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猫田小夜-31 [化け猫亭-04]

「檜田さん、藤井七段、また勝ちましたね。」
「ああ、今年度負け無しの六連勝だな、でも、これからが大変なんだよ。」
「え~っと、タイトルを取れるかどうかでしたね。」
「ああ、ここまで凄く勝ってはいるが、本当に強い人には負けている、優勝した朝日杯将棋オープン戦では羽生さんとかに勝ってはいるが持ち時間が短い棋戦だった。
大きなタイトルは強い人とじっくり指して勝ち続けないと取れないから本当に難しいんだよ。」
「永井さんは、今回も楽勝、彼は無敵だなんて話しておられましたが。」
「確かにな、私が見てるサイトでは、今回、相手が勝つであろう期待確率を12%と計算していたぐらいなんだ。」
「そんなに差が…。」
「棋士の力の目安にレーティングというのが有るが、それを根拠に彼の強さを全棋士の六位と位置付けているサイトと二位と位置付けているサイトを知ってる。
今年の一月以降だけでも22勝2敗で圧倒的な勝率を誇っているからなのだが、実力差のある人との対戦が多かったというのも事実、大きなタイトルを取るには、実力差の小さい人に勝ち続けなくては行けないんだ。」
「高校一年生を応援したいです。」
「そうだよな、学校に行きながらだと…、勝てば勝つほど対局が増えるから大変だろうが。」
「去年より大変になりそうですか?」
「この先は何とも言えないが、適度に負けて昇段したから、取り敢えず少し落ち着いているのかな。」
「どういう事です?」
「棋戦はトーナメントが基本だから負けたら終わり、全ての棋戦で一回戦負けしたら年間の対局数は大した事無いんだ。
そして、若手の為の棋戦も有って、それは五段以下とか四段しか参加資格が無かったりする、新人王戦も 六段以下といった規定が有るから、七段になった事で今やってるのが最後、次回からは出られなくなる。」
「それは彼にとってどうなのでしょう?」
「高校との両立を考えたら良い事じゃないかな、トップ棋士との対局に集中し易くなるだろうし、若手でも対戦すべき相手は棋戦で勝ち上がって来るだろう。」
「その代わり連勝記録は狙いにくくなるとか?」
「はは、連勝記録はタイトルを取る事とは別次元の話で、今は全く考えて無いと思うよ。
それでも、まだ、クラスが低いから勝ち易い人との対局も組まれている、勝率がすぐに大きく下がるとは思えないね。」
「勝率ですか…。」
「通算で八割六分を越えてるからな、勿論、対局数がまだ少ないし、トッププロとの対局が増えるのはこれから、それでもこの数字は若きヒーローの証なんだよ。」
「ふふ、本当にそうですね、藤井七段の話をされる方は皆さん目が輝いてるというか楽しそうです。」
「あっ、もしかして私がした様な話は、すでに誰かから聞いていたとか?」
「いいえ、皆さんそれ程お詳しい訳では有りませんので。
檜田さん、レーティングの辺りをもう少し教えて頂けませんか、調べてお客様方に知ったかぶりをしたいのです。
あっ、その前に、銀って横に動けないのですよね?」
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猫田小夜-32 [化け猫亭-04]

「はは、小夜ちゃんは対局を見たりするの?」
「少しネットで見るだけですが、何故そこに動かしたのか解説を聞く前に分かると嬉しいです。」
「それも将棋の楽しみ方なんだね。」
「もっとまともに取り組めば楽しいのでしょうが時間的に難しくて。」
「化け猫亭に将棋盤と駒を置くというのはどうだい?
