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新学期-381 [花鈴-39]

「現時点で何か案は有る?」
「う~ん…、そう言うことなら僕の目から見た株式会社花鈴、と言うのはどうかな?
 僕の視点で株式会社花鈴を紹介。
 今までYouTubeチャンネルで紹介して来なかったことでも、興味を持って貰えることが有ると思うんだ。」
「良いかも。
 今までは当事者だけで制作、第三者の視点は無かったから。
 中学生社員として採用された後は、研修として会社を知って貰うことから始まる…。
 でも平日は学校なのよね。」
「学校なんて休めば良いさ、中学までは出席日数にうるさく無いし、姫も店のオープン日は学校を休んで取材を受けてたじゃないか。」
「そうね、学習面では問題が無いのだから…、というより、会社は谷川くんにとって学校へ通うより様々なことを学べる環境になると思うわ、私でもそうだったから。」
「うちの親は学校に拘って無いから適当にやるよ。
 スケジュールは相談になるのかな?」
「ええ、中学生社員担当は優しいお姉さんに決まってるから…、まあ適当にやってね。
 研修と撮影が当面の仕事。
 その過程で気付いたことや提案が有ったら積極的に教えて欲しいかも。」
「了解、電話するよ。」
「電話でも良いけど、ピーマンの会活動時にじっくり話したいわ。
 畑仕事を手伝ってくれる人が増えたから問題無いの。」
「それは嬉しい、従兄達に自慢出来るからな。」
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新学期-382 [花鈴-39]

「自慢?」
「姫は頭が良くて可愛らしいと評判でしょ。
 五月の連休に行くから姫さまを紹介しろと言って来てる奴もいるんだ。」
「やはり能力の高い人?」
「ギフテッドとまでは行かないけど、中学の定期テストでは常に上位にいるのだとか、そんな自慢話をする奴では無いのだけど、まあ伝わっては来ててね。」
「それなら是非紹介して貰わないと。
 そっちのスケジュール調整もお願い出来るかしら?」
「勿論です、姫、彼も喜ぶと思いますが、何か考えでも?」
「えっと、中学生?」
「中学三年生になりました。」
「我が社では今後ハンディをお持ちの方も社員として迎えて行きたいと考えてるのだけど、それには優秀なスタッフの存在が不可欠なの。
 だから能力の高い人とは仲良くなっておきたいのよ。
 今は在宅勤務の出来る時代だから、在宅の中学生社員と言うのも有りかと思ってね。」
「彼にもそのことも伝えて置きましょうか?」
「ふふ、何か話し方が変わって来てるのだけど。」
「確かに…、姫が株式会社の会長だと言うことを実感させられ何となく…。
 企業内の序列で言えばトップと底辺なのだと感じて。」
「そんなこと気にしなくて良いのよ。
 ホントのトップは田中社長なのだから、と言ってひろっちがその息子なんてことも忘れてね。」
「姫はもっとお飾り的要素が強いのかと思っていたのが、経営に関わっていると実感させられて、マジな話、姫にお仕えしたいと、ひろっち達とは違った角度から支えさえて下さい。」
「お願いしたいけど、普通の友達になって欲しいかな。」
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新学期-383 [花鈴-39]

「姫、谷川さんはどうだった?」
「中一だけど考えてることは大人、大賢者とは大違いでね。
 今度ピーマンの会が菜園に集まる時、紹介するけど、私達の仲間に成りたいと話してたから、絵梨もよろしく。」
「何か手伝って貰うとか?」
「ええ、私達のYouTubeチャンネルをかなり見てくれてたから話しが早かったの。
 まずは株式会社花鈴を第三者の目で見て貰うことから。」
「そっか、今までとは違った視点が出来るんだ。
 谷川さんに説明して行く過程で見えてくるものが有ると良いわね。」
「うん、何を見つけてくれるか全く分からないけど…、まあ、目新しいことが何も見えなかったら、それはそれで、私達の活動が間違って無かったことになるでしょ。
 彼には近い将来YouTubeチャンネルを立ち上げて貰うから、その辺りのサポートは絵梨にも手伝って欲しいかな。」
「そうね大人達に説明して貰ってから、質問に応えるとかで良いよね?
 歳が近い方が感覚的に伝え易いことも有るわ。
 大人からの話だけで問題なければ、姫にはそんな報告をすれば良いのでしょ?」
「うん、そんな感じでお願い、小学生社員として新人中学生社員の面倒を涼子さんと、って感じで。」
「中学生社員担当の涼子さんか…。
 谷川さんも好きになるのだろうな。」
「大人にも子どもにもモテまくりだものね、でもそれは絵梨もでしょ?」
「私は彼女程ではないし、子どもとして可愛がられているだけだから、涼子さんとは違う思う。」
「でもさ、中学一年生が恋愛対象とて絵梨を意識する可能性はどう?」
「ないない、歳の近い男の子達はお子ちゃま過ぎて…、保育園の保母さんが良いのよ。」
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新学期-384 [花鈴-39]

