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神沢祐樹-121 [高校生会議2-21]

「観光と言っても撮影クルー同伴では楽しめそうに有りませんね。」
「撮影には慣れましたから、そうでも無いですよ。
工場長は自分達を案内してるという絵で存在感をお願いしますね、番組だけでなく会社の広報でも使うそうです。」
「はい、メインは自分でないと分かっていても緊張します…。」
「祐樹さま、景色が素晴らしいです。」
「ああ、風が気持ち良い。」
「家族連れの方も結構多いですね。」
「夏休みだからな、あっ、子ども達が遊んでる…、ねえ、絵美はああいうのやった事有る?」

「せっせっせ~のよいよいよい…。」

「いいえ、初めて見ました。」
「優香に教えられたのとは少し違うな…。」
「動きが早いですね、私もやってみたいです。」
「そうだな…。
面白そうだね、良かったらお兄ちゃん達に教えてくれないかな?」
「うん、あっ! あ~!! 祐樹くんと絵美さんでしょ!?
絶対本物だ~、DVDで見るより…、ママ、パパ~。」
「私ね、ちゃんと踊れるんだよ、お姉ちゃんやママと踊ってるの。」
「うん、私も踊れる、ねえねえ歌って~。」
「そうだな、じゃあ交換条件、僕らが歌ったら、今やってたの、教えてくれる。」
「うん、どっちが先?」
「そうだな…、あっ、人が集まって来ちゃった、ちょっと観光協会の人と相談するよ、その間に絵美に教えてあげてくれるかな。」
「うん、いいよ。」

「少し先に広い所が有るそうだから、そこでって、君達、時間は大丈夫?」
「もちろん! 大丈夫じゃなくても大丈夫よ、だってママも踊る気満々だもの。」
「はは、それは心強い、じゃあ行こうか。」
「ねえ、手を繋いでも良い?」
「ああ。」
「でも、ちいとまみが祐樹くんと手を繋いだら絵美さんが怒るのかな。」
「ふふ、そんなに心が狭くはないですよ。」
「ねえ、二人は何時も手を繋いだりしてるの?」
「ちいちゃんとまみちゃんは?」
「あのね、お姉ちゃんはね、まみが迷子にならない様にって。」
「あっ、道が広くなったから私はまみちゃんと手を繋いでも良いかしら?」
「うん。」

「じゃあ行くぞ~。
ご存知の方は一緒に踊って下さいね~。」
「は~い…。」

「…、楽しかった~、でも、これ踊るとお腹がすくのよね。」
「はは、でも、せっせっせ~のよいよいよい、って教えてくれよ。」
「うん、祐樹くんと踊れて楽しかった、夏休みの想い出って宿題、すぐに完成だな。」
「おう、それは良かった、でも夏休みはまだまだこれからだろ、もっと楽しい事がきっと有るよ。」
「あま~い、祐樹くん、人生ってそんなに甘い物じゃないのよ。」
「はは、そうなのか、では先生、よろしくお願いします。」
「うん、じゃあ…。」
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神沢祐樹-122 [高校生会議2-21]