マスターに迷惑を掛けない様に使用料を取れば良いよ。」
「ブームになってますものね、一度相談してみます。
でも、違う店になってしまいませんか?」
「う~ん…、有りうるか…、店の売り上げが落ちない形を考えるよ。
まあ、藤井七段の通う高校からも近いから、便乗しても良いだろ。」
「便乗ですか、それならいっその事、将棋の出来るバーを開くのも有りですね。
そういう環境が有ったら将棋を指したい、と言う方は少なからずおられると思います。
大きなブームが終わったとしても、結構安定した客数は見込めそうですよ。」
「マスターと相談してみるか、この辺りなら将棋を趣味にしている人いそうだもんな、大学が近いし…。
あっ、そうそう、藤井七段が通う名古屋大学教育学部附属高等学校を私立だと勘違いしている人が居る様でね。」
「中高一貫ですが国立ですよ、何も知らない人の思い込みでしょうか、でも、名古屋で『めいだい』と言えば名古屋大学ですが他では明治大学みたいです、所詮、名古屋は地方都市なのですね。」
「東京や大阪とは違うからな、だから、市長や知事が名古屋に将棋会館を、という気持ちは分かるよ。」
「ニュースは見ましたが簡単に作れるのですか?」
「そうだな、金銭面は企業が動けば問題無いと思う、将棋ブームに乗ろうとする企業が複数いてもおかしくない。
問題は所属する棋士の少なさだろうな。
この地方に住んでる棋士、女流棋士は少ないからね。」
「メリットは無いのですか?」
「有る、藤井七段が大阪へ行く回数を減らせるんだ。
関西将棋会館と同格となれば、六段以下の棋士は名古屋に来なさいという形に出来る。
もし、名古屋城の近くに出来たなら彼の帰宅時間は全然違うだろ。」
「ですね、名鉄瀬戸線で一本、夜遅くなってもタクシーで。」
「関東の棋士にとっても若干嬉しいかもしれない、大阪より名古屋の方が近いからな。」
「関西の棋士にとっては微妙なのですね。」
「まあな、でも将棋の普及が彼等の役割でも有る。
この地域は住んでるプロこそ少ないが、将棋連盟所属の将棋普及指導員数が多かったりして、元々将棋は盛んなんだ。
この先、将棋ブームが終わるとしても、将棋人口を維持して行く事が棋士の使命でも有る訳でね。」
「組織の維持と拡大ですか、ポイントはスポンサーですか。」
「だと思う、ブームに関係なく支援してくれるスポンサーが出て来れば、東京、関西と比べて著しくバランスに欠けるとは思うが、名古屋に出来る意味は大きい、日本将棋連盟はどう判断するのかな。」
「連盟としては、制度面の調整と維持の問題をクリアして拡大か、無理せず現状維持という感じですか?」
「そうだな、拡大を考えるなら良いタイミングだとは思うが…。」
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猫田小夜-33 [化け猫亭-04]

「組織の拡大にはリスクが伴ないませんか。」
「そうだな、然程大きな組織で無くても内部対立が有ると、大きく動く時にそれが表面化したりとかするしな。
う~ん、名古屋に将棋会館…、リスクを考える以前に賛否が分かれるだろう…、如何にして今の将棋ブームを継続させるか、という視点で考えた上でさえ、馬鹿げた事だと思う人が少なからず居そうで…、全く分からないよ。」
「檜田さん、他の棋士にとってのメリットは、やはり少ないのですか?」
「新しい拠点が出来れば将棋イベントが増えて潤う人も居るだろう。」
「その辺りのマネジメントはどうなのでしょう?」
「日本将棋連盟の役員は現役が中心なんだ、相撲やレスリングの組織みたいに現役を引退した人では無くて、当然、知性派しか居ない、冷静な判断を下すとは思う。」
「今まで平和な組織だったのですか?」
「う~ん、そうとも言えないか、女流棋士が別組織を作ったり、不正疑惑が起きたり、それでも今は落ち着いている。」
「あっ、藤井聡太グッズはどうです、どう考えても需要が有るのに転売屋さんが儲かりそうな数しか用意出来ないなんて、頭の悪い人が担当なのでしょうか?」
「羽生さんが七冠を取って以来の盛り上がりだからね、今までの慣例に従って扇子を出したのだろうが、あれは大量生産出来る代物では無いんだよ。」
