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近衛予備隊-347 [高校生バトル-77]

 教育に対する意識改革は義務教育のスタート時に始まっていたが、子どもに読み書きと算数は必要だから国立学校へ通わせましょう、と言ったレベルだった。
 今回は子どもの能力を伸ばす環境づくりをテーマに、初歩的で簡単な講習から継続的に子育てを考えるコースまで用意し、それぞれの意識に応じて受講出来る体制を考えている。

「詩織、概要案はどうですか?」
「強制せず、ゆったりとしたペースで始めることにしたのね。」
「ええ、以前なら低賃金の使い走りぐらいしか出来なかった十代の子でも、英語などを真面目に学習すればそれなりの給料が貰える様になり、教育の必要性は浸透し始めていると思うのです。
 親たちが自分の子もより良い仕事にと考えた時に何をすれば良いのか、子の成長の為に何をすべきかを、ただ説明を受けるだけでなく自分達で考える場にしたいと考えています。
 こんな企画、日本では必要無いのでしょうね。」
「そうでも無いのよ、教育を取り巻く環境には色々な問題が有ってね。
 例えば教育にお金を掛ける人は多いのだけど、家庭の収入を考えたら行き過ぎてる場合も有るの。」
「どんな教育にお金を掛けるのですか?」
「学習塾と言って学校外の私塾に通わせたりとかね。」
「学校教育だけでは不足なのでしょうか?」
「様々なパターンが有って一概には言えないのだけど、自学自習の仕方を学び自分から学習に取り組める子で有れば、それほど必要ないわね、でも進学の不安に付け込んで宣伝してるのよ。
 一人で学習してるより捗る子もいるだろうし、学校には一クラスの人数が多過ぎるという問題が有って、問題点としては受験に向けての技術を教えることで、本来の考える力を養うと言う目的から離れ、中学の数学を暗記科目にしてしまったとか。
 それはそれで賛否分かれるところなのだけど、一番の問題は裕福で無い家庭の子が通うには月謝が高いと言うこと。
 基本通わせる必要はないのだけど、親としても様々な思惑があるみたいでね。」
「王立高等学校だけでなく国立学校でも、遅くまで学校で自習してる子がいると聞いています。
 大人達の学習時間が終わった後に大人と帰るのだとか。」
「大人の授業を一緒に受けたりとかはしないの?」
「許されていますが、学習に対して前向きな子にとってはレベルが低いと聞いたことが有ります。
 今年王立高等学校に入学して来た子達は、入学後を見据えた学習をして来た子が多いと聞いています。
 それだけ、高校で何を学ぶかが国立学校の優等生たちに伝わり始めている様です。
 勿論、私塾では無く王国騎士団の働きによってですが。」
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