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進路-01 [高校生会議-02]

岩崎高校生会議、高一対象進路関係説明会当日、洋子は私のサイン入り体験参加者証を受け取って喜んでいた。
今回、私は姫として参加。
他の参加者に対して特に紹介されたり挨拶といった事は予定されてないが、場合によっては終了前に時間を取る事になるかもしれないと言われている。
実際はすでに視線が…。
どこへ行っても注目されるのは美人に生まれた宿命だと父は言う、でも今日は特に…。
サポートスタッフが用意してくれた衣装とスタッフから遥香さまと何度も呼ばれているからだろうが。
視線に負けない毅然とした態度を心掛ける。

「遥香さまこちらへどうぞ。」
エスコートしてくれるのはスーツ姿のサポートスタッフ、長身イケメン。
注目度が一気に上がるのを感じた。
「はい、そろそろ始まるのですか?」
「ええ、まずは全体会で今日の流れを簡単に説明してから、グループ毎に別れて説明や質疑応答に、一年生ですから基礎的な話が中心になると思います。」
壇上に立ったのは優子さんだ。
軽く挨拶などをした後…。
「まず岩崎高校生会議について確認させて貰うわね、しっかり調べて今更という人も居るでしょうが結構勘違いしてる人も居るから聞いてね。
会の発端はグループ企業社員の子弟に対して進学や就職を手助けしようという動き、それに対して私達の先輩方は高校生なりに、守って貰うばかりでなく積極的に社会貢献もして行こうと立ち上がった。
つまり、単にみんなの進路に対して支援するだけの場ではないという事なの。
出来れば進路相談関係の企画だけでなく、他の企画にも参加してくれると嬉しいかな。
でも今日は進路関係だから、真面目に自分の進路と向き合ってね。
岩崎高校生会議を利用したからと言って将来必ず岩崎王国関連に就職しなくてはいけないと言う訳では有りません。
でも、他の企業に関する情報をここで出す訳には行かないという事情は高校生なら分かるよね。
この後は別れて説明を受けて貰うけど、その選択肢を紹介するわね。
まずは、まだ進路に関して何も考えてない人は『基礎』で高校卒業後の選択肢について大まかな説明を受けてね。
進学希望の人は『専門学校』『大学A』『大学B』『大学C』『岩崎学園大学推薦』『岩崎学園大学特別推薦』『岩崎学園大学スーパー特別推薦』それぞれ自分のレベルに応じた所へ、自分の希望が何処のグループか分からない人は進学関係のスタッフに聞いてくれるかな。
複数の枠に興味が有る人は担当者が相談に乗ってくれるわ。
『一般就職』は高校卒業後そのまま就職したいという人、高校生の内に職場体験の機会が有るからその辺りを中心に説明を聞いてね。
『専門職』『特別専門職』はそれなりの力を求められます、大学に通う時間を実践的な研修に費やす事で企業内スペシャリストを養成する事が目的、十九歳で部署のリーダーになった先輩もみえるのよ。
『その他』ではここまでと違う進路を希望してる人の相談に乗ってくれるわ、夢を追いかけたい人の為だけど、現実も考えてね。
事前エントリーしてくれた人も変更は可能、色々有るけどみんなはまだ一年生だから、焦らなくて良いわよ、じっくり考えて自分で判断してね。」

さらに注意事項などの説明が有った後、グループに分かれた。
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進路-02 [高校生会議-02]

