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近衛予備隊-341 [高校生バトル-77]

 香奈は王立大学開学までの期間に様々な食事会を提案しスケジュールを組むことに成功した。
 そして日本のアニメに出て来そうなメイド姿のコスプレをし給仕を手伝いながらでは有るが食事会に参加、美味しい食事目当てでは無く食事会で様々な人達と触れ合うことが目的だったみたいだ。
 今回は工学部発電研究室のメンバーと。

「加藤先生はここの開発が始まった当初に移住されて、小規模発電所の建設に取り組まれて来たのですが、今回の大学構想は如何です?」
「良いと思います、近衛予備隊時代から隊員に手伝って貰いながら教えて来ましたが、今までの教え子達は現場を目指す道しか有りませんでしたので。」
「先生としては手間が増えるだけではないのですか?」
「新たな組織造りは若い子達が知恵を出し合っていますので私は見守るだけです。
 今後も電力需要は伸びる一方ですから、それを支える為にも彼らの力は必用です。」
「遠江大学の活動から我が国に来て下さったと理解していますが、日本は小規模水力発電に適した環境だと思います、それでも来て下さったのには何か訳が有ったのですか?」
「ええ、日本では実験的に発電所を建設したくても、予算面だけでなく行政手続きが煩雑なのです。
 その点ここでは電力関連の優先度が高かったことも有り、日本で一基を設置する労力で十基を稼働させられるぐらいでした。
 その実証実験を経てより効率的な水力発電が可能になりつつ有るのです。」
「そこまでの差が有ったのですか?」
「ええ、電灯を少し灯す程度の簡易型ではなく実用出来るレベルとなると、日本ではややこしい問題が色々有るのです。
 ここでは電力の安定供給を目指していると言うだけで、皆さんとても協力的でしたので。」
「停電が日常的に起きていましたからね。」
「今、学んでいる王立高等学校の子達は停電の無い生活が当たり前になっていますので、電気の使えない暮らしを想像する様に話しています。」
「日本は長年停電が殆どない状態を維持し続けて来たのですよね?」
「ええ、先人達の多大な労苦による成果です。
 ただ、原油を輸入に頼り切るしかない事情が有り、より安定を求めた原子力には環境問題が。
 原子力発電の稼働に反対している人達は、火力発電による温暖化の影響まで考えているのかどうか分かりませんが。
 今は円安と原油高などにより電力料金が上がっていたり、猛暑や寒波によって電力需要が伸びると、稼働を中止していた古い火力発電所を再稼働させる必要があって結構大変なのですよ。」
「我が国はどうでしょう?」
「ダムが完成すれば、膨大な電力を消費する工場を誘致しない限り水力発電と火力発電、太陽光発電の組み合わせで問題なく…、無駄に電力を消費する家電製品が流行したら分かりませんが、家電メーカーは節電を重視していますので。」
「エアコンの普及は計算に入っていたのですね?」
「ええ、日本と違って冷房専用で比較的安価、詩織さまによる改革が進めば個人で購入する人が増えるだろうと思っていました、結構な売り上げになってるのでは有りませんか?」
「電力供給が安定して一番売れたのは冷蔵庫ですが、その次に国民が購入を目指した高額家電はエアコン、次の目標は自家用車になるのですが、まだ中古車が売れ始めた段階で、電気自動車が普及し始めても大丈夫でしょうか?」
「充電を夜間中心に行って貰う形が整えば問題ないでしょう。
 むしろ夜間に電力を使って貰えたら効率が上がるのですよ。」
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近衛予備隊-342 [高校生バトル-77]

