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神沢祐樹-125 [高校生会議2-21]

「千恵は、工場見学の後、何してたの?」
「秘書室の体制強化に向けての会議、二人が学校にいる間の事は私が一番分かるでしょ。」
「だからと言って、学校で仕事しなくて良いよ。」
「でも、特別な取材の時とか緊急時に、秘書室と連絡を取れる体制を整えておきたいそうで。」
「大変そうな事は引き受けなくて良いからね。」
「気にしないで、私は絵美と祐樹くんの手助けをしたいだけだから。
高校に入学して同じクラスに成るまでは、歌声が素敵で恰好良い祐樹くんに憧れていたけど、実際、身近で話をする機会が増えたら、そうね、憧れから尊敬…、と言うか…、天才と接する貴重なチャンスだと思う様になってね。
絵美も個性的でしょ、良く分からないけど、やはり祐樹くんとは違った天才だと思うのよ。」
「私は個性的なのですか?」
「そう、その自覚の無さが…、凡人とは違うのよ。」
「祐樹さま、千恵は私を褒めようとしているのでしょうか?」
「多分な、俺が絵美の事を大好きなのは、その個性的な所なのだからね。」
「はぁ~、人前で大好きと言ってしまうのも…、爽やかカップルだから許すしかないのか…。」
「私は、天才について考えた事が無かったのですが。」
「そうだな、定義はあいまいだと思う。
暗算能力が優れていると天才少年とか呼ばれる事が有るけど、千恵でも暗算は出来るだろ。
だいたい、電卓が有れば済む事だから大した事では無いよな。」
「幼くして、少し抜きん出ている才能が有ると天才…、確かに安易な使われ方をされているかもしれないわね。
本物の天才とは年齢関係なく、凡人とはかけ離れた能力を発揮している人の事かな。」
「うん、兄貴が取り組んでいる数学の研究なんて、俺は今までの過程を見せて貰って来たから何となく分かるけど、大学の教授連中でさえ頭を悩ませてるレベルだからね。
兄貴は本物の天才だと思うよ。」
「祐樹くんだって天才でしょ、今は社会の為にという視点で働いていてくれている、でも、その力を悪事に向けたらどうかしら?」
「その気になれば違法すれすれでの金儲けは出来るだろうね、遊びで兄貴とシミュレーションしてみたら三年で一兆円とかになって、小さい国を合法的に乗っ取る可能性を探った事が有るよ。」
「違法すれすれなんて敵を増やして消されるかもよ、そうならない為にも絵美の愛情が必要ね。」
「合法的でも、祐樹さまなら小国の一つや二つ…、祐樹さま、手中に治めたら独裁国家にしますか?」
「はぁ~、そこら辺の感覚がね~、だから危険でも有る…。
本当に力の有る人がその能力をどう使って行くのかは大きな問題だと思うわ。
祐樹くんみたいに健全な経済活動の場で活かしてくれるのは理想だけど。
政治の場では、みどりの風が表舞台に出て来るまで、頭の悪そうな人達が党利党略私利私欲という感じだったでしょ、うちの父親が嘆きつつ解説してくれた中で、本当に優秀な人が政治の世界に係わらないと話してくれたのが心に残ってるのよ。」
「政治家なんて魅力の有る仕事ではないのだろうね、裏で政治家を操っていた方が楽しそうだ。」
「私も操ってみたいです。」
「こらこら、爽やかさで人気のLENTOなんだから、二人して腹黒くならないでよ。」
「いや、純粋に日本の将来を考えたらね…。」
「う~ん、でもさ、能力の高い人達が私利私欲にばかり走ってなかったら、もっとバランスの取れた国になっていたと思わない?」
「まあ、そうだろうな。」
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