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猫田小夜-31 [化け猫亭-04]

「檜田さん、藤井七段、また勝ちましたね。」
「ああ、今年度負け無しの六連勝だな、でも、これからが大変なんだよ。」
「え~っと、タイトルを取れるかどうかでしたね。」
「ああ、ここまで凄く勝ってはいるが、本当に強い人には負けている、優勝した朝日杯将棋オープン戦では羽生さんとかに勝ってはいるが持ち時間が短い棋戦だった。
大きなタイトルは強い人とじっくり指して勝ち続けないと取れないから本当に難しいんだよ。」
「永井さんは、今回も楽勝、彼は無敵だなんて話しておられましたが。」
「確かにな、私が見てるサイトでは、今回、相手が勝つであろう期待確率を12%と計算していたぐらいなんだ。」
「そんなに差が…。」
「棋士の力の目安にレーティングというのが有るが、それを根拠に彼の強さを全棋士の六位と位置付けているサイトと二位と位置付けているサイトを知ってる。
今年の一月以降だけでも22勝2敗で圧倒的な勝率を誇っているからなのだが、実力差のある人との対戦が多かったというのも事実、大きなタイトルを取るには、実力差の小さい人に勝ち続けなくては行けないんだ。」
「高校一年生を応援したいです。」
「そうだよな、学校に行きながらだと…、勝てば勝つほど対局が増えるから大変だろうが。」
「去年より大変になりそうですか?」
「この先は何とも言えないが、適度に負けて昇段したから、取り敢えず少し落ち着いているのかな。」
「どういう事です?」
「棋戦はトーナメントが基本だから負けたら終わり、全ての棋戦で一回戦負けしたら年間の対局数は大した事無いんだ。
そして、若手の為の棋戦も有って、それは五段以下とか四段しか参加資格が無かったりする、新人王戦も 六段以下といった規定が有るから、七段になった事で今やってるのが最後、次回からは出られなくなる。」
「それは彼にとってどうなのでしょう?」
「高校との両立を考えたら良い事じゃないかな、トップ棋士との対局に集中し易くなるだろうし、若手でも対戦すべき相手は棋戦で勝ち上がって来るだろう。」
「その代わり連勝記録は狙いにくくなるとか?」
「はは、連勝記録はタイトルを取る事とは別次元の話で、今は全く考えて無いと思うよ。
それでも、まだ、クラスが低いから勝ち易い人との対局も組まれている、勝率がすぐに大きく下がるとは思えないね。」
「勝率ですか…。」
「通算で八割六分を越えてるからな、勿論、対局数がまだ少ないし、トッププロとの対局が増えるのはこれから、それでもこの数字は若きヒーローの証なんだよ。」
「ふふ、本当にそうですね、藤井七段の話をされる方は皆さん目が輝いてるというか楽しそうです。」
「あっ、もしかして私がした様な話は、すでに誰かから聞いていたとか?」
「いいえ、皆さんそれ程お詳しい訳では有りませんので。
檜田さん、レーティングの辺りをもう少し教えて頂けませんか、調べてお客様方に知ったかぶりをしたいのです。
あっ、その前に、銀って横に動けないのですよね?」
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