 加藤さんとは電力会社の社長に就任した頃からの付き合い。

「加藤先生、工学部発電研究室の室長をお願いすることになるのですが、大学の一部となっても何も変わらないのですか?」
「いえ、高校生と大学生を分けて考えています。
 高校生には今まで通り、会社の電力部門で働いて貰う前提での学習と実習になりますが、学習が進んでいる生徒は大学生に、現在発電関連で働いてる人からも大学で学びたいとの希望が出ていますので、彼らには大学生か研究生になって貰います。
 大学生になる子には今まで高校生に教えて来なかったハイレベルな学習に取り組んで貰う予定です。
 高校生には小規模発電所の建設現場やその運用を実習として体験して貰って来ましたが、大学生には我々がどんな考えで小規模発電所を設計して来たかを理解して貰おうかと。
 その過程で個々の資質を見極め、才能ある子には設計に挑戦して欲しいと考えています。
 勿論、遠江大学の関係者がバックアップしてくれます。」
「前から気になっていたのですが、遠江大学の方々にとってその様な活動をすることに何らかのメリットはあるのですか?」
「彼らは喜んでいますよ、この国に建てて来た小規模発電所は彼らのアイデアから始まっていますが、日本では建設出来なかった物をここで建設、その運用データは彼らの研究に役立っています。
 それぞれの発電所には設計に携わってくれたチーム名を冠した名前が付けられていますので愛着もひとしおだとか。」
「運用して上手く行かなかったことも有るのですか?」
「発電が出来ないなんてことは有りませんが、予定していた出力が出せないことは有りました。
 理論的には最善だと思っていたのが、実際に運用してみると想定していなかった要素が絡んで思った程の出力を出せなかったりするのです。
 そこから、タービンの形状を検討し直したり、水力の場合は上流側の環境を整えたり。
 運用が始まって完成なのでは無く、そこから改良が始まるのです。
 大学生にはその改良の検討にも加わって貰いたいですね。」
「能力的に日本の大学生に比べ劣ると思うのですが、その辺りは如何でしょう?」
「近衛予備隊の初期と比べたら、先輩が後輩の指導をする形で生徒達のレベルはかなり上がっています。
 予備隊に入隊した十二歳の頃から、電力会社で働く意思を持って学習に取り組んで来た子がいまして、十六歳になった彼は学習チームのまとめ役をしてくれています。
 大学が始まったら大学生になって貰い、高校生の指導も担当して貰おうかと思っています。」
「日本の学校は年齢を基準とした学年で分けられているそうですが、先生はここのシステムをどう考えておられるのですか?」
「大学がスタートして研究室に関わる子が増えるとしても、教室で四十人の生徒にまとめて授業を受けさせる様なことはしません。
 詩織さまの提案に沿って教育活動を行って来ましたが、学ぶ者の気持を考えた王立高等学校の教育システムに間違いは無いと考えています。
 ただ、残念ながら日本では大学入試に拘り過ぎていますので理解されないでしょう。」
「先生はここでの教育活動に満足されてると?」
「ええ、学習意欲の無い子の相手をすることが一切ないので楽しいです。
 日本の三流大学で教えたことが有ったのですが、単位を取る為だけに受講している学生ばかり、大学に合格する学力は有っても、能力的にはここの高校生より劣るかも知れません、大学として卒業させて行かないと経営が成り立たないとかで、単位を与えていましたが…。」
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近衛予備隊-343 [高校生バトル-77]

「日本の教育制度について教えて貰ったことは有るのですが今一つ分かっていません。」
「参考にする必要は無いですよ、ジョン王子が近衛予備隊で経験なされたことは教育の理想かも知れません、その結果として、誰からも尊敬される若き大統領が誕生したのですから。」
「教育の理想は一個人の成長だけでは語れないと思うのですが。」
「詩織さまがこの国の指導者としてジョン王子を育てようとされたのは間違いのないことで、それは王子に高い資質を見出されたからでしょう。
 ですが王子程の素養が無くとも近衛予備隊や王立高等学校の子達も素敵に成長しています。」
「我が国の教育制度はどうです?」
「探せば改善点が出て来るでしょうが、今はこの国にとってのベストだと思います。
 社会の中で生きて行く為の知識を優先的に学習、職業実習を重視していることはとても良いです。
 大学を立ち上げる話が出てから幾つかの国立学校を見て来たのですが、そこで学んでいる子達の人生を考えたら無理も無駄もないと感じました。
 うちの長女は十二歳で王立高等学校に入りましたが、先輩方が姉の様に接してくれるのが嬉しいと言いつつ、日本の十二歳が取り組まないレベルの学習と向き合い自分を高めています。
 自分のペースで先へ進めるのが楽しいそうで学力を伸ばしてましてね。」
「そこまでに苦労は無かったのですか?」
「そうですね、日本語しか分からない状態で移住しましたので始めは戸惑ったみたいです。
 それでも英語教室で、母国語が違っても英語を学ぶ他の子とコミュニケーションを取る内に自然と馴染み、英語力ランクアップ試験をゲーム感覚でクリアするのが楽しかったそうです。」
「やはり遺伝的に能力が高かったのですね。」
「う~ん…、その辺りは今後この国の教育にとって課題になるかも知れません、私達夫婦は幼児期の教育を意識して子ども達と接して来ましたので。」
「幼児期ですか…。」
「幼児期に知的好奇心を満足させることは子どもの成長に大きく影響すると考えています。」
「我が国ではあまり考えられていないことですが。」
「それでも、ジョン王子の育った部落では意識的に本の読み聞かせがなされていたと聞いています、他の部落には本すら無かったのでは?」
「それは…、幼児期の環境がその後の成長に影響すると言うことでしょうか?」
「私は幼児教育の専門家ではなく、ただの父親ですが、そう認識していました。」
「そんな意識を持ってる親はこの国に少ないと思います…。」
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近衛予備隊-344 [高校生バトル-77]