「紙は印刷ですよね?」
「扇子そのものが、元々大量に売れてる訳じゃないだろ。」
「だから違う商品で誤魔化しているのですか、それにしても、今の人気を考えたらもっとグッズを上手に作って売って行けば稼げますよ。」
「はは、小夜ちゃんらしいな。
ただ、高校生という事も有って、日本将棋連盟関係以外のタレント的な仕事はしっかり断ってるみたいだろ、そこがまた良いのだけど。」
「女流棋士にはアイドル的な活動をしている人が居るそうですが。」
「竹俣紅だね、でも、棋士と女流棋士では随分違うんだ。
棋士を目指す女性は今まで何人も居たし今も居るが、まだ棋士になれた女性は居ない。
女流棋士が男性と同じ棋戦に参加しても、なかなか勝ち進む事が出来ないのが現実なんだ。
女流棋士という制度は将棋の普及という面では大きいが、女流棋士が対局だけの収入で生活となると少し寂しいというのも事実で、将棋教室で収入を補っている人もいるよ。。
若い女流棋士が自分の力を多方面で活かす事を考えて悪くないし、女流棋士という肩書で活動する事は将棋に対する注目度を上げる事にも繋がるんだよ。」
「女としては悔しいです。」
「たまたま、将棋の世界では、という話だよ、でも、チャレンジしている女性は応援したい、里見香奈さんが棋聖戦で勝ち上がって藤井七段との対局となったら、私は里見女流五冠を応援するよ。」
「里見さんが勝てる確率は?」
「もちろん勝負事だから零では無いんだ。」
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猫田小夜-34 [化け猫亭-04]

「永井さん、今日もご機嫌ですね。」
「ああ、藤井聡太がまた勝ったからな。
解説だと、AIが悪手と判断する様な手から、飛車を捨てる手に繋げて一気に優勢に持ち込んだそうだ、俺なんざ、へぼだから飛車を捨てるなんて考えられないのだがね。
彼の将棋を見てると、互角の状況でもかなり先まで見通しているとしか思えない、負けない形を作って行き、相手の隙をついて勝つ、そんな将棋が多いと思う。」
「へ~、情報処理能力に優れているのでしょうか?」
「だろうな、詰将棋もすごく強くて、普通の人の三倍ぐらいの早さで考えてると話す人もいる、まさに天才だね。」
「永井さんとは生まれた時から差が有ったのですね、でも、成長する環境も大切ですよ。」
「環境か…。」
「二人の乳児、その基本的な能力が全く同じと仮定した上で、全く違う環境で育てるとしたら簡単に推察できます。
一人には言語を全く教えない、一人には多くの読み聞かせをし適度な教育をして行くとしたらどうなります?」
「言葉を教えて貰えないと言うのは大きなハンディだね、言語によらない思考なんて考えられない。」
「読み聞かせをしっかりして貰わなかった、対話を小さい内からしっかりして貰う事が無かったら、それなりのハンディにはなりますね。」
「うん、そうか、子どもが生まれたら気を付けるよ。」
「えっ、永井さん妊娠されていたのですか?」
「はは、妻がね、男の子が生まれたら聡太だな。」
「ふふ、永井さんのお子さんなのですから高望みは禁物ですよ。」
「分かってる、頭が良過ぎても…、ねえ、神童も二十歳過ぎればただの人って言うけど、どう思う?」
「神童にもよりますね、例えば九九を五歳で覚えたとしても、他の子もいずれ覚える訳ですから、単に九九を覚えるのが早かったというだけの事、天才の領域では有りません。」
「そう言われると確かにそうだな。」
「大学生でも解けない数学の問題を中学生で解けたら天才かも知れません。
ただ…、その能力を活かす力と環境が無かったら、やはりただの人になってしまいます。」
「天才的な能力とそれを活かす能力は別物という事?」
「ええ、誰も思いつかなかった凄い理論を思いついて、発表すればノーベル賞間違いなしという研究をしていても、それを人に認めさせるだけの能力や環境が無かったら、研究職を続けられなくて一般企業に就職、でも、一つの分野で天才的な頭脳の持ち主で有っても、他の分野では標準以下かも知れません。
そのまま落ちこぼれ社員になってしまったら、ただの人、以下ですね。」
「そんな事が有り得るのだろうか?」
