SSブログ
高校生バトル-63 ブログトップ

近衛予備隊-201 [高校生バトル-63]

「う~ん、シャルロット、社会的弱者を異世界の住人役として雇用しても、そのことは前面に出さない方が良いかもな。」
「なにか問題でも?」
「ハンディキャップを持ってる人が見世物扱いされては良くないと思うんだ。」
「そうか…、配慮が必要なのね…。」
「でも、それぞれに出来る仕事を自信を持って担当して貰える環境造りは、異世界と言う設定…、異世界にするとややこしくなりそうなら、特殊な文化を持つ村として作りあげることは出来るし、その村を舞台にしたアニメを制作出来たら観光客を更に呼び込めると思うよ。
 王国を舞台にするより、奇抜な建物やモニュメントを建て易く楽しんで貰えるだろう。」
「遊園地の要素を入れても良いわね。
 観光客を呼び込むことが出来れば雇用の拡大に繋がる、娯楽施設を増やして新しい王国を誰もが楽しめる国にしたいわ。」

 新たな村造りの話はプリンセス詩織も賛成してくれ、村を王国に変えるシナリオに組み込まれた。
 新たに作られた地図では宮殿や店の有るエリアを王都とし部落を村に昇格させたが、そこに森と湖だけの村が加えられたのだ。

「ジョン、新たな村の開拓作業には予算を充分回せないと思うのだけどどうするの?」
「重機オペレーター養成時の実習の場として、それと重機の操作を体験してみたい人から講習費を頂いて作業して貰うってどうだ?」
「お金を貰って働いて貰うということ?」
「ああ、重機の操作は面白いからね、安全面の講習をしっかり行う必要は有るが、お金を払ってでもやってみたいと思う人は少なからずいると思うよ。
 そこから仕事にしたいと考える人や、ボランティアでも良いから作業したいと言う人が出て来てもおかしくないんだ。」
「重機は日本から中古を輸入するのよね。」
「これからここだけでなく国中で道路網の整備などを進めて行くから、重機もそのオペレーターも必要性が高いからな。」
「お金が幾ら有っても足りそうに無いのよね、アニメを制作するのも安くないみたいだし。」
「アニメは資金面も含めてプリンセス詩織のスタッフが検討してくれてるからお任せだな。
 俺達はYouTubeでもっと稼ぐことを考えよう。」
nice!(9)  コメント(0) 

近衛予備隊-202 [高校生バトル-63]

 新たな工事は重機の基礎訓練を行う人と試しに操作してみたいと言う人、それとその見学者で賑わっている。
 中古の重機に動物の絵を施したことも有り小さい子に人気だが、子どもに見られていることで安全面への配慮が求められ、訓練の場として効果的だとの声も。
 工事現場は人気アトラクションとなったが、指導担当のプロによるショベルカーの技を紹介した動画などはYouTubeチャンネルでも好評だ。
 重機にお金を掛けたので黒字とまではならないが予算の心配はかなり減った。
 だが…。

「ジョン、色々な意見が出て村のコンセプトが決まらないのよ、村長に判断して貰うしかないかも。」
「色々な意見が有るのなら、多様性をコンセプトにしたらどうだ、ルーシーは元々様々なハンディを持つ人達も人として尊重される村をイメージしていたのだろ。
 我が国は独特の文化と言っても対外的にアピール出来るものは少ない、ならば世界中から民族衣装を集めても良いと思うんだ、オリジナルも含めてね。」
「世界の民族衣装か…。」
「気候が違うから着られないのも有るだろうが、ここで自国の民族衣装に出会えたら観光客だって嬉しくならないか?」
「全部は無理でしょ、無くてがっかりしないかしら?」
「がっかりした人に教えて貰って作れば良いのさ、その過程でその人と親しく成れるかも知れない。
 元々衣装造りは新しい村で作業する予定だったからな。」
「世界中の文化が集められた村か…。」
「服装だけでなく食べ物だって、日本では世界中の料理を味わえただろ。」
「そうね衣装や食べ物を通して、海外からの観光客と繋がれたら楽しそうだわ。
 そうなると言語が問題か。」
「通訳を揃えるのは難しいから精度に問題は有っても翻訳アプリとかを使うしかないかな。
 ただ相手がその場に居るのであれば、言葉以外でも伝えられるし、英語が通じる人は少なくないだろうから何とかなると思うよ。」
「そうね、近隣の村から移り住んで貰う予定の人達には英語の学習をお願いしてある、実際に村で英語を使い始めたら、すぐに慣れてくれるでしょう。」
「村人候補は順調に集まってるのか?」
「ええ、身体的なハンディを抱えた人とそれを支えてくれる人、森の中の村ながらバリアフリーになる予定で、期待してる人が多いのよ。
 ハンディを抱えていても社員として自立出来るのだからね。」
nice!(11)  コメント(0) 