 加藤さんは一人の父親として子どもとの話しをしてくれた。
 自分も父親では有るが、子どもに関しては妻達とベビーシッターに任せきりにしていて、全く考えていなかったことだ。

「加藤先生は幼児期の環境がその後の成長に大きな影響を与えると考えておられるのですね。」
「ええ、ですから子どもからの質問には何でも答えて来ました。
 知的欲求が満たされてこそ、更なる知的好奇心が生み出されると素人ながらに考えています。」
「妻達が自分を特別な存在としている為か、子どもが自分に質問して来ることは無いのですが…、見てると妻達やベビーシッターは適当に答えています。」
「適当で良いのですよ、一番駄目なのは面倒くさがって答えないことです。
 答えることが難しい質問も有りますから、そんな時は適当が一番なのです。」
「そういうものですか…。」
「幼児は学術的な回答を求めている訳ではないのです。
 ですが、質問をし、それに応えて貰うことで脳を働かせているのですよ。」
「それが、脳の発達に繋がるのですね。」
「ジョン王子の幼少期はどうだったのです?」
「うちの部落は普通に貧乏だったのですが、何故か物知りなおじさんがいまして、色々な話を聞かせてくれるのが楽しかったです。
 部落には誰の子かに関係なく年長者が年下の子に気を配る習慣が有り、分からないことが有ると質問出来る人ばかりでした、それが自分にとって良かったのかも知れません。
 自分達の部落の大人達が他の部落と比べて優しく真面目だと言うことは、近衛予備隊に入隊して気付き始めたのですが、村長となって、その差の大きさに驚きました。」
「貧乏でも子どもにとっては良い環境だったのですね。」
「そう言うことだったのですね、近衛予備隊の初期、直ぐに力を伸ばしたのは自分達の部落出身者ばかりでしたので。
 国立学校で識字率を上げる為の義務教育をスタートさせ、その優秀者は王立高等学校へ、それぞれからの就職の道を整え、大学のスタートで教育のアウトラインが完成すると考えていましたが、幼児期を含む子どもを取り巻く環境をもう少し改善して行かないと、自分達の目指している社会改革はペースが上がりそうにないですね。」
「親に対しての意識改革は進められそうですか?」
「若い親やこれから親になろうとしている人達なら分かって貰えそうな気がします。
 義務教育の締めくくりに結婚や出産に関することを学んでいますので、まずはそこに幼児期の発達を意識した育児を加えることから検討してみようかと。」
「十五歳と言う年齢では早過ぎませんか?」
「十代で出産する人がそれなりにいますので。
 でも、結婚や出産のタイミングでもう一度学んで貰う必要は有るかも知れません。」
「あっ、プリンセス雅がYouTubeチャンネルで雅ちゃんの子育て奮闘記と言うのを何年も続けていらっしゃるのはご存じでしたか?」
「耳にしたことは有りますが、実際に見させて頂いたことは有りません。」
「日本語で本数も大量、また日本の制度に関する説明が有ったりしますので、そのままこの国で利用することは難しいですが、チャンネルを元にした本や、項目ごとに閲覧出来る様に整理されたサイトも有ります。
 日本語の出来る方に一度チェックして頂くと良いかも知れません。」
「そうですね、ベビーシッターに余裕が有りますので、まずは妻達に見て貰います。」
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近衛予備隊-345 [高校生バトル-77]

