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猫田小夜-37 [化け猫亭-04]

「知性派が好きなのです。
それで、永井さんはその前の対局には注目していないのですか?」
「順位戦か、勝負事だから絶対は無いが、我等が藤井先生が勝って当たり前みたいな。」
「そんなに差が有るのです?」
「相手はベテランだから思わぬ技を繰り出して来るかもしれない、でも、昨年の勝率やレートを考えるとね。
レーティングは大きく違わない限り参考にはならないという人も居るが、俺が参考にしているサイトでの藤井七段期待勝率は86%なんだよ。」
「レーティングについては檜田さんから少し教えて頂きましたが…、それぐらいの差が有る場合、対局相手は初めからプレッシャーというかハンディを背負っている様なものですよね。」
「うん、気負ってしまったり萎縮してしまったり、羽生竜王と対局する人が感じて来た事を、今の藤井先生に対して感じていると思うよ。」
「実力的優位が心理的優位をも生み出す、勝負の世界に於いては勝てるかどうかの意識の差が勝敗に大きく影響しますものね、スポーツの世界でも精神的な弱さを見せてしまったら、それだけで負けに繋がります。」
「彼の勝率と勝ち方を見せつけられては、昨年度、結構負け越している対局相手には同情かな…。」
「永井さん、実力差によって対局が早く終わるとか有りますか?」
「どうだろう、相手もプロだからあっさり負ける事はないとは思うが…、持ち時間が長いしね。」
「長いですよね、将棋の一局を初めから終わりまで見てる人っているのですか?」
「暇な人もいるだろう、ネット中継では色々工夫して楽しませてくれるしね。
俺も仕事が無かったらリアルタイムで見たい気もするが、残念ながら終盤だけしか見られない事が多い。
見ている立場からすれば、持ち時間40分ぐらいが調度良いが、対局しているプロ達はじっくり考えたいのかな。」
「対局中彼等がどんな事を考えているのか知りたくないですか、実は将棋と全く関係ない事を真面目な顔をして考えていたりして。」
「はは、少しは有るかも、だが短時間で凄く多くの可能性を計算出来る将棋ソフトが一番良いと判断する手を普通に指していたり、その将棋ソフトが良い手だとは直ぐに判断出来ない手を指して勝ってしまう人がいる訳だから、プロの脳は凄いと思うよ。」
「人間の脳は、その一部しか使われていないと言われてますが、常人より多くの部分を使っているのかも知れませんね。」
「うん、プロ棋士の脳については科学的な研究をしてる人がいると聞いた事が有るよ。
アマチュアとは使ってる部分が違うのだったかな。」
「あっ、使う部分の話は、プロの音楽家と一般人とで違うとか聞いた事が有ります。」
「小夜ちゃんと俺とでは使う部分も使ってる割合も違うのだろう…、今、何考えてたの?」
「脳の話と将棋の事、それと明日のお昼ごはんですね、ハンバーグ定食にするか焼肉定食かなのですが量が微妙に多いので、どこでカロリーを消費するかも…。」
「はは、今は?」
「勿論永井さんの問い掛けに対しての応えと、永井さんが喜んで下さりそうなトークテーマ、そして、たこ焼きを食べたいな、とかです。」
「一度に考えているの?」
「えっ? 思考って普通秒単位ですよね、今の所、たこ焼き食べたいは継続していますが。」
「分かったよ、でも、たこ焼きは店のメニューにないだろ?」
「あそこで暇そうにしているマスターに頼めば近所で買って来てくれます、私からは頼めませんが。」
「そういうシステムか…、マスター…。」
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