近衛予備隊-203 [高校生バトル-63]

 ルーシーは早速近衛隊のメンバーに話を持ち掛けた。
 近衛隊の人達は多国籍、彼らが村を形成したらそのまま新しい村のコンセプトを実現出来そうだが、実際に村を形成して行くのはこの国の人ばかりになる。

「ルーシー、何か面白いアイディアは貰えた?」
「ええ、日常とは違う空間にするのだから、衣装は民族衣装だけでなく、普段は着られそうにない奇抜な衣装、コスプレなんかも勧めれられたわ。」
「コスプレ?」
「ええ、衣装をアニメの登場人物が着てるものに合わせるとか。
 少しぐらい恥ずかしい格好でも旅先でならチャレンジし易いかもって。」
「仮装みたいな?」
「うん、お客さん達が仮装に取り組んでくれたら面白いし、村の中でエリアを決めて統一感のある恰好をすれば異世界感を出せて、趣味を同じくする人達に喜んで貰えそうだわ。
 例えば、世界中から同じアニメのことが好きな人を集めるとかね、村は小さな集落で構成される予定だから、一部を貸し切りにしても良いでしょ。
 住居もエルフの住処としてツリーハウスを用意したりとかね。」
「バリアフリーにはしにくいだろうが、ツリーハウスの宿泊施設は良いかもな。」
「今は透明な宿泊施設も有るそうで、それを丘の上に用意し満天の星空の下夜を過ごせるとか、洞窟のホテルとか変わった宿泊施設は色々出来そう、原始人の暮らしを再現してみるという案もね。
 少しカオスな匂いがするのだけど、その規模を大きく出来たら面白くなると思うわ。
 超原始的な暮らしを体験した翌日は未来的な生活を体験出来るとか。
 移動は地下に張り巡らせた未来的な乗り物で、何て案も出て来たけどさすがに無理よね。」
「他に存在しない遊園地に出来れば集客は期待出来そうだが、やり過ぎると投資を回収するのに時間が掛かりそうだな。
 始めの内は小規模なアトラクションからになるが工夫次第では集客を期待出来そうだね。」
「そうね、まずは森と言う環境を活かしたいけど、伝染病を媒介する様な生き物は減らさないとリピーターは期待出来ないでしょ、人間にとって居心地の良い人工林に出来れば良いのだけど。」
「王都エリアの環境改善には成功したのだから何とかなるさ、人間にとって住み易く人に害をなす生き物には住みにくい環境を作れば生態系は変わって行く、始めは殺虫剤を多用するのかと思っていたけど、蚊や蠅が繁殖する場所を徹底的に綺麗にして無くして行った結果がプリンセス詩織もお気に入りの環境だからな。」
nice!(12)  コメント(0) 

近衛予備隊-204 [高校生バトル-63]

 新しい王国の誕生を宣言するまでには、王都となるエリアを中心に道路標識の付け替えなどの工事も進められた。
 デザインは国内で使われているものを基本にし、それを少し変えることで標識の意味を変えずに王国の雰囲気を出せたと思う。
 その他に…。