 加藤さんとの話をシャルロットとルーシーにしたところ…。

「雅ちゃんの子育て奮闘記なら私達は見て学ばせて頂いてるわよ。
 大統領に子どものおむつを替えさせたりとかさせられないから見せて無かったけど、日本語の学習にもなるの、我が国の習慣とは違う部分も有るのだけど、根拠がしっかりしてることは取り入れる様にしていて育児用品を買う時の参考にも。
 実際に使ってみて良かった物はマーケットで扱って貰ったりはしてるのよ…、でも教育面は私達が参考にさせて貰うだけで終わってたかな。」
「確かに、国の親たちが子育てに関する意識を変えたら、王立高等学校に入学する子は増えるかも。
 子どもの成長を考え、私達の部落では当たり前に行われていたことが、他の部落ではね…。」
 でも、親の意識を変えるのは難しいと感じてたからそのままにしてたのでしょ?」
「しばらくは義務教育に目が行ってたから、そこまで気にしてなかったよ、でもそこから改善して行かないと二十年後には大きな差になりそうだな。」
「大統領閣下としては何か考えが有るの?」
「義務教育では、妊娠や出産を学んで貰っているが、そこに幼児期の発達についても簡単に加えるつもりだが、さすがに理解されにくいだろう。
 それで結婚時に妊娠や出産、育児、性病と言ったことに関する研修を受けて貰う制度を考えているのだがどうだろう?」
「良いことだけど、素直に研修を受けてくれるかしら?」
「始めに十回程度の研修を提示してから、一回だけでもよしとする。
 その一回で二回目以降を受けようと思うかどうかは、講師次第になるのかな」
「そこは王国騎士団に丸投げですか?」
「ああ、打診したら皆前向きでね、大人に対する教育は難しいのだけど、結婚と言う節目でなら効果的かもと。
 受けてくれたら、無料で健康診断と健康管理システムへの登録っておまけを付ければどうだ?」
「それでも足りなかったら、大統領から結婚の祝福を加えるとか?」
「大統領からでは喜ばれないだろ、詩織さまからの祝福としてグッズをプレゼントするぐらいだな。」
「でも、今は衛生環境が良くなって乳幼児中心に死亡率が下がり始めてるでしょ。
 この先人口が増え過ぎないかと懸念する声が出始めたのよね。」
「難しい問題だな、大統領の子が既に七人、もっと多くて良いと思っていたのだが考え直さないといけないのか?」
「しばらくは人口が増えても失業率が上がらない施策を進めているのでしょ?」
「それでも、長期的な展望が出来ないと大統領としては失格だろ。
 生活改善が進んで人口が増え過ぎたらバランスを崩してしまう。」
「そうなっても、海外で働ける人材を育成出来ていたら何とかならないかしら?」
「結局は教育次第と言うことなのかな。」
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近衛予備隊-346 [高校生バトル-77]

 子育て環境の改善に向けての意識改革は王国騎士団などと相談の結果、まずは近衛予備隊や王国騎士団そして近衛隊のメンバーから、実際に子育て中の人と共に今後の方針をまとめて行くことに。