「遥香さまはどこかのグループに申し込んで有りますか?」
「はい、まだ職種を決めた訳では無いのですけど特別専門職コースに申し込んで有ります。」
「かなり高い学力をお持ちだそうですが進学希望ではないのですか?」
「学歴より自分のスキルを上げる事が優先という形に惹かれています。
進学の場合は岩崎学園大学スーパー特別推薦を考えていますので、そちらは優子から聞かせて貰います。」
「分かりました、ではこちらへどうぞ。」
特別専門職コースにはすでに三名が来ていた。
成績の優秀さが求められるだけでなく総合力が要求されるが最終学歴は高卒になるという事で希望者は多くない様だ。
私達の着席を待って話が始まる。
「ここに来てくれたという事はそれなりに調べてる四人だと思うけどどうかな?」
「はい、私は大学には大学の良さが有るとは思っていますが、自分のスキルアップを考えたら効率的ではないと思っています。
ハードルの高さは覚悟の上で挑戦したいと考えています。」
「自分は研究職に付きたくて、大学での四年と特別専門職コースの四年を比較して、トライしたいと思いました。」
「自分の親は岩崎王国に随分助けて貰いました、その恩返しを一番手っ取り早く出来るのが特別専門職コースと考えています。」
「うん、真面目な人達が来てくれて嬉しいよ、遥香さまはどの様な思いでここへいらしたのですか?」
「岩崎王国は学歴よりも能力を重視しています、その象徴とも言えるのがこのコース、ここで成功を収める事が出来れば国王さまも喜んで下さると思っております。」
「有難う御座います、今日は皆さんのエントリー内容から先輩方に声を掛けさせて頂きました。
具体的な話は後ほど個別に進めて行きます、基礎的な事は理解してくれてる様なので、まずは先輩方とも親交を深めて貰えたらと思います、質問とか有りますか?」
「あの~、遥香さまと呼ばれている超美少女の存在と、先輩方が私達四人に対して二十人近いというのが理解出来ないのですが。」
「だよね、本来は君達の進路に関する重要な会なのだから、今からの話に反発を覚える人もいるかもなんだけど、でも、特別専門職コースを目指してくれるのなら広い視野で物事を見て欲しいとも考えている。
はっきり言って多過ぎる先輩方の中には遥香さまを一目見たくて来てる奴もいるんだ、だがその事によって君達がより多くの先輩と知り合うきっかけになったのも事実で、間違いなく君達にとってプラスになると思う、それで、遥香さまの事だが…。」
「それは私から話そうか?」
「ああ、頼むよ。」
「マーケティングの実験でも有るけど、元はただのお遊び、私達の集団の中にお姫様がいたらどうかというね、あなたは遥香さまを見てどう感じた?」
「正直緊張してます、僕の高校にも可愛い子いますけど、次元が違う感じで。」
「天皇は国民の象徴でしょ、私達の岩崎高校生会議第十七支部の象徴を遥香さまお願いして、大いなるお姫様ごっこを始めようとしてるの。
遥香さまがいるだけで場の雰囲気が変わるでしょ。」
「あっ、注目度を上げて参加者を増やしたりとか、そういう事なのですね。」
「本物のお姫様なのですか?」
「お父さまは部長をしておられる、バーチャルではこのエリアの病気がちな領主さまの娘ととして領民を見守って下さるという設定よ。」
「気品というかオーラがすごいのですが…。」
「今はお姫様モードだから特にね、でも普段も上品な方ですよ、さらに特別専門職でも岩崎学園大学スーパー特別推薦でも合格出来るレベル、一目見たくて来てる連中も単に外見だけでなく今までの成績にも興味を持って来ているのよ。」
「私の様な下々の者とは口をきいて下さらないのでしょうか?」
「お姫様モードの時はお姫様ごっこに付き合ってくれれば大丈夫よ、ですよね、遥香さま。」
「ええ、二つの人格を同時に演じる事は不可能ですから、よろしくお願いしますね。」
「あ、あっ、こちらこそ、よ、よろしくお願いします。」

それからは先輩方の体験談を聞かせて頂いたり、特別専門職試験の流れなどを教えて頂いた。
私達、四人の参加者にとって有意義な時間だった。
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進路-03 [高校生会議-02]

