろ、完璧とは言えないだろうが…。」
「何に使おうが少なくとも会社の売り上げにはなるものね。
 我らが王国では社員が麻薬を買おうと思っても、プリペイドカードで商品を買ってそれと交換するしかないから売人は手間を嫌がって近づかないと聞いてるし、公営ギャンブルは上限が個別設定なので歯止めが掛かる、個人的な賭け事は自然と物や労力を賭けてとなり以前より健全になりつつ有るものね。
 ベーシックインカムは私達の王国でも導入するの?」
「導入するまでもなく、ほとんどは社員の扶養手当でカバー出来ているが、ハンディを持つ人の自立を考えたら取り入れるべきかもな。
 だが、ここでの運用で問題点を見極めてからでも遅くはないだろう。」
「そうね、家族が面倒見てるし、収入が増え全体的に余裕が出て来て、援助を必要としてる人に手を差し伸べることが当たり前になりつつ有るのよね、やはり女神さまによって統治される国だからかしら。」
「ああ、子どもの頃から信じろと言われて来た神様は何もしてくれなかったが、俺達の女神さまは生活環境を一変させてくれた、尊敬する女神さまの言うことなら誰だって実践しようとする、女神さまは偉大だよ。」
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