「シャルロット、今日の会議はどうだった?」
「人それぞれ子育てに関する悩みや迷いが有ると言うことが確認出来て良かったと思うわ、生活環境が大きく変わったから、自分達の子どもの頃が参考に出来ないでしょ。
 私達は特に安全衛生に関することを多くを学んで来たから、親世代とは考え方が違うのよ。」
「だろうな、未だに上下水道を整備している意味が理解されていない所も有る。
 病原菌を媒介する虫やネズミ駆除の必要性も、王国内では病死者の数が減っているのだがな。」
「その辺りは国として進めている事業だから、少しづつ分かって貰えると思うわ。
 今日の話では、幼児期の子育てに関して得られた情報が信頼出来るか分からなくて迷いが有ったとか。
 その辺りを整理して国民に向けての指針をまとめられたらと言うのが今回の結論で、私達は雅ちゃんの子育て奮闘記からの情報を紹介して行くことになったの。
 まずは、身内で研修を行い、その結果を踏まえて、これから結婚しようとしてるカップルや子育て中の人達向けの研修へ発展させて行く感じかな。」
「大人に対する研修を行うことに意見は出なかったのか?」
「育児に対する考え方は人それぞれな部分も有るから強制的な内容は良くないとか、やはり小さく始めて広げて行く手法が良いと。
 あまりにも国民が興味を示さなかったら、大統領令をお願いしたいと言う人もいたけど、我が子が可愛ければ研修を受けたいと思うだろうともね。」
「近衛予備隊、王立高等学校だけでなく、国立学校から就職した子達も実績を上げてくれてるからな。
 真面目に学習し能力を発揮し、短期間で親以上の収入を得ている子もいる、まあ、親の収入が少な過ぎるのだが。
 取り敢えず、王立高等学校に入学した子の親は子どもの環境に気を配っていたと話して進めて行けば少しずつでも良くなって行くだろう。」
「そんな統計取って無いでしょ?」
「統計を取るまでも無く、生徒たちの話を聞いてれば間違いないと思うよ。」
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近衛予備隊-347 [高校生バトル-77]

 教育に対する意識改革は義務教育のスタート時に始まっていたが、子どもに読み書きと算数は必要だから国立学校へ通わせましょう、と言ったレベルだった。
 今回は子どもの能力を伸ばす環境づくりをテーマに、初歩的で簡単な講習から継続的に子育てを考えるコースまで用意し、それぞれの意識に応じて受講出来る体制を考えている。

「詩織、概要案はどうですか?」
「強制せず、ゆったりとしたペースで始めることにしたのね。」
「ええ、以前なら低賃金の使い走りぐらいしか出来なかった十代の子でも、英語などを真面目に学習すればそれなりの給料が貰える様になり、教育の必要性は浸透し始めていると思うのです。
 親たちが自分の子もより良い仕事にと考えた時に何をすれば良いのか、子の成長の為に何をすべきかを、ただ説明を受けるだけでなく自分達で考える場にしたいと考えています。
 こんな企画、日本では必要無いのでしょうね。」
「そうでも無いのよ、教育を取り巻く環境には色々な問題が有ってね。
 例えば教育にお金を掛ける人は多いのだけど、家庭の収入を考えたら行き過ぎてる場合も有るの。」
「どんな教育にお金を掛けるのですか?」
「学習塾と言って学校外の私塾に通わせたりとかね。」
「学校教育だけでは不足なのでしょうか?」
「様々なパターンが有って一概には言えないのだけど、自学自習の仕方を学び自分から学習に取り組める子で有れば、それほど必要ないわね、でも進学の不安に付け込んで宣伝してるのよ。
 一人で学習してるより捗る子もいるだろうし、学校には一クラスの人数が多過ぎるという問題が有って、問題点としては受験に向けての技術を教えることで、本来の考える力を養うと言う目的から離れ、中学の数学を暗記科目にしてしまったとか。
 それはそれで賛否分かれるところなのだけど、一番の問題は裕福で無い家庭の子が通うには月謝が高いと言うこと。
 基本通わせる必要はないのだけど、親としても様々な思惑があるみたいでね。」
「王立高等学校だけでなく国立学校でも、遅くまで学校で自習してる子がいると聞いています。
 大人達の学習時間が終わった後に大人と帰るのだとか。」
「大人の授業を一緒に受けたりとかはしないの?」
「許されていますが、学習に対して前向きな子にとってはレベルが低いと聞いたことが有ります。
 今年王立高等学校に入学して来た子達は、入学後を見据えた学習をして来た子が多いと聞いています。
 それだけ、高校で何を学ぶかが国立学校の優等生たちに伝わり始めている様です。
 勿論、私塾では無く王国騎士団の働きによってですが。」
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近衛予備隊-348 [高校生バトル-77]