午前中のプログラムはグループ毎に終了し、食堂へ案内された。
食事は各自持参となっていたが私は持ってこない様に言われていた。

「遥香さまこちらへどうぞ。」
言われる前に自分の席は分かる、う~ん、先輩方やりすぎです。
広い食堂の一角だけテーブルも椅子も背景も王室の広間を模した様な舞台セットに。
「随分手間を掛けたのですね。」
「はい、本日は遥香さまのお披露目でも有りますから。」
「特別な紹介なしという事は口コミでどれだけ広がるかという実験ですか。」
「はい、ですがもう一つ二つ演出を考えていますのでお付き合いお願いします。」
食事は美味しかった。
後はデザートかな、というタイミングで…。
「本日の料理を担当致しました山田です、お食事は如何でしたでしょうか?」
「美味しかったです、味付けは学校近くのお店と似ていますね。」
「あっ、はい、遥香さまの仰る通りです、私共の店には二度ほどのご来店のみで、そこまで味を理解して下さっていたとは思ってもいませんでした。」
「私が二度利用させて頂いたという事はどうしてご存知なのですか?」
「遥香さまの美しさは店の者の間でも評判になっております、次のお越しを一同心待ちにしております。」
「そうでしたか、お店の高校生向けメニューは好感が持てました。
ところで、今頂いたのは店のメニューにはなかったと思います、新しいメニューなのですか?」
「はい、学生向けのマナー教室を企画しておりまして、その場でお出しするメニューとして完成させました。」
「悪くないですね、優子もマナー教室を受講しては如何かしら。」
「はい、遥香さま、私向けの企画の様です。」
「先日の話から、ここまで進めるスピード感は心強いです。」
「恐れ入ります。」
「この後はどうなりますか。」
「午後のプログラムの前に、企業紹介の為に来て頂いてる社長がご挨拶させて頂きたいと申しております、如何でしょうか。」
「私からも感謝の意をお伝えせねばなりませんね、お通しして下さい。」
「かしこまりました。」
山田さんとの会話からは距離をおいてのもの、つまり小声ではなくそれなりの声で話さなくてはいけなかった。
周りの参加者たちは状況を把握できないまま静かに見守っている、まずはお店の宣伝をしたという事になるのか。
しばらくして現れたのは父の会社の社長。
「姫さま、大きくなられましたな、そしてお綺麗になられて嬉しい限りです。」
「爺も元気そうで何よりです。」
社長を爺と呼んだ瞬間、優子さんやサポートスタッフに緊張感が走るのを感じた。
「この度はお父上に成り代わって領内に目を光らせて下さるそうで嬉しく思っております。」
「若輩者故至らないことも多いと思いますが、国王陛下への忠誠心を父に成り代わって見せねばと思っております、爺も力になってくれますか?」
「勿論でございます、我々家臣一同遥香さまを精一杯支えさせて頂こうと話し合っております。」
「有難う御座います。」
姫と家臣の爺という体で世間話を続けた後…。
「遥香さまのお写真も国王夫妻の横に掲げさせて頂きたいのですが如何でしょうか?」
「国王陛下と私では身分が違い過ぎて、国王陛下に対して失礼になります。」
「陛下からは、この地の発展と岩崎高校生会議の活躍を期待するという言葉と共に、当地の姫を後押しせよとのお墨付きを頂いておりますが。」
「それでは承諾せざるを得ませんね…、私の知らない所で話が進み過ぎてますよ、爺。」
「それは遥香さまのお力故のことです。」
「ですが、急ぎ過ぎて足元をすくわれたりする事の無きようお願いします。」
「はい、心掛けさせて頂きます。」

社長が退席すると参加者たちは、おしゃべりを始めた。
さりげに見てみるとクラスの友人と午前中一緒だった三人が情報を広めているようだった。
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進路-04 [高校生会議-02]