「ジョン、新しい国境はどうだった?」
「国境検問所が完成し、それらしくなってたよ、シャルロットは心配してたけど間に合ったな。」
「安心したわ、王国の玄関口になるのでしょ。」
「検問所と言っても入国記念スタンプを押せるぐらいだが、オリジナルプリペイドカードの発行や入金コーナーも国境警備兵役の社員に守られる形で運用が開始されてたよ。
 建国宣言に合わせたプリペイドカードは必要が無くても欲しくなるデザインになってた。」
「王国内の商店は、そのほとんどで現金が使えなくて、プリペイドカードかクレジットカードだから普通に発行枚数は増え、デザインを気に入って貰え残金を全額精算しないでプリペイドカードを持ち帰ってくれると、五ドル以上の収入になるのよね。」
「ああ、そんな五ドルでも集まればそれなりの金額になるから、違ったデザインのを増やして行くそうだ、まずは建国記念デザインだけどな。
 始めて聞いた時は、村から王国になっても、村祭りの名前が変わるぐらいで大きな収益アップになるとは思えなかったけど、建国祭記念グッズの予約が伸びてることを考えると、王国にする経費なんて安いものだよ。」
「そうね、きっちり新しい王国を創り上げ、また来たいと思って貰える様に出来たら…、検問所周辺も観光客に楽しんで貰える様にするのでしょ。」
「ああ、店を充実させるだけでなくバッキンガム宮殿の衛兵交代を真似、オリジナルの儀式を考えてるそうだよ、プリンセス詩織の宮殿とかでも時間を決めて、お遊びのパフォーマンスを観光客に楽しんで貰えるものにしたいそうだ。」
「へ~、思ってたより前向きに考えてるのね、衛兵たち。」
「ただ突っ立ってるだけでは面白くないと話してた、国境警備兵役って退屈な仕事になりかねないだろ。」
「確かにそうかもね、パフォーマンスを披露か…。
 それが彼らのメリットになることも考えてあげたいわね。」
「そうだな、昇給や昇進に繋がらないと見られがちな現場に、そんな可能性が有るとなれば、当然モチベーションも上がるだろうからな。」
nice!(11)  コメント(0) 

近衛予備隊-205 [高校生バトル-63]

 仕事に対する個々のモチベーションは様々なことに影響する。
 俺達はプリンセス詩織と、王国になる機会を利用して社員達のモチベーションを上げることが出来ないか相談することにした。

「そうね、国境警備兵なんてただ立ってるだけでも良いのだから退屈そうだわ、だからパフォーマンスを考えたのかもね。」
「実際、警備が仕事と言うより、国境警備兵のいる王国にしたくて作った役職ですから、それらしく立っているだけで職務を果たしてることになるのですよ。」
「ジョンはそこに付加価値を加えたいのね?」
「ええ、パフォーマンスを考えてくれてる国境警備兵のモチベーションを上げたままにしておきたいです。」
「そうね、ここは大統領親衛隊の本部が有り、警察や国軍兵士の訓練場が有るから治安は大丈夫だと思うけど、う~ん、本物の国境警備兵らしく、入国者の中から要注意人物を見つけ出すと言う役割も担って貰いましょうか。」
「詩織、要注意人物は入国して来ますか?」
「来るわよ、その為なら宮殿の宝物庫にはお宝が溢れてると言う設定にしても良いからね、でも要注意人物とは犯罪者だけではないの、お忍びで遊びに来た有名人とか、分かっていればこちらで調整してより快適に滞在して頂けるでしょ。
 そう言う人達は一般人以上の影響力が有るし、気に入って貰えたらお金を沢山使ってくれる、逆に有名人の振りをして自分のお金を使わずに済まそうとする人にも気を付ける必要があるかな。
 何にしても国境警備隊が検問所で得た情報を直ぐに宮殿のセキュリティーセンターに報告出来る体制は必要だと思うのよ、例えそこに無意味な情報が混ざるとしてもね。」
「それなら王国になる機会にクレームばかりの好ましからざる客を入国禁止にするとかどうです?
 何人かリストアップされているのですが。」
「そうね、大人しい従業員が多いからか威張りたがる人がいて、周りの客にも不快な思いをさせる人物の存在は耳にしているわ。
 王国独自の法に基づいて注意し態度を改めなかったら入国禁止にした方が良いわね。
 入国を禁じた人が入国しようとした時は、我々が入国を許可していない不法侵入者として警察にも動いて貰いましょう。」
「王国内に完成しつつある日本式の交番には警察官が王国所属として配属されるのでしたね。」
「警察組織としては国の一地方を担当する王国警察署だけど、功績を上げたり真面目に働いていることが認められた人を中心に配属するそうよ。
 警察としても治安の良い状態を維持したいし、ここで働きたい人は多いみたい。
 まずは退屈な仕事に成り兼ねない国境警備兵に少しばかり緊張感を与えることにするとして、他の仕事をしてる人達のモチベーションも問題なのでしょ?」
「はい、移住して来た当初は生活環境が良くなったと、皆真面目に働いていましたが、慣れて来て気が緩み始めているみたいです。」
nice!(13)  コメント(0) 