「今回メインになるのは幼児期の育児と教育なのよね。」
「概要案では簡単にまとめて有りますが、今回強調して行くことです。
 親に子どもの発達に関する知識がないと、ひどい環境で育てられてる子も珍しくなくて、宮殿内で飼われているペット以下の環境で育てらてれる子もいるのだとか。」
「ペット以下とはね…。」
「貧困家庭では仕方のないことだったのでしょうが、そんな子が生き延びたとしても能力が低く貧困から抜け出せない連鎖が続いて来た様です。
 国立学校で指導に当たってる人によると、そんな子は学校に通い始めた段階で基本的な能力の差を大きく感じさせられるそうで。」
「知的な刺激が少ない幼児期を過ごすと脳の発達に悪い影響を及ぼすのでしょう、改善出来そうなの?」
「親も能力が低く生活に余裕がない訳で、こちらがどれだけの指導を出来、彼らにどれだけ受け入れて貰えるのか分かりませんが、進めて行くしか有りません。」
「指導プログラムはまとまった?」
「はい、今実際に子育てしてる最中のメンバーが、雅ちゃんの子育て奮闘記などを参考に話し合い、衛生面を含めた必要最低限のことから、本の読み聞かせなど子どもの発達を考え、幼児に対して欲しいことまでを整理してくれました。
 小さく始めて、暫くはテスト期間と考えています。
 欲張り過ぎかも知れませんが、低所得者層には無理無く収入を増やすアドバイスも出来たらと。」
「結局、親に余裕が無いと駄目なのよね、でも対象は低所得者層ばかりではないのでしょ?」
「ええ、環境の異なるテストエリアを数か所定め、並行して進めて行きます。
 指導の問題も有りますので、ゆっくり進めながら問題点を確認し、特に今までの改革で生活環境が改善されたエリアには力を入れたいと考えています。
 子育てに対する余裕も出来てる筈ですが、それに対する知識が無くては、より能力の高い次世代を育てられませんので。」
「まだ、子どもの教育にお金を掛けるなんて発想は無いのでしょうね。」
「教育にお金を掛ける必要が有るのですか?」
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近衛予備隊-349 [高校生バトル-77]

「日本には教育とお金の問題が色々有ってね。
 お金に余裕が有れば親の見栄だけで幼児期からでも、高額な教育プログラムを受けさせたりすれば良いのだけど、そこまでの収入の無い人がそれに引っ張られ無理するのよ。」
「高額と言うことはそれだけ効果的なのですね?」
「それが良く分からないのよ。
 例えば足し算引き算を他の子より凄く早く覚えられたして、その過程が脳に対して多少良い刺激になるとしても、小学生になったら他の子とあまり変わらないとか。
 早く覚えても足し算引き算に違いは無いでしょ。
 十で神童、十五で才子、二十歳過ぎれば只の人、なんてことわざが有るのだけど、人より早く覚えられただけで、特別な才能の無かった人が当て嵌ると思うの、逆に基礎計算を覚えるのが他の人より遅くても、才能を活かして活躍する人は幾らでもいるのでは無いかしら。」
「何となく分かります。」
「それでも、他の子より早くと教育プログラムを売り込むのよ。」
「商売としてですか?」
「建前は子どもの為に、だけどね。
 それと、日本では習い事が色々有って、私もピアノを習ってたの。」
「確かに、お上手です。」
「あんなのは上手の内に入らないのよ、音大やプロを目指していた訳ではないから、それより習い事とは少し違うのだけど、YouTubeのミュージカルに出演する為にしてた歌の練習は充実していたかな。」
「ピアノや歌のレッスン料は高額だったのですか?」
「父の収入を考えたら凄く負担になる額では無かったみたい。
 ただね、習い事の中には金銭面だけでなく親の負担が大きくなるのも有り、そこからプロを目指そうものなら大変なことに、経済的に余裕が有ってプロを断念しても問題のない家庭でないと取り組んではダメみたいなスポーツとか有るのよ。」
「そこまでして子どもの為にお金を使うのですか?」
「親子に無理の無いビジョンが有れば問題無い、子どもの可能性を大切にしている人は多いし、スポーツや芸術の分野では、そうやって成功を掴み取った人もいるからね。
 ただ、お金を掛けたからと言って必ずしも成功するとは限らない、例え失敗してもその経験を活かして別の分野で成功出来れば良いのだけど。」
「その辺りに問題が有るのですね。」
「上を目指す人達は覚悟の上だと思う。
 ただね、普通の習い事でも、家計に占める子どもの教育費を冷静に判断出来ない人がいるのが事実なの、必要性の低い幼児向けの英語教室に先のことを考えないで通わせてみたりとかね。」
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近衛予備隊-350 [高校生バトル-77]