食後は一旦応接室へ案内された。
先ほどの社長の他、優子さんやサポートスタッフも同席。

「先ほどは失礼いたしました。」
「いえ、遥香さまのアドリブには驚かされました、今後も爺とお呼び下さい。」
「私どもの方が焦りました、うちの社長を爺と呼んだだけでなく注意喚起まで。」
「どうだ、私の姫さまはお美しいだけでなく、物事を冷静に見ておられるだろ。」
「ファミレスの料理長との会話もアドリブですよね。」
「ええ、事前に何も教えて下さらないから、それとこれは私からの提案です、山田さんに渡して頂けますか。」
「あっ、先ほどメモされてた…、読ませて頂いて構いませんか?」
「はい、構いません。」
「成程、確かにそうですね、こう言った事は。」
「儂らにも分かる様にせんかい。」
「失礼しました、社長、マナー教室だからナイフとフォークに慣れていない人を対象、始めから切り分けにくい食材にするより、徐々にコツを覚えて慣れて行く様な形にしてはどうか。
ファミレスでは有るが予約限定で一般向けのフルコースを提供すれば、マナー教室を経験した人がお祝いの時などに利用してしてくれるかもしれない、また料理人のスキルアップにも繋がる。
内容が良ければ客単価の高いサービスの需要を自分達で掘り起こす事になる。」
「ははは、どうだ私の姫さまは、お前達より余程仕事が出来るだろ。
こんな地方都市だから洋食のフルコースなんて需要は少ないだろうが、岩崎高校生会議からの提案によるマナー教室を開き、それを発展させれば需要を伸ばす事は可能だな、人数を限定すれば食器もなんとかなるだろう。
何、客が少なかったら私が姫さまを招待させて頂くよ。」
「社長、そのまますごい宣伝になりますね。」
「おっ、お前も少しは成長した様だな、遥香さまの経済効果は大きいぞ。」
「壮大なお姫様ごっことは思っていましたが、それでお写真を?」
「勿論だ、清音部長の許しが出れば学校の送り迎えだって我が社で担当したい所だがな。」
「爺、過ぎたるはですよ。」
「はは、怒られてしまったわい。」
「社長、遥香さまは特別専門職コースご希望ですが是非我が社へ来て頂きたいですよね。」
「勿論だ、将来の社長候補として手腕を発揮して欲しい所だな。」
「まだ高校一年生ですから、焦らないで下さい。」
「いえ、うちの部長は遥香さまの意見はとても参考になると自慢しております、遥香さまのお力で部長になれたとも。
本日改めて、それが嘘でも冗談でもないと確信しました。
これから他社の重役どもからもお声が掛かると思いますが、仮という事でも構いません、我が社メインで研修を始めて下さい、お願いします。」
「分かりました、リアルな方の父とも相談してみます。」
「優子くん、こういう事情だから、遥香さまはすでに特別専門職コース合格だからね、後はご本人の意思次第と公表してくれないか。」
「他社と問題になりませんか?」
「はは、岩崎高校生会議への貢献度を考えたら文句は言えないだろう、今日だってゴルフを優先させた連中に権利はない、私は成長した姫さまの噂を聞いてたからここを最優先にしたのだがね。」
「うちの父も来たがってたのですが、どうしても外せない出張と重なってしまいまして。」
「そうか、久兼常務には今度メシでも奢るかな、今度オープンさせる店は魚の仕入れを漁港からの直にするんだ、良かったら優子くんも一緒にどうだい。」
「有難う御座います、父にも話しておきます。」

高一の一学期にして就職先が決まったのかもしれない。
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進路-05 [高校生会議-02]

午後のメインプログラムは応接室でモニター越しに確認、私が会場に向かったのはフリーで先輩方に質問したり交流する時間から、でも、会場に入るとすぐに取り囲まれてしまった。
すぐさまスタッフが人を整理してくれて落ち着いたが。
そんな状態で、茜が…。
「遥香さま、皆さんお写真を撮らせて頂きたいそうですがよろしいでしょうか?」
私に代わって優子さんが応える。
「プリンセスとなって頂く事をお願いして、私どもの象徴となって下さったお方です。
写真撮影の場を設けますが、遥香さまを傷つける様な使い方をされる様な方はお断りさせて頂きたいです、よろしいですか。」
「私はプリンセス遥香に忠誠を誓います、我らが姫として自慢したいのです。」
「自分も忠誠を誓います、忠誠を誓った者のみが撮影を許されて、ネット上に拡散させて頂くというので如何でしょうか。」
「遥香さまよろしいでしょうか?」
「はい、皆さんとは岩崎高校生会議の場で今後もご一緒させて頂く訳ですから。」
大きな歓声が上がる、ここまで喜んで貰えるとは思ってなかった。
「では後ほど食堂で撮影会を開きましょう、隠し撮りの様な画像ではなく正式な写真で遥香さまを紹介して頂けたらと思います。」
「私は遥香さまと中学時代同じクラスだったの、勿論当時から可愛くていらしてみんなの憧れの的だったわ、お優しい方で私は勉強を教えて頂いてました、他校出身の方にはそんな一面も知って頂きたくて。」
「告白して玉砕した野郎は数知れないが、そんなうざい奴らにも心配りをして下さる方なんだぞ。」
「遥香さまは岩崎高校生会議のスタッフになって下さった、これは俺達で盛り上げないと、いや盛り上げたら楽しいと思わないか?」
「うん、今日先輩方のお話を聞いて盛り上げたいと思った、姫さまと一緒なら最高だぜ。」
「設定とか関係ないわ、遥香さまは私達のプリンセスって事で良いでしょ。」
「異議なしだ、岩崎王国の中で最も栄えるエリアにこの地を、遥香さまを盛り立てて、俺達の力でしようぜ。」
異様な盛り上がりにサポートスタッフまで熱くなってしまった…。
「遥香さまのお写真はスタジオでも撮影させて頂く事になっています。
完成したら、我が社のサイトでも閲覧出来る様にしますので、その時は情報を流しますね。」
「もっともっとお姫様っぽいの衣装がいいなぁ~。」
「そうね、衣装に興味の有る人集まって。」
「あっ、じゃあ、遥香さまを世に知らしめていく演出とか考えてみたい人はこっちへ来てくれないかな。」
「何でも良いから手伝いたいって人は私の所へ集まって。」
「残ってる人は俺達とって…、普通いるだろアンチとかわが道を行くとかいうタイプ。」
「はは、今日来てるのは、高一の五月から自分の進路と向き合う様な真面目な生徒ばかりだからな。」
「遥香さまは本当に人気者なのですね。」
「それは分かりません、皆さん勢いに流されてるだけかも知れません、でもこの流れを利用して体験の場を考えて下さってたのですね。」
「はい、ですがこんなに簡単に、こんなに早く、そして遥香さまに、その意図をあっさり見抜かれるとは思ってなかったです。」
「何時もと違う経験をする事で、自分でも知らなかった自分に気付く機会となるかもしれません。」
「遥香さまもそんな経験をされたのですか?」
「そうですね、父の仕事のお手伝いをさせて頂いたのは良い経験になったと思っています。」
「ではぜひ我が社へ。」
「あ~、うちは出遅れたよな、お前の所は社長直々のお出まし、俺も遥香さまの部下になりたかったな。」
「おい待て、俺は遥香さまをお慕いしてはいるが…、う~ん漫画みたいな設定だが、上司は高校一年生って面白いかもな。」

