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新学期-388 [花鈴-39]

 田舎へ移住して来た人達は生活環境を変えたかった、と言うことがその理由の一つと思う。
 うちも、兄と私が学校に馴染めていなかったことも有って両親が積極的だった。
 そして、ここへ越して来て兄の表情が柔らかくなったと感じたのは事実。
 越して来た資格マニア藤川美礼もこの地に馴染んでくれたら良いのだけど…。

「美礼、ここには慣れた?」
「まあね、方言で戸惑うことが有るけど転校して来た子が多いからか…、ねえ、転校して来た子の中にも方言を話す子がいるんだね。」
「私が転校して来た頃は移住者が少なかったから、何となく方言に慣れようとしていたの。
 移住組でも周りが地元民ばかりの時代を経験した子達は、ここの方言に影響されてるのよ。
 でも最近は各地から移住して来るから…、ちょっと訳が分からなくなってるかな。
 関西弁とか九州っぽい言葉とか、ここの方言では無いのが流行っていたりとね。」
「そっか、ここの方言とは思えないと感じた背景が理解出来たわ。
 でも、ここの方言を守って行くと考えたら微妙かしら。」
「そうね、方言は守って行きたいかもだけど…、言葉って文化の変遷によって変わって行くものでしょ。
 テレビを始めとした情報機器が発達し、田舎に住む人でも標準語と普通に接している。
 その結果、若者たちは方言と標準語っぽいのを場面によって使い分けているのよ。
 お爺ちゃんと話す時は方言だけど、都会へ遊びに行った時は絶対方言を出さない、なんて。」
「都会で方言を話すと馬鹿にされるリスクと伝わらないリスクが有る、そう考えたら正しい判断か。」
「店の従業員には、方言で接客して良いけど、伝わりにくい単語は避ける様に指示し研修して貰ってるの。
 まあ、その過程で思わぬ発見が有ったのよ。」
「発見?」
「方言だとは気付かないで使っていた言葉が方言だと気付いたりとかね。」
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