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F組三国志 9 林徹 ブログトップ

F組三国志 9-1 [F組三国志 9 林徹]

あっぶね~、遅刻ぎりぎりだった~。
コンビニでのんびりしすぎたな。
でも、あの雑誌はちょっと見ておきたかったし。

「おい林、遅いぞ~、ほい、F組通信。」
「おお、サンキュ~、正信。」

F組通信、いつもながら綺麗に仕上がってるな~、とてもクラス新聞のレベルじゃないぞ。
毎号、山影さんの絵が添えてあって。
ここのところハイペースで発行されてるけど大変じゃないのか。
哲平は、秋山さんのデータと絵のデータを、山影さんがちょちょいと整理して、あっという間に完成って言ってたけど。
えっと…。

『ノーコンのお知らせ』
何? 何のことだ?
『テスト二週間前から部活も停止になりますから、それに合わせてテスト対策企画を行います。
参加はもちろん自由です。
授業ノートは各自がきちんととっているとは思いますが、この機会に他の人のノートの作り方とか参考にしてもいいのではという意見が出ました。
そこで、みんなのノートを見せ合って評価し合う、ノートコンテスト、略してノーコンを開催します。
コンテストは…。』
なるほど、各教科ごとにみんなで投票して、上位者の所属チームに団体戦のポイント加算か。
俺もチームに貢献…、できないな…、俺の字って自分でも読めない時あるもんな。
ま、テストで高得点とって貢献するか。

「林くん、問題予想ゲームって得意そうじゃない?」
「あっ、清水さん、なんのこと?」
「あら、まだそこまで読んでなかったんだ。
ほら、ここ。」
「ああ、これか。」
『問題予想ゲームをやりましょう』
これも、テスト対策企画ってことだな。
『やはり自由参加ですが、チームリーダーの了解はとってあります。
チームごとで、教科ごとに、テストに出そうな問題を予想して発表してもらいます。
予想した問題の的中度とその問題の配点などで得点を決定します。
各チームが予想した問題はクラス全員で共有しますが、どのチームからの問題かはテスト終了後審査が終わるまで、審査員に漏れないようお願いします。
より厳正な審査のためです。
なお、審査員は赤澤、秋山の他、外部有識者を予定しております。』

「なるほど、こういうゲームにすれば、自分のチームのためだけでなくクラスみんなのためにもなるってことだね。」
「どう、私のお父さまの発案?」
「うん、これで他のクラスに平均点とかで負けたら恥だな…。
で、どうして、清水が自慢げなんだ?」
「だって、私のお父さまなんだもの。」
「はいはい、ゲームの方は俺でもチームに貢献できそうだ。
えっと、提出期限は…、そうか、リーダーの正信が取りまとめるんじゃなくて、各チームに担当者か…。
お~い、正信~。」
「なんだ~、林~。」
「問題予想ゲームの担当、やってもいいぞ~。」
「おう、有難うな~、頼むぞ~。」
「ふふ、林くん、やる気満々ね。」
「そりゃな、数学小テスト団体戦では、淳一のチーム麻里子に負けて、哲平のチームに負けてと連敗中だからな。
今度はビッグイベントだから、ここで勝って借りを一気に返さないと…。」
「? 返さないと?」
「あ~、ずっと二人のパシリになっちまう、次のテストまで長いからな。」
「はは、三人でそんな勝負してたんだ。」
「しかも、言い出したのが自分だったりするから…、あのチーム麻里子には絶対負けないと思ってたのに。」
「ふふ、林くんもあのチームを外見で判断してたのね。」

ほんとにそうだ、岡崎、田中、星屋、平岩…、足を引っ張りそうな奴ばかりだと思ってた。
そしたら、あいつらそれなりに…、星屋なんて二回とも満点で俺より上なんてな。
次は教科も多いから…、あ~、もう、負けられね~。
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F組三国志 9-2 [F組三国志 9 林徹]