話がおかしな方向へ向かい始めているが…。
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進路-06 [高校生会議-02]

月曜日の教室。

「遥香さまを一目見ようと教室まで来る人が、また増えましたね、しばらく落ち着いてましたのに。」
「一昨日姫さまとしてのお役目を立派に果たして下さったからです、参加者が情報を広めていますよ。
ところで、遥香さま、昨日の撮影は如何でしたか?」
「大変でした、何回着替えたか分からなくなるほどの衣装を着ましたし、着せ替え人形と違って表情やポーズにも気を付けなくてはなりませんでしたからね。」
「きらびやかなドレスばかりだったのでしょう。」
「いえ、和装も。」
「写真集を出すのですか?」
「どうでしょう、ポーズは穏やかなものばかりです、需要が有るとは思えません。
それよりみなさんは進路について考える事、出来ましたか?」
「はい、私は何となく大卒の資格を得る為に進学と考えておりましたが、岩崎王国では実力重視と教えられました、自らのスキルアップを真剣に考えない進学は高校生会議の支援対象にならないそうです。
逆に遥香さまが合格なさった、特別専門職コースは優秀な人の力を更に伸ばす為に最高の支援を、必要なら海外留学もお給料を頂きながら可能だとお聞きしましたが。」
「ええ、岩崎学園大学スーパー特別推薦とどちらが自分のスキルアップに繋がるのか微妙でしたが、国王さまもこの地の象徴として頑張って欲しいと電話で話して下さいました。」
「王さまとも、話されたのですか。」
「はい、私の伯父にあたる方です、直接はなかなかお会い出来ませんが。」
「ええ~!、ストップ~、お姫様モードでは詳しく聞けないじゃない、遥香さまホントに岩崎社長と?」
「ええ、ちなみにお姫様モードの時は岩崎遥香と名乗る事になったの。」
「そう言えば社長は大勢の人を養子にして支えようとしてるよね。」
「その人達は私のいとこになるわ、岩崎遥香が姫として活躍すれば、皆さんも喜んで下さるだろうと話してみえた。」
「でもバーチャルなのよね。」
「そのあたりも私に合わせて下さると、さらにスケジュールを調整して岩崎高校生会議第十七支部の応援に来て下さるかもよ。」
「他の支部から恨まれないかしら。」
「大丈夫、うちは先輩方がずっと活発に活動して来て下さった実績があるのよ。」
「でも、高校生のお遊びと思われても可笑しくないのに、岩崎社長は真面目に付き合って下さるのね。」
「明日を担う若者達への応援は大人の使命だと日頃から話して見えるのは本心みたい。」
「うわ~、マジで恥ずかしくなって来た、大卒なんて資格より王国の為になる自分にならなくては。」
「高卒で就職しても、そこから違う道も選択出来るシステムがかなり完成してるそうよ、それも岩崎社長の指示に依る所なんだって、簡単に離職するのではなく別の道を、高校を卒業してすぐ就職すると、分からない事だらけで道を踏み外してしまう人も少なくない、そうならない為にって。」
「進路関係説明会に行って良かったわ、遥香さまも素敵だったし、進路に関するお話も参考になって昨日は両親とも真面目に会話出来たの。」
「私もよ、でね父さんも、すでに遥香さまの情報を知ってて、珍しく親子で盛り上がってしまったわ。
私の姫さまがねって話したら、我々の姫さまだって、母さんは少し複雑な表情してたけど、写真を見せて、どれだけ慕われているか話したら、もうすっかり遥香さまのファンになってしまったわ。」
「これから面白くなるってサポートスタッフの人達も話してたわよね。」
「ふふ、スタッフ希望者が多すぎて、受け入れ態勢を見直すとか、皆さん、これからもよろしくお願いしますね。」
「はい、遥香さま、スタッフとなって支えさせて頂きます。」
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進路-07 [高校生会議-02]