「神沢社長、子ども達の表情が良くて良い絵が撮れましたよ。」
「面白かったですね、ああいう口伝えの遊びは地方によって違うみたいです、少し探ってみませんか?」
「そうですね、絵美お嬢さまが真剣に楽しんでおられる姿は今まで紹介出来てなかったですから、少し尺を取っても良いと思います、番組一本分ぐらいまで膨らませる事も可能ですが、お嬢さまは如何です?」
「ふふ、楽しかったです、私の通っていた小学校では、ああいった遊びはやっていませんでしたので。
知らない遊びを小学生に教えて貰うというのも新鮮でした。
祐樹さま、もっと練習して皆さんに披露させて頂くと言うのも有りですね。」
「ああ、ただ、新しく作って流行らせるというのも考えてみてよ、地方によって違うから、さっきのを紹介すると違和感を覚える人がいると思うんだ。」
「今日教えて頂いたのが全国共通と言う訳ではないのですね。」
「俺達が大きく取り上げると広がるかも知れないが、新作を広めた方が楽しいだろ。」
「はい、私達の歌で踊って下さる方と出会えたのは嬉しかったです、同じ様に私達の作品を気に入って下さる方が増えたら楽しいですね、でもまずは今有るものを調べて、参考にして…、子ども達にとってプラスになるものを考えたいです。」
「うん、集中力を鍛える事に繋がるとは思う、そうだな…、じゃんけん的な要素を加えるのと、加えないのと、歌は自分達のオリジナルを使えば良いし、気が向いたら一曲作るのも有だね。
旅行中に、社員達とも相談してみよう。」
「ふふ、皆さんとも一緒に遊んでみたいです。」
「それは面白いかも、昔やってた人がいるかも知れない、隠し芸大会の後にでも仕掛けてみよう。
撮影の方は如何です?」
「そうですね、大人が昔を思い出してという絵が有れば使えます、今回、社員の方はエキストラでも有りますので協力して頂きましょう。
新作を作られるのでしたら、番組二本分ぐらいに出来そうです。」
「はは、この調子だと週一の放送では映像が余り気味になりそうですね。」
「その辺りはテーマ毎に編集し直し、時間枠を拡大しての放送とか、DVDの発売を視野に入れています。」
「真面目な要素も少なくない番組でDVDは売れるものなのですか?」
「そこは編集と宣伝です、放送でカットしたシーンやメイキング映像を入れますので、需要は有るのですよ。」
「結構丁寧に撮影されているのはそういう事情有っての事だったのですね。」
「神沢社長は色々特別ですからね、旅行中の映像は情報番組でも少しずつ流して、番組の視聴率アップに繋げさせて頂きます。」
「その事で、このエリアが注目されたら一石二鳥だな。」
「LENTOのCDやDVDは売れていますからね、すでにインディーズのレベルを遥かに超えています、秋から年末に掛けて番組出演の依頼が増えると思いますよ。」
「子ども向けの曲が売れて呼ばれたのに、懐メロを披露というのは邪道でしょうか?」
「はは、戸惑う人が居るかも知れませんが、話題性抜群で面白いと思います、お二人の引き出しの多さはLENTOに興味を持たれた方を飽きさせないでしょう。」
「そうですね、今日は手遊びという引き出しが増えて、そこからまた発想が広がりそうです。」
「ふふ、祐樹さまといたら飽きるなんて言葉を忘れてしまいます、でも飽きる程二人っきりでいたいとは思います。」
「す、すいません、お邪魔虫で。」
「い、いえ、そういう意味ではなくて…。」
「絵美は、そうなのか? 俺はパーティーの打ち合わせを二人っきりでしておきたいのだけどな。
その結果を楽しみにして下さいますよね?」
「はは、もちろんです、えっと…、パーティ―開始までこの部屋には入室禁止とスタッフに伝えておけば宜しいですか?」
「はい、お願いします。」
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神沢祐樹-123 [高校生会議2-21]

「うわ~、すごい! 祐樹さま、素人のマジックとは思えませんね。」
「だな、さっきのパントマイムといい、隠し芸大会のレベルがここまでとは思って無かったよ。
ダブルワークに趣味と、力のある人は時間を上手に使い分けて色々な事にチャレンジし、人生をエンジョイしてるって事かな、彼は元々営業職なんだけど、うちでは企画担当、趣味がマジックとは知らなかったよ。」
「ふふ、隠していたから隠し芸なのですね。」
「うん、俺も教えて貰おうかな、絵美を真っ二つに切断するのとかどう?」
「え~、ちゃんと元に戻して下さいね。」
「はは、もちろんさ、自分で歩いてくれないと何かと不便だからな。」
「失敗したらシュール過ぎます。」
「はは、でも、ディナーショー向けに少し覚えておきたいと思わないか?」
「また引き出しを増やすおつもりなのですね。」
「会社が倒産したらマジシャンとして生計を立てるとか。」
「歌で何とかなりますよ、二人でなら。」
「じゃあ、その隠し味としてマジックを披露。」
「隠し味がどんどん増えてしまいそうな気がしているのは私だけでしょうか?」
「見てるのも楽しいが、自分でもやってみたいじゃないか。」
「ふふ、祐樹さまは何でもこなせますから、サーカス団の一員にだってなれそうですね。」
「一緒に空中ブランコ、やってみる?」
「う~ん、祐樹さまの手を掴み損ねたら、体だけでなく心も落ちて行きそうなので、パントマイムやダンスにしません?」
「うん、挑戦してみたい、でも、やるとなったら、人に見せられるレベルにしたいかな。」
「では、それまでは隠しておきましょう、隠し芸という事で…、そのまま一生隠し通す事になっても私は構いませんよ。」
「ふむ、そのスタンスなら気楽に挑戦出来るな。」
「でも、欲張り過ぎないで下さい、年老いた時に隠してる芸が山ほど有るのは、少し悲しいと思います。」
「はは、むやみやたらには始めないさ。」