「恋愛って良く分かって無いのだけど、好きと言う感情が色々だとは理解してるわ。
 絵梨が一番好きな人はあの人なのよね…、今、テレビドラマに出てる…。」
「恰好良過ぎるのよ、恋愛感情とは少し違って、憧れかも。
 姫はどうなの?」
 父と兄が偉大過ぎるからな。
 友達は大学生も含め、みんな好きだけど、好きの度合いは違う、一番好きな男の子が恋愛対象になって行くのかしら…。」
「今だと誰?」
「そうね…、小学生だとひろっちが一番安心出来る、大学生だと里中さんかな、彼女さんがいるし彼からしたら私はタダの子どもで恋愛にまでは発展しないと思うけど。」
「ひろっちは無難ね、それなりに頭が良くて優しい、大賢者は数学がずば抜けている割に我儘な子どもって感じだから私達の恋愛対象にはならない、姫のお兄さんには憧れるけど相手にして貰え無さそう。
 中学生だと…、ねえ谷川さんのルックスはどうだったの?
 写真の感じは悪くなかったけど、実際は?」
「そうね、絵梨の推しが中学一年生だった頃の写真を見てみたいかな。
 もしかすると絵梨のタイプかも。」
「問題は性格だわ。」
「確かに、バランス感覚の良さを感じたけど、見極めるのはこれから。
 でも、少なくとも仲良くはなりたいと思ってる。」
「うん、ピーマンの会の仲間になってくれた人だものね。」
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新学期-385 [花鈴-39]

「ねえ、YouTubeチャンネル、美礼と学ぶ危険物取扱者試験の方はどう?」
「株式会社花鈴の人達が楽に資格を取れる様にと、美礼が結構時間を掛けて考えていてくれるから、私も資格を取ることにしたわ。
 美礼が私にアドバイスと言う形で進め、時にゲストとして学習中の社員さんや大学生にも出て貰う。
 里中さんには絶対出演して貰いたいわね。」
「資格を取る気の無い人までもが見たくなるチャンネルに成りそうね、撮影は?」
「美礼は重要ポイントを早めに伝え、後は質問に応えながらと考えていて、直ぐにでもリハーサルを始めたいと話してくれたから、明日から二人で台本を作りながら練習、編集スタッフにも伝えておいたわ。
 美礼が熱心に考えてくれているとも。」
「彼女は楽しんでくれてるのかな?」
「ええ、仕事として取り組むことで大人になった気分を味わっているのだとか。
 私がお母さんの手伝いを始めた頃と同じ感覚だと思う。」
「社会人と言う言葉が有るのだけど、子どもだって社会の一員、社会の為にと動き始めたのなら大人と同じ社会人。
 仕事を通して自己主張しそれが認められたら喜びとなる、仕事は単にお金儲けだけが目的ではないのだからね。」
「じゃあ、私達は有る意味大人なのね?」
「ええ、でも、まだ暫くは子どもとして楽させて貰いながら学習してれば良いのよ。」
「姫って大人以上に大人だと感じることが有るのだけど…。」
「ふふ、家では結構甘えてるのよ。」
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新学期-386 [花鈴-39]