近衛予備隊-206 [高校生バトル-63]

「そっか、慣れで気が緩むのは仕方ないかもね。
 取り敢えず店で働いてた人を工場や農場に配置転換して気分を変えてみることは考えたいけど…。
 共和国内の王国と言う二重構造になるのだから、人の役割も二重構造にしてみる?」
「役割ですか。」
「共和国の国民としてそれぞれの仕事をしながら、王国の民として別の肩書を持つってどう?
 労働時間を分けて二つの仕事を持っても良いし、一つは肩書だけにし服装で表現するとか。
 王国は共和国から切り離された存在として、その特殊性を楽しめる場所にして行きたいでしょ。」
「そうですね、肩書に関しては皆の希望を聞いてみたくは有ります。」
「あまり深く考えず、王国ごっこの一員として、なりたい職業で良いのよ。
 建国祭を機に考えて貰いましょう。」
「はい、仕事を二つ持つ話は、三つでも良いですよね?」
「ええ、村長が教師やパフォーマーを兼ねて来たのですから。
 これからは王国の王子が摂政で有りながら教師やパフォーマー、それと近衛予備隊の司令官をしていると言う体で行くのでしょ。」
「王さまの子どもでも無いのに王子なんて、色々突っ込まれそうです。」
「辞書を変えれば良いのよ、新しい王国では優秀な若者が王子として王家に属することも有る、とね。」
「はは、そこまでの道のりは長くて険しそうです。」
「でも、既に既存の王室がその有り方を問われる時代になってるでしょ。
 王家が批判されることも有るし、そもそも共和国では国王は不要、国政を預かる代表者が国王の役割も担ってる国だって有るのだから。
 私達の描く王国は小国を発展させる為の道具だけど、国家とその指導者について考える切っ掛けにしたいとも考えてるの。」
「大国が独裁者によって絶対王政の様になっては怖いです。
 遠江王国の様に平和で国民が心豊かに暮らせる王国、まずはこの地もそうしたいですね。」
「ええ、話を進めていた小国も会社が牛耳る王国になることで話がまとまりそうだから王子も頑張ってね。」
「向こうは小さくても他の国の一部ではない本物の独立国、女王陛下こそ御多忙となりそうです。」
「大丈夫よ、近衛の担当者は何時でも向こうの民に女王の言葉を伝えられる様、ネット回線の増強を進めてますからね。」
nice!(12)  コメント(0) 

近衛予備隊-207 [高校生バトル-63]