「神沢社長、そろそろ、お願いします。」
「はい、では、絵美…。」

「皆さんの隠し芸、素晴らしかったです、ビックリの連続でした。
私達は隠し芸ではなく、今日、祐樹さまと向かった先で出会った、可愛らしい姉妹に教えて頂いた遊びを紹介させて頂きます。
少しお見せしますの、よろしかったら皆さんも、ペアを作ってご一緒にどうぞ。」

「せっせっせ~のよいよいよい…。」
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神沢祐樹-124 [高校生会議2-21]

「絵美、今日は盛り上がったわね、皆さん浮かれ気味だからか、子どもの遊びにも夢中になって。」
「人と人が向かい合って遊ぶというのは、テレビ画面に向かって遊ぶのとは違う良さが有ると思いませんか、千恵も男性社員の方と楽しそうでした。」
「はは、否定出来ないわね。」
「子ども向けの曲集第二弾には、今日のを参考にして新しい手遊びを盛り込めないかと考えているのですよ。」
「新しい?」
「ええ、昔ながらのは地域によって違うそうなのです、その中から一つを選ぶと違和感を覚える人が見えるかも知れないという事で、祐樹さまから提案が有りました。」
「でも、オリジナルって簡単に作れるものなの?」
「何とかなるでしょう、そして、新作だからこそ可能な事が有るのです。」
「う~ん、今時の子に合わせた歌詞に出来るのかな…。」
「ええ、それも有りますが…、まず、曲は一曲に絞る必要が有りません。
手遊びに適した曲を年齢別や季節の行事に応じて複数用意出来ます。
また、手の動きもレベルを変えて楽しめます。」
「レベル?」
「はい、基本動作は二歳児でも取り組める簡単な動きにしますが、そこに色々な動きの要素をレベルに応じて盛り込んで行くのです。
同じ曲を聴いたり歌ったりしながら、二歳児と母親、小学生の友達同士が同時に遊べたり、曲を変えて中高生がハイレベルな動きに挑戦したりとか…。」
「随分欲張りな発想だけど…。」
「曲の基本的なリズム構成をシンプルにしておいて、そこからアレンジしていけば決して難しくはないと思います。
基本動作だけの幼児向けから十二歳ぐらいの普通の子ども達が楽しめるレベルまでを組んで一応の完成形とします、そして更に…。」
「更に?」
「基本動作以外は、曲の最後まで同じ繰り返しが無いとか色々。」
「覚えるのがハードなのか…、当然色々な動きが入る…、熱く挑戦しようという人が現れそうね。」
「二人の息が合わないと上手く出来ませんので達成感が味わえると思います。」
「そうね…。」

「あっ、祐樹さま、ディレクターとの話は済みましたか。」
「ああ、毎週の放送の中で新作の遊びを、二歳児バージョンから始めて少しずつ進化させて行くという形になりそうだ。」
「しばらくは、とても簡単と言う訳ですね。」
「その分、歌に集中して貰えると思う、良い曲を作りたいな。」
「はい、ちいちゃんとまみちゃんをイメージすれば出来そうな気がします。」
「絵美は、その子達に教えて貰ったの?」
「ええ。」
「なあ、千恵、子ども同士が向かい合っての遊びは、テレビ画面と向き合うゲームと違った良さが有ると思わないか?」
「そうね、うちの弟は…、祐樹くんは、テレビゲームの類、するの?」
「やった事は有る、でも結局はゲーム設定に合わせて作業をしてるだけという一面が有るだろ、暇つぶしなら、読書とか数学の問題を解いたりとかしてた方が楽しいよ。」
「作業か…、弟は作業が好きなのかな。」
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神沢祐樹-125 [高校生会議2-21]