「ねえ、大学進学コースはどうだったの?」
「しっかりした目標が有って真面目に学習してる実績が有れば色々な形で支援して下さるそうよ。
進学希望でも会社体験させて頂けるから、大学卒業後のビジョンも描けるの。」
「茜は真面目だからな。」
「でも会社体験や研修の機会が多いと会社側にとって負担にならないのかしら?」
「詳しく聞いてないのね。」
「遥香さままはご存知なのですか?」
「会社側にとってもメリットがあるの。
高校生の内に研修を受けた人の多くは岩崎関連に就職するでしょ、だから入社後の研修が楽。
研修を受けた人の中には即戦力となって会社に貢献してくれた人も少なからずいたのよ。
研修をまともに受けないで入社した人の中には自分の想像と違ってたと、すぐ辞めたくなる人も、そのフォローに時間を掛ける事を考えたら、メリットは大きいでしょ。
でもそれだけではなくてね、社内の約束事を高校生に紹介する事で社員達が約束事を確認する機会にもなるの。
大切なルールでも時々確認しないといい加減になってしまうのも有るのよ。
それに対して上司が気にかけているより、研修生に教える事で確認出来た方が良いと思わない?
その他に、作業の見直しも、研修中の質問から作業手順を改善した事も有ったそうなの。
仕事にメリハリがつくという一面も有るのよ、普段は先輩に面倒みて貰う立場の若手でも後輩の面倒をみる立場になる訳でしょ。」
「仕事の邪魔になるかと思ってたけど、そうでもないのね。」
「仕事の邪魔にならない様に、岩崎高校生会議主催の事前研修会も有るしね。」
「研修プログラムは随時紹介だけど、内容によってはアルバイトとして給料を頂ける事も、学校側には会社側が話は通してくれるから安心、なんて話、進学組は聞いてないでしょ?」
「うん、聞いてなかった、でも学習に支障がなければ許して貰えそうね。
あっ、就職組は学習面に関して、何か言われたの?」
「就職してからでも色々な選択肢が有る、自分の出来る範囲内で良いから真面目に学習にも取り組んで欲しいって。」
「自分の出来る範囲内って所が良いわね。」
「正直言って私の出来る範囲なんて…、就職試験大丈夫かなぁ。」
「大丈夫よ、適材適所なんだから、順子に出来る仕事が無かったら作ってでも迎え入れる、それが岩崎王国の岩崎高校生会議に対する方針なのだからね。」
「うん、私、遥香さまのお世話係とかになりたいな。」
「ふふ、その頃にはお姫様卒業じゃないのかしら、私。」
「だめですよ、ずっと私達のお姫さまで居て下さらなければ、土曜日の会議でも色々出てましたからね、大体姫様は卒業するものでは有りません。」
「え~、じゃあ私は何時までお姫さまごっこを続けるの?」
「ごっこでは有りません、遥香さまは正真正銘、この地の姫ですから。」
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進路-08 [高校生会議-02]

それからしばらくの間、学校では進路に関して自分とは違うコースの人と情報交換をしたり、恰好良い先輩の話とかで盛り上がったりしている。
高校生会議の企画については茜から情報を貰って話し合い、と言ってもスタッフの組織編制にはまだ時間が掛かりそうなので、いささか具体性には欠ける内容だった。
その一方で私は父から…。