「大社長は姫に甘いものね。
 でも普段姫がおねだりしてるのは、ここの社会にとって必要なものばかりでしょ?」
「でも、おねだりする時は個人的に欲しい物も含めて、何故それが必要なのかをプレゼンしなくてはいけないの。
 夕食後、家族に向けてね。」
「へ~。」
「却下されたことは無いから甘いのだけど。」
「それだけ説得力の有るアピールをして来たのだと思うわ、姫なら。」
「両親と兄、誰かから反対意見が出されても、必ずフォローしてくれる家族がいる、そんな家族会議の場で沢山の事を学んで来たと思うの。」
「成程、父も私の成長に合わせ、話を真面目に聞いてくれる様になって来たのよ。
 YouTubeチャンネルに関係することは特にね。」
「絵梨が提案した番組が何本も、凄く閲覧されてると言う実績が有るからでしょ。
 私が会社関係でおねだりして来たことも、社員達が頑張って軌道に乗せてくれてるから、ガソリンスタンドの話をし易かったのは事実。
 老人向けデイサービスみたいに利益を生み出しにくい事業での実績も有るしね。」
「ねえ、入所者の人達の作品は売れたの?」
「お年寄にも色々な方がいらして、器用に藁細工を作って下さる方や塗り絵にグラデーションの技法を取り入れる方とか。
 歩くことが困難になっても手作業に問題は無かったり、軽度の認知症でもセンスの良さを失って無い人がいらしてね。
 藁細工は田舎のお土産として問題ないレベル。
 塗り絵の題材はこの地の風景、紅葉をモチーフにした素敵な作品は価格を高めに設定したのだけど、直ぐに売れたわ。」
「そっか、私が見に行ったのは売れた後だったんだ。」
「多分ね。
 素人の作品でも額に入れて有ると見栄えがするのよ。」
「演出?」
「そう言うこと、ご老人が塗った塗り絵です、と書いて売っても寄付感覚で買って下さる方が居るかもだけど、それなりの作品を体裁を整えて販売すると言う戦略は間違ってなかったわ。」
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新学期-387 [花鈴-39]

「それなりの利益に?」
「そこまでの額では無いのだけど、作品を作って下さった方の家族には幾らで売れたのか、その販売コストを含めて話した上で何に使うか相談して貰ったのだけど、皆さん、施設の職員を気遣って下ってね。
 例え僅かでもボーナスに上乗せして上げてと。
 待遇は前より良くはなってるけど、仕事の大変さを理解されてるみたいなの。」
「心身共に大変なのでしょ、お金を必要としている世代の人達にはYouTubeの売り上げからボーナスに上乗せなんてことを考えたらどう?」
「そうね…、ただ、待遇改善を必要以上にやり過ぎると長い目で見た時に余裕がなくなるし、無駄遣いに走ってしまう人もいるのよ。
 勿論、遊興費は必要だけど、既に今までの反動が出ている人がいてね。
 給料が少なかった時は節約を考えてたのが、給料が上がって金銭感覚が狂ったか、通販とかで使い過ぎてる人とか。
 今は、そんな人の教育をしながらって感じ。」
「あっ、沢山給料を貰ってる筈なのに借金してる人もいるのよね?」
「ええ、経済観念は人それで、計画的な借金なら悪いことでは無いのだけど、無計画で収入以上に使い過ぎた上での借金なんて、子ども並みだわ。
 社員がギャンブルに入れ込んでしまっては、待遇改善した意味が無いのよ。」
「ギャンブルか…、うちがユーチューバーを目指した頃は一か八かのギャンブルみたいなものだったと聞いたわ。
 でも、自分達で努力して成功出来たのだからギャンブルとは違うのよね。」
「YouTubeで成功してる人は様々だけど、計画的に自分の才能を活かしている人が多いと思う。
 そんな人達はギャンブル感覚では無く、普通にお仕事として取り組んでいる、絵梨パパもそうでしょ?」
「そうなのだけど、スタート時には不安が有ったみたい、口には出さなかったけど。」
「絵梨は、それを感じて支えようと思ったとか?」
「まあね、YouTubeチャンネルが成功すれば家族は安泰、でも失敗したらと考えたら…。」
「ここへの移住には絵梨も賛成したのでしょ、その時はどうだったの?」
「正直言って良く分かって無かったのだけど、今思えば両親も私も環境を変えたいと思ってたみたい。」
「小枝子さんも?」
「うん。」
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新学期-388 [花鈴-39]