「千恵は、工場見学の後、何してたの?」
「秘書室の体制強化に向けての会議、二人が学校にいる間の事は私が一番分かるでしょ。」
「だからと言って、学校で仕事しなくて良いよ。」
「でも、特別な取材の時とか緊急時に、秘書室と連絡を取れる体制を整えておきたいそうで。」
「大変そうな事は引き受けなくて良いからね。」
「気にしないで、私は絵美と祐樹くんの手助けをしたいだけだから。
高校に入学して同じクラスに成るまでは、歌声が素敵で恰好良い祐樹くんに憧れていたけど、実際、身近で話をする機会が増えたら、そうね、憧れから尊敬…、と言うか…、天才と接する貴重なチャンスだと思う様になってね。
絵美も個性的でしょ、良く分からないけど、やはり祐樹くんとは違った天才だと思うのよ。」
「私は個性的なのですか?」
「そう、その自覚の無さが…、凡人とは違うのよ。」
「祐樹さま、千恵は私を褒めようとしているのでしょうか?」
「多分な、俺が絵美の事を大好きなのは、その個性的な所なのだからね。」
「はぁ~、人前で大好きと言ってしまうのも…、爽やかカップルだから許すしかないのか…。」
「私は、天才について考えた事が無かったのですが。」
「そうだな、定義はあいまいだと思う。
暗算能力が優れていると天才少年とか呼ばれる事が有るけど、千恵でも暗算は出来るだろ。
だいたい、電卓が有れば済む事だから大した事では無いよな。」
「幼くして、少し抜きん出ている才能が有ると天才…、確かに安易な使われ方をされているかもしれないわね。
本物の天才とは年齢関係なく、凡人とはかけ離れた能力を発揮している人の事かな。」
「うん、兄貴が取り組んでいる数学の研究なんて、俺は今までの過程を見せて貰って来たから何となく分かるけど、大学の教授連中でさえ頭を悩ませてるレベルだからね。
兄貴は本物の天才だと思うよ。」
「祐樹くんだって天才でしょ、今は社会の為にという視点で働いていてくれている、でも、その力を悪事に向けたらどうかしら?」
「その気になれば違法すれすれでの金儲けは出来るだろうね、遊びで兄貴とシミュレーションしてみたら三年で一兆円とかになって、小さい国を合法的に乗っ取る可能性を探った事が有るよ。」
「違法すれすれなんて敵を増やして消されるかもよ、そうならない為にも絵美の愛情が必要ね。」
「合法的でも、祐樹さまなら小国の一つや二つ…、祐樹さま、手中に治めたら独裁国家にしますか?」
「はぁ~、そこら辺の感覚がね~、だから危険でも有る…。
本当に力の有る人がその能力をどう使って行くのかは大きな問題だと思うわ。
祐樹くんみたいに健全な経済活動の場で活かしてくれるのは理想だけど。
政治の場では、みどりの風が表舞台に出て来るまで、頭の悪そうな人達が党利党略私利私欲という感じだったでしょ、うちの父親が嘆きつつ解説してくれた中で、本当に優秀な人が政治の世界に係わらないと話してくれたのが心に残ってるのよ。」
「政治家なんて魅力の有る仕事ではないのだろうね、裏で政治家を操っていた方が楽しそうだ。」
「私も操ってみたいです。」
「こらこら、爽やかさで人気のLENTOなんだから、二人して腹黒くならないでよ。」
「いや、純粋に日本の将来を考えたらね…。」
「う~ん、でもさ、能力の高い人達が私利私欲にばかり走ってなかったら、もっとバランスの取れた国になっていたと思わない?」
「まあ、そうだろうな。」
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神沢祐樹-126 [高校生会議2-21]

「秘書室のメンバーは祐樹くんが落ち着いて能力を発揮出来る環境を作ろうって話してみえたのよ。
皆さんのお話を聞いて…、社長って大名や王様みたいな存在で、民主主義的なリーダーとは考えて無いみたいね。」
「選挙で選ばれた訳ではないからかな。」
「尊敬し敬愛する主君に仕える、その様な感覚を社員の皆さんはお持ちなのだと感じます。
歴史を振り返ると、強いリーダーを求めるのは人間の本能に近いものかも知れません。」
「問題の有る政権与党と政権運営能力が有るとは思えない野党の頃、父は真のリーダー不在の政治に虚しさしか感じないと話していたの。
それがみどりの風躍進の原動力になったと思う、遥香さま始め力強く魅力的なリーダーが登場し、政治について語る父の表情が随分変わったわ。」
「そうだね、俺も微力ながらお手伝いさせて頂きたいと思うよ。」
「秘書室の方々は微力なんて思ってませんよ、社会福祉の分野では、すでに大きな影響を与え始めていると評価しておられました。」
「まだまだだよ、貧富の差を減らす取り組みは国としても始まったばかりだからね。
我が社の取り組みも…、率先して目立つ事をして行かないと、理想論ばかりの弱小政党と同レベルになってしまいかねない。」
「でも、きっと私達の会社は、その社員である事を誇りに思える会社で有り続けると思うわ。
だから、祐樹社長はとても大切なお方、余計な雑事でお時間を取らせる事の無い様に、私達は働かさせて頂きますよ。」
「あら、どうしましょう、祐樹さまは何も言わなくても私の為に色々と雑事を…、私は妻として失格でしょうか。」
「絵美は祐樹くんの為に何かしてあげるの?」
「特には。」
「構わないさ、白川家にいる時は手伝ってくれる人がいるからな。」
「そ、そうなんだ、一般庶民の私には想像出来ない環境なのかな…、でも、二人きりになれなくてとか不満はないの?」
「えっ、二人きりの時間は結構長いよ、うちのお袋や優香が寂しがらない程度に寝泊りしてるし。」
「うっ、これ以上は聞かないでおくけど…、結婚は確定的なの?」
「ああ、状況を見て来年あたりに婚約発表、高校卒業ぐらいに結婚、離婚したとしてもやり直しは可能だろ。」
「えっ?」
「もちろん離婚する気はないが、先々の事は分からない、ただ晩婚化の弊害は意識しているんだ。
経済的な問題がないなら早くても問題ないだろ。」
「千恵、晩婚、少子は好ましく無いと思いませんか?」
「そうね…、天才の子どもには興味が有る…、ねえ、祐樹くん、離婚したら再婚相手に私を考えてね。」
「祐樹さま、そうなると私の子どもと千恵の子どもが兄弟になるのですね、私の子が兄、姉になるのだから兄弟喧嘩に気を付ける様に教育しないといけません。」
「まあそうだろうが、家系図をややこしくはしたくない。
さあ、明日は朝から打ち合わせも有る、そろそろ休もう。」
「ね、ねえ私が祐樹くんの再婚相手になる確率は?」
「えっ、そうだな…、今は微分の世界かな。」
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神沢祐樹-127 [高校生会議2-21]