「大学の研究職は安定していません、待遇は派遣労働と変わらない人が少なく無いのですよ。
コミュニケーション能力が無かったら普通に有り得る話です。」
「そうか…。」
「その点、藤井七段は持って生まれた才能とそれを伸ばす環境が有り、それらを将棋の世界で活かし切っています、だから年収も永井さんを軽く越しているのですよね。」
「ああ、今年の年収は二月に抜かれているし、このまま勝ち進んだら、彼は、かなりの所得税を納める事になるのだろう、本人はそんな事に興味が無さそうだがね。」
「う~ん、学校帰りに偶然ぶつかり、そこから恋が芽生えて…、高校が終わる時間とか調べたら偶然の確率が上がるかなぁ~。」
「ぜ、絶対だめ、下心しかない女子大生が近づく事は禁止だ!」
「でも、天才の遺伝子にも興味が有るのだけど。」
「だめだって!」
「ふふ、大丈夫ですよ、見かけた事は有りますが、私だけでなく、みんな自主規制をしています。」
「なら良いが、今は将棋と学校に集中していて欲しいんだ。」
「恋愛はだめなのですか?」
「そう言われてしまうと、どうなんだろう…。
いずれ経験して欲しいが…、それが将棋にどう影響するか分からないよな。」
「そこは、お姉さんが。」
「だめだってば!」
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猫田小夜-35 [化け猫亭-04]

「冗談はさておいて、永井さんは、お子さんに将棋を教えたいと思います?」
「ふ~、小夜ちゃんの冗談は、何処までが冗談なのか分からないんだよ…。
子どもには勿論将棋を教えたいね、プロ棋士を目指して欲しいとは思わないが、親子で遊べる知的な趣味として悪く無いだろ。
キャッチボールと将棋は男女関係なく子どもとやりたいね。」
「子どもがやりたくないって言ってもですか?」
「無理にはやらせないさ、でも密かに子どもが興味を示す方法を研究しているよ。
ただ…、遊びはともかく、早期教育って難しいんだよな。」
「みたいですね。」
「小夜ちゃんは、どんな教育を受けて来たの?」
「小さい頃の事は覚えていませんが、充分な睡眠、規則正しい生活…、その中で本を読んで貰いながら、自分で読める様にして貰った事は大きかったと思います。」
「読書習慣か…、英語とかは?」
「両親は母国語できちんと考える事が出来てからと考えていたそうで、小学五年生ぐらいから色々な形で英語に触れる機会を作ってくれました。
そうですね、ハリーポッターはDVDで何度も見ましたが、日本語吹き替えで見たのは一度だけです。」
「後は字幕で?」
「日本語字幕も一回だけです、後は英語字幕か字幕なしですね。」
「小学生の頃に?」
「ええ、中学になると興味の幅が広がりましたので。
中学の頃からは父と英語で話す時間が楽しかったです、学校での出来事とか。
しばらくして気付いたのは父が意識的に少しづつ対話で使う単語を増やして居たという事ですね。
私には文法無視で構わないと言いながら、さり気なく正しい表現を示してくれていました。」
「そんなの俺には無理だな…、そう言えば、この前は海外からのお客さんと英語で会話してたね。」
「はい、幼児期から英語に触れていなくても、学習意欲と環境が有れば会話出来る様になれるのですよ。」
「う~ん。」
「幼児期から英語教育を受けたとしても語彙が限られると思うのです、日本語の語彙だって少ない時期、小学生が使うレベルの英単語なら小五からで充分ですよ。
英語圏に移住する計画が有るのならいざ知らず、日本で生活して行く上で必要の無い言語ですので。
ただ、子どもに英語の歌を聴かせるのは有効だと思います、私の場合、親が聴いていたので気が付いたら何となく耳に馴染んでいました、ドイツ語やイタリア語もですが。」
「そうか、教育と言うより、まさしく環境という事なんだね。
ご両親は子どもの為に曲を選んでいたのかな?」
「いえ、純粋に自分が好きな曲だったと思います、今でも聴いていますよ。」
「うちの親は、演歌だ…、まあ兄貴の影響で昔のロックは好きだが…、子守歌には向かないだろうな…。」
「深く考えなくて良いのでは無いですか、父親の影響で趣味はギターとか、恰好良いです。」