さ~、ノ~コンだ。
投票用紙は記名式なんだな。
まずは投票者、林徹っと。
えっと、各教科上位三名を選べば良いんだな…。

「徹のノートはどこ?」
「あっ、淳一、俺は出してないよ。」
「はは、確かに、あの暗号ノートじゃ人に見せても意味ないもんな。」
「うっ…、じゃあ、淳一、お前のはどこなんだ?」
「教科ごとで出席番号順に左からだから…。」
「お、あったけど、表紙の名前、でかすぎだぞ。」
「まあ、黒川淳一に清き一票をってとこだ。」
「おいおい、選挙じゃないぞ。」
「う~ん、各教科二十冊ちょいってとこか…。」
「見てみるか…。」
「ああ。」

やっぱ、出してる人たちのはみんな綺麗だな。
ふ~ん、色をふんだんに使ってる人もいれば、ほとんど使ってない人も…。
色数が少ない分ポイントが強調されるってことか、でも色分けもそれなりに見やすいかな。
現代社会、あっ、このノートわかり易い、そうかこの前微妙だったとこ、こういうことだったんだ。
なるほど…。

「おい、徹、ずいぶん熱心だな。」
「ああ、俺、現社クリアできたぞ。
ちょっと理解しきれてなかった所、このノートで解決さ、後は暗記だけだな。」
「えっ、俺にも見せろよ…。
へ~、なるほど…、確かに分かりやすいな…。
おっ、このノート、省吾&美咲になってる、ご丁寧ハートで囲ってさ。」
「ほんとだ、あの二人の合作か。」
「まいったね。」
「それより、他の教科のノートも気にならないか?」
「だよな。」
「英語は…。」
「あったぞ、これだ。」
「どれどれ…。」
「あ~、これって下手な参考書より使えそうじゃないか?」
「確かに、自分のためっていうよりチームのメンバーに教える時にさ。」
「ああ、その通りだ…、これコピーとかさせてもらえないのかな。」
「どうなんだろう…。」
「あっ、哲平。」
「おう、ノ~コンの審査中か?」
「まあな、それより、このノートってさコピーとかさせてもらえないのかな?」
「メンバーに教える時、すごく使い易そうだからさ。」
「はは、あいつらが嫌って言う分けないだろ。
とりあえず師匠たちのノートは全部、各チームに二部ずつコピーしておいたから、後はチームで上手に使ってくれって感じだな。
後、他のノートでもみんなの役に立ちそうなのは持ち主と交渉するから、早めに言ってくれな。」
「これって、他のクラスの奴らには…。」
「今回はF組以外には流さないで欲しいって、省吾が言ってた。
まあ二学期以降に関してはまた違った展開があるかもしれない。」
「そうか、まだまだ色々企んでいそうだな、我らが師匠。」
「俺もお師匠さまって呼ぼうかな、星屋みたいに。」
「はは、淳一も、門下生ってことか。」
「でも門下生になると、清水のこと、ちさとお嬢さまって呼ばなきゃなんないぞ。」
「はは、俺は構わんな、徹は嫌なのか?」
「う~ん、そうでもないか。」
「じゃあ、門下生の中で誰がちさとお嬢さまに気に入っていただけるかって勝負するか?」
「そんな哲平有利な勝負、受けられねえ。」
「ははは。」

清水ちさとか…、元気があってかわいくはあるな。
おっと、待て、今はテストに集中だ。
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F組三国志 9-3 [F組三国志 9 林徹]