「神沢社長、お早うございます。」
「お早うございます、対談前という事で一通り確認しておきますか?」
「はい、今日は何もご存じない方が見えますので、これまでの流れも含め、話させて頂いて宜しいでしょうか?」
「はい、お願いします。」
「今日の午後、神沢社長と会われる予定の方は、このエリアで事業を起こし成功された方で雑誌社を通して対談の話が来ました。
それを受けて調べさせて頂いた所、年商十億程度の会社で、お菓子の製造販売をしています。
ヒットの理由はそれなりの味とデザインだと思われます。
ワンマン社長で、派手に散財している印象を持ちましたので、社員待遇を調べてみました所、どうも給料は我々の三分の二程度、パートの時給もかなり安いのですが、この地の平均が低いので特に問題はない様です。
しかし、この現状が若者の都会志向を後押ししてしまっていると思います。
我が社がこのエリアの活性化を、微力ながらも観光面から取り組んで行こうとしている事は皆さんご存知の通りですが、神沢社長と相談しまして、製造業の分野にも取り組み実験的な展開を試みようと準備を進めています。
初耳という方ばかりだと思いますが、今まで一般社員に非公開で進めて来たのは、ワンマン社長にダメージを与える可能性の大きさ、まあ我々が殴り込みを掛ける事になりますので、誤解を招かぬ様にと考えての事です。
では、具体的な話は、佐藤から。」
「はい、まず、この地に工場を置きます、幾つかの候補から一つに絞りましたが、建物自体は安く借りられます、改装工事他、設備投資が必要になりますが、資金の目途は立っています。
この工場は、岩崎が柿川を一つの拠点と位置付けた様に、規模は遠く及びませんが、いずれ我が社と白川の拠点としてこの地を発展させる第一歩となります。
工場では、ワンマン社長の工場で製造している商品よりも上の味、上のデザインの商品、一見似ても似つかないのですが実は製造工程などが類似する商品を製造します。
これは、従業員を確保し易いという目論見有っての事です。
販売能力は我が社の方が数段上ですので製品に問題がなければ、短期間で売り上げを伸ばす事は可能です、しかし従業員を充分確保出来ないと思う様に製造が出来ません。
それを解決する手段が、先ほど竹中が殴り込みと表現した事になります。
正社員は我々と同様の給与体制とし、パート従業員もここの標準の二割増しから始めて昇給、五割増しになっても柿川標準より安いぐらいですから、良い人材が他社から流れて来ると思います。
経験者優遇とすればどうなるか、分かりますよね。
我が社には個人的に散財するワンマン社長はいませんので、最悪でも三年後には初期投資を回収出来ると試算しています。
製品の試作品は皆さんに好評でしたので…、千恵ちゃん、美味しかったでしょ?」
「あっ、佐藤さんが下さったのは…、普通に売れると思います。」
「後は今日の対談次第です、ワンマン社長が予想通りの対応をするので有れば、一切の手加減なく潰すつもりで取り組みます。
でも、倒産した場合、従業員全員を受け入れるシナリオは作って有りますので安心して下さい。」
「そこまですると、その社長が少し可哀そうな…。」
「社員を食い物にして贅沢な生活を送ってる人なのですよ。
この取り組みでここの平均賃金が上がれば、地元に残って働きたいと言う若者が一人ぐらい増えるかもしれません。」
「一人ぐらいですか…。」
「その一人が重要なのですよ。
それで、具体的には…。」
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神沢祐樹-128 [高校生会議2-21]