「遥香、話がとんでもない方向に進んでるが聞きたいか?」
「えっ、聞きたいというより聞かなきゃだめなのでしょ。」
「今の時期ってテストとかで忙しいとか有るのか?」
「特にないわ、テストが有ったとしても普段通りよ。」
「そうだったな…、え~と…、まず特別専門職コースは正式に合格が決定した、ここからは遥香の意思が尊重されると考えて欲しい。
今日までに遥香がらみの企画書が幾つか出ていてな、その一つに部長待遇で研修を始めるというのがある。」
「サポートスタッフのお遊びなの?」
「いや、結構真剣で社長も乗り気なんだ。
新規で店を開くか、既存の店を受け持つかは今後の相談となるが、若手からは既存店の名称に遥香の名前を冠したいとも、まずはこのエリアで試みて反響が良ければ広げて行くという計画だ。
高校生の実習は今まで以上に受け入れて行く。
実務はもちろん社員が推し進めて行くが上司として監督して欲しいそうだ、部長が高校一年生の美少女、そのチームが他の高校生と協力して店舗展開を、というのを売りにしたいと考えている。
飲食系だけでなく服飾系も有りだ、違う業種にチャレンジしても良い。」
「話が大袈裟になって来てるのね、それでお父さんはどう考えてるの?」
「はは、遥香はお姫様ごっこより好きだろ、こういうの。」
「そうね、でも学校も有るし…。」
「それに関しては、プリンセスとしても頑張って欲しいから、マネージャーか秘書が付く事になる、すでに必要な状態になりつつあるからな。
取り敢えず来週辺りから、学校帰りに会社へ顔を出して貰えないか?」
「学校帰りだと夕方からになるわね、それでも良いの? 残業は原則禁止でしょ?」
「前もって分かっていれば遅番という形で出社を遅らせたりして調整出来る、方向性が固まれば出社の必要もなくなるだろう。」
「そうね、じゃあ来週から自転車登校にするわ。」
「部長研修を引き受けてくれるなら、車での送迎になる。」
「それはちょっと…。」
「プリンセスという立場もアピールしたいからね、イメージを固めて行きたいと皆考えているんだ、送迎の経費とかに気を遣うぐらいなら、それ以上の成果を出せば良い。」
「でも微妙だわ、岩崎王国の人達が協力して下さるでしょうから、少々の失敗は何かと帳消しにして頂けそうでしょ、でも、それに甘えたくないな。」
「うん、遥香なりに考えているのだな。」
「まずは皆さんの企画書を見せて頂いてからというのはどうかしら?」
「分かった、すぐ確認を取って…、そうだな私が受け取った企画書はすでに修正されてるかもしれない、明日には遥香専用のパソコンが届いて、万全のセキュリティで使える様になる、そこから確認できる様にさせるよ。
ちなみにパソコンは遥香が部長職を在宅でもこなせる様にと社長の指示なんだ。」
「システムが万全でも使う側に問題が有ったらだめなのでしょ?」
「その辺りの研修を受けつつという事だな。」
「中学生の頃から色々教えて貰って来たけど、立場が変わると…、ねえ、他の部長さんや課長さんの反応はどうなの?」
「今は飾り物でお遊びの高校生部長ぐらいにしか考えてないだろう、う~ん、遥香が実績を上げてもそれが遥香の実績だと気付けない奴もいそうだが…、私としては遥香が自分の力を普通に発揮してくれたら問題ないと思うがね。
少しぐらいの失敗は社長と私でフォローできると思うから、細かい事は気にするな。」
「ふふ、細かい事を気にする奴は大物にはなれないか…。」
「はは、遥香はすでに大物だからな。」
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進路-09 [高校生会議-02]

企画書を読んだ上で、父や会社の若手社員達とも相談し、新たな部を創設する話をまとめたのが私の部長研修の第一歩。
実質的には父の部署を少しずつ分けて私の部署とし作業分担をして行く。
部下に関しては希望者と実際に仕事を進めてみて判断させて貰う事になった。
その概要をクラスの友達に説明して…。