「ネットですか、確かに女王から直接国民に対してメッセージを届けられるので有れば、その国にいる必要は無いです。」
「その国にいても国民に対して大したことを伝えられない指導者もいるの。
 私は小さな王国を企業と見做し、その運営方針を社員で有る国民に明確に示して行く、小国だからこそ出来ることなのよ。」
「王宮に居ながら大企業の代表を務めあげ、更に二つの王国を動かす、独立国が詩織を女王とする王国となって成功したら、詩織に統治して欲しいと思う小国が増えるかも知れません。」
「その前に、毎年巨額の利益を得ている資産家たちが小国を企業として立て直す国王になってくれたらと思うわ、世界には小国の全国民を養えるぐらいに稼いでる人が居るでしょ。」
「でも、そんな人達は自分の得にならないことはしないですよね。」
「だから面倒でも国王になる事が誇らしいことなのだと示す必要が有るし、上手くやればお金儲けも可能だと見せたいのよ。
 お金と名誉をセットで得る手段として、小国を自身の手の内に入れることを考える様な資産家が出て来れば世界の経済バランスが少しはマシになると思わない?」
「どうでしょう、遠江王国王家の様な考えを持つ大金持ちがいたら、既に変わっていたのではないでしょうか?
 お金儲けが上手くても人間として問題の有る人が国王になったら国民は大変だと思いますし。」
「そうね、簡単ではないかな。
 ねえジョン、私は国民に敬愛される女王になれるかしら?」
「すでに多くの人々から尊敬されています、鳥からも愛される女神さまですから。
 女神さまの庇護下で暮らして行きたいと思ってる人は多いと思います、プリンセス詩織の拠点造りを快く思わなかった指導者の国にも少なからず。」
「そうなの?」
「そこにはグッズの売り上げと言う根拠が有りますからね。
 詩織達の考えていた拠点造りが上手く行かなかった国では、その情報が流れた時にグッズの売り上げがぐっと伸びたと聞いています。」
「私に宗教的なものを感じてる人が居るとは聞いてたのだけど、教祖様は政治指導者の脅威になりかねないみたいね。
 国民が満足出来る政治を行えていれば、私のことなんて気にする必要無いと思うのだけど。」
「そこが問題です、国民全員が心の底から満足出来る様な政治なんて有り得ません。
 こんな小さな村でも利害関係が有り人々の損得勘定が有るのですから。」
「ジョンは村長として少しは苦労したのかしら?」
「勿論です、村人達の声を聞いて来ましたので。」
「そうかしら、ジョンに頼まれたら嫌とは言えない人ばかりだと聞いてるわよ。」
「そ、それは…。」
nice!(12)  コメント(0) 

近衛予備隊-208 [高校生バトル-63]

 確かに村人達は村長の頼みを聞いてくれるが、それは俺の後ろにプリンセス詩織を感じているからだと思う。
 村の改革を行って来たのはプリンセス、村長と言っても俺はその部下に過ぎない。
 バックにプリンセスがいなかったら村長の仕事はとても大変だっただろう。
 そのプリンセスが小さくても国際的に独立国として認められた国の女王になる意味は大きい。
 村が王国になっても共和国の一部に過ぎず、お遊びだと言われても仕方ないが、ここに本物の女王が暮らす宮殿が有りその女王に統治されることになるのだ。
 遠江王国も王家のプリンセスが一国の女王になると盛り上がり始めてるそうだが、近衛隊の面々も企業のトップが国家元首になることの意味をよく話題にする。
 グローバル企業に国境はなく、その影響力は大きくなっているが、それでも企業活動を行っているそれぞれの国の法に従う。
 国は自国の経済を守る為に外交交渉をするが、だからと言って企業と充分な意思疎通が出来てるとは限らない。
 日本を旅行した時も、政府が景気を上げようとした政策によって企業が利益を伸ばしても、それで下請け企業をも潤そうとしないから、格差が広がったと言う話を聞いた。
 大企業の社長でさえ自社の利益しか考えられず人件費を抑える事しか考えてなかったとも。
 それを助長する様な、良く分からない総理大臣が変に人気が有ったそうだが。