「一つの会社を倒産に追い込む可能性を考えていたなんて、驚いたわ。」
「多分ワンマン社長は、今日の対談で自慢話を沢山すると思う、でもそれは社員を食い物にして来た結果なんだ、それに何時気付くかによって、会社の存続が決まるだろうな。
俺は、社員を大切にしない企業に対して敵対的に動いてみたいと思ったんだ。
まあ、うちがどこまでこの地で影響力を発揮出来るのかが楽しみなんだけどね。」
「シビアなんだ。」
「競争原理と言うのを見極めたいとも思っているんだよ、従業員の給料を上げる為には値上げしたって良い訳だろ、でも値上げすると売れなくなる、だが本当に良い商品ならそれでも売れる、社会全体の景況観にもよるのだろうけど、自由な商業活動が保証されている中で、自社製品に自信のない会社は値上げ出来ず人件費を抑制せざるを得なかったり、高級志向で売り上げを伸ばしてる会社の陰で、ひたすら低価格を目指して迷走している企業も有る。
その辺りのバランスを考えるべきだろ。」
「視野の狭い利己的な経営者が貧富の差を拡大させて来たのよね。
それに気付けないワンマン社長の会社か…。」
「地方で小さく実験的に動くのは、うちぐらいの立ち位置が調度良いだろ、賃金で目立つ事がこのエリアの経済にすぐ反映されるとは思っていないが、考えるきっかけぐらいにはなると思うんだ。」
「お菓子工場に自信が有るのね?」
「ああ…、大丈夫だと思っているが盲点が有るかもしれない。
今日の対談は、その最終確認だな。」
「最終確認?」
「ああ、彼がどうやって売り上げを伸ばしたのか、お願いしなくても教えて頂けそうだからね。」
「なんかワンマン社長さんが可哀そうに思えて来たわ。」
「なら、千恵が助言して上げれば良いじゃないか。」
「資料を見せて頂いた限りでは、小娘の意見に耳を貸す様な相手ではないわね。」
「それは分からないよ、千恵みたいな子が好みかも知れないだろ。」
「ちょっと、私に何をさせたいの?」
「千恵の色仕掛けでワンマン社長の気持ちを変化させる事が出来るかどうか。」
「それは私も興味が有ります、千恵、頑張って下さい。」
「も~、私は色仕掛け何てしません!」
「絵美、残念だな。」
「はい、千恵だけがあの方を救って差し上げる事が出来ると思っていましたのに。」
「もぉ~、冗談はさておいて、どうしてそこまで…、えっと敵対的なのです?」
「対談の場に絵美抜きを指定して来たんだよ、社長気取りのガキとの対談ですら乗り気では無さそうだけどね、大企業の社長令嬢と会いたくないのか、自身の娘が婚期を遅らせているからかは分からないが、担当社員を不快にさせる表現が色々有ったそうだ。」
「そんな対談、お断りすれば良かったのに。」
「それでは、面白くないだろ、社員達のストレスも発散させておかないと行けないし。」
「はぁ~、でも倒産して、彼の家族が悲惨な目に合ったら、寝起きが悪くなったりしない?」
「千恵、うちの連中はそこまで冷酷ではないよ、ご家族の性格が余程悪くない限りは倒産後のフォローを考えているんだ。」
「えっ、そこまで…、でも倒産はすでに前提なの?」
「相手次第だけど、子会社として再建する案まで用意して有る、早くて一年後かな。」
「今は経営状況悪く無いのでしょ、そんなに早く危なくなるものなの?」
「はは、人は石垣、人を大切にしない会社は脆いのさ。」
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神沢祐樹-129 [高校生会議2-21]