「だが、下手なのにプロを目指してしまったら心配だな…。」
「ふふ、生まれてもいないのに、今から心配してたら疲れますよ。」
「そ、そうだな、健やかに育って、真面目に生きてくれれば良いか…。」
「親になるって、期待と不安が入り混じるものなのですね。」
「そうなんだよ、子どもの成長を考えたら引っ越しとかも考えたいし、まあ、そういった事が楽しいから生活が充実してるとも言えるけどね。」
「へ~、永井さんの事、少し見直しました。」
「えっ、今までどんな…、い、いや言わなくて良いから…。」
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猫田小夜-36 [化け猫亭-04]

「そんな永井さんに伺いたいのは、名古屋に将棋会館を、と言う話です。
檜田さんは、全く分からないと話しておられたのですが如何です?」
「彼はアマでも有段者なんだよ、俺の話なんて必要ないだろ。」
「だめです、戦わずして負けを認める様な姿勢は、お子さんにとってマイナスですね。」
「まだ、生まれてもいないのだが…。」
「将棋会館のニュースはご存知でしょ?」
「まあね…、あれは別に名古屋将棋会館を作らなくても関西将棋会館の出張所的な感覚で、まず、名古屋対局室とか作れば良いんじゃないのかな。
対戦相手の事を考えても、名古屋なら全然問題無いと思うんだ。
将棋会館となるとハードルが高くなるが、常設の対局室、対局の無い日は将棋教室とか小さい将棋イベントに使うとか、いきなり大きい施設を建設するのは時間も費用も掛かるが、名古屋対局室という感覚なら、名古屋の財界が直ぐ動くと思うよ、対局室一つと控室、事務室ぐらいで良いだろう、藤井七段、杉本七段の他に使ってくれそうな人は多く無いのだから。」
「永井さんから、そんなバランス感覚に優れた案が出て来るとは思っていませんでした。」
「小夜ちゃんから、そう言われて…、喜んで良いのか…。」
「私が未熟でした、名古屋に将棋会館をという実に短絡的な発想に対して檜田さんと可能性を模索したのですが、出張所的な発想は浮かびませんでしたので。
今度、檜田がいらした時にぶつけさせて頂きます。」
「少し恥ずかしいが…。」
「それより、名古屋対局室実現の可能性を探ってみませんか?」
「そうだな…、問題は規約の改正と職員、維持費の辺りか…。
今でもタイトル戦は各地のホテルとかで行っているし、将棋会館以外の場所で対局が組まれる棋戦も有る、上位の棋士が名古屋での対局を希望したら、それが許される様にするのは難しくないと思うな。」
「今まで、東京か関西でしか行われて無かった対局も各地で行える様にすれば良いのですね。
名古屋で実験的に行って好評なら各地へですか?」
「と言っても対局だけだと特に各地で行う意味は無いな、対局中は関係者以外入れないだろ。
人気棋士がイベントを絡めて開催という事ならファンは喜ぶだろうが、対局の前後だと棋士の負担が増えるだけ。
タイトル戦だと前夜祭が有るが、予選の段階で前夜祭と言うのは違和感が有るし。」
「名古屋対局室は必要無いと?」
「いやいや、すぐ作って藤井聡太先生の負担を減らして欲しいと思う、場所は名古屋城の近くだな。
天守閣再建より重要課題だ、今のペースで勝ち続けたら高校を卒業するのが大変になるしね。
結局、羽生竜王の様に通信制で高卒資格を目指す事になるのかも知れないが、移動のハンディは有ると思うんだ。
対局が増えると俺達ファンは嬉しいが、6月19日に順位戦、22日に王座戦みたいに続くと心配だよ。
持ち時間の長い棋戦が多いから帰宅が翌日になる可能性も有る、高校を休めば楽だろうがね。」
「そういう理由で実力が発揮出来なくなるのは面白く有りません。」
「王座戦で対局する深浦康市九段には、プロになってから一番悔しい負け方をしてるから良い状態で対局に臨んで欲しいと思うんだ。」
「永井さんには藤井七段の気持ちが分かるのですか?」
「負けた時に悔しさを隠せなかったんだ、中学生らしさ人間らしさを感じて可愛かったな。
でも、その対局後は二人に負けただけ、手堅さに磨きが掛かった気がする。