明日が問題予想ゲームの、予想問題提出期限。
まあ、チーム正信として、過去問を入手できたことは大きかったな。

「林くん、英語の予想問題まとめたわよ。」
「おっ、栗原さん、ありがとうね。
部活の先輩にずいぶん協力してもらえたんだって?」
「まあね、ふふ、私、先輩方には結構かわいがっていただいてるからね。」
「栗原さん普通にかわいいもんな。」
「ふふ。」
「じゃあ、生物と国語は完成してるから、後は…。」
「ねえ、林くん、五年前とか六年前とかの過去問なんてどうやって手に入れたの?」
「ラッキーだったのは正信のお姉さんがここの卒業生だったってこと、それと清水さんがここの卒業生である某教育実習生と仲良くなったってことかな、数学に関しては全く教えてくれなかったそうだけど、まあ先生が違ってたそうだしね。
真面目な人は過去のテストも捨ててないんだよな~。」
「へ~、そうなんだ。」
「おかげで、生物とかは同じ先生の同じ範囲のテスト問題が四年分手に入ったからね、先生の癖とかはっきり出てるよ。」
「問題になったりしないかしら?」
「教育実習生でもテスト問題には全然近づけないんだって。
先輩や姉の力を借りることは悪いことだとは思えないし…、特に今回は他のクラスに圧勝するって目標があるから、奇麗事ばかりも言ってられないさ。」
「そうよね、私に色々教えて下さった先輩も、自分が一年の頃は先輩に助けられたからって話してみえたわ。」
「自分たちでも色々考えたしね。」
「ええ、問題を予想することで理解も深まった気がするし、みんなで意見を出し合ったりもしたから楽しかった。」
「うん、俺もそう思う。
もっともここからは、練習と暗記という孤独な作業が待ってるけどね。」
「でも、勉強会があるじゃない、林くんはどうするの?」
「もちろん参加するよ、土曜が学校で日曜がお師匠さまのとこ。」
「学校はともかく、お師匠さまのお宅に伺うのは、なんか楽しみよね。」
「ああ、大学生の人の調査に協力ってのが条件って言われたけど、それもなんか楽しみだったりしてな。」

「林、予想問題どう?」
「おう、正信、予想問題に模範解答例、俺らで集めたり考えたりした分は、ほぼ完成だよ。」
「これでポイント稼いでおかないと、やっぱり本番は僅差になりそうだからね。」
「みんながんばってるもんな、でも俺だって高校受験の時より勉強してるくらいだぞ。」
「はは、だよな、チームの足を引っ張りたくないし、結果が悪かったらクラスで仲間はずれの気分になりそうだし。」
「そうよね、胸を張ってF組のチーム正信メンバーって言える結果を出したいわ。」
「お~、栗原さん、頼もし~。」

ほんとにF組だとモチベーションが上がる。
中学の時なんて、真面目にやってるとじゃましてくる奴とかいたもんな。
全然授業を聞いてない奴、授業の妨害する奴、公立中学だと仕方ないことだったのかもしれないけど…。
中三で九九も怪しいような奴と同じ授業受けてるなんて嫌だった。
おかげで、授業時間は俺にとって無駄な時間が多かったからな。
やっぱりこの高校に入れて良かった、F組になれたから、余計そう思えるのかもしれないけど。
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F組三国志 9-4 [F組三国志 9 林徹]

「みんな、テストに向けてがんばってる~?」
「おう!」
「テストまで後一週間、テスト範囲で理解できてないところは残ってないわよね?
残ってる人は早めに解決して、暗記と練習問題に取り組むのよ。
後、予想問題の中から省吾が選んだ指定問題、そのままは出ないかもしれないけど、かなりの確率で役に立つってことだからね。
省吾からの予想問題も用意したから、その中の指定問題だけでも、全員こなしておいてくれると嬉しいかな。
それでも練習問題の足りない人には、私たちで幾つか用意したから相談してね。」

うわっ、秋山さんめっちゃはりきってる。
はは、絶対F組の圧勝を狙ってる。
でも、いつもクラスのためにっ感じで色々やってくれてるよな。
ずいぶん自分の時間を使ってるんじゃないのか。
う~ん、こりゃ、委員長のためにも、手を抜けないぞ。
あれっ? 委員長、俺に用か?