「対談、お疲れさまでした、様子は絵美とモニターで見させて貰ってたけど、あれがワンマン社長の姿なのね。」
「祐樹さまは、にこにこしながらほとんど聞き役、対談ではなかったです。」
「う~ん、にやついてたかな、彼の態度が、あまりにも予測通りだったからこれからの展開が楽しみでね、シナリオA確定だよ。」
「シナリオA?」
「対談後すぐに、工場建設に向けてのゴーサインを出した、すぐに色々動き始めるんだ。
明日、俺達は工場を貸して下さる方や施設の改装をお願いする業者、その他、町内会の方も含めてご挨拶、夏祭りの会場にも顔を出す。」
「まずは住人を味方にするという事なの?」
「とても重要だろ、成功すれば新規事業の半分が成功と言っても過言ではない。」
「工場の話が発表されるのね。」
「まあ、正式なものではなく軽くだけどな、年内には操業を始めたいから従業員募集への布石だよシナリオ通りに行くかどうかは社員達の手腕にかかっているが、大丈夫だと思う。」
「あっ、担当社員はこっちに転勤して貰うの?」
「うん、近い将来この地に支社を構えたいからね、ここの事業を推進しようとしているのは、元々山に囲まれた環境を気に入ってた連中なんだよ。
仕事が無かったら暮らせないだろうが、自分達で仕事を生み出して、人口の減少に歯止めをかける事を考えたのさ。」
「確かに柿川よりは涼しくて快適だけど、冬は大変そうよね。」
「はは、そこをスキーやスノーボードが出来る土地と考えるのが我が社の社員なのさ。
この地の労働環境を変えるという事もゲーム感覚じゃないのかな。
力の有る人が地方の活性化に力を発揮したらどうなるのか、千恵も注目しててよ。」
「うん、何かドラマの始まりみたいね。」
「まあ、実際は地道な作業が続くのだけどな。
商品はこのエリアの特産フルーツと組み合わせる事も考えていて、形が悪くてそのまま出荷出来ないものを原料に使い、地元の新しい名産にしようと思ってる。
うちのグッズと一緒に売りながら販路を広げて行けば、製造と販売のバランスが取れるだろう、うまく工場規模を拡大する事が出来れば、結果、労務倒産の実例を目の当たりに、という筋書きなんだ。」
「ワンマン社長の会社は労務倒産か…、そこを救済する事も予定に入ってるのよね、でも負債を抱えた会社を子会社にするなんてリスクが大きくないの?」
「そこまでのリスクは考えていないよ、従業員が離職して工場が立ち行かなくなる事を想定している、賃上げで対応出来れば持ち堪える事が出来るかも知れないが、慣れた従業員に見放される可能性が高いと判断した。
会社として粘る事すら出来ない状況になれば、負債を増やす前、いや、工場の価値が下がる前に手放したいと彼が思う方向に持って行ける、そんな結論に至ったのさ、当分先の話だけどね。」
「そっか…、上手く行ったら番組でも取り上げる事になるのかな?」
「途中経過は出さないが、結果が出た時点でドラマ仕立てにして紹介する事に成るかも知れない、その時は薄幸な社長令嬢の役を、千恵、やってみるか?」
「え~、あんな人の娘役なんて絶対嫌だわ。」
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神沢祐樹-130 [高校生会議2-21]

「社長、挨拶回りお疲れさまでした。」
「佐藤さん、あれで良かったのですか?」
「ええ、良い体験をさせて頂けました。」
「えっ?」
「私だけで交渉していたら、あそこまでスムーズには行きません。
お二人と話された後の人達は皆さん骨抜きでした、工務店の大将が工場改装ぐらいなら俺のポケットマネーで完成させても良いぐらいだ、なんて話したのには驚きましたよ、いったいどんな技を使われたのですか?」
「彼の話が面白かったので色々教えて頂いて…、この地の活性化の話と…、絵美とは結婚するつもりだって話したぐらいだよな。」
「ええ、元気な子を産めよって、かなり気の早い方でした。」
「う~ん、カップルでのデビューにはリスクを感じていましたが、プラスになる一面も有ったのですね。
ただ、お二人にとっては撮影だけの予定だった今日のお祭り見物、要望に応える形で歌を披露して頂く事になってしまいましたが、本当に宜しかったのですか?」
「はい、生で、特に小学生の前で歌わさせて頂く機会は少ないですからね、直接反応を見させて貰えば今後の曲作りに活かせると思いますし、間もなく発売するカバーCDの宣伝にもなりますよ。」
「佐藤さん、CDが沢山売れれば、工場への投資も前倒しし易くなります。
工場の一期工事計画では外観にまで充分な予算が回せていませんが、二期工事を前倒しして綺麗な工場とすれば、従業員募集が楽になりませんか。」
「はい…、絵美お嬢さま、内も外も綺麗で清潔感溢れる工場にする事は、お菓子の製造工場ですので大切な事です。
お二人に宣伝して頂く商品の製造工場の外観が古びていたら、LENTOのイメージダウンにもなってしまいますので…、予算関係なくもう一度相談しておきたいと思います。」
「工場近くにお菓子の直売所を兼ねてのグッズ販売店や飲食店を開いた上で工場見学が出来る状態にする、という目標、佐藤さん的には、どれぐらい先と考えておられるのですか?」
「それは、この地の活性化という観点からも、早く実現させたいです。
今日、改めて工場周辺を回ってみて、空き地や空き家に気付きました。
この地を一つの拠点として資金を投入して行くので有れば、そうですね…、結論を下すのは工場が本格稼働してからになりますが、自分としては来年の夏休みには観光客が足を止めるまでにしたいと思います。」
「では、そこに向けての予算計画を出して頂けませんか、それに合わせて資金確保を考え直してみます。」
「分かりました、多少の試算はして有りますので、三パターンほど提出させて頂きます。
正直、昨日まではかなり難しいと思っていました、でも今日の歓迎ぶりから、それ程では無いと今は考えています。」
「では、私達が歌で頑張れば、佐藤さんは更に安心出来るのですね。」
「はい、ですが、絵美お嬢さま、無理だけはなさらないで下さい。」
「絵美が無理しない為に、喉を温めておくのは小学校でしたか?」
「ええ、警備担当に確認させていますが、この後のスケジュール…、お食事はどうされますか?」
「そうですね、歌う前に食べるのは控えたいので、今の内に少しだけ口に入れておきたいです。」
「では試作品をベースにしたフルーツ盛り合わせを用意させましょうか?」
「絵美、どう?」
「どんな感じになるのか、是非食べてみたいです。」
「では、少々お待ちください…。」