王座戦で藤井聡太七段がリベンジするのか、深浦康市九段が跳ね返すのか、楽しみでしょうがない。」
「私の聡太くんが勝ってくれますよ。」
「はは、マジでタイプなのか。」
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猫田小夜-37 [化け猫亭-04]

「知性派が好きなのです。
それで、永井さんはその前の対局には注目していないのですか?」
「順位戦か、勝負事だから絶対は無いが、我等が藤井先生が勝って当たり前みたいな。」
「そんなに差が有るのです?」
「相手はベテランだから思わぬ技を繰り出して来るかもしれない、でも、昨年の勝率やレートを考えるとね。
レーティングは大きく違わない限り参考にはならないという人も居るが、俺が参考にしているサイトでの藤井七段期待勝率は86%なんだよ。」
「レーティングについては檜田さんから少し教えて頂きましたが…、それぐらいの差が有る場合、対局相手は初めからプレッシャーというかハンディを背負っている様なものですよね。」
「うん、気負ってしまったり萎縮してしまったり、羽生竜王と対局する人が感じて来た事を、今の藤井先生に対して感じていると思うよ。」
「実力的優位が心理的優位をも生み出す、勝負の世界に於いては勝てるかどうかの意識の差が勝敗に大きく影響しますものね、スポーツの世界でも精神的な弱さを見せてしまったら、それだけで負けに繋がります。」
「彼の勝率と勝ち方を見せつけられては、昨年度、結構負け越している対局相手には同情かな…。」
「永井さん、実力差によって対局が早く終わるとか有りますか?」
「どうだろう、相手もプロだからあっさり負ける事はないとは思うが…、持ち時間が長いしね。」
「長いですよね、将棋の一局を初めから終わりまで見てる人っているのですか?」
「暇な人もいるだろう、ネット中継では色々工夫して楽しませてくれるしね。
俺も仕事が無かったらリアルタイムで見たい気もするが、残念ながら終盤だけしか見られない事が多い。
見ている立場からすれば、持ち時間40分ぐらいが調度良いが、対局しているプロ達はじっくり考えたいのかな。」
「対局中彼等がどんな事を考えているのか知りたくないですか、実は将棋と全く関係ない事を真面目な顔をして考えていたりして。」
「はは、少しは有るかも、だが短時間で凄く多くの可能性を計算出来る将棋ソフトが一番良いと判断する手を普通に指していたり、その将棋ソフトが良い手だとは直ぐに判断出来ない手を指して勝ってしまう人がいる訳だから、プロの脳は凄いと思うよ。」
「人間の脳は、その一部しか使われていないと言われてますが、常人より多くの部分を使っているのかも知れませんね。」
「うん、プロ棋士の脳については科学的な研究をしてる人がいると聞いた事が有るよ。
アマチュアとは使ってる部分が違うのだったかな。」
「あっ、使う部分の話は、プロの音楽家と一般人とで違うとか聞いた事が有ります。」
「小夜ちゃんと俺とでは使う部分も使ってる割合も違うのだろう…、今、何考えてたの?」
「脳の話と将棋の事、それと明日のお昼ごはんですね、ハンバーグ定食にするか焼肉定食かなのですが量が微妙に多いので、どこでカロリーを消費するかも…。」
「はは、今は?」
「勿論永井さんの問い掛けに対しての応えと、永井さんが喜んで下さりそうなトークテーマ、そして、たこ焼きを食べたいな、とかです。」
「一度に考えているの?」
「えっ? 思考って普通秒単位ですよね、今の所、たこ焼き食べたいは継続していますが。」
「分かったよ、でも、たこ焼きは店のメニューにないだろ?」
「あそこで暇そうにしているマスターに頼めば近所で買って来てくれます、私からは頼めませんが。」
「そういうシステムか…、マスター…。」
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猫田小夜-38 [化け猫亭-04]

「小夜ちゃん、髪を切ったんだね。」
「はい、髪の毛の為に使う時間が少し減りました。」
「そういう理由なのか、なら、もっと短くしても良いんじゃないのか?」
「多田さんは、私にショートが似合うと思いますか?」
「そう言われると…。」