「ね、林くん。」
「あ、はい、秋山さん。」
「いつも有難うね、チームのみんなの面倒みてくれて。」
「いや~、それは…。」
「チームメンバー以外でも梶田さん、お願いしてるし。」
「あっ、それは気にしないで、彼女、チームには入れないって言ってるけど学習には真面目に取り組んでいるから。
ちょっと暗い表情をするけど…。
チームに入ったってレベルを下げるような人じゃないし、みんなだって少しぐらいのことは気にしないと思うんだけどな。」
「うん、じゃあ安心かな、で…、しばらくチーム正信の一員みたく扱ってあげて欲しいんだけど、どう?」
「問題ないと思う、正信はもう了解してるんでしょ、はは、あいつは自称フェミニストだから断る訳が無い。
俺も気を配るようにするよ。」
「お願いね、じゃあ林くんよろしく。」
「おう。」

梶田さんか…、どうしてチームに入らないんだろう?
いじめれてるとは思えないし。
何か事情があるってことか?
そう言えば、チームに入ってない森は哲平のチームで、三浦はチーム麻里子でって感じになってるよな。
まあ、秋山さんにしてみれば、F組の仲間ってことなんだろう。
仲間のために、色々気を配って、動いてくれてるんだろうな。

仲間か…。
哲平や淳一とは入学してすぐ意気投合したけど…。
女の子も含めてクラスの仲間なんて考えてもなかった。
はは、こんなにくそ真面目に勉強するとも思ってなかったな。
でも、悪くない。
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F組三国志 9-5 [F組三国志 9 林徹]

今日は勉強会、テスト前の仕上げだ。
え~と、生涯学習センターって…。
あっ、あそこみたいだ。
施設を借りるのに大学生の人たちが動いてくれたとか哲平言ってたけど…。
調査と交換条件か、どんな調査なんだろ。
え~っと自転車置き場は…。

みんな来てるかな?
う~ん…、あっ、哲平だ。
一緒にいるのは大学生のお姉さんかな。

「おう、哲平。」
「おはよ、徹、調子はどうだい?」
「まあ一通りはやれたけど、レベル高そうだからな。」
「だな、あっ、そうそう、こちら今回俺たちをサポートしてくれてる、早川さん。」
「よろしくね。」
「何か、調査とか…。」
「今日はテスト前だから簡単なアンケート、テスト後の打ち上げの時にまた協力をお願いしたいんだけど。」
「はい。」
「徹、部屋は二階だからな、もう六人ぐらい始めているよ。」
「おお、みんなやる気だね。」
「えっと、徹は一斑だから十一時半から休憩な。
時間になったら省吾の家へ移動して食事と大学生さんの調査に協力、午後は状況に応じて省吾の家かここで学習となるからね。」
「了解、じゃあ二階だね。」
「ああ。」

えっと…。
ああ、ここだ。
もう、みんな黙々とやってる。
さ、俺もやるか…。

「じゃあ、時間だから一斑の人は食事に行くよ。」

えっ、もうそんな時間?
ほんとだ、もう二時間以上たってる。
集中してると時間の経つの早いな。
でも…。

「一斑のみんなは俺と一緒に省吾んちまで行くからついてきてな。」

「なあ、哲平、食事の用意までしてもらっていいのかな?」
「確かにな、でも省吾はテストをイベントにしようって言ってた。」
「イベントか。」
「日常とは違うイベントってことでさ、クラスのみんなが楽しめるかどうかは分からないけど、俺は面白いと思った。」
「そっか。」
「大学生まで巻き込んでのイベントだからね。」
「う~ん、俺はよく分かってないんだけどさ。」
「はは、打ち上げってイベントも用意してるから詳しくはその時にな。」
「とりあえずはテストに集中しろってことか?」
「そんなとこだ。」

テストに向けての色々な企画…、たしかにイベントだな。
あっ、ここなのか、省吾の家って。
センターから近いんだ。
うっ、カレーの良い匂い、うまそ~。
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