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進路-04 [高校生会議-02]

食後は一旦応接室へ案内された。
先ほどの社長の他、優子さんやサポートスタッフも同席。

「先ほどは失礼いたしました。」
「いえ、遥香さまのアドリブには驚かされました、今後も爺とお呼び下さい。」
「私どもの方が焦りました、うちの社長を爺と呼んだだけでなく注意喚起まで。」
「どうだ、私の姫さまはお美しいだけでなく、物事を冷静に見ておられるだろ。」
「ファミレスの料理長との会話もアドリブですよね。」
「ええ、事前に何も教えて下さらないから、それとこれは私からの提案です、山田さんに渡して頂けますか。」
「あっ、先ほどメモされてた…、読ませて頂いて構いませんか?」
「はい、構いません。」
「成程、確かにそうですね、こう言った事は。」
「儂らにも分かる様にせんかい。」
「失礼しました、社長、マナー教室だからナイフとフォークに慣れていない人を対象、始めから切り分けにくい食材にするより、徐々にコツを覚えて慣れて行く様な形にしてはどうか。
ファミレスでは有るが予約限定で一般向けのフルコースを提供すれば、マナー教室を経験した人がお祝いの時などに利用してしてくれるかもしれない、また料理人のスキルアップにも繋がる。
内容が良ければ客単価の高いサービスの需要を自分達で掘り起こす事になる。」
「ははは、どうだ私の姫さまは、お前達より余程仕事が出来るだろ。
こんな地方都市だから洋食のフルコースなんて需要は少ないだろうが、岩崎高校生会議からの提案によるマナー教室を開き、それを発展させれば需要を伸ばす事は可能だな、人数を限定すれば食器もなんとかなるだろう。
何、客が少なかったら私が姫さまを招待させて頂くよ。」
「社長、そのまますごい宣伝になりますね。」
「おっ、お前も少しは成長した様だな、遥香さまの経済効果は大きいぞ。」
「壮大なお姫様ごっことは思っていましたが、それでお写真を?」
「勿論だ、清音部長の許しが出れば学校の送り迎えだって我が社で担当したい所だがな。」
「爺、過ぎたるはですよ。」
「はは、怒られてしまったわい。」
「社長、遥香さまは特別専門職コースご希望ですが是非我が社へ来て頂きたいですよね。」
「勿論だ、将来の社長候補として手腕を発揮して欲しい所だな。」
「まだ高校一年生ですから、焦らないで下さい。」
「いえ、うちの部長は遥香さまの意見はとても参考になると自慢しております、遥香さまのお力で部長になれたとも。
本日改めて、それが嘘でも冗談でもないと確信しました。
これから他社の重役どもからもお声が掛かると思いますが、仮という事でも構いません、我が社メインで研修を始めて下さい、お願いします。」
「分かりました、リアルな方の父とも相談してみます。」
「優子くん、こういう事情だから、遥香さまはすでに特別専門職コース合格だからね、後はご本人の意思次第と公表してくれないか。」
「他社と問題になりませんか?」
「はは、岩崎高校生会議への貢献度を考えたら文句は言えないだろう、今日だってゴルフを優先させた連中に権利はない、私は成長した姫さまの噂を聞いてたからここを最優先にしたのだがね。」
「うちの父も来たがってたのですが、どうしても外せない出張と重なってしまいまして。」
「そうか、久兼常務には今度メシでも奢るかな、今度オープンさせる店は魚の仕入れを漁港からの直にするんだ、良かったら優子くんも一緒にどうだい。」
「有難う御座います、父にも話しておきます。」

高一の一学期にして就職先が決まったのかもしれない。
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