「それでね、ちょっと大変なんだけど…、洋子が良かったら私の所で研修を受けて欲しいのだけど、どうかしら。」
「えっ、私で良いの、他の人だって遥香さまの下で研修を受けたいでしょう。」
「良いんじゃない、洋子、実績を上げて岩崎高校生会議の正規メンバーになってよ。」
「茜…、有難う、みんな良いかな私なんかで。」
「洋子が経験した事を教えてくれたらね。」
「うん。」
「ただね、業務上知り得た事の中には人に話してはいけない内容も有ると理解しておいてね、守秘義務ってワードは頭に刻み込んでおいて欲しいの。」
「うっ、企業戦略とか?」
「ええ、うちの店で出してる料理の秘密を競争相手の店に知られたら困るわ。」
「あっ、もう私達の研修も始まってるのね。」
「高校生会議とも連携して進めて行くからね、高一の今からだとマイペースの研修でも高校卒業の頃には就職後の仕事内容が掴めると聞いてるわ。
洋子は一般就職コース希望だけどご両親とは相談したの?」
「はい、岩崎高校生会議の話をしたら喜んでくれました。」
「私が部長研修から始める様に課長研修からでも大丈夫かしら?」
「えっ? 私が?」
「夕方は時間が取れるのでしょ。」
「はい、部活は週二回ですから、でも遥香さまが部長研修を始められるのは、特別専門職コースに合格されたからで…。」
「部長権限は有るのよ、洋子の才能を高校生の内から活かしてみたいと思わない?」
「課長研修という事は継続的な研修ですね。」
「そうね、長く続けて欲しいけど、少し実習を経験した後は他の研修コースへ移っても全然構わないのよ、ちなみに課長研修はアルバイト待遇で給料も発生するからね。
まずは体験という事でどうかしら。」
「お願いします。」

周りの皆が洋子に対して応援すると声を掛けた、それは彼女の家庭環境を知っていたからだ。
彼女は高校に慣れたらバイトしたいとも話していた。
真面目さだけでなく調理実習では手際の良さを見せてくれた事も彼女を誘った理由の一つ。
ただ、誘ったものの、それが彼女の将来に大きな影響を与える可能性についても考えている。
彼女には実質的な部下になって貰う、そう考えたら私の責任は…。
中学生の頃からぼんやりと職場でのリーダー的な存在に憧れていたので、高一にして一歩踏み出せるのは嬉しい。
だが、リーダーとしての責任も有る、何と言ってもお遊びではないのだ。
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進路-10 [高校生会議-02]

洋子には岩崎高校生会議の研修を受けて貰った。

「遥香さま、基礎研修を受けさせて頂いて、改めて岩崎社長の大きさを感じました。」
「ふふ、他はどう? 基礎的なマナーとか会社の仕組みとか。」
「はい、すぐ実習が始まる訳ですから気合いも入っています、先輩から、後は現場で覚える様に言われました。」
「労働条件の確認は大丈夫?」
「好条件にして頂いて有難う御座います。」
「えっ? そんなに良くないでしょ、でもスキルアップして会社への貢献度が上がったら昇給させて貰います。」
「はい…。」
「これからの仕事については聞いてる?」
「色々な体験をする事になるとだけ。」
「洋子にとっては過酷な体験となるかもしれないわよ。」
「うっ、そ、それでも頑張ります…。」
「ねえ、高校生の就職って、限られた情報から就職先を選んでとなるわよね。
実際にどんな職場なのかは就職して働き始めてみないと分からないと思わない?」
「はい、そこが不安です。」
「景気の悪い時なんかはギャンブルみたいなものだと聞いたわ。
会社を選んで就職試験を受けて入社したら、思ってたのとは違った、さあどうする、とならない様に高校生会議がバックアップしてくれるから私達は随分安心できるの。
でね、それに対してバックアップを受ける側が自身のスキルアップを図るという考え方はどう?」
「単純に雇って頂くという受け身ではなく…。」
「洋子にはそのモデルケースになって欲しいの、色々な事に挑戦して貰うけど、苦手な事は控え目にして得意な分野を伸ばしてくれたら嬉しいわ。」
「遥香さま…、遥香さまが私をお見捨てになられない限り、私を部下として働かせて下さい。」
「有難う洋子が一緒に働いてくれるのなら心強いわ。」
「でも、具体的なお仕事は…。」
「明日の授業後から準備を始めても大丈夫?」
「はい。」
「では明日の夕食は私達に付き合って貰うから、うちの人には外食する事と…、帰宅時間が九時ぐらいになっても大丈夫かしら、こちらで送らさせて頂くけど。」
「はい、問題ないです。」
「明日はうちの部員候補との会合も予定してますからね。」
「特に持ち物とか気を付ける事は有りますか?」
「そうね、明日は、それをまとめて貰おうかな、今日の内に分かっていた方が良かった、という事を実体験で確認出来るでしょ。」
「あっ、分かりました。」
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