 田舎へ移住して来た人達は生活環境を変えたかった、と言うことがその理由の一つと思う。
 うちも、兄と私が学校に馴染めていなかったことも有って両親が積極的だった。
 そして、ここへ越して来て兄の表情が柔らかくなったと感じたのは事実。
 越して来た資格マニア藤川美礼もこの地に馴染んでくれたら良いのだけど…。

「美礼、ここには慣れた?」
「まあね、方言で戸惑うことが有るけど転校して来た子が多いからか…、ねえ、転校して来た子の中にも方言を話す子がいるんだね。」
「私が転校して来た頃は移住者が少なかったから、何となく方言に慣れようとしていたの。
 移住組でも周りが地元民ばかりの時代を経験した子達は、ここの方言に影響されてるのよ。
 でも最近は各地から移住して来るから…、ちょっと訳が分からなくなってるかな。
 関西弁とか九州っぽい言葉とか、ここの方言では無いのが流行っていたりとね。」
「そっか、ここの方言とは思えないと感じた背景が理解出来たわ。
 でも、ここの方言を守って行くと考えたら微妙かしら。」
「そうね、方言は守って行きたいかもだけど…、言葉って文化の変遷によって変わって行くものでしょ。
 テレビを始めとした情報機器が発達し、田舎に住む人でも標準語と普通に接している。
 その結果、若者たちは方言と標準語っぽいのを場面によって使い分けているのよ。
 お爺ちゃんと話す時は方言だけど、都会へ遊びに行った時は絶対方言を出さない、なんて。」
「都会で方言を話すと馬鹿にされるリスクと伝わらないリスクが有る、そう考えたら正しい判断か。」
「店の従業員には、方言で接客して良いけど、伝わりにくい単語は避ける様に指示し研修して貰ってるの。
 まあ、その過程で思わぬ発見が有ったのよ。」
「発見?」
「方言だとは気付かないで使っていた言葉が方言だと気付いたりとかね。」
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新学期-389 [花鈴-39]

「普段話してる言葉が方言かどうか何て、気にすること無いものね。
 姫は方言について、どう考えてるの?」
「名古屋で育った私と東京で暮らしてた絵梨とでは微妙にイントネーションの違いが有ったのだけど、特に戸惑う程では無かったわ、でも、ここの人達との会話では意味の分からない単語が出て来て、それを理解する必要が有り…、英語よりは理解し易かったけどね。」
「地球上に沢山の言語が有ってバカバカしいレベルの手間が掛かってるのに、方言まで有るのよね、地球上の言語が一つだけだったら効率的だと思わない?」
「そうね、方言は地方文化の象徴でも有るけど…。
 ただ…、世界中の人達が日本語を話す、しかも標準語だけ、何て世界は気持ち悪いかも。
 とても非効率的な多言語社会が通訳や語学講師と言った職を生み出している一面も有るし。」
「仕事?」
「人が生きて行く為に必要な食料を確保する事だけを考えたら、今の社会には充分な余力が有る。
 でも、語学講師の様な存在も必要なの。」
「何かを生産するのではなく、教える事によって利益を得ている存在か…。」
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新学期-390 [花鈴-39]

「生産者だけでは社会が成り立たないでしょ、医者や警察官、販売に携わる人や物流の現場で汗を流してる人がいるのだから。」
「物流の現場が軽んじられて来たことによって、これから大変になるとは聞いたけど…。」
「運転手と言う職業が軽んじられて来た結果ね。
 自動車の運転ぐらい誰でも出来ると考えたのか、労働環境に問題が生じ、その結果として事故。
 余裕の無い勤務体制を取っていた会社は糾弾されるけど、そんな環境を作り出して来た多くの企業は誰から非難されることもないのよ。」
「運賃を安くしろとプレッシャーを掛けてた企業か…。」
「利益優先思考で下請け企業の労働者がどうなろうが知った事ではない、そんな企業が少なく無いから、小さな下請け会社が疲弊して終わって行くのよね。」
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