 今まで無かった、企業のトップである国家元首が国を企業と見立て運営する国家が誕生する。

「小国とは言え企業のトップが女王の座に就き王国となる話は世界的な話題になってるみたいね。」
「シャルロット、国民の殆どを女王の会社の社員にするなんて普通じゃないだろ。」
「それはここと似た様なものでしょ、それより私はジョンを王位継承順位一位にする話の方が気になってるのだけど。」
「まだ先のことだから分からないよ、普通の王家なら生まれた順とかで分かり易いのだろうけど。」
「昔は王位を誰が継ぐかで、兄弟同士が争うことも有ったのよね。」
「今は立憲君主制が主流になったからか、そんな話は聞かないが、王位継承権の問題はプリンセス詩織が偉大過ぎるだけに、新しい王家にとって一番の問題になるかもな。」
「ジョンは他人事の様に話してるけど…、プリンセスはどう考えてるのかしら?」
「企業の社長を決めるのと同じ様にしたいと話していた。
 次期国王候補はグループ企業の社長など重要なポストに就くそうだ、そこでの実績などから取締役会で判断するのだとか。」
「その取締役会は王家の人達なのよね、義兄弟姉妹の契りを結んだ。
 ジョンもその一員になるの?」
「その方向だよ、その為の学習をして来たからな。
 プリンセス詩織が女王となり、そのバックを遠江王国王家が守る。
 血縁によって受け継がれて来た王家に対して、血縁以上の関係を誓い合い義兄弟姉妹の契りを結んだ遠江王国の王家、新たな王国ではその分家的存在を作って行くのだけど、俺は本家の一員として迎え入れて貰えそうなんだ。」
nice!(11)  コメント(0) 

近衛予備隊-209 [高校生バトル-63]

 自分が遠江王国王家の一員になると言う話を初めて聞かされた時は荷が重過ぎると感じた。
 王家の人達は只の経済人ではないからだ。
 自ら起業しそれを大企業に育て上げた人は世界中にいる、だが彼らは社会的弱者の救済や地方都市の活性化を進めながら企業を拡大、更に小国の再建にも取り組み始めているのだ。
 いずれは自分がその国王になる可能性を含めての話を気軽に引き受けることは出来ない。
 村長になったのは、近衛予備隊で学ぶ内に村の改革を進めたいと考え、近衛隊と村人達との橋渡しが出来ればと思ったからだが、村長と国王ではレベルが違い過ぎる。
 それでも近衛隊のエミリーから…。

「ジョンとはリーダー論について少しだけ話し合ったことが有るけど、トップリーダーには色々なタイプが居るって理解してる?」
「ワンマン社長や部下の意見を尊重する社長とかですか?」
「ええ、ただ、組織にとってより良いトップリーダーは組織の構成員によって変わると思わない?」
「う~ん、構成員…、構成員の資質によってと言うことですか?」
「そう、主体性に欠ける人ばかりの組織ならワンマン社長が理想かも知れないし、有能な人が揃っていたら、トップリーダーは黙って見守っているのが理想だと思うのよ。」
「あっ、自分達の組織は…。」
「詩織さまを中心に、遠江王家の日本国外展開を押し進めている私達近衛隊には有能な人が揃ってると思うでしょ。」
「はい、プリンセス詩織に仕えたいと集まった人達は能力が高いだけでなく優しい人ばかりです。」
「その近衛隊のメンバーは、どんな人がトップに相応しいと考えているか、分かる?」
「勿論プリンセス詩織の様な人ですよね、えっと…、チームリーダーに多くを任せているけど、ここぞと言う時には的確な指示を出す…。」
「ジョンは、村長として部下に任せられた?」
「はは、自分には知識も力も足りていませんから、近衛隊の皆さんに頼るしかなかったです。
 村長が判断すべき所を的確に判断出来なかったら選んで下さったプリンセスに申し訳ないですから緊張感を持って取り組んでは来ましたが。」
「私達は詩織さまが女王となられることになり、改めて自分達と詩織さまや遠江王家の方々との関係を考えているの、主従関係とかね。」
「主従関係なんて現代的ではないと思いますが。」
「でも、私は詩織さまの家来になりたいと思ったし、近衛隊に加えて頂いて忠誠心と言う言葉の意味を初めて理解出来たと思うの。
 今は詩織さまだけでなく詩織さまの想いによって作られて行く王家に対しても忠誠を誓えるわ。
 ジョンが王家の一員になってくれるなら尚更ね。」
「エミリー、自分には荷が重いと感じているのですが。」
「何のために近衛隊が居ると思ってる?」
「えっと…。」
「近衛隊は詩織さま、そしてこれから王家の一員として引っ張ってくれる人達の負担を軽減する為の存在なのよ。
 そして、ジョンは村長としての活躍から、近衛隊メンバーからも王家に相応しいと認められている。
 私達の可愛い弟であるジョンのことはみんなで守って行く、だからジョンが心配することなんて何もないのよ。」
nice!(11)  コメント(0) 