「坊主頭が一番経済的で良いとは思うのですが、恋愛対象の幅を自ら狭くしてしまいそうで出来ないのです。」
「はは、坊主頭の女の子と並んで歩くのはファッションセンスも問われそうだ、色々な意味でハードルが高いな。」
「私としても服装をかなり考える事になります、持ってる服は坊主頭に合わないのですよ。」
「だろうな…。」
「この長さは色々計算した結果なのです。」
「なるほどね、お洒落も計算ずくなのか。」
「あらっ、なんか嫌な女みたいな。」
「いやいや知的で好きだよ、知的美人…、ねえ、ミス・アメリカで水着の審査を無くす事はどう思う?」
「賛否が分かれているそうですね、私はそういったコンテストに興味は有りませんので関係ないですが。」
「小夜ちゃんがミスコンに出たら良いとこまで行けると思うのだけどな。」
「でも、ミスコンってどうなのでしょう、美の基準なんて人それぞれです。
男性でモデルをやってる人には、私にとって気持ち悪いレベルで見たくないと思う人がいますよ、元野球選手の息子らしいですが。
コンテストの結果は審査員の好みや裏事情が決め手になっているのですよね…、ミスコンに限らず。」
「確かにそうだな、私もコンテストの結果に違和感を覚える事が有る。」
「客観的に数値化出来ない事で人に優劣を付けるなんて愚かしい事ではないですか?」
「だが、そのコンテストをきっかけに活躍の場を広げた人もいるからな、裏の事情は分からないが。」
「そういった分野にはあまり興味がないので良く分かりません。」
「そっか…、客観的な数値化として、フィギアスケートの判定ってどう思う?
昔はかなり不透明だったのが随分改善された、少しグレーな噂は流れるけどな。」
「演技の美しさに関する部分ですね。
羽生選手や宇野くんみたいな人と下位の選手の差って歴然としていませんか。
ジャンプやスピンをしていない時でも美しさが大きく違います。」
「確かにな、だが、歴然とした差が無い時の判断って微妙だと思わないか?」
「ルックスによる加点ですか、私がジャッジだったら思いっきりしちゃいますね。」
「だろ、金が絡む様な加点は無いと信じたいが。」
「多田さんのタイプは羽生選手ですか?」
「そうだな、羽生選手は…、あっ、俺は普通に女の子が好きだからな。」
「そこで慌てなくても大丈夫ですよ、私には関係有りませんので。」
「それは、それで寂しいのだが…。」
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猫田小夜-39 [化け猫亭-04]

「羽生選手レベルでも反日国では不正なジャッジを疑う人が居そうですね。」
「まあ、羽生選手に限らず、僅差で自国選手が負けたら、フィギアスケートや体操の様な競技では少なからず居るだろうな、圧勝すれば問題ないのだろうが、演技の美しさが得点に影響する訳で。」
「客観的な判断の難しい部分が有りますものね、いずれAIとかで判定する様になるのでしょうか?」
「う~ん、まだまだ先の事だとは思うけど…、例えば美人を十人並べて順位を付けた場合、その結果に納得出来ない人は必ずいるだろ。」
「でしょうね、更に人の魅力は外見だけでは有りませんので、情報が多くなれば見方も大きく変わります。
ルックスに差のない二人がいたとして、一方は我儘したい放題に育てられた人間の屑、もう一方は知性溢れる人格者だと知ってしまったら、外見の評価にすら影響を与えると思いませんか?」
「人の心理か…、それは有るだろうな…。
逆に、良く知りもしない人を叩く様な書き込みをネットで見ると残念に思う事が有るね。」
「ネット上で、有る事無い事書いてる人のレベルは低いですから仕方ないです。」
「でもな…、浅田舞って知ってるだろ?」
「ええ。」
「本人は色々な事に挑戦して凄く頑張っているのに、妹の知名度を利用してとか表現する人がいてね、高校生の頃から綺麗で、妹に関係なく憧れていた人の事を悪意を持って書かれるとさ。」
「ふふ、多田さんのタイプがどんな女性なのかしっかり確認させて頂きます。」
「あっ、テレビはあまり見てないのだったね…。」
「それでも全く知らない訳では有りません、多田さんが美人を十人選ぶとしたら、その中のお一人なのですか?」