「…、美味しいです、この試作品は甘さを抑えてフルーツとのバランスをとっているのですね。
全体の食感はフルーツだけでは味わえないものですし…、バニラエッセンスもほど良いです。」
「はは、絵美の食レポを聞いてたら更に美味しく思えてきたよ、この試作品は前のとは違うのですね。」
「はい、開発チームが自信作を送ってきました。
前のとは製造工程がほとんど同じになりますので、新たな製造ラインは必要有りません、でもフルーツとの相性の良さは全く違います、単品で食べるなら前のもの、フルーツと組み合わせるのなら今回の試作品ですね。」
「直営店の看板メニューになりそうです…、いや、これなら知り合いのお店で提供して貰って…、う~ん商品単品としての売り上げは大きく成らないにしても、宣伝効果は期待出来ますね。」
「はい、LENTOにちなんだネーミングで店のメニューに加えて頂ける様にマーケティングチームとも検討するつもりです。
単品で食べる、フルーツと合わせて食べる、二つの商品を提供する事での相乗効果が期待出来ると思っています。」
「そうですね、種類を増やし過ぎてしまうと製造原価が上がってしまいますが、今後の展開はどうします?」
「まずは二種類で始め、様子を見ながら季節ごとの商品を含めて四種類、後は売れ行きに伴って製造ラインを増やしてからの検討と考えています。
ベースになる商品がどの程度の売り上げを確保し維持出来るかが最大のポイントになりますが。」
「価格設定も難しそうですね、まあ、何にしても今後が楽しみです、ワンマン社長に色々教えて頂きましたからそれに習って大きく稼ぎましょう。」
「はは、もちろんそのつもりですが、神沢社長は仕事ばかりでなく今日のお祭りも楽しんで下さいね、予定外のステージに対して、町の方々は夜店での撮影中もしっかりガードして下さるとの話が警護担当から届きました。」
「へえ、それなら、落ち着いて金魚すくいに挑戦出来るのかな。」
「たぶん。」
「でも、祐樹さま、すくった後の金魚はどうされるのです?」
「佐藤さん、工場の庭に池とか作れますか?」
「それぐらいは簡単です…、ですが、実際に社長がすくえた金魚がいればの話、おまけで貰った様な金魚の為に池を作ったなんて知られたら、恥ずかしく有りませんか。」
「う~ん、それは佐藤さんからの挑戦として受けますが…、縁日の金魚すくい、その後の悲哀を歌にしようかな。
ねえ、絵美は金魚すくいに思い出とか有る?」
「いいえ、お話しに聞くだけで体験した事は有りません、祐樹さまはお上手なのですか?」
「いや、やってみたかったのに、お姉さん方に囲まれてたどり着けなかった過去が有る…、それ以来縁日には行ってないんだ。」
「はぁ~、社長は罪なお方だと思いますが、それなりの苦労もお有りだったのですね。」
「同情はいらないです、絵美、まだ時間は有るから金魚すくいの必勝法を調べるぞ。」
「はい、やはり、力学的視点からですか?」
「ああ、だがその前に上手な人のテクニックを知るべきじゃないのか?」
「ふふ、テクニックって言葉はプロっぽくて憧れます。」
「よし、三十分で何とか。」
「…、社長、申し訳有りません、ネット回線はここでは…。」
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