近衛予備隊-210 [高校生バトル-63]

「近衛隊には自分以上のリーダー、幾らでもいると思うのですが。」
「かもね、でもトップリーダーには普通のリーダーとは違った役割が有るでしょ、彼らが我々の象徴になるのはちょっと違うかな。
 ジョンはルックスが良いだけでなく真面目な人柄が多くの人に知られているし、詩織さまと共に過ごす内に立ち居振る舞いが王侯貴族を思わせる様に、プリンセスの近くに居る者として気にしてたのでしょ?」
「はい、近衛予備隊に入隊した頃は猿並み、と言ったら猿に失礼なレベルでしたので。」
「ふふ、詩織さまはMy Fair Ladyの男の子版をイメージしてたのよ。」
「My Fair Lady?」
「古いミュージカルでね、私達はジョンが素敵に成長して行く様を楽しませて貰っていたのよ。」
「良く分かりませんが。」
「ジョンが王子になり国王と言うシンボルになっても違和感を感じないと思うの。
 女の子達は昔女の子だった人も含めて、ジョンが王子さまになることに憧れていてね。」
「はぁ。」
「素敵な王子さまになって自分を迎えに来てくれると言う妄想に浸ってる人もいるでしょう。」
「でしょうか…。」
「ジョンのグッズは王子になったら一段と売り上げが伸びるし、結婚したら、お伽噺に出て来る王子さまがお姫さまと結婚し末永く幸せに暮らしました、の世界を感じたいと更に伸びるのよ。
 そんなの、他の近衛隊メンバーでは無理でしょ。
 ジョンはジョンが思っている以上に特別な存在なの、自信を持って王子になってくれたら詩織さまも喜ばれるでしょうね。」
「しかし、リーダーとしての自分は…。」
「これからも様々なことを学んで行くつもりなのでしょ?」
「勿論です。」
「ジョンが今の心を忘れない限り、近衛隊は全力でジョンを支える。
 多くの人は忠誠を誓うでしょう。
 私達が描いている王国は国王の血を継いでいると言うだけで無能な後継者にでも従う、そんな昔の王国では無いの。
 真に尊敬出来る国王が血脈に関係なく受け継がれ、統治される王国。
 選挙で選ばれる訳では無いから、時には国民感情に関係なく先々のことを考えた政治が出来、例え独裁的になったとしても国民のことを第一に考える国王で有れば、それを単なる独裁政治と呼ばせないだけの裏付けを近衛隊は示して行く。
 勿論国王の独断で政治を進められる様にはしないわよ。」
「近衛隊が王家を色々な意味で守って行くと?」
「ええ、大きな武力からは守れないけど、平和を愛する国に攻め込んで来た国は国際社会から大きな制裁を受ける時代、武力で守ることが出来なくても大丈夫でしょ。」
「ですよね、今一度新しい王国の王家について考えてみることにします。」
nice!(13)  コメント(0) 
高校生バトル-63 ブログトップ