「我が国では英語学習が必須になりつつ有るのですが。」
「日本で英語を学習しても使う機会が少ないから身に付きにくいのよ。
 幼児期に英語を学習させてもその後の環境を整えないと、大して意味の無いものになってしまう、小学生の英語教室もね。
 この国では英語で他人と会話し普通に使えることを目標にしているし、実習を通して実際に使ってもいるでしょ。
 そんな英語教育環境より劣る英語学習にお金を掛けてるのよ。」
「そもそも、使って慣れて身に付けるのが語学だと思うのですが。」
「ええ、使う環境のないまま英語教室に通っても、という話なのだけどね。
 母国語の他に英語と日本語をマスターしているジョンからしたら、笑えるレベルにお金を掛けているのよ。」
「母国語は使う機会が少ないので少々怪しくなっていますが、元々語彙が少なくて。」
「だから、ジョンの子ども達は英語と日本語にしたのよね、問題なくバイリンガルになれそうなの?」
「始めはどうなることかと思っていましたが、一番上の子は英語と日本語を完全に使い分けられていて、語彙が増えて来ました。
 詩織に言われた通り自分達との会話は英語のみ、決して日本語で話しかけない様にしています。
 ベビーシッターは全員日本語のみで、一度ルーシーが日本語で話し掛けたことが有るのですが、戸惑い混乱しましたので、それからは特に気を付けています。」
「彼らと接する機会の有りそうな全員に英語か日本語かどちらかだけにして、積極的に話しかける様にお願いしておいたのだけど、どう?」
「はい、その成果か思わぬ言葉が出て来て驚くことも有ります。
 脳に対して良い刺激になっているのでしょう。」
「子ども達は単純に倍の単語を覚えているのかしら?」
「みたいですね、英語と日本語、それぞれ同年代の子達と変わらないレベルだと聞いています。
 ただ、母国語で考える力を養ってからで無いと複数の言語で混乱すると聞いたのですが。」
「二か国語を同時だと、それぞれの言語で考える力が養われるのでは無いかしら。
 確かに考える力が充分出来てない幼少期に日常使う言語が突然変わってしまうのは危険だけど、二か国語が普通に飛び交ってる環境なのだから問題ないと思うわよ、子ども達はクリアしてるのでしょ?」
「ええ、ただ一番上の子は英語と日本語以外の言語にも興味を示していまして。」
「へ~、他の言語にはどんな形でアプローチしてるの?」
「近衛隊の人達に何語が話せるのか訊き、挨拶とかを教えて貰っているそうです。」
「本人がトリリンガル以上を目指してるとか?」
「そんな意識はなく興味を持ったことに対する遊びの延長だとは思うのですが、近衛隊の数名から母国語で接する許可を求められました。」
「許可したの?」
「ええ、特に問題は無さそうですし、それぞれが子どもの興味を引くテーマを考えてくれていましたので…、彼らも忙しいでしょうから、どうなるか分かりませんが。」
「ちょっと面白そうね、忙しいなんて近衛隊メンバーに有ってはならないことだから、調整して誰が自分の母国語を彼女により教えられるか、競って貰いましょうか。」
「えっ、ジェシカは何か国語を教えられることになるのです?」
「許可を求めて来たのは数名なのだから大丈夫でしょ、ジェシカの興味を引くテーマで競って貰うことで何かが見えて来るかもね。
 興味が続かなかった言語は忘れてしまうでしょうから問題ないでしょう。」
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