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猫田小夜-32 [化け猫亭-04]

「はは、小夜ちゃんは対局を見たりするの?」
「少しネットで見るだけですが、何故そこに動かしたのか解説を聞く前に分かると嬉しいです。」
「それも将棋の楽しみ方なんだね。」
「もっとまともに取り組めば楽しいのでしょうが時間的に難しくて。」
「化け猫亭に将棋盤と駒を置くというのはどうだい?
マスターに迷惑を掛けない様に使用料を取れば良いよ。」
「ブームになってますものね、一度相談してみます。
でも、違う店になってしまいませんか?」
「う~ん…、有りうるか…、店の売り上げが落ちない形を考えるよ。
まあ、藤井七段の通う高校からも近いから、便乗しても良いだろ。」
「便乗ですか、それならいっその事、将棋の出来るバーを開くのも有りですね。
そういう環境が有ったら将棋を指したい、と言う方は少なからずおられると思います。
大きなブームが終わったとしても、結構安定した客数は見込めそうですよ。」
「マスターと相談してみるか、この辺りなら将棋を趣味にしている人いそうだもんな、大学が近いし…。
あっ、そうそう、藤井七段が通う名古屋大学教育学部附属高等学校を私立だと勘違いしている人が居る様でね。」
「中高一貫ですが国立ですよ、何も知らない人の思い込みでしょうか、でも、名古屋で『めいだい』と言えば名古屋大学ですが他では明治大学みたいです、所詮、名古屋は地方都市なのですね。」
「東京や大阪とは違うからな、だから、市長や知事が名古屋に将棋会館を、という気持ちは分かるよ。」
「ニュースは見ましたが簡単に作れるのですか?」
「そうだな、金銭面は企業が動けば問題無いと思う、将棋ブームに乗ろうとする企業が複数いてもおかしくない。
問題は所属する棋士の少なさだろうな。
この地方に住んでる棋士、女流棋士は少ないからね。」
「メリットは無いのですか?」
「有る、藤井七段が大阪へ行く回数を減らせるんだ。
関西将棋会館と同格となれば、六段以下の棋士は名古屋に来なさいという形に出来る。
もし、名古屋城の近くに出来たなら彼の帰宅時間は全然違うだろ。」
「ですね、名鉄瀬戸線で一本、夜遅くなってもタクシーで。」
「関東の棋士にとっても若干嬉しいかもしれない、大阪より名古屋の方が近いからな。」
「関西の棋士にとっては微妙なのですね。」
「まあな、でも将棋の普及が彼等の役割でも有る。
この地域は住んでるプロこそ少ないが、将棋連盟所属の将棋普及指導員数が多かったりして、元々将棋は盛んなんだ。
この先、将棋ブームが終わるとしても、将棋人口を維持して行く事が棋士の使命でも有る訳でね。」
「組織の維持と拡大ですか、ポイントはスポンサーですか。」
「だと思う、ブームに関係なく支援してくれるスポンサーが出て来れば、東京、関西と比べて著しくバランスに欠けるとは思うが、名古屋に出来る意味は大きい、日本将棋連盟はどう判断するのかな。」
「連盟としては、制度面の調整と維持の問題をクリアして拡大か、無理せず現状維持という感じですか?」
「そうだな、拡大を考えるなら良いタイミングだとは思うが…。」
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