「うん。」
「他の九人は?」
「そうだな…、有名では無い人が多いかも、五月ちゃんとか。」
「もしかして、化け猫亭のスタッフばかりですか?」
「はは、知的美人が好きなんだよ。」
「おバカタレントという言葉を聞いた事が有りますが、そういう方は問題外なのですね。」
「う~ん、それは微妙かな…、最近テレビを見ていて思うのは、学力的に最低レベルでもトーク力の有る女の子がいたり、クイズ番組で活躍している京大卒芸人でもトークが全然面白くなかったりするとか、学力だけでは判断出来ないのかなって。」
「思考能力が有ってもそれを学校の学習で発揮しなかったら、学校の成績には反映されないという事ですか、でも、トーク力はセンスの問題ですが論理的に研究したらクリア出来そうです、どれだけ知識が豊富でも頭が悪いと言わざるを得ませんね。」
「うん、頭の良し悪しって単純ではないだろ、記憶力に優れていても論理的思考能力が弱い人も居る、その辺りの評価は難しいのかもしれないが。」
「万能で有る必要は有りませんので、仕事にもよりますね。」
「そうだな…。」
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猫田小夜-40 [化け猫亭-04]

「組織では…、個々の力に偏りが有っても上手く集団を形成出来たら、互いに補い合ってとなりますよね。」
「そうだな…、でも、集団の構成員は補い合うと言うより優秀な人の手助けをするという一面も有ると思わないか。」
「確かに…、組織構成員、集団内に於ける力関係は単純では無さそうです。」
「その力関係は、各自の能力差によるのかな。」
「多田さん、暴力団の組長にはどんな能力に長けてる人がなれるのですか?」
「えっ、そっち関係に知り合いは居ないのだが…、まあ組員の心を掴む何かが有るのかな…。」
「そもそも暴力団って、公益法人ではなさそうですし…、株式会社なのでしょうか?」
「どうだろうね、まあ、法に触れない範囲でも活動していて成り立っているのだろうから…、小夜ちゃんは興味が有るの?」
「大きな組織の組長って楽しそうじゃないですか。」
「そんな野望が有ったとは…。」
「一般企業と暴力団の違いって何でしょう?」
「そりゃあ、活動が合法か非合法かだろ。」
「でも、暴力団と言っても非合法な事ばかりやってる訳では無いですよね。
逆にブラック企業がやってる事なんて…、人権なんて考えているとは思えません。」
「う~ん…。」
「私が組長だったら、そんな企業の社長は撃ち殺して乗っ取って差し上げますよ。」
「はは、映画の世界だな。」
「自分の思い通りになる組織とか考えた事有りませんか?」
「それは無いな…、責任を取らなくては行けないし。」
「大丈夫です、しくじっても、小指一本で何とかなります。」
「いや、待て、組長は指を詰めたりは…、小夜ちゃんが持ってる暴力団のイメージは何処から来てるんだ?」
「祖父です、彼は、左フック一発で組長を病院送りにしたそうですよ。」
「その話を信じてる訳では無いよな?」
「勿論です、そこまでの腕力が有るとは思えません、多分蹴りもかなり入れてたと思います。」
「い、いや、そもそも暴力団の組長を君の祖父がという時点で怪しいのだが。」
「作り話として楽しくないですか?」
「作り話なのか…。」
「私も組長を殴れるくらい強くなりたいです。」
「トレーニングしてるの?」
「まさか、おしとやかさを売りにしている私には似合わないじゃないですか。」
「ま、まあな。」
「それより、たこ焼き食べたく有りません?」
「い、いや別に。」
「おかしいです、多田さんはたこ焼きが食べたい筈です。
それに気付けない様では組長になれません。」
「マスター、小夜ちゃんが暴走してるのだけど。」
「たこ焼きを与えれば大人しくなりますよ。」
「えっ…、で、そのたこ焼きは?」
「バス停近くの店は、ご存知無いですか?」
「あそこか…、仕方ない、買って来るよ。」
「多田さん、私の分も、お・ね・が・い。」
「お、おう…。」
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